2010年05月

「死亡推定時刻」朔立木

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ごっつい本である。
これは創作というよりはドキュメントと呼びたい、
と作者後書きにあるように、カタい。
最初のうち文章も文学的な柔らかさがないように
感じたし、たまにひとつの文が異様に
長かったりするのが気になった。
が、書かれている内容の緊迫感に、
どんどん引き込まれて、
しまいには気にならなくなっていた。

第二部に入ってほっとしたのもつかの間、えぇぇ〜?
な展開になっていく。何やら激しくイラだつし、怖いし。
で、自分はいったい何がそんなに怖いのか? と考えたら、
その正体が分かった。怖いのは殺人犯ではなく、
社会的には正義であるはずの、
警察官、裁判官、検察官、弁護士・・等々の、
お偉い方々だと気が付いた。
これは怖いっすよ。

この本が出た当時はまだ、裁判員制度はなかったと思う。
裁判員制度なんていらないんじゃないかと思ってた。
人を裁くなんていう難しい仕事は、それを専門に学んだ人に
任せておけばいいんで、わざわざ一般の人を呼びつけて
やることは無いんじゃないかと。
でも、これを読むと、いぁ、裁判員制度は、あったほうが
いいかも・・ って気になる。
任せておけばいいと思えるのは、裁判に関わるお仕事の
人達を信頼していたからこその話なので。
もしそういう立場の人々が、その世界の中の正義や
義務感や人間関係に縛られて、自分では本当には
思ってもいないことを主張したり、
真実から目を背けたりすることがあるのなら、
それとはまったく別の世界の住人である、一般市民を
その場に参加させていくことには、意味があるかも
しれない・・ とも思うんだ。
無力だろうけど、外の世界の人間が混じることは。
風穴を開けておくことは、いいことかもしれないと。


 「叱られるかと思ったけど、でも、本当のことが言えないなんて、
 裁判じゃないと思って」
 そのとおりだ。庶民の感覚の方が、ずっと正しい。(単行本p377)


もしかしたら、そういうところがあるのかもしれない。


「フィッシュストーリー」伊坂幸太郎

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伊坂作品に慣れてきたらしい。
電車の中で読むにはいいですよ。
表題作もいいけど、なんとなく作り過ぎな気もする。
「サクリファイス」は、個人的には好きだった。
黒澤という視点人物が、どうでもいいや、と思いながら、
でも気になるな、って引き返してきて事情を探るという、
そのユルさが、伊坂さんらしくて好きだった。
慣れないと、そのへんで「ついていけない!」と思ってしまう
ところかもしれない。

黒澤さんは職業が空き巣だったり私立探偵だったり、
それで自分のことを「いい人」と言われると
自分はいい人ではない、と苦い顔をするんだけど、
そういうところが伊坂作品の登場人物として、
好きなところ。肩肘張らない、なんだかだらしないような、
だけど、悪人じゃない。正直で、好きだ。

「ポテチ」という作品も、かなり好きだった。
大西、という人物が出てくるのだけど、最初、
この大西が女性だとは思わずに読んでいたので、
途中で気が付いて、あっ、女なのか! と思った。
「大西」という書き方が、女性ぽくない。
そう思ってみて気が付く、普通、小説に出てくる女性って、
姓ではなく、名前で呼ばれていることが多いんだよね。
そのほうが、女だってことが分かりやすいというのも
あるんだろうけど。

ときどきあるのが、視点人物が男のとき、出てきた女性を、
いきなり名前(姓ではなく)で呼び捨てにして、そのまま
話を進めていく書き方。いやアンタ、彼女の何なのさ!
って、反感、感じたりして。名前で呼び捨てにすることで、
なんだかその女性がすでに自分のものでもあるかの
ような。(゚∇゚ ;) 勘違い?ヾ(;´▽`A``

んで、この「ポテチ」では、「大西」はずっと「大西」なんだ。
下の名前は「若葉」というらしくて、同棲相手の今村が
ときどき「若葉さん」と呼びかけているんだけど。
地の文では、ずっと「大西」。んでこの大西若葉さん、
なかなかの美人で酒豪で、今村の目を盗んでときどき
「親しい」男友達と会っていたり、突然電話してきた
今村のお母さんと、妙に意気投合して飲みに行ってみたり・・
今村の恋人、というよりは、なんだか姉か友人のような、
サバサバした感じの人なんだ。それを描くのに、
作者が「若葉」ではなく「大西」と呼ぶ、
そこに二人の関係性が現れているようで、
・・・なるほど! って・・・
うん。伝えられたんだろうか。この文章は?(〃゚д゚;A・・

 

「ジェンダー城の虜」松尾由美

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発行されたのは、すいぶん前になるんだなぁ。
新聞の新刊紹介欄で見て、タイトルが面白いので
覚えていた。図書館で何気なく目にして、あっ、
これ覚えてる・・ 読んだっけ? って、しばらくページを
めくってみたけど、読んだような気がしない。読んでなかった。

ジェンダーって、言葉が一時は流行ったような気がする。
このごろ、あまり聞かない?
古くなったのかな。
ことさらにジェンダー論をふりかざす必要がないくらい、
社会が変わった? のなら、いいけど。

σ(・・*)アタシは、このごろはもう、疲れてしまった。
これで娘でもいれば、非難ごうごうだったりして、
とてもゆっくり寝て(?)はいられなかったかもしれないと
思うけれど、幸い男児しかもうけなかったので、
それも二人のうち一人はすでに家を出て一人暮らししてるし、
母親の生き様なんぞにはほとんど興味が無さそうだから、
これ幸い。(〃゚д゚;A
まぁ、将来嫁さんでも来れば、それはまた、それで
モンダイになるかもしれないが・・
まぁ、そこまでは考えても仕方がないということで。

とはいえ、作品はそんなに堅くない。
かなり楽しいし、登場人物も、ありかな? という
程度で、それほどぶっとんでるとは思えない。
映画にでもしたら、ちょうどいい娯楽ものに仕上がるかも?
主人公は、あの少年がいいなと、なぜか勝手に
読みながらキャスティングしてた。「新・三銃士」で
ダルタニアンの声をやってて、「とめはね!」に出てた、
ええと、池松壮亮くん。柔らかい線なんだけど、それでいて
時折しなやかな強さも感じさせてくれる。
あと体育教師の峯田先生は、どうしてもパッション屋良の
イメージだった・・・( ´艸`)。


「13階段」高野和明

第47回江戸川乱歩賞受賞作。
途中、ドキュメンタリーを読んでいるような気分だった。
気が付いたら、これ、小説だったなぁ! なんて。
物語半ば、死刑執行を描いたあたり。
映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」で見た絞首刑シーンが
重なって、迫力だった。
ずっと昔、芥川賞の作品で死刑執行に関わる刑務官の
話を読んだのだけど、タイトルも作者も思い出せなくて。
調べたら、丸山健二の「夏の流れ」だった。
でも、こっちのほうが迫力も面白さも勝ると思う。
まぁもともと、芥川賞とは、作品の方向性が違うとは思うけど。

誰が白で誰が黒か、最初から緊張を強いられる。
どんでん返しも素晴らしいが、読み終わったあとの
問題意識も奥が深い。
何が正義なのか。どんな罪に対して、何を裁くべきなのか。
真実を見極める難しさ、白がただの白だけではない複雑さ・・
裁判員制度も始まったし、自分には無関係な世界だと、
タカをくくってもいられない。

映像化されているんじゃないかと思って調べたら、
やっぱりそうなっていた。主演は反町隆史。
原作を読んでから見た人の感想は、いまいちだな〜。
そうかもしれない。これだけの内容、本で読む方が
いいかもしれない。
他の作品も読んでみたいが、この作品では、
女性の描写は平板だったので、そのへんが、
どうかなぁ〜、と思いつつ。

ちなみに、死刑執行に関わる刑務官のお話は、
吉村昭の小説を映画化した「休暇」っていう映画も
あった。知人が見たと言っていた。
私はまだ見てないし、読んでないけど。ヾ(;´▽`A``



「卒業」東野圭吾

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加賀恭一郎のシリーズってことで、
古い作品だけど最近注目されている。
本屋さんでも店の目立つところに並んでいたし、
古本屋でも飾り棚に並べてあった。
加賀さんが刑事になる前の、学生時代の話。
このタイトル、前は「卒業 〜雪月花殺人ゲーム〜」
という風になっていたけど、いまはただ「卒業」だけ
なんだね。そのほうが合ってるかも。「殺人ゲーム」
っていう表現は、内容に似合わないような気がする。
加賀さんは、ドラマの影響で、もう、阿部寛の顔でしか
思い浮かばない。それでも、そんなに違和感は
ないなぁ〜。

東野さんの小説は、古いもののほうが結構面白いかも。
トリックは凝っていて、特にカード操作については、
図解されていても頭がついていかないし、
まぁいいか、分からなくても? なんて思ってしまうが、
鍵のトリックといい、よく練られているなぁと思う。

ひとつ、個人的になるほど・・ と思ったのは、
理系の学生さんの研究生活に関する描写。
東野さんって理系出身だから、そのへんはきっと
よく分かって書いていらっしゃるんだと思う。
自分は文系出身なので、理系のことがどうも分からなくて、
親に似ず、何を思ったか工学部に進んだ息子の様子が
いまいち、つかめなかったんだけど、これを読んでいたら、
はぁはぁ、なるほど! って思うところがあった。
まぁ、小説とはあまり関係がないけど。

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