2013年05月

おかあさん。

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「おかあさん。」
わざとぶっきらぼうに、低い声で呼ぶと
閉じたまぶたが反応した。
眼球が左右に動いている。
「なにか見ようとしているんだね」
看護師さんに伝えたら、そう云われた。
「おかあさん。」
手をぎゅっと握りながら声をかけると、
のどがひくり、と動くこともあった。
亡くなる日の午前中まで、そんな風だった。

「おかあさん。」
どうかもう一度、この目を開いてはくれないだろうか。
最後に母の目を見たのは、いったいいつのこと
だっただろうか?
・・・でも、病室では怖くてすぐに考えるのをやめた。
泣きじゃくってどうする。
まだ、看病の最中なのに、と。

お骨が家に帰ってきた。
小さな額におさまって、父と母が、
写真になって並んでいる。
現実感がなかった。
よくあるテレビドラマのようで。
ほら、年長の人から順に、遺影になって並んでいく。
家族の歴史を早送りすると、よくあるパターンで。

・・・今日で、2週間。

やっと、現実感がでてきた・・・かな?
たった3年で、両親ともに、いなくなりました。




母の嫁入り

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5月の半ば、母が逝きました。
抗がん剤で髪が抜けたので、家にいるときからずっと
頭にバンダナを巻いていたのですが、
死んだときの用意にと母が自分でまとめてあった
着物一式の中にも、白いハンカチが入っていて。
納棺のさいごに、頭にそれを巻いてもらったら、
まるで白無垢の花嫁衣裳みたいに見えたんです。
もう一度、父のところへお嫁入りだね、と
皆で言って、送り出しました。
「焼いちゃうってこわい」と、病床で繰り返して
おびえていた母。
こわくないよ、お父さんがいるよ、と祈るように手を合わせて、
鉄の扉の向こうに見送りました。

とうとう、誰もいなくなった実家。
今夜は、ひとりで留守番に来ていますが・・・
やはり、さびしいです。
時間が経って、なおさら、さびしい・・・です。

黄色いおなか

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胆道が詰まっている母のおなかがぷっくり
ふくらんでいる。ほかはシワシワなのにそこだけ、
ぴーんと張りつめた妊婦さんのおなかみたい。
そして黄色い。
黄色いヨードチンキを塗ったのかと思うほど。

きのうは吐きっぱなしだった。
水を飲んでも吐く。
弱ってしまった細い腕で上体を起こし、
苦しそうに茶褐色の粘液を吐く。
母の背中をさすりながら、まぁ、なんて細いのかと・・
肩甲骨が浮き出して、背中の中心は深い谷間に。

今日は薬が濃くなって、痛みも吐き気も
おさまってきたかわりに、眠ってばかり、
いるようになった。
母の少ないお友達に、連絡をした。
市内の方は、即日、訪問してくれた。
見違えるほどの母の姿にきっとびっくりされたであろうに、
母の手をとっていつもと変わらず、
明るく元気に話しかけてくれた。
「聞こえてるんですよ。ね、聞いてるんだよね」と
目を閉じたままの母に言うと、
うっすら笑ってうなずいて、
「ありがと、ありがと。忙しいのに」と、かすれた声で
母が言った。

・・・僭越かとも思いながら、
これからだんだん意識レベルが落ちてしまう、
状態の急変だって心配だし。
お知らせするべき方面には、いくつか連絡させてもらった。

見守る母の寝顔が、ふっと笑顔になった。
まるで新生児みたいでした。




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