自然エネルギーを考える川口市民の会

            未来をつくるために     蒔田豊明                              17.06.19)

美しい丘陵の町・匝瑳市

67日、「市民エネルギーちば・ソーラーシェアリング」見学会を予定通りおこないました。この日、週間予報では雨マークがついていましたが、みんなの熱意が雲を寄せ付けなかったのか、天候にも恵まれ、たくさんの“収穫”を持ち帰ることができました。

参加者は当日になって体調を崩された方が2名いたために10名、鳩ヶ谷駅を8時に出発して湾岸道路から東関東自動車道を抜けて10時半過ぎ、ほぼ予定された時間に目的地に到着しました。

 匝瑳(そうさ)市は聞きなれない地名ですが、千葉県の北東部にあって、面積101㎢、人口36千人ほどの町です。南部は九十九里海岸に接し、北部に従って谷戸の入り組む台地が広がっています。到着するとウグイスやヒバリの鳴き声が歓迎してくれる、里山の連なる心静まる田園風景が広がっていました。

今回、見学をお願いした「市民エネルギーちば」は、2014年に設立された市民発電を推進する非営利型の合同会社です。HPhttps://www.energy-chiba.com/)によれば、「私たちは、千葉県内の環境や自然エネルギーに関わる6団体の有志9名により、自然エネルギー市民発電所の普及を目的にこの会社を設立しました。今後は、都市部と農村部をかかえる千葉県の特性を活かしソーラーシェアリングには特に力を入れて活動してまいります」とあります。

ソーラーシェアリングという言葉自体、まだ耳慣れないという方も多いかと思いますが、農地に太陽光パネルを設置して、農業と発電を同時に行なう(シェアリング)新しいタイプの営農型メガソーラー発電をいいます。

都心から車で2時間ほどの美しい丘陵の町、人口減少や高齢化、休耕地の増加…さまざまな課題を抱える地方にあって、ソーラーシェアリングの実践を通して未来をどう描こうとしているのか、代表の東光弘さんの、丁寧な現地見学とお話を通して学んだことを報告します。
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匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所

私たちが訪れたのは匝瑳市飯塚にある、3.2haの耕作放棄地に設置された第一発電所。想定年間発電量は1424mkw、一般家庭288世帯分の年間消費量に相当します。

現地に立ってまず感じたのは、その規模の大きさですが、単管パイプで組み立てられた架台に設置された太陽光パネルのすき間が予想外に広くて採光が十分降りそそいでいることでした。

聞いてみると、使用されているパネルは一般家庭の屋根に設置されているパネルよりも幅が狭く(横幅1,570mm、縦幅280mm)、パネルとすき間は1:2の間隔となっており、十分に日照を確保できます。野菜は連作障害をおこすために輪作がおこなわれますが、これならさまざまな作物に対応できます。
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東さんははじめに断言したのは、「ソーラーシェアリグは農業が主、発電は従」ということです。従来行われてきた投資型のメガソーラーは投資された資金が都市に還流するもので、地域社会には還元されないと批判します。耕作放棄地であったこの土地に発電所を設置することによって、農地や地域を再生していくことにその狙いにあるのです。

今は麦が鋤きこまれた状態の農地はもうすぐ大豆畑になるそうです。大豆は小糸大豆とよばれる在来種で、枝豆はもちろん。豆腐、味噌の原料として消費されていくそうです。単管パイプの高さは3mほどありトラックターやコンバインのような農業機械も十分に使えるスペースがあります。ここで営農を希望する農家はパネルの下を借地して、収穫した作物の売り上げはすべて農家の収入になります。すでに営農を目的に移住してきた若者もいるそうで、心強い限りです。有機栽培の野菜は反(10a)あたり5万円ほどの年収になるそうですが、売電収入は80万円(売電価格20/kwh)ほどになり、十分に収入を補てんできます。

1反の土地に40kwの太陽光パネルを設置すると、

1,000kwh(年間の平均発電量)×40kw=40,000kwh

40,000kwh×20/kwh(売電価格)=800,000

全国各地で耕作放棄地や後継者問題に直面していますが、農業と発電のシェアリングは収入面からこの問題解決に大きく寄与するのではないでしょうか。

市民エネルギーちばの先進的な取り組みが全国のロールモデルになっていくことを願わずにはいられません。

ソーラーシェアリングと農業

畑や田んぼの上に太陽光パネルという発想の転換は頭の固くなった私(たち)の常識を乗り越えたものです。ソーラーシェアリングの発案者は長島彬さんという技術者です。特許を取得せず公知の技術として誰もが自由に使用できるようになさり、同じ千葉県の市原市にCHO技術研究所を構えてさまざまな実証実験をおこなっています。東さんは長島さんのもとで、太陽光パネルを設置すると、どのような作物がどのように育つのかの研修を重ね、仲間と今の会社を立ち上げるになりました。 

有機野菜の栽培を携わってきた東さんは、はじめてソーラーシェアリングの話を聞いたとき、うさんくさい、眉唾だと思って長島さんを訪ねたといいます。ところがそこで生き生きと育つ野菜をみて、これは本物だと感じたといいます。まるで開国派の海舟を攘夷派の竜馬が暗殺を企てて、返って師と仰ぐようになったようなお話ですが、その柔軟かつ具体的なお話は、“左翼”の頑固さから抜け切れない私にはとても新鮮で刺激的でした。理科の時間に学んだような知識がペーパーテストに終わるのではなく、農業という人間の営みと結びついてくる生きた知識だと感じました。

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東さんは、第一発電所の畑に育つ雑草を手に取りながら、上の葉っぱはその影になっている下の葉よりも光合成をしていません、植物が水分を吸収するのは植物自身の体を冷やすのに使われています、木も疎林もない直射日光を受ける畑は植物が育つ自然な環境ではありません…

わかりやすい言葉から「目から鱗」のような感覚が走りました。

光合成は、光のエネルギーを利用して空気中の二酸化炭素と水から糖を合成し酸素を放出する活動といいますが、人間が冬の陽だまりに有りがたさを感じ、夏場の木陰に感謝するように、植物と光も同じ関係にあるようです。いっぱいあればいいというものでもなく、少なすぎても困るのです。

ソーラーシェアリングは、作物の成長に必要な光を取り入れながら、必要以上の光を太陽光パネルがカットしてくれるのか…いかに生き物の生理に適っているかがじんわりと伝わってきました。

一昨年、ぼくは南米のエクアドルを訪ねて森林と農業の共存をめざすアグロフォレストリー(森林農法)のコーヒー農園を見学したことがあります。バナナやアボガド、木トマトなどの木々が適切な木陰をつくってコーヒーが育てられていました。日本には何千年という年月をかけて受け継がれてきた農地があります。二次的な自然とはいえ環境に果たす役割が大きいことは知られる所です。その農地が休耕地化したり放棄されたりする時代、ここに太陽光パネルという現代のテクノロジーを木陰に見立てて作物を育て、同時に発電をおこなう意味の大きさを改めて感じるのです。

現地見学後、東さんは私たちをご自宅兼事務所に招いてレクチュアをしてくれました。その時、使われたのが次の図表です。

下のグラフでは光の照度が一定量を超すと各植物の光合成量が横ばいになっていることがわかります。これを生物学では光飽和点(ある強さ以上になると植物が光合成を行う速度が上昇しなくなる光の強さのこと)といいます。また右の表では光飽和点とともに光補償点が載っています。光補償点とは植物が光合成をするときに排出する酸素と、吸収する二酸化炭素との出入りが完全に釣り合うときの光の強さのことで、これ以下の光の強さでは植物は成長することができないことを意味します。

ソーラーシェアリングはこの植物の特性に従って光飽和点以上の強さの光をあてて作物を育てます。作物によって違いがありますが、一般に成長の妨げにならない遮光率は30%程度とされているそうです。

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「百聞は一見に如かず」といいます。現地の見学とレクチュアで、ソーラーシェアリングの意味と実際が具体的なイメージで頭の中で整理されてきました。

 

ソーラーシェアリングとこれからの課題

ソーラーシェアリングが急速に広がるようになったのは2013年、農水省が農地への太陽光発電設備の設置を認める通達を出してからです。これによって適切に営農を継続すれば、農地の一時的な転用が法的に容認され、現在、全国700か所以上でソーラーシェアリングがおこなわれているといいます。

ではこれからのソーラーシェアリングを考える時、何が課題だというのでしょうか。東さんがさまざま課題を提起してくれました。

ひとつは売電先の問題です。現在、市民エネルギーちばが発電した電気は東電が買い取っています。しかし近い将来、新電力への電力供給を考えているようで、具体的には「みんな電力」の名前を上げていました。さらに大きな目標はやはりオフグリットにあるようです。近年、トラクターなどの農機具の電動化が進み、自分の田畑の電気で充電した農機具を使えば、二酸化炭素ゼロ排出も夢ではなさそうです。電気の地産地消が大きな目標のようです。

心配されるのは太陽光パネルの廃棄やリサイクルです。一般に太陽光パネルの耐用年数は20年といわれます。実際には技術も進み、30年が目安ともいわれますが、これから10年ほどのうちに太陽光パネルの大量廃棄の時期が訪れます。これに備えて、何がリサイクルでき、廃棄による環境保全に備えておく必要があります。

太陽光発電システムの中核は太陽電池モジュールのほか、接続箱、パワーコンデショナーそして架台からなります。このうち、太陽電池モジュールは類似の機能を持つ製品が存在しないために廃棄やリサイクルが大きな課題になります。

使われている素材は図の通りで、アルミやガラス、シリコンと種類も少なく、重金属など深刻な汚染事例を出したことは一例もないといいます。バックシートや電線の塩化ビニルを除けば、ほとんどがリサイクル可能だと東さんはいいます。しかし環境負荷がより少なくなるような素材の開発や処理方法の研究は必要不可欠です。

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台風や地震のような災害対策はどうでしょうか。パネルを支える架台は単管パイプです。工事現場などでよくみかける単管はコストも低く、組立や解体も簡単でリサイクルには好都合ですが、地中に差し込むだけなので、強風や地震に耐えられるのかは心配です。お話を聞くと、ジョイントや支柱などかなり改良を加えて現在の形になったようで、3.11の地震や大きな台風で本体が崩れることはなかったといいます。パネル自体も幅を狭くするなど風負荷を低減するように設計され、東さんの新しい発電所ではパネルの角度が時間によって変える可動式になっており、発電効率をあげ、台風など強風が吹くときには水平にして風負荷を最小にできるようです。

ソーラーシェアリングが誕生したのは03年のこと、発案者の長島さんが実証実験を重ね、その成果に学んで東さんたちも、単管パイプを見よう見まねで組み立てるという、地味な作業をおこないながら、何がベストなのか試行錯誤してきたようです。

そして何より感心したのはつねに先を見て、電力や食糧の地産地消、後継者づくりや地域のコミュニティづくり、他地域との交流など持続可能な社会像を描いて活動していることです。大手電力会社が目先の利益だけを求めてやみくもに原発再稼働を推し進めようとしていますが、20年、30年という未来を見据えながら、さまざまな困難や課題を乗り越えようとする、ポジティブな姿勢に大いに勇気づけられました。

(ゼロ)から1へ

見学会の数日前、東京新聞(6月4日)が「ソーラーシェアリング脚光 全農地導入なら原発1840基分に」という記事を掲載しました。田畑に太陽光パネルという発想は屋根上設置やメガソーラーの限界を超える、自然エネルギー普及の画期をなすものです。東さんからいただいた長島彬著『ソーラーシェアリングのすすめ』によると、全国の住宅の30%にあたる1400万世帯の屋根に4kwの太陽光パネルを設置しても、日本の全電力需要1kwh5.6%にしかならないといいます。また雑草が茂って二酸化炭素吸収効果のある休耕地や里山に設置するメガソーラーは、投資された資金が都会に住む投資家の懐を潤すだけで、返って地域の自然破壊を促しているといえます。

ではソーラーシェアリングはどうでしょうか。同書によれば、100km四方(100haで日本の全電力需要のすべてがカバーできるといいます。日本の農地面積約450ha、その潜在能力の大きさは東京新聞の記事を裏づけるものです。風力やバイオマスなどの自然エネルギーや再生可能エネルギーを効率的にミックスしていけば、化石燃料や原発に頼る必要はまったくないのです。
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しかし全国をカバーできる潜在能力があるとはいっても、その一歩は地道な個人や地域からの取り組みからはじまります。その一歩が大きな流れをつくります。東さんはそれを「0(ゼロ)から1」と表現されました。0はいくら足しても0です。でもそれぞれが1を踏み出せば、累加されて大きな力になります。

実践家らしい東さんの言葉を私たちも見習いたいものです。自分たちの地域でできる1を踏み出そう、そんな勇気をもらった見学会でした。
                         

 

 


617日(土)パートナーステーション 18002000(多目的室)

参加者 6

【議題】

①匝瑳市ソーラーシェアリングのまとめ。今後川口での可能性を探る。

・ソーラーシェアリングの考え方は理にかなっている。太陽の光を浴びて植物は育つ。各植物には光飽和点というものがあってそれ以上の光が当たると逆に育ちが悪くなる。一番上の葉よりその下の影になった葉の方が光合成は盛んである。

匝瑳市ソーラーシェアリングはあくまでも農業が主でソーラーパネルによる太陽光発電は農業を支えるものとして位置付けている。地域づくりが主眼に置かれている。

・ 農地にソーラーパネルを設置するにはその土地で収穫できる量が20%以上切ってはいけない。という法律がある。

市民エネルギーちばの東さんの話は有機農法を目指している。最初、ソーラーシェアリングの考え方に疑問を持っていた。ところが有機栽培で育てた作物の育ちは逆に良かった。そこから農業の活性化更に地域づくりになると考えた。農産物を原材料とする加工品の製造販売として育てた大豆を使っての味噌づくり 、ビールなども作り始めている。ソーラーシェアリングをとおして雇用が生まれ原発に頼らない環境に配慮したエネルギーを産み出す。現在は東電に売電しているが近い将来送電ロスの少ない地産地消にシフトして行くという。11月の収穫祭には来て欲しいを言われている。

川口での可能性 

  これは畑がない事にはどうにもなりません。Sさん宅の畑にどうかと話はしています。広大な畑の西側には住宅が並んでいる。それ以外建物はない。匝瑳市の最初に作られた第一発電所は自分達で造ったと言っていた。パネルを支える土台と支柱は単管パイプである。手軽に手に入るものであり、工事も素人で出来る。資金はみんなで出し合いその売電費はこちらに入る様にする。これは地権者のOKが出ない事には話になりません。実際に匝瑳市にご一緒して見学に行くのが一番だと考えます。信頼関係が出来なことに話は進みません。

 

② I毛さんが専修大学でのマコケンの話しを聞いて来ました。1月の総会に記念講演としてお呼びするかについて。コンタクト、予算面、呼びかけ、会場等

 さんが言うには最初はお笑い芸人なので面白い。話が進むにしたがってかなり専門的な内容になっていった。それを1時間半聞いているのはかなり厳しいのではという事でした。

  会場が専修大学なので学生向きに話されたのか分かりませんが市民向けにも話が出来るのではないか。いずれにせよ大分先のことなのでマコケンの方向で準備して行く。

 

  映画会は11月初旬ぐらいにしてIさんからの具体的な提案を待つ。

 

③その他 提案がありましたらお願いします。

722日「かわぐち環境フェスタ2017」に会と昨年同様参加します。子ども向けの自然エネルギーワークショップ、川上さんの分かりやすく興味を引く実験装置に期待。

 

※次回の第17回世話人会は92日(土)1800~ 第4会議室で行います。 

(守谷記)

 

2017.06.07 市民エネルギーちば・ソーラーシェアリング見学会!!(感想)

おしどりマコ・ケンさんの講演会の翌日は有給休暇を取って自分の所属する自然エネルギーを考える市民の会で行った市民エネルギーちばさんのソーラーシェアリング見学会に参加、千葉県匝瑳市まで行って来ました。
その前の週に福島に行って来ましたが、福島では畑に太陽光パネルが大規模に設置されているところを数か所見かけましたが、そこは太陽光パネルだけではた竹では作物は作っていませんでしたが、今回見学に行ったところは太陽光パネルの下ではちゃんと作物も作っていて畑としての機能と太陽光発電所としての機能を兼ね備えたものでとても画期的なアイディアの物でした。畑で作物を作っている関係上、太陽光パネルは写真でも見て取れるように、細い形状のもので隙間があって畑にしっかりと太陽の光が届く構造になっていました。作物を育てるには写真で見れるくらいの隙間があれば十分だそうです。案内をしてくださった市民エネルギーちばの代表の東さんは元ジャーナリストで好奇心旺盛で51才の現在でもこのソーラーシェアリングを中心とした壮大な夢をお持ちの方でとても感化されました。原発等早く無くして自然エネルギー・再生可能エネルギーへの取り組みに転換すれば東さんのように「夢」を語れるエネルギーが作れるんだと思った。「夢」に向かって進んでいる人はすごいね!!人間が豊かになると思う。

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