2004年11月16日

『花とアリス』(2004年)


花とアリス 特別版
天才映像作家か、はたまた希代のロリコン監督か。
岩井俊二が10代の少女たちの恋愛模様、友情を繊細な映像で綴った青春物語。
元々はキットカットのサイトで配信するショートムービーを、長編映画として撮り始めたものらしい。岩井氏は『リリィ・シュシュのすべて』でもインターネットの掲示板を使い脚本をすすめる試みをしているし、現在も自身のサイトで新しい才能を発掘する企画を続けている(ここから『ジョゼと虎と魚たち』の脚本家・渡辺あやを輩出)。客層が若いということもあってネットとの連携を意識しているのかも。

話自体まるっきり少女漫画の世界なのだけど、透明感のある映像が美しく、見終わったあとはさわやかな後味が広がる。特に印象的なのはやはりラストにつながるアリスのバレエシーンだ。少女から大人になるまえのあやうさ、伸びやかさが画面いっぱいにあふれている。こうした淡いノスタルジーにかけては岩井俊二は本当に天才的だと常々思う。
蒼井優の演じるアリスはどこか飄々としていて憎めないキャラクターだった。蒼井優ってすごく美人ってわけでもないんだけど、なんとなく目で追ってしまう。アリスのお父さん役の平泉成もハマリ役で、親子が再会するシークエンスはこの作品中でひときわぐっときた。
デジタルでフィルム以上の完成度を作り上げたのは、岩井監督と長年コンビを組んできた撮影監督・篠田昇。篠田氏はこの撮影後、他界された。ご冥福を御祈りします。
監督自身が手がけた音楽も作品にぴったり。

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トラックバック一覧

1. 花とアリス  [ Cat Tail * cinema ]   2004年11月16日 12:46
監督・脚本・音楽:岩井俊二 出演:鈴木杏、蒼井優、郭智博、相田翔子、平泉成、木村多江、阿部寛     大沢たかお、広末涼子 他 公式HP レビュー Amazon.co.jp 岩井俊二監督が、高校生たちの揺れ動く心情をリリカルで繊細なタッチでつづった青春ドラマ
2. パンフまで買っちゃった  [  おとなのふりかけ ]   2004年11月16日 22:07
まだ熱が冷めてないです、「花とアリス」。 DVDのあとにサントラも買っちゃったんですが、今回パンフレットもヤフオクで落としてしまいました! ハマっちゃったなあ。こんなに邦画でハマるのなんて初めてです。 写真集もでてますが、なんか映画とは違う世界設定なの.
3. 花とアリス  [ AV(Akira's VOICE)映画,ゲーム,本 ]   2004年11月24日 13:46
青春の記憶を切り取ったような,霞がかったセピアな映像で語られるドラマは, 学生時代を思い出す懐かしい空気,ノスタルジーに溢れ, 恋を経験し,社会を経験してゆく二人の輝く一瞬を切り取った成長物語。
4. 花とアリス  [ カフェビショップ ]   2005年09月29日 06:46
花とアリス いやあー、すごいな岩井俊二。面白いんですよ。 メルヘンっていうか、少女マンガっていうか。 生臭い少女というか、少女の生臭さっていうんですか、 そういうのが画面に満杯ですよ。胸いっぱいですよ。 なんつうか、匁っぽい画面作りなんですね。 ここはこ...
5. CINEMA●STARR 「花とアリス」  [ しっかりエンターテイメント! ]   2005年09月29日 11:27
 監督 岩井俊二  出演 鈴木杏 蒼井優 郭智博 他    ハナ(鈴木杏)は、大好きな先輩宮本(郭智博)をゲットする一瞬のチャンスを逃さなかった。ある大きな嘘をついて。嘘を守るため、親友のアリス(蒼井優)を巻き込んで奇妙な三角関係に発展していく。 ...

コメント一欄

1. Posted by モン基地の母   2004年11月16日 12:50
こんにちは。TB有難うございました。
本当に、透明感溢れる映像で岩井ワールドを満喫したといった感じです。
そして、篠田さん、非常に残念です。
先日、行定監督の「世界の中心で、愛をさけぶ」の撮影裏話を聞く機会があったのですが、本当に篠田さんの事を何度もおっしゃてて、非常に監督も尊敬されてるのがヒシヒシと伝わってジーンときてしまいました。
2. Posted by 猫田   2004年11月16日 13:53
行定さんも尊敬…じーん。いい話だ。

撮影監督ってなかなか世間で注目されることないですが、
いまの岩井ワールドといわれる作風も篠田さんなしではありえなかったんじゃないかなと思います。
岩井さんも「自分の半身が死んだようだ」とおっしゃってました。
3. Posted by つっちー★☆   2004年11月16日 20:33
おはよう♪
 トラックバック、ありがとうございます。
 花とアリス・・・いい作品でした。
 日本的な風景・・・そして、コミカルな間合い
 やはり、映像のよさが、あいまって・・・
 なにか、見たあとの何ともいえない 
 笑いがこみ上げてくる作品でした。

 キットカットの、食べ方を知らないシーンなど・・
 結構、絵になりますね・・
 /n.Tsuchi
4. Posted by 猫田   2004年11月16日 22:40
こちらこそお越しいただいてありがとうです。

チョコをほおばるところ可愛らしくて笑ってしまった。
こういう細かいキャラ設定がうまいと思います。
いそうでいない人物なんですよね。
5. Posted by はいろ   2004年11月16日 22:49
トラバありがとうございました!
岩井作品ならではの詩的な映像をもちろん踏まえながら、けっこう笑いが入っていて、今までのなかで一番バランスがいいかなと思いました。
6. Posted by 猫田   2004年11月16日 23:33
岩井氏は日常を舞台にしたコメディのほうが向いているのかもですね。
いろいろやって原点に戻ったみたいだった。

大作撮らなくたっていいじゃないか。人間だもの(みつを)。

という境地に至ったか?
まーでも平凡な日常を舞台に映画を撮るほうが何倍もしんどいことですよ。すごいです。

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