2007年09月12日

建物の維持管理 3

ジャーナリストの千葉さんからコメントをいただきました。千葉さんは以前からの知人で、新聞記者を経て独立した方です。以前に耐震偽装問題についてのシンポジウムに出席していただいたことがあります。

貼り付け始め
建物の維持管理は難しい問題ですね。金融商品取引法の施行に合わせて、不動産鑑定が問題になっていますが、そのなかでエンジニアリングレポートの標準化が進められようとしています。
 投資不動産の収益を上げるのであれば、プロパティマネジメント(PM)会社に徹底的に収益を追求させれば良いわけで、「不動産鑑定など必要ない」といった議論にもなりがちです。ただ、PM会社が建物管理会社に適正な管理をさせているかどうかを誰がチェックしているのでしょうか?
 そのチェック機能をエンジニアリングレポートがカバーするのが良いのかもしれませんが、エンジニアリングレポートはこれまで建築士の資格を持っていない人間でも書くことが可能なもので、その品質にばらつきが大きいことが問題視されています。
 不動産評価研究会では、そうした問題について議論されているのでしょうか?今度、機会があったら教えてください。
貼り付け終り

エンジニアリングレポートは不動産が取引される際の保証書として調査作成されています。以前いくつかのエンジニアリングレポートとその対象の建物の調査をしたことがあります。エンジニアリングレポートでは問題なしとされていたいくつかの建物に重大な問題があり、事故の起こる危険が大きい状態でした。

このエンジニアリングレポートの内容はBELCAのガイドラインに添って作成されたものです。リスク診断としてPML(地震時予想最大損失率)もありますし立地の土壌汚染調査もしています。しかし、建物自体が有するリスクマネジメントの調査という視点が抜けているのです。建物自体の欠陥で事故が発生すれば、その建物を使用する企業の存続も危うくなることがあります。エンジニアリングレポートの作成にあたり建物調査をした担当者は皆一級建築士でしたが、基本的な能力や問題意識に欠けていたのかもしれません。

以前に日本の不動産流動化の仕組みを立ち上げたという銀行員の方に、エンジニアリングレポートについて聞いたことがあります。その方は、エンジニアリングレポートでは、算出するPMLの信頼性が高い調査会社のブランドが重要で、不動産取引の際にエンジニアリングレポートの内容は分らないし読みもしない、とのことでした。実質の建物の性能やリスク管理を軽視した姿勢が気になりました。

不動産流動化の流れの中で金儲けをするということが強調されると、不動産の維持管理やリスク対策の費用が削られて、先日発生した渋谷温浴施設爆発事故のような建物事故の発生する原因となります。最近頻発する建物事故の遠因は、不動産流動化の背景に感じられる拝金主義かもしれません。

不動産評価研究会では、不動産の維持管理状況やエンジニアリングレポートを含めて、第三者監査をすることが重要だと考えています。



nekoinemo at 23:28│Comments(0)TrackBack(0) 建物の維持管理 | 建築技術

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