耳鳴りの超音波、高周波ノイズがクジラに関係すると安易に思っただけなのだが、
あの男が現れ、これに関連するような内容の話をする。

その話を要約すると、奴はクジラとは音や言語を用いずとも、
何らかの方法で存在を確認し、お互いの存在を尊重し合う程度の意思疎通をする。
しかし、人間や他の動物とはそれができないから存在に気付いてないかも知れない。
恐らく視力を持たず、人間のイメージする知性とは別の感覚で活動、行動しているのだろう。
奴からすれば人類の科学技術、軍事力など無力同然なのだろうが、
もしそれに感づいて、払うべき対象と本能的に判断すれば、
手探りで対象を感じなくなるまで、手当たり次第に破壊を伴わずに払うだろう。
奴からすれば敵意とかでは無く、体にまとわりついた虫を払うだけの行為だろう。
本来の目的は、他のコンタクトを取れる存在を探し巡るだけなのだろうから。
奴本体の独特な構造、感覚、認知力ゆえに他と意思疎通できる範囲は狭く、
ある波長にだけに反応できるが、それは偶然クジラだったのだろう。
お前の想像が全く及ばないような存在だ。

この話を聞いて、ならば核兵器を打ち込まれても大丈夫なのか?と質問すると、
やってみなくては判らないが、何らかの影響を受けて何も起きないだろう。
起きたとしても、衝撃、熱、放射線は、奴を組成している物質に全く影響を与えず、
すり抜けるだけだろう。

それならば、こちらを払う事も出来ないのでは?と言い返すと、
奴から払われた場合は、風が吹いたようにすり抜けるだけだろうが、
物質を構成する素の部分が影響を受けて変異し、特に人間が作った物への影響は大きいと。

ネビュラや崇高なる存在が身を隠す理由を尋ねると、
ネビュラはクジラの放つ波長さえも感知する能力を持ち、当然あの方にも転送している。
同じ波長を自ら出すが、奴が遠ざかるまで全ての活動を停止していたのだと。
ならば、自分もネビュラから同じ波長を拾っていたのか?と心で呟いたが、
それには一切言及する事も無く、その件は無視されているようだった。
あえて聞くのを止めたのは、思い上がってると思われるのが嫌だったから。

俗に言う地球外高度知的生命体とはイメージが全く違う。
あの男が言うには、奴はとてつもない大きさで、ネビュラなどは比べてしまうと微生物程度。
奴の払いによる影響とは、ネビュラから僅かに漏れる中性子線とも関連するのだろうか。