2006年03月16日
紹介>火の見櫓(やぐら)
火の見櫓の写真です。消防署の望楼もちょっとだけまざってます。
見かけたらなんとなく撮影しておいたものですが、なんだかんだ50本くらい。おれの主たる活動範囲が関東地方北部なんで、やっぱ関東地方のものが多い。遠隔地に行ったときとかは、どうしても主目的のものを回るだけでせいいっぱいということになりがちなもので。
ヴァリエーションなんですけどね。三本足や四本足とか、望楼部のデザインとか、まあそれなりにヴァリエーションはあります。望楼部の屋根のかたちにしても四角形とか六角形とか八角形とか鉄板の打ち出しと思われる円形とか。
が、調べ始める前は、こういうものは地元の鉄工所とかが作ったのだろうからもうちょっと地域的なトレンドとかがあるんじゃないかと思っていました。それが意外となさげなんですね。見慣れぬかたちのものがあればそれなりにエキゾチックに感じるのだろうに、そういう感覚になったことはない。また、同じエリアなら作った鉄工所が同じとか師匠筋の影響があるとかで望楼部のデザインなんかも似たものが多いとかいうような傾向が出るんじゃないかと思っていたんですけど、けっこうまんべんなく散っている。これはどういうことなんだろう。三重や瀬戸内で見慣れた火の見櫓にであったときは、なんかちょっと肩透かしをくらったような気がしてきてしまいましたよ。
まあ、すでに「それぞれの火の見櫓が立てられた経緯」なんて調べようがないわけで歴史の彼方なんだろうとは思うわけですが、ちょっと気になっています。
さてこの火の見櫓。「いまどき実用性はないだろう」と思っていたんですけど、知り合いの消防団のやつに聞いたところ、まあ確かに火の見としては実用性はなくなっているにせよ「ホース干し」という重要な役割が残されている、のだそうです。確かにまあ、出動したらホースは干さないとまずいわなあ。というわけだから、消防団が現役のところではまだそこそこ見かけることができます。
とはいえ、新規に作られることはないわけだから、徐々に減少はしてしまうわけですね。老朽化のほか、最近だと「ガキんちょが登ったら危険」とかいうような話もあるんだろうなあ。微妙に憂鬱だけどなあ。ホース干しなら別に櫓でなくてもいいわけで、最近になってコンクリート製の電柱をおったてて滑車をとりつけたものとかに代替されたものもいくつか思い当たります。
個人的な感覚にすぎませんが、おれの感覚では火の見櫓ってのは「原風景の重要な小道具」って位置づけだったりします。これまで生き残ったものは、これからも大事にしてあげてもらえるとうれしい、なんて思います。
地方の消防署や消防団詰所には面白いものがいろいろあると聞いてはいるのですが、いまのところそういうのを見て回る余裕がないのですなあ。まあそういうのはそのうちにということで。生きてる間にゃ無理かしらんけどさ。
<火の見櫓> 茨城県つくば市大砂付近(たぶん)
見かけたらなんとなく撮影しておいたものですが、なんだかんだ50本くらい。おれの主たる活動範囲が関東地方北部なんで、やっぱ関東地方のものが多い。遠隔地に行ったときとかは、どうしても主目的のものを回るだけでせいいっぱいということになりがちなもので。
ヴァリエーションなんですけどね。三本足や四本足とか、望楼部のデザインとか、まあそれなりにヴァリエーションはあります。望楼部の屋根のかたちにしても四角形とか六角形とか八角形とか鉄板の打ち出しと思われる円形とか。
が、調べ始める前は、こういうものは地元の鉄工所とかが作ったのだろうからもうちょっと地域的なトレンドとかがあるんじゃないかと思っていました。それが意外となさげなんですね。見慣れぬかたちのものがあればそれなりにエキゾチックに感じるのだろうに、そういう感覚になったことはない。また、同じエリアなら作った鉄工所が同じとか師匠筋の影響があるとかで望楼部のデザインなんかも似たものが多いとかいうような傾向が出るんじゃないかと思っていたんですけど、けっこうまんべんなく散っている。これはどういうことなんだろう。三重や瀬戸内で見慣れた火の見櫓にであったときは、なんかちょっと肩透かしをくらったような気がしてきてしまいましたよ。
まあ、すでに「それぞれの火の見櫓が立てられた経緯」なんて調べようがないわけで歴史の彼方なんだろうとは思うわけですが、ちょっと気になっています。
さてこの火の見櫓。「いまどき実用性はないだろう」と思っていたんですけど、知り合いの消防団のやつに聞いたところ、まあ確かに火の見としては実用性はなくなっているにせよ「ホース干し」という重要な役割が残されている、のだそうです。確かにまあ、出動したらホースは干さないとまずいわなあ。というわけだから、消防団が現役のところではまだそこそこ見かけることができます。
とはいえ、新規に作られることはないわけだから、徐々に減少はしてしまうわけですね。老朽化のほか、最近だと「ガキんちょが登ったら危険」とかいうような話もあるんだろうなあ。微妙に憂鬱だけどなあ。ホース干しなら別に櫓でなくてもいいわけで、最近になってコンクリート製の電柱をおったてて滑車をとりつけたものとかに代替されたものもいくつか思い当たります。
個人的な感覚にすぎませんが、おれの感覚では火の見櫓ってのは「原風景の重要な小道具」って位置づけだったりします。これまで生き残ったものは、これからも大事にしてあげてもらえるとうれしい、なんて思います。
地方の消防署や消防団詰所には面白いものがいろいろあると聞いてはいるのですが、いまのところそういうのを見て回る余裕がないのですなあ。まあそういうのはそのうちにということで。生きてる間にゃ無理かしらんけどさ。
<火の見櫓> 茨城県つくば市大砂付近(たぶん)
Posted by 猫が好き♪ at 00:05│Comments(8)│TrackBack(1)
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東大の西村教授が絶賛した、見付の火の見櫓。 しゃれたデザインの屋根に風格がある。
見付の火の見櫓【曉遊(ぎょゆう)】at 2006年03月17日 01:06
この記事へのコメント
はじめまして、TBありがとうございます。
池上鉄工と申します。
わたくしは、仕事で消防署関係、営繕工事なんかをやってますが
その一環として、火の見やぐらなんかを修繕したりしてます。
確かに、どこの火の見やぐらは古いものばかりです。
わたくしは、鉄工所をやってますが・・
結構昔の構造物をいじくることがありますが、旧国鉄なんかや、火の見やぐら
なんかの構造物は非常に、昔を感じるには勉強になります。
リベット止めなどは、いまやそれを出来る職人さんはもうかなり高齢となり
出来る人もいないでしょう。(できるんであれば、80代)
池上鉄工と申します。
わたくしは、仕事で消防署関係、営繕工事なんかをやってますが
その一環として、火の見やぐらなんかを修繕したりしてます。
確かに、どこの火の見やぐらは古いものばかりです。
わたくしは、鉄工所をやってますが・・
結構昔の構造物をいじくることがありますが、旧国鉄なんかや、火の見やぐら
なんかの構造物は非常に、昔を感じるには勉強になります。
リベット止めなどは、いまやそれを出来る職人さんはもうかなり高齢となり
出来る人もいないでしょう。(できるんであれば、80代)
Posted by you1 at 2006年03月16日 10:47
you1さんいらっしゃいませ。
火の見櫓に関するサイトを検索していろいろ見てたら、池上鉄工さんのサイトにぶちあたり、火の見櫓のメンテナンスの話が載っていたもので、思わず・・・。
あまりヴァリエーションがないなんて書きましたが、時代によるヴァリエーションはありますね。リベット止めで鉄棒でトラスを組んであるわりと古いやつとか、溶接構造になっているわりと新しいやつとか(んでもっと新しくなるとコンクリート柱をおったてるだけになる)。火の見櫓というと、やはり溶接構造以前のやつの方が風情があるなあ、なんて外野は無責任に思うのでありました。でもそうなんですか、古いやつはもう簡単にレプリカを作るわけにもいかなくなっちゃっているのですねえ(ためいき)。
火の見櫓に関するサイトを検索していろいろ見てたら、池上鉄工さんのサイトにぶちあたり、火の見櫓のメンテナンスの話が載っていたもので、思わず・・・。
あまりヴァリエーションがないなんて書きましたが、時代によるヴァリエーションはありますね。リベット止めで鉄棒でトラスを組んであるわりと古いやつとか、溶接構造になっているわりと新しいやつとか(んでもっと新しくなるとコンクリート柱をおったてるだけになる)。火の見櫓というと、やはり溶接構造以前のやつの方が風情があるなあ、なんて外野は無責任に思うのでありました。でもそうなんですか、古いやつはもう簡単にレプリカを作るわけにもいかなくなっちゃっているのですねえ(ためいき)。
Posted by 猫が好き♪ at 2006年03月16日 18:42
はじめまして。
トラックバックありがとうございました。
まちづくり専門の東大の西村教授がわが町を訪れた時、
「見付には素晴らしい火の見櫓がある」と感心されておられました。
消防団を経験していながら、それまで、火の見櫓のデザインなどには無関心だった私ですが、これを切っ掛けに写真に収めて記事に上げてみました。
他所のホームページを見ても、色々な形の火の見櫓がありますね。
どこも同じだとずっと思っておりましたが、新しい発見をしました。
トラックバックありがとうございました。
まちづくり専門の東大の西村教授がわが町を訪れた時、
「見付には素晴らしい火の見櫓がある」と感心されておられました。
消防団を経験していながら、それまで、火の見櫓のデザインなどには無関心だった私ですが、これを切っ掛けに写真に収めて記事に上げてみました。
他所のホームページを見ても、色々な形の火の見櫓がありますね。
どこも同じだとずっと思っておりましたが、新しい発見をしました。
Posted by ぎょゆう at 2006年03月17日 01:05
ぎょゆうさんいらっしゃいませ。
ぎょゆうさんのところのページにあった火の見櫓は、帽子のところのデザインが独特で、気になっていました。ある意味「町の顔」としての気合いがはいっているものなのでしょうね。
一度桶ケ谷沼の取材で伺ったことはあるのですが、そのときはずーっと沼にいて町並みを眺める時間がありませんでした。いつか街道筋や集落もじっくり見に行きたいと思っています(が、いつになることやら)。
ぎょゆうさんのところのページにあった火の見櫓は、帽子のところのデザインが独特で、気になっていました。ある意味「町の顔」としての気合いがはいっているものなのでしょうね。
一度桶ケ谷沼の取材で伺ったことはあるのですが、そのときはずーっと沼にいて町並みを眺める時間がありませんでした。いつか街道筋や集落もじっくり見に行きたいと思っています(が、いつになることやら)。
Posted by 猫が好き♪ at 2006年03月17日 02:43
トラックバックありがとうございます。
お写真を拝見しましたが、ものすごい数でらっしゃいますね。今後、増えることのない火の見櫓ですので、これはまちがいなく財産でしょうね。
我が家の近所にも昔はあちこちにあったように記憶しているのですが、もうどこにもなくなってしまいました。少し寂しい気がします。
お写真を拝見しましたが、ものすごい数でらっしゃいますね。今後、増えることのない火の見櫓ですので、これはまちがいなく財産でしょうね。
我が家の近所にも昔はあちこちにあったように記憶しているのですが、もうどこにもなくなってしまいました。少し寂しい気がします。
Posted by Toba at 2006年03月18日 10:31
Tobaさんいらっしゃいませ。Tobaさんのblogにあったものは2件とも消防署の望楼でしたね。火の見櫓だけじゃなくて消防署に望楼が作りつけられるというのも、珍しくなってきてしまいました。東消防署のやつ、系列としてはモダニズムなんでしょうか、あまり見かけないタイプのようでもあり、興味深く見せていただきました。
望楼に昇るというのは、今でもけっこうあこがれるんですよねえ。火の見櫓見かけると登りたくなりますもん。問題になると厄介だから我慢してますけど(=^_^;=)。
望楼に昇るというのは、今でもけっこうあこがれるんですよねえ。火の見櫓見かけると登りたくなりますもん。問題になると厄介だから我慢してますけど(=^_^;=)。
Posted by 猫が好き♪ at 2006年03月18日 12:49
TBありがとうございました。
ブログ拝見しました。鉄道や駅前の風景は時代の象徴ですね!私はぽっぽや(今ではぽっぽやなんて呼ぶ人少なくなりましたが・・!)で現役の乗務員です(車掌)。非番の時なんかはふらりと街の周辺を散歩しています。そんなときに撮った火の見やぐらなんです。近年、高層化が進み火の見やぐらの存在すら忘れられてるようでちょっと寂しい気がします。
ブログ拝見しました。鉄道や駅前の風景は時代の象徴ですね!私はぽっぽや(今ではぽっぽやなんて呼ぶ人少なくなりましたが・・!)で現役の乗務員です(車掌)。非番の時なんかはふらりと街の周辺を散歩しています。そんなときに撮った火の見やぐらなんです。近年、高層化が進み火の見やぐらの存在すら忘れられてるようでちょっと寂しい気がします。
Posted by かっちゃん at 2006年03月20日 22:30
かっちゃんさんいらっしゃいませ。
以前に撮影した火の見櫓を思い出して再訪してみることもときどきあるんですが、激減というほどではないにせよ、やっぱりときどきなくなっちゃっているケースがあるんですよねえ。
撤去の現場に出くわしたことはないのですが、撤去するときってどういう感じなんだろうなあ。火の見櫓のあるなしでずいぶん風景の時代が違って見えるような気がしてなりません(まあ、火の見櫓を残せばいいというものでもないのですが)。
で、ぽっぽやさんでいらっしゃいますか。いつもお世話になっております(ぺこり)。
以前に撮影した火の見櫓を思い出して再訪してみることもときどきあるんですが、激減というほどではないにせよ、やっぱりときどきなくなっちゃっているケースがあるんですよねえ。
撤去の現場に出くわしたことはないのですが、撤去するときってどういう感じなんだろうなあ。火の見櫓のあるなしでずいぶん風景の時代が違って見えるような気がしてなりません(まあ、火の見櫓を残せばいいというものでもないのですが)。
で、ぽっぽやさんでいらっしゃいますか。いつもお世話になっております(ぺこり)。
Posted by 猫が好き♪ at 2006年03月20日 23:16
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