2010年02月20日

古典的な映画館とか演芸場とか

 昨日でしたっけ、『ナニコレ珍百景』で愛知県西尾市の「西尾劇場」という映画館が紹介されていました。ざっと調べた範囲では「港町キネマ通りのページ」あたりがわかりやすくていいかな。オフィシャルサイトはないっぽい。
 この映画館は、今ではこう映画館としてはあんまし機能していないよううなんですが、しかし営業は継続中とのことで、「現役」ってのがすごいなあと思ったのでした。西尾市かあ、ちょっと西尾劇場だけを目的に行くにはしんどい場所なんですけど。

 で、すでに訪問した類似物件がいくつかあり、まだ行っていないのだが最近もひとつ発見したりしてるもんですから、まとめておこうかと。
 やや乱暴かとは思うんですが、基本線としてここらへんは公的建築物に放り込んであります。


本宮映画 @ 福島県本宮町> [direct]

 奥州街道の宿場町であった本宮にある建築物。確認は2006年。
 建築年代は、少なくともWebで調べた限りではわからなかったんですが、1919年に撮影された写真には写っていましたので、それ以前です(とか言いつついま改めて検索してみたら「1914年開館」という情報が出てきた)。当初は「本宮座」であり、映画館専業ではなくて回り舞台などの設備も存在していたとのことです。正面はシンメトリーな三階建ての堂々たる看板建築です。
 訪問時にはすでに全く使われていないようであり、規模が大きいことや老朽化が激しいであろうことを考えると、あまり行く末が明るい感じではありませんでした。が、2009年頃からは、ふたたび不定期ながらイベントなどに使われるようになっているとのこと。
 なんとかうまく末永く活用してはもらえないもんかなぁ、と思います。


朝日座 @ 福島県南相馬市原町区> [direct]

 磐城街道の宿場町であった原ノ町にある建築物。確認は2006年。
 1923年の建築で、当初は「旭座」を名乗っていたそうです。建築当初は芝居小屋・映画館を兼ねた催事場であり、エンターティンメントだけじゃなくて町の集会にまで使われていたとのこと。まあ、こういう施設ってある程度の公的性を帯びるものですからね。芝居小屋を兼ねていたわけで、回り舞台や奈落などの舞台施設も充実。
 映画常設館としては退役してしまいましたが、その後も断続的にっていうか、年に数回はいろいろなイベントに使われているとのことです。


昭和館 @ 茨城県笠間市> [direct]

 笠間稲荷の門前町に建つ建築物。確認は2007年。
 建築年代は不明です。「昭和館」という名前が当初からのものであれば1926年以降のはずなんですが。今改めて調べてみたところ「2001年には電話番号の登録があった」というものすごい情報がみつかりましたが、営業してたんでしょーか(=^_^;=)。
 2007年段階で正面の看板建築部分は崩落しかけており、どう考えても現役建築物ではないんじゃないかと思うのですが。
 この場所、笠間人車軌道(1915-1930年)の笠間稲荷側終点があったあたりと思われ、それなりに繁華街ではなかったかと思います。昭和館の右下には「昭和館食堂」の看板が出ており、それもそこそこそそられたりします。いいよなー。

 おまけ。

 みつけはしたんだけどまだ訪問していないのが、群馬県みどり市の「ながめ余興場」です。1937年建築の劇場建築で、みどり市指定重要文化財になっています。基本線としては映画館ではなく芝居小屋のようですが、もろもろあって旧大間々町に寄贈され、気合いのはいったリストアが行われた結果「古い建物っぽい感じ」は失われつつ(=^_^;=)、みどり市の文化会館的施設としてコキ使われているようです。これはこれで美しい流れだなあ。
 わたらせ渓谷鉄道の大間々駅から歩いても10分くらいみたいなんで、次にわた渓にいくときにでも見てこようかと思ってます。

  *

 微妙に位置づけが違うやつもいくつか。若柳公会堂のみ写真を掲載。


若林公会堂 @ 宮城県栗原市若柳町> [direct]

 1928年に若柳公会堂として建てられた大規模な看板建築。その後しばらく映画館に転用されていた時期があるそうです。1970年代中期から、広い空間を生かしてのことなのでしょう、自動車整備工場として使われているとのことです。
 当初は公的施設として建てられたものであり、上3館とは由来が異なりますが、堂々たる建物ではあります。

公正市民館 @ 千葉県銚子市
興風会館 @ 千葉県野田市

 この2件はまとめて紹介しないとつまんないのです。
 公正市民館はヤマサ醤油のの創立者・濱口儀兵衛が設立した財団法人「公正会」の建物で1925年の建築。1948年に銚子市に寄贈され、その後も現役で使われています。
 興風会館はキッコーマンが設立した財団法人「興風会」の建物で1929年の建築。きっちり現役の建築物で、文化庁登録有形文化財になっています。隣にはキッコーマンの本社があったりなんかして。
 千葉の醤油業者が覇を競って建てた公的建築物であり、かーなり距離は離れているのですが、2つを並べてみるとけっこう風情があったりしますね。ある意味、欧米的な「社会奉仕」みたいな思想がある程度は日本にも根付いていたのだなあ、なんてしみじみしちゃったりするわけすよ。しかし両方とも醤油業者・食品業者ってのがつらいよなあ。これを理由として贔屓をするとなると正面衝突しちゃいますんで。

 他にも、すでに現役を退いたっぽい茨城県筑西市下館の<下館シネマ1>とか、埼玉県川越市の<鶴川座>・<スカラ座>とか、なんとかまあ現役映画館であるところの茨城県鉾田市は<宝来多座>とか、いろいろございます。

 劇場や映画館ってのも、そこそこ見ていて楽しいよなあ。うんうん。

 最後に一発、すんげえ気が重いっていうか、なんていうか、そういうのも付け加えておきます。こんな不愉快なネタで閉めるのって構成ミスかもしれませんが。

歌舞伎座 @ 東京都中央区銀座

 1924年の鉄筋コンクリート建築。
 いやあ。場所が場所だけに、高層ビルにしちゃった方が儲かるってことは理解しますよ。しかし一度は立候補して文化庁登録有形文化財にした建物なわけでしょう、全力で守らんかいっ。というか、全力で守る気もないくせによくもまあ文化財登録をしたな(えーとですね、登録有形文化財というのは、国宝とか重文とかとは異なり、基本線として所有者の同意がないと登録できないものなんです。また、所有者の意思によって簡単に解除できるものでもあるんです)。
 歌舞伎座は松竹の持ち物らしいんですが、そんな程度のあやふやな感覚で「文化」を弄んで欲しくはないですねえ。おれはこれまでにも一度も歌舞伎を見たことはないが、たぶん今後も一生歌舞伎を見ることはないだろうとか思ってます。日舞とかはときどき見に行くことがあるんですが、そのおれにここまで激越な反感を抱かせたことについて、松竹の関係者は反省しろな(いやあ、おれが怒ったくらいでは反省する必要もないだろうとは思うわけですけれども。まあ「文化なんかどうでもよく商売のネタくらいにしか考えていないやつらがやっていること」という判断は間違いではないんじゃないんだろうか)。

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この記事へのコメント
こんにちは。
急に温かくなりました。
昔の映画館や銭湯ってモダンな造りの建築が多いですね。おしゃれで凝っていて・・。
それだけ日本人に余裕があったのでしょうか。
去年、舞鶴を歩いていて銀行?のモダンな建物を写しました。地方に行くとまだ残っていて嬉しいですね!
Posted by 中山 at 2010年02月25日 18:13
 中山さんどうもです。
 古い映画館って、映画の興行形態が変わってシネマコンプレックスに急激に変化しつつあるので、けっこう危うい感じがするんですよね。廃墟として残られてもなんだかなぁなわけで、うまく使い方を転換しつつ残していけないかということを考えるべき時期に来ているのかもしれません。なまじ大規模建築であるだけにむずかしいっていうかなんていうか。本宮映画がまた使われ始めたっていうのはうれしい話でした。
 また、そういう活用保存という意味では、群馬県みどり市の「ながめ余興場」はちょっと興味があって、近々に行ってみようかとか思っています。
Posted by 猫が好き♪ at 2010年02月26日 23:45
 
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