<前回>
ノール谷とスワイン庄を行き来してきたエスキル。このたび思い立って新しい交易路を旅することにした。どんな町が待っているのかな。
スワインハムの街路はとてもやかましい。
この町はいつでも豚がひしめきあっている。
「すいません、ここ通らせてください」
「どうぞどうぞ」
肉屋の2階から森を見晴るかすバルコニーに出て……
ようやくギルドホールへ。
おや、若い娘さんがいる。
おや、若い娘さんがいる。
「お邪魔します。ノール谷のエスキルという者ですが、組合長さんはいらっしゃいますか」
「わたしが組合長のレリアです」
これは驚いた。
「東の海に出かけようと思うのですが、なにか適当な仕事はありませんか」
「ちょうどよかった。ゴースハウンへラピスラズリを運んでもらう人を探していたんです。報酬のエメラルドは現地渡しですが、紙と毛皮を少々、前払いとしてつけましょう。お願いできますか」
「はい、お引き受けいたします。ところでゴースハウンってどこですか」
そう聞き返すと笑われてしまった。よほどの田舎者と思われたのだろうか。ゴースハウンについては宿屋「愉快な豚亭」で聞くことにしよう……。
「あっはっはっは」
宿屋のおばさんにも笑われてしまった。
「まずはファーンヘイヴンまで行くといいよ。そこでゴースハウン行きの船をつかまえて乗るんだ。あんたほんとうによそへ行ったことがないんだねえ」
わたしはぶすっとして言った。
「旅商人とはそういうものです。決まったルートを行き来して小銭をかせぐんです」
「まあ、あたらしいルートが開拓できるかもしれないよ。本屋の親父がゴースハウンの出身だから話を聞くといいよ。」
夕食をすませ、スワインハムの街路にくりだした。
本屋の親父さんはいるかな……?
本屋の親父さんはいるかな……?
いたいた。
「ゴースハウンについて聞きたい? あそこは都会だよ。ここみたいに領主がいるわけじゃなくて、学院が町を支配してる」
「学者先生が多いんですか」
「そうだね。だから本もたくさん売ってるし、エンチャントがさかんだからラピスラズリの需要もあるねえ」
「それは耳寄りな情報を聞きました」
わたしの仕事については黙っておいた。
これは運賃も高くはずんでくれそうだ。
これは運賃も高くはずんでくれそうだ。
さて明朝。
荷物もあるので、ファーンヘイヴンまでは馬を借りることにした。
さらば、スワインハム。
延々とつづく街道。
おや? あれは……
<ファーンヘイヴン> 人口6
密林のそばにある小さな港。ゴース海航路の出発点。
まずは宿屋を訪ねよう。
「こんにちは。ゴースハウンに行く便はありますか」
雑談していた宿屋のおかみさん、ぎろりとこちらをにらむとこう言った。
「ないね。だがヴェーレスンまでいく便はある」
これは困った。今度はヴェーレスンときた。いったいどこなんだ。
困り果てていると、通りがかった肉屋の兄さんが教えてくれた。
「ヴェーレスン? 同じ島にゴースハウンの町もある。とにかく船に乗ればなんとかなるだろうさ」
「ありがとうございます」
本当になんとかなるんだろうな……?
ファーンヘイヴンを散策する。
この港は密林のすぐそばにある。ジャングルウッドがここの産物だ。
ジャングルウッドを満載して沈みそうになっている船がある。
あれに乗るのか。心配だ。
あれに乗るのか。心配だ。
誰かいませんか。
誰もいない。
船が出るのは明日らしい。
ひまなので釣りをして時間をつぶす。
ひまなので釣りをして時間をつぶす。
教会の塔にも登ってみる。航路の出発点にしてはちいさな町だ。
今日はよく動いた。
ぐっすり眠ることができるだろう。
ぐっすり眠ることができるだろう。
<メモ>
東の海へ進出することになりました。
ゴース海航路の建設はほぼ終了していますが、手直ししたいところもあるのでエスキルにはちょこちょこ働いてもらうことになりそうです。
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