たら本27大変長らくお待たせしました。たら本です。
大盛況でした第26回『本に登場する魅惑の人々』を主催されたワルツさんが、たらいをイタリアまで飛ばしてくださいました。素晴らしい腕力!さすが、毎晩腕立て伏せを100回こなされている二の腕美人です。イタリアに住み17年、すっかり和書から遠ざかっている私にこんな大役がつとまるか不安ですが、よろしくお願いいたします<(_ _)>。

今回初めての方へ。たらいまわし本のTB企画(たら本)は2004年8月6日に始まった楽しい企画です。記念すべき第1回はこちら。もちろんoverQさんの主催。overQさん、遅ればせながら2周年おめでとうございますヽ(^o^)丿。
これまでのお題一覧は、たら本データベースを参照になさってください。Izumiさん、いつもご苦労様です。

さて、本の企画なのに映画の引用で恐縮ですが、「ブレードランナー」では雨のシーンが印象的でした。近未来はいつも雨模様みたい。「ウォーターワールド」は、地面がすべて海で覆われた世界に生きる人々が唯一の陸を探す話でした。
いま地球は徐々に温暖化しているとか。両極の永久氷河が溶け、水位上昇、海岸侵食、海の温度上昇、それにともない環境も変化。人間の生産活動に起因するとも、長いスパンで見ると周期として当然の現象とも言われていますが、いずれにせよ水の地球は将来ますます水に溢れることになりそう。

初めての生命は水から産まれ、生き物は水なしに生き延びれない。でも、同時に水の大きな塊は不安にさせる存在でもある。常に流動する水の中で通常のバランス感覚を保つのは難しい(河童や魚は別ですが)。そこには陸とは違う別世界がある、と思ったりするわけです。
そこで、海、川、湖、運河、雨、洪水、台風(結局何でもあり)など、水のある場所「ウォーター・ワールド」を印象的に描いた本を教えていただけたら、とこんなお題にしてみました。
ヴェニスに死すヴェニスに死す トオマス・マン(著)
ヴェニス(ヴェネツィア)は、いずれ海中に沈むという説があります。冬季の床上浸水現象(アックア・アルタ)は、ここ数年回数が増えたそうです。これを食い止めるため潟に可動式防波壁を建設中。退廃的なイメージを持つ水の都と最新テクノロジーの組み合わせは、どうもピンときません。防波壁により潟の生態系が破壊されるのを危惧する声も気になるけれど、そんなことよりヴェネツィアは水に呑み込まれるのが宿命ではないか。そんな最後がとてもよく似合う。現地民や数々の文化遺産を考慮してませんが(^^ゞ。マンの小説で美少年を生涯最後の印象として選んだ教授も、ヴェネツィアの水と退廃美に毒されたのかもしれない…。


白鯨・上 白鯨・中 白鯨・下白鯨 上 ハーマン・メルヴィル(著)
あらすじは知っていたものの、つい数年前に完全版を読みました。白鯨モービーディックと船長との壮絶な戦いで、なぜか鯨に同情を感じなかったのは、ほぼ互角にあるように描かれていたからでしょうか。船長はまるで海の生き物。本当に狂気に駆られていたのだろうか。私には、むしろ揺れ動く海上で、陸では得られない自由をむさぼるひとりの孤独な人間のように見えたのでした。


Il mondo alla fine del mondoIl mondo alla fine del mondo(イタリア語版/IBS) Luis Sepulveda ルイス・セプルヴェダ(著)
『本に登場する魅惑の人々』でラブ・ストーリーを読む老人を挙げましたが、同じ著者の小説。白鯨↑の時代から100年を経た世では、鯨油に代わり石油のため争いが起こり、欧米で鯨を守ろう運動が盛んになっている。日本の捕鯨船Nisshin-Maruを追い海を駆け回るチリ人ジャーナリストの冒険譚(著者の体験に基づいてるようですが、フィクション仕立て)。捕鯨賛成、反対に関わりなく、小説として傑作なんです!
ただですね、内容がこんなのだからか日本語版はないみたい。これって、たら本反則?(^_^;)。タイトルは直訳すると『世界の果ての世界』。短めですのでイタリア語、スペイン語、フランス語が読める方は是非!
・スペイン語版:Mundo del Fin del Mundo(Amazon.com)
・フランス語版:Le monde du bout du monde(Amazon.fr)
願わくば日本語訳も出してほしいという理由で紹介させていただきました。出版関係の方、ご覧でしたらご一考願います。


小さきものたちの神小さきものたちの神 アルンダティ・ロイ(著)
以前にも挙げましたがもう一度。「こんな時代に小説など書いてられない」と、今は社会活動に専念するインドの作家ロイの唯一の小説。南インド、ケララ地方が舞台。南インドは比較的自然が豊からしいのですが、舞台となる村は特に濃い空気が漂っています。双子の姉弟とともに、主人公はそこを流れる川。いろいろな秘密をはらんでいるのです…。



オデュッセイア・上 オデュッセイア・下オデュッセイア 上 ホメロス(著)
これは今から読みたい本。四季さんが「イリアス」を読んでらっしゃいます。その続編のようなもので、オデュッセウスがトロイ戦争を終え故郷イタケに戻るまでの果てしなく長〜い航海のお話。
当時の地中海に思いを馳せることができるだろうか。


次回は、かっこいいサックスプレーヤーきみ駒さんにたらいを回したいと思います。お忙しそうだけど大丈夫かな。よろしければ、お願いします〜。
〔追記〕きみ駒さん、お引越しされました。新しい住所はこちらです!!