授業

2013年07月23日

Academic obligations

同年代の同業者の皆さんに比べれば、acadmic obligations的なことはこれまでそれほど果たしてこなかったように思う。(だからといって「もっとやりたい」という訳ではないので、「あいつにやらせたろ」という気は起こさないでいただきたい。)でも最近になってちょっとやるようになったとアピールしておきたいというのが今回の趣旨。

幸い今のところ時間的な余裕があるので、忙しくなる前に義務を果たしておきたいなんてことを(少しだけ)思っていたら、最近立て続けにそういった話が飛び込んできた。断る理由をあれこれ考えたりしたが、義務感にかられて、来たものは全部(といってもそんなに多くないが)承諾することにした。

まずは、海外の出版社からbook manuscriptの査読の依頼。承諾した後に送られてきた原稿を確認したら、ページ数の多さに唖然とした。これを月末までにやらないといけない。それから某海外ジャーナルから依頼された論文の査読。同ジャーナルの編集委員をやっている友人に頼まれたので、これも承諾。これが来月中旬に締め切り。

これまで自分のmanuscriptを何人もの研究者に査読してもらったので、こうした義務を果たすのは当然のことではあるが、それは当然タテマエで、本音は非常に面倒くさい。だが実際査読をやると、私の原稿を査読してくれた人達も面倒くさいと思いつつちゃんとやってくれたんだなと少し感謝の気持ちが芽生える。査読者のコメントに毒づくのは止めようとちょっと思った。

そして先日の参院選の後に海外メディアから電話インタビュー。いつか会った時にビールおごるからという言葉を信じつつ、いつも奉仕の精神でやっている。

最後に、日本政治経済関連の海外ジャーナルを新しく立ち上げる計画があるとかで、編集委員に加わって欲しいとの依頼を受けた。私の師匠が推薦してくれたので、私に話が来たらしい。面白そうだと思いつつ、他にどんな人がいるのか編集委員(承諾済み)の顔ぶれを見たらビッグ・ネームが並んでいて驚いた。こんな人達と一緒に名を連ねてよいのかと気後れしたが、日本にいる日本人研究者は今のところ他にいないようなので、私が入る意味もあるのかもしれないと思い、ありがたくお受けした。一番ペーペーなので、面倒くさい仕事がたくさん回ってきそうな気もするが、編集委員をやるのは初めてなのでかなり楽しみな部分もある。今まで主に査読を受ける側に立っていたが、ジャーナルの編集に携わると論文の書き方や投稿の仕方などにも参考になることがいろいろあるかなと思う。



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2012年06月25日

受け入れ業務

先週、私が担当している交換留学プログラムで、アメリカ人学生が来日した。これから2週間滞在する予定。昨年度までは、10日間の予定だったが、人数も15名から18名に増え、滞在期間も少し伸びた。2月に本学の学生が訪問した時に受け入れてくれた学生が中心なので、今回うちの学生と再会して非常に喜んでいた。

先週末は、うちの学生によるプレゼンを行い、 翌日には大阪のNGOを訪問して環境問題に関する話を聞いてきた。今日はゲスト・スピーカーによる講義、明日は在日米軍基地を訪問する予定。来週はある程度自律的に行動してくれる予定なので、少しは楽になりそうだが、今週いっぱいは息をつく暇もなさそうだ。

こうしたイベントを準備するだけでもかなり大変だったが、引率するのはもっと大変。学生たちが楽しそうに交流しているのを見ているとやりがいのある仕事だという気持ちもあるが、彼らへの対応と同時に正規の授業もこなさないといけないので、正直疲れる。

滞在中に不測の事態が起きる可能性もあるし、彼らが無事帰国するまでは気が休まることはなさそうだ。

 


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2012年05月30日

A new attempt

明日から学期の後半に集中して開講される授業がスタートする。本年度から始まった新しい取り組みなのだが、留学生と留学から帰ってきた日本人学生を対象にしたクラスだ。1年間アメリカなどの大学に留学すると、大体5月半ば辺りに帰国してくることになる。そうした学生は帰国しても後期まで授業を取れない状況になってしまうので、その受け皿となるクラスが必要だということで、数年前から後半集中のクラスを開講すべきという議論がされていたのだが、本年度からようやく試験的に開講されることになった。

東大が9月入学をやるくらいの時代なので、それくらいの柔軟性は必要だと思うのだが、実現までにはかなり事務的な調整が必要だったようだ。 本年度は私のクラスを含めて3つだけだが、今後増えていくことを期待している。

ところで、当該授業の開講学期が「2Q」と表示されていたので「なんだこれは?」と思ったが、恐らく「Second quarter」のことらしい。前・後期は「semester」表記されているので、それを半分に割ったものは「quarter」扱いされているようだ。8週間・週2コマ(最後の週は1コマだけ)の授業なので、quarterよりは少し期間が短いが、まあ悪くない表記方法だと思う。

明日から授業がスタートということで、木曜日に2コマ授業が増える。これまで木曜日は授業がなかったので文句は言えないのだが、いきなり2コマ増えるとつらい。5・6限目に2コマ連続の講義に、学生がどう反応するのかちょっと不安もあるが、頑張ってついてきてくれることを願っている。

 


neo527 at 22:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2011年05月20日

So, who won the case?

国際政治経済の授業で、先日WTOのことについて講義をした際に、WTOの紛争解決機関の扱ったケースの例としてボーイングとエアバスの補助金問題で、2009年にボーイングを支持する判断を下したことを取り上げた。ちょうど昨日、その件について二審にあたる上級委員会の報告書が発表されたとの報道が出たので、今日その件について再びクラスで話をした。

私が参考にした時事通信の記事の見出しは、「エアバス問題、主要論点でEU支持=米有利の判断覆す−WTO」で、小委員会でのEU有利の判断が覆されたという報道内容だったので、その通りにクラスで紹介した。

クラスが終わった後に、一人の学生が「日経の記事ではアメリカが勝訴した」と書いてましたよ、と教えてくれた。非常に優秀で勉強熱心な学生で、こうした内容の報道にもきちんと目を通していたようだ。こういう学生がいると授業にも張り合いが出る。しかし、まさか会社によって報道内容がそんなにも違うとは思ってもいなかったので、日経の記事には目を通していなかったが、うかつだった。

さっそく日経の記事を調べてみると、「WTO、EUのエアバス支援「協定違反」 米勝訴で決着 」と、時事通信とは正反対の報道がされている。記事を読んでみると、一部EUの主張が認められたものの、「専門家や日本を含めた関係国は『全体として見れば米国の勝訴は揺るがない』と見ている」ということで、米勝訴ということらしい。

じゃあ、海外ではどう報道されているのかと調べてみると、ウォールストリートジャーナルは、「WTO Gives Airbus a Mixed Win: Trade Group Undercuts Past Decision Finding Improper Subsidies; 'Big Win' for EU」ということで、どちらかというと時事通信と同じくEU有利的な報道。

しかしボーイング社は、勝訴と認識していると発表しているらしい。「Airbus, Boeing claim victory in WTO ruling」と報道しているところもある。12ラウンド戦い終わったボクサーが、両者とも両手を挙げて勝利をアピールしているようなもんか。「WTO appeals panel partly overturns Airbus ruling」としているところもある、これだと米有利ぽく聞こえる、あくまで「partly」だが。

いくつかの報道を読んでみると、EUの主張が認められた点もあれば、米の主張が認められた点もあり、痛み分けのような結果だったようだが、結局どちらに有利な判決だったかというと、海外の報道では、EU有利だったと評価しているところの方が多いように思える。日経は「米勝訴」と断言しているが、大丈夫なのか?



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2011年04月12日

Life must go on...

震災発生から1ヶ月。だが被災地や余震や原発の状況を考えると、震災はまだ現在進行中のようなものだ。

それでも先週からうちの大学では新学期が始まった。私が担当している留学生向けのクラスでは、学生がほとんどいないんじゃないかと危惧していた。先学期教えた留学生の中には、帰国したものもいると聞いていたし、他の先生によると日本留学を延期したり、中止した学生もいたという。最近京都の外国人旅行者もめっきり減ってしまったし、こりゃ寂しいクラスになりそうだなと思っていたが、ふたを開けてみると普段と変わらないくらいの留学生がいた。

「京都の留学生はみんないなくなったと思ってたわ」と留学生に言ってみたら、「No way!」と言われた。一時期のCNNなんかの報道をみていると、日本全土が壊滅して、放射能汚染された気分になるような状態だったので、私が彼らの立場だったらパニクっていたかもしれない。情報が混乱している中でも、冷静な判断をしている留学生も多いようだ。そんな彼らのためにも、頑張っていい授業をするのが、私の今やるべきことかもしれないなと思った。




neo527 at 00:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)