2009年11月27日
戦極 第十一陣に出た「辛拉麺」選手はやはり芸達者だった その2。

先日09年11月7日に両国国技館で行われた戦極 第十一陣に出場した
「辛拉麺」ことキム・ユンヨン選手の紹介の続きです。
その1はこちら。
08年3月のSpirit MC 15では
空位となっているSpirit MCミドル級王座をを賭けて
イム・ジェソク(Lim Jae Suk)選手と対戦。
韓国のこの階級では実質国内ナンバーワンと行って良いイム選手との対戦は
創生期から活躍をするイム選手との世代交代を賭けた試合となりました。
試合はスタンドでの牽制戦からキム(辛拉麺)選手が右ローキック。
イム選手はキックに合わせてタックルに入りテイクダウンを取り、
キム(辛拉麺)選手はフルガードを取ります。
ガードで下からのアームロックを狙うキム(辛拉麺)選手。
イム選手は許さず上から密着し、キム(辛拉麺)選手が下からコツコツとパンチを打ちます。
ガードの攻防となり、イム選手が上からパウンドを落とす展開に。
キム(辛拉麺)選手はガードでイム選手の両手首を取って
下からサブミッションを狙います。
パウンドを落とすイム選手。
レフェリーのブレイクとなり、両者スタンドに戻されます。
スタンドでの打撃戦となる両者。
イム選手のワンツーがヒットし、キム(辛拉麺)選手もパンチを返します。
組み合いとなり、差して胴をクラッチしたキム(辛拉麺)選手が
リフトして叩きつける様にテイクダウンに成功。
サイドポジションで押さえ込みます。
崩れ袈裟でキム(辛拉麺)選手が上の状態となった所で
キム(辛拉麺)選手に左目上から流血が見られドクターチェックで一時中断。
処置が行われます。
袈裟から試合が再開。
イム選手はすぐに脱出して立ち上がるも、キム(辛拉麺)選手が胴に組み付いて
コーナーまで押し込みます。
しかしコーナーを背に脇を差して胴をクラッチしたイム選手がさば折りでテイクダウン。
キム(辛拉麺)選手がガードからのアームロックを仕掛けます。
イム選手は上をキープしてアームロックを掛けさせず。
キム(辛拉麺)選手が腕を取った状態で動きが止まってブレイクとなります。
ここで再びキム(辛拉麺)選手の左目上の流血をドクターが処置。
スタンドで再開され、打撃戦に。
キム(辛拉麺)選手もローから長いリーチのパンチを繰り出すも、
イム選手のワンツーが素早くやや押し気味となります。
キム(辛拉麺)選手がパンチを潜って胴タックルに行くも
イム選手が押し潰して上を取り、キム(辛拉麺)選手はオープンガードに。
上からイム選手がパウンドで圧力を掛けます。
キム(辛拉麺)選手は下からラバーガードを取るも
イム選手が頭を抜いて防御。
パウンドを放つイム選手と、オープンガードで下から打ち返すキム(辛拉麺)選手。
レフェリーのブレイクでスタンドに戻されます。
スタンドでキム(辛拉麺)選手がロー、射程の長いストレートを放つも、
イム選手の飛び込んでの右ストレートがヒット、
パンチで詰めるイム選手に対して
キム(辛拉麺)選手がタックルで組み付き押し潰された所で
1R終了のゴングとなります。
2Rが始まるとキム(辛拉麺)選手が両足タックルに入るも
イム選手が切って両者スタンドでの差し合いに。
キム(辛拉麺)選手がリフトをしてテイクダウンを奪います。
サイドポジションを取るキム(辛拉麺)選手に対して
イム選手は回りこんで起き上がり上を取り返す事に成功。
ハーフマウントから圧力を掛けてパスを決め
マウントポジションを奪う事に成功。
上からマウントパンチを連打します。
キム(辛拉麺)選手はガードを固めて頭を振って
マウントパンチを防御。
一旦連打を止めたイム選手が左パンチでガードの隙間から
ピンポイントでパウンドを入れるとキム(辛拉麺)選手の動きが止まり、
再びのマウントパンチ連打で打たれるがままとなって
レフェリーが試合をストップ。
2R 1分35秒でキム(辛拉麺)選手はTKO負けとなっています。
参考(試合動画)
andu.hanafos.com「Spirit MC 15 'Come Back Home'第8試合 ミドル級王座戦 イム・ジェソク vs キム・ユンヨン」
08年6月にはSpirit MC 17 "All In"では
アメリカのAKAに所属し、
負けが込んでいる戦績ながら、大物からの勝利を挙げている
ランドン・ショーウォルター(Landon Showalter)選手と対戦。
試合はスタンドでのパンチの打ち合いから
両者スタンドでの差し合いの状態での膝蹴りの打ち合いに。
ショーウォルター選手がロープまで押し込むも、
脇を差しているキム(辛拉麺)選手が膝蹴りを入れながら
逆にショーウォルター選手をロープまで押し込み返します。
組んだ状態で膝を放つキム(辛拉麺)選手と、
防御しながら膝を返すショーウォルター選手。
パンチで離れてスタンドでの打ち合いに戻ります。
キム(辛拉麺)選手がワンツーで前に出て圧力。
ショーウォルター選手はガードを固めて組み付き
さば折りでてのテイクダウンに。
キム(辛拉麺)選手は倒れず、
組んだ状態での膝を入れてくるショーウォルター選手に
逆に膝の連打を返します。
膝蹴りの連打から突き放してパンチの連打を浴びせるキム(辛拉麺)選手。
ショーウォルター選手はガードを固めて組み付きに来るも
キム(辛拉麺)選手は組んでは膝、離れてはパンチ連打で攻勢を仕掛けます。
パンチ連打、右ローと攻勢を掛けるキム(辛拉麺)選手と
ガードを固めてディフェンシブとなるショーウォルター選手。
キム(辛拉麺)選手は首相撲に捕らえての組み膝を連打します。
ショーウォルター選手が離れても、すぐにクリンチしての組み膝を放つキム(辛拉麺)選手。
片足タックルでショーウォルター選手が組み付くも
キム(辛拉麺)選手は倒れずスタンドのまま上からコツコツとパンチを入れます。
しばらく左足を取っていたショーウォルター選手が足を離して
差し合いとなった所でレフェリーがブレイク。
ここでブレイク後にショーウォルター選手がパンチを入れた為、
イエローカードが提示されます。
スタンドで試合が再開。
差し合っての膝の蹴り合いで1R終了のゴングとなります。
2Rが始まるとハイキックから組みに前に出るショーウォルター選手。
キム(辛拉麺)選手は脇を差し、コーナーでの組み膝の入れ合いとなります。
一旦離れて、組み付きに前に出たショーウォルター選手をいなして崩して
ミドルキックを入れるキム(辛拉麺)選手。
胴クラッチで組んでテイクダウンを奪います。
パウンドで圧力を掛けてパスをして、サイドを奪うキム(辛拉麺)選手。
反対側の腕を取りに行くとショーウォルター選手が嫌って背を向けた半身となり
キム(辛拉麺)選手がバックマウントを奪う形となります。
パウンドを入れ、ショーウォルター選手が体を返して
マウント状態となり、キム(辛拉麺)選手がマウントパンチを連打。
ショーウォルター選手は足を効かせて一旦オープンガードに戻すも
キム(辛拉麺)選手が間髪入れずにサイドポジションに着きます。
潜るかの様に逃れるショーウォルター選手に対して
上四方からサイドに戻して押さえ込むキム(辛拉麺)選手。
立ち上がって踏みつけの後、猪木アリ状態となります。
蹴り上るショーウォルター選手に対して
丸め込んで上を取り、亀になったショーウォルター選手を
バックから足を入れ、四の字フックで仰向けに返すキム(辛拉麺)選手。
そのままバックからの腕十字の体勢に入ります。
腕をフックして防御するショーウォルター選手。
裏十字の体勢でキム(辛拉麺)選手が腕を伸ばしに掛かるも
なんとかしのいだショーウォルター選手、
キム(辛拉麺)選手はハイガードでパンチで圧力を掛けると
そのまま三角絞めの体勢に入ります。
頭をひきつけ絞めるキム(辛拉麺)選手。
ショーウォルター選手はタップしないものの、
落ちかけた姿を見てレフェリーが試合をストップ。
2R 4分13秒で一本勝ちを修めています。
参考(試合)
NATE「Spirit MC 17 "キム・ユンヨン vs ランドン・ショーウォルター"[1R]」
NATE「Spirit MC 17 "キム・ユンヨン vs ランドン・ショーウォルター"[2R]」
この後、Spirit MCの崩壊に韓国の多くの選手が直面。
韓国では数多くの団体が選手の引き抜き合いを行った過去から
選手と独占契約を結ぶことが多く、
Spirit MC崩壊で多くの選手が契約上の理由から試合ができなくなりました。
キム(辛拉麺)選手も望まないブランクを強いられる事となります。
そして09年3月にはclub DEEP Tokyoに出場。
DREAMウェルター級GPの出場権を賭けて
チームM.A.Dの白井祐矢(Shirai Yuya)選手と対戦をしています。
Spirit MCの休止で8ヶ月に渡って試合の見込みが立たなかったキム(辛拉麺)選手は
試合の20日前に急遽のオファーを受けました。
試合の出来る見込みが無かった上、メジャーへのチャンスとあって
キム(辛拉麺)選手はオファーを受諾。
84kgまで増えた体重を急ぎ減量する事となりました。
試合は白井選手がパンチで前に積極的に出る展開に。キム(辛拉麺)選手も打撃で応戦し、
下からの得意の腕十字を繰り出すなどするも
白井選手のパウンドの圧力に押され1Rを終了。
(左写真・白井選手と戦うキム・ユンヨン選手)
2Rにはマウントを奪われ
劣勢となったキム(辛拉麺)選手は、
なんとかしのぐも鼻血を出すなど苦戦。
3Rには再びマウントを奪われ
パンチを浴びた後にバックから
チョークスリーパーを極められてしまい
3R 2分59秒で一本負けを喫しています。
この試合で大きなチャンスを逸したキム(辛拉麺)選手は
いつ試合が組まれても戦える準備を心がけ意識改革。
UFCで活躍するキム・ドンヒョン(Kim Dong Hyun)選手も所属をする
釜山のTEAM M.A.D.で練習を行うようになります。
09年6月にはclub DEEP大阪に出場。
メインイベントで
CMA京都成蹊館の濱村健(Hamamura Ken)選手と対戦し、
1R 2分44秒でチョークスリーパーにより
一本勝ちを修めています。
09年8月には函館で行われた
GLADIATOR函館大会に出場。
韓国Spirit MCや、戦極のフューチャーファイトに出場経験を持つ
元高田道場の加藤実(Kato Minoru)選手と対戦をします。
試合はキム(辛拉麺)選手が
カウンターのパンチを打ち込んで
チョークスリーパーを極めて秒殺で一本勝ち。
相手の加藤選手に全く何もさせずに
レベルの違いを見せつけました。
09年9月にはHeat 11で
元パンクラスのベテラン、窪田幸生(Kubota Kosei)選手と対戦。
タックルに行った窪田選手に対して
キム(辛拉麺)選手はタックルを切ってバックへ。
金網際で四の字フックでバックマウントを取り、
網を掴んでバランスを保ちます。
コツコツとパンチを打ち圧力を掛けるキム(辛拉麺)選手。
窪田選手がパウンドを嫌って体勢を崩してしまうと
キム(辛拉麺)選手の腕が首に巻きつきチョークスリーパーの態勢に。
がっちりと極まってしまい窪田選手がタップ。
1R 1分45秒でキム(辛拉麺)選手の一本勝ちとなり、
HEAT総合ルールウェルター級王座決定戦出場を勝ち取っています。
そして先日、09年11月7日の戦極 第十一陣では、
PRIDEやUFCで活躍をしていた日本のベテラン選手
GRABAKAの郷野聡寛(Gono Akihiro)選手と対戦。
キム(辛拉麺)選手のセコンドには
練習を共にしているUFCファイターの
キム・ドンヒョン(Kim Dong Hyun)選手の姿が見えます。
シンプルに入場をしてきた郷野選手を相手に
1Rはほぼスタンドでの牽制戦で向き合って終了。
2Rには開始早々に
両足タックルでテイクダウンを奪われたものの
グランドでガードからのアームロックを繰り出し、
郷野選手にパスをされてサイドポジションを奪われるも
スタンドに戻して拮抗した戦いを繰り広げました。
(上写真・郷野選手と戦うキム・ユンヨン選手)
しかし3Rに入ると郷野選手の右パンチを当てられて失速。
以後スタンドではほぼ郷野選手の攻撃一辺倒の状態となり
キム(辛拉麺)選手は頭を下げてガードを固め
ラッシュをしのぐ場面が数多く見られるようになりました。
飛び膝蹴りなど郷野選手の攻撃をなんとか凌いで
試合終了のゴングを聞いたものの、
最終ラウンドではっきりと優劣がつき
キム(辛拉麺)選手は判定で敗北。
メジャーデビューを飾ることはできませんでした。
キム(辛拉麺)選手は189cmという
ウェルター級としては稀に見る高い身長を持ち、
スタンドではリーチの長さ、
グランドでも長い手足での絡みつく様なグラップリングなど
その体格は大きな武器となっています。
柔術では紫帯を持ち、
総合の試合でもその7割をサブミッションでの一本勝ちを修めています。
特に下から繰り出す腕十字を得意としており、
また長いリーチを生かした三角絞めでも多くの一本を奪っています。
スタンドレスリングではタックルなどは無く強くは無いものの、
長身を生かしての外掛けを得意としており、
また柔術家らしく引き込みを主に使っています。
韓国Spirit MCでは、
トップ選手のイム・ジェソク選手にはまだ及ばなかったものの
二番手グループにつける選手であるのは間違いないスキルがあり、
22歳という年齢を考えると、
これからの韓国総合格闘技のホープであるのは間違い無く、
将来のエース候補と言って良い選手です。
実際キム(辛拉麺)選手は、
Spirit MCでのタイトルマッチを経験した以降は、
日本の大会で経験を積むという
韓国総合選手の出世コースを歩んでいます。
そして日本ではDEEPやHEATといったメジャーの手前のイベントで
一本勝ちを重ねて実績を挙げています。
今回の戦極や、半年前のDREAMのGP選考試合では敗れるなど
メジャーイベントでは後一歩という結果となってはいますが、
キャリアを考えた場合、今後実力をさらに伸ばす事は十分に期待できる選手です。
実力的にも今後、また日本のリングへの登場が見込まれるだけに
その名前を覚えておいて損は無い選手ではないでしょうか。

