液晶バックライト用インバータ回路の
ZCS(ゼロ電流スイッチング回路)に関する
基本回路の公開公報他


液晶バックライト用インバータ回路の変換効率を向上させる技術の要は、いかにして駆動回路側から見た負荷の力率を良くするかである。電圧位相と電流位相との差をθとすれば力率はCOSθで表される。この数字が1に近いほど力率が良いという。

例えば、力率が1の場合、負荷の電力Wは電流Irms×電圧Vrmsで良い。
しかし、力率が0.5の場合は電圧が同じなら電流が2倍になってしまう。それだけ無効な電流が流れているわけである。
この、無効な電流は銅線を発熱させて、インバータ回路の効率を低下させてしまう。
(“力率が悪い”が即座に“効率が悪い”になるわけではないが、無駄な電流が多い>銅線に流れる電流が多い>発熱が多い>効率が悪い、ということで結果的にインバータ回路の変換効率が悪化する。)

●ゼロ電流スイッチング回路
負荷に流れる電流がゼロになる瞬間を捉えてFETをONする。OFFにする時間はタイマーによって決められる。OFFにする瞬間はゼロ電流動作ではないが、これが放電管用途におけるゼロ電流スイッチング回路の意味である。パワー制御一般におけるゼロ電流スイッチング動作とはちょっと意味が違う。
駆動回路の工夫によって、負荷の力率を理想的に1に近づければインバータ回路の効率は良くなる。
実際には、それだけではだめで、負荷側のインダクタンス成分と容量成分との共振回路を合理的に設定しなければならない。これには昇圧回路側のもう一つの技術が必要になる。駆動側の技術と昇圧回路側の技術のコラボレーションによって世界最小の高效率インバータ回路は完成した。
初代の高效率インバータ回路においては、ZCS(ゼロ電流スイッチング)技術というのが重要な役割を演じている。


特開平8−288080号公報
1995年出願 拒絶査定(我々:納得できなんだが・・)


チョークコイル5と共振コンデンサ6との間で共振回路を構成する。負荷に流れる電流を電流トランス4で検出してその出力が正になったときに、フリップフロップ回路10をセットする。このことにより、FET2がONする。即ち、負荷に流れる電流がマイナスからゼロになった瞬間にFET2がONになるので、ゼロ電流スイッチング回路と呼ばれる。
一定時間経過後にタイマー回路12が働いてフリップフロップ回路10をリセットする。このことにより、FET2はOFFする。
次のサイクルでは下側の回路11,9が働き、同じように下側のFET3をONする。以下同様・・・
このような動作を繰り返すことによって発振が継続すると同時に、タイマー回路12の設定によって供給電力の制御ができるのである。
この回路の変換効率は優秀であるが、複雑な回路なのでIC化しないと実際の普及は難しい。




特開平8−251938号公報 図4
1995年出願 拒絶査定(某かれこれ電気)


しかし、他社も我々と全く同じことを考えていたようである。
出願はタッチの差でこちらの会社の方が早かった。
原理は負荷に流れる電流を抵抗52で検出。我々は巻線で検出したが、その技術的思想は100%同じである。
以下、その検出電圧があるレベル61の電圧を超えるとフリップフロップ回路64がセットされ(同じだ)、ロジック回路を介してFET3をONする。
これがZCS(ゼロ電流スイッチング)回路だ。
そして一定時間経過後、タイマー回路からの信号VG2によってリセットされる。これによって、供給電力制御を行う(同じだ)。したがって、我々の特許出願が拒絶を受けてもしかたがないといえばしかたがない。こちらはICメーカーだから力の差で我々の負け。しかし、ともに仲良く拒絶査定を受けた。(--;




米国特許第6114814号公報 Dec.11,1998出願
特許査定(米国の某ベンチャー企業)
>調べりゃわかるけど


なぜだかそれよりも遅れること3年。米国でこの回路の特許が成立した。どこからどう見ても同じだと思うけど・・・
少し不公平だな。この回路は冷陰極管(CCFL)用のインバータ回路として、世界中に普及している回路だというのに。