最近のCCFL(冷陰極管)は液晶テレビ用よりも一般照明用として注目を浴びている。LEDと比べても寿命に遜色がなく、LEDよりも明るくでき、また同じルーメン数で比較するとLEDよりも遥かにローコストだからである。

ccflliting

筆者はLEDとCCFLとは住み分けできると考えている。
LED照明においては明るさとコストとが比例する一方、CCFL照明においては明るいほどワットあたりのコストが安くなっていく。
結論としては、LEDは10Wよりも小さな中小電力領域で効率、コストとも有利であり、20W以上ではCCFLのほうが有利である。
さらに光量が必要な水銀灯の置き換えや街路灯、看板などであればCCFLが圧倒的に有利であろう。
AC100Vの商用電源で点灯できるCCFL点灯回路は高効率なものが求められるが、今までの液晶テレビで使われていた、いわゆる他励型(他励共振型)というインバータ回路は効率が悪いのでお勧めできない。効率が悪いというのは発熱が大きいと言う意味でもある。または、理論上は温度の低いものもできるが、実験室的に一品だけ温度が低いものができても、量産時にその信頼性を維持できないという問題がある。他励共振型は外部条件が少しでも狂うと発熱して故障が続出する。

一口に他励共振型と言っても、
1.高効率・高力率他励共振(主にノートPCで採用)
2.高漏れインダクタンス他励共振(主に液晶テレビ/モニタで採用)
3.低漏れインダクタンスHigh-Q他励共振(高効率だが他励型では部品のバラツキに弱いので使われない)
と3種類の設定がある。

液晶テレビではたくさんのバックライトの種類があり、これらを駆動するインバータ回路を楽に仕上げるために2の高漏れインダクタンス型という他励共振設定を利用していた。
これは設計が楽な反面、トランス一次側から見た力率が比較的悪いため、発熱が大きめでトランスも大きめで、インバータ回路としてはあまりエレガントなものではない。内情をバラせば液晶テレビはモデル変更が頻繁で液晶のサイズやバックライトの接続方式の種類が多く、インバータ回路の開発を間に合わせるのが大変であった。その結果、やっつけ仕事で出来上がる高漏れインダクタンス他励共振が便利なので採用されたわけである。この液晶テレビ用インバータ回路の設計を経験したエンジニアの多くが他励共振型インバータ回路は楽に作れるという悪癖を覚えてしまい、その後のインバータ回路の不良発生の原因にもつながっているのだと思われる。
一方、ノートパソコンで使われていたような1の最高効率領域を使う他励共振型は究極までトランスが小型でエレガントであった。これは、インバータ回路の共振回路調整に職人技が必要だったが、幸いにもDELLコンピュータが音頭を取って、液晶の規格を統合整理して同じ仕様のもとに液晶メーカー各社に作らせるということをしたので、インバータのほうも落ち着いて開発ができ、結果として小型で高効率でエレガントなインバータ回路が普及した。
しかし、どちらの他励共振設定も寄生容量や気温などの環境の変化に敏感で、CCFL周辺の寸法精度の狂いに弱く、わずかなパラメータの変化でインバータ回路が発熱する。液晶メーカーが管理していれば寸法精度は確保できるが、CCFL照明となると事情が異なる。CCFL照明の初期不良の多くはこの精度不足に起因する故障である。またCCF照明では、構造上液晶バックライトのような精度の確保が困難であるほか、温度環境の変化も大きいのでCCFLのインピーダンスも大きく変化する。それら環境の変化に追従できるインバータ回路は他励共振型では難しい。

そこで、そのような環境が変化しても故障が発生しない、両者の特徴を併せ持つインバータ回路が求められるがそれが電流共振型である。CCFL照明には電流共振型の採用を薦めたい。
そのような理想的なインバータ回路は3の低漏れインダクタンスHigh-Q他励共振の設定と電流共振回路とを組み合わせることによって実現できる。これは液晶テレビにはまだ採用されていなかった技術であり、あまり知られてなかった回路技術である。
電流共振型のインバータ回路というのはCCFL用インバータのなかでも最高効率であって、インバータ回路設計に職人技も要らないし、少々長さの違うCCFLにも対応できるというお手軽インバータである。
また、周辺寄生容量の変化にも強く、CCFL周辺の環境条件を雑に扱うCCFL照明業界(なんせ中小企業ばかりなので・・)にはうってつけの回路である。
なぜもっと早く登場しなかったのか。その理由は別の機会に説明する。
回路図は以下のとおりである。

IR2104 CCFL inverter
(鮮明な画像を見たいときはダブルクリック)

今回はIR2104を使い、IN端子に共振電流位相を帰還している。T1は共振変圧器で漏れインダクタンスLscは通常のCCFL用インバータの1/2ないし1/3の値とし、共振コンデンサC8の値を大きくする(即ちHigh-Q共振にする)とうまくいく。
この回路でCCFLは800mmから1500mmまで共通で点灯させることができるのでとても便利なインバータ回路である。


実用化する際は、CCFLの破損やランプオープンがあったときにも安全なように、保護回路を取り付ける必要がある。もちろん、保護回路を取り除いて手抜きをすれば、より安価なインバータ回路ができるのは言うまでもないが、安全への投資はわずかな金額でできるとしたらどう考えるか?これはもう、商品企画をする企業のコンプライアンスを超えて考えなければならないことである。
CCFL電球やCCFL蛍光灯を外国から輸入しようと考えている人も多いと思うが、ぜひ注意していただきたいのは値段だけで見積もりを取って安いものを選ぶという真似は絶対にしないでほしいということである。(インバータ回路の評価→
値段だけ比べられるのであれば保護回路は削除してしまうだろう。これはよくない。
大切なことは安全性に対する評価である。保護回路が入っていないものでは、CCFLが割れた後やCCFLの寿命末期に異常が起きる。このようなものは絶対に輸入・採用するべきではない。
IR2104を使った電流共振型回路について、部品点数が多いとか、既存の他励型IC(例えば8853)でも十分だとか、保護回路は必要ないとか、CCFL照明業界には基本を守らないくせに言いたい放題のわがままを言う輩(後発インバータメーカー)がいるようである。しょうがないから我々は専用IC、NTS3733を開発した。別にIR2153を使ってもたいした部品代増でもないだろうに・・・
このNTS3733というICには起動回路も過電圧保護回路も入っているので、これ以上CCFL照明の後発インバータメーカーはわがままなことを言わないで素直に電流共振型になびいてほしいと切望する。

●三光堂・地球電球本舗でも小売販売中→
CCFL電球は同じ外形でインバータ回路が異なる製品がある。「電流共振型採用」であるか否かをよくご確認のこと。
CCFL電球(LED電球も事情は同じ)は一般に外形プラスチックとCCFLとインバータ部とが別々に販売されており、零細な組み立て工場がそれらを集めて組み立てて販売していることが多いので、外形が同じというだけでは同じ発売元かどうかは確認できない。その点にご注意を。これはCCFL蛍光灯でも同じことがいえる。
実際、11WCCFL電球あたりは各社各様で、同じ外形のものを分解しても中身が異なる。A社の不良品をB社に持ち込んでクレームを言うと自社のではないとい話がしょっちゅうある。CCFL照明の製品は、できれば中身を分解して、どこの会社のインバータが使われているか、どこの会社のCCFLかを(少々難しいことになるが)確認をしていただきたいと思う。

→ライティングジャパン2011出展資料
→CCFL照明−CCFL電球の開発