2005年05月12日

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2004年2月26日

キスラー・エアロスペース復活へ
 1990年代前半から二段式完全再使用型ロケット・K−1の開発を行い80%完成させながら、昨年夏に倒産した米キスラー・エアロスペース社が、復活の兆しを見せている。

 2月始め、キスラー社はNASAとの新たな契約を獲得した。2001年に結んだSLI以来の契約で、まず最初のロケットを発射する前に5420万ドル、デモンストレーション飛行が行われた後に1億7320億ドル、合計2億2740億ドルが支払われる予定だ。

 米ワシントン州カークランドに拠点を置くキスラー社は10年来、小型衛星打ち上げ事業を開始する準備を進めてきたが、人工衛星需要の冷え込みもあり、昨年7月に6億ドル以上の負債を抱え、裁判所にChapter11を申請。裁判所の監督下で再建を行うことになった。

(米連邦破産法第11条,Chapter11…連邦破産法第11章の定める手続で、裁判所の監督のもとで従前どおり事業を継続しながら少しずつ債務を返済していく仕組み。日本の会社更生法にあたる。)

 しかし、今年1月ブッシュ大統領が新たな宇宙計画を発表。月や火星まで行くことのできる新型宇宙船を開発し、スペースシャトルを2010年までに引退させることになった。NASAはキスラー社のK-1ロケット開発を援助し、そのデータを新型ロケットや国際宇宙ステーションの物資補給船開発に活用するつもりで、2006年までにそのデータを要求する。 

 キスラー社のジョージ・ミューラーCEOはこの契約について、「この契約の良いところは、もし私達のロケットが飛行すれば、投資者は利益をすぐに回収することができるという保証を彼らに与えることができることだ。我が社の重要な融資者であるベイ・ハーバーは更なる資金提供を行う準備を進めている。我々は5回の飛行でNASAとの契約を達成するだろう。」と述べ、楽観的な見通し示している。

 しかしミューラー氏にとって悪いことにロケットを飛行させるには、別に4億5000万ドル準備しなければならない。ロケットのハードウェアは75%、デザインは85%完成しているが、まだ開発が必要だ。ミューラー氏は18ヶ月以内にロケットを打ち上げようとしている。

 キスラー社のロケットは二段式の完全再使用型ロケットで、ケロシンと液体酸素で推進するロシア製エンジンを搭載し、機体は複合材が用いられる。オーストラリアのウーメラロケット発射場から打ち上げられる予定。カークランドには22人の従業員とコンサルタント数名がいる。

 NASAは国際宇宙ステーションへの物資補給にこのロケットを使用すると発表はしていないが、ミューラー氏や会社関係者らはこのビジネスを狙っている。「私達はそのようなサービスを提供する努力を行っている。少なくとも彼らは選択肢の一つとして私たちのサービスを持つだろう。もし必要があれば、毎月か隔週の間隔で、荷物を送ることができる。」とミューラー氏は言う。

 NASAとキスラー社が交わした契約文章には「NASAの要求に応じることのできるセルフガイダンスシステムを開発した民間企業はキスラー社だけである。キスラー社のロケットは主要部分のほとんどが完成しており、エンジン目録を得ることができたため、2006年という早い時期に目的を達成できるのはキスラー社のみであると考えられる。」と記されている。

 キスラー社の無保証債権者を代表しているシアトルのフレデリック・コービッツ弁護士はロケットの打ち上げが遅れ続けているにもかかわらず、キスラーへの機体は膨らみ続けていると言う。無保証債権は1億7000万ドルにのぼる。コービッツ氏はこのように述べる。「キスラー社の役員達が組織を再編成するという、良いニュースを聞いた。私はビジネスが成功するのを見るのが大好きだ。そして、成功するビジネスには誰もが投資する。NASAからの後押しがあったとしても、会社はロケット打ち上げに必要な4億5000万ドルの利益を上げるそのサービスに対して十分な市場があることを投資者に証明するべきだ。将来に十分な業績が上げられることを確信させなければならない。費やしたお金と時間に相当しない場所にいたいものなどいない。キスラーはそうはしないだろう。彼らはその努力に対する報酬を望んでいる。」

 キスラーの創始者達が事業の開始時に想像していた、通信ネットワークに使う多数の地球低軌道衛星の計画は消滅した。しかし、ミューラー氏は言う。「私達の会社は、少数の地球低軌道への打ち上げと、スペースステーションへの貨物輸送及び静止軌道への小型衛星の打ち上げを組み合わせることによって、財政的に十分な利益を上げることができる。私達はそれらを組み合わせ事業を進めることを計画している。我が社はNASAへデータを供給することにより今年すでに300万ドルの収益を上げた。」昨年キスラー社の収益はゼロだった。

 復活への道はまだまだ困難なようだが、SpaceXの低価格ロケット・ファルコンの成功などにより地球低軌道への需要が投資家達に見直されると、同社の活躍の場は十分に存在すると思われる。まずはロケットを完成させ、信頼を回復させることが必要だろう。



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