思考停止状態からの脱却

時事問題、歴史、軍事、人間心理、社会学等、わかりにくいことを、書籍等を参考にまとめて評論・考察。他には趣味のプロ野球コラムや面白ネタなどいろいろ。

    打率の向上と好不調の波の解消 ①



    ※インコース攻めより圧倒的にアウトロー攻め

    野球のピッチングで相手バッターを打ち取るためには「内角攻め」が必要だとよくいわれる。
    実際シーズン中には、セ・パの主軸の強打者たちが、相手投手からの厳しい内角攻めで苦しめられ凡打や空振りの山を築いて大きく調子を崩すという場面に何度も出くわす。

    ただ・・・、実際にそれぞれのピッチャーたちが相手バッターに対して投げたコース別の投球割合を見てみると、もう圧倒的に「インコースよりもアウトロー」の割合が高いことがわかる。

    山川コース別打率
    2022年度 山川 穂高【西武】コース別(ゾーン別)打率・成績 - データで楽しむプロ野球


    これは西武ライオンズ山川穂高選手のデータだが、他の選手たちも同様で、特に昨シーズン内角攻めに苦しめられたというオリックスの杉本選手の投球割合を見ても、やはり圧倒的にインコースよりアウトコースのほうが投じられた球数の割合が多かった。

    だから「厳しい・執拗なインコース攻め」といっても、感覚的な印象は強くても、実際の全体的な投球割合で見た場合、もうインコースよりも、外角低め・アウトローへの配球が圧倒的に多くなっているという実態がわかる。

    インコースは打者にとっては打ちにくい、難しい球だとはいっても、強く引っ張れるので、コースを少しでも間違えば途端にドカンと大きな一発を喰らう高い危険性・リスクもはらんでいる。

    野村克也氏は「外角低め・アウトローへの直球」をピッチャーにとっての「原点」と名付けていたが、やはり基本は外角低めのアウトロー。

    インコースへの投球は「見せ球」という要素のほうが大きいようだ。
    もちろん実際に厳しいインコースはバッターにとって打ちにくく、特に内角から低めに落ちてくるシュートやシンカーといった球種はピッチャーにとって相手打者を「引っ掛けてゲッツーの内野ゴロ」に打ち取る絶好の球種となる。

    山川選手もかつては非常にインコースを打つことを苦手としていた時期があった。

    新打撃フォームに取り組む西武・山川穂高 昨季苦手とした内角を克服できるか - SPAIA


    山川コース別打率 2019



    この2019年度のデータを見ると、2022年には苦手だったインコースを見事に克服していることがわかる。

    おそらく山川選手はもともとバッティングフォームの構造的な問題として、インコースが苦手となるような要素を持っていたのだろう。

    しかし、山川選手がインコース攻めを克服してくる前と後とで、やはりインコースとアウトコースの投球割合は変わっていない。
    多いのは断然アウトロー。


    また、プロの優れたバッターになれば、基本ストライクゾーンのボールなら普通に3割近い打率を残してくる選手が多い。

    だから本当に打てなくなってくるのは、インコースでもアウトコースでも「ボールゾーン」にそれるボール球のボール。

    でもこの見極めがすごく困難なようだ。


    ※ボールゾーンのボール球をどう見極めるか

    打つのが難しいとされるインコースでもアウトコースでも、ストライクゾーン内の球ならそれぞれなんとか対処していくことはできる。
    でもボールゾーンへとそれていった球は打てなくなってしまう。

    けどその見極めが難しい。

    インコースに投げられたあと、アウトコースにボールに投げられると、それだけでも同じコースのボールでもバッターからはずっと遠くに感じられてくる。

    また、外角ギリギリのラインから、そこからピッチャーはさらに外へ曲げてきたり、下に落としたり、あるいはボールゾーンの外から急にストライクゾーンの中へと入れてきたり、さまざまな攻め方をしてくる。

    そうなるとバッターとしてはもうそれ以上、ボール球の見極めができなくなり、バットを出して振りに行くこと自体がギャンブルになってしまう。



    ※可能性を絞って配球を「読む」

    これも野村克也氏が語られていたことだが、タイトルを獲得するような強打者・ホームランバッターというのは、それだけで相手投手に対して有利な立ち居地にたてると。

    一発があるバッターに対し、相手ピッチャーが投げてくるボールは自ずと限られてくるものだと。
    だからその可能性を絞って相手の配球を読めと。

    野村氏は強打の外国人選手にストライクはいらないとまで言っていた。
    インコースはなおさら。まさかの一発の可能性が非常に高くなるから。

    とすれば、「厳しいインコース攻め」といっても、そのインコースへと投げられる機会というのは相手ピッチャーにとっても限られたものとなってくる。
    逆転が怖い、大量失点を許したくないランナーを置いた場面などでは、ピッチャーだってインコースへ投げるのは怖くなってくる。
    そしてそういう場面では、同じインコースでも外へとはずれる確率が高くなってくる。

    反対に、ここはバッターを歩かせたくない、ストライクゾーンギリギリに確実に入れなくてはといったシチュエーションでは、逆にそのボールが中へと入ってくる可能性が格段に上がってくるようになる。

    何も考えずにただ目で見て判断するだけでは、そのボールが同じコースから外れるのか、それとも中へと入ってくるのかどうかということは、ボールをずっと追い続けていかない限り判断がつかない。

    アウトコースといっても、手を伸ばせば届くので、バッターとしては打ちにいこうとするのだけど、そこから曲がったり落ちたりなので、


    野村克也氏によれば、ピッチャーの攻め方の基本は、

    ①(カウントを)かせぐ
    ②(スイングを)誘う
    ③打ち取る


    の三段階で構成されると。

    例えば直球に威力がある投手なら、だいたいのコースでもファールにさせれば初球ストライクカウントを稼げる。

    そして、詰まらされたバッターのほうでは、次は振り遅れまいとして、もっとスイングの始動やスイングスピードを上げようと準備してくる。
    しかしそうなると、今度はストレートの軌道からボールゾーンへと外れる変化球に空振りをしやすくなる。
    そしてその次の投球が「誘い球」となって相手バッターを空振りに打ち取ることができる。
    また、これは元阪神の藤川球児氏が話されていたが、フォークボールを空振りしたバッターで、次はもうちょっとこんな感じにすれば拾えそうだと考えて打ちにくる相手に対し、次の投球は前の球よりさらにもう少し手前にフォークを落としてやるのだと。
    そうすればまた相手バッターは打ちにこようとして空振りをすると。
    ピンチの場面でのフォークの連投は実際のゲームでよく見られるケースだが、まずフォークだと思って狙い打ちしようとしてくるバッターに対し、これはピッチャーのほうが相手の行動を予想してそれを逆手にとって打ち取るという作戦。

    山川選手がインコースを克服したみたいに、バッターとしては苦手なコースや打ちにくいコースでも、打ち方次第でそのポイントに絞ればまったく打てないということもないので、できればなるべく見逃しの機会を減らし積極的に安打を稼ぎにいきたい。しかしそこがまた相手ピッチャーにとっての誘いにもなる。

    そして最後の打ち取る球。これはそれぞれの投手が最も得意としている球種。
    その日の一番状態のいいボール。
    ピッチャーがランナーを置いた場面でゲッツーを取りたいとか、それはもうほぼ低めのシュート、落ちるシンカーなので、フォークで三振にしてもワンアウトしか取れない。
    そういう状況やピッチャーごとで攻め方も変わってくるが、配球も絞れてくる。

    落合博満氏は、ここぞの場面で投げてくるそのピッチャーの決め球を狙って打つようにしていたという。
    なぜならそのときに必ずそのボールがくることがわかっているから。
    反対に元横浜の佐々木投手とか、得意球のフォークは難しいから逆にストレートのほうを狙って打つようにしていたとか、そういうケースもある。
    落合氏は佐々木氏のクセを知っていたとも言われるのだが、大事なことは「確率を絞っていく」ということ。どんどんどんどんと。
    フォークを投げるのがどういう場面なら、反対にストレートを投げるのならどういう場面だとか、それだけでも確率は絞れていく。

    5割以下はギャンブル。だからその確率をつねに6割以上にしていくようにしなければならない。

    その解析を一つ一つ積み上げていくことが重要。
    確率というのは、そういう一つ一つの小さな確率上昇の積み上げと積み重ねが大事。
    その地道な研究をどれだけ稼いで、積み重ね続けていくことができるか。

    山川選手はインコースを克服したが、バッターがなにか一つ大きなバッティングのコツなどを掴んだとしても、それがいつまでも長続きすることはない。
    なぜならそれに対してまた相手ピッチャーのほうで攻め方が変わるから。

    王選手でも、大活躍をした翌年というのは成績を落としているのがわかる。
    王選手が誰だったか、何かバッティングの奥義みたいなものはありますかと聞かれて、そんなものはない、掴んだと思っても、またそれが通用しなくなっていって、そしてさらにまた新しい何かを掴んでの繰り返しだったと。

    野村克也氏はよく、才能だけで活躍している選手は決して長続きはしないと話されていたが、来た球を打つというだけではなく、自分を相手に、いつどのボールがどこに来るのか、そしてどのボールをどういうふうに打っていくのか、それを漠然とした予想から、確実にこれだと、そうわかるデータを探して見つけて、どんどん積み上げていくようにしなければならない。



































     

    打率の向上と好不調の波の解消 ①



    三冠王三度の落合博満氏は、ホームランと打点と打率の三つのうちで、打率を上げるのが一番難しいと話されていた。

    イチロー氏は、打率.220でいいならHR40本打てると語られていたというが、首位打者を獲得する選手たちは実際ホームランは少なくヒットのほうが多いというタイプのバッターが多く、ホームランとヒット・打率は基本、どちらかを上げればどちらかが下がるという反比例の関係になっているようだ。

    落合氏もイチロー氏について、
    「ボール球を振るのを止めて、ホームランになりやすい確率のいいボールを探して打つようにすれば、もっとホームランは増えていたと思う」
    と言及している。
    ただし、

    「そのぶん、ヒット・安打数の数は減る」

    とも。




    けれども三冠王を取るにはその三要素をすべて同時に上げていかなければならないのだから、相当無理な課題をクリアーしていかなければならないことになる。

    首位打者、打率を上げるのに先ず必要なこととしてよく言われるのは、「四球・フォアボールを選べ」ということ。

    「打率」とは、「安打数 ÷ 打数」で計算され、「打数」とは「その打者(バッター)の打席数のうち、四死球、犠打、犠飛、打撃妨害、走塁妨害の数を除いた回数」のこと。

    なので、「四死球」を増やせばそのぶん「打数」が減って、つまり分母の数が少なくなって打率が向上するようになると。

    イチロー選手はあまり四球を選ばずどんなボールでも積極的に打ちに行くタイプだったので、もしイチロー選手がもっとフォアボールを選ぶバッターなら、あるいは4割を打つことも可能ではだったのではないかということもよく言われる。

    だからそんなイチロー選手とは反対に、とことん四球を選ぶ選球眼のいいバッターとして定評のある元日ハム・現ソフトバンクの近藤健介選手などは、現在NPBでは最も夢の四割到達に近いバッターではないかと言われたりもしている。


    ※「四球」を選ぶ重要性

    打率の上位に並ぶようなバッターたちはもちろん年間の四球数が多く、出塁率も高くなる。

    ホームランをバンバン打つ長距離打者の場合でも、特にランナーを置いた場合、ホームランを下手に打たれるのをピッチャーが警戒し四死球で歩くケースが増える。

    昨年2022年シーズンでは、パ・リーグの打率上位トップ10の中で、ホームラン20本を越えた打者は吉田正尚選手と柳田悠岐選手だけで、あとは皆、アベレージタイプのバッターで占められている。

    しかし年間の四球数で見ると打率13位の山川穂高選手が第3位に入ってくるようになる。

    2022年度パ・リーグ打撃個人成績 - データで楽しむプロ野球

    山川選手は3,4月の打率が.365、5月も.321で月間MVPを獲得するほど大活躍したのだが、終盤の9,10月には打率.197と不振に陥ってシーズンを終了。
    けれども月別の成績を見ると、年間では四球数第3位の山川選手が、その9,10月ではなんと13位にまで落ち込む。

    【9,10月】2022年度パ・リーグ打撃個人成績 四球ランキング - データで楽しむプロ野球

    トップの近藤健介選手と浅村栄斗選手が四球数21個で、2位の吉田選手が16個。
    これに対して山川選手は9個と、トップとは2倍以上の開きがある。

    山川選手は6月も打率.211の不振に陥っていて、このときは四球数9個で第6位。1位は13個。

    四球数が減って打率も低いというのは、明らかに相手ピッチャーにボール球を振らされて空振りや凡打に打ち取られてしまっているということだ。

    ただ、山川選手の場合、3,4月でも四球数はトップの半数以下の数でしかない。
    このズレを見ると、もともと山川選手は慎重にボールを見極めるようなバッターではなく、際どいコースでもどんどん積極的に振りにいくタイプのバッターだということなのだろう。

    にもかかわらず四球数がめちゃくちゃ増えていくときは、相手ピッチャーたちが調子のいい山川選手のバッティングを見て、もうはなから勝負を避けたからにちがいない。

    けれどもそのようにして、歩かせてもいいくらいの気持ちで相手ピッチャーが際どいコースをバンバン衝いてくるようになると、今度は山川選手のほうがイラ立ってきてまた積極的に無理に振りにいって、そして今度はズドンと成績が落ち込んでいくようになると。

    もうこのデータなんかを見ても、めちゃくちゃアウトローのボール球ばかりを振らされていることがわかる。

    山川コース別打率
    2022年度 山川 穂高【西武】コース別(ゾーン別)打率・成績 - データで楽しむプロ野球



    ※フォアボールを選べくなった場合の厳しさ

    こうした際どいボール球をふらされないためには、やはり慎重にボール球を見極めていく必要がある。

    しかし厳しくボール球を見極めようとすると、今度は「見逃しの三振」も増えていくことになってしまう。

    が、バッターとしてはそれでも、相手ピッチャーに無理なボール球を振らされるよりかはいいので、たとえ見逃しの三振が増えたとしても、ボール球はできるかぎり、見極めるようにしたい。
    またそうすることで、今度は手を出してこないバッターに焦って、ピッチャーのほうがもっとストライクギリギリのコースに投げなければいけないようになってくるので、そこへきた甘いボールを見逃さずに打つと。

    ここら辺はバッタ-とピッチャーとのギリギリのせめぎ合いになるかと思うが、しかし得点のチャンスにチームの四番が、ボールにぜんぜん手を出すこともなくフォアボールで歩いたとなると、それを見ていた観客からは、四番がなんの仕事もせずにただ歩いたというふうに見られがちになってしまう。

    ここが苦しいところで、特に日本人はそうした見方が強い。
    巨人の長嶋茂雄監督なども、バッターがバットを振らずに見逃し三振で帰ってくるとすごく怒ったという。
    こうした事情はチームによってもまた変わってくるところだ。
    同じ元巨人の王貞治氏も、パ・リーグの野村克也氏に対し、自分たちはまたあなた方とは違ったものとの戦いを強いられているのだということを話されていたという。

    チャンスに劇的な一打を打つことを幾万のファンから求められたバッターが、ただなにもせずに歩くことは許されないという厳しさ。

    けれどもこの点に関してはやはり、「打線」のつながりでカバーしていくしかないと思う。
    だから歩かされてもいいように、そのつぎにまた打率の高い強打者を並べていくようにすると。

    ただペナントの行方を左右するような大事な一戦でのゲームだとか、ポストシーズンのプレーオフでの戦いとかになってくると、どうしてもただ歩くだけでは気が重いだとか。

    けれどもやはりこれは、そういうときのための布石としても、普段から厳しくボール球を見極めていたほうが、勝負できる球というのが相手ピッチャーから投じられる確率が高くなってくるのではないか。

    世界のホームラン王の王選手とか、バッターとしてはほぼ引っ張り専門のバッターで、得意のインコースを放れば的確に打ち返されるということがわかりきったことであるはずにもかかわらず、過去の王選手がホームランを打っている動画を見ると、どれもインコースよりで高目の甘い球ばかり対戦ピッチャーたちが打たれていることに驚かされる。
    それで通算868本なので。
    あれだけインコースはヤバイ、甘いコースは確実に持っていかれるということがわかりながら、どうして相手ピッチャーはそんなボールばかり投げていってしまうのか。

    いや、そんな甘いコースばかり投げていたということは決してないはずだ。けれども、その際どいコースをギリギリに狙って攻めていこうとすれするほど、思わぬ失投の甘い球というのも出てきてしまうということなのではないだろうか。

























































































     

    阪神・藤浪投手は今どこにいるのか ③
    阪神・藤浪投手は今どこにいるのか ④
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    阪神・藤浪投手は今どこにいるのか ⑲
    阪神・藤浪投手は今どこにいるのか ⑳
    阪神・藤浪投手は今どこにいるのか 21
    阪神・藤浪投手は今どこにいるのか 22
    阪神・藤浪投手は今どこにいるのか 23
    阪神・藤浪投手は今どこにいるのか 24


    ※成長を阻む間違ったフォームに固執しつづける信念と制球難を生む根本原因

    ※上半身の腕の振りだけに頼ったフォーム

    ピッチャーの投球で力の入ったボールを投げ込むのに最も大事なことは、いかに下半身の重心移動の力を投げるボールへと伝えることができるか。

    だからピッチングで投げるボールというのは、いくら腕の振りを強く振って投げようとしても球速はほとんど上がらない。
    ボールのスピードと球威を生む最大の原動力は下半身の体重移動にかかっている。
    その下半身の力を、いかにうまく上半身へと伝えていくことができるかがカギ。

    ところが、藤浪投手はこの下半身の体重移動の力をまったくといっていいほど上半身に伝えることができておらず、ほとんど腕の振りだけに頼ったピッチングフォームとなってしまっている。

    こんなに大股開きで大きくステップしているにもかかわらず。
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    これは一見、大きく踏み込んで前後の体重移動を思い切りこれでもかというくらい使っているように見えるのだが、実はぜんぜん下半身の力が上半身の腕のボールへは伝わっていない。

    それは、次のMLBマックス・シャーザー投手との違いを見比べてみてみるとわかってくるようになる。

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    両者の肩の位置の違い。

    シャーザー投手の場合、肩が耳の前の位置まで出てきており、それによって腰を入れた下半身からの力が、そのまま投げるボールへと伝わっている。

    しかし藤浪投手の場合、足は大股開きで大きくステップして踏み込んでいくのだが、肩から上の肘とボールを握った手首の位置はずっと耳から後ろの後方に置き去りに残されたままとなっていて、
    要するに、手に握ったボールにはぜんぜん下半身の力が伝わらず、足だけ開いてただ前に動かしただけの状態になってしまっている。
    これではもう、ただやった気になっているだけ。本人の満足でしかない。








    藤浪投手のこの肩が前に出てこない投げ方は、プロ野球解説者の佐藤義則氏が小学生の子に教えている動画での欠点と同じ。




    佐藤氏はこの女子小学生の子の投球フォームの欠点として、まだ腕が顔の前にくる段階から早くに肩から腕の振りを始めてボールを投げようとしてしまっていると。

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    それを、そうではなく、
    もっと肩が顔の横を通過してから、スナップして投げるようにしなさいと。
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    だから藤浪投手の投げ方もこの女子小学生の子の欠点とまったく同じ状態。
    肩が入らずに、体だけが前に突っ込んで、腕がはるか後ろに振り遅れて投げている状態。

    藤浪投手の腕の振り遅れはもうはなはだしい。

    両者の投球モーションをだいたい同じ位置から同じ間隔のポイントで追っていくと・・・。

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    ・・・と、最終的にここまで違う。

    シャーザー投手はもう完全にスローイングが終わっているが、なんと藤浪投手はボールを握った腕がまだ腕が頭のはるか後ろに残されたままになっている。
    この状態がまさに先の女子小学生と同じ状態。

    藤浪投手がこうで、
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    シャーザー投手がこう。
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    まさにプロのお手本といえるシャーザー投手の投球フォームだが、藤浪投手は未だ、プロ10年目にまでなって、こんな小学生が注意されるようなことを恥ずかしげもなく続けている。
    それはもう、ピッチングがぐちゃぐちゃになった状態のまま、それを一向に治すことができず、何年にも渡って極度のスランプを脱することができずにさまよい続けたっておかしくはない。
    こんなピッチングの基本をおろそかにしているのだから。

    で、藤浪投手の場合、まだ肩が顔の横の前へと出る前の段階から、そこから腕の振りが始まることになると。
    もう体重移動のほうは完全に終わってしまっているのに、そこから腕を振り始めるのだから、それで下半身の体重移動の力が上半身へと伝わるはずがない。

    腕の振りだけで投げている状態。

    本来、こんな投げ方で160キロを越えるような超スピードボールを投げられるはずはないのだが、藤浪投手の非常に長い彼のリーチの長さと持てる強靭なフィジカルがそれを可能にしているのだろう。

    けれども、そんな間違った投げ方にもかかわらず、他の人がとても出せないスピードを投げられてしまっているということが、彼にその欠陥を改めさせることをも無くしてしまっているというところが、かえって彼にとっての不幸というべきだ。

    そんなに大股開きでステップして、それでキャッチャーとの距離を縮めてより投手のほうが有利になるようにとか、最も大事なボールの威力を殺して、なんの意味もない本末転倒なこと。


    体だけが前にいって肩が入らず腕が振り遅れる原因の一つは、無駄に深く腰を沈めて大きく大股開きでステップしていくという、日本の学生野球ではむしろオーソドックスでポピュラーなこの投げ方。
    踏み込む距離が大きければ大きいほど良いといった具合に、藤浪投手もそれを良かれと思っているのか、むしろもっとそうしなければといった感じで、逆に自分から欠陥の度合いを大きくしてしまっている。

    しかし腕が後ろに置き去りにされる最大の要因は、むしろ藤波投手のテイクバックの仕方のほうにある。



    ※腕を横開きではなく歩くときと同じように前後に引いていく致命的なテイクバック

    藤浪投手のもうずっと変わらない、球の出どころ丸出しのこのテイクバックの仕方。

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    山本昌氏は、ピッチングの腕の振り方は、ラジオ体操の横回しのように、大きく横に振って回ようにしなさいと指導されている。

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    ところが藤浪投手の場合、この腕を横に振らず、まるで歩くときと同じような感じに前後に引いてテイクバックしてしまっている。

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    だからこれを横から見てみると、こんな感じで後ろに引いた腕が背中に隠れて見えなくなる。
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    これは横ではなく後ろに引いてしまっているからで、他の投手たちではこうはならない。
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    普通はテイクバックしたこのM字の状態から・・・、
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    ボールを握った腕の先がまっすぐ上へと引き上げられていって、
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    そして腕がL字になってボールを握った手が頭のうしろあたりにきたとき、
    体の開きが始まるとともに、ボールを握った利き腕の肩のほうも一緒にガシっと仰向けに開いて肩が入り、
    腰もギュッとキャッチャー方向に向かって入り込んできて、
    下半身の力で肩と肘を引っ張って前へと運んでいくような感じになる。snapshot20221001130457
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    だから軸足のかかとを蹴って、ステップしていくときには、それと一緒にグラブを持ったほうの肩を引いて体を開き、同時にボールを握ったほうの肩も開いてぎゅっと背中から押すような状態にしてステップしていくようにしなければならない。
    そうすることによって始めて下半身の体重移動の力がボールへと伝わるようになる。

    ステップするときにはもう、体を開いて(ボールを持った)肩を入れて投げるようにしなければならない。

    ところが藤浪投手の場合では・・・、

    肘を背中に入れて降ろした状態のまま、ステップを始めて、そして、
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    体を開いて肩を入れるのが、完全にステップし切った後からになるため、これではボールに下半身の体重移動の力がぜんぜん伝わらない。
    しかも思い切り大股開きにして腰を異常に低く沈め過ぎてしまうため、さらに下半身の力がボールへと伝わりにくくなる。
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    ここまでくるとまるで現日ハムの清宮選手の一塁守備の捕球のときの股裂きみたいな感じで、
    極端にいえばその股裂き状態から腕を振って投げているようなものだと考えれば、
    いかにこの藤浪選手の投げ方が無意味で無駄だということ以上に、大きなマイナスを引き起こすものだということがわかる。


    けれども日本では「体を早く開きすぎるな」という教えが徹底されているため、これもまた、良かれと思ってしていることがかえってマイナス作用の結果を生むという弊害パターンの一つになってしまっているのかもしれない。

    しかしながらとかくこの藤浪投手の場合、論理的・合理的思考によってなされた一連の動きが、結果的にはかえってマイナスになってしまうというような皮肉なパターンがすごく多い。


    後ろから見ると、
    横開きに腕を降ろしつつ下にテイクバックして、
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    肘が引き上げられて両腕がM字の状態になって、
    同時にこのとき踵があがってステップに入る。
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    続いてボールを握った腕が上に持ち上げられてくるのと一緒に、
    腰がひねって入ってくる。
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    そして腰を先に入れてしまってから、体を開いて肩も入れて胸を張って、下半身の体重移動に乗せつつスローイング動作に入っていくと。
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    一方、藤浪投手の場合では、
    先ず降ろした腕が背中側に引き下げられていって、
    snapshot20221002111621

    そこから肘を背中側にくの字にエルボーするような格好で、徐々に腕がセンター方向ではなく一塁側よりに斜め後方へと広げられていって、
    snapshot20221002111739

    そこから真上ではなく、後ろから斜めに持ち手が引き上げれていく。
    そのためにこの間、肩がずっと内向きに閉じられた状態となって、それがロックになってステップははじまっているが腰を入れることができなくなってしまう。
    腰は持ち上がらず、反対に内向きの肩に押し潰されるように尻が下に落ちてしまう。

    snapshot20221002111750

    特にこの部分は、
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    シャーザー投手は持ち手の引き上げと同時にかかとが上がって腰が入っていくが、
    藤浪投手はかかとずっとベタ足着きの状態のまま。腰が入らず下半身の重心移動の力を上半身へと伝えることができなくなる。

    snapshot20221002110442

    そして漸く体が開き、腰と肩が入ってスローイング動作へと移行していくが、
    snapshot20221002111818
    この状態のときはシャーザーといえば、
    もうこのくらい。
    snapshot20221002111330
    snapshot20221002111353





    ※「バランスは拇指球」「足幅は狭く」「腕の振りが足の踏み出しに遅れてはならない」

    メジャー・リーガーのランディ・ジョンソン投手は、
    「軸足の拇指球に体重をかけて、静止、そして、最後、踏み出した足の拇指球で立つ」
    ということが、制球難に苦しんでいた彼がノーコンを脱出できた方法だったという。
    そして「足幅は狭く」するほうがいいとも。

    バランスは拇指球 - 茨木太陽法律事務所


    そして、ジョンソン氏を指導したこともある同じメジャー・リーガーのノーラン・ライアン氏も彼もノーコンだったがそのノーコンの原因は、
    「ライアンはモーションを急ぐために、足の踏み出しに腕の振りが追いついてない」
    という、フォームの欠陥にあったのだという。

    豪球ノーコン列伝 ー Damejima's HARDBALL





    ※M字のテイクバックからの腕の持ち上げ方

    普通他の投手の人たちの投げ方なら、テイクバックから肘を持ち上げてM字になった状態から、
    そのまま腕の先を上に持ち上げてバンザイすれば、肩が開き、肩甲骨がグッと中に入って、胸を張った状態になる。
    snapshot20221001125901

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    ところが藤浪投手の場合では、ボールを握った手の平をセンター方向に向けて、反対に手首の甲が下に向くような感じでねじりながら斜め上へと引き上げられてくるため、ずっと肩が閉じたまま、ボールを持った手と肘とが肩より上のラインにまで持ち上がってくるまで、体を開くことができなってしまう。

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    snapshot20221002111809


    このあたりの部分については、中西清起氏が解説されていた。

    三塁側に向く手の甲
    三塁側に向く手の甲 2
    三塁側に向く手の甲 3
    三塁側に向く手の甲 4
    三塁側に向く手の甲 5
    三塁側に向く手の甲 6

    阪神藤浪、下柳投法で完全復活/中西清起1 - 東スポ



    藤浪投手のこの、ボールを握った手が「招き猫」スタイルでくの字に曲がってしまうのも問題がある。
    snapshot20221002111621

    この手首の「招き猫」スタイルは、どうも日本人に多く、メジャーの投手では少ないかんじで、大谷投手などもそのアメリカ流スタイルで、手首は逆に立ってくる。

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    ただ藤浪投手の場合、手首を招き猫スタイルにすることで、いよいよ手首が下向きにねじれてきて、非常に肩が一緒に内側に閉じてロックされてしまうやすくなるので、だからこの程度のことでも、関係ないじゃなくて、自分の間違ったフォームを改善していくためには、無理やりにでも、意図的に逆向きに変えていくといった行動が必要になってくるだろう。

    どうも藤浪投手は少し変わると安心して、他のところはもういいやといった感じになってしまいがちなので、そんなどころのレベルではないと。
    もうピッチングの基礎の基礎の部分から間違って構築されていってしまっているので、根本的な問題の解決には、それこそ土台の基礎から一からつくり変える必要があるのだという明確な認識を持たなければならない。




    ※藤浪投手の制球難の根本原因

    それともう一つ、この、体だけがステップして前へ出て腕が振り遅れるという問題は、藤浪投手をこれまでさんざんに悩ませ続けている彼の制球難を引き起こす最大の原因ともなっている。

    藤浪投手は9月9日(金)の横浜DeNAベイスターズ戦で、3回裏、先頭右バッターの伊藤選手に対し、普通のストレートがすっぽ抜けて伊藤選手の顔面付近にまた飛んで行くということがあった。

    そのときキャッチャーの梅野選手は外角低めに構えていたので、藤浪投手はそのアウトローを狙って投げたストレートが反対のバッターの顔方向に向かってすっぽ抜けていったことになる。
    するとその次の球では、今度は真ん中の低めくらいに決まって、3球目、今度は外角低めからさらに大きく外れてワンバウンドになり、はるか後方へと転がっていってしまった。

    つまり、同じところを狙ったボールが、それぞれの対角に離れて飛んでいったということ。
    これと同じようなケースは他の試合でも見られた。

    なんでこのようなことになるのか?

    それは、リリースポイントとなる、
    ここから、
    snapshot20221002122805

    ここまでの幅自体が広く大きくなってしまっているということ。
    snapshot20221002122829
    だから真反対の対角にそれぞれボールが飛びぬけていくことになる。

    なので、このリリースポイントの幅そのものを縮めることができれば、それだけでコントロールは現状から遥かに改善されることは間違いない。

    では、どうして藤浪投手はそのリリースポイントの幅が広がってしまうのか?

    で、それが、いちばん最初に戻って、「こうだから」ということになると。

    snapshot20221001123515

    腕が顔の前へと出るよりも先に腕の振りを始めることによって、その、「リリーポイントの幅が広く」ってしまうことになると。

    だから、それを改めるには「こうしなさい」と。
    snapshot20221001123852

    こうすることによって、「リリースポイントの幅が小さく、狭く」なる。

    こうれはもう絶対に間違いない。これしかない。



    ※マウンドとボールの違いで、形状記憶のように変わらない藤浪投手のフォームがどこまで変わるのか?

    いよいよメジャー挑戦を表明した藤浪投手だが、もちろん行くならもう絶対に行ったほうがいい。

    メジャーへと移籍した日本人投手のほとんどが、その後、日本とのマウンドとボールの違いによって投球フォームがそれに合わせて変わっているから。

    それも重心が低い藤浪投手にとって都合がいいように、その腰が上がってくるような投げ方に変わる。

    あとテイクバックも、「ショートアーム」になって、いわゆる「後ろが小さいフォーム」になって、後ろを大きく取るために肩と腰が入らなくなる藤浪投手にとってはこれまたたいへん好都合。

    今の根本から間違ったフォームが少しでも改善されれば、彼の持てるポテンシャルが遂にフルに発揮されることとなって、実戦での活躍も大いに期待できるようになる。

    が・・・、

    普通は、他の選手たちでは、みな当たり前のように変わっていくのだけれども、そこが・・・・・・。

    普通なら変わってくれるはずなのだが。普通なら・・・。


















































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    ※再び乱れだした制球

    前回9月3日(土)の巨人戦で6回3失点で負け投手となった藤浪投手だったが、今回9月9日(金)の横浜DeNAベイスターズ戦でも4回途中7失点という内容で敗戦投手に。

    前回抜けたカットボールが暴投となって三塁ランナーが帰って失点するなど、先発復帰後は安定していた制球が再び不安定になってきたきざしが見え始めていたのだが、今回のDeNAはそれが改善されるどころか、DeNAの代打オースティン選手に対し、二球連続の暴投で二人のランナーが帰って連続失点した挙句、後続にも連打で打ち込まれて4回途中でノックアウトという散々な結果に終わってしまった。


    ※暴投・すっぽ抜けの傾向と特徴

    藤浪投手の暴投やすっぽ抜けの傾向をみていると、

    ・カットボールはすっぽ抜け(右打者の顔付近に飛んでいくいつものやつ)

    ・スプリットは引っ掛け(右バッターのアウトローを狙ってワンバウンドになるやつ)

    になることが多い。

    オースティン選手に対しは、初球アウトローを狙ってスプリットがワンバンし後逸して失点。
    二球目も全く同じでアウトローを狙ってスプリットがワンバンして後逸して失点。
    そして結局、オースティン選手はストレートのフォアボールで歩かせてしまう。

    さらに先頭の桑原選手と続く関根選手にも連続ヒットを浴びて満塁となり、とどめは三番の佐野選手に2点タイムリーを浴びてここで降板。

    この間、梅野捕手の構えはすべて外角低めのアウトロー。

    オースティン選手には全部ボール球になってまったくストライクが入らなかったが、続く桑原・関根選手には逆にストレートが真ん中に入ってヒットされた。
    佐野選手に対しては2球続けてスプリットで、当りとしては打ち取ってはいたものの落ちが甘く、コースもやはり真ん中になってしまった。

    だから、決してストライク自体が入らない訳ではない。
    オースティン選手に対してはやはり、あまりにホームランを警戒しすぎたための四球だろう。
    ところが相手に打たすこともせず結局全員ランナーを返す結果になってしまって、これはぜんぜん意味がないフォアボールだ。

    桑原・関根選手にはオースティン選手ほどの脅威はないためかストライクゾーンの中には入ってきたが、それでも真ん中ではさすがにいい当たりをされてしまう。

    しかし佐野選手になればそうはいかない。が、スプリットでストライクは入っていた。なのだけれども打たれた2球目はほとんど落ちなかった。それを佐野選手は打ち上げてしまい、だからこれは佐野選手の打ち損じ。
    が、初球のスプリットも打ち上げてファウルにしていたので、たぶん2球目もスプリット狙いだったに違いない。ところが今度はそのスプリットの落ちが悪かったために、また打ち上げてしまったものかと思われる。
    けれどもその凡打に対し阪神野手のエラーが絡んでフェアになってしまった。


    ※普通のストレートでもなぜかすっぽ抜ける

    藤浪投手の失投・暴投の傾向は、カットやスプリットといった変化球の投げミスで出ることが多いのだが、この日の試合では、3回裏、先頭右バッターの伊藤選手に対し、ストレートがすっぽ抜けて伊藤選手の顔面付近にまた飛んで行ってしまった。
    けれどもそれは、普通のストレートだった。

    普通のストレートがなぜすっぽ抜けるのか?

    プロ野球解説者の佐藤義則氏は、この日の藤浪投手のピッチングについて、

    「腕が横振りになっていた」

    と語られていた。




    伊藤選手の打席で、梅野捕手はやはり外角低めのアウトローにミットを構えていた。

    なので、これは恐らく、

    「外角低めのアウトローを狙って腕が横振りに」

    なったがためのすっぽ抜けだったものと思われる。

    伊藤選手の2球目はこれもアウトロー指示だったが今度は真ん中のストライク。

    そして3球目、今度はストレートを引っ掛けてボールはワンバウンド。そのままバックネット裏のほうにまで飛んでいった。

    対角でおかしくなっている。それは、アウトローのラインに合わせて一緒に腕の傾きが縦から斜めに傾いて振られたからなのだろう。

    伊藤選手はバッターとしてそこまで意識するほどの相手ではない。ましてランナー無しの先頭バッターで。
    けれども前回の巨人戦で、すっぽ抜けの暴投から失点ということがあって、制球の不安について再び注目されるようになってきていたので、そのためこの日の試合ではすでに、最初からかなりナーバスになっている面があったのだろう。
    だからバッターとして心配の少ない伊藤選手のときにもかかわらず、コントロールの乱れが現われてきたのではないか。



    ※注意しようとすればするほど乱れるコントロール

    藤浪選手は、ランナーを出してセットアップになると、制球が不安定になるとはよく言われていた。
    佐藤義則氏もやはり同じことについて及されている。

    藤浪投手ももともとフィールディングや送球に難がある選手だったので、出したランナーを過剰に意識してしまう面があったと思う。

    だからやはりそうした様々な不安要素やミスに対してネガティブになったり意識すればするほど、それがコントロールの乱れにつながっていくのだろう。

    だから気にせずに投げればいいともよく言われることだが、気にしないわけにもいかない。

    故・野村克也氏がよく話されていたことだが、

    「不器用な選手のほうが大成する」と。

    不器用だから、できないからこそ、ではできるようになるためにはどうすればいいのかということを必死に考えるようになる。
    それが器用になんでもそつなくできてしまう選手ではそれ以上のことを考えなくなるから、そこから先の成長や進歩もなくなると。

    気にしなければならないことはずべて皆、注意しなければいけないことなので、だから藤浪投手を悩ませる心配や不安は、そうした問題をうまく解決することができない憂慮からくるものなのだろう。
    うまく対処や解決ができさえすれば、憂いも消える。
    憂いが消えれば、コントロールも安定する。

    で、そうした藤浪投手の心配や悩みを一挙に解消してくれるものがかつてのスライダーやカットボール、そして最近ではスプリット。
    本来のカットボールはスライダーとはぜんぜん違う球種の変化球だが、藤浪投手はどれも皆「落として空振りを取る」決め球として使っていた。

    そのスライダーで奪三振王のタイトルを獲ったこともある藤浪投手だが、不思議なのは本人はそれほど奪三振に対してこだわりがないということ。
    とにかく先ずは勝てればいいということで、どう抑えるかについては、そんなバッタバッタと空振りで相手を打ちとっていくというようなピッチングをどこまで追い求めているわけではないと。

    けれども結果として、バッターを空振りにしてくれる球種こそが、ランナーを出したくない藤浪投手にとってその不安を解消してくれる最良の球種になるので。
    ゴロも打たせたくない。ゴロを打たせれば捕球や送球の面倒が出てくるので。
    そうして最終的に、落として空振りを取るボールばかり投げるようになっていってしまう。
    いちばんそれで、ランナーも出さずにすべて終わってくれれば、それがいちばん安心。

    ところが、スライダーは投げているうちにどんどん手首が寝てきて、それがその後、藤浪投手をさんざん悩ませるすっぽ抜けの元凶となり、今ではもう思うように投げられなくなってしまった。
    スライダーを投げられなくなってからは、今度はカットボールを代替スライダーとして使うようになったが、これも結局同じような手指の使い方になるため、カットをそれまで使ってきたスライダーと同じような縦に鋭く落ちる変化球に近づけようとすればするほど、同じすっぽ抜けの症状が出るという結果になった。

    しっかり相手から空振りを取ろうと、意識すればするほど、肘が下がり、手首が寝て、横振りになり、ボールがすっぽ抜けていく原因に。

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    そして今度はスプリット。これが最近コントロールがよくなって新たな決め球として多用するようになったが、これもしかしうまくコントロールしようとすればするほど引っかかったり抜けたりで、コントロールが悪くなるのはフォームが崩れるからなのだが、しかし悪いことに、藤浪投手はそのフォームの崩れをその日のゲーム中に修正することができない。


    五十嵐亮太氏は「1球抜けたことによってその後に崩れるという印象がついてることもよくないんですけど、同じことが繰り返されているのにも関わらず修正できないところに問題があるのかなと思いますね」

    阪神・藤浪が7失点で自滅…五十嵐氏「修正できないところに問題がある」 - ベースボールキング

    メクニック的にいえば、その日のコントロールの崩れはその日のフォームに崩れが生じているからであって、そのフォームの崩れさえ修正できれば制球も安定を取り戻すはずなのだが、それをやろうとしてできないのは、本人でもその微妙な崩れを認識できないからだ。

    それはでも実際困難なことで、それは例えばきっちりコースに決めなきゃとか、もっとしっかり落とさなければとか、そういう意識が働くことによって勝手にズレていってしまう性質のものだから、だからそれをいくら、その状況から離れた練習で改善させたとしても、現場でまた自動的に戻ってしまう。



    ※速球オンリー、ど真ん中だけで勝負

    スライダーもカットボールもスプリットも、変化球としてはコントロールや変化のさせ方が難しくなってくるので、それならいっそもう速球系(ツーシームやカットファストボール)だけで勝負するようにすれば、おのずから暴投や失投も格段に減少させることができるにちがいない。

    けどそれは「ムービングファストボール」(動く速球)なので、ストレートに近い変化量の少ないボールであっても、決して簡単には打たれない。
    むしろそっちのほうが打つのが難しい。

    それは、現日本ハムファイターズの金子千尋投手が投げる「曲がりきらない変化球」と一緒で、大きく変化する変化球は投げられないが、しかしその大きく曲がりきらず少ししか曲がらない変化球が、相手バッターにとっては非常に打ちにくいボールになるのと一緒。

    バッターの手もとギリギリでわずかに変化しバットの芯を外して凡打にさせるということなのだが、バッターはこの手もとで小さく動くボールに対応するためには、スイングの始動をそのぶん遅らせて、「溜め」を作って打つようにしなければならない。

    けどそうすると、今度はその動く速球よりも速い普通のストレートに対し、ほんの半テンポでも振り遅れて差し込ませられるようになってしまう。

    藤浪投手の投げるストレートは、球速は速い割にバッターにとらえられやすいという欠点を持っている。
    だから藤浪投手はそのストレートをなかなかストライクゾーンに投げられず、アウトローを狙って、それで腕が横振りになってすっぽ抜けたり引っ掛けたりしてしまう。

    9日のDeNA戦では、牧選手に落ちが悪く真ん中に入ったスプリットをホームランされたが、牧選手はスプリットを意識して、そのわずかな変化をちゃんと視界の中とらえてで確認し見極めたうえで、変化の軌道にバットを合わせてスイングしていた。

    ということは、そのまま普通のストレートがきていれば、若干でも詰まったはずだ。

    その差で、打ち取れる。

    際どい勝負にはなるが、それでこそトッププロのレベルであって、わざわざ外を狙って、それが真ん中に入って痛打されていては話にならない。

    それなら最初からど真ん中を狙って、それが左右に小さく動いてくれれば、コースは甘くても打ち取れる確率は断然に高い。そっちのほうが。

    わざわざきっちりコースを狙って腕が横振りになってコントロールを乱すこともない。
    アウトローを狙って腕が横振りになるのだから、ど真ん中を狙って投げれば腕が縦振りのまま投げられてコントロールも乱れない。


    また、腕を縦振りのまま維持すべく、横振りになる変化球も使わない。スプリットも難しいので使わない。
    ただし、甘く入っても余裕のある場面でなら、投げればいい。
    余裕があれば、安心があれば、制球も乱れないので。

    今の藤浪投手を見ていると、非常にネガティブなイメージを持ちすぎで、DeNA戦後、藤浪投手は

    「ストレートに狙いを絞られて、うまく打たれてしまった」

    と、コメントしたが、ストレートを中に入れたらもう打たれるといった感じで、それで安心が欲しくて、大きな変化の球種ばかりに頼っていってしまう。
    けどスライダー系の球はフォームを崩しやすいし、スプリットも握力の消耗や肘への負担が高い球種で、そんなに多投はできない。

    だから一番はやっぱり、カットやツーシーム。カットボールは代替スライダーとしてのカットボールではなく、あくまで手もとの小さな変化で相手バッターの芯を外して打ち取るカットファストボールのほう。これは絶対に使えるようにしないと。





    意識して大きく曲げようとするからフォームが崩れる。

    それをしない。逆に無理に曲げようとしてはいけない、同じストレートの投げ方で、投げれば後は勝手に曲がっていってくれるというムービングファスト系のボールを覚えれば、藤浪投手の腕の横振り改善にも大きな役割を果たすにちがいない。

    普通のストレートを投げてもファウルにさせたり空振りを取ったりして打ち取れるという感触を覚えて自信にしていかないと。打たれると思って投げればもうそれだけで腕が振れなくなる。

    とにかく打たれるのを恐れて無理に大きく曲げようとしたりギリギリのコースを狙って投げようと意識すればそれだけで「肘が下がって横振り」になり、コントロールを乱したり投げるボール自体の威力がなくなる。


    肝心の場面で制球を乱す変化球の決め球では頼りにならない。

    けどそれも打たれやすい自分のストレートに対する不安が消えないからで、先ずはその基本のストレートに磨きをかけていくことが肝要だ。

    そのストレートもただ腕の振りを強くして早く投げればいいというものではなく、相手の手もとバッターの奥のほうで動く球を使って見せ球にしていけば、それだけで同じストレートにも確実に振り遅やタイミングのズレが出てきて詰まるようになる。

    曲げてその変化量で打ち取る方法とは根本的に異なるピッチングになってくる。
    でもその方法なら、縦振りの速球だけで勝負できるようになる。
    厳しいコースを狙おうとしてコントロールが乱れたり、難しい変化球を使って抜けたり引っかかったりするようなリスクも避けられるようになる。

    コースを狙ったり大きく曲げようという意識でフォームが崩れるから。
    技術で治せるのであればいいが、これはそのときどきの実戦におけるメンタル面からくるものなので、そのフォームの崩れを正すにはコントロールの練習ではなく、一番はやはり自分自身のストレートに対する不安を解消し自信を強めていくことこそが何よりの改善策だ。












































































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    ※スプリット多投の問題点

    9月3日(土)、藤浪投手の今期3連勝をかけた登板だったが、結果は7対1の大差で巨人に敗戦。
    藤浪投手は6回を投げて3失点の内容だったが負け投手に。

    調子自体は悪くなかったといい、試合後のプロ野球界説者の方々の評価も悪いものではなかった。
    その中で最も問題視されたのが、矢野監督も試合後にコメントしていた6回の、カットボールのすっぽ抜けによる3失点目の暴投。

    これは、8月13日の中日戦においても、ランナーニ塁のときにスプリットを引っ掛けて暴投となり、ランナーが三塁に進んだところを岡林選手にセーフティスクイズされて失点したときと同じようなパターン。

    より慎重にいきたいところでの暴投で、で、こういうときの暴投というのは、
    あまりに慎重に正確なコースを狙いすぎて失投になってしまうのか、
    それとも相手に打たれないように、より大きく曲げようとしたために起こる失投なのか、どちらなのだろうかと思っていたのだが、
    佐藤義則氏の解説では、曲げようという意識から手指に「力が入りすぎて、スナップが効かなくなって抜けた」のだろうということだった。

    「手首の柔らかさがなく、もう曲げたいというのが、指が曲がっていたので。手首の自由が利かず、抜けてしまった」





    しかし変化球というのはボールをリリースする際、より強い握力でガッシリと握り、その力強く握った手指の間からシュポっと飛び出していくような投げ方のほうがよく曲がるということなので、やはり大事な場面において、それが逆に作用して仇となってしまうのかもしれない。

    ただ、その次の日の試合で、阪神の西純矢投手が巨人の中田翔選手に打たれたツーランホームランで負け投手となったのだが、試合後矢野監督は、その前に歩かせた先頭バッターの丸選手に対するストレートのフォアボールこそ最も批判の対象としてとりあげていた。

    ところがその前日の藤浪投手の暴投による失点も、そのとき三塁にいたランナーは西投手とまったく同じに、ストレートのフォアボールで歩かせた先頭バッターの丸選手だった。

    藤浪投手は6回でそれが出て、西投手は7回だった。

    西投手が出したその7イニング目のフォアボールについて佐藤義則氏は、

    「知らない間に握力とか、そういうのが弱っていて、特にフォークボールとか多く投げるピッチャーは、やはり挟んで投げるので、指をすごい強く使うので、そのへんの握力の、早く弱っていくのはフォークボールを数多く投げるピッチャー。普通のピッチャーよりも早く握力がなくなる傾向にあるのは絶対なんです」

    と、その制球の乱れの原因は、フォークの多投による握力の減退が原因だと指摘されていた。





    けどそれでいうと、藤浪投手もまた、最近特に投げる回数の増えていたボールがスプリット(高速フォーク)だった。

    藤浪投手の場合は高速フォークになるので、より握力の消耗が早くなっておかしくない。

    藤浪投手では9月3日の巨人戦で6回にストレートのフォアボールが出たが、8月13日の中日戦でも6回にスプリットが引っかかって暴投になっていた。
    その日の試合ではその前の5回まで毎回奪三振を奪っていたのだが、それも5回までで、6回以降は奪三振も無しという結果だった。

    それと、スプリットといえば肘の負担が相当高くなる球種で、例えばメジャーへ移籍した田中将大投手も相手バッターを打ち取るためにスプリットの使用が増えて、それで当時の星野監督が「肘を壊すぞ」と言っていたのだが、その後やはり肘の手術になったりということがあった。

    佐藤氏は西投手のフォークの多投について、カーブだとかゆるいボールも途中で投げるようにして、もっと「休むボール」を使っていくようにしたほうがいいとの提案をしていた。

    藤浪投手にももちろんそうした配慮が必要になってくるだろう。

    ここ最近では特にそのスプリットのキレがよくなって、それで使う機会が頻繁に増えていっていたのだが、けどそのスプリットは効果でいえば右打者に対するツーシームと同じだと思う。

    スプリットのキレがよくなったことでよりブレーキが効いて打者の奥のほうで変化するようになり、バッターが思いきって踏み込んでスイングすることができなくなった。

    それがないと、藤浪投手が巨人戦で丸選手に打たれたようなホームランが出てくる。
    迷いの無いスイングで、来たと思ってブンと振られてバチンと大当たり。

    スプリットなら右バッターにも左バッターにも同じように使えるので、それでどんどん便利利用が増えていったのだろう。
    けどそれなら「カッター、カットファストボール」を覚えて使ったほうがよほど省エネ投球になると思う。

    それか、藤浪投手も梅野捕手もスプリットを絶対の必殺技のように使っている感じで、相手が躊躇なく踏み込んでこれなくしさえすれば、それでいいと思う。

    相手が踏み込みを躊躇して、軸足重心で前足でちょんちょんタイミングを取りだしたら、後は強いストレートで押して。
    反対に迷い無く踏み込んでくるようであれば、先にカットなりスプリットなりツーシームを見せてといった具合にして、消耗を抑えていく。

    DeNAの山崎投手が近年深刻な不振に陥っていたが、それも、それまで必殺武器として用いてきていたツーシームが年々相手バッターに対応されて打たれるようになっていって、それでもっとするどく、もっと大きく変化させなければと考えるようになって、それが結果としてフォーム全体に崩れになっていってしまったのではないか。
    そのフォームの乱れが制球の乱れを生むと同時に、ストレートの威力まで失わせていく。

    今シーズンの山崎投手は、かなりストーレートの威力が蘇ってきて、それに伴って徐々にまたツーシームの効果というものも復活してきたのではないか。

    だから魔球のように変化球の精度を追い求めていくより、肝心なのはバッターのタイミングを外すこと
    タイミングを外しさえすば、後は。

    藤浪投手が負け投手となった巨人戦でも、相手に決して強いいい辺りはほとんどなかった。
    みんな腰が引けてバットを遠くからちょんと出すようなスイングで。

    けれども、意外にそうした当りが重なって、毎回失点ですぐに3失点、4失点と積み重なってしまうケースもあるので、そのあたりのケアをどうするか。
    三塁にまでランナーが進んでしまうと失点につながる確率が格段に引きあがってしまう。

    が、そうしたランナーを意識すればするほど、力んで失投する確立も増えていってしまう。

    絶対的に打ち取らなければと力むより、相手のスイングをみて、この振りなら決していつまでも連打としてつながることはないと開きなおることも必要だろう。

    昔、戦国時代に梟雄と呼ばれた斎藤道三が油売りをしていたころ、一文銭の細い穴に高くから一滴もこぼさず通貨させてすごい評判をとったというが、そいう細い穴に一滴もこぼすまいと意識すればするほどどんどん力んで緊張していってしまう。

    別にそんな非常に困難なことでなくても、湯飲みに急須からこぼさずうまくお湯を注ぐようなことでさえ、意識すればどんどん緊張してガチガチに力んでくるようになる。

    で、そういうときには、急須からうまく湯飲みの口に注ごうとするのではく、もう注ぐほうの急須は無視して、湯のみの口しか見ずに、その湯のみの口に、上から注がれてくるお湯がどう入ってくるかだけを見て調整すると、不思議に緊張もなくうまく注ぐことができるようになる。

    ピッチングでも同じかどうかはわからないが、いわゆる緊張が生じる原因は「主体か客体」かに根本の原因があるように思える。

    自分自身が「主体」として、意識的に自覚的にその行動を取ろうとすればするほど、かえって力みや緊張が激しくなる。
    だからよく失敗した人に、何でそんな失敗するんだ!もっと気をつけろ!と、責めれば責めるほど、動きが「主体的」「意識的」になって、逆にどんどん追い詰めていってしまう。

    そうではなくもっと自分の行動を「客体的」に、「メタ」な視点からとらえるようにして、外科の手術を、医者の視点ではなく患者の視点、というよりその傷口の視点で、その傷口がああなってこうなって、ああしたりこうしたりしているのは自分なのだが、そんな感じに、ミットに投げ込んだボールの動きを見るのではなく、ミットに外から入ってきたボールを自分でながめる、そういった視点の変更が、こころの平静さにいいように思える。





























































































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