本の世界

本を読むこと、きっと「人間」にしかできないことですね。一冊の本がときには人の運命を変えることさえあります。 一冊の本の世界には冒険やまだ見ぬ世界への誘惑・憧憬があり、私達の心をワクワクさせます。

小説など文学が中心の読後感想を掲載しています。何冊心に残る「本」に出会えるのでしょうか。訪問者の皆さん、いい「本」に出会えたらご紹介ください。ルポルタージュやエッセイももちろん読んでいます。最近は、写真集にも興味が湧いてきました。特に遺跡などに惹かれますね。「隣」の芝生<文化や遺跡、人々の生活など>がよく見える!?といわれますが、現地へ行ってみないと自国の良さも分からない。

気の利いたお酒ともに芳醇な時を

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ワインを飲み干した後に、「隠し蔵」という鹿児島の麦焼酎をいただきました。
このお酒、少し重めというかコクがありますね。
オンザロックでも、水割り、お湯割りでもいけます。

『土の記』は辞書を手元に置いて読みましょう。
スマホに辞書アプリをインストールしておくと便利です。

文学とともに、酔いしれて寝てしまうことも、人生の楽しみなり。

夜の朗読会

台風が去り、東京はさわやかな日々です。
昨日は木枯らし1号が吹いたとか。
では、2号、3号があるのでしょうか。
2号が来た、とは聞いた覚えがないが。
木々の木の葉は急に色づき始めたようです。

乃木坂のとあるバーにあるスタジオで朗読が催されました。この写真の地下が会場でした。

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最近読み聞かせや朗読が盛んに企画されているようです。

田中泰子さんの朗読会です。
・藤沢周平の「猫」「ふたたび猫」
・太宰治の「津軽
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合間に布川事件無罪判決を勝ち取った桜井さんとサトウハチロウーさんの詩。

猫シリーズでは、「みたび猫」「おしまい猫」とあります。収録は『本所しぐれ町物語』。
小説「津軽」は昭和19年に3週間にわたる津軽旅行を題材としたもので、乳母に会う話。朗読はその最後の部分。戦時中でもあり、平和の在り方が迫ってきます。

大変に贅沢な素敵な一時間半でした。田中さんは舞の心得もあり、いつもその仕草、振る舞いを注意深く観察させていただいています。始まる前の彼女の緊張感が胸に迫ってくるものあり、これが生のいいところだといつも思っています。

読むという行為もいいが、こうした時間に身をゆだねて聞くということで想像力が掻き立てられます。今回は飲みながらでもいいというので、僕は小さなワインボトルを持ち込んで聞きました。「眠ってもいいですよ」などと聴衆に気安くを声をかけてくれる優しさにほっとしながら、本当に聞きほれて深い眠りにつきそうになりました。

田中さん、贅沢な時間をありがとう。

終わった後には、
隣のバーで久しぶりにお会いした製造業の経営者の方と23時過ぎまで語り合いました。
故郷は違うが、同い年でもあり、静かなバーで心ゆくまでウィスキーを飲みながら過ごしました。
ウィスキーの琥珀色には何とも言えない郷愁があります。

そういえば、驚いたことがありました。
スタジオの場所から500メートルくらい先でしょうか、小学校がありました。
地下鉄赤坂駅に向かう途中です。
若い母親と子供たちの姿が散見されるのです。そして子供たちの騒々しい声に満ちていました。僕の住む街で、夕方6時過ぎにこうした光景や声を久しく聞いたことがない。しばし心が暖かくなりました。
よくこの界隈の街の様子を見ると、子供向けのスポーツスタジオがあり、そろばん塾があり、英語塾などが結構あちこちにありました。なるほどお迎えの時間帯だったのか。だだっ広くなりつつある街の姿よりもこうした6畳ひと間的な空間のある街は何とも心地よい。

赤坂駅の近くにこんな店もありました。

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そこら中に危険(デンジャラス)がいっぱい

デンジャラス』桐野夏生著、中央公論新社。

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言わずと知れた文豪谷崎潤一郎と妻、その妹、娘、嫁が一緒に住む館でのそれぞれの心理を描写した小説。谷崎誕生130周年記念作品群の一つだそうです。

いったい何が危険なのだろう?
と思いながら読み進めました。

ある一線を越えることが危険?
それならば、いたるところに危険がいっぱい。

もしかしたら小説の言外に実際に起きたことを暗示させているような気もします。
読者の、少なくとも僕の想像力ではそうしたことを想定しながら重子の告白(この小説)を読んでいました。

谷崎を女中の一人が「色ボケ爺」というわけですが、ドキッとしました。
朝にはいまだに勃起する自分のことではないか。

第3章「狂いけん人の心」には、谷崎の詠んだいくつかの和歌があります。

飼い猫の身をうらやみて狂いけん人の心は我のみぞ知る

薬師寺の如来の足の石よりも君が召したまふ沓の下こそ

これほどの感情を表現できる70歳を超えた翁がうらやましい。
これが人なのでしょう。

それにしても桐野さんの想像力には脱帽です。

「R帝国」は僕たちの身近に存在するかもしれない

R帝国』中村文則著、中央公論社。
僕たちの「世界」の成り立ち、悪の構造(転じて善の構造)を読み解く絶好の小説だと思う。

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教団X』では、「宇宙」と「生命」の姿を理解していくために、多くの言葉が費やされていた。僕たちの生きている世界(今までの歴史も含めて)や宇宙の存在を理解しておかなければならないからだ。そうしないと、これからの未来に希望をつなぐのは無理かもしれない。

ちょっとしんどいかもしれないが、この2冊は必読だ、僕は思う。

前の日の夕刊、今朝の新聞を読むと、どちらも毎日新聞だが、様々な出来事がどのような関係性を持っているのかを考える枠組みを与えてくれているように思う。

世界と日本、特定の国と日本。
日本の歴史と特定の国の歴史、世界の歴史。
生命とはどんな存在なのか、宇宙とのかかわりはどのようなものなのか。

ゴーギャンの次の言葉じゃないが、これらの小説から、自分なりの仮説を立てることができるのかもれない。

我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか

身近な国「日本」。
その隣に韓国、北朝鮮、中国、台湾、ロシアがある。

出来事の背景がわからないと言ってはいられない。
わかったからどうしようというものでもないのか、何か行動を起こせるのか?

一人で決めていくしかない。

『教団X』は僕たちの今と過去と未来の「現状」を映し出している

教団X』中村文則著(集英社文庫)
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さて、この本についてどんな感想を言えばいいのだろう。
多様性を重んじる生き方がいかに勇気が必要で、不断の行動を促しているかを痛感する。

本の最後に「主な参考文献」が掲載されている。
  • 仏教、キリスト教、原始宗教などで10冊。
  • 脳や生物に関するもので6冊。
  • 宇宙や物理学に関するもので7冊。
  • 日本の歴史、アフリカ、世界状況に関するもので20冊。
  • Webサイトでは「VICE japan:The CAnnibal Warlords of Liberia,Prostitutes of God,」
これらの文献を読後にいくつかを読んでみたいと思った。

この小説に登場する「教祖の奇妙な話」というのがある。
文庫本のページを示しておこう。
42ページ
50ページ
80ページ
90ページ
138ページ
145ページ
182ページ
199ページ
477ページ

これを読んで自分の考えの整理に役立てよう。

ブログで読了本についてシェアできる喜び

巡り会った本、読んだ本のことについて、いろいろと書いているわけですが、ここ数年は書く意欲が減退していますね。本を読んでいないわけじゃない、時間がないわけじゃない。書いたり、記録したりすることが億劫になっているんですね。

でも、間が空いても続けましょう!
同じ本を読んだ人と共有できる「こと」が時空を超えて「存在」していると感じられるから。

僕の場合、本の情報収集は、
おもに、立ち寄った書店や新聞の書評欄や広告です。
次に友人からの情報、
そしてネット関連(SNS、メルマガなど)です。

さて、読んだ本を思い出してみよう。

黒書院の六兵衛(浅田次郎)
これは読んでおきましょう。
世の中の流れはひたひたとやってきて、いつの間にか、いろんなものをどうしようもなくさらっていく。
普通の人、いや、それなりに鍛えられた人が主人公だが、何も言わない。
時には自分なりに抗ってみたい、そんなときにこのような心構えで動くことができるだろうか。
面白い。

君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい(浅田次郎)
浅田節炸裂の軽妙なエッセイです。
世の中まんざら捨てたものではないぜ、元気出せ!

かわいい自分には旅をさせよ(浅田次郎)
浅田氏のエッセイを読むといつも思うのですが、どこまでが本当でどこまでが嘘なのか、嘘が混じっているのではないか、と思ってしまいます。それが浅田次郎という作家の魅力なんですね。
歴史・時代小説ですっかり騙されてしまって、やられた!と思うことがたびたびあります。所詮、小説は嘘なんです、本当かな?とまた思わせてしまう。
それでも、読んだ後の読後は清涼感があります。生きていく上で大切なものを得たような気がします。 幸福な少年時代、生き別れた母のこと、競馬、小説の奇蹟。人気作家の人生の風景に酔う、単行本未収録多数の傑作エッセイ集。

月のしずく(浅田次郎)
美しく、大切にしなくてはいけないものがこの手からこぼれ落ちないように、きちんとつかんでおかないと。

月島慕情(浅田次郎)
つい見逃してしまうような振る舞いにはとある理由があったかもしれない。もし、そうならどうして忘れられようか。その宝物を決してなくさないように、しっかり抱えて歩いていこう。

夏井いつきの超簡単俳句塾(夏井いつき)
プレバトで人気の「先生」です。
超簡単?もちろんそんな簡単なことではありません。
実際に作ってみるといい。思うようにいかないものです。でも、何らかの型というか作っていくための枠組みのようなものがあると、ないとでは取り組み姿勢も随分と違ってくるでしょう。

室町無頼(垣根亮介)
ちょっと「宮本武蔵」を連想しました。
揺れ動く時代に生きる青年の生きざまを描いています。
多感な青春時代に、時の流れに翻弄されるのはいずこも同じ。

応仁の乱(呉座勇一)
室町無頼』を読んで、いったい応仁の乱とは何だろう?と思って手に取りました。
どんな時代だったんだろう?
時の為政者たちは、何もできない状態だったですね。

脳が読みたくなるストーリーの書き方(リサ・クロン)
この本を読んでから、様々な本を読むうえで、作者はどんな仕掛けを意識しているのかな?と思うようになりました。
この本、おすすめ!!!!!

マチネの終わりに(平野啓一郎)
純文学というものに接していく場合、少しの忍耐がどうしても必要です。テレビドラマやアクション映画のように最初から読者をひきつけるような書き出しは比較的少ないからです。
物事が起きていく場合、様々な伏線があります。それは現実の人生であれば無数の糸で編まれているようなものです。どこかで切れたり、ほつれたり、絡まったりします。これからどうなるのだろう?読者は自分の想像が掻き立てられるところに醍醐味があります。ある結末に向かって数本の糸をたどっていくことになります。

どんな小説にも何かのメッセージを発見するものです。
時は流れるという仮説でいうと今は二度とやってこないし、過去には戻ることはできない。いつも常に時は進むだけです。そして僕たちは確実に死に向かって歩んでいます。僕たちの宇宙にあるものはすべて形あるものは壊れ、生あるものは死に、空になっていきます。

過去の事実は変えられないが、その意味を変えることで、過去の表情を変えることができる。

こんな一つのメッセージを受け止めました。
大変都合の良い解釈です。人の脳はそのように意味づけをして、死に向かいながらも、これからの生の選択肢を探っているのでしょう。

このような小説をじっくり読んでいくと「脳が読みたくなるストーリーの書き方(リサ・クロン)」で解き明かしている物語の構造を知っておくといいですね。本を読むのが別な意味でも楽しめます。


醤油・味噌・酢はすごい-三大発酵調味料と日本人(小泉武夫)
辛みその通販もやっているので、興味深く読ませていただきました。

大前研一のビジネスモデルの教科書(大前研一)
さすがに大御所ですね。
自分の思考を大胆に提示しています。
考えながら読むことで、ビジネスモデルの勘所が、つかめた気になるから不思議。自分のいる現場ではどうしても思考停止してしまうから、こういう本も読んでおくことが必要ななんですね。

土の記(高村薫)
文学です。読み進めていく上で、僕の場合、我慢が必要でした。
文章を楽しみながらというわけにはいきませんが、何を表現しているのかを確認しながら読みました。
友人から勧められました。
辞書を引きながら読む小説はそうなかった、そうです。僕も同感。
マチネの終わりに』でも何回か辞書が必要でした。この小説は読み始めてすぐに辞書を側に置きながらでないと前に進まない。
いやー、文学って辞書が必要なんだ!
我慢するとはそういう作業も必要だという意味です。

また、文章や文体も随分と気なってきます。
情景を含む様々な描写は、「文学的表現」だとよく言われるように、これからのことを暗示したりするイメージを掻き立ててくれます。

そしてなかなか「事(こと)」が起こらない。いつ何が起きるのか?いやすでに起きているのか?

男の作法(池波正太郎)
読んでおけばよかったとつくづく思う本ですね。 
単に男として年齢を重ねてばかりで中身のない薄っぺらな自分を恥じるのみ。
30代、40代の方の必読書です!
タイトルに「男」とありますが、女性にとっては男の生態を知る手掛かりになるでしょう。 

古文の読解(小西勘一)
タイトルと著者を見て、なつかしいと思う方は僕と同じ世代かな。
当時僕の彼女が普通高校に通っていて、「古文」の勉強をしているというので、どんなものかと思って購入しました。おもしろかった!たまたま本屋の店頭にあったので、甘酸っぱい思春期が頭をもたげてました。今読んでも内容が素晴らしい!小西先生の話口調が絶妙!日本の歴史の勉強にもなります。
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