3月5日の山口県議会の一般質問で、県の外郭団体である(財)山口県振興財団が保有する時価1000億円超の中国電力株について、危機的な県の財政難を受けて売却の意志を問われ、二井関成知事は「県民の貴重な財産」と強調した上で、「さらなる有効活用についても検討しなければならない」と、株式売却の可能性を示唆したようです。
 山口県は1951年に中国電力が発足する際に、県有の発電施設と引き換えに中国電力株を取得し、その後増資して現在は4950万株を保有、筆頭株主として全株式の13.3%を占め、2位の日本生命保険(6.2%)以下を大きく引き離しています。この中電株の管理・運用を行なう山口県振興財団を経由して、山口県は年間約25億円の配当金を得て一般会計に組み入れてきたそうです。過去最悪と見込まれる2009年度末の県債残高1兆1974億円という借金を抱え、今後は配当による利益のみでなく、売却も検討する必要が出てきたようです。

 参考までに、以下に全国10電力会社の筆頭株主と持株比率を示しましたが、山口県が保有する中国電力株の比率は圧倒的に高いことが分かります。公益事業を行なう民間大企業の電力会社と、その事業の許認可を行なう県が筆頭株主の関係にある中で、どこまで事業の公明性を保てるのか疑問も持たれています。

北海道電力:日本マスタートラスト信託銀行(6.1%)
東北電力:日本トラスティ・サービス信託銀行(4.9%)
東京電力:第一生命保険(4.1%)
中部電力:日本マスタートラスト信託銀行(6.5%)
北陸電力:富山県(5.1%)
関西電力:大阪市(8.7%)
中国電力:山口県振興財団(13.3%)
四国電力:日本生命保険(3.8%)
九州電力:明治安田生命保険(5.0%)
沖縄電力:日本マスタートラスト信託銀行(5.6%)

●読売新聞(09.03.06)山口県に埋蔵金? 外郭団体の中電株、時価1000億円超
●中国新聞(09.03.06)山口県、中電株の売却検討へ
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