活断層マップ
中国電力「上関原子力発電所1号機の原子炉設置許可申請について(概要)」より作成

 中国電力は、09年12月18日に提出した原子炉設置許可申請の中で、耐震設計上考慮する活断層を公表し、上関原発予定地の西約2km沖、祝島とのほぼ中間地点に、マグニチュード6.8の地震を起こす可能性がある活断層(F-1断層群)が南北6.8kmに渡って走っていることを明らかにしたようです。また、半径30km圏内には、マグニチュード6.3〜7.1の地震を起こす可能性のある活断層が5つあるとされているようです。

 中電は原発の耐震性に問題はないとしているようですが、これに伴い上関原発の耐震設計の基準となる揺れは800ガル(ガル:galは地震動の加速度で一秒間にどれだけ速度が変化したか表す単位)が想定され、東海地震の被害が懸念されている静岡県の浜岡原発と同レベルの高い耐震性が求められることになったようです。
 このほか、原発予定地の南東約5kmの位置にある活断層(F-3断層群)や、祝島の南方を走る活断層(F-4断層群、F-5断層群)、岩国市や下松市の内陸部を走る活断層(岩国断層帯〜五日市断層)などを「主な活断層」として、評価に盛り込んでいるようです。

 中電は09年7月から2ヶ月間ほど活断層の追加調査を行い、解析を進めていましたが、結果は原子炉設置許可申請後に公表するとしていたため、今回の申請で初めて活断層の存在が発表されたことになりました。原発立地周辺の活断層調査をめぐっては、2007年に中越沖地震(M6.8)で火災を起こし放射能が漏れた柏崎刈羽原発で、国や東京電力が活断層の存在を公表しなかったり過小評価していたことが明るみに出ており、国の審査や電力会社による調査の信頼性が問われています。

●朝日新聞(09.12.19)上関原発に許可申請 計画27年、「活断層問題ない」
●JANJAN(07.12.9)柏崎刈羽原発「震災」の影響(3)隠していた活断層:東電・保安院による過去の隠蔽(活断層調査)をあぶり出し

「田ノ浦と祝島の間に断層」 祝島の山戸孝さんのトーク