上関原発 情報ストック

山口県熊毛郡上関町(かみのせきちょう)に中国電力が計画中の上関原子力発電所に関する情報を紹介。現地の状況、関連ニュース、イベント、裁判情報など、マスメディアでは広く報道されない情報を記録し、ストックしています。
※当ブログ記事は上関町周辺に住む複数の有志記者によって作成しています。※リンクや記事引用はフリー。写真は無償提供も可能ですのでご相談下さい。※掲載内容に不都合や間違いがあればご指摘下さい。※お問い合わせはnew.kaminosekiアットマークgmail.comまで。

何を伝えるのが目的? 光市で国主催のエネルギー講演会

 1月16日、中国経済産業局と光商工会議所が主催する原発推進の講演会「エネルギー新春特別講演会」が光市民ホールで開かれ、約600人の市民が訪れました。この講演会は、上関原発計画の理解を求めるために電源立地推進調整等委託事業として行われている国の事業です。しかし、1月8日に柳井市で開かれた同事業の「エネルギー講演会」とは打って変わって、原子力発電や上関原発計画にはほとんど触れられず、自然エネルギーの欠点を説明することや、現代社会のライフスタイルに疑問を投げかける内容が中心でした。

 一人目の講師、(財)電力中央研究所の中岡章氏は、「暮らしとエネルギー・環境問題 〜私たちは何をすればよいのか〜」と題し、エネルギー問題や地球温暖化問題の概要を身近な例を紹介しながら説明した後、「脱化石燃料」「化石燃料の効率利用」「省エネルギー推進」の3点からの解決策を紹介しました。
 化石燃料の代替エネルギーとしては、現在の太陽光発電や風力発電、バイオマス発電などの欠点を解説し、自然エネルギーだけでは供給不可能という持論を展開しましたが、原子力発電については「安全・安心・信頼を絶対守っていただきたい」と短く述べただけで、欠点には全く触れませんでした。また、豊富な未利用資源として期待されている地熱発電や小規模水力発電についても一切触れられず、既存の自然エネルギーの否定に始終した印象でした。省エネルギー推進の面では、家庭で消費される全エネルギーのうち、冷房のエネルギーはわずか2%であることを示し、「冷房の設定温度にケチケチする必要はなく、暖房や給湯に使われるエネルギーを節約すべき」と述べ、自財団の開発製品であるヒートポンプ式電気給湯器「エコキュート」を勧めました。しかし、真夏の最大消費電力の要因である冷房の節約は不要という主張は、あまりに乱暴ではないでしょうか。
 全体としては、豊富な資料をスクリーンに映しながらのソフトな語り口で、分かりやすい講演だったと思います。

 二人目の講師、東京大学名誉教授の養老孟司氏は、スクリーンの資料は使わず、演台の前に出て来場者に語りかけるように講演しました。「考えるということ 〜未来のエネルギーについて〜」という演題のもと、石油を巡るアメリカの政策や戦争の話、木材を燃料にしていた江戸時代はハゲ山だらけであった話などを挙げ、経済成長への過剰なこだわりや多すぎる人口を指摘し、趣味の昆虫採集の話題と絡めて、冗談交じりに話を進めました。
 中でも時間を割いて説明したのが、「どこかに秩序をつくれば、必ずどこかに無秩序が生じる」という理論です。図書館の本が散らかったら、閉館中に整理して再び開館するように、人間は起きている時に秩序を保つために使われた脳みそを、寝ている時に同等のエネルギーを使って元に戻しているという話を紹介しました。「しかし、文明は眠らない」「エネルギー問題は人間の意識の問題である」と締めくくりましたが、最後まで原子力発電の話題には触れられず、その答えは来場者に委ねられた形です。
 養老氏が言う「冷暖房で気温を年中一定にしたがるのも“秩序”」という論理に従えば、無秩序が生じるのは、そのための莫大な電力を生産する場なのかもしれません。

 なお、この講演会の電力はグリーン電力で賄われ、来場者には記念品のボールペン2本とアンケート用紙が配られました。

光エネルギー講演会

柳井市の原子力推進講演会で上関原発の必要性をアピール

 1月8日、山口県柳井市の柳井クルーズホテルで、中国経済産業局と柳井商工会議所が主催する原子力推進イベント「エネルギー講演会」が開かれました。この講演会は国の電源立地推進調整等委託事業として、上関原発の理解を求める目的で行われているもので、会場には50〜70代を中心とした市民ら約300人が集まり、2時間半に渡る講演を聞き入りました。

 1人目の講師、京大原子炉実験所の山名元氏は、「原発は恐ろしいというイメージは、数値的な根拠や広い視野を伴わない感情的な誤解だ」と述べ、地球温暖化やエネルギー自給における原子力の有用性や、自然エネルギーだけでは安定した電力供給は不可能であること、統計的な事故発生率の低さなどをスクリーンの資料を使って説明しました。新潟県中越沖地震の被害を受けて停止中の柏崎刈羽原発も紹介されましたが、「原子炉建屋内では全く問題はなかった」と断言し、逆に原発の丈夫さをアピールしました(※実際には6号機建屋内で天井クレーンの車軸が破損するなど深刻な被害が見つかっていますが全く触れられませんでした)。最後に、放射線を感知して音を発するガイガーカウンターを取り出し、自然界の放射線を現在も浴びていることを来場者に実感してもらいました。数値や理論を前面に出した内容であったため全体的に難しく、来場者の反応も比較的静かでした。

 2人目の講師、中国電力執行役員の西本正英氏は、中国電力の電力需給の実態や、上関原発の詳細調査の進ちょく状況などを説明し、上関原発の完成予想眺望図などを披露しました。スクリーンでの資料紹介が中心で、淡々と手短に報告していく内容でした。西本氏の退場時に、司会が「感謝の気持ちを込めて盛大な拍手をお願いします」と述べたことにやや違和感が感じられました。

 3人目の講師、作家・エッセイストの神津カンナ氏は、前二者とは一転してユニークで明るい論調で切り出し、会場は何度も笑いに包まれました。自己紹介や家庭内でのエピソードに始まり、上関原発予定地を見学した感想や、ボートピープルが日本の豊かな水に感嘆した話、食料自給率40%の日本が大量の食料廃棄をしている話、原子力やエネルギーに関する考えなどを順に話しました。原子力発電については、「現在の日本は原子力を選択するのは致し方ない」「それが最大の選択肢」などと述べ、ドイツ、スウェーデン、フィンランドなどの脱原発政策が遅れ気味であることや、自然エネルギー100%のアイスランドは特殊な条件下であることを挙げ、ヨーロッパとは環境が異なる島国・日本における原子力発電の重要性を主張しました。放射性廃棄物の問題など原子力発電の重大な欠点には全く触れられませんでしたが、具体的な数値を次々と挙げて説明する神津氏の語りかけに、来場者も大きくうなずいて考えさせられていたようです。

 なお、この会場の電力は日本風力開発(株)のグリーン電力で賄われ、来場者全員に記念品のボールペンと、講演内容の感想を問うアンケート用紙が配布されました。

柳井エネルギー講演会

国主催の原発推進講演会、1月に柳井と光で開催

2009年1月、著名人を招いた国主導の原子力推進イベントが柳井市と光市で相次いで開催されます。1月8日に柳井クルーズホテルで開かれる「エネルギー講演会」では作家の神津カンナらが、1月16日に光市民ホールで開かれる「エネルギー新春特別講演会」では脳生学者の養老孟司らがそれぞれ講師をつとめます。いずれも上関原発計画の理解を求めることを目的に、中国経済産業局(経済産業省の窓口機関)が「電源立地推進調整等委託事業」の電源地域振興指導事業として行うイベント広報事業で、平成20年度は柳井商工会議所、光商工会議所がそれぞれ約300万円で落札しています。詳細は下記リンク先のチラシをご参照下さい。

『エネルギー講演会』
「しなやかに現在を生きる〜身近なエネルギーと環境問題〜」神津カンナ(作家・エッセイスト)
「地球温暖化と原子力」山名元(京都大学原子炉実験所)
「上関原子力発電所1・2号機、島根原子力発電所3号機の現況について」西本正英(中国電力電源事業本部原子力建設担当部長)
日時:2009年1月8日(木)14:00〜16:30
場所:柳井クルーズホテル(山口県柳井市南町4-1-1)
参加費:無料
主催:中国経済産業局、柳井商工会議所(tel.0820-22-3731)
チラシ(PDFファイル)

『エネルギー新春特別講演会』
「暮らしとエネルギー・環境問題〜私たちは何をすればよいいのか〜」中岡章(電力中央研究所)
「考えるということ〜未来のエネルギーについて」養老孟司(脳生学者・思想家)
日時:2009年1月16日(金)14:00〜16:00
場所:光市民ホール 大ホール(山口県光市島田4-13-15)
対象:光市内にお住まいか勤務先を有する方
定員:先着800名(2008年12月26日締切)
申込:チラシの申込書に記入の上、光商工会議所まで持参。
主催:中国経済産業局、光商工会議所(tel.0833-71-0650)
チラシ(PDFファイル)

山口県が政府要望で上関原発関連を初めて盛り込む

12日、山口県は来年度予算編成に向けた政府要望の概要を発表し、上関原発の安全性の確保等について、初めて政府要望に盛り込みました。上関原発に関する要望内容は、原子炉設置許可申請の厳格な審査、活断層の厳格な調査、平成13年に県が要望した項目への対応、カンムリウミスズメ調査に対する指導の4つで、また、上関原発に反対する多くの意見書・要望を受けたことについて、二井山口県知事はその内容を国に伝えると話しました。二井知事は、13日に国の関係府省庁に要望を出しました。以下に、山口県の公式ホームページ内より重点要望の内容を転載します。

 * * *

「上関原電計画に係る安全性の確保等について」

(経済産業省/資源エネルギー庁/原子力安全・保安院/
原子力安全委員会/文部科学省/文化庁)

上関原子力発電所計画については、現在、事業者において原子炉設置
許可申請に向けた詳細調査が実施されているところである。
こうした中、山口県においては、本年10月22日、発電所用地確保のた
めの公有水面埋立免許を行ったところであるが、審査の過程で、原子力
発電所の安全性など、今後、国において厳格な審査が行われるべき事項
や希少動物の保護等に関する意見書、要望等が多く提出されたところで
ある。
また、昨年7月の新潟中越沖地震により発生した東京電力柏崎刈羽原
子力発電所の被害等により、地元をはじめ県民の間には、今なお、原子
力発電所の耐震安全性についての不安感が残されている状況にある。
いうまでもなく、原子力発電は、国及び事業者の明確な責任において、
安全性、信頼性の確保を大前提に国民の理解と協力を得て進められるべ
きものである。
ついては、上関原子力発電所計画の安全性の確保等に関し、次の事項
について要望する。

1 原子炉設置許可申請について厳格な安全審査の実施
2 事業者に対する活断層の入念な事前調査の指導の徹底と地震に
より得られた最新の知見を反映した厳格な安全審査の実施
3 平成13年4月、電源開発基本計画の組み入れに際し、国に提出
した知事意見における安全確保等6分野21項目の要請事項に対す
る誠意と責任ある対応
4 事業者が実施する天然記念物カンムリウミスズメの繁殖確認調
査に対する適切な指導

 * * *

●山口県 知事記者会見録(08.11.12)
●山口県 平成20年11月政府要望について
●読売新聞(08.11.13)上関原発関連初の要望 政府予算 県、重点項目を発表
上関原発問題について


 上関原発は、山口県上関町長島の田ノ浦(上写真)を埋め立てて建設予定の原発計画です。1982年に計画浮上して以来、賛成・反対で地元は分裂し、対岸の祝島(写真右)住民を中心に反対運動が続けられ、着工はこれまで8度延期されています。
 周辺にはスナメリやカンムリウミスズメなど数々の絶滅危惧種が生息する瀬戸内海随一の自然が残り、埋立中止を求める裁判が係争中です。県外ではほとんど報道されないこの問題を、電力を使う全ての人に知ってほしいと思います。

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