12月15日、中国電力は上関原発予定地の海面埋め立て工事(敷地造成工事)で、反対派の妨害を受けて工事が遅れて損害が出たとして、上関町祝島(いわいしま)の住民2人と町外のシーカヤッカー2人に対し、総額約4,790万円の損害賠償を求める訴訟を山口地方裁判所岩国支部に起こしたようです。中電によると、11月5日から11日にかけて、4人は埋め立て予定地付近に漁船やシーカヤックで侵入し、作業船を囲んだり、船に乗り込んだり、アンカー設置のためのワイヤーにつかまるなどの行為をしたとし、作業を中止せざるを得なかったため、作業員の人件費や作業船の手配料などに損害が出たと主張しているようです。

 これに対し原発に反対する住民側は、「住民の理解を求めると言いながら、住民に損害賠償を求めたことになる。前例のない暴挙ではないか」「地域住民の理解を話し合いで得る気がないと分かった」「損害賠償という圧力で反対運動を抑えようとしている。対話しない姿勢は許されない」などと強く反発しているようです。

 敷地造成工事に対する抗議活動をめぐっては、中電は09年10月9日に反対派住民ら39人に対し、妨害禁止を求める仮処分を申請していますが、その結論が出る前に提訴に踏み切ると形となりました。また、今回訴えられた1人は、中電側の作業員にケガを負わされたとして傷害容疑で中電社員らを山口県警に告訴(09年11月18日)しているほか、祝島住民や周辺住民らが山口県に対して埋め立て許可取消を求めた裁判2件(09年10月20日09年12月2日)が現在係争中です。

 中国電力は、「仮処分申請後も妨害行為が続いており、今後も続く可能性が高い。損害も甚大になるので、厳正な対処を望んだ」「地元住民を提訴するのは本意ではない」などと説明しているようですが、自社の利益やスケジュールを優先した形の今回の提訴は、中電が度々述べてきた「住民の理解を得られるよう努力する」という主旨と矛盾するとの批判が強まるのは必至で、公益企業としての今後の対応が問われそうです。

●中国新聞(09.12.16)原発建設妨害で中電が提訴
●毎日新聞(09.12.16)山口・上関原発建設計画:「工事妨害」 中電が反対派4人を損賠提訴
●読売新聞(09.12.16)「上関原発工事を妨害」中電、住民らを賠償提訴
●朝日新聞(09.12.16)中国電力、賠償求めて反対派提訴 上関原発計画