2011年02月
前回のデビュー戦の後に書いたブログが、
ねわざワールド本部の大賀先生に取り上げていただき、
一部で好評だったみたいなので、調子に乗ってまた書いてみる。
スポーツ歴の無い俺が
35歳で柔術をはじめた。
格闘技歴どころか、
スポーツ歴すら無い人が
柔術をはじめるとどうなるか?
スパーリングで面白い様に関節技を極めまくられる。
とにかくボコボコにやられる。
相手から一本取る技を教えてもらった所で、
スパーリングになれば、
相手から一本取られない事で精一杯である。
「勝つ為の練習」ではなく、まずは「負けない為の練習」である。
通常なら、そうこうしているうちに新人が入ってきて、
「負けない為の練習」から、
少しずつ「勝つ為の練習」にシフトしていく。
しかし、格闘技不毛の地とも言われる福井で、
設立して2年に満たない柔術サークルだ。
そううまい具合にポンポン新人は入ってこない。
やっと新人が入ってきたと思ったら、
格闘技歴のある人で、
スパーリングでいきなり一本取られてしまう。
現実はそんなもんだ。
結局「負けない為の練習」が続く。
柔術をはじめて、
半年ほどで試合に出てみた所、
1敗1分けという成績だった。
そしてまたボコボコにされながら
「負けない為の練習」の日々が続いた。
そうやってボコボコにやられているうちに、
なんとなく上手くなってきている気がした。
「5分間で5回極められたのが4回に減った」ぐらいのレベルで。
柔術をはじめて、もうすぐ1年。
もう一度試合に出てみる事にした。
今回、試合に出るにあたって、
隣の県の格闘技ジムに出稽古に伺わせていただいた。
白帯4人とスパーリングをして、一度も一本を取られなかった。
しかし一本取れたのは、わずかに一回だった。
「勝てる強さはまだまだだけど、
負けない強さは身についてきたな」と、
よくわからない自信をつけて帰ってきた。
人生で二度目の試合。
勝っても負けても1日2試合という大会だ。
1試合目は、その自信とは裏腹に一本負けしてしまった。
とはいえ、課題にしていた事が
ひとつちゃんとクリアできた試合内容だった。
相手も強かった。
今の自分では、あの人には勝てなくて当然だと思った。
そんな感じだったので、
それほど落ち込むことなく2試合目に挑めた。
そして2試合目。
作戦通り、下のポジションを取って、
ガードの状態から相手を攻める。
草刈り(エレベータースイープ)が見事に決まり
2ポイントを先制した。
すかさず有利な体勢に移行して、袖車絞めで攻めたが極まらない。
一時は手ごたえもあったが、相手が上手く粘られてしまう。
体勢が変わり、自分の両足で巻きつけた相手の片足が抜ければ
逆転されかねない状況になった。
ポイントではこちらがリードしている。
残り時間は少ない。
ここで、相手に足を抜かれるわけにはいかない。
俺はスパーリングで、こういった体勢から何百回と
足を抜かれてボコボコにされてきた。
だから、簡単に足を抜かせない技術が自然と身についていた。
最後まで相手に足を抜かせず試合終了のブザーが鳴った。
来る日も来る日もボコボコにされ続けた
「負けない為の練習」が俺の初勝利の決め手だった。
また今回も長々と書いたのは
「やったぜ、俺、凄いだろ」
なんて事が言いたいわけではない。
(本当はちょっと言いたい)
前と同じで、「高齢だ」
「スポーツの経験が無い」
こういった理由に柔術をやるのに
二の足を踏んでいる人がいたら、
思い切って柔術をやって欲しいと思うからだ。
そして、柔術をはじめた所で、
自分より遥かに年下の人や自分より後から入門した人に
ボコボコにされるだろう。
憧れの華麗な関節技を習った所で、
スパーリングでは、
相手にその関節技を極められ続けるだろう。
そりゃ凹む時もあるだろう。
辞めたくなる時もあるかもしれない。
俺の様に田舎の小さいサークル規模で練習をしていると
「田舎の少人数の柔術サークルで柔術はじめて、
公営施設の限られた時間で
週に1、2回の練習で、本当に強くなれるのか?
常設道場があって、初心者から上級者まで多数所属している
名門道場で教えてもらっている様な人達と対等に戦えるのか?」
なんてネガティブな気持ちになるかも知れない。
そこで、「努力すれば必ず報われる」なんて俺は言わない。
大人になれば、この言葉が嘘だという事に
とっくに気付いているはずだ。
でも、俺から言えるのは、
スポーツ歴無しで35歳で柔術をはじめたオッサンが、
田舎の公営施設の片隅でやっている
少人数の柔術サークルで、
みんなにボコボコにされ続けた末、
今日、初勝利をあげたという事だ。
OKB49