俳句

2010年02月14日

ロマンティックに春の風邪。

昨日と今日、37度を超える熱を出して、家でじっとしていた。

昨日は、昼に速読のセミナー、夜にバッグデザイナーの友人達との食事の約束があったのに、どちらにも出かけることが叶わず残念。

さて、「春の風邪」は季語である。単に「風邪」と言った場合は冬の季語となり、なんだか事実そのままという響きがあるが、「春の風邪」と言った瞬間になんとなくロマンティックな雰囲気が伴う。

春の風邪を使った句で好きなのはこの作品。

ぬばたまの闇に灯消して春の風邪 中村汀女

ちなみに「ぬばたまの(射干玉の)」は枕詞。もともと「黒」にかかるものだが、黒に関係の深いものとして「夜」「夕」「こよひ」「髪」などにもかかる。

ぬばたま(射干玉)とは、黒い珠、またはヒオウギの実のことといわれるが、実ははっきりとはわからないらしい。

掲句、汀女が風邪を引き、床に入る前に灯を消す様子が伺える。夜にしか床に入れなかったのは、一家の主婦だからだ。

以前、私の主宰する俳句サイト「俳句ニューデリー」で、1999年から2000年にかけてオンライン句会を行っていたことがある。その時に「春の風邪」を兼題(前もって出された題)にしたことがあり、自分がどんな句を投句したか調べてみると、

春の風邪シーツの皺の聖衣めく 美樹

という、なんともふわふわした句が出てきて、若かったのだなあ、とちょっと微笑した。

ちなみに「夏の風邪」も季語だが、「秋の風邪」という季語はない。通常、作句の時はその季節の歳時記しか見ないが、ひとつの季語に着目して横断的に調べてみるといろいろな気づきがあっておもしろい。



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2010年02月13日

春の雪にも幾通り。

昨日「寒い」と書いたばかりだが、今日の東京にはなんと雪が降った。マンションの窓から見える景色にちらちらと白い影がかかったようで、あたたかい室内から見ている分にはきれいだった。

外に出ていればきっと寒くてそれどころではなかったと思うけれど。

というわけで、季語の話。

春の雪の季語には「春の雪」「淡雪(あわゆき)」「斑雪(はだれ)」などがある。

「春の雪」は春を過ぎてから降る雪を言う、客観的な季語。いっぽう「淡雪」は、はかなく消えていく春の雪を感覚的にとらえた、実に美しい季語だと思う。

「淡雪」の傍題として「牡丹雪」「綿雪」などもある。

「淡雪」を使った作品として一番に思い浮かぶのがこの句。

淡雪のつもるつもりや砂の上(久保田万太郎)

砂にすっと消えていく雪を描いた写生句なのだが、なにか作者の心情にも沿っているようで胸に響く。

ところで私は今日、37度4分まで熱が上がり、予定していた勉強会も夜の会食にも行けなかった。とても残念。詩の神様が思索(詩作)の時間をくれたのだと思うことにしよう。

最後の「斑雪(はだれ)」は「はだら雪」「はだれ雪」とも言い、降ったあとまだらに点々と積もっている雪のこと。早く体調を万全にして、

斑雪嶺(はだれね)の暮るるを待ちて旅の酒(星野麥丘人)

と、いきたいところだけど。

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2010年02月12日

「余寒(よかん)」と「春寒(はるさむ)」

立春を迎えてからというもの、本当に寒い。

立春を過ぎてからの寒さは季語で「余寒(よかん)」「春寒(はるさむ)」などと言う。余寒は冬に重きを置き、春寒は春に重きを置いた季語。同じ時期の寒さでも、心情的に言葉を使い分けるというところが季語のおもしろさ。

これらの季語を使った句の中では

「白き手が開ける余寒の障子かな」(五所平之助)

が映像的でとても好きな句。

美しく細い指の白い手が目の前に現れたかと思うと、格子の障子にその指がかかり、すうっと開かれる。手の持ち主も、その手前にいるはずの作者も描かれないが、状況を描写して饒舌だ。

それもそのはず、五所平之助氏は映画監督なのだ。日本初のトーキー映画『マダムと女房』で有名。私の好きな俳人・久保田万太郎が主宰していた結社「春燈」の同人でもあった。

同じ俳句でも、写生句、心情に訴える句などさまざまなものがあるが、映像的に迫ってくる句の作者はと問われれば、私は五所平之助を挙げたいと思う。


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2009年09月29日

今日の一句。

text_tag06セカイカメラで眺めたる秋の街 美樹

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WEBダカーポに記事がアップされました!

WEBダカーポの連載「女性のための、元気になれる俳句」が今週もアップされました。

今回は「サフランや印度の神は恋多き 正木ゆう子」です。

haiku61(c)J.David

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