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疎外感と欲望そして愛の不毛を描いた
ミケランジェロ・アントニオーニ作品
フランスの名プロデユーサー、アキム兄弟の元に
アラン・ドロン、モニカ・ヴィッティの初顔合わせ。
本作はカンヌ映画祭審査員特別賞を獲得した。
独特の寂寥感に溢れた映画だった。
第36回(1962年度)キネマ旬報ベストテン第五位
 
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太陽はひとりぼっち』(1962・伊=仏)
L’ECLIPSE(FRA)
L'ECLISSE(ITA)
 
 
夏の早朝 ある高級アパートで男女が無言で座っている
ヴィットリア(M・ヴィッティ)は婚約者リカルド(F・ラヴァル)の
誘いを退け、別れを宣言してアパートを後にする。
彼女が歩くローマ郊外の町は無機質な近代的な建築が
立ち並ぶが、憂鬱感に満ちている。
彼女の母は証券取引所に入り浸り株の売買をして
小金を貯めている。ヴィットリアはそんな母を好きになれない。
彼女の友人の家でアフリカの写真を眺めながら
体を黒く塗り黒人女性に扮し踊るヴィットリア。
彼女の思いは鉄骨とコンクリートに囲まれたローマの近代都市と
裏腹のアフリカの自然の大地に向かって幻想を抱き続けた結果なのだろうか。
彼女はある日、証券取引所で若い証券マンのピエロ(A・ドロン)と出遭う。
株は大暴落してヴィットリアの母は全財産を失ってしまう。
二人は街を歩き、公園を散歩して彼のアパートに寄る。
ヴィットリアが窓から見るローマの街の姿は生気を失った架空の街のようだ。
やがて二人は結ばれ深い仲になる。
ピエロのオフィスで熱い抱擁を交わしてピエロが言う
「あした会おう、あさっても」
ヴィットリアも「次の日も また次の日も 今夜も」
だが無機質なローマの町並みが再び広がり
ピエロのオフィスは電話が鳴り響くが彼は出ようとしない。
ヴィットリアの表情も何か曇っている。
建築中の鉄骨の骨組みや誰もいない朝の公園・・・
閑散とした町の中枢を一頭立ての馬車が走り、乳母車の女性が通っていく。
風が木立を揺らし車も人も通らない寂しいアスファルト舗装の道路。
空を横切るジェット戦闘機の飛行機雲。やがて陽が暮れ、夜の帳が降り街灯が自動点灯する。
バスの停留所では仕事場から帰った人々が各々の部屋に帰って行く。
二人が逢瀬を約束した場所は誰も人影は見当たらない。
「同じ場所」で待ち合わせた男と女は、そこに出向くことのない意思を観る者に想像させて
街灯のクローズアップで映画は終焉を迎える。
(1962年12月19日公開  日本ヘラルド映画配給)
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ヴィットリアがピエロのアパートで見つける女性の姿の入った万年筆が。
逆さにすると水着の女性が全裸になりヘアだけになる
大人向けの文房具だが当時の税関はこれを通関させず
配給会社は「修正」して上映した。
 
『情事』の時も書かせてもらったが、モニカ・ヴィッティという女優はこういうシリアスな
ドラマは実は得意ではなくコメディ映画が性に合っている。アントニオーニと決別した後の作品群は
コメディ映画が実に多い。日本公開されたものでも『バンボーレ!』
『唇にナイフ』 『花ひらく貞操帯』 『結婚大追跡』 『ジェラシー』など
自分の趣味で彼女の未公開作品も収集しているがモニカ作品は実にコメディ映画に満ちている。
 
ツイスト調の主題歌を歌ったのは「月影のナポリ」などでヒットを飛ばした
ミーナ・マッツィーニ。作曲はジョバンニ・フスコ。
 
 インストゥルメンタル
 
 
監督: ミケランジェロ・アントニオーニ 
脚本: ミケランジェロ・アントニオーニ 
    トニーノ・グエッラ 
    エリオ・バルトリーニ 
撮影: ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ 
音楽: ジョヴァンニ・フスコ
主題歌:ミーナ・マッツィーニ
 
 アラン・ドロン 
 モニカ・ヴィッティ 
 フランシスコ・ラバル
 
モノクロ
ヴィスタサイズ(1:1.85)
イタリア語/フランス語
124分
 

カンヌでのドロン、モニカ、アントニオーニ監督