出産記録その1〜入院前夜出産記録その3〜兄弟顔合わせ

November 03, 2008

出産記録その2〜いざ分娩

出産記録その1〜入院前夜」に続き、以下、分娩の記録を時間を追って書き記したいと思います(長いです…)。

LDRの様子〓12時〓
入院。既にかかりつけ医のDr. Park Sonodaから病院側に連絡が入っていたこと、また、妊娠30週の時、ドクターを通じて病院側に入院に必要な書類(保険の情報など)を予め提出していたことから、待たされることなくすぐにLDR(写真)に通されました。
私が利用するLDRは10畳ほどの広さで、テレビや家族用のソファ、流し台、トイレ付。陣痛(Labor)・分娩(Delivery)・回復(Recovery)期までをここで過ごし、その後ピカピカの新産科病棟(過去記事参照)に移動するのね♪と楽しみにしていたところ、ここで衝撃の事実が!見学時に10月下旬完成予定と聞いていた新産科病棟がまだオープンしておらず、私は古い旧病棟利用になるというのです。オーマイガッ。まぁ予定通りに事が進まない点、アメリカらしいと言えばアメリカらしいのですが…。誠に残念。
さて、主人が受付で入院手続きを行っている間、担当助産師のLeeさんがやってきてご挨拶。早速病院のガウンに着替えます。Leeさんは手際良く私のお腹に分娩監視装置
(胎児心拍と陣痛をモニターする装置)を巻き付け、点滴用の血管を確保、更に腕には自動血圧計を装着します。内診の結果、子宮口は2cm開大、胎児の頭はかなり下がってきており、陣痛に弾みがつけばその後の展開は早いでしょうとの予測です。やはり早めに入院をしたのは正解だったもよう。
次に破水の検査(試験薬で調べる)を行ったところ、漏れ出ている液体はやはり羊水とのこと。破水による細菌感染(羊膜の穴の開いた部分から感染する)を心配していた私がその危険性について質問をすると、破水から24時間以内の出産であれば感染の可能性は低いそうで、それを聞いて一安心です。
さて、分娩監視装置のモニター上は、陣痛の波は20分間隔。「痛み」としてではなく「張り」として感じるレベルで、Leeさん曰く、「自然な陣痛発来を待った方が母体への負担が少ないので、暫くこのままで様子を見ましょう」とのこと。
Leeさんが立ち去り暇になったものの、分娩監視装置と血圧計、血管確保の点滴に拘束され、寝ている以外の姿勢は取れないため、母が日本から持ってきてくれた雑誌を読んだりテレビを観たりしながらのんびりと過ごします。主人は傍らのソファに座り、今朝慌てて買ってきたビデオカメラの説明書と睨めっこ。分娩監視装置から絶え間なく聞こえてくる胎児心音が耳に心地良く感じられます。
時折Leeさんが覗きに来るも、なかなか陣痛に弾みがつかないため、「15時まで待っても本格的な陣痛が来なければ、促進剤を投与しましょう」とのこと。結局陣痛はいつまで経っても20分間隔、弱い状態から一向に進まず、そのまま15時を迎えることになりました。

〓15時〓
予定通り、陣痛促進剤の投与を開始。量をコントロールしやすいよう点滴で投与するのですが、母体への負担を考慮して、2滴/1分という一番少ないレベルから始めます。この時点で以後の飲食禁止(水は可)を言い渡された私、入院直前にしっかりと昼食を摂ってきたのは正解でした。
さて、促進剤の効果は覿面、あっという間に陣痛の波は2〜5分間隔に狭まり、分娩監視装置のモニターに表示される波形を見る限り、強さも良い感じ。とは言え、私の方にはまだまだ余裕があり、深呼吸のみで十分に陣痛の波を乗り越えられる状態です。
逸生を出産した時の陣痛は、子宮収縮の痛みとしてではなく激しい腰痛として感じられ、しかも陣痛と陣痛の間にあるハズの無痛の時間(間欠期)を感じることができず、常に腰が砕けそうに痛かったため、陣痛間隔が5分の頃には息も絶え絶えだったように記憶しているのですが、今回は余裕余裕。陣痛と間欠期のメリハリもハッキリしており、間欠期には十分にリラックスできる状態です。
ところが、その後ナゼか陣痛は弱まり始め…。

〓17時〓
すっかり陣痛の波が退いてしまったため、陣痛促進剤を3滴/1分に増量することに。
またまた効果は覿面、再び陣痛の波は2〜5分間隔に狭まり、強さも徐々にアップ。時折Leeさんが顔を出しては「今の痛み、0(最小)から10(最大)の間で表すとどのくらい?」と訊ねてくるのですが、「3くらいかな」とか「う〜ん、5くらい?」と答えると、「まだ笑顔が出ているから大丈夫ね」と言って引っ込んでしまいます。
う〜む、一体どのタイミングで無痛の麻酔を打ってもらえるのだろう…?

〓18時〓
この頃には深呼吸だけでは陣痛の波を乗り越えられなくなり、「ヒッ、ヒッ、フー」の呼吸法(ラマーズ法の呼吸法)に切り替えて痛みを逃します。徐々に腰にも痛みを感じるようになったきたため、Leeさんが湯たんぽのようなものを用意、主人がそれを私の腰にあてがって温めてくれると多少楽になります。
そんな私の様子を見たLeeさん、もう自然な陣痛がついているはず…と判断し、促進剤の投与はここで打ち切り。彼女の予想通り、促進剤の投与を止めても陣痛はグングンと激しさを増していきます。
18時半頃には「ヒッ、ヒッ、フー」の後に、思わず仰け反って「ウ〜ン…!」と唸ってしまうほどの陣痛に。既にお尻の辺りまで胎児の頭が下がってきている感覚に加え、激しい“息みたい”感に襲われ始め、頭の中では「ちょっとちょっと、麻酔はまだ〜!?」
陣痛の度に呻き声を漏らすようになった私を見かねた(?)Leeさんが、「そろそろ麻酔が必要かしら?」と訊くので、もちろん「Yes, please.」と即答。バタバタと麻酔の準備が始まり、暫くすると麻酔医のDr.Johnsonの登場です。やれやれ、やっとこの痛みから解放される…。Dr.Johnsonを手伝いながら、「もっと早くに麻酔をすれば良かったわね」と言う
Leeさんに、「え〜、もしかして自分でリクエストするんだったのか?」と脱力する私なのでした…。

〓18時45分〓
麻酔(Epidural anesthesia/硬膜外麻酔)開始。
ベッドサイドに足を投げ出すようにして腰を掛け、正面に立ったLeeさんの肩にもたれかかるような姿勢を取るように指示されます。この間もひっきりなしに陣痛が襲ってくるのですが、この極限状態(?)の中、麻酔の同意書にサインをするように言われた私、内容に目を通す余裕などなく、取り敢えずサイン(何が書いてあったのやら?)。陣痛に耐えつつ何とか書いたサインの文字、当然のことながら震えていました…。
麻酔の様子は私は見ることができませんでしたが、主人によれば、最初に注射針と一緒に細いカテーテルのようなものを腰部に刺した後、そこから注射2本分の麻酔液を投入していたとのこと。最初のカテーテルを挿れる際、「ちょっと痛いですよ」と言われましたが、陣痛の痛みの方が断然激しく、挿入の痛みはほとんど感じられませんでした。
麻酔後、Leeさんに「どう?足が温かくなってきた?」と訊かれると、なるほど、足がポカポカと温かく感じられます。そして驚いたことに、もうまったく痛みを感じない!ウッソー!?
私の事前学習によれば、麻酔が効くまでには10〜15分くらいはかかるはずで、あと15分はこの陣痛に耐える覚悟をしていた私は拍子抜け。す、すごいぞ、硬膜外麻酔!
さて、麻酔の効いた下半身の状態を言葉で表すと、長時間正座で座っていた後に足を崩した時のイメージで、自分の足だけど自分の足じゃないようなあの感じ。自分の意思で動かすことはできるし、触れば「触られた」感覚はあるけれど、足全体が痺れた状態で、まったくと言って良いほど痛みを感じないのです。麻酔の威力を目の当たりにした私は、「スゴイ!全然痛くなーい!」と大興奮!
直後にLeeさんが内診をしたところ、何と、子宮口は既に7cmまで開大しているとか。
4cm開大で麻酔可能なところを7cmまで我慢してしまったのだもの、そりゃ痛かったハズだわ…(我慢しちゃうあたりが日本人?)。ちなみに内診されている感覚もまったくなく、「え?今、内診したの?」と驚くほどでした。

〓19時〓
子宮口、全開(10cm開大)。主治医のDr. Pan Edwinが登場し、Leeさんがベッドの下半身の部分を外して分娩台に変形させます。逸生出産時、陣痛Maxの最中に助産師さんと主人に両脇を抱えられ、引きずられるようにして陣痛室から分娩室へと移動したことを思えば、そうした移動の必要がないLDRはやはり快適です。
さて、いよいよ娩出。分娩監視装置に表示される陣痛の波に合わせ、Leeさんが「Deep
breath…and push!1,2,3,4,5,6,7,8,9,10!」と掛け声をかけてくれるので、私はサイドバーを握り締め、お腹に力を入れて全力でプッシュ。1回の陣痛の間に3回息みます。麻酔が効いているため、下半身はほとんど感覚がないものの、逸生を産んだ時のイメージを頭に描きつつ、下腹部に全神経を集中させ、Leeさんの掛け声に合わせて息む息む!
が、痛みはまったくないため、息みと息みの間には、笑って主人と話ができるほど。分娩を介助しているLeeさんも、「Dr. Panは女の子ふたりのパパなのよ。だから男の子のベイビーが羨ましいって」などと常におしゃべりをし、終始和やかな雰囲気の中で分娩が進みます。途中、会陰を切開されたのにもまったく気付かず…。

〓19時19分〓
両脚の向こうから「ほぎゃ」という弱々しい声が聞こえたと思ったら、次の瞬間、Dr. Panの手には血と羊水にまみれた我が子が。産声は徐々に大きくなり、顔を真っ赤にして泣く元気な姿に思わず胸が熱くなります。そして生まれたてホヤホヤの我が子は、臍の緒が繋がったままの状態で私の胸の上に乗せられました。

生まれたてホヤホヤ★2008年11月3日19時19分誕生★
体重:6ポンド14オンス(3,100g)
身長:20インチ(50.8cm)
頭囲:32cm
胸囲:32.5cm
妊娠20週を最後に超音波検査を受けておらず、胎児の大きさについての情報がまったくない状態で分娩に臨んだため、娩出の途中で「Small baby」と言うDr. Panの言葉に、どれほど小さな子が生まれてくるのかと少々心配をしたのですが、何の何の。逸生誕生時よりも300gほど大きい立派な男の子でした。

小さいけれどどっしりとした重量感、そして柔らかな肌の温もり。何て可愛いんだろう!
あなたがママのお腹に宿った日から、パパもママも逸生兄ちゃんも、あなたに会えるこの瞬間を首を長〜くして待っていたんだよ。
無事に生まれてきてくれて本当に良かった。
よく頑張ったね。ありがとう。
(ママだけ楽をしちゃってごめんね。)

私が感動に浸っている間にも、Dr. PanとLeeさんが手際良く臍の緒を2箇所クリップで挟み、主人にハサミを手渡して2つのクリップの間を切るようにと指示しています。事前に説明を受けていたこととは言え、臍の緒を切るのは初めての主人は、かなり恐る恐るといった様子で臍の緒をカット。後から聞いたところによると、臍の緒はまるでゴムチューブのように硬かったそうです。
その後、我が子は同じLDR内に設置されている保温器に連れて行かれ、そこで羊水の吸引や感染予防の目薬の投与など必要な処置を受けます。その間、私は後産で胎盤を娩出、そして会陰の縫合。どちらも麻酔のお陰でまったく痛みを感じません。会陰はほんの少し切っただけということで、縫合もあっという間に終了。約8時間ぶりに分娩監視装置や血圧計からも解放され、バンザ〜イ!終わったぁ!という感じです。
この間、主人はLeeさんから当たり前のように胎盤を見せられ、これが羊膜、これが臍帯…と解説を受けていたもよう。血にまみれたレバー状の肉の塊に、内心「ウゲッ」と思いつつも、思わずシゲシゲと観察してしまったとか(主人が写真を撮っておいてくれたので、私も後から見てみました。大きな穴の開いた羊膜など、なかなか面白かったです)。
ところで、アメリカの産院では一般的に産湯を使う習慣がなく、羊水や血液をタオルで拭い取るだけのドライケアが主流。必要な処置が済んだ我が子もタオルでざっと汚れを拭き取られ、おくるみできっちりと巻かれた後、再び私の腕の中にやってきました。
既に泣き止み、薄目を開けて不思議そうに私の顔を見上げている我が子。まだ血の塊がこびり付いている小さな頭を見て、この子は十数分前には私の胎内にいたのだなぁ…と不思議な気持ちに襲われます。主人とふたり、どちらに似ているかなどとおしゃべりをしながら頬を突いたり頭を撫でたりしていると、看護師さんが生まれたての我が子の足形をとってくれました。
それから早速初乳を飲ませることに。生まれたばかりの我が子は驚くほどスムーズに乳首を口に含み、これまた驚くほど力強く吸い始めました。逸生出産時には乳首の含ませ方も分からず、助産師さんに手伝ってもらって形ばかりに初乳を与えただけでしたが、今回はすんなりと初乳を与えることができ、嬉しい限り。看護師さんが「あら?もうおっぱい飲んでるの?」と驚くほどで、誕生後すぐに初乳を与えたいと思っていた私は希望が叶って大満足です。
その後、我が子は計測のために新生児室(Nursery)へ連れて行かれ、私は麻酔が切れるまでの時間(回復期)をLDRで過ごします。すべてが一段落したのを見計らって、主人は逸生と母を迎えに一旦帰宅。さて、晴れてお兄ちゃんになった逸生は、生まれたての弟を見て、一体どんな反応を示すのでしょう?楽しみ楽しみ…。
<「出産記録その3〜兄弟顔合わせ」に続く…>

★2013年1月23日追記★
妊娠・出産・育児・子育て支援サイト「すくパラ倶楽部」に無痛分娩体験記を投稿しました。
無痛分娩特集ページはコチラ→http://sukupara.jp/exsp/shussan/mutubunben/

newyork_life at 23:47│Comments(2)TrackBack(0) 妊娠/出産ー悠生 

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この記事へのコメント

1. Posted by Eriko   December 04, 2008 17:21
細部にわたってこうして出産の様子を書き残せるチハルさんってすごいなぁとつくづく思います。カナダだと、たしか7cmも開いてしまうと、無痛分娩できないんじゃなかったかしら・・。もうすっかり昔のことです。
2. Posted by チハル   December 05, 2008 14:34
Erikoさん、今回の出産には本当に冷静に臨めたんですよ。だから「今何時かな」って常に時計も見ていたし、助産師さんやドクターの動きも観察していたし、色々なことに興味津々だったんです。
私も、後から考えると、子宮口7cm開大でよく麻酔が間に合ったなぁと思います。実際、事前の説明では4cm以上開大していると麻酔が間に合わないと言われていたんです。ただ、これは入院の時点で…ということだったのかも知れません。私の場合は既に分娩体制が整っていたので、ギリギリ間に合ったのかと。でも、麻酔開始から子宮口全開まで、僅か15分ほどだったんですよ。ホント、危なかったです。

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