2004年11月06日

創刊号!!

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■NY写真展「永続する瞬間--沖縄と韓国 内なる光景」メールマガジン■
             <<創刊第1号>>

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■創刊にあたって
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皆さん、こんにちは。2004年10月17日から12月13日まで、アメリカ・
ニューヨークのPS 1 Contemporary Art Center(ニューヨーク近代美術館
提携機関)において沖縄・韓国の写真家6名による写真展「永続する瞬間
――沖縄と韓国 内なる光景(The Perpetual Moment――Visions from
within Okinawa and Korea)」が開催されています。

米軍基地をめぐるドキュメント写真を中心とした写真展がニューヨークで
どのようなインパクトと出会いをもたらすのか?このメールマガジンを
通じて皆さんへお伝えしていきます。

写真展の概要については以下のHPをご参照ください。
○出展写真家の一人・石川真生さんのHP
 http://w1.nirai.ne.jp/mao-i/okinawasouru.html
○PS 1 Contemporary Art Center HP(英文)
 http://www.ps1.org/exhibits/exhibit.php?iExhibitID=29

発行は今年いっぱい、週1回の予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。

創刊号はキュレターの木幡和枝さんの文章を中心に
写真展の概要をご紹介させていただきます。


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■写真展「永続する瞬間」への招待
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写真家集団MAGNUMの創設者の一人アンリ・カルティエ=ブレッソン
(2004年8月死去)は写真集のタイトルに『決定的瞬間 The
Decisive Moment』(1952刊)という決定的な言葉を残して、プロ・
アマをとわず写真を撮るあらゆる人を呪縛している。写真としての決
定的瞬間と、事実としての決定的瞬間とはどう違うのだろうか。カル
ティエ=ブレッソンは「写真としての決定的瞬間」のチャンピオン
かもしれない。だが、本写真展<永続する瞬間―沖縄と韓国、内なる光
景 The Perpetual Moment―Visions from within Okinawa and
Korea>は、社会参加する写真家、あるいは良心の写真家たちの作品
をとおして、歴史のある瞬間がいかにして時を超えて持続するか、
その因果関係(cause and effect)を明らかにしている。

視覚表現の観点から、本写真展は二つの課題を検証しようとしている。

一つは、ここに展示された事実factの記録としての写真は、見る者を
どこまで現実realityに、そして現実を作りだしている複合的な歴史へ
の思索に引き込むことが出来るか。さらには、そこから、どれだけの
感情的・理性的な判断と勇気とを誘発して、真実truthと正義
justiceを見きわめる眼を引き出すことが出来るか。二つ目の課題は、
ドキュメント写真は現代芸術のパラダイムをもって論じうるものか否
か、という誰もが抱く疑問への回答の試みである。現代芸術は現代の
現実、現代人の真実を表象する有効で斬新な方法を模索し続けている。
事実を基底に置くドキュメント写真は、そのなかでも揺るぎない動機と
題材を得ている分野だ。個人のアイデンティティーと世界の現実。
ドキュメント写真においては、この方程式がきわめて明解に表出して
いるとは言えまいか。

フランスの人文主義者アンドレ・マルローは、近代芸術の出発点は芸術
と美とが分かれた瞬間だと言い、その例に18世紀にフランシスコ・
ゴヤが描いた戦争の凄惨なイメージをあげた。その後、写真技術の発
展により、現実を活写する写真が人間の痛み、懊悩、格闘する姿を数
多く記録してきたーー人間の愛、歓び、楽しさの記録に加えて。血塗ら
れた反省をこめて「戦争の世紀」と呼ばれる20世紀には、戦闘、戦
争、それらに起因する苦悩する人と場所の写真が無数に残された。報
道写真、フォト・ジャーナリズムの躍進は不幸にもそうした歴史を背
景としていた。スペイン、ロシア、第一次・二次世界大戦、朝鮮、イン
ドシナ、中東、アフリカ、中南米、中欧、東欧、バルカン半島、イラク
・・・ 国と国の戦争ばかりではなく、内戦、革命、独立闘争、宗教
対立、部族対立など、残酷な戦争の種はつきない。

報道写真、あるいはフォト・ジャーナリズムの世界ではごく最近まで、
マスメディアをとおして私たちが目にしてきた写真の多くが、被写体
である場所や人々の外部から来たプロフェッショナルが撮影したもの
だった。スペイン内戦のロバート・キャパ(インドシナで地雷被爆
死)、朝鮮戦争やインド独立戦争のマーガレット・バーク=ホワイト
(彼女がポートレートを撮影した直後に、ガンジーは暗殺された)
・・・ 20世紀の記憶はこれらの視像と切り離せない。だが、この
部屋で目にする視像は戦場や戦闘の写真ではない。本国からはるか遠
く隔たり、戦闘の行われている前線からも離れた、第三国の領土内に
置かれた軍事基地とその周辺を写したものである。日本の領土に組み
込まれている沖縄と、朝鮮半島にいまだ分断国家としての存在を強い
られている韓国に1945年以来存在する、アメリカ合衆国軍の基地
とその周辺住民の生活と苦悩、ときには人間としての喜怒哀楽を活写
したものだ。

これらの写真には大きな特徴がある。当事者の目から撮った写真、被
写体の内部からの写真であるという点だ。写真機が発明されて150
年近くたった今、その場所の、事態の、人々の内部からの眼で撮られ
たこれらのプロフェッショナルな写真群が、外部者とはことなる深く、
重層的な、当事者の歴史の響きのこもった声で、現状を伝えている。
写真家たちは、かつてのようにLIFE誌から、あるいはUPIやAFPと
いった国際的な通信社から派遣されたのではない。自分の場所、その
歴史の内部から、今、ここ、を見ている。1945年にもたらされた歴
史の「決定的な瞬間」が、これらの場所ではいまだに持続している。
その因果が、みずからの国や場所だけではなく、現代世界の全域に世界
規模の不幸な現実として波及していることを、これらの撮影者たちは
自覚している。サルトルは「文学は飢えた子供たちを救えるか」と問い
かけたが、これらの写真家たちは「写真は私たちを、私たちの世界を
救えるか」と自問している。

1945年4月、連合軍が日本にとどめを刺すべく、最南端に位置す
る沖縄に上陸し、沖縄の非戦闘員を含む15万人が死んだ(住民の四
人に一人)。そのなかには、日本軍に命じられて自決した学徒動員の
若者たちや、集団自決で互いを殺し合った家族や同窓生たちも多く含
まれていた。8月15日、日本は連合軍に対し無条件降伏した。そし
て9月、朝鮮半島のインチョン港に米軍が到着。36年にわたる日本
の植民地支配から朝鮮人民を解放すべく来た米軍。だが、その場に歓
迎に集まった朝鮮人民の2名が日本の警官に射殺され、10名が負傷
した。「ニューヨーク・タイムズ」紙の特派員Richard E.Rauterbuk
は、日本の警官は米軍の指令で発砲した、と報じた。日朝関係の矛盾
を反映した、米軍と朝鮮人民との不幸な邂逅だった。戦後世界の東西
の対立(自由主義ブロックと共産主義ブロック)はさらに朝鮮半島に
色濃く集約され、1950年の朝鮮戦争以来、朝鮮半島はいまだに分
断国家の苦しみを抱えている。

そして沖縄列島でも朝鮮半島でも、60年におよぶ米軍基地の存在が
続いている。米軍の戦闘機が、空母が出掛けてゆく戦闘地域は時代に
よって変わり、兵器も演習内容も変わった。だが、外国の軍事基地が
もたらす問題はますます悪化している。周辺民間人の生命、尊厳、そ
して住環境への悪影響は複雑化している。この半世紀、一瞬の切れ目
もなく戦争の辺縁に置かれてきたこれらの場所の人々は、現実の表層
の向こうに、歴史の「永続する一瞬」を見ている。「決定的瞬間」は
未来へも持続する。それは起こってしまったら止められない。因果律
causalityと正義 justice。事実の具体的なイメージは、人間の悟性
と感情にどこまで力を与えることが出来るのだろうか。

文責=キュレター 木幡和枝
 出典:写真展案内文


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■P.S.1コンテンポラリーアートセンターとは
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廃校となった赤煉瓦造りの公立学校PS1(Primary Schoo No.1)。
ニューヨーク近代美術館と提携し、今世界的にも最もホットな展覧会、
パフォーマンス、スタジオ・プログラムを発信する現代アート・センター
として注目されている。

PS 1コンテンポラリーアートセンター
ニューヨークのクイーンズ、22-25ジャクソン通り&46条46通り
※マンハッタンから地下鉄で20分、又マンハッタンにあるMoMAと結んで
無料シャトルバスが運行される
地図:httm://www.ps1.org/cut/gen.html 
www.ps1.org
www.moma.org


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■カンパのお願い
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賛同人のカンパにより当写真展は運営されます。ぜひ賛同人になって
ください。PS1の企画展ですので、美術館使用料の必要はありま
せんが、写真家たちは、写真送料と写真家の渡航費、展示室に配置
するガードマン費用など計100万円を負担し開催しています。
NY展が終了後、韓国・沖縄の写真家を招請して、東京、大阪、沖縄
で報告会をしたいと考えています。そちらにも是非ご参加ください。

賛同人になってくださる方、賛同金を振り込んで下さいますよう
心よりお願い申し上げます。

○賛同金:1口1000円
○郵便振り込み 01720−4−105909
「10人の眼展実行委員会」

【連絡先】
○沖 縄:那覇市首里崎山町3−3 4 喫茶室アルテ崎山店
 霜鳥美也子(TEL) 098-884-7522 ,090-9076-1488
○大 阪:河内長野市清見台4−1 9−1−3 0 4
 中條佐和子 (TEL) 0 8 0 −1 4 0 4−4 3 2 4
○東 京:豊島区駒込2-14-7 琉球センター・どぅたっち
 島袋陽子(TEL) 0 3−5 9 7 4−1 3 3 3

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■■NY写真展「永続する瞬間--沖縄と韓国 内なる光景」■■■

○会期:2004年10月17日〜12月13日

○会場:PS 1 Contemporary Art Center
      (ニューヨーク近代美術館提携機関) 
      http://www.ps1.org/cut/main.html 
      22-25 Jackson Ave. Long Island City, NY 11101

○参加写真家:
 イ・ヨンナム 「坡州の米軍基地と住民の闘い」    
 アン・ヘリョン 「神聖不可侵地域-米軍基地」
 イ・ゼガブ 「韓国のアメラジアン」            
 ノ・スンテック 「米軍による女子中学生死亡事件」
 比嘉豊光 「戦争の傷跡」               
 石川真生 「基地を取り巻く人々」 


■■■■次号予告と編集後記■■■■

いよいよニューヨークで「永続する瞬間」展が始まりました。
米国政治や米軍をめぐる様々な出来事に注目が集まる今、
この写真展のインパクトはどのようなものになるのでしょうか。
創刊号はキュレターの木幡さんの文章を掲載しました。
ご感想など、下記HPまでお寄せ下さい。

次号は写真展のオープニングとシンポジウムのレポートを
現地ニューヨークからお届けします。ご期待下さい。

■■NY写真展「永続する瞬間」メールマガジン編集部■■
 HP:http://blog.livedoor.jp/newyorkphoto/
 問い合わせ先E-mail:okinawakoreaphoto@hotmail.com
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*Copyright (c)2004 NY写真展「永続する瞬間」メールマガジン
 編集部.All rights reserved.
*転送・転載は歓迎します。部分的な転送・転載はせず、全文の
 転載・転送をお願いします。合わせて、上記HPへのリンクを
 張ってください。よろしくお願いします。
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