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■NY写真展「永続する瞬間--沖縄と韓国 内なる光景」メールマガジン■
<<第3号>>
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「永続する瞬間」展を開催中のNYでは先日、大統領選を迎えました。
第3号からは写真展の運営ボランティアを担当している前嵩西一馬さん
によるNY発連載レポート「遍在する肉声」をスタートします。
また、NY沖縄県人会からTeiko与那覇‐Tursiさんのエッセイをお伝えします。
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■遍在する肉声1 ――大統領選を終えて――
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およそ800万の人間が暮らし140を超える言語が交わされる街ここ
ニューヨークで、「永続する瞬間」というタイトルのついた写真展が
PS1で開催されている。写真家たちの作品を通して、僕らは「永続する
瞬間」を見ることができるだろうか。本展プレス・リリースの文面に
あるように、米軍基地を取り巻く様々な現実という表層の彼岸に横た
わる「歴史」の永続性をかいま見てしまう者もいるだろう。韓国と沖縄
で今なお刻印されている冷戦構造の「永続」性を正面から見据えた写真
家たちの眼が、その「瞬間」をレンズの切っ先で切り取り、その切り取
られた「瞬間」に焼き付けられた彼らの眼が、いまその写真を見ている僕
にふたたび向けられる。そんな眼差しに目を背けないでいられるひとは、
どのくらいいるのだろうか。
多くのニューヨーカーにとって残念な結果に終わった大統領選だった
が、今なおニュースや番組がその話題を取り上げる。コロンビア大学で
行われた写真家を交えてのシンポジウムのなかで、写真家の石川真生
さんが、アジア系を中心としたマイノリティの参加が目立つ客席を前に
して、ある言葉を洩らした。「この国を牛耳っている『白人』にもっと
足を運んでもらいたかった。」キリスト教右派の多くがブッシュ政権の
保守性に賛同したことが、今回のブッシュ氏の勝因のひとつとしてあげ
られている。その一方で、今回の勝利は「キリスト教」のイメージを貶
めた、と嘆く人たちもいる。ちょうど9.11のテロがイスラム教の名
を辱めたように。
革新系のあるラジオ番組の中で、リスナーが電話をかけてきて訴えた。
「どこかよその国で投票をしたら良かったのに、俺は本当にそう思うん
だ。」奇妙この上ない意見に、DJは真剣に相づちを打つ。ナショナル・
エレクションなのに、アメリカではない別の国で、誰がアメリカの大統
領にふさわしいのか(誰がふさわしくないのか)声を聞くべきだった、
と。”Vote or Die!”(投票しろ、さもなくば死ね)という過激な文句
が折り目正しく印刷されたサインを街中にいくつも見ていたにもかかわ
らず、「死」を選んだ市民は半数を超えた。
大統領選挙の結果がわかった直後、ケリー氏の勝利を疑わなかったア
メリカ人の一部が、カナダへの移住を薦めるウェブサイトの閲覧に殺
到したという。世界に名だたる「移民国家」に暮らすリベラルなアメ
リカ人は、もはやエクソダス(脱出)というファンタジーにすがるし
かないという皮肉。
世界中のあちこちでいろんなことが起こっている。その惨状や悲劇をな
んとか「世界」に伝えようと、多くのジャーナリストや市民団体、政治
家、研究者、そしてアーティストたちがニューヨークにやって来る。観
光客が途絶えることのない5番街の交差点では、中国で当局に弾圧され
ている某宗教団体の人目をひくデモが毎日のように行われている。そう、
ニューヨーク中のあちこちでいろんなことが起こっている。
撮られた「現実」に向き合うための「現実」をどうやって作り出してい
くか。ファインダーを覗きシャッターを切った写真家たちのまなざしに
向き合おうとする人々の声を、街の様子を交えつつ次回のレポートか
ら伝えていきたい。
【前嵩西一馬 Kazuma MAETAKENISHI】
那覇市生まれ。コロンビア大学人類学部博士課程在籍。本写真展運営
ボランティア。 沖縄県与勝半島でのフィールドワークを終え、現在
博士論文執筆中。 写真という媒体のなかに文化と政治のプリズムを
読み込む作業を通して、 自らの視点をそこに織り込んでいきたい。
★本文と関連して、大統領選挙結果について、興味深い統計データを
メールマガジンHPに掲載しています。
http://blog.livedoor.jp/newyorkphoto/archives/9311171.html
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■沖縄韓国写真展を見て・・・
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写真家の説明付きで合同写真の一部をコロンビア大のシンポジアム
(10月19日)で見たのが最初。2回目はPS1にてのオープン(24
日)に、我がNY沖縄県人会の会員達による沖縄踊りとサンシン(三
味線)の披露をした際、衣装着替えの合間にさっと見た。この記事を
書く目的で3回目の11月7日には 観客の意見を訊いたりそこの
ガードさんに観客の質についてのコメントを訊いたりする程余裕を
もって見る事が出来た。NYの隣りの州このニュージャージーから、
時には120キロ飛ばして片道2時間半かかって観に行った事に今さら
ながら重大な意義を感じ、この記事を偽りなく書ける自信をもてた。
と同時に姪である真生(*編集部注:出展写真家の一人、石川真生
さんのこと)の作品に対して必要以上に客観的に批評しない様にと努
力している自分を意識している。
写真は米軍基地をめぐる人権無視、奪われた土地問題、撤去、犠牲、
反対、賛成運動などの大胆な行動で訴えていてインパクトがある。
撮る側の心境を想像させられる。沖縄と韓国からの訴えは写真で一目
瞭然。しかも最も人種多様のNYで、そして展示は世界につなぐ。
ガードの一人は観客について「今のところ観客はヨーロッパ人特に
ドイツ人、それからアメリカ人、アジア人特に日本人、韓国人が多い
が、様々な国からやって来る」と答えた。石川真生の展示室で出会
った28歳のニューヨーカー女性は写真が趣味で友人とやって来た。
真生が女だと知った後、その女性はすかさずこう述べた。「やはり女
の写真家だ。だから人間の個人の動き、生活態度に繊細的だ。」
真生の四壁の写真は色んな角度から撮影されている。基地があるが故に
及ぼす影響の賛否両面、矛盾、葛藤、そして私的で観客に話し掛けてい
る。あらゆる人のあらゆる生き様の現実を基地の外と内側から表現して
いて印象的。実はこれは私が最初(10月19日)から体験した直感で、
今三度目に観た感想を単に明確に固めているだけである。他の写真家たち
の行動的な大胆な写真と対照的でバランスがあり、これこそ合同写真の
利点だと思う。ペンネームの様に写真をとおして「真に生きる」真生、
米国在住のウチナンチュ(沖縄人)として脱帽します。
2004年11月8日
【Teiko与那覇‐Tursi】
1941年沖縄名護市出身。1964年に国際結婚・渡米。
子ども3人、孫4人。 1978年、夫に死別。
過去20年間ニュージャージー州の南部郡立精神保健所(County
Mental Health)にて自殺未遂やうつ病などの精神問題を
抱えた児童・青少年と彼等の家族を対象に 危機カウンセラー
(Crisis Counselor)・マネジャーとして勤務。
今年の3月に定年し、以前からそのシステムを日本に普及中。
それに関する著書発行『心のさけび』、1996年、ニライ社。
現在、以前からやっている沖縄タイムスの海外通信員を続ける。
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■カンパのお願い
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賛同人のカンパにより当写真展は運営されています。
カンパのご協力をお願い致します。
○賛同金:1口1000円
○郵便振り込み 01720−4−105909
「10人の眼展実行委員会」
【連絡先】
○沖 縄:那覇市首里崎山町3−34 喫茶室アルテ崎山店
霜鳥美也子(TEL) 098-884-7522 ,090-9076-1488
○大 阪:河内長野市清見台4−19−1−304
中條佐和子 (TEL) 080 −1404−4324
○東 京:豊島区駒込2-14-7 琉球センター・どぅたっち
島袋陽子(TEL) 03−5974−1333
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■■NY写真展「永続する瞬間--沖縄と韓国 内なる光景」■■■
○会期:2004年10月17日〜12月13日
○会場:PS 1 Contemporary Art Center
(ニューヨーク近代美術館提携機関)
http://www.ps1.org/cut/main.html
22-25 Jackson Ave. Long Island City, NY 11101
○参加写真家:
イ・ヨンナム 「坡州の米軍基地と住民の闘い」
アン・ヘリョン 「神聖不可侵地域-米軍基地」
イ・ゼガブ 「韓国のアメラジアン」
ノ・スンテック 「米軍による女子中学生死亡事件」
比嘉豊光 「戦争の傷跡」
石川真生 「基地を取り巻く人々」
■■■■次号以降の予告と編集後記■■■■
第3号はレポート2本立てで配信させて頂きましたが、いかが
でしたか。
先日、ある映画でこの写真展会場であるPS1と出会いました。
若くして亡くなったアーティスト、ジャン=ミシェル・バス
キアの人生を描いた『バスキア』(1996年。ジュリアン・
シュナーベル監督作品)。バスキアがちょっとしたきっかけで
その才能を認められ、自らの作品をはじめて(であろう)出展
した場面、その場所がPS1だったのです。
PS1という場所がどのような歴史を持つ場所なのかを考える
きっかけとなった出来事でした。
次号以降、出展写真家・石川真生さんのエッセーや、今号から
始まった前嵩西さんの連載を配信します。
(編集部・大野光明)
■■NY写真展「永続する瞬間」メールマガジン編集部■■
HP:http://blog.livedoor.jp/newyorkphoto/
問い合わせ先E-mail:okinawakoreaphoto@hotmail.com
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*Copyright (c)2004 NY写真展「永続する瞬間」メールマガジン
編集部.All rights reserved.
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転載・転送をお願いします。合わせて、上記HPへのリンクを
張ってください。よろしくお願いします。
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