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1.地球温暖化考

2.緒方貞子さんを偲ぶ

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1.地球温暖化考

台風19号が大きな被害を出して通過した。71河川決壊、土砂災害365カ所、80人が亡くなった(20191020日現在)。台風は、海面から蒸発した水蒸気が上昇気流を作り、水蒸気が水になるときに、莫大な熱を放熱し、それがまた上昇気流を作るサイクルから生まれるという。海面の温度が高ければ、上昇気流は生まれやすい。巨大で猛烈な台風が生まれるのは、地球温暖化が原因というのはそのためだ。

 地球温暖化というと、2004年映画”The day after tomorrow”、2006年映画「不都合な真実」を思い出す。前者は、地球温暖化によって、逆に急激に氷河期を迎えた世界がパニックに陥るという映画で、氷漬けになったニューヨークが印象的だった。後者は、空気中の人為による二酸化炭素の増加が、地球温暖化に関連しているという主張で、元アメリカ副大統領アル・ゴアが示すグラフは有名だ。

一方、そのような関連性はなく、むしろ、地球は、氷河期に向かっているという人もいる。太陽活動の影響の方が大きく、人間が排出する温暖化ガスなど大したことはないという人もいる。一つの火山の噴火だけでも、莫大な二酸化炭素が空気中に放出されるのだから、経済活動や日常生活にともなう二酸化炭素の排出など削減するのはナンセンスという人もいる。現に、アメリカのトランプ大統領は、人為による二酸化炭素排出が地球温暖化に繋がることを真っ向から否定している。

 最近、16歳のスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんが、二酸化炭素排出責任を問う抗議活動で有名になっている。この問題は、30年も前から、92年リオ条約、97年京都議定書、15年パリ協定と議論され、条約が締結されている。グレタさんが生まれるずっと前から、地球温暖化対策については議論されているにも拘わらず、対策は遅々として進まない。しかし、今、世界中で異常気象を体験するようになってきたことから、ようやく世界的に大きな運動になってきているのだと思う。

 グリーンランドや北極・南極まで行って、氷の解け具合を調べた人は少なくても、毎年の猛暑、洪水、台風などを見れば、地球の気候環境が異常になってきているのは、せいぜい数十年を振り返ったら誰でもわかる。関東の某釣人によると、冬には釣れないような魚がこの56年、冬でも釣れるという。

北極の氷が解ければ、日本からヨーロッパまで、北極回りの航路ができ、効率的だというのんびりした話をする向きもあるが、その前に、そのような状態になったら、そもそも、安全に暮らしていられるかどうか怪しい。

 気候変動は、確かに、温暖化ガスだけではなく、太陽活動や、それ以外の要素が絡んでおり、一次方程式では解けないかもしれない。何がどれだけ温暖化に寄与しているかは、本当のところ、よくわからない。しかし、温暖化は進んでいることは明らかで、それによって、大きな被害が発生していることも明らかだ。そして、このままいけば、更に被害は大きくなることが十分予想されるのだから、わかっていることで、なおかつ、人間ができることから始めるしかない。グレタさんの考えが単純という考えもどうかと思う。

(岡田邦彦・次世代創造協同組合顧問・オカダ・アソシエイツ代表)

 

2.緒方貞子さんを偲ぶ

 

元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんが亡くなった。92歳だった。緒方さんとは、ワシントンDCでのシンポジウムと東京のUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のレセプションでお会いしたことがある。印象的だったのは、レセプションに出席している政治家たちに、個別に、UNHCRにもっとお金を出して欲しい、難民に理解をとしきりに訴えておられたことだ。「5フィートの巨人」と言われていたように、小さな身体でも世界中の誰に会っても物怖じしないような風格があった。

緒方さんは、犬養毅元首相の曾孫だということを訃報記事から始めて知った。1932年、5・15事件が起きた。犬養首相は、土足で自宅に乱入した軍人たちに、「話せばわかる」といったが、軍人たちは、「問答無用」と犬養首相を射殺したそうだ。生命を張って、大正デモクラシーを支えた犬養首相のDNAは、緒方さんにも受け継がれていたのだろうか。白髪頭にヘルメットを被って戦場を歩く姿は緒方さんのトレードマークだった。UNHCRの政策には失敗といわれるケースもあったが、緒方さんによって救済された難民は数百万人ともいわれる。

緒方さんは、国家の安全保障も大切だが、「人間の安全保障」も重要だと言った。国家の破綻や独裁制、戦争によって、あるいは、普通の国家の中であっても、人間の安全保障が脅かされている人々はたくさんいる。このような人々を内政干渉だといって放っておくわけにはいかないというわけだ。

1999年3月に行われた、マンスフィールド太平洋問題研究所主催講演会(於ワシントンDC)の記録を見ると、緒方さんの考えが総論的によくわかる。(「緒方貞子―難民支援の現場から」東野真著 集英社刊掲載)

そこでは、日米ともに、内向き思考になっており、国際主義が後退していると懸念している。同時に、日本の政治安全保障上の利害はすべてグローバルなところにその基礎があり、国際主義的姿勢を再確認しなくてはらないと警告している。また、緒方さんは次のように言っている。「今日の国際主義は、世界中の多様な発展と文化的価値を積極的に認め合うことを基本としなければなりません。こうしたアプローチには、互いに補完し合う2つの側面が必要です。すなわち、対外的には開発途上国に向かっていかなくてはなりません。そして、国内的には、社会の最も弱い者たち、特にマイノリティや移民・難民に向かわなくてはなりません。豊かで安全で、民主主義的価値観にのっとった、包括的国際社会の実現に向かわなくてはならないのです。」(同書より)

緒方さんに、もう少しお会いできたらよかったのにと思っている。

 

(岡田邦彦・オカダ・アソシエイツ代表・次世代創造協同組合顧問)

 

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