<パンデミック・その2>

 

前回、「パンデミック」と題してブログを書いてから2ヶ月経った。被害は、その当時と比べ物にならない規模になり、世界中が大混乱だ。毎日、COVID-19のさまざまな情報に接する中で、今、私が考えている事は、次のとおりだ。

 

◆国際機関も含め、国家、企業、学会、法曹界、マスコミ、あらゆる分野で、どの組織・人が信用できるかがはっきわかってきた。こういう時は、戦時と同様、容赦なく、組織やリーダーの見識や能力が暴露される。また、マスメディアの質もわかる。殺菌剤を患者に注射したらどうかと平気でいうA大統領や、放火犯なのに、今になって消防士のふりをしているC総書記。使う人はあまりいないだろう謎の布マスクを配布するJリーダー。出鱈目な情報を流し続け、世界をこういう事態に至らせたWHO事務局長(「人から人へは感染しない」「国境は開放すべし」「中国から避難する必要なし」など迷言)。もはや、それらの人たちの信用回復はないだろう。専門家と自称する医者や学者もピンからキリまでいることもよくわかった。後から見れば、戦史を見ることができる。どの将軍が戦いに勝利し、どの将軍が負けたか、どの防疫作戦が正しく、どれが間違っていたか、そのうちはっきりする。

 

◆私は、2011年の東日本震災の時、政府発表や日本のマスコミ発表に納得がいかず、海外報道を中心に情報を収集していた。放射性物質が原子炉から漏れ出し、風にのって東日本全体に拡散していることをいち早く知らせたのは、日本政府でもNHKでもなく、ドイツ気象庁だった。各国大使館員は国外避難をし、日本政府高官子弟も海外へ避難していたが、「被爆は問題ない」ということだった。私は、問題が起こると、自分で世界中の情報を調べて、納得のいく答えを見つけるようにしている。残念ながら、日本のマスコミや政府の情報精度は高いとはいえない。あらゆるところに忖度や、不明な力学が働いていて、信用できない事が多い。

 

◆今現在(2020428日時点)、日本でCOVID-19の死者数が、西欧諸国に比べて2桁少ない程度で済んでいるのは、長い歴史のある国民皆保険や、他国に比べれば「比較的」差別や格差の少ない伝統、全体的な医療水準に支えられているのだと思う。

病院の総病床数は、1,653,234とダントツに多い(イタリア=192,548、英国=167,589、米国894,574OECD Health Statistics 2019】)ことや、人口あたりのCTスキャンの数が格段に多い。(人口100万人あたり、スペイン=18,590、ドイツ35,130、アメリカ=44,390に対して、日本は、111,490である。出典:同上)。

一方で、人口1,000人あたりの医師数は、OECD平均では3.5人だが、日本は2.4人しかいない。人口10万人あたりのICUのベッド数は、アメリカ34.7、イタリア12.5に対して、日本は7.3である(Statista/National Center for Biotechnology Information このデータは、少し古いものもあり、現時点では不正確である。ただ、日本は2017年時点のものと思われる)。これ以上、感染者が増えれば、医療崩壊だという。

 

◆新自由主義からすれば、今回の話は以下のとおりになる。①感染患者が来ると、余計な負担がかかり、病院は採算が合わない。その場合は、感染が疑わしい患者は診察を拒否してよい。②マスクが高くて手に入らないという人は、本人の稼ぎが悪いからなので、自業自得である。③年寄りは、この際、感染して死んでもらったほうが、財政的にも大いに助かるということになる。今の事態に遭遇して、何をどう考えるかは、その人の品格の問題だ。

医療の市場化は、ある程度は必要だと思う。役所や国営企業の非効率さは、何か一つでも、そのサービスを体験してみれば誰でもわかる。ただ、医療の場合、市場への政府の介入は必要だと思う。生命に関わることだからだ。水道民営化も同じだ。ハーバードのマイケル・サンデル教授の“JUSTICE”のケーススタディを思い出す。但し、今回は、ケーススタディではない。現実だ。

 

◆中国は感染を徹底的な監視と隔離で抑え込み、経済活動を再開するといっているが、本当に、感染者は少ないのだろうか?中国の場合、数日前、友人から、ハルピンが封鎖されたと聞いた。あの広大な面積と人口の国で、集団免疫ができたとは考えにくいので、封鎖を解除すれば、再度感染が始まるのではないだろうか。現在の数字や状態についても、本当かどうかわからない。NZは、確かに、新規感染者は一桁であるけれど、国外からの人の流入が始まれば、この先、どうなるかわからない。

 

◆集団免疫説では、人口の60~70%が感染すれば、集団免疫ができ、その人達が盾になって新しい感染者が出ないという。感染症を終息させるには、集団免疫を作るか、有効なワクチンを作るかしかないそうだ。ワクチンの開発には相当時間がかかるので、イギリスは、集団免疫説をとった。イギリス国内で集団免疫は6割には程遠いだろうが、すでに、20,319人(424日)の死者を出している。すでに致死率が12%(5月1日)になっている同じ考えのスウェーデンもそうだ。凄い実験をしていると思う。

 

◆都市封鎖などによって、人間がいなくなって、動物が街に現れている。ベネチア運河にイルカが入ってたようだ。街にピューマが出てきたり、スカンクが出てきたり、ヤギの群れがでてきたところもあるそうだ。一方、渋谷は、ネズミの大群が出てきた。我々が、普段、どういう動物と共存していたかがよくわかって興味深い。空気がよくなっているのは明らかで、大気汚染が甚だしかったインドでもヒマラヤが見え、東京やロンドンでも青空が見えるそうだから、悪いことばかりではない。飛行機も殆ど飛んでおらず、自動車量も減っているからだろう。空気中の二酸化炭素も減っているだろう。ただ、こういう状態がいつまでも続けば、今までのような経済モデルは通用しなくなる。

 

◆全体主義的な国家は、比較的、コロナを制御しているが、民主主義国は今ひとつだ。監視カメラで感染者の移動を監視し、徹底して隔離するのは、防疫上有効だろうが、両刃の剣だ。そのうち、感染防止のためということで、監視が強化されることが怖い。民主主義の危機だ。ホモサピエンス全史の著者ユバル・ノア・ハラリの警告は、SFではなく、現実だ。この先、どういう政治経済体制になっていくのか、姿が見えない。政治を注意して監視しなくてはいけない。どこの政治も、聖人君子が運営しているのではない。性悪説に立つことが大切だ。こういう時は、問答無用の独裁化が進む。ポピュリズムも進む。正常な民主主義が機能しなくなる。集会もできないからだ。火事場泥棒やデマが増える。ドサクサまぎれに国会で通過する法案や、揉み消される事をチェックしなくてはいけない。すでに、その徴候が現れている。コロナより危険だ。

 

以上、雑感だけをとりあえずまとめた。このウイルスの性質がまだよくわからず、様々なデータも不正確だったり不明なことが多く、本当のところはわからない。さりとて、無言がいいとも思えないので、メモとして、あくまでも現時点でわかっていることを書いてみた。

 

(岡田邦彦・次世代創造協同組合顧問・オカダアソシエイツ代表)

 

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