Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

【Spotify】マーティ・フリードマン、Spotifyを更新する【第2回】



スゲー今更感あるけど、音楽ストリーミングサイトSpotifyマーティ・フリードマンによるメタルジュークボックス企画のプレイリストが更新されています。前回に続き、今回は第二回目だ。

初回となる第一弾は、隙あらばテクデスぶっ込んでくる「テクニカルなメタル」が好きなマーティの趣味嗜好が赤裸々に暴かれたような選曲で、この第二弾では一曲目から(NOR)の方のShiningから始まって、チルボドやイーサン叔父貴をはじめとした北欧系エクストリーム・メタルやピコピコ系のパリピメタル、シンプル・プランやマイケミなどのポップでキャッチャーなエモ/メロコアからマッドヴェインやスリップノットみたいなヌーメタ界の超メジャーな大御所まで、国内勢からはCrossfaithと氣志團の綾小路翔とマーティがコラボしたナニか、そしてマーティの隙きあらばテクデス連発してくる姿勢は変わらぬまま、今回は前回に引き続き、前回以上にメタルという「グローバル」な音楽、すなわち「グローバル・メタル」を実感させるバラエティに富んだ選曲となっている。好き嫌いのないマーティの「雑食メタラー」としての懐の広さと「新しいメタル」に対する貪欲な姿勢、その見識の広さに改めて驚かされる。なお、もうすぐ第三弾が更新される模様。

【3/20】 ねごとワンマンツアー2017 「ETERNALBEAT」@名古屋クワトロ

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いや別に、別に、ステージ上で歌うフロントマンの幸子がBoom Boom Satellitesの川島さんと重なって見えたとか、正直その手のクサい話には一切興味がなくて、でもその『繋がり』を一切無視するなんて事は最新作の『ETERNALBEAT』が許さなくて、それらの諸々のことを含めて色々な想いはあるけれど、それよりも今回のツアーで一番気になる所といえば、Boom Boom Satellitesから受け継いたエレクトロな打ち込みを大胆に取り込んだ新曲陣をライブでどう『表現』し、そしてライブでどう『再現』
するのかに他ならなかった。

確かに、前作の『VISION』ねごとのバンド・サウンドを極めたような傑作で、特にベースの佑とドラムの小夜子のリズム隊が織りなす極上のグルーヴとアンサンブルが、横にも縦にもノラせる一種の魔法のような化学反応を起こしていた。これは仕方ないことだが、そのねごとを支えるキモと言っていい二人の存在は、一転して新作の『ETERNALBEAT』では作風的にも『VISION』ほどの存在感というのはなくて、となるとライブでもバンドの生命線であるグルーヴ&アンサンブルが消滅し、つまり「ロックバンド」としてのブレが生じてしまうのではないか、という一抹の不安は無きにしもあらずだった。が、ライブの幕開けを飾るゆるふわ系の”PLANET”から、ねごとの「特異点」である”DESTINY”から”Ribbon”までの序盤の流れを聴いたら、その不安は一瞬にして吹き飛んだ。二年ぶりに目にしたねごとは、全てが「変わった」ように見えて、何も変わっちゃあいなかったんだ。確かに、新作で「変わった」ところは変わっているのだけど、でもねごとの「ロックバンド」としての根幹の部分は何一つ変わっちゃあいなかった。

新作の『ETERNALBEAT』は、「ロックバンド」としてのねごとを幾倍にも成長させると同時に、一方で「ライブバンド」としてのねごとを目覚めさせたアルバムでもあったんだ。序盤からベースの佑はシンセベースを駆使してバインバインとフロアを揺らすし、ドラムの小夜子は頭まで使ってタイトなドラム鳴らすし、ギターの瑞紀は二年前と比べると「ロックギタリスト」として貫禄が出てきた。そして、このライブで一番印象に残ったシーンは、中盤のハイライトとなる”mellow”の時に、マイクスタンドを外してステージ上を「自由」に動き回って何時にもなく感情的に歌い上げる幸子が、そのバラードな曲調的にも全盛期の大塚愛にしか見えなくて、多分二年前のライブでは「マイクスタンドのまま歌う幸子」という固定の位置でしか見たことなかったから、その「曲中に動く幸子」はもの凄く新鮮だったし、正直その「動く幸子」を見てたら不思議と鳥肌立ったというか、何故か泣きそうになった。その光景は、まさに新作の『ETERNALBEAT』ねごとを「ライブバンド」としてNEXTステージへとブチ上げた一つの証明でもあって、つまり「ロックバンドはこうじゃなきゃいけない」とか「ねごとはこうじゃなきゃいけない」とか、そういった「固定概念」から解放されたねごとのシン化した姿そのものだった。

新作の『ETERNALBEAT』は、ねごとの楽曲面での表現の幅と可能性を大きく広げたアルバムであると同時に、ねごとのライブ面での表現の幅と可能性を無限に広げるようなアルバムでもあったんだ。ライブ序盤はいつも通りの、それこそ二年前と変わらない、彼女たちのウリである「どんとこい横ノリ縦ノリ」なバンド・サウンドが炸裂する曲でテンポよく、コールやクラップを曲の一部としてオーディエンスとの一体感をもってノリノリに盛り上げていくのだが、自分はてっきり『ETERNALBEAT』ツアーだから一曲目から表題曲や”アシンメトリ”を持ってくるセトリだろうと予想してたから、こう序盤~中盤と「二年前とほぼ変わらないねごと」を見せられたことに面食らった。しかし、ライブで聴くと俄然好きになった中盤の”cross motion”から、先ほどの「固定概念」から解放されて「自由」を得たねごとが露となる”mellow”を皮切りに、シティポップみたいな幸子の歌と楽器隊のコーラスワーク、そして照明演出が冴え渡る”君の夢”を聴いたら改めて今のねごとの比較対象って相対性理論だよなって思うし、その流れで新作の鍵を握る曲の一つである”シグナル”を披露して「おやおや?妙に変だなぁ・・・?」ってなって、この次に前作の”endless”を挟んで、からの”アシンメトリ”のイントロがendlessにループし始めて、その瞬間この「ライブハウス」は「クラブハウス」でもあったという真実に気付かされ、そのまま最後に”ETERNALBEAT”の鳴り止まないビートをエンドレスに刻んでいく。

もうなんだろう、「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!俺はねごとのライブを観ていたと思ったら いつの間にか宇宙にいた」ってくらい、新作の『ETERNALBEAT』に込められた『魂』のビート、本日名古屋クワトロでねごとが放ったendlessに鳴り止まないビートは、まさに【2015年5月13日】に名古屋クワトロで観たBoom Boom Satellitesのライブで『体感』した『衝動的』なビート、そして【2015年9月01日】に恵比寿リキッドルームで観たANATHEMAのライブで『体験』した『黄金』のビートと全く同じ波長のビートを刻んでいたんだ。僕は、このライブハウスという不均衡な四次元立方体の中で、ねごとが放つ音の粒子が作り出した三次元と五次元へを繋ぐワームホールの中で、僕が『過去』に観た中野さんと川島さんが歌う姿、そしてANATHEMA「Satellites」を描き出した『過去』のライブを再演していた、というより、もはや僕の『魂』はこのライブハウスという名のワームホールの中で、ねごとが編み出した『サテライツ・ミュージック』を介して『過去』に行っていたんだ。だから今日、僕が観たねごとのライブの中では川島さんは確かに歌っていたし、僕が観たこの約100分ほどのライブの中では確かに命を繋いでいたんだ。しかし、僕マシュー・マコノヒーが『過去』に行って感傷に浸っていた頃、ねごとは自らの『過去』を顧みず、あまりにも前向きで、あまりにもポジティブな、そしてあまりにも眩いくらいの『未来』を見据えていた。

とにかく、二年前とは比べ物にならないくらい激しさマシマシのロックバンド然としてて、ねごとは紛れもなく「ロックバンド」であり、これからも「ロックバンド」としてシン化し続けるバンドだと自己申告するかのようなアツいライブだった。最後のMCで瑞紀も言ってたけど、アルバム毎に変わり続けるねごと、その変わった後の『今のねごと』は『今』しか味わえないし、それこそ「オルタナティブバンド」としてのねごとのシンの姿なんだって。だから、『今のねごと』は絶対に『今』観ておかないと損すると思うし、少なくとも今日のライブは今年の年間BESTライブ確定です(KATATONIAが来日しない限りは)。正直、『今のねごと』ほど追ってて「面白い」と感じるバンドって、少なくとも今の日本にはいなんじゃあないか。

セトリは新作『ETERNALBEAT』『アシンメトリ e.p.』中心のセトリだが、過去の曲も違和感なく馴染んでたと思うし、アンコールではバンド結成10周年とのMCと繋げて”ループ”と新作からラストチューンの”凛夜”を披露した。ところで、新作の『ETERNALBEAT』って中野さんがプロデュースした楽曲が目に見えて「実験的」なイメージを与えるけれど、実は今のねごとにとって新作で最も「実験的」な曲って他ならぬ”凛夜”なんじゃねーかって、今日のライブで聴いてみて俄然そう強く感じたというか、この曲でもマイクスタンドを外して歌う幸子やアコギを靡かせる瑞紀だったり、この曲ほどねごとのNEXTステージ、ねごとの『未来』を予感させる「新機軸」な曲って他にないと思ったくらい。しかし、”endless”から”アシンメトリ”の流れは粋ってレベルじゃないし、独りで「繋がってるぅ!繋がってるってばあああああああああ!!つつ繋がったあああああああああ!!」ってなった。

相変わらずベースの佑は一番小さいのに一番ノリノリで楽しそうにピョンピョンしてたし、ドラムの小夜子も何か新しい試みっぽいことしてたし、ギターの瑞紀もやっぱスゲー存在感あったし、でも今回ばかりは幸子の存在感サマサマな所があったのは間違いない。自分はフロア後方から真正面に幸子が見えるポジションから観てた事もあって、特にマイクスタンドを外して歌った”アシンメトリ””ETERNALBEAT””mellow””凛夜”での幸子は本当にエモ過ぎたし、とにかく今日の幸子のパフォーマンスはガチでグッときた。中でも”mellow”聴いた時とか、「ちょっと待って、幸子めっちゃエモいやん!」ってなった。あと幸子がインタビューで「いいメロディを作る、いい曲を作る」と語るとおり、新作の【ダンスミュージック×ねごと】という目に見えて新しい『変化』に注目するのもいいが、それよりも改めてねごとが持つメロディセンスに注目すべきライブなんじゃあないかって。あと今日の幸子見てたらいつかガチでツインドラムやり始めるだろこれって思った。

ちなみに、今日のライブで瑞紀が使ってたギターはかのZEMAITISで、ZEMAITISといえばご存じBAND-MAID当て振り鳩女こと小鳩ミクちゃんもZEMAITIS使いなのだが、瑞紀がZEMAITISを持って弾いている時の「型」と当て振り鳩女ZEMAITISを持ってアテフリしてる時の「型」、同じZEMAITISでもこうも違うのかよと、それこそ「プロの型」と「ドシロウトの型」というか、「本物」と「ニセモノ」の違いというか、やっぱりギタリストってギター抱える立ち絵=「型」だけでその人の技量が雰囲気として出ますね。今日のバッリバリの「ロックギタリスト」としてシン化した瑞紀の「型」と比べると、当て振り鳩女はその辺の量産型アイドルに初めてギターを持たせたみたいな立ち絵のソレで、そもそも瑞紀と当て振り鳩女を比べること自体瑞紀に失礼なんだが、要するに同じZEMAITIS使いとして当て振り鳩女は瑞紀にギター教えてもらえよ。つうか、ねごとのツアーファイナル行って勉強してこいよ。わかったか、当て振り鳩女。いや、でも、やっぱ瑞紀推せるわ~と再確認。

【3/20】セットリスト 
01. PLANET
02. DESTINY
03. Ribbon
04. holy night
(MC)
05. 天使か悪魔か
06. school out
07. シンクロマニカ
08. cross motion
09. mellow
(MC)
10. メルシールー
11. 君の夢
12. シグナル
13. endless
14. アシンメトリ
15. ETERNALBEAT

(MC)
16. ループ
17. 凛夜

ねごと 『ETERNALBEAT』

Artist ねごと
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Album 『ETERNALBEAT』
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Tracklist
01. ETERNALBEAT
02. アシンメトリ
03. シグナル
04. mellow
05. 君の夢
06. DESTINY
07. cross motion
08. holy night
09. Ribbon
10. PLANET
11. 凛夜

DESTINY』のぼく
new_13「ねごとがNEXTステージへと向かうには【Satellites】のビートが必要だ(しかし、いくら優等生のねごとでも流石にできるわけがない!)」

    ねごと
蒼山幸子「できるわけがない!できるわけがない!できるわけがない!できるわけがない!」

   ぼく
new_20131031220005「ほら!『4回』も『できるわけがない』って言ったぁ!ねごとはオワコン!」

   ねごと
澤村小夜子「ANATHEMAの未来ことBoom Boom Satellitesと邂逅してシン・ねごとになったぞ」

  ぼく
new_UJ「なにそれすごい」

なんだろう、「運命の引かれ合い」って、漫画の世界の話だけじゃなくて現実の世界でも起こりうるんだなって、そう実感させられた出来事だった。僕は、2015年作のVISIONの時にねごとの事に対して、何の根拠もないままに「いま最も評価されるべきバンド」と断言したけれど、その言葉は何一つ間違っちゃいなかったんだって。
 
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というのも、その『VISION』から約3ヶ月後に発表されたシングルのDESTINYの時に、僕はねごとメンバーに対してANATHEMAの”Distant Satellites”みたいな曲が書けるかという『レッスン4 できるわけがない試練』を与えた。そのシングルのDESTINYで、ロックバンドとして一段と成熟した今のねごと「オルタナティブバンド」としてNEXTステージに行く為には、それこそ”Distant Satellites”みたいな実験的なロックを極めるしか他に道はないと。だから僕は前作『VISION』の時から記事中に【ANATHEMA】【Satellites】というキーワードという名の伏線を忍ばせていて、それ以降も事あるごとに執拗にねごとANATHEMAの存在をリンクさせてきた。



もっと面白いのはここからで、僕はねごと『VISION』を聴いた翌月に、(tricotに釣られて)名古屋クワトロでBoom Boom Satellitesのライブを観て、アルバムSHINE LIKE A BILLION SUNSを聴いて、そして【Boom Boom Satellites=ANATHEMAの未来】である事を確信した。ご存じのとおり、ANATHEMAは通算10作目となるアルバムDistant Satellitesの中で実験的な、それこそ「オルタナティブバンド」たる所以を証明するかのような、プログラミングやエレクトロな打ち込み系の音を駆使したダンサブルなサウンドを展開し、中でも表題曲となる”Distant Satellites”の鼓動を激しく打ち付けるようなエレクトロなビートとダイナミクスを内包したロックなビートが融合した姿は、まさにBoom Boom Satellitesの音世界そのものだった。
【2015年8月31日】ANATHEMA 奇跡の来日公演
【2016年5月31日】Boom Boom Satellites活動終了
【2017年3月19日】ねごとの『ETERNALBEAT』を書き上げる
【2017年3月20日】ねごとの『ETERNALBEAT』ツアーを観る(宇宙の終わり)
 
正直、あの時は「ねごとのNEXTステージはANATHEMAのDistant Satellites」だとか、「Boom Boom Satellites=ANATHEMAの未来」だとか、一体ナニを思って書いたのか自分でもよく分かっていなくて、そもそも自分は基本的にレビューを書く時に最も重視するのが「ひらめき」で、そしてスキあらば伏線を散りばめていく文章スタイルなのだけど、2014年にDistant Satellitesがこの世に爆誕して以降、その翌年の2015年にねごとANATHEMABoom Boom Satellitesのライブを観たこと、そして2016年にBoom Boom Satellitesが活動終了を発表するまで、それら一連の流れと伏線をまとめた上記の時系列を見れば、今回の『運命』すなわち『DESTINY』”引かれ合い”はその「ひらめき」が上手くハマった結果の出来事だったというのが分かるハズだ。というより、ここ三年はこのアルバムを書くためのちょっと長い準備期間だったのかもしれない。僕は常に、いつだってどんな時もどんな時もねごとの事を気にかけていた、というのは流石に嘘だけれど、ここ三年の僕は『地球』に存在しながらも『Satellites』という『衛生音楽』を介して『宇宙』を彷徨っていた、そんな気がしてならなかった。同時に僕は、2015年度BESTの記事の中で2015年は『繋がり』を強く意識させた年だと言及したけれど、その『繋がり』を感じた最もたる部分の一つが、他ならぬねごとを中心とした人物と音楽だったのは、今さら言うまでもない。

もう何を言いたいのかお分かりの方もいると思うが、このねごとは僕が与えた試練、その「答え」として、Boom Boom Satellitesが残した『魂』のビートを「受け継ぐ」ような形で、昨年の『アシンメトリ e.p.』、そして本作の『ETERNALBEAT』へと『繋がって』いる。その100点満点の回答に対して僕ができる唯一のことと言えば、赤ペン先生ばりに上から目線で100点満点の返信をするしかなくて、つうか、こんな回答出されたら100点付けて終わりじゃんこれ。俺もう何も言えねぇじゃん。「エモい」とか「泣ける」とか、そんなチープな言葉じゃ何も伝えられない。自分の語彙力のなさに泣けるくらい。というか、こんなとんでもねぇアルバム聴かせられたら、僕が何を書こうと『説得力』のカケラもないし、正直ナニも書けないからもうナニも書きたくないです。



ねごと
Boom Boom Satellites(ANATHEMAの未来)との邂逅という名の引かれ合いが実現した”アシンメトリ”は、シン・ねごとという名のシン・ブンブンサテライツ譲りのイントロから打ち込み主体のダンサブルな、鼓動を打ち付けるような音のビートが波紋のビートとなって体全体に刻み込み、中盤以降のアトモスフェリックな空間表現や崇高さ漂うコーラスワーク、そしてギターの残響音が宇宙を構成する無数無限の微粒子となり、それこそ【左右非対称】や【不均衡】という意味合いを持つ『アシンメトリ』という無数の四次元立方体(テッセラクト)が無限に不均衡に重なり合って、この『ETERNALBEAT』という名の三次元と五次元を繋ぐ『ワームホール』への入り口をこじ開けていく、その姿はまるで自らの手で『運命』『未来』を切り拓いていくねごとの生き様を、この宇宙この銀河の果てまで映し出すかのよう。

ねごとがデビュー当時から一貫してきた「オルタナティブ・ミュージック」への探究心は一つの極地へと到達し、この宇宙からもの凄く遠くて(Distant)、ありえないほど近い銀河の果てにある”ANATHEMA””Boom Boom”という2つの”Satellites=人工衛星”が取得した惑星データと量子データを応用して、相対性理論やくしまるえつこがソロで解き明かした宇宙最大の謎である「特異点」と同じ答えをワームホールに示し出し、そして遂にねごとは次元の壁を超えてThey=彼らと再会する。これにはえつこX次元へようこそとばかり、人工衛星マギオンからほくそ笑んでいるに違いない。冗談じゃなしに、今のシン・ねごとの比較対象ってその辺のガールズバンドじゃなくて、わりとマジでやくしまるえつこ率いる相対性理論だと思う。
 

ねごととダンスミュージックの融合、その相性はアルバムの幕開けを飾る表題曲の”ETERNALBEAT”から遺憾なく発揮されていて、前作のようなロック歌唱ではなくウェットでシットリした幸子(Vo,Key)のオトナ系ボーカルをリードに、この『ETERNALBEAT』という名の小宇宙の幕開けを飾るに相応しい、ミラーボールのようにカラフルなサウンドと永遠に鳴り止まない「始まり」のビートを刻んでいく。”アシンメトリ”と同じく、BBSの中野雅之氏がプロデュースを手掛けた#3”シグナル”は、クラブ系のイントロからバッキバキなエレクトロニカを効果的に鳴らしつつも、要所で幸子のボーカル&キーボードと瑞紀のギターでメリハリを効かせながら展開し、クライマックスではギターのリフとクラップで縦ノリ的な盛り上がりを見せる。

シングル『DESTINY』 の時に「グリッチホップっぽい」と一体どういう意図で書いたのか、自分でもよく分からないのだけど、この4曲目の”mellow”のグリッチホップ的なトラックを耳にしたら至極納得したというか、それこそ同シングルに収録された瑞紀が手がけた”シンクロマニカ”のリミックスという名の伏線を回収するかのような一曲だった。哀愁を帯びたメロディを歌いこなす幸子のボーカルと、そのリミックス風のクール&ドライなトラックが、絶妙な切なさとエモさを呼び起こすバラードナンバーだ。また幸子が奏でるマリンバのノスタルジックな音色が絶妙なアクセントとしてその存在感を示している。

まるで森田童子みたいなノスタルジーの世界へと誘うような、幸子の歌と小夜子と瑞紀のコーラスでゆるふわっと始まる#5”君の夢”は、ある種のドラムンベース的な疾走感溢れるビートを刻むトラックとファンタジックなプログラミングが、まるで白昼夢を見せられているかのような、摩訶不思議なシン・ねごとワールドを構築していく。



なんだろう、何度も言うけどこの”DESTINY”ってねごとの音楽人生、その未来を大きく変えた、言うなれば【特異点】だったと思うのだけど、なんだろう、「全てはここから始まった」じゃあないが、なんだろう、それこそ【過去のねごと】【現在進行系のねごと】【未来のねごと】を紡ぎ出すキートラックというか、なんだろう、ねごと『運命』すなわち『DESTINY』を繋ぐいわゆる四次元立方体(テッセラクト)的な役割を担っているのがこの曲で、このシン・ねごとによる『ETERNALBEAT』の実験的なアルバム前半の曲と、ex-ねごとらしいバンド・サウンド全開でお送りするアルバム後半の曲、それぞれ別次元に存在する粒子を同次元へと繋ぐワームホール、すなわち橋渡し的な役割を担っている。

この”DESTINY”という【特異点】を起点に、打ち込みを駆使したアルバム前半の実験的な流れから一転して、持ち前のエネルギッシュなバンド・サウンドを全面に押し出してくる。ROVOの益子樹氏プロデュースの#7”cross motion”やシングルにも収録された同氏プロデュースの#8”holy night”では、イントロからスペースワールド感&ピコピコ感マシマシの曲で、特に#7はガールズ・バンド界のレジェンドZONE愛を伺わせる幸子のボーカル・ワークが個人的にお気に入り。

アルバム終盤は、前作『VISION』のバンド・サウンドを継承した”Ribbon”、ゆるふわゲーこと『リトルビッグプラネット』風のゆるふわな世界観の中で軽快なロック・ビートを刻んでいく#10”PLANET”、そしてYUI”TOKYO”を彷彿とさせる切ない歌詞をエモく歌い上げる幸子の歌とバラエティ豊かな幅広いアレンジを効かせたアコースティックなトラックがサイコーなラストの#11”凛夜”まで、アルバム後半はex-ねごとらしいバンド・サウンド主体でありながらも、アルバム前半の実験的なサウンド・アプローチを受け継ぐ所はシッカリと受け継いでいる。とにかく、聴き終えた後の「余韻スゲぇ...なんだこのアルバム...宇宙かよ」ってなる。なんだろう、「傑作」とかそんな生半可なもんじゃあないです。単純に「僕の好き」が詰まってる。なんだこれ。

このアルバム、もはや『進化』というよりも『突然変異』と表現したほうが正しいのかもしれない。確かに、前作の『VISION』でド真ん中のストレートな、それこそ自分たちの中でナニかが吹っ切れたようなバンド・サウンドを展開していたねごとが、なぜ一転して打ち込み主体のダンサブルな縦ノリ系のバンドに変貌を遂げたのか?しかし、果たして本当に突然変異なのだろうか?元々、ねごとメンバーの4人が織りなすバンド・サウンドには、グルーヴィでアンサンブルな縦ノリにも横ノリにも強い、ロックバンドとしての柔軟性の高さとそのスキルが備わっていて、だからこの手の打ち込み系との相性もグンバツなのは聴く前から分かりきっていたし、そして何よりも以前からギターの沙田瑞紀がリミックス音源を通して「実験的」なサウンド×ねごとを散々試みてきた事もあって、むしろこの『突然変異』はイメージ通りでしかなかった。あの”アシンメトリ”にしても、そのまんまBoom Boom Satellitesのビートを借りてきたというわけじゃあなくて、あくまでもねごとがデビュー当時から一貫して探求してきた『宇宙』に対する強い”憧憬”と元々の素養から全ては内側から生まれ出た音であり、そのBBSから受け継いだ『魂』のビートと「ガールズバンドねごと」としてのファンタジックなポップネスが、ワームホールを抜けた先にある宇宙の果てでクロスオーバーした必然の結果に過ぎない。つまり、【彼ら=They】が作り出した五次元空間の中で見た【未来のねごと】は、その【彼ら=Theyの正体が実は【ex-ねごと】だったという宇宙の『真実』に到達していたんだ。

あらためて、今作はねごとの音楽的価値観が宇宙を一巡して一回り大きくなってスケール感を増した、シン・ねごとによるオトナ・サウンドを展開していく。彼女たちの音楽的な見識の広さとロック・バンドとしての柔軟性を垣間見せるような、それこそ「オルタナティブバンドとしてのねごと」が持つプライドとポテンシャルがビッグバンを起こした奇跡的な作品だ。楽曲のアレンジ力が格段にアップしたこと、特にトラック面の強化は目を見張るものがある。今作におけるボーカル&キーボード担当の幸子の歌は、無理に声を張り上げるような歌い方ではなく、非常に落ち着いていて相当耳障りが良くてオトナっぽいです。彼女の「ボーカリスト」としての成長および変化は、このアルバムの中で地味に大きな微粒子として存在しているし、ほんの微粒子レベルに些細なことかもしれないが、その微粒子レベルの変化が及ぼす大きな『バタフライ・エフェクト』は地味に評価されるべき所だと思う。単純に歌ってるメロディが心地いい。つうか、そろそろ幸子はANATHEMAヴィンセントChvrchesローレン・メイベリーみたいにドラム叩き始めそうな予感。
 
『繋がり』という点で言うと、シン・ねごとBoom Boom SatellitesROVOもソニー系列のバンドで、面白いことにANATHEMAも「彼らが最もオルタナティブやってた」と評される中期の頃に所属していたMusic for Nationsの親会社がソニー・ミュージックと合併してソニーBMGとなり(詳しくは『Fine Days: 1999 - 2004』参照)、そして2004年にMFNは正式に閉鎖され、ご存じそれ以降のANATHEMAは露頭に迷ってしまうのだが、しかし今思うと、その合併騒動がなければ【今のANATHEMA】は存在しなかったかもしれないし、そう考えると【バタフライ効果】【オルタナティブ】には”引かれ合う”「ナニか」があるのかもしれない。そういった些細な『繋がり』からも、ソニーがやってる事業で一番評価されるべきなのって、ソニー損保のCM事業でもゲーム事業でもなくて音楽事業だよなって再確認した次第。今のねごとは、ソニーの「モノづくり」に対する【オルタナティブ】な姿勢とその信念を受け継ぎ、それを守り続ける音楽界最後の砦、言うなれば「邦楽界のマシュー・マコノヒー」すなわち「シン・オルタナティブ・ヒーロー」だ。彼女たち4人の他に「代わりは、代わりはいないんだ」。

昨今は「ガールズバンド戦国時代」だなんだと囁かれているが、正直そんなことより「ガールズバンド戦国時代」という名の「殺し合いの螺旋」から降りた今のねごとの生き様に刮目せよと、「いま最も評価されるべきバンド」以前に、「いま最も面白いバンド」であり「いま最もカッコイイバンド」でもあり、そして「いま最もオルタナティブなバンド」がこいつらだって、今のねごとを正当に評価してから戦国時代だなんだと騒げよと、ハッキリ言って今のex-ねごとの前では「ガールズバンド戦国時代」なんて子供のお遊戯会でしかない。わかったか、ガルバンの当て振り鳩女ども。

実際にねごとは、「いま最も評価されるべきバンド」その根拠をこのアルバムで、宇宙最大の難問である「特異点」の方程式を解き明かすことで、それを証明してみせた。なんだろう、僕自身がこの『ETERNALBEAT』における『バタフライ・エフェクト』その一部の粒子として存在していた、な~んて勘違いも甚だしいのは重々承知の助だし、なんかもう「ありがとう...」それしか言う言葉がみつからないというか、こんなビッグバンレベルのアルバム出しちゃっていいのかよって。もう本当にナニも言えねぇ。当然、僕はこの【シン・ねごと路線】を全面的に支持するというか、ねごとはこれまで数々の伏線を辿ってきて『今』という『未来』を描いているので、やっぱ何も言えねぇし、やっぱ瑞紀サイコーだ。
 
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