Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

2013年11月

Tides From Nebula 『Eternal Movement』 レビュー

Artist Tides From Nebula
Tides From Nebula
Producer/Mixing Christer-André Cederberg
Christer-André Cederberg

Album 『Eternal Movement』
Eternal Movement

Tracklist
01. Laughter Of Gods
03. Satori
04. Emptiness Of Yours And Mine
05. Hollow Lights
06. Now Run
07. Let It Out, Let It Flow, Let It Fly
08. Up From Eden

ボグボグばかり聴かないで・・・今年はボグボグボグボグ...と、いわゆる俺の界隈のアイドルことイェンス・ボグレンの年と散々言ってきたが、今年の初めに俺の界隈の裏方としてイェンスと共に紹介した”彼”の存在を忘れてはいけない。そう、ANATHEMAの名盤Weather Systemsをこの世に産み落とし、そしてライブ作品のUniversalを手がけたノルウェイ人のChrister-André Cederbergの存在だ。今年、彼が関わった作品は幾つかあって、その中の一つに、このポーランド出身のTides From Nebulaの新作『Eternal Movement』がある。最近では、あのThe Oceanとのツアーをはじめ、KATATONIACult of Lunaが参加した今年のDamnation Festivalにも出演したりと、今や東欧が誇るポストロック界のホープと言っても過言じゃあない、このTFN。そんな彼らの新作に、あのChrister-André Cederbergをプロデューサーとして迎えたという話を聞いた時は少し意外な気もしたが、しかし前作の2ndEarthshineでなかなかのポテンシャルを発揮していたし、とにかくこのタイミングでChrister-André Cederbergを迎え入れたTFNは、とても素晴らしい審美眼の持ち主だと言える。

【ポストロック四天王】・・・このポーランドはワルシャワ出身のTides From Nebulaといえば→MogwaiやGodspeed You! Black Emperor、Explosions in the SkyやMonoらの通称ポストロック四天王の王道的なスタイルをリスペクトしながらも、 持ち前のオルタナセンスや東欧産らしいクラシカルかつ幻想的なピアノを中心に、時にポストメタル的なダイナミズムを交錯させて華々しくエモーショナルに、まるで後光がさすほどの希望に満ちた生命エネルギーを放出していく。そして無数の音の光が反射し合いながら、まるで天体観測のような音のパノラマ百景を描き出していく。

【ポイントはキーボード】・・・オープニングを飾る#1のイントロから前作との違いを見せつける。epicッ!!なメロディと大仰なキーボードが複雑にプリズムするド派手な演出によって、音の空間に広がりと奥行きを与えながら、まるで宇宙空間を彷徨うようなATMSフィールドを形成していく。特に#3のニューロシスばりの轟音ヘヴィネスとキーボードの掛け合いは聴きどころ。あと、これはChrister-André Cederbergによるものだと推測するが、前作と比べると音に深みが増したというか、単純に音の質感が格段に良くなった気がする。つまり、クリステルの腕によって洗練されたダイナミックな展開、それこそANATHEMAWeather Systems直系と呼べる心が晴れやかに浄化されるような、クリステルの腕によって洗練されたメロディが激情的な感情を解き放ち、そして時折epicッ!!な轟音ギターが只ならぬ昂揚感を呼び起こす。

【メタル系ポストロック】・・・あらためて、Tides From Nebulaの音楽性を細かに紐解いていくと→いわゆる王道的なポストロックのようにゆるやかに展開するのではなく、極端な話→今回はクリステルのプロデュースによって、まるでプログレ・メタルのように大胆かつド派手な展開力を身につけ、例えるならドイツのLong Distance Callingの3rd『S/T』に近いプログレッシブなアプローチを持った、簡単にポストメタルと呼ぶんではなくて、言うなれば”メタル系ポストロック”とでも言うんだろうか、そんなイメージがある。今作では、そのLDC化が著しく、チルいエレクトロニカを駆使した#4を聴けば65daysofstaticやOG産のSleepmakeswavesを、ATMSフォールド全開の#6を聴けばIf These Trees Could TalkOur Ceasing Voiceを、#7のダイナミズムはGod Is An Astronautを彷彿とさせる。

【お・も・て・な・し】・・・本来ならば、過去にANATHEMAのヴィンセントやKATATONIAのヨナスをゲストとして起用した事のあるLDCの方が、このChrister-André Cederbergと組んでもおかしくなかった。でも、LDCは新譜で作風が少しばかり変化したから、そのLDCの2ndと3rdの路線を受け継いでいるこのTFNが、あのChrister-André Cederbergと一緒になることは意外でもなんでもなかった。当然、その内容も文句なしで、今年クリステルが”お・も・て・な・し”した仕事の中では上位にくる作品だと思う。
 
Eternal Movement
Eternal Movement
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Acid Black Cherryの新曲『黒猫 ~Adult Black Cat~』を聴いた。

    CDでーた

【七不思議】
・・・8月にレビューした前作Greed Greed Greedの記事が、(別に大したこと書いているわけでもないのに)未だに週間アクセス数ランキングのトップ5内に入り続けていて、これはyasuおよびABC人気の証明その裏打ちであると同時に、当ブログWelcome To My ”俺の感性”の七不思議となっている。まぁ、他の記事が不人気なだけって言ったらそれまでなんだけど(笑) そんなこんなで、昨年のシングル”イエス”から約1年半ぶりのシングル『GGG』から約三ヶ月ぶりとなる新曲『黒猫 ~Adult Black Cat~』がリリースされた、というわけ。

【金!暴力!SEX!】・・・ABCが8月からスタートさせたプロジェクト『Shangri-la』あらため『チケットが取れないプロジェクト』のリリース第1弾となった前作のGGGといえば→”グルーヴ! ドライブ! 五感で感じる完全攻めの新ABCサウンド!”というウリ文句どおり、人間の欲望すなわち【金!暴力!SEX!】をさらけ出すような歌詞と、これまでのABCにはなかったゴッリゴリなギターとバッキバキなベース主体のモダンヘヴィネスを聴かせる楽曲で、個人的に何回リピートしたかわからないほどツボにハマった。この新曲『黒猫』は、そんな『チケットが取れないプロジェクト』のリリース第2弾にあたる。

【394円】・・・シングル恒例のカバー曲は松任谷由実の名曲「青春のリグレット」で、これはプロデューサーに勧めてもらった曲らしく、どうせなら今流行りの”ひこうき雲”が良かったなぁ...とか思いながらも、まっこれは『Recreation 4』で聴けばいっかー・・・というわけで、例のように今回もGGGと同じシングル一曲だけが収録された394円版を手にいれた。そして例のように、アイドル商法顔負けのカードが初回限定特典として付いていた(相変わらずの誰得)。それにしても、アラフォー間近のオッサン、未だ現役バリバリですって感じだ。

【ロック界の氷川きよし】・・・『℃-ute=DIR EN GREY』の薫のインタビューも記載されている音楽雑誌『CDでーた』のインタビューの中で、「自分の中でシャッフルの最終兵器ができたと思う!」と自信ありげに語るyasu。その言葉どおり、ニャオ~~~ン♪と可愛い鳴き声を上げるYUKIのギターが夜の街にこだまし、サックスやトランペットそしてトロンボーンが豪快にぶつかり合う、yasuが主演を務めるド派手なレイトショーの幕開けの合図(イントロ)から、1st『BLACK LIST』”Black Cheryy”や3rd2012”蝶”を連想させるジャジーでアダルティな妖気を引き連れて、”長い髪をかきあげて 少し上目使い”というyasuの全てが詰まったようなBメロ、そして”私は黒猫(ウェ~オウェ~オウェ~オウェ~オ)”から始まって→まるで「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」というディオの問いに”仕留めた男の数?覚えてない”と切り捨てるように答え→極めつけに”神様だってなんだって逝かせてみせる”という、これにはナントカ隆法総裁およびキリストもoh...Jesus Christus!!とか叫びながら逝っちゃう、そんなアンチクライストなサビ。このサビの締めを飾る→”だんだん! 街は どんどん! 私を染める”という部分は、yasuにしか歌えない独特のフレーズというか、微妙に氷川きよしの”ズンドコ節”みたいなユニークなノリもあったりしてスゲー面白いし、もうなんかyasuって”ロック界のズンドコ”やなぁって。あとこのサビ、裏のリズミカルなクラップもポイントの一つとなっていて、ライブでもシッカリとクラップすべし。

【ポイントはBメロ】・・・あらためて、今回の曲調や展開は至ってシンプルなんだが、モダンなヘヴィロックだった『GGG』とはひと味違って、よりダイナミックなスケールすなわちビッグバンド感が増した、これぞyasuの本領発揮というか、それこそyasuのバックグラウンドを垣間見せるようなレトロ調のロックナンバーだ。そんな、様々なユニークな仕掛けが施されている黒猫だが、個人的には、Janne Da Arc時代に通じるBメロが全てだと思う。このBメロのような、JDA時代からファンがニヤリとしちゃうyasuらしいフレーズを聴くと、あらためてJDAの復活を切望してしまう。

【サポメン】・・・今回の曲に参加したサポメンは→ギタリストには紅白出場が決定したLinked Horizonでお馴染みのYUIKI君(ワンチャン紅白に出演する可能性ある?)、前作の『GGG』ではバッキバキなベースを披露していたベーシストのIKUOさん、そしてドラムにはVenomstripの山崎慶君という編成で、中でもABC作品に初参加となる若手ドラマー山崎君による、yasuお墨付きの広がりのあるダイナミックなドラムプレイは聴きどころの一つだ。で、最後のサビで聴けるようなYUKIのフリーダムなギタープレイを筆頭に、サポメンも参加した黒猫のジャケやMVを見ても、今やABCはサポメンなしでは語れない、もはや成り立たないほど大きな存在となっていて、特にこの黒猫が放つ只ならぬビッグバンド感は、サポメンではなく一人のABCメンバーとして音を集結させた結果だと言っても過言じゃあない。

【捨て猫から黒猫に】・・・このABCといえば→メンヘラ力もとい女子力の高い歌詞だ。この黒猫は物語性の強い歌詞で、その中に『あんたなんか キライ!×∞』 そう言って泣いていた六年前という歌詞がある。お気づきのとおり、六年前にリリースされたABCのデビュー曲”SPELL MAGIC”にもあんたなんか キライ!×∞という歌詞や捨て猫というキーワードだったり、今回の黒猫の歌詞とリンクするフレーズが幾つかある。要するに、物語は至ってシンプルだ→六年前に捨てられた女が夜の世界に堕ち、カラフルなネオンがド派手に彩る夜の街で、夜の女すなわち嬢王へと成り上がっていく物語。それこそ、いたって普通の女が”男もネオンも振り返る”くらいの凄艷な女へと変貌していく・・・まるでクリスティーナ・アギレラ主演のミュージカル映画『バーレスク』のような曲だ。そして、許してやんないけど 謝んなさいという一部の歌詞には、JDAがデビューした時は”見向きもせんかった”くせに、今になって擦り寄ってきたメディアに対するyasuなりの批判とyasuなりの女々しさが込められている。いやはや、こんなメンヘラ力もとい女子力の高い歌詞はつんく♂の弟yasuにしか書けないというか、新機軸な要素をウリにしていた前作の『GGG』から一転して、今回は曲調をはじめyasuのファンキーなボーカルや歌詞もABC節全開で、これこそABCファンがABCに求めていた楽曲と言える。

【リアル黒猫】
・・・数ヶ月ほど前、俺たちTEAM-ABC(男子部)のアイドルこと日南響子ちゃんが事故ったらしく、同じTEAM-ABCとして心配なところではあるんだが、それこそ今回の黒猫の歌詞って、今の日南響子ちゃんが置かれている”捨て猫”的な状況に近いというか、つまり捨て猫が黒猫に成り上がっていく歌詞のように、是非とも日南ちゃんにはこの黒猫を聴いて元気を取り戻して、また以前のようなリアル黒猫の姿で僕たちTEAM-ABC(男子部)をブヒらせてほしいブヒ。



【そのお酒の名前は?】・・・あのABCにしては(どういう意味や)、ヤケにカネがかかったヤケに本格的な今回のMVは(上のはショートVerだが)、黒猫のファンキーな曲調をうまく活かした、yasuが主演(オーナー)を務める豪華なキャバレーといった感じ。これを観てまず思ったのは、yasuの売れっ子ぶり。TVは勿論の事、各メディアへの露出が極めて少ないのにも関わらず、この黒猫でまた過去の売上を超えたらしく、未だABC人気に陰りなど一切ないし、むしろ当然の結果でしかない。そんな、今やドーム公演ができるレベルの人気を誇っているABC、もはや”いま最もチケットが取れないアイドル”といえばこのABCだろう。今年の『チケットが取れないプロジェクト』に参戦できなかった身としては→いい加減にABC版『男尻Night』やってくれや・・・って感じ。話を戻して→このMV、偽広末みたいな女優も見どころの一つだが、しかしなんだろう・・・いつものオフザケが過ぎるABCっぽくないMVというか、思いのほかマジメ過ぎて面白くない・・・と思ったら、最後のシーンで偽広末が「このカクテルの名前は?」というセリフに、バーテン役のyasuが放った一言に全てが救われた。

【アダルト・ブラック・キャット(キリッ)】 ・・・ファーーーーーーーーーーーーーーwwwwwwww さすがyasuゥ!おれたちにできない事を平然と言ってのける!そこにシビれる憧れるゥ!この”ダサさ”こそyasuというか、むしろこの”ダサさ”がなけりゃyasuじゃないというか、ダサいはダサいでもダサカッコイイを出せる人間は今の時代このyasuしかいない。やっぱyasuはダサくてナンボやなぁと。もはや”ダサい”という言葉はyasuのためにある言葉だって、はっきりわかんだね。
 
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KATATONIA 『Viva Emptiness (Anti-Utopian MMXIII Edition)』 レビュー

Artist KATATONIA
KATATONIA
Mixing David Castillo
David Castillo

Album 『Viva Emptiness (Anti-Utopian MMXIII Edition)』
Viva Emptiness (Anti-Utopian MMXIII Edition)

Tracklist
01. Ghost Of The Sun
02. Sleeper
03. Criminals
04. A Premonition
05. Will I Arrive
06. Burn The Remembrance
07. Wealth
08. One Year From Now
09. Walking By A Wire
10. Complicity
11. Evidence
12. Omerta
14. Inside The City Of Glass

【Viva Emptiness】・・・初めてこの『Viva Emptiness』を聴いた時の印象というのはどうだろう?確か...中期のデプレッシブ・ロック路線を完成させた前作の5th『Last Fair Deal Gone Down』とは一線を画した、KATATONIA史上最もメタリックかつアグレッシヴ、そしてプログレッシブ・ヘヴィ直系の大胆な展開力を身につけたゴッリゴリの”メタル”やってる、そんな印象だったかな。初期のデス/ゴシック/ドゥーム路線から中期のデプレ・ロック路線を経て、約10年ぶりに再びメタルに擦り寄った作品であると同時に、それ以降の作風にも多大な影響を与えた、言わば後期KATATONIAの原型にあたる作品でもあって、僕の推しメンであるダニエル君の手数の多い荒々しいドラミング、その今作一番の特徴と言えるまるでドラム缶を叩いているようなスカンスカンした音を聴けばわかるように→これはもはやKATATONIA流の解釈で同年にリリースされたMetallica『St. Anger』やってみた作品、というのが、この『Viva Emptiness』に対する僕なりの見解。 

   キャリー

【ロリ堕天使】・・・あらためて、この『Viva Emptiness』というのは→まだ”ボーカリスト”として覚醒する前の、ほのかに青臭さの残るヨナスきゅんのボーカル、そのヨナスきゅんのホラーちっくな歌声が醸し出すサイケデリックな灰色の世界、リーダーのアンダースとノーマン兄によるゴッリゴリに刻むモダンなヘヴィネス、ダニエル君の知性を感じさせる官能的なドラミング、そしてイェンス・ボグレンによるギトギトした音が『漆黒の意思』をもってエクストリーム合体した結果→KATA史上最も激しくも幽玄な轟音を生み出していた。そんな原作と今回のリミックス作で物語を作るとするなら→原作で翼を失ったロリ堕天使が地上に舞い降り、10年経ってオトナへと成長したリミックス版で映画『キャリー』という名のメンヘラクソビッチ化もといクロエ・モレッツ化して人間に復讐する物語です(でも、このハツラツとした背中はどう見ても一仕事終えた後だな...)。まぁ、そんな冗談はホドホドにして、この『VE』がなければ、次作の7th『The Great Cold Distance』という傑作は間違いなく生まれなかっただろうし、そこから更にポッチャリした8thNight is the New Dayも存在しなかったかもしれない。なお、KATATONIAという名の堕天使は次作の9th死の王で腐海へと沈むが、しかしスグに復活する模様。

【Viva Emptiness 2013】・・・本作品は、そんな『Viva Emptiness』がリリースされた2003年から10週年を記念したリヴァンプ/リミックス/リマスター作品で、お馴染みのトラヴィス・スミス氏が手がけた新たなアートワークの描き下ろしをはじめ、サウンド面では主にキーボードが新規で追加されている。その結果→原作の凍え死ぬほどのソリッドな空気感は薄れ、全体的に温度のあるマイルドな音のリアレンジが施された、もはや完全に別ものとして聴けなくもない正統なアップデート作品となっている。

【イェンス・ボグレン-スカンスカン=??】・・・まず、幕開けを飾る#1”Ghost Of The Sun””音”を耳にした瞬間に驚いた。原作の『Viva Emptiness』とは”音”そのものがまるで違って、大きな特徴だったスカンスカンしたドラム缶とエッジの効いたソリッドな硬さと冷徹さを伴った”音”が消え失せ、いい意味でも悪い意味でも近年の駄作『死の王』を彷彿とさせる、独特のアンビエンス効果が薄れた耳馴染みのいい音に変わっていたんだ。一言に”リマスター”と言っても、音の臨場感というか分離や音と作風の相性は明らかに原作のが上だし、このリミックス版はより原音に近い、俺が俺がと自己主張の強いドラム&ギター&ボーカルが仲良く一つになった、言うなれば”バンドサウンド”を意識したようなバランス重視のプロダクション、といった印象。でも正直、この『Viva Emptiness』の一番の武器って、いわゆる”俺の界隈”の裏方として知られるイェンス・ボグレンが手がけた、いい意味で気持ち悪い個性的なプロダクションだと思ってたから、今回のリミックス/リマスターによって生じた確かな”音の変化”は、ある程度は予想していたものの、実際に耳にしてみると”違和感”しかなかった。だって、#1のキモなんてダニエル君の激しくもありながら絶妙にタイトなドラミングを中心とした、艶かしいほどにギラついたグルーヴ感だと自分は信じて疑わなくて、しかしリミックス版ではそのリズム&グルーヴ感が全くといって感じられなくて、むしろ逆に俄然タイトな印象を強めている。しかし、これは当然いい意味での違和感であって、本来ならば原作のドラム缶に対して猛烈な”違和感”を感じなきゃいけないハズなのに、逆にリマスターされた今作に猛烈な違和感を覚えてしまうって所が、またこの作品の面白いところだと思うし、存外アッサリとした”いい意味で普通”の音に変わったお陰で、原作ではゴッリゴリなギターの音圧に埋もれていたキーボードやストリングスのメロディが、ハッキリとした明瞭さをもって音の表面上にスッと浮かび上がった結果→「ハッ!?こんな音が鳴っていたのか!」と、まさか10年目にして新たな発見をするなんて・・・。

【ある意味、逆リマスター】・・・あの『死の王』をアンプラグド風に再構築した新作のDethroned & Uncrownedでも痛感させられた、俺たちのイェンス・ボグレンとの決別・・・。言わずもがな、今作のクレジットにも彼の名は存在しておらず、これまでイェンスの相方的な存在だったDavid Castilloがストックホルムにある自身のスタジオGhost Wardでミックスを施し、そして『死の王』『D&U』でお馴染みの誰かどこかで今作のマスタリングを手がけている。そんな、今作の音に対する率直な感想としては→まぁ実にデイビッドらしい、いい具合に洗練された音作りだと感じた。そして、やっぱり新規で追加されたキーボードとストリングスが聴きどころとなっていて、プロダクションとキーボードのアレンジが少し違うだけでこうも印象が変わるのか・・・と、音楽(楽曲)制作の仕上げの段階でミキシングやマスタリングを施すエンジニアの存在が作品に与える影響、その大きさをあらためて実感した。わかりやすい話→原作がゴリゴリのヘヴィネスを聴かせるメタル作品だとしたら、今作は近年のKATATONIAが非常に高い意識で取り組んでいる【ATMSフィールド】の形成、つまり世界観重視の作品と言えるのかも。そんな風に、10年前とは違ったエンジニアおよび音の”変化”を意識しながら、原作とリミックス版を聴き比べてみるとより楽しめるんじゃあないかと。僕自身、あらためてイェンス・ボグレンという人物はつくづく個々の作風に応じた音作りが絶妙に上手く、それと同時に曲の持ち味を最大限、いや、それ以上に発揮させる音の使い手すなわちエンジニア界の神だと確信することができた。

【聴き比べタイム】・・・そんなわけで、さっそく聴き比べてみた。この『Viva Emptiness』は、その作風を象徴するかのような#1から怒涛な勢いで激しく攻め立てる。原作で初めてこの曲を聴いた時は→(なんだこのドラム缶!?)って、それこそメタリカの『St. Anger』を聴いた時と全く同じ衝撃(悪い意味で)を受けたけど、しかし聴き込んでいくうちに病みつきになったというか、この音こそ『VE』のキモだと気がついた。が、このリミックス版では原作のキモだったドラム缶ではなくて、いい意味でも悪い意味でも”普通”というか、妙なコレジャナイ感を感じながらも、なんだかんだこれはこれで新鮮だし、全然アリだと思えた。その#1に引き続きダニエル君のドラミングが冴えわたる#2は、中盤からの幽玄なインストパートに壮麗優美なストリングスが加えられ、より今風のKATAらしいATMSフィールドを形成している。#3は原作の持ち味だったサイケデリックかつユウゲンな冷たい雰囲気が消え失せ、全体的に幕開けからダークに彩る重厚かつ荘厳なキーボードのアレンジが施されている。ヨナスのメロゥで耽美な歌が聴きどころの#4は、それこそリメイク作の『Dethroned & Uncrowned』に収録されても違和感ないアレンジが見どころ。イントロからゴリゴリな#5は、2番目のAメロにミステリアスなキーボードが追加され、リミックス版だと全体的にエッジが削がれて妙に淡々とした印象を受ける。KATA流の”あのキザミ”リフが堪能できる#6は、いわゆる”あのキザミ”の気持ちよさはそのままに、全体を通してストリングアレンジが優雅に彩っている。変拍子を織り交ぜながらゴッリゴリに刻みまくる#7は原作とあまり変わってない感。しかし、ノーマン兄によるスライド・ギターが聴きどころの#8はイントロのピアノのメロディから大胆な改良が施されている。#9は特に大きな変化はなく、ミニマルなピアノがミステリアスなムードを形成する#10、そして『VE』のカギを握る#11はサビのバッキングで様々な新しい音が鳴っている。#12では近年KATA作品でお馴染みのフランク・デフォルトによる少し派手なアレンジを、ボーナストラックとして#13が追加されていて、この曲は前作『LFDGD』の延長線上にある隠れた名曲で、原作ではインストだった#14にはヨナスの陰鬱な歌が導入されている。
 こんな感じで、中盤の#5や#7などのダイナミックに展開して疾走するギター主導の曲はどこが変化しているのか分かりづらいが、逆に#2を筆頭に#5や#8などのメロウなパートがある曲はどこが改良されているのか分かりやすい。特に#2や#4そして#12などのメロウな曲は音の相性も良く、原作以上の持ち味を発揮している。後半の#12,#13,14はその”変化”が顕著に、目に見えてわかる。当然、意識してなくても原作との違いがわかる曲もあれば、意識していても違いがわからない曲もある。一聴するだけでは、ほとんどの曲が変わっていないように聴こえるけど、実はさり気なく変わってたりする。全体的に、極端だが今のKATATONIAが『VE』やってみた的な、原作の青臭さが薄まって程よく洗練されたアレンジが施されている。あと#2を聴いた時に、もう一つ気づいた事があって、イェンスが手がけたDTConstructって、この『Viva Emptiness』を意識(リスペクト)して作られたものなんじゃあないか?って。

【イェンス・ボグレン×メタリカ】・・・これは定かではないが...ベビメタ大好きおじさんことメタリカの新作にイェンス・ボグレンが関わっているという噂が一部にある。今思うと、約10年前にメタリカの問題作『St. Anger』をリスペクトしたようなドラム缶サウンドをいち早くKATATONIA『Viva Emptiness』に取り入れ、その10年後の今現在にイェンスが関わっていない『VE』のリミックス作品がリリースされたと同時に、このような【イェンス・ボグレン×メタリカ】なんていう夢のような噂がまことしやかに流れ始めるとは・・・なんとも皮肉なもんで、いやホント~にメタル界隈って面白いなぁ...って。もはや今のメタル界隈はイェンス・ボグレンを中心に回っていると言っても過言じゃあないね。実際、この【メタリカ×イェンス・ボグレン×カタトニア】の関係性が理解ッできてる奴ってどれくらいいるんだろう?って話で、少なくともその関係性を理解ッしている今の僕はドヤ顔で語っちゃいますw 恐らく、この日本でソレを理解ッしているのは、日本一のカタヲタを自称している僕とDIR EN GREYの薫ぐらいやろなぁ・・・。まぁ、ブルルンの読者がわかる事ではないのは確かですw 要するに、そのDIR EN GREYの薫がメタリカについてを語ったヘドバン2号を読もう(宣伝)

【最高傑作】・・・僕が考えるKATATONIA(ヨナス期)の最高傑作といば→中期の5th『Last Fair Deal Gone Down』か後期の7th『The Great Cold Distance』の二択だと思っていて、もちろん8thの『Night is the New Day』も捨てがたいが・・・迷った挙句、最終的に『LFDGD』に落ち着くんだなこれが。お気づきのとおり、このたびリミックスされた『Viva Emptiness』は、いい意味でも悪い意味でもクセが強すぎて、後期KATAの方向性を決定づける名作である事に変わりはないが、じゃあ最高傑作か?と聞かれたら何か少し違う気がする。そんな位置づけの難しいアルバムだからこそ、10週年を記念してリミックスされた今作を真っ直ぐなキモチで聴くことができたし、あらためて後期KATAの方向性を指し示す重要な作品だと再認識する事ができたと同時に、今はなきノーマン兄弟の偉大さ、そしてイェンス・ボグレンKATATONIAに残した数々の功績を素直に讃えたいキモチになった。彼が居なければ、今のKATATONIAは存在しなかったかもしれない。

【リメイク】・・・本作品は『VE』のリリースから10週年を記念したリミックス作品だが、リミックスと言えば→昨年、腐海に沈んだ『死の王』が見事に復活を遂げた今年のリメイク作『D&U』で味をしめたのか、KATATONIA自身が「やっぱカタトニアクス最高だから一年に一枚ぐらい過去作のリメイクをリリースしていきたいなぁ(チラッ」的な、そんなワガママな声明文を既に発表している。おいおい、今年でさえKscopeからリリースされた『D&U』の他に『VE』のリミックス版でお腹いっぱい、すなわちハイパーヨナス状態だというのに、もしこの声明がジョークではなく本気だとしたら、来年からは一枚づつナニカシラの形でKATA作品が聴ける事になるわけで、これはカタヲタとして素直に喜んでいいものなのか・・・。個人的には、後期の7th『TGCD』と8th『NITND』は一切リマスターする必要はないから(つうか、いい加減にBサイド集を出せってんだ)、でもイェンスがリミックス&リマスターした『LFDGD』ならワンチャン聴いてみたいとは思った。でも今回みたいなリミックスになるのか、もしくは『D&U』みたいなUnplugged風になるのか、まぁ結局はリミックスの仕様によるけど。
 
【最後に】・・・これは当たり前だけど、オリジナル版とリミックス版のどっちが良いか?という問題じゃなくて、そりゃどちらかと言えばオリジナル版のがイイに決まってるし、でも今作はオリジナルとの比較や優劣を目的としたものではなくて、これは『D&U』も同じだけど、あくまでもディープなカタヲタ向けに感謝を込めて楽しんでもらおう、そんなバンド側の強い意図が込められた作品だと僕は思う。
 
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Perfume 『LEVEL3』 レビュー

Artist Perfume
Perfume

Album 『LEVEL3』
Level3

Tracklist
01. Enter the Sphere
02. Spring of Life (Album-mix)
03. Magic of Love (Album-mix)
04. Clockwork
05. 1mm
06. 未来のミュージアム
07. Party Maker
08. ふりかえるといるよ
09. ポイント
10. だいじょばない
11. Handy Man
12. Sleeping Beauty
13. Spending all my time (Album-mix)
14. Dream Land

サマソニ大阪・・・このPerfumeについては、今年の夏に開催されたサマソニ大阪で初めてライブを観させてもらって、その洗練されたスタイリシュ!!なパフォーマンス、そしてあ~ちゃん先生の”PTAのコーナー”に只ならぬ貫禄を感じたわけなんだけど、おいらの愛用ラヴ・デラックスTシャツがヌレヌレになるほどアツく盛り上がった、そのサマソニ大阪で聴いた新曲が思いのほかツボに入ったんで、ちょうどタイミングよく先月リリースされた約二年ぶり通算五作目となる新作の『LEVEL3』を聴いてみた、というわけ。

【レッツダンスッ!!】・・・まず、幕開けを飾る#1”Enter the Sphere”から聞き手の不意をつく。ファミコンのドラクエちっくなメロディなど多彩な音がカットアップされたデジタルシンセ中心のインストかと思いきや、途中から”光の奥から 歩いてくるの 目を凝らしたら ほらすぐ先に Enter the sphere Enter the Sphere”という歌が入り、まさにその歌詞が暗示するように、まばゆい音の光の中からPerfumeという名の三人の女型巨人が姿を現す・・・ゴゴゴゴゴゴ。そのオープニングから間髪をいれず、あのサマソニ大阪での灼熱のパフォーマンスを鮮明に蘇らせるような、バッキバキの低音ビートを刻むダーティ&クールなイントロから、まるで炭酸のようにシュワシュワっとハジけるポップなリズムに心踊るサビメロへと繋がる#2”Spring of Life”、#2のカラフルな音色を素直に踏襲した甘酸っぱいポップチューンの#3”Magic of Love”までの流れ/ツカミは完璧で、メシュガニキ直系のダンサンブルなポリリズムを刻みながら、虹色に光り輝く音の洪水が聞き手に襲いかかり、音の一粒一粒が頭のなかで楽しく縦横無尽に駆け巡る。この#2と#3のシングルは、曲の後半で転調らしき場面があったり、アウトロにOpeth”The Leper Affinity”ばりのピアノを導入したりと、シングルらしくポップ&キャッチーでありながらも、さり気なく”Progressive”なアプローチを垣間見せるセンスは流石。

【ハイライトは#7】・・・アルバムの中盤を支えるのは、まるで中華街に迷い込んだようなカンフーメロディをフューチャーしたイントロから、甘酸っぱい恋心をボカロちっくなサビに入力してデジタル信号で世界に発信する#51mm、映画ドラえもんの主題歌にもなった#6”未来のミュージアム”、そして今作『LEVEL3』のハイライトと言っていい、インスト中心のダンスナンバー#7”Party Maker”の展開力の高さに再び”Progressive”なセンスを感じざるを得なくて、体の芯まで揺れ動かすミニマルなビートを激しく打ち込みながら、Perfumeという名の三人の女型巨人が一歩一歩進撃するたびに、地鳴りのような低音ビートが壁の内側という名のダンスフロアに響き渡り、ちょっぴりオトナっぽくて、ちょっぴり本格派なダンスミュージックを形成していく。この曲はライブ映えすること間違いないし、どんな演出で魅せるのか興味あるなぁ!

【woob woob】・・・今作のキーマンとなる#7以降は、全盛期の大塚愛みたいな往年のJ-popをベースとした、マッタリ感のあるノスタルジックなメロディに癒やされる#8”ふりかえるといるよ”、流星のような美メロをフューチャーしたPendulum風のソリッドなドラムンベースの#9”ポイント”、そしてサマソニ大阪で聴いて個人的に一番ツボにハマった#10”だいじょばない”は、それこそ中田ヤスタカがSkrillexっぽい事やってみたテヘペロ曲で、自分が気に入った理由も、そのダブステ特有のwoob woobアクセントが絶妙だったところ。この曲はカップリングにしておくには勿体ない、シングルカットされてもおかしくないレベルの良曲。

【woob woob...woob woob!!】・・・アルバム終盤の流れは、琴みたいな和楽器のオリエンタルな音色を中心に展開していく#11”Handy Man”、コーラスがメインの#12”Sleeping Beauty”、そしてサマソニ大阪のライブの一曲目を飾り、そのハッと目が覚めるようなオープニングとバッキバキな低音に度肝を抜かれたシングルの#13”Spending all my time”でも、ダブステらしいウネウネとwoob woob...しまくりな、いい意味で気持ち悪いヒネくれたダンサンブルなサウンドを展開。ラストの#14は幻夢的な世界へと聞き手を誘い、久石譲ちっくなノスタルジーな雰囲気に包み込む。

【シングルの存在感】・・・なんつーか、シングル曲がシングル曲としての役割を十分に果たしているのが単純に凄いと思った。本来、”シングル曲”が”シングル曲”として在るべき姿っつーか。まぁ、流石に”チョコレイト・ディスコ”レベルのインパクトがあるってわけじゃあないが、今作『LEVEL3』の序盤/中盤/終盤を構成する重要な柱として確かな存在感を放っており、その言わば作品の”骨組み”がシッカリしているからこそ、シングル以外のユニークな楽曲がより一層映えるわけだし、要所要所に頑丈な柱が存在することによりアルバム全体の流れにメリハリが生まれ、その結果→序盤の緊張感を最後まで持続させる大きな要因となっている。そういった意味では、今作の内容はほぼ完璧に近いんじゃあないかと。今流行のダブステップからPerfumeらしいキャッチーなダンサンブルナンバー、懐かしのJ-popやオリエンタルな要素を取り入れた多彩な音色を、Perfumeという名のkawaii系J-popサウンドへと器用に落としこむ中田ヤスタカという人物の幅広いセンスにあらためて感心する。と同時に、もうヤスタカがPerfumeにしてやれることって、メシュガニキばりのDjentリフを取り入れる事ぐらいじゃね?って(適当)

【アイドル×ダブステップ】
・・・ここ最近のアイドル界隈でも、特にモー娘。を筆頭にダブステップの要素を取り入れたアイドルソングを耳にする事が多くなった。この中田ヤスタカも例外ではなく、今月リリースされるPerfumeの新曲Sweet Refrainをはじめとした、今作で言うところの”だいじょばない””Spending all my time”、そして今流行の食品偽装問題に匹敵する”おっぱい偽装問題”を起こした椎名林檎×中田ヤスタカのコラボ曲熱愛発覚中でも、いわゆるダブステップを取り入れたゲスい中二病ソングを書いている。これら一連の流れは、ヤスタカ氏の別プロジェクトCAPSULEきゃりーぱみゅぱみゅとの差別化を図るための動きなのか・・・なんにせよ、これからもアイドルソングがwoob woob化していく流れは誰にも止められそうにない。そう、椎名林檎の爆乳おっぱいのように・・・。

【Queen of J-Pop】・・・そんなわけで、今までパフュームの曲は”チョコレイト・ディスコ””ポリリズム”などのメジャーな曲しか知らなかった自分が、今年のサマソニ大阪をキッカケに初めてアルバムを聴いた結果→思いのほかアッサリと聴けたというか、間もなく耳に馴染んだ。だからといって、過去作まで聴いてみようって気にはならないというか、当然これはいい意味でなんだけど、おいらにはこの一枚だけで十分というか、それぐらい予想以上の満足感を得ることができた。だから、おいらみたくPerfumeを初めて聴く人に打ってつけの一枚だと思う。結論として→あらゆる音楽要素を取り入れた、(専門的な音楽ではなく)あくまでも良質な”J-pop”作品に仕上がっていると同時に、ガラパゴス化した日本のクサレ音楽シーンで消滅しかけていた”J-pop”の真髄が詰まった貫禄の一枚。オススメ。

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Dream Theater 『S/T』 レビュー

Artist Dream Theater
Dream Theater

Album 『Dream Theater』
Dream Theater

Tracklist
01. False Awakening Suite
    1 - Sleep Paralysis
    2 - Night Terrors
    3 - Lucid Dream
02. The Enemy Inside
03. The Looking Glass
04. Enigma Machine
05. The Bigger Picture
06. Behind The Veil
07. Surrender To Reason
08. Along For The Ride
09. Illumination Theory
    1 - Paradoxe De La Lumière Noire
    2 - Live, Die, Kill
    3 - The Embracing Circle
    4 - The Pursuit Of Truth
    5 - Surrender, Trust & Passion

『DT』・・・このDream Theaterといえば→衝撃の裸体デビュー作『When Dream and Day Unite』のドミニシ期が誰もが認める絶頂期で、現Voのジェイムズ・ラブリエが加入して以降の2nd『Images And Words』から5th『Metropolis Pt. 2: Scenes From a Memory』までの第二絶頂期、そして新たな鍵盤奏者にジョーダン・ルーデスを迎え、よりメタリカもといヘヴィさに磨きをかけた事により賛否両論を巻き起こした中期の7th『Train Of Thought』とオルタナ化した8th『Octavarium』をリリースした結果→コアなDTファンからの人気を確固たるものとした。しかし、”終わりの始まり”もとい停滞期を迎える戦犯となった『クソムシ』こと9th『Systematic Chaos』、そして次作の10thBlack Clouds & Silver Liningsで「ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」とかいう断末魔を最後(遺作)に、ドラマーのラーズ・ウルリッヒもといその影武者のマイク・ポートニキが脱退するという、DT史上最も衝撃的な事件が起こった。が、新ドラマーにマイク・卍ー二を迎え入れた前作の11thA Dramatic Turn of Eventsをリリースし、なんとか首の皮一枚繋がった状態のまま、約二年ぶり通算12作目で初のセルフタイトル作『Dream Theater』をリリースするに至った、というお話の流れ。

『DT is D(jen)T?』・・・昨年、いわゆるDjent界の重鎮Peripheryの2ndIIにギタリストのジョン・ペトルーシがゲストで参加した影響か、今作の『Dream Theater』について自身でプロデュースを務めるペトルーシが「PeripheryやBetween the Buried and MeやAnimals As Leadersからインスピレーションを受けた作風になるよ」という言葉どおり、その言葉の意味を明確に理解する事となる#2”The Enemy inside”の存在は、それこそDTという名を掲げた今作を象徴する一曲と言える。というのは、まるでバトル・メタルばりに勇壮で壮大なDT劇場の幕開けを飾る#1”False Awakening Suite”の流れを汲んだ、卍によるメタリカの”Master of Puppets”リスペクトなドラミングとペトルーシによるメシュガニキ直系のギョーンギョーン系Djentリフやモダンなヘヴィネスを応用した、切れ味鋭いソリッドなイントロの展開およびギョギョギョギョーンしまくりな怒涛のインストパートから理解ッできる。かのRichard Chyckiが手がけた、モダン&スタイリッシュな音のプロダクションまでdjentを意識したペトルーシのギターと、全盛期とは程遠いが初期の頃を思わせるラブリエの叙情感に溢れた歌声、そして持ち前のテクニックが至ってシンプルに相まって”ドリームシアター”という一つのジャンルを、この地球という名の無限に広がるスクリーンに描き出すことに成功している。正直ここまでくると、もはやプログレではなく、色々な意味でDT流の様式美メタルだなー。

『Metropolis Pt. 2: Scenes From a Memory』・・・DTの最高傑作といえば、なんだかんだ議論があって最終的に2ndの『Images and Words』と5thの『Scenes From a Memory』の二択に絞られると思うんだが、自分は散々迷った挙句→後者のメトロポリタンが最高傑作だと思っていて、だからどうした?というお話でもなくて、今作『DT』のポイントの一つとして、その名作メトロポリタンを彷彿とさせるドラマティックなメロディや劇的な展開力の高さを随所で垣間見せている。中でも、#5”The Bigger Picture”や#6”Behind The Veil”などの歌モノ色の濃い曲だと特にそう感じる。そして、このDT劇場のクライマックスを飾る、全五幕で構成された約22分の大作”Illumination Theory”の只ならぬ存在感的にも、過去作を例に出して表現するなら→8thの『Octavarium』的なモダン/オルタナティブ精神と名盤『Metropolis Pt. 2』のメロゥなストーリー性を合わせ持ち、そこへ『クソムシ』以降オワコン化したオッサン達の必死さが盛り込まれた結果がこの『DT』、というわけ。

『DT is DT』・・・そもそも、このDTというバンドは、主にRushやメタルレジェンドことメタリカ(時にMuse、時にTool)からの影響を軸に、その時代のシーンで流行りの音を自己流に昇華したヘヴィ・メタル/プログレ・メタルとして知られるんだが、今回はそれと全く同じ話で→いくら若手のモダンなバンドから影響を受けたと言っても、音の根幹部分はDT以外ナニモノでもなくて、つまりポートニキ不在にも関わらず今回セルフタイトルで出した意味というのは、何をやっても誰がやっても結果それがDTになるという・・・わかりやすい話→「DTがDTキッズのためにDTという名のDTを作ってあげたDT作品」という事なんだろう。なんつーか、単純に音が若いです。言うなれば→50代のオッサンが頑張って若作りしてみましたテヘペロ、的な感じがいい意味で必死さを醸し出しててクソエモいし、これは俄然ライブで観たくなった。

『DTらしい』・・・今作のように、流行りの音に乗っかった作品を作り続けるという意味では、これ以上ないほど”DTらしい”と言える作品だし、それこそセルフタイトルを名乗るに相応しい一枚となっている。あの『クソムシ』が出るまではそれなりのDT厨だった自分がここまで楽しめてるんだから相当なもんだし、少なくとも『クソムシ』以降の作品では一番キレと若さがあって、久々にDTの曲に対して”面白さ”を見い出すことができた。なんか久々に堂々と胸を張って地球の真ん中歩きながら良作と叫べる、少なくとも前作よりはDTがやりたいことを素直にやれてる作品なんじゃあないかと。しっかし、まさかDTがここまで露骨に”キッズ向け”とされるようなアルバムを出してくるなんてね・・・。

『コーデック形式で例えると』・・・俺たちのドミノピザ期は言わずもがな、初期の名盤『Images and Words』『Metropolis Pt. 2』は今流行のハイレゾ音源で保存したい!中期の名作『Train Of Thought』『Octavarium』はFlacで保存したい!ってなるんだが、しかし『クソムシ』以降のアルバムは320kbpsでもイラネーな・・・でも、この『Dream Theater』は久々にFlacで保存したい!あーでもやっぱ320kbpsで十分かも!?そんな気分に浸れる一枚。それにしても、やっぱポートニキのヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!もといコーラスが聞こえてこないのは少し寂しいな・・・なんて言うわけないジェジェジェ~ッ!?
 
Dream Theater
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