Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

2014年01月

Warpaint 『ウォーペイント』 レビュー

Artist Warpaint
Warpaint

Album 『ウォーペイント』
Warpaint

Tracklist
1. Intro
2. Keep It Healthy
3. Love Is To Die
4. Hi
5. Biggy
6. Teese
7. Disco//Very
8. Go In
9. Feeling Alright
10. CC
11. Drive
12. Son
13. Love Is To Die - Extended Alternate Mix
14. Love Is To Die - The Line Of Best Fit Live Session

【ウォーペイント】・・・このUSはロサンゼルス出身のWarpaintといえば→2009年にリリースされたEP『Exquisite Corpse』でデビューを飾り、その翌年にメジャーレーベルのRough Tradeから1stフルThe Foolをリリースするやいなや、その翌年の2011年に(自分が予想したとおり)フジロックで初来日を果たしたりと、今や世界中で爆発的な人気を博する存在となったウォーペイント。初期の頃こそ、ベーシストのジェニーの姉で女優のシャニン・ソサモンやレッチリのジョシュが在籍するバンドとして大きな注目を浴びていたが、しかしその二人が脱退した今の”真・ウォーペイント”にとっては、もはやそんなんどーでもいい事なのかもしれない。

愚者・・・2010年にリリースされた1stフルザ・フールを聴いた時は結構な衝撃だった。(一応)フロントマンのエミリー・コーカルと元クソDT野郎ことジェイムス・ブレイクのガールフレンドであるギタリストのテレサ・ウェイマンによるサイケデリックかつメランコリックなヤンデレ系の歌声とギターのメロディが、まるでグリム童話のようにメルヘンチックで仄暗く幽玄な【ATOMSフィールド】を形成しながら、ゆるふわオッパイ姉ちゃんことジェニー・リーのタイトなベースラインと当時ドラマーのデイビッドによるリズム隊、そして女子三人によるコーラス/ハーモニーが妖しく交わる心地よい浮遊感と共に、まだ少しあどけない乙女心のような衝動的かつ焦燥的なリズム&グルーヴを刻みながら、デビュー作にして既に自身の”バンド・サウンド”を確立していた。




【プロデューサー=シガーロス&ミキシング=レディオヘッド】・・・それでは、その前作から約四年ぶりとなる待望の新作で、セルフタイトルを掲げた今作の『ウォーペイント』はどうだろう?結論から言っちゃえば→「こいつら一体どこに向かってんだ・・・」というお話。で、まずオープニングを飾るのは→メンバー四人が仲むつまじくセッションする様子が目の前に映しだされるイントロの#1、そのインストのRadioheadや中期ANATHEMAを連想させる、いわゆる【ATOMS】に対する意識の高いゆるふわ系の耽美な空気感を引き継いで、存外アッサリとしたラフなノリで展開する#2”Keep It Healthy”こそ、ウォーペイントらしいアンニュイでありながらも童話のようにポップな世界観と、まるで思春期を迎えた乙女心のように不規則で不安定なリズムを刻んでいく、実に”バンド・サウンド”然とした曲で幕を開けるが、しかし次の#3”Love Is to Die”以降は少し話が違ってくる。それはまるでポストブラックレジェンドことAltar of Plaguesの名曲God Alone顔負けのアンチクライスト感が込められたノイジーなイントロから、ドコかしらナニかしらの狂気をまとった雰囲気とEPの名曲”Elephants”を彷彿とさせる中毒性の高いトリップ感を共存させながら、メインVoを担うテレサの寂寥感を誘う気だるい歌声とエミリー&ジェニーによるフェミニンなコーラス、そしてメランコリックにゆらり揺らめくリリカルでいて繊細なメロディが、シングル曲らしくキャッチーに美麗な旋律を奏でていく。この#3だけは初聴きで名曲だと思ったし、ここまでの流れは今作一番のハイライトと言っていい。で、ここまでの率直な感想としては→「なんかUKバンドっぽくなった?」という事。それもそのはず→なんと今作のプロデューサーにはU2やシガーロスなどの大物を数多く手がけたフラッドことマーク・エリスを迎え、更にミキシング(#3,#9)にはレディへのプロデューサーとして知られるナイジェル・ゴドリッチが担当・・・ってんだから、さっきまでの自分が漠然と感ていた妙な”違和感”というか微妙な音の”変化”に対して自然と納得ッが生まれた。確かに、この”俺の感性”の心臓部に直結する独特の浮遊感はUK特有のソレだ。最近だと、このウォーペイントや俺たちのアイドルローレン・メイベリーたそ率いるチャーチズと共に、来月のHostess Club Weekenderで来日するDaughterのイメージに近いかもしれない。

【ジェイムス・ブレイクのDT奪った結果www】・・・序盤の#1~#3までは極上のアトモスフェリック・ミュージックで申し分ないんだが・・・問題は次からだ。まるで呪術でも唱えるかの如く、シャーマニズム溢れるイーサリアルなボーカルとトリップ・ホップ然としたミニマルなリズムをもって、そこへエレクトロニカの絶妙な味付けを加えながら深い谷底に堕ちていくような展開力を見せつける#4”Hi”、その#4以上に後期The Gatheringを彷彿とさせる欧州風イーサリアルな感度とGrimesElsianeらのカナディアン勢を連想させるファンタジックでオリエンタル、そしてエキゾチックなムードを高めた#5”Biggy”、フォーク系SSW的なアコギの語り弾きで始まると同時に幻想的なボーカルに惹き込まれる#6”Teese”までは、レディへ直系のエレクトロなアレンジを際立たせたイーサリアル/トリップ・ホップ/ダウンテンポ系のチルい楽曲が続いていく。もはや「こいつら一体どこに向かってんだ・・・」としか言いようがなかったし、これには本流のチェルシー狼エスベンと魔女も→「ちょっと...ウチラの縄張り荒らさんといてや...」とドン引き...。確かに、デビュー作の時点で既にポストロッキンなアプローチを効かせた”ミニマル”なメロディを持ち味としたバンドではあったけれど、まさかコッチ向きに”ミニマリズム”を発揮してくるなんて思っても見なかった。その中でも、#4”Hi”の幾つもの音が複雑に重なり合う予測不能な展開力の高さに、彼女らの隠しきれない”Post-Progressive”なセンスを垣間見ることができた。

【Warpaint×Phantogram】・・・ここまでの暗鬱な空気をぶった斬るように、すっ頓狂なノリとリズムをもってダンサンブルに繰り広げる#7”Disco//very”のアヴァンギャルドな存在感にぶったまげ、再びオリエンタルなアナログ臭い匂いを醸し出すダウナー路線の#8”Go In”、そして後半のハイライトを飾る9”Feeling Alright”は、EPの”Beetles”というより...むしろPhantogramWhen I'm Smallを彷彿とさせる、それこそジェニーのゆるふわ系おっぱいがフワッフワッっとリズミカルに揺れ動く官能的な様子が脳裏に描写されるタイトなベースラインがキモとなるオルタナで、特に中盤からのプログレスな展開美とギター&低音ニカのエモい絡みを耳にしたら→「いや、これもうファントグラムそのものじゃん」って思った。まさか、まさかウォーペイントとファントグラムに親和性を感じるなんて思ってなかったから、素直に面白かった。と同時に、彼女らの音楽に対する懐の深さを思い知らされた。だから今年のサマソニかフジロックにPhantogram呼ぶべきだと思うよマジで。で、それ以降も奈落の暗黒へと誘う#10やニカ色全開の#11、そしてラストの#12まで、終盤の展開は著しくエクスペリメンタル化が進んだ曲が続き、完全に聴き手の存在を置いてけぼりにする。ちなみに、国内盤のボートラはシングルの”Love Is To Die”を比較的ストレートなバンド・サウンドで鳴らしたオルタナVerで、それこそ4年前のウォーペイントが今の『ウォーペイント』やってみた感じの曲でスゲー面白い。もう一曲はThe Line of Best Fitで披露された同曲のライブVerを収録。

【ウォーペイントの本性】・・・前作こそ、Shoegazer/Post-Rock/Gothic/Dream-Pop/Psychedelicなどの要素を取り込んだ、わりかしポップな可愛げのあるオルタナ~インディやってたが、しかし今作はトリップ・ホップ/アブストラクト・ヒップホップ/イーサリアル/エレクトロニカ/チルアウトがベースの音に、それこそ「愛とは死...愛とは死の回避...愛とはダンス...」というメンヘラ臭い歌詞の如く、まるでヤリ逃げされたオンナの怨念が込められたような、尋常じゃなく正常じゃない女の本性を垣間見せる作風となっている。もしかして・・・もしかするとコイツラの本性ってコッチなの!?って。それぐらい、まるでジェイムス・ブレイクに生気(精気)でも吸い取られたのかと勘ぐりたくなっちゃうほど、いい意味でヤサグレ過ぎてるというか、この4年の間で一体ナニがあったんだ?と心配になるくらいの変貌を遂げていたんだ。それはまるで垢抜けない田舎の女子大生が上京してあらゆる経験を積んで、いつの間にかイーサン叔父貴という名の精神崩壊系男子譲りの悟りを開き、漆黒色のダーティなエロスを身にまとった妖艶な4年生に成長したみたいな・・・。ま...まさか、これがあのジェイムス・ブレイクのDTを奪ったオンナの『愛のカタチ』だとぉ!?くっそ!何かわからんがジェイムス・絶倫・ブレイク許すまじ!



【UKミュージック】
・・・極端な話→1stの”ロック”なノリというかグルーヴ&リズムにノッてキャッキャウフフと盛り上げるというよりは、むしろ逆にトリップ・ホップやポスト・パンク色の強い”ミニマル”な一定のリズムを意識した、いわゆるアブストラクトなトリップ・サウンドをベースに、そこへ某プロデューサー&某ミキサーの腕による実にUKミュージック然とした洗練された音作りと絶妙なニカアレンジが交わった、あのイーサン叔父貴もついつい(ニッコリ)しちゃうほどのダーク・ミュージックやってるわけ。そもそも、このウォーペイントって元々UKミュージックとの親和性が高い、もしくは相性の良いバンドだったけど、今作で遂に本家本元のレディへ界隈の大物を味方につけた結果→二作目にして早くも驚異的な深化を遂げている。ヘタにポップ化するのではなくて、このウォーペイントの根幹にある独創性を更に深く突き詰めた結果というか。それこそ、スウェーデンのCarbon Based Lifeformsや昨年の俺的年間BESTの実質一位にランクインしたアブストラクト・ヒップホッパーSadistikFlowers for My Fatherが、この『ウォーペイント』への伏線()だったんだと自分勝手に納得してしまった。そして上記に貼った”Biggy”Baardsen Remixを聴いて、遂にナニカを確信した(正直ボートラはこれがよかった)。だから今作がUKチャートでトップ10入りしたと知っても別に驚かなかった。

【真・ウォーペイント】・・・新機軸の#7をはじめ、この一枚でホントーに多種多様な”流行りの音”にトライしているので、当然作品の統一感や俗にいう”キャッチーさ”というのは皆無に近いが、その音が持つポテンシャルは前作と比じゃないレベルの高さを誇っている。それこそメンバー4人が奏でる音の残像、その音のシルエットという名の線が点で重なり合う決定的瞬間を表したような、ジェニーの旦那である変態映像作家ことクリス・カニンガムが手がけた今回のジャケが全てを物語っていると言っても決して過言じゃあなくて、メンバーひとり一人が奏でる木綿のように繊細で緻密な音が表裏一体化した結果が、まぎれもない今の『ウォーペイント』なんだという、それを直に証明するかのような作品だ。そう考えると、あの#7はある意味で最も”今のウォーペイントらしい”曲と言えるのかもしれない。それと国内盤のライナーノーツにも記されているように、二回のレコーディングを延期する合間に、ロスから二百キロ離れたジョシュア・トゥリーに一軒家を借りて一ヶ月間の共同生活を送り、メンバー全員でジャムり合って音を互いに高め合った結果→気のせいか”スタジオ・アルバム”というよりも、ある意味で”ライブ・アルバム”的な、まるで目の前で演奏しているかのような音の臨場感と生々しさがある。それにより、ウォーペイントの持ち味である、体にまとわりつくような粘り気のあるグルーヴ感により厚みが増したようにも。もはや謎の貫禄すらある。少なくとも、いわゆる”ガールズ・バンド”と呼ばれるバンドの中では他の追従を許さないレベルにまでキテるのは確か。

【イントロが全て】・・・デビュー作のイメージで本作を聴くと、あまりの変わりように肩透かしを食らうこと必須だし、その完成度は文句なしに高いが、いかんせんデビュー作と比較すると圧倒的にツカミが弱い気がする。なんか自分たちの世界に、内に内に引きこもってる感じ。でもチャーチズローレン・メイベリーちゃんが好きって言うんなら僕も好き!ボニョ、ローレン好き!・・・というのは冗談で→わりとマジな話、いわゆる【ATMS】【Post-Progressive】にある程度の理解ッがないと厳しいかもしれない。しかし、それらに対する理解ッがあれば1stの『愚者』より好きになること請け合い(ソースは俺)。個人的には→いわゆる【ATOMS】に対するウォーペイントの意識の高さ、そのATMS空間表現力の異常なセンスが垣間見れた事が一番の収穫だったし、それと同時に自分の審美眼は決して間違っていなかったと再確認できた。結局のところは、イントロの#1に対して”ナニを感じ取ることができるか”が鍵のような気がする。またライナーノーツの中でテレサが→「100%現在のラインナップで作り上げたのは今回が初めて。だからこそ、バンド名をタイトルに掲げるのが自然に思えた。このアルバムは一つの大きなリセットだと思うの。」と語るように、実質これが”デビュー・アルバム”すなわち”スタートライン”に立った事を証明するかのような、それこそ一ヶ月間引きこもってジャムった様子を身近で体感させるような、たった1分51秒程度の”イントロ”が今の『ウォーペイント』、その全てを象徴する重要な一曲と言えるのではないか。僕自身、これほど存在意義のある”イントロ”を聴いたのは生まれて初めてかもしれない。

【カロリーOFF】・・・それにしても、このWarpaintといいAlcestといいVampilliaといい(一つだけ明らかに浮いてる...)、ここ最近の”俺の界隈”の一部ではアイスランド式のシュガーロス・ダイエットが流行ってるらしい。おいら、実はシガロとか興味ないし一切聴かないんだが...まぁ何にしても興味深い現象ではある。でも中期ANATHEMAがレディへライクで、近年ANATHEMAがシガロライクだという事を考えると・・・「なるほど納得ッ」といった感じ。あと、これもライナーノーツに書かれていた事に関するんだが→シングルの”Love Is To Die””Teese”を筆頭とした、”LOVE”すなわち”愛”をテーマとした曲からしても、いわゆる”俺の界隈”の皇帝ANATHEMAを頂点とするKscopeが信念として掲げるLovePeaceな、精神的な面も含めてあらゆる意味でPost-Progressive Sound的なアルバムと言えるのかもしれない。少しベクトルは違うが、KATATONIAのBサイドとかね。

【ピッチフォークへの憧れ】・・・そもそも、エミリーではなくテレサがメインボーカルを担当してる時点で、あの1stとはまるで違った作風になることは予想できたし、だから今作は「もうギターいらねーんじゃねーか?」ってくらい、ギターの存在感が薄い。その一方で、ゆるふわ系オッパイ姉ちゃんことジェニーのベースライン特別意識してなくても自然と耳に入ってくるくらい、一際に目立った作風でもある。要するに→Julianna BarwickみたいなSSW系にありがちなインディ・フォークっぽさ、すなわちピッチフォーク臭が著しく強くなった作品。だから今作に高評価を与えられる人ってピッチフォーカー並みの音楽ツウだと思うわ(なお、ピッチのレビューではボロクソの模様)。つうか、これ評価できるのって非DTの奴しかいないと思うわマジで・・・。でも個人的には、相対的な評価以上の”面白さ”を感じ取った作品ではあるし、正直ここまで楽しんで聴いてるのって俺だけじゃねーの?ってくらい。なにはともあれ、今年の上半期はこのWarpaintPhantogramの新作に期待を寄せていたが、その期待に真正面から答えるような、意外なほど自分のツボをピンポイントに突いてくる伏線()回収作品で、これ以上ない幸先の良さです。

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Carbon Based Lifeforms 『Refuge (Original Motion Picture Soundtrack)』 レビュー

Artist Carbon Based Lifeforms
Carbon Based Lifeforms

Album Refuge (Original Motion Picture Soundtrack)
Refuge (Original Motion Picture Soundtrack)

Tracklist
1. 
RCA (+)
2. 
Birdie
3. 
RCA (-)
4. 
Leaves
5. 
Lost
6. 
Escape
7. 
Marauders

【Carbon Based Anatomy Lifeforms】・・・どもー!Cynicの新作で~す!と言われても納得しちゃいそうな、スウェーデン出身のDaniel SegerstadJohannes Hedbergによるアンビエント・テクノディオ、CBLことCarbon Based Lifeformsの約二年ぶり通算五作目となる新作『Refuge (Original Motion Picture Soundtrack)』で、そのタイトルどおり、今作は『Refuge』というスリラー映画のサウンドトラックとして作られた音源となっている。

キタノブルー・・・このCBLといえば→2010年にリリースした3rd『Interloper』久石譲やいわゆるキタノブルーもビックリの、その年の俺的年間BESTの上位にランクインするほどの傑作で、あの時の衝撃的な出会いは今でも鮮明に思い出すことができる。そしてその時、その傑作『Interloper』から感じ取った、まるで久石譲や巨匠・喜多郎が創り出すような、ある種の郷愁に満ち溢れたノスタルジックな空間形成には、それこそ全盛期(90年代)の北野武が映画『キッズ・リターン』『あの夏、いちばん静かな海。』で描き出していた、(今のたけし映画にはない)儚くも刹那的な淡色のキタノブルーに直結する”ナニヵ”があった。そう考えると、この度このCBLが映画のサントラを手がけるなんて事は意外でもなんでもないし、むしろ必然的な出来事だったと言える。例えるなら→喜多郎”地上のシルクロード”的な存在とするなら、このCBL”海中のシルクロード”に生息する一種の海洋生物だ。

【初期回帰】・・・通算5作目となる今作の『Refuge』は、まるで能年玲奈ちゃんのキッラキラ☆な瞳の奥にダイバーダウンッ!!したかのような、みずみずしい清涼感に満ち溢れた色鮮やかな深海意識の高いチッルチルなトリップ系サイビエントの傑作だった3rdのInterloper、その反動からか、初期のテクノ色が薄れて著しく映画『ゼロ・グラビティ』系アンビエント、言うなれば環境音楽志向が高まると同時に謎のドローン成分を強めた前作の4thTwentythreeの中間に位置するような作風で、少なくとも前作(4th)よりは自分がCBLに対して求めているもの、すなわち1st~3rd(深海三部作)までの自然環境保護に対する意識の高さが尋常じゃなかったATMS系アンビエントやってた頃のCBLへと初期回帰している。

【ハイライトは#6】・・・モノトーン調で描かれた映画『サイコ』ばりのアブナイ雰囲気を醸し出すジャケとは裏腹に、オープニングを飾る#1”RCA (+)”から、前作の延長線上にある宇宙開発志向の高いATMS空間の中で、清涼飲料水ばりの清浄効果をもたらす癒しのメロディとトリップ感のあるダウンテンポなエレクトロニカが織りなす、ただならぬ喜多郎感もしくは久石譲感にMy Heart is チルアウト...。この曲なんかはモロにHammockに近い作風かもしれない。そして、同郷のEfGod Is An Astronautを彷彿とさせる綺羅びやかなピアノのメロディとチルいエレクトロニカがプラネタリウムという名の宇宙空間を形成する#2”Birdie”、その#2から一転して映画『ゼロ・グラビティ』ばりのスーパーノヴァ級の圧倒的なスケール感をもってドローン風に展開する#3、再びアンビエントな音響とチルいメロディにトリップできる#4”Leaves”、#3直系のスケール感を持つ#5はクライマックスでのビッグバン級のノイズ地獄に骨の髄まで震える。で、ダブテクノ調のダーティなイントロから徐々にスピード感を高めながらダンサンブルなビートを刻んでいく#6は、それこそ”Escape”というタイトルに相応しい、これまでのCBLとは一線を画した一曲と言える。その流れで最後は”らしさ”のある#7で幕を閉じる。

宇宙空間(4th)→海中(1st~3rd)→地上(5th)・・・全体的なイメージとしては”回帰”しているように聴こえるが、これまでとは確かに少し違って、今作は同郷のEfHammockそしてGod Is An Astronautを連想させる、要するにメジャー志向の強い比較的正統派なポストロック系アンビエントを展開している。なんというか、初期の深海三部作で培ってきた事を、それを今度は地上に上がって再構築したような・・・それこそ映画『ゼロ・グラビティ』のクライマックスに凝縮された、まるで人類の進化を音の空間を使って表現したかのような男のロマンとスケール感があって、とにかく過去最高に一皮向けて洗練された音作りが際立った作風と言える。その”変化”すなわち”進化”が顕著に感じられる#6は今作のハイライトで、今作のコンセプトであるスリラー映画のサントラとして一番マッチングする曲だ。例えるなら→チャーチズで言うところの”Science/Visions”パフュームで言うところの”Party Maker”に通じる曲展開のアゲポヨ感があるし、まさかこんな所で意外や意外な繋がりを感じるなんて...本当に面白いです。それと、#1,#2,#4などで聴けるような聖水の如く滴り落ちるメロディの雰囲気は、まるで光合成真っただ中の植物のようにPOSITIVEな輝きを放っている。つまり、海中に生息するプランクトンから地上で活動する新人類へと進化したことで、より俄然”海中のシルクロード”感が強くなっている。まるで無限に広がる星空を眺めているような音の空間やメロディは紛れもなくCBLのソレなんだけど、でもどこか丸っきり新しいNEXT-CBLを体験しているかのような、言うなれば深海生物が脱皮に成功して二足歩行生物へと進化し、そして再び宇宙へと大きく飛び立っていくような、まぢ哲学的な一作。
 
Refuge - Original Motion Picture Soundtrack
Leftfield Records (2013-12-31)

Esben and the Witch 『Wash the Sins Not Only the Face』 レビュー

Artist Esben And The Witch
Esben and the Witch

Album 『Wash the Sins Not Only the Face』
Wash the Sins Not Only the Face

Tracklist
01. Iceland Spar
02. Slow Wave
04. Shimmering
05. Deathwaltz
06. Yellow Wood
08. Putting Down The Prey
09. The Fall Of Glorieta Mountain
10. Smashed To Pieces In The Still Of

【ナイトメア・ポップ】・・・2008年に結成された、イギリスはイースト・サセックス州ブライトン出身の三人トリオで、通称ナイトメア・ポップと称されるエスベンと魔女ことEsben and the Witchの約二年ぶり通算二作目『Wash the Sins Not Only the Face』が、まさしく2012年にデビューした同郷の2:54に通じる艶美で妖麗なオルタナ・ロックやってる件について。で、2011年にデビューし話題を呼んだ1st『Violet Cries』の曲を聴いた時点では、悪くはないけどそこまでツボにハマるような印象は全くなかったんだけど、しかし今作は自分でも驚くくらいツボにハマった。

【ネルネルネルネ】
・・・基本的なサウンドスタイルとしては→いわゆるドリーム・ポップやポストパンクそしてポストロッキンなアプローチを加えたゴスいオルタナって感じで、あのWarpaintにも通じる幽玄で暗鬱なサイケデリック・ミュージックを展開している。そのWarpaint2:54と比較すると、このエスベンと魔女はゴシック/イーサリアル寄りのヒンヤリと冷たい感触を持っていて、まるで闇夜の森の奥深くで老婆の魔女がネルネルネルネを練り込むように、紅一点のフロントマンRachel Daviesによる黒魔術を唱えるかの如し呪術的なボーカルと、ギタリストのダニエルと兼鍵盤奏者のトーマスによるメランコリックなメロディセンスが織りなす、それこそ”ナイトメア・ポップ”を称するに相応しい耽美な音世界に聴き手を引き込んでいく。とにかく、いわゆるATMS空間形成に対する尋常じゃない意識の高さに驚かされる。



【UKの相対性理論】・・・まず、オープニングを飾る#1”Iceland Spar”のイントロからケタタマシク鳴り響く、まるでIf These Trees Could Talkを彷彿とさせるATMS系シューゲ/ポストロックライクな轟音ギターから、このエスベンと魔女のポストロック系に対する意識の高さを伺わせる。そして、まるで相対性理論が掲げる”シティ・ポップ”に対するイギリスからの回答、もしくはカウンターであるかのような、淡く灰色に輝くイギリス然とした街並みを、まるで魔法の世界に迷い込んだかのような恐ろしくも幻夢的な情景を描き出すギター・リフに惹き寄せられる#2”Slow Wave”は、それこそ東京都心はパラレルワールドならぬ英蘭郊外はネルネルネールネってやつだ。で、ほの暗い耽美エントなイントロからハモリを効かせたボーカルそして凍えるように肌寒く透きとおったサビメロへと繋がる#3、まるで悪夢を見ているかのようなATMS空間の中でパーカションが一種異様な存在感を放つ#4、再びポストロック全開の音使いとボーカルのメランコリックなメロディが、ほのかにプログレスな感度をもってポップなリズムを刻みながら極上のATMSフィールドを展開していく#5”Deathwaltz”は、あのMogwaiからも一目置かれているという、その理由を理解ッさせ納得ッさせるような名曲だ。

2013年BEST・・・ここまでの前半は、同郷のMidas Fall的でもある比較的”ロック”なビートをもった”歌モノ”志向の強い曲調で聴き手(パンピー)を誘惑しておいてから、そして遂に後半から魔女がその本性を現す→まずはエレクトロニカを効果的に使ったChelsea Wolfe直系の#6、ポストパンク的なリズムとブラックゲイズ風のノイジーなギターが織りなす#7を筆頭に、他にもイーサリアルやらフォークやらポストパンク等なんでもござれな、まるで夢遊病患者の夢の如し暗鬱な音世界が延々と続き、その中でもChelsea WolfeKayo Dot界隈にも通じるインディ・フォークの#9は後半のハイライトと言っていい。けど、やっぱり名曲の#2と#5を擁する前半の流れと比べると物足りなさは否めない。だから、トータルで見るとそこまで凄い作品ではないかもしれない。でも、とにかく”UKの相対性理論”かってレベルの#2と同郷の2:54を彷彿とさせる#5の存在が、昨年の年間BESTに挙げざるを得ないほどの大きな決定打となったわけです。

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