Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

2014年07月

sleepmakeswaves 『Love of Cartography』

Artist sleepmakeswaves
Sleepmakeswaves

Album 『Love of Cartography』
Love of Cartography

Tracklist
01. Perfect Detonator
02. Traced In Constellations
03. Singularity
04. Emergent
06. The Stars Are Stigmata
07. A Little Spark
08. How We Built The Ocean
09. Something Like Avalanches
10. Your Time Will Come Again

【2011年度BESTアルバム】・・・正直なところ、あの時は「マイナーな新人バンド挙げてドヤ顔するぜ!」っつー思惑もなきにしもあらずだったから、2011年にリリースされたsleepmakeswavesのデビュー作...and so we destroyed everythingをその年のBESTに入れた時点では、今やKarnivoolDead Letter Circusと並んでオーストラリアを代表するバンドにまで成り上がるなんて思いもしなかった。その1stアルバムから約三年ぶりとなる待望の2ndフル『Love of Cartography』がリリースされた。

【光の地図】・・・今年はsukekiyoといいANATHEMAといい、そして本作のアートワークを見ても分かるように、どうやら今年のトレンドは映画『ゼロ・グラビティ』サンドラ・ブロック状態らしい。まぁ、それは冗談として→オープニングを飾る”Perfect Detonator”から首都高を勢いよく駆け巡るような65daysofstaticばりの近未来感あふれるエレクトロニカ、Epic45ばりのエピックなメロディ、RosettaあるいはRussian Circlesばりの轟音ヘヴィネス、If These Trees Could Talkばりのアトモスフェリックな空間形成、そして持ち前のプログレスな感度を交えたリリカルかつドラマティックな展開力は不変で、それはまるで眠らない夜の街と街を繋ぎ合わせる光の残像が紡ぎ出す音のプラネタリウム、それこそ映画『愛のカートグラフィ』をシネマティックに描き出している。つまり、今こうしている内にも全国各地で夜の営みが行われているという現実に今にも打ちのめされそうになる童貞の激情的な感情を姿形にしたのが、この『Love of Cartography』というわけだ。



【ポストロック界のANATHEMA(妙な矛盾)】・・・このsleepmakeswaves、いわゆるポストロック四天王を代表とする王道的な普通のポストロックとは一味違って、時にシネマティックでノスタルジックなメロディ、時に繊細で耽美なメロディ、時に希望に満ち溢れた恍惚感あふれるメロディと煌めくようなエレクトロニカと轟音ヘヴィロックが高らかにオーバードライブし、ぶつかってはハジけぶつかってはハジけ飛ぶ宇宙規模のサウンドスケープを生成していく壮観な姿は、ここ最近のANATHEMA、それこそDistant Satellitesを彷彿とさせる。つまり、彼らはある種の”メタル系ポストロック”だと僕は解釈していて、その”メタル”に通じるビッグなスケール感は今作で更なるレベルアップが図られ、それを証明するかのように#4”Emergent”や#8”How We Built The Ocean”ではロシアのPowder! Go Awayばりに超絶epicッ!!な、それこそプログレ・メタル顔負けのダイナミックな展開力を発揮している。いい意味で初々しくて粗削りだった前作と比べると、展開に俄然メリハリが出てきて音も洗練された感じがする。65daysリスペクトなキッレキレのエレクトロニカをはじめ、ピアノ/シンセ/キーボードによる虹色に輝く多幸感あふれるラヴリィなメロディが大きな鍵を握る本作品、それは中盤の”Great Northern””The Stars Are Stigmata”、そして本作のハイライトを飾る”Something Like Avalanches”からの”Your Time Will Come Again”を耳にすれば明らかだ。特に打ち込み系の”Your Time Will Come Again”は、ANATHEMA”Distant Satellites”に匹敵するドラマティックなキラーチューンで、まるでビッグバン級の超エネルギーを放出する怒涛の展開に度肝抜かれる事うけ合いだ。

【2014年度BESTアルバム】・・・しっかし、またしても自分の審美眼を褒めたくなるくらい、このアルバム『Love of Cartography』における目覚ましい”進化”には素直に驚かされた。もはやANATHEMAと一緒にツアーしてもおかしくないレベルに達してるというか、ANATHEMAをサポートするに相応しいバンドになったと思う。少なくとも今のオーストラリア生まれのバンドで一番キテるのは確かです。

Nothing More 『Nothing More』

Artist Nothing More
Nothing More

Album 『Nothing More』
Nothing More

Tracklist

01. Ocean Floor
02. This Is The Time (Ballast)
03. Christ Copyright
04. Mr. MTV
05. First Punch
06. Gyre
07. The Matthew Effect
08. I’ll Be OK
09. Here’s To The Heartache
10. If I Were
11. Friendly Fire
12. Sex & Lies
13. Jenny
14. God Went North
15. Pyre



【現代版Fair to Midland】・・・このMVを初めて見た時は驚いた。エモーティヴなハイトーンボイスやドスを効かせた低音ボイスやチャラいラップなど多彩な歌声を駆使した、まるでFair to MidlandDarroh Sudderthリスペクトな破天荒で変幻自在のボーカル、いま流行りのガーガーガーガーガー系のソリッドなモダン・ヘヴィネス、KarnivoolDead Letter CircusなどのOGオルタナ勢を連想させるエピカルなメロディ、それらの要素がプログレッシブかつタイトなリズムをもってエクストリーム合体したエネルギッシュなヘヴィロックで、簡単に言っちゃえば”モダン化したFair to Midland”というわけ。

【新世代オルタナティブ・ヘヴィ】・・・この曲が収録された、テキサス州はサンアントニオ出身の4人組、Nothing Moreの約四年ぶりとなるセルフタイトルを冠した4thアルバム『Nothing More』が何やら凄い件。このアルバムの幕開けを飾る、先ほどのキラートラック”This Is The Time (Ballast)”を筆頭に、スクリレックス顔負けのダブステップなイントロからCoheed and Cambria直系のエモ&プログレ感を垣間みせながら、トドメはPeripheryばりにギョンギョン言わせるハイパーDjent!!を見せつける三曲目の”Christ Copyright”、まるでカナダのThe Birthday Massacr的な低音バッキバキのヘヴィロックにオルタナを掛け合わせた=Karnivool系のダークなサウンドから爽やかでポップなサビへと繋がって、最後はToolリスペクトなリフ回しから豪快なブレイクダウンをブチかます四曲目の”Mr. MTV”など、流行りのオルタナ系ヘヴィロックから流行りの【Dubstep×Djent】まで、しまいにはトゥールまで食い込んでくる”あざといくらいに美味しい”音使いや予測不能な展開力を耳にすれば、このNothing Moreが新世代オルタナティブ・ヘヴィ界の正統な後継者だという事がわかるだろう。彼らと同じくテキサス出身のFair to MidlandChevelleが、いわゆる90sポストグランジ/ヌー・メタルの分派からなる古典的な泥臭いハードロック/ヘヴィロックと位置づけると、このNothing Moreは00年代以降に発展したキレイなヘヴィロック、つまりポストグランジではなくDjentを通過したモダンなオルタナティブ・ヘヴィと言える。同じテキサス出身なのに、Fair to Midlandの小作人あるいは田吾作みたいな田舎っぽい雰囲気は微塵もなくて、このNothing Moreは都会のイカした兄ちゃんっぽい適度なチャラさ一つのウリとなってるのが面白い。しかし、これにはFair to MidlandのフロントマンDarroh Sudderthも→「ゴラア!テキサスの田舎もんのくせにシャレたエレクトロニカなんか使うんじゃあない!」と激おこ。

【ワンオクはメタル】・・・この手のモダンなサウンドを得意とするSumerian Records所属かと思いきや、意外や意外、パパロッチやSixx:A.M.率いるEleven Seven Music Groupからのリリースだけあって、必然的に比較対象となるFair to Midlandよりも俄然メインストリーム向けのロックバンドであることは確かで、それはレーベルメイトのFFDPHellyeah、そしてあのVOLBEATと一緒に北米ツアーを回っている事からも明らかだ。極めつけに、日本のメタルマスターマサ・イトーや重鎮カズ・ヒロセにも高く評価されている所からも、彼らが持つ異様なポテンシャルの高さを物語っている。とにかく、自国のメジャーシーンで活躍するバンドへのリスペクトや流行りの要素をメインストリーム市場、要するにキッズ向けに昇華した、良くも悪くも突き抜けた”現代のロックバンド感”が凄まじい。当然、メインストリームの音楽にありがちな既聴感は決してないとは言えないし、自らの意思というよりも、「どの層にどう売りたいか?売れるには何をすればいいか?」というレーベル側の思惑が強く出ているが、ある種の初期衝動に近いパワフルな爆発力とエモーショナルなメロディがリスナーの脳ミソに直に訴えかける、そのロックの”うま味”が凝縮された有無を言わせぬ音の説得力に、久々に猛烈な”ロックってイイネ感”を憶えた。彼らの音に”曖昧さ”というのは微塵もなくて、あくまでもメインストリームの音でド直球な”ロック”を貫いているバンドは今じゃ珍しい部類だし、そう考えるとアメリカのメタルを代表するFFDPやパパロッチと同じレーベルに在籍する事の方がむしろ自然というか、正直スメリアンに移籍したらもっと面白くなるんじゃねーかって思ったりしたけど、これはむしろメインストリーム系のレーベルだからこそ許される特権なんだって、もの凄く納得してしまった。実質的に1stアルバムと言っていい本作だが、エモ/オルタナやモダン・ヘヴィ/プログレやダブステ/エレクトロニカ/アンビエントなどのキッズに流行りの音を全部アリーナ・ロック級にブチ上げた、ありそうでなかった大胆かつ斬新なアプローチを耳にすれば、あのBURRN!界隈の重鎮が持ち上げるのも至極納得だし、色々な意味でDIR EN GREYのライブ開演前BGMに使われてもオカシクないとは思った。こうなったら俺たちのワンオクと一緒に北米ツアー回ってほしいよな。なんたって”ワンオクはメタル”だからな。

ある意味、日本のパスピエみたいな感じ。メインストリームという舞台でどこまでツウっぽい音を出せるか。それはベビメタも似たようなもんで、それこそex相対性理論の真部デトックス脩一が語る→「ラッピングされてマーケットに乗り、それに耐えうるものがポップス」というお話、からの「ロックの中にポップスを見い出す」←この問に対する”答え”なんだって(何の話だ)

Nothing More
Nothing More
posted with amazlet at 14.07.25
Nothing More
Eleven Seven Music (2014-06-26)
売り上げランキング: 26,194

Crosses 『†††』

Artist Crosses
†††

Album 『†††』
†††

Tracklist
01. †his Is a †rick
02. †elepa†hy
03. Bi†ches Brew
04. †hholyghs†
05. †rophy
06. †he Epilogue
07. Bermuda Locke†
08. Fron†iers
09. Nine†een Nine†y Four
10. Op†ion
11. Nine†een Eigh†y Seven
12. Blk S†allion
13. †
14. Prurien†
15. Dea†h Bell
 
【ベビメタ大好きおじさん】・・・VersaEmerge改めVERSAのプロデューサーでも知られるFarShaun Lopezと、今年のSonisphereBABYMETALとの共演を果たし、晴れて”ベビメタ大好きおじさん”の仲間入りを果たしたDeftonesのクソデブことチノ・モレノによるプロジェクト、Crossesの1stフルでセルフタイトルの『†††』なんだけど、意外や意外かのSumerian Recordsからリリースされた本作品は、2011年と2012年にリリースされた二枚のEPを含めた(新録曲は実質5曲)初のフルアルバムとなっている。

主な流れとしては、EP1→EP2→新録曲→EP1→EP2→新録曲→EP1→EP2→新録曲・・・といった構成で、過去作のEPは置いといて、新曲の感想を述べると→まず#3の”Bi†ches Brew”からチノのフェミニンな妖しい歌声とダウナーかつヘヴィなムードが織りなす、まさに†††節全開のエレクトロ・ロックで、ラストのチノのシャウトやヌ~・メタル的なヘヴィネスはデフトーンズを彷彿とさせる。#6”†he Epilogue”は比較的ポジティヴ な曲、#9”Nine†een Nine†y Four”は仄かにノスタルジックなレトロ感を纏ったアンニュイな曲、#12”Blk S†allion”はファンキーなギターをフューチャーした曲、ラストの#15”Dea†h Bell”はグリッチ感を押し出したピアノ主体のアンビエントナンバー。といった感じで、新録曲はどれも個性のある曲で、特に#3が自分は好き。で、あらためてEPの曲を聴いてみても、#5や#10の名曲っぷりを再確認したり、#14に至ってはVERSAに通じる音使いを感じたりする。要するに→時にレトロホラー映画のように不穏で陰気な空気を漂わせ、時に淫夢を見ているかのような錯覚を憶えたり、時に椎名林檎ばりのアンニュイなオルタナやってみたりと、今にもとろけて、どこまでも堕ちてしまいそうな艶かしいエロスを内包し、それでいてポップな美狂乱を繰り広げる幻想的かつ中二病的なトリップ世界は†††ならではだ。これが”ベビメタ大好きおじさん”がやってる音楽だなんて想像できないよ!
 
+++
+++
posted with amazlet at 14.07.21
Crosses
Sumerian Records (2014-02-14)
売り上げランキング: 64,506

Sadistik 『Ultraviolet』

Artist Sadistik
Sadistik

Album 『Ultraviolet』
Ultraviolet

Tracklist
01. Cult Leader
02. 1984
03. Chemical Burns
04. Into the Night
05. Cubic Zirconia
06. Orange
07. Nowhere
08. Witching Hour
09. Still Awake
10. Blue Sunshine
11. Death Warrant
12. Gummo
13. The Rabbithole

【ヒップ・ホップ化したCBL】・・・最近ではCunninLynguists『Strange Journey Volume Three 』に参加した事で知られ、昨年のFlowers for My Father2014年度BESTの実質的な一位を飾った、いわゆる”俺の界隈”のヒップ・ホップ枠を担当するラッパーコディ・フォスターが指揮するSadistikの新作『Ultraviolet』が早くもリリースされた。コディの亡き父に捧げる作品であり、同郷であるシアトルの重鎮Blue Sky Black Deathをプロデューサーに迎えて制作された昨年の『Flowers for My Father』といえば→Trespassers WilliamのボーカリストAnna-Lynne Williamsのソロ・プロジェクトLotte KestnerYes Alexanderらの癒し系女性ボーカルをフューチャーした、ヒップ・ホップ界隈にもこんな音楽があるのか!と衝撃を受けるくらい、まさしく”キング・オブ・アトモスフェリック”なATMS系アブストラクト・ヒップ・ホップで、ダディを失ったコディの深い悲しみがリリックに込められた、深い慈悲に満ち溢れたエモーショナルな音世界(レクイエム)を奏でていた。その神秘的かつ耽美な世界観は、さながら”ヒップ・ホップ化したCarbon Based Lifeforms”の如しフェミニンな香りを漂わせていた。

【シューゲイザー×ヒップ・ホップ】・・・その大成功を収めた傑作『Flowers for My Father』は、”Petrichor””Seven Devils”などのギターをフューチャーしたオルタナティブな側面を垣間みせると同時に、実にロックなヒップ・ホップでもあったが、今作の『Ultraviolet』は前作とは打って変わって過剰な味付けはなく、余計な音が一切ない非常にナチュラルな本格派ヒップ・ホップ作品となっている。それはオープニングを飾る#1Cult Leaderやリードトラックの#21984の至ってシンプルな音使いを聴けば顕著で、シリアスで陰鬱なムードを形成する持ち前のミニマルな音使いをバックに、コディのヤンデレ系ラップが妖しく交錯していく。で、前作でもお馴染みのLotte KestnerとミネソタのラッパーEyedeaをフューチャーした#3”Chemical Burns”は、一聴する限りでは前作の”City in Amber”直系のトリップ・ホップだが、容赦なく畳みかけるEyedeaの高速ラップとロッテの聖なる天使の歌声が織りなす、静と動の狭間で揺れ動くギャップレス・サウンドはもはやプログレッシヴ・メタルと表現していいレベルだ。ちなみに、この曲の歌詞には”Nine Inch Nails”というフレーズがある。続く#4”Into the Night”は、Chelsea Wolfeを彷彿とさせるMolly Deanの神の使い感ほとばしる妖艶なボイスとダイナミックなドラムスが、アトモスフェリックな音響空間の中で神々しく荘厳に響き渡るアンビエント系ヒップ・ポップで、それこそ”ヒップ・ホップ化したCBL”と呼ぶに相応しい神秘的な楽曲だ。次の#5”Cubic Zirconia”では、持ち前のミニマリズムをもって#4と同様に神秘的かつオリエンタルなスポークン・ワードを構築していき、終盤ではロッテとコディによるラップのハモリが聴ける非常にレアなトラックとなっている。そして、前半戦のハイライトを飾るのは→レーベルメイトであり、前作でもお馴染みのシューゲイザーバンドChild Actorを迎えたOrangeで、美しい女性ソプラノボーカルと男性ボーカルによるシューゲ然とした儚くも幻想的な浮遊感および今にも消えてしまいそうな透明感をもって、それこそ山吹色の波紋疾走のように温かくラブリィな多幸感と清らかでエピカルな世界観にチルアウトしていく、もはやSadistik屈指の名曲と言っていいだろう。あらためて、ヒップ・ホップの世界でこんなコッテコテなシューゲイザーやってのけるコディってやっぱスゲーわって再確認した。正直この一曲だけで今年の年間BESTに入れる価値あります。この曲はホントにスゲーです。

【ファッキンオバマッ!ファッキンオサマッ!】・・・後半戦からは→Nacho Picassoとフューチャリングした東南アジア風のオリエンタルな雰囲気を持つ#8”Witching Hour”、前作の”Snow White”ばりの黒人ラッパー風高速ラップを披露する#10”Blue Sunshine”Sticky FingazTech N9neとフューチャリングしたファンキーなイントロから始まる#11”Death Warrant”は、まるで「ファッキンニガーくらいわかるよ馬鹿野郎」と言わんばかりの、GTAシリーズに出てきそうな二人の屈強な黒人ギャングによる本場感あふれるラップと「Die...die...die...」と囁く癒し系白人女性ボイスのギャップが織りなす、まるで洋物ハードコアポルノのフィストファックを見ているかのような光景は”壮絶”の一言で、この極悪なブレイクダウンはもはやプログレッシヴ・デス・メタルと言っていいだろう。この曲、歌詞も現代アメリカに対する強烈な風刺が込められているのがまた凄い。その流れで→前作でもお馴染みのYes Alexanderちゃんとフューチャリングしたエキゾチックな#12”Gummo”Terra lopezとフューチャリングしたラストの”The Rabbithole”は、オープニングからJulianna Barwick的な聖なるボイスとATMSフィールド全開で始まって、インダストリアルな電子音やミニマルなギターを織り交ぜながらリリカルに展開していくオルタナチューン。ここまでの後半は前半の曲と比べると小粒な印象は否めないが、Tech N9neなどの著名ラッパーやYes Alexanderちゃんとのフューチャリング曲の完成度は流石で、その中でも#11のヨ~メ~~~ン?ファッキンニガッ!っぷりったらないし、ラストの#13は前作を踏襲したオルタナ全開の曲で最高にCoolだ。

オレンジレンジ・・・あらためて、前作は天国のダディに捧げる、”生死感”をモチーフにしたコンセプトアルバムなだけあって、メンヘラの過呼吸のように刹那的な焦燥感やシリアスな重い緊張感だったり、ダディに対するコディの張り裂けそうな想いが今にも爆発しそうな作品だった。しかし、この『Ultraviolet』は前作のような胃もたれしそうなほどクドい印象は微塵もなくて、とてもシンプルかつスタイリッシュな作風だ。持ち前のチルいインストゥルメンタルというよりコディのオーガニックなラップを中心に、と同時にミニマル・アンビエント感を押し出した作風となっている。名曲オレンジをはじめとした、前作にはないポジティヴな雰囲気を持った楽曲もあったりするんで、作品としての取っ付き易さは前作より上か。確かに前作ほどの衝撃というのはないが、少なくとも楽曲の質は同等、いや、6曲目のオレンジだけで言えば前作よりも優っていると言っていいかもしれない。音的にもしっかりと差別化されているので、前作にハマった人なら間違いなく楽しめる名作だと。
 
ULTRAVIOLET
ULTRAVIOLET
posted with amazlet at 14.07.17
SADISTIK
FAKE FOUR JAPAN/POETIC DISSENT (2014-07-23)
売り上げランキング: 1,639,145

VERSA 『Neon EP』

Artist VERSA
VERSA

EP Neon EP
Neon EP

Tracklist
01. Neon
02. Illusion
03. Wanderlust

【Versa Emerge→VersaEmerge→VERSA】・・・その年の俺的BESTでも名前が挙がった、VersaEmerge名義でリリースされた2010年作の1stフルFixed at Zero以降まったく音沙汰がなく、調べてみたらメンバーの一人が脱退して、新たにVersaEmergeから後ろのEmergeを取ってVERSAに改名して、更には音楽性もガラッと変わっててリアルに「!?」って驚いたけど、大して期待せずに音源を聴いてみたら前身バンドより自分好みで再び「!?」ってなった。



【女版†††】・・・なにが驚いたって、デビュー作のFixed at Zeroでは後藤久美子系女子のフロントマンSierra Kusterbeckをフューチャーした”ポストハードコア化したパラモア”もしくは”ミューズ化したパラモア”やってたけど、VERSAに改名後初の音源となるEP『Neon』ではレトロ感あふれる打ち込み系のエレクトロ・ポップ/シンセ・ポップやってて、とりあえず”Wanderlust”のMVで初めて音源を聴いて感じた事は→「この感覚、UKのChvrchesでもないしUSのPhantogramともちょっと違うし...この懐かしいレトロ感はスウェーデンのPostiljonenかな?でも、それよりもどっかで聴いたことあるような謎のデジャブ感・・・」という風に丸一日悩んだ挙句、遂に→「ああああああああああああ!!これってカナダの誕生日に大虐殺(The Birthday Massacre)のソレだ!!」って気づいた時は、なんとも言えないカタルシスを感じた。それと同時に、アイドルのライブでは必須アイテムとなるジャケのサイリウムもとい夜の街を彩るネオンのように妖しく煌めく、ほのかにゴシック/ダークなATMSテイストやフェミニンな空間形成は、まるでFarShaun LopezDeftonesチノ・モレノによるプロジェクト†††の女版みたいな”ナイトメアポップ”感を第一印象として持ったわけなんだけど、その後に今作『Neon』のプロデューサーがFarShaun Lopez本人だと知った時はドヤ顔でニヤリとせざるを得なかった。

【Trip-Hop化したThe Birthday Massacre】・・・とにかく、このVERSAは中心人物であるブレイクによるギターやストリングス、シンセ/キーボードやダブステップなどのインダストリアルな要素を取り入れた妖艶なATMS空間の中で、シエラのアダルティでありながら気だるさを持つ歌声がダンサンブルに繰り広げる、非常に魅惑的なオルタナであるのは確かだ。元々、シンガーとしてのポテンシャルはFixed at Zeroで既に証明していたし(それ故の良作だった)、このEPでもジャンルは違えど、その”emo”をルーツとする質の高いボーカルのメロディは不変で、オープニングを飾る表題曲ではR&Bちっくな歌を披露していたり、#2Illusionではセクシャルな一面を垣間みせたり、#3の名曲”Wanderlust”では『Fixed at Zero』譲りのポップなメロディを少しダウナー寄りにした歌声を聴かせている。正直どれもシングル化できそうなくらいの良曲なんだけど、その中でも”Wanderlust”The Birthday Massacre『Walking With Strangers』を初めて聴いた時と同じデジャブを感じたというか、大袈裟じゃなしにそれくらい久々に”俺の感性”がピクピクと反応した。特に”Like a dream disappears Just a memory I’m already gone You’re a blessing and a curse Just a memory”って部分のトリップ感はホントすき。

見てのとおり、もはや”バンド”としての体をなしておらず、VersaEmerge改めVERSAサウンドの中核を担うブレイクシエラの二人組ユニットだが、Farの中の人がガッツリ関わっている事もあって、今回のEPを聴く限りでは正直前身バンドよりも期待できそうな感じだし、個人的には今更ポップ・パンクやるのもアレだし、このままChvrchesPhantogramをはじめとした、そして何よりも女版†††としてこのオルタナ路線を突き進んで欲しい次第。今ならこのEP、彼らのBandcampNYP!NYP!NYP!なんで是非とも。

記事検索