Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

2014年11月

2:54 『The Other I』

Artist 2:54
2:54

Album 『The Other I』
The Other I

Tracklist
1. Orion
3. In The Mirror
4. No Better Prize
5. Sleepwalker
6. Tender Shoots
7. The Monaco
8. Crest
9. Pyro
10. South
11. Glory Days
12. Raptor

2:54 ・・・この2:54というコレットとハンナのサーロー姉妹率いるロンドン出身のバンドも、黒盤あたりの赤い公園と親和性を見出だせるバンドの一つで、PJハーヴェイの作品でも知られるロブ・エリスをプロデューサーに迎え、ミックスにはマイブラを手掛けたアラン・モウルダーを起用し話題を呼んだ2012年のデビュー作でセルフタイトルの2:54では、ポストパンク/シューゲイザー/ゴシック/ドリームポップなど多数の要素を内包した、それこそUKバンド然とした幽玄かつ陰鬱な雰囲気を纏ったダークなオルタナやってて、個人的にその年のBESTに挙げるほどツボにハマった。そんな2:54の約二年ぶりとなる、イギリスのロマン派詩人の詩からインスパイアされたという2ndアルバム『The Other I』は、プロデューサーにレディオヘッドとの仕事でも知られるジェイムス・ラトリッジを迎えてパリとロンドンで制作され、レーベルはBella Unionからリリースされている。

インディロック化したANATHEMA ・・・これは"ナイトメアポップ"ことEsben and the Witchも同じなんだけど、それなりの良作を出した後に著名なプロデューサーを迎えてガラッと作風を変えてくる、そう・・・あのやり方です。この2:54にも全く同じことが起こっていて、それは幕開けを飾るリードトラックの#1"Orion"を聴けば分かるように、デビュー作みたいな荘厳な雰囲気やホラー映画ばりにオドロオドロしい空気感は希薄となって、言うなればThe Joy FormidableEsben and the Witchを連想させる、ポストロック然とした音のダイナミズム/スケール感とアンニュイでミニマルなメロディ主体のいわゆる"Post-系"に大きく振り切っていて、ザックリと例えるなら"インディロック化したANATHEMA"みたいになってる。まるでイギリスの空模様のように不安定かつ不吉に揺らめくエレクトロニカとピアノを使って音響意識を植え付ける二曲目の"Blindfold"では、フロントマンのコレットに"ボーカリスト"としての自覚が芽生えていることに気づく。で、前作を踏襲したデュリーミィでイーサリアルなムードの上にレディへ風の不穏なキーボード・アレンジが施された#3"In the Mirror"、続く#4"No Better Prize"では、後期Porcu pine Treeを思わせるプログレッシヴ・ヘヴィ的な音使いや後期ANATHEMAを彷彿とさせる耽美的なバッキングをもって俄然メタリックな展開力を発揮し、同時に「あっ...これ前作より好きなやつかも」ってなった。ストリングスをフューチャーした#5"Sleepwalker"では、CoL『Vertikal』を思わせるディストピア的なアレンジを効かせながら、終盤にサバス顔負けのドゥーミーなヘヴィネスをぶっ放す。で、ここからは少し雰囲気が違って、一転して"新機軸"とも取れる楽曲が続いていく。まずWarpaintS/Tで言うところの"Disco//Very"的な立ち位置にある、コレットの"ボーカリスト"としての自覚を再確認させるような聖歌さながらの神々しいボーカル曲の#6"Tender Shoots"、シューゲ然とした淡い空気感を醸し出すイントロの裏をかくようにカントリー調の陽気なノリ&リズムで展開する#7"The Monaco"、焦燥感あふれる不安定なビートを刻みながら疾走する#8"Crest"、一転して"らしさ"のある力強いリズムやヘヴィなリフと叙情的なメロディが妖しく交錯する#9"Pyro"、そして終盤のハイライトを飾る#10"South"は、それこそ赤い公園”副流煙”ANATHEMAWe're Here Because We're Here直系の美メロ成分(光属性)をズキュウウゥン!!と注入したような名曲で、赤い公園"副流煙"がタバコの煙ならこの"South"はマイナスイオンの蒸気といった所か。再びコレットのボーカリスト意識の高さが伺える#11"Glory Days"、そして和楽器を駆使した荘厳な始まりから"Post-Progressive"然としたスケールのある展開を見せるラストの#12"Raptor"まで、全12曲トータル約50分。前半の曲はプロデューサーの色が顕著に出ていて、あらためてこの手の音楽とレディへの相性はバツグンだと再認識させる。後半からはこれまでの2:54にはなかった、新機軸的なArt-Rock志向の強い音使いで聴かせる。

Post-系 ・・・確かに、デビュー作にあった"オリジナリティ"という点ではパンチに欠けるが、その艶美な音響を駆使した多彩なアレンジとリリカルで緻密な展開力に、それはまるで一種の"Post-Progressive"と言わんばかりの表現力に驚かされる。これはプロデューサーの影響だろうけど、いい意味で腐女子臭かった前作と比べてもアレンジが著しくオサレに洗練されていて、同時にさざ波のように打ち寄せられるザラザラしたシューゲイズ感や凛々しくも荘厳なゴス/ヘヴィロック感、そして男勝りのフェミニズム思想が弱体化する一方でポストロック譲りの繊細な表現力がマシマシ、独特の温かみやアンニュイな色気が音に宿っている。それはまるで鋼鉄の処女が女性としての柔らかさ温かさ、すなわち母性を身につけて非処女になったみたいな感覚、あるいは人気アイドルにスキャンダルが発覚してキモヲタを振り落とす感覚に近くて、その処女喪失する瞬間を捉えたいジャケのアヘ顔が今作の全てを物語っていると言っても決して過言じゃあない。もはや前作の2:54とは別人と言っていいくらいで、でも僕はこの"変化"が"ポップス"あるいは"メジャー"に日和ったとはこれっぽっちも思わなくて、妹のハンナによる不気味なコーラスを交えた妖艶な雰囲気や音の根幹にあるい狂気性は不変だし、なんというか中期ANATHEMA後期ANATHEMAの美味しいとこ取りみたいな感覚すら、むしろ"俺の界隈"に大きく歩み寄ってきた感すらあって、とにかく曲の展開や音に様々なアイデアが施されたバラエティ豊かな楽曲陣は、単純に聴いてて面白いし、そして何よりも楽しい。なんだろう、前作はポストパンク型の力強いビートを効かせた一種の"雰囲気音楽"として楽しんでいた部分もあったけど、逆に今作は一つ一つの音や楽曲として"聴かせる"意識が今までになく強い気がする。少なくとも、それぞれ全く違うベクトルで楽しめる良作である事は確かだ。

『The Other I』=『猛烈リトミック ・・・そんな鬼女系腐女子の脱801感に溢れている本作なんだけど、なんか俄然エスベンと魔女や俄然赤い公園っぽくなってるし、そして何よりも"イギリスのWarpaint"という名に恥じないバンドにまでなってる感ある。むしろ本家超えてんじゃねえかって。でも向こうは2ndアルバムのWarpaintでシガロ界隈のPを迎えてたりするし、なんだかんだ棲み分けはできている。しっかし、ウォーペイントといいこのトゥー・フィフティーフォーといい、俗にいう"二作目のジンクス"を地で行ってる感じでスゲー面白いね。その"二作目"といえば→立川にある"クリムゾン・キングの公園"こと赤い公園も2ndアルバム猛烈リトミックで文字どおり"J-Pop"になってるし、そういった意味でも赤い公園はUKミュージック的なナニヵを感じる。著名なプロデューサーを迎えて、い部分とい部分がクロスオーバーしているという点では、2:54『The Other I』赤い公園猛烈リトミックは限りなく近い、似た作品と言えるかもしれない。あとエスベンと魔女がアイスランドのマイルドヤンキーことSólstafirと対バンするってんなら、この2:54ANATHEMAと対バンする可能性があったって全然不思議じゃないし、むしろ日本のHostess2:54と一緒にANATHEMAを連れて来いってんだ。いや、連れてきてくださいお願いします。

Other I
posted with amazlet at 14.11.25
Two:Fifty-Four (2:54)
Bella Union (Imp542) (2014-11-11)
売り上げランキング: 920,573

【11/27】 Dirty Loops 『"HIT ME" JAPAN TOUR 2014』@名古屋ダイアモンドホール



『ジョジョの奇妙な冒険』
荒木飛呂彦がアルバム・ジャケットを手がけた、スウェーデン王立音楽アカデミー出身の三人組ダーティ・ループスの来日公演、実は直前まで行くか迷ってて、そんな僕に行く決意をさせたのが、某赤い人のとある会話(ツイート)だった。


・・・さすがじぇいぽっぱー(笑)としか言いようがなくて、実際10月は赤い公園のライブの予習がてら名盤猛烈リトミックと過去作を集中して聴いている合間に合間に、飛呂彦がジャケを描いたDirty Loopsのデビュー作『Loopified』を聴いていた個人的な事情もあって、しかし偶然にしてはなかなか面白い出来事だったので、そして何時ぞやの当ブログの検索ワードに【Dirty Loops ジョナ ゲイ】とかいう謎の検索ワードがあって、それが気になって気になって夜も眠れない状態だったので、その真相を確かめるため、僕は一人のホモもとい一人のジョジョヲタとして今回の来日公演に行く決意をしたのだ。初めは自分も"なぜ赤い公園メンバーが!?"って思ったけど、「ダーティ・ループスの音楽はある意味J-Pop」というようなニュアンスをLoopifiedのレビュー記事にも書いたように、一見複雑そうに難解そうに見えてその本性はドチャクソ"ポップ"みたいな・・・それこそ赤い公園のコンポーザーである津野米咲が目指す、あるいは求めている"J-Pop"の一つの完成形がこのダーティ・ループスの音楽なんじゃあないかって。そう考察すると→赤い公園メンバーの音楽に対する意識の高さが伺えるようで、「やっぱこいつらおもしれー」ってなったし、もっと言えば2ndアルバムの『猛烈リトミック』が日本レコード大賞の優秀アルバム賞を受賞し、その同賞に飛呂彦がジャケを手がけた石川さゆり『X-Cross II-』も受賞しているのを見て、「もしかして...こいつら『ジョジョの女たち』なのかもしれない」って・・・そんなわけアルケー(伏線)

首がダルビッシュ聖子 ・・・それはさておき→前日に寝違えて首がダルビッシュ聖子になってショッキングな当日、イヤ~な気分のまま名古屋公演の会場となるダイアモンドホールに向かった。が、やはり微妙に遅刻して開演5分後くらいに会場に入った。「やべえ...もしかして”Hit Me”終わっちゃったか・・・?」という不安をヨソに入場するやいなや、ジョナのソウルフルなハイトーンボイス、ヘンリックのバッキバキにウネリまくるベースライン、そしてアーロンの正確無比なドラミングが織りなす、まるで"Groove!!Groove!!&Groove!!"とばかりのグルーヴィでダンサンブルなサウンドにガシッと心を鷲づかみされる。で、ヤバイ(YABAI!!)とかいう片言系の日本語を使ったユニークなMCをはじめ、ライブ独自のアレンジや各メンバーのソロパートを織り交ぜながら、ライブはダーティ・ループスのサウンドのようにリズミカルにテンポよく進んでいく。デビュー作Loopifiedの楽曲を惜しげもなく披露していく流れの中で、特に中盤のバラード”It Hurts”から”Wake Me Up”を挟んで”Sexy Girls”までの流れはハイライトで、”It Hurts”は演歌歌手ばりのコブシを効かせたジョナの歌声に聴き惚れるし、”Wake Me Up”はオシャンティな幕開けから突如EDM化する後半へと繋がる破天荒な楽曲だし、そして”Sexy Girls”で導入されるアーロンのドラム・ソロは尋常じゃない凄さで、もはやジョナとヘンリックのホモホモしい小芝居がどうでもよくなるくらい、アーロンの鬼ドラムを中心としたドリーム・シアター顔負けのダイナミックな展開力に只々圧倒された。ああ見えてアーロンはとてもチャーミングな人のようで、もはやスウェーデン出身でex-KATATONIAダニエルex-Opethマーティン・ロペスに次いで好きになったドラマーかもしれない。ヘンリックはヘンリックで、もはやベースで鳴らせる音全部出してるんじゃあねぇかって、「はっ!?ベースってこんな音まで出せんの?絶対嘘ですやん・・・それ絶対ギターの音ですやん・・・」みたいなドシロウトな感想しか出てこなくて、兎に角これまで聴いてきた音楽の常識を覆すような、それこそ『プロフェッショナル ホモの流儀』的な"プロ"のライブを繰り広げていた。ここで改めて気づかされる...ダーティ・ループスは音楽の天才なのだと。で、一回目のアンコールでは宇多田ヒカルの”Automatic”とジャスティン・ビーバーのカバー曲を披露し、二回目のアンコールでは携帯の光を演出として利用した曲から、最後はこれまたアーロンの鬼ドラムが炸裂する曲を披露する。それこそライブのクライマックスを飾るに相応しいラストで(既にアレンジ凄すぎて原曲わかんねぇ状態)、「あぁ...やっぱり”Hit Me”は一曲目に演っちゃって聴けないオチかぁ・・・」と思いきや、まさかまさかラストのラストに”Hit Me”・・・キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!もはや首がダルビッシュ聖子であることを忘れるくらいテンションがブチアガったのは言うまでもない。ただでさえ名曲なのに、ライブだと更に化けてて最高スギタ。他の曲ももっと予習しとけばよかった(反省)


今年のトレンドはホモ ・・・総括すると→会場は普通に隅まで埋まってたし、思いのほか年齢層は高め、男女比は半々くらいで、とにかくリア充オサレミュージックっぷりがハンパなかった。まるで英会話教室のようなノリで、初めはヲタクの僕には「いや~キツイっす」みたいな所もあったけど、ライブが進むに連れて→「そんなん関係ねえ!俺は今ッ!最高にリア充だッ!」←こんな気分になった。それぐらい楽しいライブだったし、もはや"ガールズロック界のスティーヴ・ハリス"こと赤い公園藤本ひかりがヘンリックの生の超絶ベースプレイに触発されて、赤い公園の次の新曲がフュージョンっぽくなったらどうしよう・・・って心配になった(えっ)。いや、むしろアリか、アリだな・・・。俺たちの藤本ひかりなら・・・【フュージョン×メタル=Djent!!】赤い公園の中でやってくれるんじゃあないかって。ハッ!?もしかして藤本ひかりは、このダーティ・ループスに只ならぬ"ホモ"の匂いを嗅ぎつけたからライブを観に行った可能性・・・?こ、こいつ腐ってやがる・・・。

Ne Obliviscaris 『Citadel』

Artist Ne Obliviscaris
Ne Obliviscaris
Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Citadel』
Citadel

Tracklist
01. Painters Of The Tempest (Part I): Wyrmholes
02. Painters Of The Tempest (Part II): Triptych Lux
03. Painters Of The Tempest (Part III): Reveries From The Stained Glass Womb
04. Pyrrhic
05. Devour Me, Colossus (Part I): Blackholes
06. Devour Me, Colossus (Part II): Contortions

ネ・バブリシャス ・・・今やAC/DCに次いでOGを代表するバンドにまで成り上がったメルボルン出身の六人組、ネ・バブリシャスことNe Obliviscarisの2ndアルバム『Citadel』は、その成り上がりを実現させた陰の立役者であり、近年のメタル界では五本指に入るんじゃないかくらいの衝撃をシーンに与えた1stアルバムPortal of Iでもお馴染みの超売れっ子エンジニア、スウェーデン人のイェンス・ボグレンを迎えて制作されている。その前作の一曲目に収録された"Tapestry Of The Starless Abstract"は、近年のベストメタルアンセムと言っても過言じゃあない名曲で、言うなればOpeth『Ghost Reveries』がノルウェイゲン・ブラック化したようなプログ・スタイルに、まるで葉加瀬太郎が雄大な自然の中を満面の笑みで無邪気に走り回る姿が脳裏に浮かび上がるような、天空を駆け巡るJ-RPG顔負けのクラシカルなヴァイオリンを豪快にブッ込んだ、まさしく超絶epicッ!!なエクストリーム・メタルを繰り広げていた。そんなデビュー作がデビュー作だけに、期待と不安が入り混じりった2ndアルバムなんだけど・・・

ネ・BTBAM ・・・収録曲を見ればわかるように、#1~#3までの三部構成となる組曲"Painters of the Tempest"、#4の"Pyrrhic"、#5~#6の二部構成となる"Devour Me, Colossus"まで、実質3曲でトータル約48分という、前作とは少し構成が違った俄然コンセプティヴな作風となっている。で、聴く前にCDに【BTBAMファンにオススメ!】とかいうウリ文句が書いてあって、「おいおい、さすがにネ・バブリィBTBAMは全然スタイルが違うだろ・・・」って思ったけど、実際にこのアルバムを聴き終えた後には、呆然としながら「こ...これはもはやネ・BTBAMだ・・・」と呟いていた。まず、三部構成となる"Painters Of The Tempest"のパート1から、Vampillia"tasogare"を彷彿とさせる哀しげなピアノと舞台役者のように慟哭するヴァイオリンの歪みが織りなす、意表を突くような迫真のプロローグから聴き手をその世界へと引きずり込み、そして本作の目玉となる約17分の大作のパート2へと繋がる。まず驚くのが、初っ端からDeathObscuraを連想させる転調しまくりのテクデス然としたカオティックな展開だったり、低音デス主体のボーカル・パートだったりと、この時点で前作のようなOpeth系ノルウェイゲン・ブラック感は薄まって、それこそUSのBTBAMを想起させる"コア"なスタイルに変化しているのが分かる。前作に引き続き、相変わらず葉加瀬太郎の笑みが溢れるようなヴァイオリンの音色をフューチャーした曲ではあるが、特に7分以降から始まるDream Theaterの名盤『Images And Words』をリスペクトした美メロなクリーン・パート一つ取っても、先ほどの"US"あるいは"コア"っぽいイメージに拍車をかけている。この先が読めない目まぐるしい展開力や俄然リリカルでドラマティックな音のスケール感・・・とにかく、前作の弱点だった展開の乏しさやリフの単調さを克服してきている。そのパート2のエンディング的な役割を担うパート3では、葉加瀬太郎の情熱的なヴァイオリンとアコギが優雅に舞い踊る。デスラッシュ気味に突っ走るブルータルな前半から急激にポストブラック化する後半へと繋がる、実にツウ好みな展開を垣間みせる#4"Pyrrhic"、今作の中では最もOpe-Styleをベースにした曲で、かつAlcestっぽい癒し系アコギ・パートを盛り込んだ#5"Devour Me, Colossus (Part I): Blackholes"、そのエンディングを担うパート2では、悲劇のヒロインが泣き崩れるような歪んだ音色を奏でる葉加瀬太郎もといヴァイオリンに慟哭不可避だ。

ネ・葉加瀬太郎

ネ・葉加瀬太郎 ・・・今作、特にクリーン・パートのバリエーションが広がったのと音の表現力が格段に増したのが大きくて、それはAlcestDTリスペクトな美メロだったり、NeurosisIsisあるいはDEAFHEAVENを連想させる”Post-系”のモダンな空間能力を発揮する場面だったりと、なんだろう音のメリハリの効かせ方が実にUS的というか、様々な面でEU的というよりもUS的な音に歩み寄っているのは確かで、正直デビュー作だけの一発屋になるかと思っていた僕を真っ向から否定するかのような、めざましい進化を遂げている。まさかここまで柔軟性のある、ここまで器用で繊細なバンドだとは微塵も思ってなくて、USのバンドが出せないEUの音とEUのバンドが出せないUSの音を併せ持つ、それこそ新世代のメタル界を担う救世主こそ、このネ・バブリシャスなのかもしれない。また、バンドの生命線であるヴァイオリンからの脱却に成功した、バンドとしても確かな進化を感じさせる一枚でもあって、つまり"バンド・サウンド"が一段と高まったことで、よりヴァイオリンの音色が際立っているし、むしろ逆にヴァイオリンの存在が他の楽器を引き立てながら、互いに良い相乗効果を生んでいる。そして今作では全編を通してベースが活きているのが分かる。そんな様々な変化が巻き起こっている中でも、持ち前の葉加瀬太郎もといヴァイオリンが奏でる叙情的なメロディは不変で、しかし前作で言うところの”Tapestry Of The Starless Abstract””Forget Not”をはじめとした、あざと可愛いくらいの葉加瀬太郎の満面の笑顔ほとばしるエピカルなJ-RPG成分が少し薄まったのは賛否あるかもしれないし、大手のテクデス勢や流行りのポストブラック勢と似たようなスタイルになってバブリシャスらしさが消えたとも言われかねないが(もはや好みの世界)、それらのプラスマイ要素を引っ括めても、その完成度は前作に勝るとも劣らない傑作である事には違いない。とにかく、このアルバムを届けてくれた葉加瀬太郎には感謝の言葉しかない。ありがとう葉加瀬太郎、フォーエバー葉加瀬太郎

Citadel -Digi-
Citadel -Digi-
posted with amazlet at 14.11.22
Ne Obliviscaris
Season of Mist (2014-11-10)
売り上げランキング: 20,111

【11/21】 DIR EN GREY 『TOUR14-15 BY THE GRACE OF GOD』@Zepp Nagoya

B2-NKp8CIAEh3VV

ここ最近のDIR EN GREYに対して思う事といえば→メンバーの"フットワークの軽さ"で、それはフロントマンのソロ活動だったり、シンヤのドラエモン化だったり、少し前のDIR EN GREYじゃあ考えられなかったことが立て続けに起こっていて(と言ってもシンヤは平常運転だが)、特にsukekiyoIMMORTALISの記事の中で書いた→京の女体化=花魁化だったり、映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキー鬼束ちひろとの前衛的なAV撮影もとい対談、更には鳥肌実との対談という名の対バンだったりと、他に実現してないのは園子温の映画に出演することだけで、その中でも『ジョジョの奇妙な冒険』荒木飛呂彦『MGS』シリーズの小島秀夫を差し置いて、誰よりも先にホドロフスキーと京が対談した時は→「やっぱこいつバンドマン以前に一人のニンゲンとしておもしれぇヤツだな」って思った次第で、そんな"サVカル系男子"ことを擁する、約四年ぶりのアルバム『ARCHE』のリリースを目前に控えたDIR EN GREYのライブツアー、その名も『BY THE GRACE OF GOD』を観に行ってきた。正直、新作がリリースされる前のツアーということで、実際ナニを目的としたツアーなのかイマイチ掴めなくて、でもライブスケジュール的には年をまたいで来年の頭まで続くツアーってんだから、恐らくは新作『ARCHE』に伴うツアーなんだろうと想像できるし、事実そうだった。で、初期DIR EN GREYにあまり興味がない僕は、前回の『GAUZE』ツアーは華麗にスルーしたので、DIR EN GREYのライブを観るのは随分と久々だ。今回は整理番号が700番代で、フロアのド真ん中辺りで観ることができたんだけど(隣には180cmの自分よりもデカい外国人がいた)、こんなに近くでDIR EN GREYのライブを観るのは初めてだったから、正直かなりワクワクドキドキムネムネしていた。さて、7時開演。メンバーが登場すると同時に・・・ 

バンギャ1「ン゛ギョ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛」 

ぼく「ファッ!?」 

バンギャ2「ン゛ギョ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛」 

ぼく「ファファッ!?」 

バンギャ3「ン゛ギョ゛ギョ゛ギョオ゛オ゛オ゛オ゛ゥ゛ゥ゛」 

ぼく「ファファファのファッ!?」 

そんなバンギャの五月蝿い咆哮が飛び交う中、ノイジーなオープニングから薫あるいはDIEの"Post-系"に対する意識の高さを垣間みせるインストで幕を開け、その流れで新曲の"Un deux"(という曲らしい)が始まった。そもそも、DIR EN GREYというバンドと"再現度"という言葉は交わることのない関係で、正直新曲のイメージが変に崩れるのが嫌で、スタジオ音源を聴くまではライブでも聴きたくなかったんだけど、ここまで来たらそんなことも言ってられないし、その場で新曲らしき曲が始まったら耳を塞ぐなんて正気の沙汰じゃないので、あくまでも"ライブ"ということを肝に銘じて、新曲の感想を述べていきたいと思う。話を戻すが→その"Un deux"だが、曲調としては緩急を効かせつつ基本ミドルテンポの楽曲で、アルバムの一曲目としては"地味"に感じるかもしれない。音的には、余分な贅肉を削ぎ落したもの凄くシンプルな音で、京のボーカルは艶かしい情感いっぱいの歌声を披露している。この京の歌い方にはsukekiyoを彷彿とさせなくもなかった。その流れで、シングルの"SUSTAIN THE UNTRUTH"が続くが、このサステインをツカミどころの二曲目に組み込んでくるあたり、新作の『ARCHE』はサステイン路線になるんじゃあないか?そんな漠然としたイメージを持つことができる。そして、立て続けに新曲を二曲披露した。そのどちらかの一曲は『ARCHE』を象徴する一曲になりそうな、なんだろうJazz的というか妖艶なムードを醸し出していた。当然、ここでも京が隠しきれないsukekiyo感をアピールする。次にTHE UNRAVELINGから"鴉"、シングルの"輪郭"へと続いていく。新曲で一番グッときたのが次の"濤声"(という曲らしい)で、なんだろうアレンジが面白かったというか、正直なところ曲の内容よりもバックに映し出されるおかめ納豆みたいな顔の映像に意識が釘付けだった(誰やねんあいつ...めっちゃ気になるわぁ...)。で、先日リリックビデオがリリースされた"空谷の跫音"だが、実はそのリリックビデオは少しだけ聴いて途中でページを閉じてしまった。とにかく、その只ならぬ"Post-感"に恐怖を感じてしまったというか、その曲調としてはDIEが奏でるAlcestばりのアルペジオをフューチャーした"ポスト-バラード"で、これは宇多田ヒカル"桜流し"ANATHEMA"The Lost Song Part 2"を連想させた。次に『DUM SPIRO SPERO』から"欲巣にDREAMBOX"を挟んで再び新曲だが、この曲は全く覚えてない。。。ライブも終盤、"激闇"からの"OBSCURE"でようやく客(バンギャ)の反応が良くなってくる。本編ラストに新曲の"Chain repulsion"(という曲らしい)を披露。アンコールでは、『UROBOROS』から"STUCK MAN"から初期の楽曲を二曲挟んで"DIFFERENT SENSE"、アンコラストも新曲で、この日披露した新曲の中では最も激しい系の楽曲で、恐らくは『ARCHE』DUM SPIRO SPEROにおける"激闇"的なアンセムになりそうな予感。しかし旧作からの選曲がミドル主体の雰囲気系の楽曲が多かった気がするけど、それは新曲との相性、その兼ね合いもあるのかなーって。だからなのかパンチは弱くて、ただ淡々と進んでいくライブだった気がするけど、不思議と退屈しなかったのは新曲のおかげなのか?それともおかめ納豆の存在感故か・・・そんなわけアルケー。

さっきも書いたように、これはあくまでも"ライブ"で聴いた感想であって、実際にスタジオ音源で聴いてみたらまた違った印象を受けると思うし、ほんの数曲の新曲だけで『ARCHE』を知った気になるのは愚の骨頂か。当然、今回のツアーだけでは『ARCHE』の全貌は見えてこないし、これはほんの"序章"というか"サワリ"に過ぎない。そのサワリだけで述べるなら→新曲は"シンプル"の一言で片付いてしまうんじゃあないかってほど"シンプル"だ。これは"サステイン"的な楽曲をイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれない。Gソロはそれぞれにあって、ミドルテンポ主体で”聴かせる”系が中心だった。シンヤのドラムがカッコイイ曲もあった。そして、何よりも気になったのが京のボーカル面で、ソロプロジェクトのsukekiyoがDIR EN GREYの京にどのような影響を与えたのかーなんて知る由もないけど、このライブで披露されたいくつかの新曲を聴けば、その"sukekiyoからの影響"を誰一人として否定する事はできないだろう。これは決して"sukekiyoそのもの"というわけではなくて、何もかも全てが新しいDIR EN GREYというか、一方で今のDIR EN GREYっぽさもあるし一方で昔のDIR EN GREYっぽさもあって・・・とはいえやっぱりこのツアーだけで『ARCHE』を語ることはできないし、まだまだ全てが未知数だ。キーワードとしては・・・【シンプル ノイズ Post-系 sukekiyo V系回帰】あたりか。ただ今の僕には、何も理解できないし、何一つの答えも導き出すことが出来なかった・・・そんなわけアルケー。

Ghost Brigade 『IV – One With the Storm』

Artist Ghost Brigade
Ghost Brigade

Album 『IV – One With the Storm』
IV – One With the Storm

Tracklist
01. Wretched Blues
02. Departures
03. Aurora
04. Disembodied Voices
05. Electra Complex
06. Stones And Pillars
07. Anchored
08. The Knife
09. Long Way To The Graves
10. Elämä On Tulta

北欧フィンランドの音楽といえば→Sonata ArcticaStratovariusなどのコッテコテなヘヴィメタルバンドを数多く輩出している国というイメージが強いが、この2005年にフィンランドはユヴァスキュラで結成された6人組のGhost Brigadeは、その名をシーンに知らしめた2ndアルバムIsolation Songsでは、全盛期Opethに匹敵するリフ回しを中心とした幽玄かつ荒涼感のある音使いをもって、同郷のCallistoの影響下にある”静と動”のコントラストで聴かせる美しくも儚い”覇道のPost-Metal”を展開していた。続く3rdアルバムUntil Fear No Longer Defines Usでは、Insomnium直系のエピカルな叙情性やAlcestKATATONIA流れのオルタナ感を高めつつ、ポストメタルはポストメタルでも隣国のCult of LunaNeurosisを連想させる、よりモダンでドゥーミーに洗練された”進撃のPost-Metal”を繰り広げていた。つまり、伝統的なフィニッシュ・メタルと現代的なポストメタルがクロスオーバーした、言うなれば”メロデスラッジ”みたいな面白い立ち位置にいる、自分の中では新世代メタルの一つとして認識しているバンドで、個人的にもフィンランドでは一番お気に入りのバンドだ。そんな前フリがあって、前作の『UFNLDU』から約二年ぶりの4thアルバム『IV - One With The Storm』は、傑作だった『Isolation Songs』を彷彿とさせるアートワークで、その内容も2ndの再来を期待させる。

リッピング失敗したかと思った→オリジナルメンバーのベーシストが脱退し、新しくベーシストとキーボーディストを迎えて6人組体勢になったことが、バンドサウンドに大いに影響している。オープニングナンバーの#1”Wretched Blues”を聴けばわかるように、確かに雪国フィンランドの情緒漂うInsomnium譲りのエピカルな叙情性は不変だが、以前までのスラッジーな重さというより硬くてソリッドな低音リフに、そして高音がキツ過ぎる音質の悪さに嫌な予感が頭をよぎる。なんだろう、次の#2”Departures”を聴いたら納得した。Opeth?Insomnium?Cult of Luna?Neurosis?・・・コイツら一体誰の後継者なんだ?って、この曲でわかった気がする。コイツらKATATONIAの後継者だわ。この高音のシャリシャリ感は『Last Fair Deal Gone Down』リスペクトだと半ば強引に考えれば納得できるし、そうかコイツら”オルタナティブ・ヘヴィ”だったんだな・・・って思い知らされた気分だ。確かに、2ndや3rdの時点でフィンランドらしからぬ”オルタナティブ”なセンスを垣間みせていたし、今作ではそれが表面化してきている。あえりえなくもなかったけど、でも少し意外な方向転換をしてきた。新しくキーボーディストを迎えたことで、音響的(ATMS)なアレンジ面での確かな成長は伺えるし、いい意味でも悪い意味でも音を含めて全ての音がモダンに洗練されている。でもボク思うんスよ、この手の音楽やりたいんならさっさとイェンス・ボグレン引っ張ってこいやって、ボク思うんスよ。いや、僕が言いたいのはただ一つで→隣国Dark TranquillityConstruct聴いてから出直してこい、っつーわけです。なんだろう、フィンランド人って深いところで”オルタナティブ・ヘヴィ”をナメてる気がする。なんだろう、田舎もんの大学生が都会に出てきて大学デビューに失敗したみたいな、こっ恥ずかしいノリすらある。ボートラにドヤ顔でリミックス入れちゃうあたりもうホントにスベってる。なんだろう、全体的に無理しちゃってる感じ。

  「GBよ、お前はANATONIAにはなれない...」


とにかく音の悪さ→それと相性の悪さも相まって、第一印象は過去最悪だった。当然、これは意図的にやってるんだろうけど、いかんせん音が致命的過ぎる。少なくとも、僕にとっては何回も聴きたいと思う音ではなかった。是非ともフィンランドのエンジニアには【オルタナティブ・ヘヴィ 音作り】で検索してほしいって思っちゃったんだからしょうがない。しかし、楽曲自体は前作からスラッジーなヘヴィネスを取り払って、中期ANATHEMAあたりのオルタナ方面へと大きく舵を切ってて、それはむしろ個人的に大好きな方向性ではあるし、メロディの充実度や完成度という点では前作を軽く凌駕しているのは確かだ。でも自分は前々作や前作ほど俺の感性に響かなかった。これはただ音の”進化”からなる音の”変化”に僕が順応できなかっただけかもしれない。それともガチでリッピング失敗しただけなのかもしれない。それでもやっぱり、この手の音楽の最上級はKATATONIAの最高傑作『Last Fair Deal Gone Down』ANATHEMA『Judgement』だと信じてやまない自分としては、頼むからこの手の”オルタナティブ”がやりたかったらイェンス連れてきてくれって、本当にただそれだけなんですね。もしイェンスがミックスしてたらまた違った結果になったのかな~とか、考えるだけ無駄だけど。

IV: One With the Storm
IV: One With the Storm
posted with amazlet at 14.11.16
Ghost Brigade
Season of Mist (2014-11-10)
売り上げランキング: 39,499
記事検索