Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

2015年07月

【祝】Apple Musicサービス開始!

2015年6月30日、日本では7月1日、遂にApple Musicのサンビスが開始された。そこには、新しい音楽の未来が広がっていた。

さて、近頃はゴネ得ババアもといアメリカの歌姫テイラー・スウィフトと収益についてアツいプロレスを繰り広げていたApple Musicさんだが、この日本でも何事もなく無事にサンビスが開始されたということで、さっそくApple Musicを使ってみた。まずApple Musicを利用するには、初めにクレカの登録もしくはitunesの残高が980円以上ある人しか利用できないという若干ハードルを設けており、サンビス開始から三ヶ月間無料なのにも関わらずバリバリ課金させる前提のApple Musicさんだが、まぁ、それは仕方がないとして、とりあえずどんな音楽が配信されてるのか、一番に気になる所だ。手始めに当ブログでもお馴染みのスティーヴン・ウィルソンANATHEMA率いるPost-Progressive勢をチェックした結果、当然のように最新作以外のほぼ全アルバム配信されてて素直に驚いたというか、「海外の人はこんなバケモンチートツールを数年前から日常的に使ってたのか・・・」みたいな、なんかスゲー時代というか世界に取り残された感あったし、それこそ「音楽界の夜明けぜよ...」的な坂本龍馬もビックリの衝撃を受けた。でもなにか足りないことに気づいた、ANATHEMAがソニー傘下のMusic for Nationsからリリースした『Judgement』『A Fine Day to Exit』『A Natural Disaster』、通称Fine Days 1999 - 2004だけピンポイントで配信されてない!ソニー許すまじ!

JDAとABCのトップソングに連なる月光花とイエスを見たyasu→「俺たちはバラードバンドじゃない!」

勿論、洋楽はほぼほぼ揃ってる。それなら邦楽およびV系界隈はどうか調べてみた。まず驚いたのは、Janne Da ArcAcid Black Cherryがほぼ全アルバム、ABCに至ってはカバーアルバムまで配信されてたのは予想外だった。Janne Da Arcはまだしも、というかJDAはエイベが仕掛けた国産定額制ストリーミングサービスAWAの広告塔になってたから、てっきりAWA独占かと思ってた。それよりも驚いたのはABCの方だ。イメージ的に、yasuってこの手のサンビスにどちらかと言えば否定的な人間だと思ってたから、余計に驚いたというか、やっぱJanne Da Arcyasuって本当にリスペクトできる存在だなって、考えが改まった。しかもka-yuのソロプロジェクトであるDAMIJAWkiyoのソロ・アルバムまで配信されてるってんだから、ジャンヌメンバーには本当に頭が上がらない。だってさ、腐っても一応は海外でも活動しているDIR EN GREYXなんかは一切配信されていないし、やっぱ俺の中でDIR EN GREYJanne Da Arcを超えることはないなって、この出来事からも再認識した次第だ。正直、Xに至ってはヨシキがツイッターで「俺たちは世界で人気だぜ!」みたいなハッタリかましといて、こういう音楽シーンの動きには全く疎いから俄然日頃の発言に説得力が生まれないというか、しかーし、X JAPANの約20年ぶりとなる新作の発表コメントに→YOSHIKI「今後音楽がストリーミングに移行していく中、なぜフルアルバムが必要なのかと考え...」とあって、これから日本にも『大ストリーミング時代』がやって来ることをきちんと理解してるみたいだから許した。ついでにX JAPAN主宰の『Xフェス』『救世主復活』させたらもっと許す。とは言え、楽曲を配信するor配信しないなんてのは所属レーベルの方針だってのは百も承知だし、配信しているアーティストが偉いだとか配信してないアーティストがダメとかの話ではないけど、それでもやっぱり配信してないアーティストってちょっとダサいと思う。皮肉なもんで、活動休止状態のJanne Da Arcが定額制に積極的な未来志向を持ったバンドで、今現在活動中のDIR EN GREYが旧来志向であるという逆転現象は何とも皮肉な面白さしかない。というか、むしろV系みたいなバンギャ主導のニッチな界隈にこそ、定額制ストリーミングを積極的に使ってパンピーを引っ張って来るべき、そういう時代だと思うんだけど。ともあれ、やっぱりJanne Da Arcがナンバーワン!林LOVE!


もう一つ気になったのは→「CDはもうダメでしょ」の名言で知られる椎名林檎の動向で、それが物の見事に配信してなくて正直「ん?」ってなった。まさかあんな発言しといて配信なしとか→「なに?日出処のジャケみたいにテイラー・スウィフトごっこでもしてんの?lol」って、あの発言からこの動きはちょっと説得力に欠けるなって、ちょっと皮肉交じりに小言を言いたくなった。とは言え、何度も言うけど配信するしないはアーティストの意向というより各レーベルの方針でしかなくて、実際に大手のソニーはApple Musicに楽曲提供しないことを以前から表明していて、事実ソニー系列のねごとは一曲も配信されていなかった(LINE MUSIC独占?)。しかし近い世代のtricot赤い公園tricotに至ってはシングルを含め(つまりヒロミ・ヒロヒロ作曲のダイバーまで!)最新作やEP含む全アルバム配信していてサスガだなと関心した。意外だったのは相対性理論が全アルバム配信してた事(さすが俺たちのえつこ!LOVEズキュウウウン!!)。で、今年メジャー移籍組のShiggy Jr.きのこ帝国はメジャー移籍後の最新シングルのみ配信されている所を見るに、やっぱり以前まで所属していた各レーベルに大きな権限があるのだと理解できる。最も関心したのは、tricotに至ってはいち早くApple Musicを利用したライブの宣伝をツイッターに投下していて、それは「今なら無料だから予習してライブに来てね」という趣旨の話だ。個人的にタイムリーな話になるんだが、おいら、今年に入ってtricotのワンマンライブを「音源の予習ができなかったから」という理由でチケを発券したにも関わらず行かなかった、という苦い経験がある。つまり、もしApple Musicのサンビス開始があと数カ月早まっていたなら、このようにApple Musicで音源を予習してtricotのワンマンを観に行ったという、そんな"もう一つの未来"もあったかもしれないわけだ。しかし、このApple Musicの登場によって、もう二度と僕のような過ちを犯す人はまず大幅に軽減されるだろうし、CDは買わないけどApple Music含む定額制音楽サンビスで音源を聴いて、そして気に入ったからライブへ足を運ぶ(運んでみよう)とする、この【CD→ライブ】という一連の流れこそ新時代の音楽体験、この【CD→ライブ】への移行こそ今後の主流となってくるのではないか?というお話。というより、このやり方が新時代を迎えた日本の音楽シーンで、バンドおよびアーティストが生き残っていく唯一の方法なんじゃあないかって。これも皮肉なもんで、椎名林檎の影響を受けた赤い公園tricotが常に邦楽界の最先端を歩んできた椎名林檎を追い抜いて、既に定額制音楽サービスを駆使した最先端の音楽活動を始めている、この逆転現象は皮肉と面白さしかない。だから今の若い子やキッズは、椎名林檎ねごとよりも、tricot赤い公園のライブに、それこそ上記ツイートのライブに率先して行ってやって欲しい。そして、他でもないこいつらが新時代の音楽シーンに生きる最先端のバンドだって、そう信じてサポートしてやって欲しい。さすれば君は、晴れて俺たちペリー提督率いる黒船団の新たな一員として仲間入りを果たすだろう。まぁ、それは冗談として→そんな事よりテメーらApple Musicヒロミ・ヒロヒロ”ダイバー”を聴いて萌死ね!

おいら、『創作の価値』なんて小難しい話ができるほど頭が良くないので、その辺の議論は知識人に任せます。一つ要望を挙げるとすれば、プレイリスト機能を使って『◯◯の曲で打線組んだ』シリーズ作りたいんで、プレイリストをブログに埋め込みできるようにして欲しい。ともあれ、これからは配信していないアーティスト=時代遅れのダサいアーティストみたいな角印を押されかねない時代になってくるんじゃあないかって。だから今の林檎、ちょっとダセーなw そしてソニー、やっぱりダセーなw

Susanne Sundfør 『Ten Love Songs』

Artist Susanne Sundfør
new_susanne_press_og

Album 『Ten Love Songs』
Ten Love Songs

Tracklist
01. Darlings
02. Accelerate
04. Silencer
05. Kamikaze
06. Memorial
07. Delirious
08. Slowly
09. Trust Me
10. Insects

北欧のスティーヴン・ウィルソン ・・・個人的に、海外のシンガー・ソングライターの中で新作がリリースされる度に欠かさず追い続けてるアーティストが、北欧ノルウェーはオスロを拠点に活動するノルウェイの森の不思議ちゃんこと、このSusanne Sundførだ。彼女の名を世に知らしめる大きなキッカケとなった、2010年作の2ndアルバム『The Brothel』を聴いた時の衝撃は今でも記憶の中に強くあって、ジャズ/エレクトロ/シンセ/アート/ドリーム/バロック・ポップやオルタナやエクスペリメンタルやアコースティックやフォークやトリップ・ホップやアンビエントやモダン・クラシカルやアトモスフェリックやインストゥルメンタルなど...ありとあらゆるジャンルと多種多様な楽器を変幻自在に操るマルチな音使いをもって、一種のおとぎ話のようなミュージカルさながらメルヘンチックに演出していく姿は、それこそPost-Progressiveと表現する以外他に例えようがなくて、あわやRiversideマリウス・デューダ君のソロ・プロジェクトをはじめとしたPost-Progressive界隈にも地味に影響を与えてるんじゃあないかってくらい、もはや日本の椎名林檎邦楽界のスティーヴン・ウィルソンだとするなら、このSusanne Sundfør北欧のスティーヴン・ウィルソンあるいは欧州のGrimesと言っても過言じゃあないくらい(グライムスよりも年上だが)、とにかくマジでスンゲーSSWというわけ。で、その傑作『The Brothel』が本国ノルウェーのチャートで一位を飾ると、続く3rdアルバムThe Silicone Veilも本国のチャートで一位を、そして約三年ぶりとなる4thアルバム『Ten Love Songs』も当然のように初登場一位を記録し、このように三作連続でチャートトップを飾っている所からも、母国では既に絶大な人気を博しており、名実ともに北欧いや欧州を代表するアーティストにまで上り詰めている。そんな彼女を人々はこう呼ぶ...北欧のケイト・ブッシュと! 最近では、フランスの英雄M83がトム・クルーズ主演の映画『オブリビオン』に書き下ろしたED曲でフューチャリングしてたりと、その知名度は着実に世界へと拡散中だ。

北欧の西野カナ ・・・この『Ten Love Songs』は、前作から顕著に浮かび上がってっきた"ボーカル重視"の流れを素直に踏襲しつつも、一方でソングライター以前に一人のシンガーとしてのポテンシャルを爆発させている。傑作『The Brothel』で提示したオルタナというかエクスペリメンタルというか、あらゆるジャンルを内包した「なんじゃこいつ!?」感や持ち前のPost-感というのは少し薄まって、あのM83とコラボした事で彼女の中でナニかが感化されたのか、よりメインストリームを意識した80年代リバイバル感溢れる俄然ポップでロリキュートなボーカル、そして北欧の西野カナを襲名するかのようなLOVE♥い歌詞を全面にフューチャーした、俄然レトロフューチャーなシンセ・ポップ色の濃い作風となっていて、それこそ『Ten Love Songs』という至ってシンプルなタイトルが示すように、10曲のラブソングとしてサクッと気軽に聴けちゃう、過去最高にkawaii-スイーツ感と大衆性に満ち溢れた作品となっている。



永遠のØ ・・・まさに今作最大のテーマである"ボーカリストとしてのSusanne Sundfør"を強く打ち出していくような、オープニングを飾る#1”Darlings”から、まるで小さな丘の上に佇む教会の中で、コーラス合唱隊という名の神の使いを引き連れたスザンヌが、USの歌姫Julianna Barwickばりの神聖な歌声を天上へと高らかに響かせる。その神々しい幕開けから一転して、それこそChelsea Wolfe直系の黒魔術を詠唱するかのようなスザンヌのゴシカルな歌声とダーティなエレクトロと妖艶かつ幽玄にユラリ揺らめくシンセ、俄然その密教的というかエスニックなムードを濃厚に演出するパーカッションが妖しくネットリと絡み合うダンス・ロックチューンの#2”Accelerate”、そのダークな雰囲気からギャップレスで繋がる#3”Fade Away”は、それこそABBAをはじめとした往年の北欧ポップ・ミュージックを継承するかのような、どこか懐かしくもあり史上最高にポップでもありフォーキーでもある情緒に満ち溢れたメロディ、その洗練された『王道』のポップスからは、もはや映画『サウンド・オブ・ミュージック』を観ているかのような、老若男女の郷愁心に訴えかける普遍的なキャッチーさすら感じ取れる。この#2#3【裏と表】あるいはと黒】のように対極的な曲調をギャップレスで繋ぐ演出は見事としか言いようがなくて、彼女のシンガー以前にソングライターとしての異常なポテンシャルを伺わせる。プロデューサーにJaga JazzistLars Horntvethを迎えた#4”Silencer”は、序盤はアコギとオートハープが織りなす遊牧的な音とスザンヌのウィスパーボイスが、そのタイトルどおり静かに、そして安らかに聴き手を黄泉の国へと誘い、しかし中盤からはストリングスを使って壮麗かつPost-的な展開力を発揮していく。・・・そして”カミカゼ”とかいう、もはや説明不要のタイトルを冠した”Kamikaze”は本作最大の目玉で、過去最高にエモーショナルな...誤解を恐れずに言うと媚びたような甘酸っぱいスザンヌの胸キュンボーカルッ!それはまるで神風特攻隊である主人公とヒロインの『愛』が込められた『魂』のリリックッ!そして零戦が飛び交うSEを使ったガチな演出とともにッ!特攻隊員の刹那的かつ激情的な想いと「最高にハイ!」ってヤツの狂気的な感情が一気に爆発し、まるで一寸法師の如くカオティックに踊り狂うかのようなシンセの音色が今世紀最大の感動を呼び起こすッ!これはもはやッ、Susanne SundfØrが音楽の世界で描き出す...スザンヌなりの『永遠のØ』だッ!

北欧の荻野目洋子 ・・・名曲”Kamikaze”のチェンバロを使ったアウトロのカタルシスと感動の余韻を残したまま、プロデューサーにM83アンソニー・ゴンザレスを迎えた#6”Memorial”へと繋がる。それこそ”Kamikaze”により儚く散っていった、永久に帰らぬ君を想うリリックを聖者に代わって神々しく歌い上げるスザンヌとM83直系の80年代リバイバルなシンセをフューチャーしながら、中盤からは映画音楽さながらの重厚なストリングスにより俄然ドラマティックに、音のスケール感をマシマシに演出していく、それこそ映画『オブリビオン』で共演した事の延長線上にある約10分を超える長編大作だ。で、まるで同郷のUlverの近作を彷彿とさせる狂気的なイントロから、引き続き壮麗なストリングスをフューチャーしたエレクトロ・ポップ調で展開する曲で、中でもCome into my arms, come into my armsという、まるで気分は『ダンシング・ヒーロー』荻野目洋子とばかりのリリックを繰り返し、愛する人の腕を力強く引き寄せるような#7”Delirious”、初っ端のPlease go slowly...とかいうスローセックス推奨のリリックからしてエロ過ぎる...もといエモ過ぎる曲で、「おいおいテレサ・テンか」ってくらい哀愁ダダ漏れの歌声と日本のムード歌謡を思わせるRøyksopp譲りのシンセ・サウンドに→「懐かしくて涙が出ちゃう、だって女の子だもん!」ってなることウケアイな#8”Slowly”、この#7→#8のいわゆる"歌モノ系"の流れを聴けば、このアルバムがいかに日本人向けと呼ぶに相応しいアルバムなのかが分かる。そしてシンプルな#9”Trust Me”から、まるで椎名林檎”尖った手口”に対するスザンヌからの回答であるかのような#10”Insects”まで、まるで百某の『永遠の0』はマガイモノだと言わんばかりの、僕たち日本人にこれが本物の『永遠のØ』だと説き明かさんとする傑作だ。

日本人好み ・・・このアルバム、まず何よりもボーカリストとしてのSusanne Sundfør、そのポテンシャルが過去最高に発揮されている。最高傑作と名高い2ndアルバム『The Brothel』と比較すると、M83リスペクトな音使いや80年代を意識した音作りは勿論のこと、スザンヌの感情的なボーカルワークやフィンランド映画『アナとオットー』をイメージさせる刹那的なリリックまで、全ての音の嗜好がメインストリーム市場向けに著しく変化しているのが分かる。その変化が最も大きな部分は他でもないスザンヌのボーカルで、2ndアルバムの頃はボーカルが一つの楽器として機能していたが、今作では日本の荻野目洋子をはじめ、80年代の昭和歌謡にも通じる情感溢れるエモーショナルな歌声と持ち前の高域の美しさと低域の妖艶さを自在に操るボーカルワーク、その魅力が余すことなく堪能できる今作は、もはや"歌モノ"として聴くべきアルバムなのかもしれない。そのサウンドも同様、意図的にチープというか80年代を意識したレトロフューチャーなシンセをはじめ、ドラム・アレンジまでも徹底して80年代を再現した音作りになっており、細部まで緻密に計算し尽くされた80sリバイバル・サウンド、そのクリエイターとしての徹底したガチっぷりにリスペクト不可避だ。そのアレンジに関しても、まるでテレサ・テン『愛人』を彷彿とさせる昭和歌謡っぽさあって、とにかくメロディからアレンジまで日本人の心に違和感なく溶け込む音色で埋め尽くされていて、これはもう完全に日本人向けの作風と言い切っちゃっていいレベルだ。元々、これまでの作品にも共通する遊牧的な音の温かさだったり叙情的な曲の雰囲気は"日本人好み"だと思ってて、今作ではそのいわゆる"日本人好み"のステータスがカンストを超えてゲージを振り切っている。だからGrimesよりも日本で人気が出ても全くおかしくないというか、むしろ日本人が聴かなきゃいけないアーティストだと心から思う(なお、日本での知名度...)。同時に、”Fade Away”みたいなABBAリスペクトな楽曲を書いたお陰か、初めてスウェーデンのランキングにチャートインした事実を見ても、今作は意図的にスウェーデン市場を狙った確信的な一枚でもあるのだ。少なくとも"歌モノ"として聴けば2ndに匹敵する完成度だし、"歌モノ"に限って聴くなら間違いなく最高傑作だと思う。それこそ初めて彼女の作品を聴くって人には、これ以上ないほど打って付けの一枚と言える。なんつーか、前作の一皮剥けきれないハンパなイメージや唯一のネックだった作品の尻すぼみ感は一切なくて、最後の最後までノリノリdeアゲアゲなダンス・ミュージック的さながらのテンションで振り切った末の傑作だ。これは余談だけど、今作屈指の名曲”Kamikaze”を初めて聴いた時は→「よし!"カミカゼ"って単語は歌詞に入ってないな!」って安心して聴いてたけど、後で歌詞カードを見たら普通に「カミカゼ」って言葉が歌詞にあって、それが外国人特有の「カミカズィ~」的な発音だったから全然気づかなかったみたいで、でもこれ気づかないほうが名曲に聴こえるヤツなんで「カミカズィ~」は忘れちゃてください。

SSW三姉妹 ・・・結論として言うなら→「もうなんか完全に椎名林檎の『日出処』とリンクしてて面白いってレベルじゃねぇわもう」です。そもそも、ナゼ僕が【椎名林檎が日本におけるPost-Progressiveの先駆け、第一人者】だと考察しているのかと言うと、ハッキリ言っちゃえば椎名林檎という存在にこのSusanne Sundførと同じフィーリングを感じているからで、例えばこの『Ten Love Songs』にもあるような曲間のギャップレスな繋ぎから、ボーカル・メロディの作り方やチェンバロ及び映画音楽顔負けのストリングスを大胆に取り入れたアレンジ面もどことなしか似ている。当然、それは彼女たちが"オルタナティブ"な存在だと理解した上での話なのだけど、アルバムの中盤あたりからストリングスを押し出していく演出も『日出処』と共振するかのよう。そして何よりも、最近では「もう王道のことしかしたくない」と語っている椎名林檎だが、他でもないこの『Ten Love Songs』も紛れもなく『王道』の音楽と呼べるソレで、事実、椎名林檎で言うところの毒素というか不思議ちゃんみたいな取っ付きにくそうなオーラ、これまでの少し奇をてらった"アンダーグラウンド"なイメージを完全に払拭しきっている。音的にも、細部まで緻密に練りこまれたというより驚くほど大胆かつシンプルで、音使いや音数(音色)も過去最高にシンプルかつ最小限に抑えられているし、小難しいことは何一つない大衆性に溢れたアルバム・コンセプト的にも、もはや必然的に『日出処』と同列に語りたくなるのが男の性ってもんだ。つまり、今作で彼女も椎名林檎と同じ"ある境地"に達したと認識していいだろう。同時に、これはもはや『日出処』に対する北欧ノルウェーからの回答である、という事も。しかしもう既にスザンヌは椎名林檎グライムスにも影響を与えているのかもしれない。というより、日本におけるPost-Progressive界の第一人者として、同じ"オルタナティブ"なSSWとして彼女の存在を意識していないわけがない。つうか、椎名林檎が長女(37歳)で、このスザンヌが次女(29歳)で、グライムスが三女(27歳)でSSW三姉妹的な解釈を持ってみると、また違ったナニかが見えてくるかもしれない。アジア文化に関心がある、この三人に共通するオリエンタリズム的な意味でもね。特にスザンヌは本国ノルウェーだとEMIに所属しているってのが何よりも面白い。ともあれ、もし椎名林檎『林檎フェス』なるものを開催しようもんなら、是非とも外タレ枠で呼んで欲しい最もたるアーティストだ。

SW×SSW ・・・しっかし、約三年ぶりのフルアルバムという事で若干心配したが、蓋を開けてみると著しい変化とともに確かなスザンヌ節も要所にあって安心した。あらためて、海外のSSWで一番好きなアーティストだと再確認した次第だ。と同時に、これは最近のANATHEMAにも同じことが言えるのだけど、ノルウェーとUKミュージックとの親和性の高さって一体何なんだろうなって。まぁ、それは割りとどーでもいいのだけど、そんな事よりいつかマジでスティーヴン・ウィルソンとコラボして欲しいっつー話w

Ten Love Songs
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