Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

2015年09月

Symphony X 『Underworld』

Artist Symphony X
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Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Underworld』
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Tracklist
01. Overture
03. Underworld
06. Charon
07. To Hell And Back
08. In My Darkest Hour
09. Run With The Devil
10. Swan Song
11. Legend

ドタキャン ・・・今や日本で”ドタキャン”という言葉を聞いて真っ先に思い浮かぶのは、Mステドタキャンのt.A.T.u.じゃなくてラウパドタキャンのSymphony Xだが、そんな彼らも2007年作のParadise Lostというアルバムで、かのイェンス・ボグレンの手によって、これまでDream Theaterの影に隠れていたアングラオタクな存在感を表舞台に、それまでのB級メタルバンド的なイメージを覆すように、一流バンドとしてその存在をシーンに示した。個人的に、2011年作の8thアルバム『Iconoclast』はイマイチハマりきれなかったのだけど、その前作から約四年ぶりでイェンスと組んでからは三作目となる9thアルバム『Underworld』は、まさに「イェンスと組んだ一作目は名作になる」という”メタル界の迷信”を真実だと裏付けるような傑作『Paradise Lost』の再来を予感させる力作となっている。

影響 ・・・DTの影に隠れながらも、実力派オタク・パワー・メタルバンドとして高い評価を得ているSymphony Xだが、実はそのスタイルもDTを意識しながら順応し変化していったのも事実で、近年ではDTPeripheryらの若手Djent勢からの影響を受けたセルフタイトル作のDream Theaterをリリースしていたが、その影響を受けてこのSymphony X『Underworld』も、Protest the Heroをはじめとした若手?テクニカル・メタル勢からの影響を随所に垣間見せる作風となっている。その影響が顕著に表れているのが、「アルバムの一曲目がインストじゃないチンポリオはチンポニーじゃない!」という前作の不満を解消する#1”Overture”に継いで始まる#2”Nevermore”で、もはや確信犯的なディグりを感じるメインリフや中盤のインストゥルメンタルを耳にすれば理解できるように、それこそProtest the Heroの3rdアルバム『Scurrilous』”C'est La Vie”を彷彿とさせるトリッキーなリフ、同作の”Hair-Trigger”を思わせるスリリングなインスト・パートからして、若手の影響を直に受けて尚も新たなるチンポニーへと進化し続ける、バンドの中心人物であるマイケル・ロメオの貪欲な姿勢からは、「もうイングヴェイの影武者とは呼ばせない!」・・・そんな魂の鳴き声が聞こえてくるかのようだ。

・・・で、傑作『Paradise Lost』の名曲”Set the World on Fire”の流れを汲んだイントロからガッツポーズ不可避な表題曲の#3”Underworld”、まるで『Paradise Lost』の表題曲に匹敵するバラードナンバーの#4”Without You”、若いもんには負けん!とばかりのグルーヴィなリフやブラストを交えてゴッリゴリに展開する#5”Kiss Of Fire”、ロメオのギターオタクっぷりを垣間見せるキザミリフを多用した#6”Charon”、そして今作のハイライトで約10分におよぶ#7”To Hell And Back”は、往年のHR/HMを彷彿とさせるクラシックな雰囲気と男気あふれるラッセルの熱唱が俄然ドラマティックに曲を演出する。以降はイントロからプログレ全開の#9”Run With The Devil”とイントロからSW”3 Years Older”を彷彿とさせる#11”Legend”まで、確かに傑作『Paradise Lost』ほどのネオクラ要素はないが、その代わりにプログレ要素マシマシの一枚と言える。とにかく、今作のラッセル・アレンは、もはやオールブラックスのセンターフォワードばりにガチムチな”攻め”の姿勢を貫き通し、持ちうるメタルシンガーとしてのポテンシャルをパワー&フルに発揮している。あとイェンスと組んで3作目だけあって、お互いに全てを知り尽くした者同士だからこそのプロダクションの質の高さは、ぐうの音も出ないほど音の説得力に溢れている。少なくとも、ラウパドタキャンの理由として納得できる内容だとは思う。でも、中には「ラウパドタキャンしといてこれかよ」みたいに思う人もいるかもしれないw

Underworld
Underworld
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Symphony X
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Enslaved 『In Times』

Artist Enslaved
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Mixing Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『In Times』
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Tracklist
02. Building With Fire
03. One Thousand Years Of Rain
04. Nauthir Bleeding
05. In Times
06. Daylight

イェンス童貞 ・・・今や”イェンス童貞”じゃないバンドの方が少ないんじゃあないかってくらい、メタル界屈指の売れっ子エンジニアとなったイェンス・ボグレン。あのOpethでもなんでも、イェンスと組んだバンドは一作目のアルバムが名作になるみたいな風潮があって、この北欧ノルウェイの森に棲むクマおじさんこと、Enslavedもイェンスを迎えた2010年作の11thアルバムAxioma Ethica Odiniで、名実ともにOpethMastodonを代表とする一流プログレ・メタル勢の仲間入りを果たした。2012年作の12thアルバムRIITIIRでは、前作から鮮明化したプログレ路線が著しく進むと同時に、Alcest以降のモダンなポストブラック勢からの影響も垣間見せ始め、ケモナーみたいなムッサいムッサい見た目のイメージとは裏腹に、メチャクチャ器用な音楽センスを見せつけていた。で、次はどうでるか?まさか本当にシューゲイザーやっちゃうか?なんつって。まぁ、それは冗談として→そんなEnslavedは約三年ぶり、イェンスと組んでから早くも三作目となる13thアルバム『In Times』をリリースした。

クルゾ...クルゾ...コネー('A`) ・・・結果的に、先ほどの予想は良くも悪くも真っ向から裏切られる形となった。結論から言ってしまえば、この『In Times』はここ最近の近代プログレ・メタル路線から一転して、10アルバム『Vertebrae』以前の不気味さと混沌さ蠢くノルウェイジャン・ブラック、要するに本来のEnslavedの姿へと回帰している。その”違い”は幕開けを飾る#1”Thurisaz Dreaming”から顕著で、Axioma Ethica Odini流れのヴァイキンガーの血が騒ぎ出す勇壮な勢いはそのままに、鍵盤奏者エルブラン・ラーセンによる気だるく幽玄なクリーン・ボイスを披露する中盤、そして本来この展開なら最後に大サビが来るはずなのに何事もなく曲が終わる。なんつーか→「大サビ来るぞ...大サビ来るぞ...コネー('A`)」みたいな、なんだろう、『男の世界』で例えるならフィニッシュする直前に嬢に「はい時間でーす☆」と言われた時の感覚っつーのかな、ある種の”寸止めプレイ”を食らった感覚に陥る。この時点で分かるのは、ここ二作のウリだった急転直下型の緩急を織り交ぜたド派手な展開力は比較的影を潜め、一転して下手にコネクリ回さないシンプルな構成かつ無骨に展開していくイメージが先行すること。それと同時に、ここ最近のプログレ化によって生じた音の軽さや民族的世界観の希薄さなどの弊害から脱し、従来のブラックメタル然としたドス黒い『漆黒の意志』が音に宿り、雄々しくも深みのあるコンセプティブな世界観を形成している。少なくとも、最近のプログレ路線を期待すると肩透かしを食らうのは確か。

シブみ ・・・近年Enslavedの功労者であり鍵盤奏者エルブラン・ラーセンが主役を務める#2”Building With Fire”では、過去二作でもはや”歌モノ”と呼んでいいくらい叙情的なメロディ重視だった彼のクリーンボイスは、今作では一転して浮遊感重視の幽玄なクリーンボイスを披露している。前作、前々作みたく存在感が浮くぐらいガッツリメロディを歌い上げるというわけじゃなくて、以前と同じような立ち位置/スタイルであくまでもコーラス役に徹している点も、過去二作との大きな”違い”と言える。あくまでも無駄を削ぎ落としたスタイリッシュでオーガニックなノルウェー流のブラックメタルを目指した、そんな彼らの明確な意思が感じ取れる。確かに、一聴した時のインパクトでは最近の二作に劣る。しかしシブい、とにかく”シブみ”は過去最高にあって、どこの誰にも媚びないベテランらしい一枚でもある。全6曲トータル約53分という潔さも、本作の”シブみ”に拍車をかけている。いくら過去二作とは毛色が”違う”とは言っても、#4”Nauthir Bleeding”では初期Alcest顔負けの遊牧民的で民謡チックなムードをアピるし、#6”Daylight”では暗転パート以降のガチでポストロック/シューゲイザーやっちゃう、ノルウェイの森のクマさんという名の五人の天使が織りなす繊細な美メロフレーズと、北欧神話の雷神トールが地上に降り立ったかの如し五人のケモナーが大地を轟かすメタリックなヘヴィネスとのギャップ萌えに男泣き不可避だ。一聴して今作が”スルメ盤”であることが分かるが、随所で過去二作で培ったモダンな要素を本来の姿に統合させる事に成功しており、つまり持ち前のライティング能力、その器用さは一層に磨きがかっている。そして、何と言っても表題曲の”In Times”は、民族楽器を使ったイントロのポロ~ン♪からスケール感溢れる展開力と幽玄の極みとばかりの深淵な世界観、これまで溜めに溜め込んだエモーショナルな感情をここぞとばかりに爆発するさせるエルブランのボーカルまで、ここ最近のEnslavedが築き上げてきた玄人スタイルの一つの終着点と言っても過言じゃあない名曲だ。とにかく、序盤は”寸止めプレイ”みたいな楽曲が続いてなかなかイケない(フィニッシュできない)状態に陥るが、しかし男の色気が出てくる4曲目以降、特に表題曲とラストの存在感を前にすれば全てを許してしまう。それくらいインパクトある。

・・・しかし何度も書くけど、今作は過去二作のプログレ路線が好きな人向けというより、それこそブラックメタル...それ以前に”メタル”が好きな人に強くオススメしたい。一抹の不安だったイェンスと組んで三作目というジンクス/マンネリ感は心配するに至らなくて、もはや彼らの集大成と呼んじゃっていいレベルの力作だと。やっぱその辺の器用なバランス感覚はベテランならではの業だと思うし、改めてなんやかんやスゲーおっさん達だと。
 
In Times
In Times
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Enslaved
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Between the Buried and Me 『Coma Ecliptic』

Artist Between the Buried and Me
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Album 『Coma Ecliptic』
Coma Ecliptic

Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Tracklist
01. Node
03. Dim Ignition
04. Famine Wolf
05. King Redeem / Queen Serene
06. Turn On The Darkness
07. The Ectopic Stroll
08. Rapid Calm
09. Memory Palace
10. Option Oblivion
11. Life In Velvet

BTBAJB ・・・昨今のメタルシーンには→「イェンス・ボグレンと仕事してないバンドはメタルじゃない!」みたいな、「え~!?まだイェンスとヤッたことないイェンス童貞なの~?ヤダーキモ~いw」みたいな風潮あって(ネーよ)、とは言えまさかここにきて【BTBAM×Jens Bogren=BTBAJB】が実現するなんて夢にも思わなかった。元はといえば、TDEP寄りのハードコア界隈の住人だったBTBAMだが、作品を重ねる毎にDream TheaterOpethをはじめとしたプログレ・メタルの要素を積極的に取り込み、そしてフロントマントミー・ロジャースのソロ・プロジェクトが始動すると、その著しく進行していた"プログレ"路線はより顕著なものに変わっていった。そして、このタイミングでその手の界隈を牛耳る天才エンジニアイェンス・ボグレンを迎えたのは、一体何を意味するのか?勿論、ここ最近のEPを含めた作品のマンネリ感から脱却するため、というよりは、このプログレ路線の終着点というか総仕上げの舞台にイェンスを選んだ、というわけ。 



BTBADT ・・・このタイミングでイェンスを選んだ"意味"を理解する事となる#1"Node"から、Opeth『Watershed』を彷彿とさせる仄暗いハモンドの音色とスティーヴン・ウィルソンライクなトーマスの内相的なボーカル、そしてチェロの音色とともに静かに幕を開ける。後半のGソロの残響感も実にOpethだ。そして、今作の象徴するかのような#2"The Coma Machine"は、デーン!!デーン!!と目が覚めるようなオープニングからマイク・ポートノイさながらのドラミングを披露し、そのイントロの出音から今作が「どのようなアルバムか?」を聴き手はいち早く察する事になる。で、トミーソロをイメージさせるインダストリアルな#3"Dim Ignition"を挟んで、後半からユニークなボーカルからジャジーな雰囲気に繋がる展開力が見せ所の#4"Famine Wolf"、そして今作のハイライトを飾る一曲で、もはや「今作の俺たちはBetween the Buried and Dream Theater...すなわちBTBADTだ!」と言わんばかりの#5"King Redeem / Queen Serene"では、北欧ポストロックみたいなピアノとアルペジオが織りなす優雅な美メロと叙情的なボーカル・メロディを聴かせる幕開けから、DT顔負けの転調転調からの転調を繰り返しながら複雑怪奇に展開、スリリングに進行していく。

BTBAOP ・・・今回のBTBAMは、BTBADT(ビトウィーン・ザ・ベリード・アンド・童貞)化しているだけじゃあない、中盤の目玉となる#6"Turn On The Darkness"のアコースティック捌きはイェンスならではだし、ファンキーかつファニーなボーカルがウケる#7"The Ectopic Stroll"、終始スペイシーで幽玄なアンビエント的アプローチを効かせた#8"Rapid Calm"、そしてDTOPPTがクロスオーバーしたような#9"Memory Palace"までの大作コンボ、そしてそして#10"Option Oblivion"のリフ回しやアコギ捌きからも分かるように、今作はBTBADTであると同時に→Between the Buried and Opeth、すなわちBTBAOP(ビトウィーン・ザ・ベリード・アンド・おっぱい)化したアルバムでもあるのだ。

デザイナーBTBASANO ・・・単純に、音そのものがプログレ・メタル化している。そこには、カオティックなエクストリーム・ミュージックやってた頃の面影は皆無。前作まではプログレッシブ・メタルコアとジャンル付けする事ができたけど、今作にはその”コア”の部分が色々な意味で綺麗サッパリ消失している。単純に、イェンスが得意とする音の嗜好に歩み寄っているというか、イェンスの守備範囲に意図的に音のピントを合わせてきている。とにかく、意識的にジェイムス・ラブリエに似せたトミーのボイス・パフォーマンスをはじめ、ジョーダン・ルーデス直伝のパフパフ系キーボードなどの音使いやアレンジ、そして転調に次ぐ転調まで、マイク・ポートノイさながらのドラム一つ取ってみても、全てにおいてDTリスペクトな一枚となっている。ある意味、DTがイェンスと組んだ結果、そんな"もしも"といより"ありえない話"を実現させていると言っても過言じゃあないし、もはや某デザイナーに対して「アレンジとはこういうことだ」と言わんばかり、DTの音楽を隅から隅までしゃぶり尽くしている。名づけて→デザイナーBTBASANO(デザイナー・ビトウィーン・ザ・ベリード・アンド・佐野)だ。

イェンス・ボグレン×?? ・・・まぁ、それは冗談として→イェンスが一流バンドへとブチ上げた『Ghost Reveries』以降のOpethDTというプログレ・メタル界の二大巨頭を”コア”に、TexturesHakenなどの新興プログレ勢までも喰らい尽くした、もはやBTBAM(DTorOPorPTorSANO)にしか成し得ないプログレッシブな音楽、その確固たるオリジナリティを見せつけている。 少なくとも、過去最高に"メタル"やってるアルバムなのは確かで、全体的に北欧メロデスというか北欧ならではの美メロをフューチャーした、言うなれば"聴かせるBTBAM"といった感じ。そして、イェンス以前に何よりも彼らのライティング能力の衰えなさと引き出しの多さ、その音楽オタクっぷりに改めて感服すること請け合いだ。あとイェンス派閥でお馴染みのNe Obliviscarisが2ndアルバム『Citadel』ネ・BTBAM化した翌年に、本家BTBAMがコッチ側に歩み寄ってきたのはなかなか面白いなと思った。しっかし、誰も想像しなかった、BTBAMイェンス・ボグレンの引かれ合いが実現しちゃったとなると、もう誰がイェンスと組んでも驚かない、というか、もう驚けない。
 
ビトウィーン・ザ・ベリード・アンド・ミー
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BiSHの『OTNK』はOTNKフォークメタル

ハグ・ミィ「擦れば擦るほど硬くなるものなーんだ」

ぼく「OTNK!OTNK!OTNK!」 

ハグ・ミィ「正解!」

ぼく「やっt・・・えっ」 
 

Leprous 『The Congregation』

Artist Leprous
Leprous-2015

Album 『The Congregation』
Leprous-The-Congregation

Producer/Engineer David Castillo
David Castillo
Mixing Jens Bogren
Jens Bogren

Tracklist

01. The Price
02. Third Law
03. Rewind
04. The Flood
05. Triumphant
06. Within My Fence
07. Red
08. Slave
09. Moon
10. Down
11. Lower
12. Pixel

Opethの後継者 ・・・自出がThe Black Lodge Studio同士、ある種の兄弟分でもあるスウェーデンのIn MourningとノルウェーのLeprous、デビューアルバムを出すやいなや「Opethの後継者だ!」なんて過度な期待を受けたこの両者、頑なにThe Black Lodge Studioから離れようとしなかったIn Mourning、一方で早々にイェンス・ボグレンという大きな才能を引き入れたLeprous、一体どこで差がついたのか・・・?ちょっと前まではイーサン叔父貴の親戚兼サポートバンドみたいな認識だったのが、今やエクストリーム・メタル界を代表する存在にまで成り上がったレプラス。そんな彼らの約二年ぶりの4thアルバム『The Congregation』は、そこれはもう映画『レ・ミゼラブル』ならぬ『レ・プラス』だと高い評価を得た前作の3rdアルバムCoalの延長線上にある一枚となっている。

Post-Djent ・・・おいら、DIR EN GREY”Unraveling”はPost-Djentだと解釈しているんだが、というより、この曲を聴いて真っ先に頭に浮かんだバンドが実はレプラスで、もっと言えば自分の中でPost-Djentと聞いて一番にイメージするのが、レプラスの3rdアルバム『Coal』に収録された”The Valley”とかいう名曲で、これはスティーヴン・ウィルソンの4thアルバム『Hand. Cannot. Erase.』”Home Invasion”という曲を聴いた時にも、あらためて近年のメタル界を代表する一曲だと再確認させられた。何を話そう、この『The Congregation』は、前作の名曲”The Valley”の世界観を更に深い所まで掘り下げた、もはや余計な音を極限まで削ぎ落とした底すらない漆黒の闇、極限まで研ぎ澄まされた無の境地へと、まるで気分は映画『インターステラー』でワームホールの中を彷徨うマシュー・マコノヒーさながら、もはや異次元あるいは五次元超超立方体を彷徨い続け、そして遂に孤高の音楽に辿り着いちゃった感すらあるのだ。他の者の介入を許さない研ぎ澄まされた狂気的な精神世界の中で、過去最高にスタイリッシュに刻まれる鬼リズム&鬼グルーヴを核に、まるで精密機械であるかのような鬼気迫る音の波動を形成するその姿は、イーサン叔父貴を喰らって突然変異しちゃったノルウェイの森に棲む”スタイリッシュ変拍子型巨人”とでも例えようか。



非・踊らせ系 ・・・その今作における”スタイリッシュ変態”を象徴するのが、今作の幕開けを飾る#1”The Price”と#2”Third Law”で、それこそスーツ姿のビシッとキマったイケメンばりの”スタイリッシュ変拍子”を刻みこむ、某国産ガールズバンド的に例えると”非・踊らせ系”のリズムを主体に、ある種のエレクトロ/インダストリアルというかモダンで無機質な色気を振り撒きながら、その無機的な空気感とともに極上のミニマリズムを打ち出していく。次の#3”Rewind”では、中期ANATHEMAを彷彿とさせるフロイド的宇宙空間で、新メンバーであるバードのジャズ流れのドラミングが暗黒物質の如く奇々怪々とキラメキユラメキながら、そしてイーサン叔父貴を喰らったレプラスの本性という名の狂気を垣間見せるラストのド展開に身震いすること請け合い。そして、序盤のハイライトを飾る#4”The Flood”までの流れは圧巻の一言で、序盤からクライマックスと言わんばかりの只ならぬ緊迫した空気(大気)に一瞬にして飲み込まれる。それ以降も、良い意味で調子乗りまくりなエイナルの演歌歌手ばりにコブシを効かせたドエロな歌声を主体に、行き過ぎないエレクトロなアレンジで曲に変化を持たせつつ情熱的かつドラマティックに聴かせる。そのエイナルのドエロなポテンシャルが感極まる#8”Slave”は間違いなく今作のハイライト。前作はアルバムトータルで一つの物語、それこそ一つの演劇『レ・プラス』を完結させていたけど、一転して今作はアルバム単位でというより曲単位でその世界観だったり物語をコンパクトに完結させているイメージが強い。確かに、序盤の流れがクライマッドマックス過ぎて終盤尻窄みに感じなくもないし、映画さながらスケール感マシマシの前作とは違ってシンプルなタイトルや曲数的にも全体的に小粒感は否めない。感覚的にイーサン叔父貴のDas Seelenbrechen、その中でも”Tacit 2”をイメージさせなくもない。これと似た感覚だと、最近ではLiturgy『The Ark Work』を聴いた時の→「なにやってんだこいつら?!」みたいな感覚に近い。結論から言っちゃえば、これはもう一種の”Contemporary-Djent”と形容しちゃって差し支えないんじゃあないかって。

イェンス×デイビッド ・・・今作、まず何よりもエイナルのボーカルよりもドラムのプロダクションに異常なまでの”こだわり”を感じる。当然、今作はドラム主体の鬼グルーヴ/鬼リズムに重点を置いて作曲されているのだけど、それにしても新メンバーのバード、過去にセッション・ミュージシャンとしてバンドに関わっていたとはいえ、今のレプラスとここまでマッチングする才能の持ち主だとはあまりにも想定外だったし、素直に驚いた。とにかく、ドラムのプロダクションおよび聴かせ方が理想的で、これは今作で初めてエンジニアにデイビッド・カスティロを迎え、かのGhost Wardでレコーディングした影響もあるのか、もはやイェンス・ボグレンデイビッド・カスティロという、既にその手の界隈では重鎮である二人のエンジニアをNEXT-ステージへとステップアップさせるようなキワミ・サウンドを作り上げている。イェンスとデイビッドはレプラスのコンポーザー能力を、レプラスはイェンス(Fascination Street Studios)とデイビッド(Ghost Ward)のスタジオ/エンジニア/プロデュース能力を、双方が持つポテンシャルを互いに高め合うように最大限引き出す事に成功している。それこそ、イェンスとOpethが初対面した名盤『Ghost Reveries』、あるいはイェンスとデイビッドがタッグを組んだKATATONIAの傑作『The Great Cold Distance』という、今やメタル界の二大巨塔を名実ともに一流バンドへと押し上げた、それらの名作に勝るとも劣らない、むしろその”再来”と言っても決して過言じゃあない。それらからも分かるように、名作の条件として最も重要視されるのが”ドラム”の音だ。少なくとも、このアルバム『The Congregation』は、その名作の条件として必要な”ドラム”という最重要課題を難なくクリアしている。

Leprous VS. tricot ・・・なにはともあれ、ボーカルのエイナルをはじめとした個々のテクニックやドラマ性、プログレ然とした展開力やフロイドもビックリの浮遊力全開のアレンジ力、あらゆる音の説得力に只々圧倒される。偉大な先代が築き上げたエクストリーム・ミュージックを自己流にアップデイトして、作品を重ねる毎に独自のオリジナリティを打ち出してきた彼らだが、遂にこの4作目でメタルというジャンルの枠組みを超越した孤高の存在、すなわち未来人としての資格を得たのかもしれない。このアルバムをもってレプラスがエクストリーム・メタル界の頂点に立った、という事実を否定する輩がいるとすれば、恐らくそいつは相当度胸のある人間だと思う。こいつら、マジで久々にメタル界のヒーローと呼べる存在なんじゃあないかって。だから、もし次に来日する際にはtricotをサポートに呼んで”非・踊らせ系”対決して欲しいと思っちゃったんだからしょうがない。
 
Congregation
Congregation
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