USA産、オクラホマ州出身の5人組、アメリカン・ハード・ロックバンド、HINDERのデビューアルバムから約4年ぶりの2作目「Take It To The Limit」を紹介。



1. Use Me               ★★★★☆
2. Loaded and Alone        ★★★★★
3. Last Kiss Goodbye       ★★★★
4. Up All Night           ★★★
5. Without You           ★★★★
6. Take It to the Limit      ★★★
7. The Best is Yet to Come  ★★★★
8. Heaven Sent          ★★★★★
9. Thing for You          ★★★★
10. Lost in the Sun        ★★★★★
11. Far from Home        ★★★★



USA産のモダン・ハード・ロック・バンドHINDERの、プロデューサーは前作と同じくブライアン・ハウズを迎えての、約4年振りの2nd「Take It To The Limit」。

デビューアルバムの1st「Extreme Behavior」の売り上げが300万枚と、アメリカを中心に全世界で結構売れたらしく、サマソニ2007にも出演したりと、それなりに人気を博しているバンドなんで、音楽性は今流行の音楽をしているのかなぁと、聞く前はそんな予想をしていたのだが、実際彼らの楽曲を聴いてみると、意外や意外にも80年代の王道アメリカン。ハードロック・バンドやLAメタルバンドを連想させる、懐かしさを持ったコテコテの80年代的・モダン・ハード・ロックをプレイしており、ここまで思いきってオーセンティックなアメリカン・ハード・ロックをやってるのに、「今でも凄い売れるもんなんだなぁ、へぇ」と、思ったというかなかなか感心したバンドだ。

このHINDERも、去年「Dark Horse」をリリースしたNickelback同様に、「王道」と呼ばれるに相応しいバラードを作るのが上手くて、その大衆受けヒットが確実に狙える良質なバラードを売りにアルバムを組み立て、そのバラード中心の楽曲構成の間々に80年代を思わせるバッドボーイズなノリの良いアメリカンR&Rナンバーを織り交ぜるアルバム構成&展開を聞かせる。

ヴォーカルのオースティン・ウィンクラーの声質は、NickelbackのVoチャドBuckcherryのVoジョシュの美味しい所をミックスしたかのような、HNDERのような王道ハード・ロック・サウンドには持って来いな声質・歌声をしており、尚且つしっかりと歌が歌える上手さを持ってるし、バンドに置いてフロントマンとしての多大な存在感を誇っており、今作の中でもそのセクシーでもありながら熱く歌い上げるヴォーカル・スタイルを貫き通している。ツインギターのジョー・ガーヴェイマーク・キングのGプレイも往年の王道アメリカン・ハード・ロックバンドからの影響が感じられる安定したプレイを見せており、ギターの全体的な音像としてはDef Leppardを1番に彷彿とさせるのも聞き所だ。

今作の楽曲については、1の「Use Me」のイントロから、DEF LEPPARDようなアピールのある、ガッツリ80年代の「あの感じ」を思わせるキャッチーでノリの良いバッドボーイズ系R&Rナンバーでオープニングに相応しく幕を開け、2の「Loaded and Alone」は、Nickelback系統の哀愁漂う王道アメリカン・バラードナンバーで、彼らがバラードを作る作曲能力がどれだけ高いか、しっかりと納得させる曲だ。3の「Last Kiss Goodbye」も、2と同じく哀愁が感じられるバラードナンバーで、5の「Without You」と7の「The Best is Yet to Come」と9の「Thing for You」は、アコースティックなエッセンスを加えた、これまた良質な王道バラードナンバー。アルバムタイトルナンバーで、Motley Crueのギタリストミック・マーズがゲスト参加している6の「Take It to the Limit」は、Motley CrueBuckcherry的なノリの良いパワフルなバッドボーイズ系R&Rナンバー。8の「Heaven Sent」は、切ない哀愁を持ち合わせた熱くパワフルなバラードのような曲で、実に良質。10の「Lost in the Sun」は、何処となしか哀愁のある熱くカッコイイハード・ロックチューン。ラストを飾る11の「Far from Home」も、やっぱり彼らのお得意な、メランコリーな王道バラードナンバーです。全体的に見た感じでは、やや中盤で中だるみしてしまう印象だが、8ぐらいからまたラストまで盛り返す感じかな。2,3,5,7,9,11にある、お得意のオーセンティックなバラードナンバーはやっぱりイイです(^o^)

このHINDERというバンドは恐らく「バラード・バンド」と呼ぶのが妥当だと思うけど、その王道バラードは非常に良質で特に大きな文句はないのだが、もう一方の1,4,6にあるノリの良いバッドボーイズ系R&Rナンバーは、ちょっと80年代過ぎて個人的にはイマイチ好きになれないかなーって。新鮮味も薄いし、特別フックが強いってわけじゃないし。。まぁそれでもストレートでバッディなR&Rナンバーの1は良い曲だとは思うし、往年の80年代ハード・ロックバンドを聞いてきた人にはたまらない曲だろうね。彼らの自信作であろうバラード曲に関しても、もうちょっとでいいから「フックがある」と感じさせる部分や新鮮に感じられる「オリジナル」な部分が欲しかったなぁ、欲を言えばね。。更に言えば、この曲のこの部分どっかで聞いたことあるなぁ・・・とか、そんなんが多く楽曲から見受けられるほど、80年代の有名ハード・ロックバンドからの影響が多大に感じられるサウンドをしているので、その偉大な先人達の楽曲を「切り取り」&「貼り付け」しているだけのバンドと言われてしまいそうな、そんなマイナスに捉えられる印象もあるし、批評家からはその辺のバッドなポイントを攻撃されそうな気も。。。僕達聞き手としては、「切り取り」&「貼り付け」をしているように感じても、このバンドはそれを上手く昇華しているので別にどうってことないと思うが(実際しっかりと昇華できていると思うし、だから売れているのだろう)。しかし、ちょっと前に名盤「Dark Horse」を出したNickelbackと比べると、楽曲のフックやトータル的に見た印象ではどうしても劣ってしまうが、「若手」という観点から彼らを見れば、コレ系統の他のハード・ロック・バンドよりズバ抜けてスケールのビッグなアリーナ・ロックをやってるのは確かだから、Nickelbackと比べるのはさすがに酷ってもんかな(笑)けど今後、Nickelbackに並べるほどのビッグなバンドに更に大化けしてもらいたいし、大いにそれは期待したい。今はなんとなくNickelbackを例に出したが、極上なバラードを中心にアルバムの組み立てをする構成が似ているだけで、NICKELBACKHINDERは微妙に音楽性が違ってるし、HINDERはサウンドからAEROSMITHからの影響も伺える点などを見ると、どちらかと言えばBuckcherryに近いサウンドをしてるのかなとは思う。まぁ「アリーナ・ロック」で括れば、この辺のバンドは全て共通する部分を持ち合わせているんだけどね。

なんかこう見るとかなりネガティヴなレビューを書いてるに見えるけど、実際はかなりの上質な楽曲を聞かせるんで、「あの頃」の80年代ハード・ロック好きや、最近のモダン・ハード・ロック好きは迷わず手にして損はない良盤ではあると思います、今作は。しかし、中には「前作から4年も待ってコレ?ん~・・・」という人も居るかもしれないという予防線も貼らさせて頂く、一応。

今作の2nd「Take It To The Limit」を聞く限りでは、アリーナ・ロックの復権を担う存在になるにはまだまだ先が長そうだが、これからの彼らに注目&期待して3rdのリリースを首を長くして持ちたい。


これはどうでもいい事だけど、今月のB!に載ってたHINDERのパイオツ丸出しエロスでオサセなインタビュー・ページのメンバーの写真見て思ったんだけど、Gのジョーって人さ、俳優のジャック・ブラックをちょっとチャラくした感じだよね(笑)その右の同じくGのマークの写真には、「ぼ、僕・・・ここに居て良いのかなぁ?ェへ、へへへ」というセリフを当てたくなった。うん、どうでもいいよね。



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1. Use MeのPV http://www.youtube.com/watch?v=R7cIpAUGT4g

5. Without YouのPV http://www.youtube.com/watch?v=DV-MdkrGfZc


2. Loaded and Alone http://www.youtube.com/watch?v=Pg8Y-ncn6QQ