Artist Leprous
Leprous
Mixing Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Coal』
Coal

Track List
01. Foe
02. Chronic
03. Coal
05. The Valley
06. Salt
07. Echo
08. Contaminate Me

   『Leprous × イェンス・ボグレン=God』 

10月に二度目の来日公演を予定している、北欧ノルウェイに生息するアヴァンギャルド集団、Leprousの約二年ぶりとなる最新作で、前作同様にFascination Street Studiosにて俺たちのイェンス・ボグレンがミックス/マスターにはトニー・リンドグレーンを迎えた通算四作目『Coal』なんだけど、まずこのレプラスといえば、(ワイらオペにゃん大好きやねん!)とドヤ顔してた2009年作の2nd『Tall Poppy Syndrome』、その2ndからチョイ”化け”した前作の3rdBilateralも良作だったけども、本作の『Coal』はこれがまたデヴィン・デヴィン・タウンゼンド総裁イーサン叔父貴も驚愕するレベルの、同郷のイーサンやShining、同レーベルのデヴィンやPain of Salvationら先人達からの多大な影響を完璧に自らのモノ(音)に昇華し、完全に”化けきった”結果の自身最高傑作となっている。

  『Leprousは(全盛期)のPoSを超えた』

 まるで『劇団ひとり』状態のムッサ苦しいぐらいソウルフルに歌い上げるVoエイナル「奇蹟のカーニバル開幕だ」と宣言する#1”Foe”で始まり、イーサン叔父貴をゲストVoに迎えた曲でデヴィン総裁Deconstruction直系の実にノルウェイ産らしいファニーなアヴァンギャリズムに溢れた#2”Chronic”、トゥーリッシュなグルーヴ/モダンヘヴィネス/北欧プログレッシヴ・ヘヴィ/デヴィン成分がエクストリームに交錯する#3”Coal”、そしてどこまでも伸びていくようなVoエイナルの美しく凄艶な歌声を響かせるバラード曲の#4The Cloakまでの流れは、それこそ一曲一曲がまるで一つのミュージカルを観ているかのような錯覚を憶えるほどで、グランドピアノやストリングスによる荘厳かつシンフォニックな演出(アレンジ)、そしてこのミュージカルの主演を務めるエイナルが時にオペラ歌手の如くド迫力に、時に女形の如く艶かしく、時に歌舞伎役者の如く漢らしくポップでキャッチーに歌い上げる、それこそデヴィン総裁顔負けの威風堂々としたボーカル・パフォーマンスが解き放つ”生命エネルギー”に只々圧倒される。前作でスデにそのポテンシャルその存在感を十二分に発揮してはいたけど、今作で彼が持てるポテンシャルの全てを出し切った結果→もはやバケモノ=『人間を超越した者』になってる。まさに”説得力のある歌声”ってこういう人のことを言うんだろうね、って。特にMVになってる#4なんかは笑っちゃうぐらい凄い。ホント、歌うますぎるわ。。。そして、今作を象徴するかのような約9分の大作#5”The Valley”なんだけど、King Crimsonを彷彿とさせる70s-Prog大好きな【ATMSフィールド】ANATHEMA”The Storm Before the Calm”的な電子音、そしてDjentlemenが得意とする変態リズム/モダニズムや同郷の22を彷彿とさせる哀愁ポップ成分を丸々飲み込んだ結果→これこそ究極の”エクストリーム”であると同時に”前衛的”な、ある種の”凄味”を感じるほど”アーヴァンギャルド”な音世界を形成しており、これはもはや全盛期のPoSに匹敵するレベルの、それこそ【現代のPoS】とでも表現したくなるレベルの”衝撃”を受けた名曲。で、再びアート・ロック/オルタナ調でエレガントな音世界を繰り広げる#6”Salt”は昭和歌謡直系の【泣き】の精神が込められたエイナルの美しすぎるハイトーンボイスが凄い。特に「ヴィクトリア~ヴィクトリア~」からの流れはエロ過ぎて泣ける。この感動的なシーンは間違いなく本作のハイライト。そして西部警察バリにシブい男の哀愁を漂わせるダークな序盤、一転して中盤からオルタナ調に様変わりする構成が二分した約10分の大作#7”Echo”、イントロからアグレッシヴなリフでゴリ押していく#8”Contaminate Me”の見せ場である和楽器とヴァイオリンを使った中盤からのイーサンとかいう【神】【狂気】が宿りし暗黒魔境を目の前にした僕は恐怖におののきながら一言→「おかしなことやっとる(震え声)」。そのイーサンとかいう【漆黒の狂気】を極めし『人間を超越した者』による狂気を超えたスクリームで本舞台『奇蹟のカーニバル』は終幕を迎える。本作の主演男優賞がエイナルならば、助演男優賞は間違いなく彼=イーサンです。本作はその二人の『人間を超越した者』による”凄み”のあるアツいオラオラ無駄無駄ラッシュが非常に大きな見どころとなっている。・・・と、ここまで全8曲トータル約56分。ちなみに、デジブック版に収録されたボートラ(二曲)の”Bury”は【あのキザミ×デヴィン】な感じで聴く価値あり。そんで本編一曲目”Foe”のKristoffer Lislegaard氏による(Remix)版を聴いて再び「やっぱエイナルってスゲーわ」ってなって終わり。

   『レ・プラスはレ・ミゼラブルを超えた

 そんな感じで、過去最高に色気づいた主演男優エイナルの歌を中心に、レプラスらしい”プログ・パワー”成分や近年ANATHEMAに通じるアート・ロック性、Toolやメシュガニキ流れのオルタナティブ・モダンヘヴィネスそしてノルウェイゲン/アヴァンギャルド・ブラック精神が圧倒的なスケール感をもってエクストリームに融合した結果の傑作。で、三人はスーツでビシッ!っとキマってるのに、右の方に一人だけ完全に変質者もしくは寝起きのおっさんが紛れ込んでるという、このアー写みたいな”シュール”なセンスがやはり異常で、つまりこの”シュール”&”アヴァンギャルド”な感性こそ、彼らが創り出す変態音楽の根本的な部分だと改めて実感させる。あと今回は特にkeyを中心とした音のアレンジが過去作と比べると段違いに良くなってて、その結果→エイナルの歌を含む全体的な音の説得力や名作『レ・ミゼラブル』に匹敵するシネマティックかつドラマティックな物語を生み出すことに成功している。

           『Leprous VS In Mourning』

 俺の中で、音楽性的にも出自がBlack Lounge Studios的にも、スウェーデン産がIn Mourningならばノルウェイ産はLeprousという認識があったんだけど、どうやら本作の登場によってその考えを改めざるを得なくなった。ドラゴンボールで例えるなら、今のLeprousが悟空ならIn Mourningはクリリンだ(大袈裟じゃなしに、それぐらい本作で差が大きく広がった)。つまり、今のLeprousに対抗するには『In Mourning × イェンス・ボグレン』しかない...と(確信)。ホント、もしかしてノルウェイで今最もアツいバンドって、イーサンEnslavedKvelertakでもなくコイツらLeprousなんじゃねーか、って。まさに”おったまげる”とはこのことか...と、音楽を聴いてて久々にInterestingッ!!excitingッ!!な気分になったし、マジでコレ年間BESTに入れないような奴はモグリだって、はっきりわかんだね。リアルに今年の年間BEST一位取るレベルのポテンシャルありますこれ。結論として、その今キテるレ・プラスのライブいつ観るの?今でしょ!

俺の界隈の再構築...フェーズⅨ...完了

Coal - Limited Mediabook
Coal - Limited Mediabook
posted with amazlet at 13.06.23
Leprous
Century Media (2013-05-24)
売り上げランキング: 31,733