君がいない、あの日から...

【風にのって】
・・・おいら、これまで音楽を聴いて泣いたことなんて一度もないんだが、しかしJanne Da Arc”風にのって”だけは唯一の例外だ。普段は歌詞なんか意識しない人間なんだけど、この”風にのって”の歌詞を頭の中で確認しながら、その情景をイメージして聴いていたらふと気づくと泣いていた。この”風にのって”は、2005年にリリースされたJanne Da Arcの6thアルバム『Joker』に収録された曲で、ベーシストのka-yuが作曲を手がけ、スマトラ島沖地震に関するドキュメンタリーを見てインスピレーションを受けたyasuが歌詞を書いた真珠のバラードで、kiyoちゃんのキーボードによる儚くも美しい幻想的な空間形成をはじめ、Shujiおじさんのリズムを大事にしたドラミング、ギタリストyouちゃんによる抒情的な旋律を奏でるギター、ジャンヌ一のソングライティング能力の高さを見せつけるka-yu、そしてフロントマンyasuの優しく包み込むような繊細でいて力強い歌声を、その淡く儚い物語を繊細に紡ぐような歌詞に乗せて、それらバンドメンバーひとりひとりの持ち味そのポテンシャルが最大限に発揮された結果生まれた、JDAの中でもトップクラスの完成度を誇る名曲なんだ。この曲、実はシングル化される予定だったらしいけど、個人的にこれはアルバム曲だからこそ活きるタイプの楽曲だと思うから(シングルだと少しあざとい)、結果的にシングル化されなくてよかった。正直、自分が今まで聴いてきた曲の中で最も再生回数が多いんじゃないか?ってくらい好きな曲だ。音楽を聴いて泣くなんて事は、後にも先にもこの”風にのって”を聴いた時以外ない。

【3.11】・・・僕がリスペクトしている『ジョジョ』荒木飛呂彦と、子供の頃から漫画が好きで漫画家になりたかったJanne Da Arcyasuこと林保徳が、あの三年前に起きた【3.11】を自身の作品に取り入れるなんて事は、もはや必然的な出来事だった。この新曲『君がいない、あの日から…』は、昨年から始動したProject『Shangri-la』のトリを飾る第3弾シングル。で、これまではリリース前にラジオの音源やMVを期間限定で先行公開していたが、しかしこの曲はそれらの情報が一切シャットアウトされ、しかもフラゲ不可能という売り手側の徹底した姿勢を見れば、いかに今作が【3.11】という”あの日”を意識した楽曲なのかが理解できる。しっかし、ここまで徹底したリリース厳守が成せるのはエイベ様様って感じではある。

(別バージョン)


【エイベの曲】・・・初期Janne Da Arcで言うところの”Vanity”を彷彿とさせる、まるで月光蟲が光り瞬くような幻想的な幕開けと共に、yasuが裏声を駆使して歌い上げるエモーショナルなサビから→「予想したとおり、やっぱバラードだな」って一息ついた次の瞬間、ロック然とした派手なバンド・サウンドによるダイナミックな展開に意表を突かれた僕は→「これは単なるロックバラードじゃない」と悟った。それはAメロBメロでのyasuの歌声を聴けば分かるように→喜怒哀楽の感情と抑揚を押し殺し、それこそ喪に服したようなyasuの寡黙な歌声は、まるで『Recreation』に収録された中村雅俊”心の色”をyasuなりにオマージュしたかのようだ。その”低域”を強調したyasuの歌声や、歌詞の言葉尻の音階や曲の終わり方を見るに、それこそレクリシリーズを彷彿とさせる80年代の昭和歌謡色が濃い楽曲と言える。イントロからAメロBメロをはじめ、サビの部分もABCらしくなくて、だからと言ってJDAみたいな感じでもないし、これは極端な話だが→”エイベックスの曲”←そんな印象を持った。とにかくメジャーレーベルらしい、耳馴染みのいいクセのないサビメロっつーか。少なくとも、自分のように”風にのって”のような曲を想像すると肩透かしを食らうし、それとは全くと言っていいほどの別モノだった。サポメンはいつものメンバーであるにも関わらず、ABCらしい音は一つもなく、強いて言えばHIROによる鎮魂歌を奏でるようなGソロくらいで、唯一”ABCらしい”と言えるのは3.11にリリースした事なのかも。本家Janne Da Arcではこんな偽善クサい真似できないだろうし、第一マドモアゼルが許さないだろうからね。だから今回のリリースは、メンヘラクソビッチ相手にアイドル顔負けのアコギな商売やってる”メンヘラクソビッチのアイドル”ことやちゅりん(39)のソロ・プロジェクトだから出来た事なんだって。だから僕は、そこに”納得”できる。

【君】・・・このABCと言えば→そのメンヘラ力もとい女子力の高い歌詞もポイントだ。プロジェクト第一弾のGreed Greed Greedでは【金!暴力!SEX!】という人間のリアルな欲望を描き、前作の第二弾黒猫 〜Adult Black Cat〜(キリッでは日南響子という名のリアル黒猫が夜の世界で成り上がっていく様を描き出していた。当然、プロジェクトのラストを飾る今作はそんなフザけた歌詞ではなくて、一転してマジメだ。まず、リリース日の【3.11】『君がいない、あの日から...』というタイトルの時点で、さぞかし”あの日”を狙った偽善的な歌詞なんだろうと想像させる。しかし、歌い始めのサビの歌詞に【の名を呼ぶ僕の声】【がいない、あの日から・・・】【ねぇ は今どこにいるの?】【に逢いたい】とあるように、つまり【君】が今作のキーワードとなっていて、その【君】といえば→Janne Da Arc”EDEN~君がいない~””Rainy~愛の調べ~”、そしてヒット曲の”月光花”なんかを思い浮かべると思う。それら含めて、沢田知可子”会いたい”をカバーしている所からしても、もはややちゅりん(39)”ロック界の西野カナ”だという事がわかる。まぁ、それはともかくとして→露骨に【3.11】をイメージさせる偽善的な歌詞では決してなくて、あくまでも”君に逢いたい”という誰もが共感できる、至ってシンプルな想いを歌詞に込めて唄っている。これはyasuがインタビューで語っているように、十人いれば十人十色の【君】に対する解釈が生まれるということ。一例として挙げると→FF10のユウナがティーダという名の【君】を想うキモチを謳った歌詞、そんなアホな解釈しちゃっても全然問題ないわけ。この歌詞はyasuの低域を強調した歌声も相まって、かなり詩的に聴こえなくもない。どうでもいいけど、これ初めて聴いた時にBメロの「覚えているかな 海へ”星”を見に行ったよね」の”星”が”潮”に聞こえて「えらいシブい歌詞やなぁ」って思ったw

MV

【アイドルyasu】・・・先述のとおり、曲情報が一切シャットアウトされていたため、今まで先行アップされていたMVも当然ながら公開されていない。しかし今回のテーマがテーマなだけに、このMVだけはどうしても気になったから、いつもは394円盤で済ませていたのを今回はDVD付き盤を手に入れたわけ。で、前作の『黒猫』は随分とカネのかかったMVだったが、その反動からか、今作のMVは俄然シンプルなモノとなっていて→yasuの黒ジャケットからHIRO&YUKIの漆黒のギター、そしてドラムセットまで喪に服すような黒一色の衣装で物静かに演奏するシーンを中心に、そこへ白yasuのカットシーンを織り交ぜた至極シンプルなMVだ。このを基調とした感じは『GGG』を思い出す。正直、期待したほどのMVじゃないし、逆に℃-uteのMV並に安上がりな(ヤスだけにテヘペロ)MVとなっている。クロネコと比べると手抜きには変わりないけど、個人的にはシンプルで嫌いじゃないです。逆にヘンに映像化するより全然いいです。ちなみに、オフショットには『Shangri-la』ツアーのライブ初日の様子や、47都道府県のイオン諸々をドサ回りという名のハイタッチ会というアイドル顔負けの映像を挟みながら、あの【3.11】に対するyasuの想いを語ったインタビューを中心に記録されている。そして、yasuにとっての【君】【ファンの人】というように、念を押して多様な解釈が持てる楽曲だと宣言している。

【KATATONIAの曲】・・・結論として→これはもうKATATONIAの曲だという結論に至った。今作のサポメンはギターにHIRO、ベースはお馴染みのSHUSE、ドラムには前作と同じ若手ドラマーの山崎慶くんの編成でレコーディングされている。前作の『黒猫』で初めて山崎慶くんのドラムを聴いた時は→さすがやちゅりん(39)のお墨付きだけあって、非常にタイトで非常に丁寧なドラミングを持ち味とする印象を受けた。その山崎くんのドラミング、そのポテンシャルは今作でも遺憾なく発揮されている。ではナゼ”KATATONIAの曲”という結論に至ったのか?その答えを紐解く者こそ、この山崎くんのドラムプレイにある。立体的な空間の作り方、でしゃばり過ぎない程度の絶妙な手数、その時おり官能的ですらある妖麗なドラミングに→KATATONIAの推しメンドラマーDaniel Liljekvistに似たセンスを感じたんだ。言うなれば→KATAONIAの名盤『Last Fair Deal Gone Down』から『The Great Cold Distance』あたりの音の硬さ、そしてタイトなリズム感およびグルーヴ感までドコか通ずるものがある。この新曲自体もAメロBメロでゆったり展開して、そして山崎くんのドラム主導で始まるサビでドンッ!と盛り上げる曲調からも、俄然KATATONIAをイメージさせた。その決して明るい曲ではなんだけど、未来という希望に向かって力強い一歩を踏み出す勇気を与えてくれるようなサビとか、もはやKATATONIAの名曲”Teargas”に匹敵するレベル。個人的に、この手の曲展開はツボだ。しっかし、国内にこんなドラマーが存在するなんて驚いた。そして→ABCらしくない今作の中で、唯一”ABCらしい”と感じたギタリストHIRO”イエス”直伝の泣きのGソロやメタルっぽいパワーのあるリフも聴きどころだ。要するに→主に低域を強調したyasuのスキルフルな歌声だけじゃあなくて、それら楽器隊による確かな技量に裏打ちされた、より強固な”バンド・サウンド”を発することで、”ただのバラード”という一言で終わらせない確かな説得力を曲に与えている。曲の構成自体は至ってシンプルなんだけれど、ついつい何度もリピートしたくなるこの感覚、言うなれば”ABCの底力”的なエネルギーを感じる。だから個人的には、”ロックバラード”というより”メタルバラード”として聴ける。なんつーか、歌詞的にも『2012』”Fallin' Angel”をバラード化したみたいな雰囲気も。いわゆるシットリ系のバラードとかそんなんじゃなくて、あくまでも前向きな力強いyasuの歌声とダイナミックなバンド・サウンドが一体化した結果の曲なんだって。

【救世主の復活】・・・正直、正直なところ、必然的に比較対象となってしまうJanne Da Arcの名曲”風にのって”の足元にも及ばない曲だし、”シングル”としてもあの”イエス”と比べるとパンチが弱いのは確か。それはABCらしさが過去最高に薄く、同様にサビもクセがなくアッサリしているからなのか...。しかし【3.11】という付加価値あって初めて”シングル”としての絶対的な価値が生まれている。とは言いつつも、なんだかんだ”イエス”のバカップルにラリアットぶちかましたくなるくらいには好きです。なんにしても、実質的にProject『Shangri-la』の序章だった『2012』から始まって、そのプロジェクトの完結を飾るのがこの曲の役割だ。そして今までABCに全く興味がなかった僕にビビらせた、そのアルバム『2012』からABCらしい曲が書けなくなっているのか、逆にわざとジャンヌっぽい曲を書いているのか・・・?はいささか疑問だが、僕にとっては【救世主復活】を予感(予兆)させた事が何よりの収穫だった。ということは...そろそろですね。世界中のジャンナーよ、覚悟はいいか?俺はできてる。

オリコン週間二位

【TEAM-AB℃】・・・ところで、つい先日のMステのCDシングルランキングで、一位HKT48(博多のアイドル)→二位ABC(メンヘラクソビッチのアイドル)→三位でんぱ組(秋葉のアイドル)がズラリと並んでいるのを見て→「全部アイドルじゃねーか!」ってツッコんだ僕は何一つ間違っちゃあいない。リリースから二周目なのにも関わらず、さり気なく6位に℃-uteの新曲がランクインしてた所が俺的ハイライトだった。そんな、意地でもMステに出ない、もしくは呼ばれない立ち位置にいる似たもの同士すき。いやマジメに→矢島舞美の3.11に関するブログと今回のyasuの黄金の精神性”その親和性や、岡井と同じBOOWY(氷室京介)リスペクトという共通点、そして愛理とyasuの万能型ボーカリストとしての親和性、そして地方のイオンにドサ回りしているアイドル然とした所や、℃の新曲がオリコン週間2位を獲得した翌週にABCも週間2位で仲良くフィニッシュしているところからも、あたらめて”ロック界の西野カナ”ことABCと”アイドル界の西野カナ”こと℃-ute、すなわち【ABC×℃=TEAM-AB℃】が実現しなきゃ℃は一生ブレイクできないし、このまま”Youtubeでしか出会えないアイドル”で終わってしまう。現にベビメタは、あらゆる伏線()を回収したからこそ今の立ち位置にいるわけで。まぁ、それはともかくとして→Janne Da Arc”風にのって”松浦亜弥(あやや)”草原の人”に親和性を感じている自分としては、”現代の松浦亜弥”である鈴木愛理にこの”君がいない、あの日から...”をカバーさせたいと思ってしまった次第で。

【NEXT-ABC】・・・そんな感じで、やちゅりん(39)会いたい会いたい会いたいなというメンヘラクソビッチの切実な想いを謳っている今作、俺たちTEAM-AB℃の男子部としても、俺たちのアイドル日南響子ちゃんを筆頭とした『黒猫』ちゃんにワンチャン”会いたい会いたい会いたいな”という隠れた思惑もあって、Project『Shangri-la』のラストを飾る5月からのホールツアー、そのガイシ公演に2公演とも当選してしまって拍子抜けしている自分だが、ヘタしたらABCのライブを観るのはこれで最後かもしれないから、なんだかんだで5月のライブが待ち遠しいです。自分の目で、昨年から続くプロジェクトの完結を見届けてきます。そして、その先に一体ナニがあるのか?【メシアの復活】はあるのか?それはいずれ分かること・・・。

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