Artist Periphery
Periphery

Album 『Juggernaut: Alpha』
 Juggernaut: Alpha

Tracklist
01. A Black Minute
02. MK Ultra
03. Heavy Heart
04. The Event
05. The Scourge
06. Alpha
07. 22 Faces
08. Rainbow Gravity
09. Four Lights
10. Psychosphere

Album 『Juggernaut: Omega』
Juggernaut: Omega

Tracklist
01. Reprise
02. The Bad Thing
03. Priestess
04. Graveless
05. Hell Below
06. Omega
07. Stranger Things

二作目のジンクス ・・・いわゆるDjent界隈には"二作目のジンクス"なる迷信が存在しており、この手の重鎮であるAnimals as LeadersCyclamenですらその"ジンクス"を破ることができなかったが、何を話そう、その"二作目のジンクス"をジェント界隈に確立させた張本人こそ、"Bulb"ことミーシャ・マンソー率いるUSはベセスダ出身のPeripheryだ。彼らの約三年ぶりとなるフルアルバムは、なんとポケモンリスペクトな『Juggernaut: Alpha』『Juggernaut: Omega』という二枚同時リリース(二枚組とは言ってない)。いわゆる"二作目のジンクス"と言ってみても、その呪縛を破れなかったAALは、三作目のThe Joy of Motionで見事な復活を遂げており、この手のジャンルの最先駆者であるPeripheryとしても、その威信をかけて名誉挽回といきたい所なのだが・・・さてさて。

『Periphery II』 ・・・21世紀、次世代のメタルシーンを担う新星としてセルフタイトルを冠したPeripheryをドロップし、華々しくデビューを飾ったかのように見えた彼らだが、王者Dream Theaterジョン・ペトルーシをゲストに迎えた2ndアルバムPeriphery II: This Time It's Personalは、デビュー作にあった破天荒で初期衝動的な勢いやイケイケなノリが削がれ、一転して大衆性や構築力を高めた至って普通のプログレ・メタルに歩み寄ってて、あのセルフタイトルに衝撃を受けた身としては、悪くはないんだけど→「いや、お前らに求めてるのそんなんちゃうから・・・」みたいな、妙な肩透かしを食らったってのが正直な感想だった。そんな悪い流れもあって、いわゆる"Djent"の未来を賭けて、絶体絶命の状況の中での二枚同時リリース(二枚組とは言ってない)・・・というわけだ。

アルファ ・・・まずは『Juggernaut: Alpha』だ。オープニングを飾る#1”A Black Minute”から、
Devil Sold His Soulをはじめ、*Shelsや惜しくも解散したThe ElijahなどのUKポスト-ハードコア勢を連想させるシンガロングや過去最高に"emo"-ティヴな旋律を奏でるスペンサー・ソーテロのボーカル・パフォーマンスが、
あらゆる
"Post"を飲み込んだリリシズムとキッズ特有の焦燥感をもって壮大なスケールで送り出すドラマティックな
曲調で、俺たちペリフェラーのド肝を抜いてくると同時に、これまでのペリフェリーとの明確な違いを感じ取ることができる。しかし、二曲目の”MK Ultra”を聴けば、「あっ、こいつらDjentlmenだったんだ!ただのポケモンマスターじゃなかったんだ!」って目が醒めるような、それこそDjentの生みの親である(本人はDjentではないが)メシュガニキリスペクトなゴリゴリのヘヴィネスと凶悪なスクリームでカオティックにゴリ押していき、中盤からは一転してファンキー&ファニーなパートへと急転直下に場面が切り替わる展開力は、一種のコント番組を見ているかのようで、そのユニークさは彼らならではの特権だ。で、今度はCoheed and Cambriaリスペクトなメジャー級あるいはアリーナ級のキャッチーなボーカル・メロディが売れ線全開の#3”Heavy Heart”、ベースのバッキバキな低音を効かせたダーティなインストナンバーの#4”The Event”、そのダークな流れを汲み、メロトロンを使ったレトロフューチャーなイントロからUKポスト-ハードコア然とした演劇的かつ激情的な展開力を発揮する#5”The Scourge”、そしてファミコンBGM的な8ビット風のイントロで始まる、それこそ「ポケモンゲットだぜ!」みたいなノリで始まる表題曲の#7”Alpha”は、初期BFMVのマット顔負けのドチャクソemoいメインストリーム級のキャッチーなボーカルを聴かせる・・・これが、これこそ新時代のメインストリーム系アリーナ・ジェントだッ!

Djent界のA7X ・・・遡ること21世紀初頭、Killswitch EngageAs I Lay Dying、あるいはA7XBFMV"Metalcore"なるジャンルをメジャーにブチ上げたように、今やオワコン化したメタルコアと入れ替わるように、これまでは"アンダーグラウンド"な存在だった"Djent"とかいうジャンルを"メインストリーム"にブチ上げたと言っても決して過言じゃあないだろう。この『Juggernaut: Alpha』は、わかりやすく言えば【エモ/ポスト-ハードコア×ジェント】で、音使いから曲調までポストハードコア然とした演劇的なソレをベースにしてて、いわゆる"プログレ・メタル"とは一線を画している。確かに、元からモダンなエレクトロやアンビエントを駆使した近未来型ジェントで、同時に”エモ”的な要素を持ち合わせていたけど、今作では"emo"というジャンルに振り切った、要するに『ポケモン』と同じくらい身近なキング・オブ・キッズ・ミュージックへと変貌を遂げている。いわゆる超えちゃいけないラインを超えてきた"emo"というわけだ。しかし、超えちゃいけないラインを超えなきゃメインストリーム・シーンに立つ資格すら与えられないとすれば、ペリフェリーが今作で示した選択は何一つ間違っちゃあいないし、むしろ"Djent界のA7X"あるいは"Djent界のBFMV"としてやっていくには必要不可欠な『覚悟』だったのかもしれない。なんというか、このタイミングで先日Vampsフェスで来日したNothing Moreと対バンしている事実が全てを物語っていて、彼らの存在と共に"Djent"とかいうジャンルが"アンダーグラウンド"から"メインストリーム"の仲間入りを果たした感あって、そう考えるとペリフェリーってやっぱスゲーと思うし、ダテにこの界隈のトップ張ってないなって。実際、"Djent界のA7X"になれるバンドってペリフェリー以外存在しないし、むしろそうなった方が界隈的に面白くなりそうだから、今後もこの路線を突き進んで欲しいとは思う。

『オメガ』 ・・・一枚目の『Juggernaut: Alpha』がキッズ向けのアルバムだとするなら、この『Juggernaut: Omega』はコア寄りのメタラーおよびDjentlmen向けのアルバムだ。音使いや激情的なスクリームにしてもエモ/ポスト-ハードコア寄りの作風だった『アルファ』とは一転して、Gojiraメシュガニキのエクストリーム界の二強からの影響を巧みに昇華しつつ、これまでの路線を踏襲したいわゆるアンビジェントな楽曲がメインとなっている。とはいえ、幕開けを飾る#1からして『アルファ』"emo"い流れを着実に汲んでいて、Texturesばりにポスト-ジェント・リーなマスいリズムを刻んでいくリフ主体の#2”The Bad Thing”、アルペジオ・ギターを主体とした曲調と暗鬱なアウトロがOpethリスペクトな曲で、初期BFMVのマットのものまね王座決定戦で一位取れるレベルのボーカルを披露する#3”Priestess”、カオティック・ハードコアばりにアグレッシブな#4”Graveless”Gojiraばりにヘヴィなグルーヴを轟かせる前半と一転してオシャンティーな後半に別れた#5”Hell Below”、そして今作のハイライトを飾る約12分の大作で表題曲の#6”Omega”は、まるで宇宙空間にほっぽり出されたような、目まぐるしく緩急を効かせながらほとばしる緊張感を持続させていき、そしてクライマックスを飾る”Alpha”のサビメロを引用したドラマティックな展開には、深く眠りについていたキッズ魂に再び火が点くほどブチアガるし、このパートには彼らの"売れたい"という明確な『意思』と『覚悟』が込められているんじゃあないかってくらい、同時に"Djent"とかいうジャンルをNEXT-ステージにブチ上げている。これは赤い公園猛烈リトミックDIR EN GREY『ARCHE』も同じで、更なる高みへ向かおうとする確固たる意思が音に込められている。大切なのは『真実に向かおうとする意志』だ。

ミーシャ脱退(フラグ) ・・・この『アルファ』『オメガ』、一見差別化されているように見えるが、実はペリフェリーがやりたい事は二枚とも共通していて、それは"emo"やポスト-ハードコアであったり、そして何よりも"アンダーグラウンド"から"メインストリーム"への移行を最大の目的としているわけです。じゃあ二枚に別ける必要なくね?って疑問に思わなくもないが、正直ペリフェリーのアルバムって毎回6曲目くらいでお腹いっぱいになる冗長感あったから、結果的に2枚に別けたことが功を奏しているというか、よりドラマ性が増して良いんじゃあないか(適当) 結局の所、こいつらのナニが凄いって、この手のシーンにおける自らの役割というものを明確に理解している事で、かつソレを現に実行してみせる勇気に僕は敬意を表したい。そもそも、ペリフェリーがジェントやってたのって1stだけじゃん、って言われたらそれまでの話なのだけれど。しかし何事にも役割分担というのがあって、いわゆる"Djent"とかいうジャンルを激ロック系エモ・キッズに広める役割はこのPeripheryNothing Moreに任せて、従来のDjentlmenすなわちガチ勢はダニエル君が復帰したTesseractAALに任せるという形で、仲良く棲み分けすれば良いんじゃあないかって。しかしペリフェリーという大きな犠牲を払って、すっかり停滞気味のメタルシーンにニューウェーブすなわちジェントウェーブを生み出すことができるか・・・?ともあれ見ものであるし、自分自身そろそろDjentにも飽きてきた頃合いだったが、「まだまだDjentは面白くなりそうだ」・・・そんな予感をさせる二発のソーラービームだった。でもこれでミーシャが脱退したら笑う。まぢ笑う。

Juggernaut: Omega
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