Artist Volbeat
CA0W0438

Album 『Rewind, Replay, Rebound』
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Tracklist
02. Pelvis On Fire
03. Rewind The Exit
04. Die To Live
05. When We Were Kids
06. Sorry Sack Of Bones
07. Cloud 9
09. Maybe I Believe
10. Parasite
12. The Awakening Of Bonnie Parker
13. The Everlasting
14. 7:24

いま思い返してみても、今や北欧デンマーク1のモンスターバンドにまで成り上がったVolbeatと、もう一生来日する可能性がないメタリカとかいう今まさに全盛期を迎えているガチモンのレジェンドの共演が2013年のサマソニで実現した事は“奇跡”としか思えなくて(出演順に対して「なんでVolbeatがPerfumeよりも格下なんだよ!」ってジェイミー・ジャスタばりのクレーム不可避)、そんなSlipknotの新作に伴う『KNOTFEST Roadshow』GojiraBehemothと共に北米ツアーを回ってるVolbeatといえば・・・なんだろう、「もうそのレベルのバンド」ってこと以外に説明はいらないですね。

2005年にデビュー作となる『The Strength/The Sound/The Songs』を発表するや否や、そのエルヴィス・プレスリー顔負けのロカビリーな要素とメタルやパンク、そして“北欧のジェイムズ・ヘットフィールド”ことフロントマン=マイケル・ポールセンメタリカ愛が融合した音楽性が話題を呼び、2013年に元アンスラックスのギタリスト=ロブ・カッジアーノが加入した事で知名度的にも本格化した彼らは、今や名実ともに北欧を代表するメガモンスター級のバンドとしてその存在を誇示している。しかし改めて、この手の海外で一世を風靡している旬のメタルバンドをサマソニに呼んじゃうクリマン清水の先見の明と懐の広さは尊敬に値するし、そのVolbeatの系譜に続くアリーナ級あるいはスタジアム級のメタルバンドが同じ北欧(スウェーデン)出身のGhostである事は、その翌年のサマソニ2014が証明している。

初期の頃からこのバンドを追ってきた自分からしても、前作の6thアルバム『Seal the Deal & Let's Boogie』は自分の中で歴代最高に反応しづらいアルバムで、なんだろう単純に持ち前のフックに欠けるというか、確かにいつも通りのVolbeat節全開ではあるのだけど、当時の自分には全く入ってこなかったというか、珍しく聴き終えた後に何も残らなかった。その前作から約3年ぶりとなる7thアルバム『Rewind, Replay, Rebound』は、表題曲と見せかけたリード曲の#3“Rewind The Exit”のメタルでもハードロックでもないクリーンなギターのリフレインとマイケル・ポールセンの歴代最高にキャッチーな歌メロからもわかるように、今作を語る上で欠かせないキーワードが“ポップさ”だ。その“ポップさ”と並んで、その“ポップさ”すなわち大衆性に拍車をかける新要素としてあるのがゴスペルのクワイアで、それに関連する今作のクレジットに気になる名前を発見した。それというのは、そのゴスペル・クワイアのアシスタント・エンジニアとして“Kenta Yonesaka”なる日本人らしき人物の名前がクレジットされてて、調べた所どうやら“米坂健太”というガチのマジに札幌市出身ニューヨーク在住の日本人エンジニアらしく、しかもファレルケンドリック・ラマーの作品にも携わっている立派な経歴の持ち主ってんだから驚いた。


今回、そんな日本人エンジニアがニューヨークのスタジオで手がけたハーレム・ゴスペル・クワイアや女性コーラスを多用した、よりスケール感マシマシな、それこそ“When We Were Kids”を巻き込んだより幅広い年齢層にアリーナ級いやスタジアム級のシンガロングを要求するかのような、より大衆性に富んだ耳障りのいいポップなアレンジが施されている。それを象徴するかのように、今作の幕開けを飾る#1“Last Day Under The Sun”からゴスペルのクワイアを駆使したもはやメロハー感覚で聴けちゃうキャッチーな曲で、2ndアルバム『Rock The Rebel/Metal The Devil』“Sad Man's Tongue”のセルフオマージュとも取れるベテランの余裕と“らしさ”に溢れたロカビリーメタルの#2“Pelvis On Fire”Neil Fallonをゲストに迎えたエルトン・ジョンばりのピアノとサックスの音色がロカビリーダンスのステップやツイストを軽快に刻みながら愉快に踊るファンキーな#4“Die To Live”、女性コーラスをフィーチャーした北欧らしい哀愁に満ちた#7“Cloud 9”、エクソダス/スレイヤーのギタリスト=ゲイリー・ホルトをギターソロにフィーチャーした#8“Cheapside Sloggers”、俳優マッツ・ミケルセン“デンマーク1の色男”の称号を争っているマイケル・ポールセンの男気溢れるダンディでセクシャルな歌声が冴え渡る極上の哀愁バラードの#9“Maybe I Believe”、もはや“Volbeatはメロコア”な約37秒の#10“Parasite”と#11“Leviathan”、カントリー調の#12“The Awakening Of Bonnie Parker”、ここにきてようやく「そうだ、このバンドって元アンスラのギタリストいたんだw」って思い出すクリエイターばりにスラッシュ要素マシマシの#13“The Everlasting”、最後も今作を象徴する“ポップさ”を押し出したキレイ目な#14“7:24”まで、そんな今作のハイライトは“ソリサコボン”こと#6“Sorry Sack Of Bones”で、まるで“パンク”をアイデンティティの一つとする彼らの“ポップなパンク”としての回答=ポストパンクとばかり、そのニューウェーブ/ポストパンクならではのナルシスティックな焦燥感を乗せた楽器隊のアレンジからゴシックでダークな世界観からナニからナニまで、まるで彼らの“パンク”な側面が80年代を介して表面化したような今作一のキラーチューン。また幽玄でダーティな間奏もシンプルにエキサイティングだし、なんかこのニューウェーブ×ヘヴィな感じはMoonspellの名盤『Extinct』を思い出して俄然推せる。なんだろう、某井之頭五郎みたいにこういうのでいいんだよ、こういうのでって、このアルバム聴きながら何度思ったことか。それこそ自分と同じく前作イマイチに感じた人にこそ聴いてほしい。もはや「Volbeat is Back...」感しかない一枚。

改めて、今作は過去最高にポップでキャッチーなアルバム、それすなわち過去最高に“ヘヴィじゃない”アルバムでもある。でも元々、Volbeatってロカビリーの影響下にある程よく大衆的なポップさとソリッドなメタル要素を融合させた音楽性が売りのバンドだし、その北欧らしい哀愁を絡めたポップでキャッチーな部分とメタリックでハードなゴリゴリの部分、これまではほぼ同化していたその二面性がより断片的に強調されたのが今作で(特に#5,#6,#8など)、確かに初期の頃のAnubis Gate=プロデューサーのヤコブ・ハンセン譲りの無骨で肉厚なヘヴィネスは見る影もなく、しかもそのハードな部分もヘヴィロック的なノリあって、それ故に俄然アメリカのポップパンクやメロコア的なノリで聴けちゃう面もあって、確かにロブが加入して以降のVolbeat“アメリカ資本のバンド”と皮肉もとい断言しても差し支えないバンドだし、そういった意味では只今絶賛ノットフェスで“怪物と一緒にツアー回ってるバンド感”は否めない。けど、逆に言えばスリッペゴジラなどのギガモンスター級のバンドと一緒にツアー回ってる真っ只中にリリースするアルバムとしては、(それこそキッズをはじめ幅広い年齢層へのアプローチ)これ以上ないほど“狙い通り”のアルバムと言えるし、今作を“ポップ”だなんだと煽る前にまずそういった所で“説得力”に溢れた作品なんだよね。

前作に引き続き、お馴染みのジョー・バレシがミックスを、マスタリングにはSterling Soundボブ・ラドウィックというTOOLスリッペの新作と全く同じエンジニアコンビってのは流石にちょっと面白いし、当然そこには“アメリカ資本のバンド”たる所以がある(言うて本作とTOOLスリッペの新譜のプロダクションに共通点を見出すことは自分には不可能だったけどw)。ちなみに、ボブ・ラドウィックYMOのリマスタリングを手がけるほど世界的も世界的なグラミー賞ノミネート系エンジニアで、度重なるように言うけど、今のVolbeatの立ち位置って“ソコ”なんですね。しかし、このメガエンジニア級のメンツと並んでクレジットされてる米坂健太とかいう日本人isナニモノって話で、でも“いいアルバム”に日本人エンジニアが関わっているのは素直に嬉しいね。

・・・いや、でも来年日本で開催される『ノットフェスジャパン』で再来日あるぞこれ。そもそも初期からこのバンド追ってる、初来日となった2013年のサマソニで間近でマイケルの裸体もといパフォーマンスを観てる“日本のメタルメディア界のキング”俺ィが言うんだからほぼ間違いないです。あと海外レーベルはこれまでと同じユニバーサルからだけど(たぶん)、本作の日本盤だけは何故かソニー・ミュージックから出てる謎もあって、そこも逆にファッキソソニー案件的に推せるというか、むしろ逆にこれだけ再来日のフラグをビンビンにおっ立てておきながら来年のノッフェス来なかったらウケるな(来日して欲しけりゃソニーから出てる国内盤を買いませうw)。もしTOOLと一緒にノッフェス来たら2秒で行くやつだし(いやTOOLは単独だろ)、もし来なかったら“日本のメタルメディア界のキング”の汚名返上します(もしノッフェス来たら“ソリサコボン”は絶対に演って)。

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