Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

レビュー (D)

Deafheaven 『新しいバミューダ海峡』

Artist Deafheaven
new_CLk7IN6UkAAM6x1

Album 『New Bermuda』
6a5cb4c4

Tracklist

01. Brought To The Water
02. Luna
03. Baby Blue
04. Come Back
05. Gifts For The Earth

new_Mysterious-Skin-1

BUKKAKE ・・・おいら、あのサンベイザーが発表された時に一つだけやり残したことがあって、それというのも、「日本のAVのジャンルで世界的に有名なBUKKAKE、そのコンピレーション(総集編)のBGMに”ドリーム・ハウス”を編集して某XV◯DEOSにアップする」という謎の背徳行為で、というのも、あの『サンベイザー』というのは、AVで【BUKKAKEられる側】のAV女優の激情的な感情と【BUKKAKEる側】の汁男優の「イカなきゃ」という一種の使命感と刹那的な焦燥感が複雑に混ざり合い、白濁色の音の粒がラブシャワーとなって聴き手を白濁汁の渦に引きずり込むような、それこそ男なら一度は妄想し羨んだであろうBUKKAKE願望、その『男の夢』を擬似的に叶えてくれる歴史的名盤であり、男が射精に至るまでのメカニズムを音楽の世界で解き明かした、言うなれば一種の"セックス・ミュージック"でもあった。その『サンベイザー』がPitchforkをはじめ大手音楽メディアから高く評価された彼らDeafheavenは、俺たち"ファッションホモ"のアイドル(アイコン)として崇められ、その勢いで遂にはiPhoneの広告塔にまで成り上がることに成功した。しかし、その一方で全方位から「Pitchforkに魂を売ったホモバンド」と蔑まれるようになってしまった。

『新しいバミューダ海峡』 ・・・しかし、その傑作『サンベイザー』の翌年にリリースしたシングルの”From the Kettle Onto the Coil”で、彼らは面白い変化を遂げていた。基本的には『サンベイザー』路線を踏襲しながらも、キザミリフをはじめとしたポストメタリックな要素を垣間見せつつあって、その微量な"変化"は伏線として今作の『New Bermuda』に大きく反映されている。シングルのアートワークと油彩画タッチで描かれた新作のアートワークがそれを示唆していると言っても過言じゃなくて、まるで【BUKKAKEられる側】のAV女優の恍惚な表情の裏に潜むドス黒い漆黒の闇、あるいはAV男優吉村卓に顔面を舐め回された後に行方をくらましたレジェンドAV女優桃谷エリカの心の闇を暴き出すッ!そんな彼女が飛んだ『謎』を解き明かしたのが、この『新しいバミューダ海峡』だ・・・ッ!

繋ぎの意識 ・・・彼らD F H V Nが今作で遂げた進化は、一曲目の”Brought To The Water”から顕著だ。荒廃した教会の鐘が神妙に鳴り響く、まるでDIR EN GREY”Un deux”をフラッシュバックさせるエキセントリックな幕開けから、まるでBUKKAKEられるAV女優の白濁色に染まった顔の裏に潜む闇、あるいはバミューダ海峡に引きずり込まれる瞬間の焦燥感と絶望感が込められた、ドロドロにまとわり付くドゥーミーなヘヴィネスとともに、シングルと同じBPMでブラストを刻み始め、スラッシュ・メタル然としたソリッドなリフをはじめMogwai直系の美メロ、サンバイザー日和の燦々とした陽射し照りつける西海岸の風を運んでくるGソロ、後半からはポスト・ハードコア然としたキッズライクなリフを主体に、あの恍惚感に満ち溢れた『サンベイザー』とは一線を画したドス黒い世界観を繰り広げていく。もはや粒状(シューゲイザー)と言うより固形状(メタリック)のリフ回し、もはやポスト・メタルというよりスラッシュ・メタル特有のキザミをメインリフに曲を構築している事実にまず驚かされる。とにかく、中盤のブルージーなGソロからMogwai譲りの美メロパートへと移行する"繋ぎ"のセンスが俄然増してるし、『サンベイザー』では一つの曲として独立していた”Irresistible”を彷彿とさせるアウトロのピアノも、今作では一曲の中に組み込まれている。この曲で明らかなのは、基本的なスタイルは『サンベイザー』以降の流れにありながも、一方で『サンベイザー』とは一線を画した暗黒的で対極的な要素を内包している、ということ。

「イカなきゃ(使命感)」 ・・・そんな汁男優のはやるキモチを表したかのような、Mastodonブラン・デイラー顔負けのドラミングとメタリカばりのキザミリフで始まる二曲目の”Luna”は、まるで子供が「オモチャ カッテ...カッテクレナキャ...イヤア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」と聖夜の夜に泣き叫ぶような、フロントマンジョージ・クラークによる『サンベイザー』譲りの通称ダダコネボイスを乗せて、随所にポスト・ハードコア的な要素を散りばめながらブラストで突っ走り、一旦フィニッシュしたと思ったら中盤から再びグラインドコア顔負けの破天荒な怒音を合図に、ドス黒い暗黒物質を周囲にBUKKAKEながら高速ピストン、終盤は徐々にBPMを落としてバンド・アンサンブルを活かしたポストメタリックな轟音を響かせる、という怒涛の展開を見せる。一曲目と同様に、この曲のポイントに"キザミ"ともう一つ”繋ぎ”の要素があって、この曲ではBPMの落差を最小限に抑えつつ、あくまでも段階的に激情パートから美メロパートへと"繋ぐ"意識、在りし日のマシンガン打線ばりに"繋ぐ"意識の高さを垣間見せる。例えるなら→あの『サンベイザー』が【急転直下型BPM】だとするなら、今作は【可変型BPM】というか、それこそのコントラストを効かせた油絵テイストのアートワークのような、もしくはアヘ顔デフヘヴン状態(動)からの賢者タイム(性)みたいな、とにかく【静()↔動(黒)】"繋ぎ"が自然体になったことで、より曲の世界観に入り込みやすくなった。

黄金のキザミ』 ・・・序盤の二曲とは一転して、ミニマルに揺らめくポストロッキンな美メロで始まる三曲目の”Baby Blue”は、持ち前のブラストは封印してBlackgaze然とした轟音とクライマックスへの伏線を忍ばせたエモーショナルなGソロで中盤を繋ぎ、そして今作のハイライトと言っても過言じゃあない、キザミ界の皇帝Toolが提唱する黄金比』で形成された黄金のキザミ』を継承するかのような、ある一定のBPMを保って刻まれる低速キザミリフをタメにタメてから、そしてBUKKAKEられたAV女優の恍惚な表情の裏に潜むドス黒い漆黒の狂気、あるいは吉村卓に顔面ベロチューされまくった桃谷エリカの心の叫びを代弁するかのようなジョージのスクリームと魑魅魍魎の如し悲痛に歪んだギターが今世紀最大のエモーションとなって聴き手に襲いかかり、その今にも胸が張り裂けそうな"存在の耐えられないエモさ"に、僕は「あゝ激情...あゝ激情...」という言葉とともに溢れだす涙を堪えることができなかった。これが、これがバミューダ海峡を超える人類最大の『謎』ッ!これが桃谷エリカが飛んだ真相ッ!これが桃谷エリカの漆黒の闇だッ!

 この”Baby Blue”には更に面白い伏線が仕込んであって、それというのは、終盤まで黄金のキザミ』のままフェードアウトさせてからCAのアナウンスを使ったSEがフェードインしてくるアウトロで、それこそ1stアルバムユダ王国への道の名曲”Violet”のイントロをはじめ、ex-Deafheavenニック・バセット君率いるWhirr桃尻女とシューゲイザーを連想させ、それはまるで高速道路から眺める街のネオンがホログラム状に映し出されるような、それこそトム・ハーディ主演の映画『オン・ザ・ハイウェイ』の世界観とリンクさせる、初期デッへ界隈のシューゲイザー然としたモノクロームでフェミニンなアンビエント空間を形成し、その懐かしい匂いを漂わせながら「あの頃のデフヘヴンが帰ってくる」をウリ文句に、ドラマの次回予告風に言うと→Episode#5「D F H V N is Come Back...」

「Come Back ・・・文字通りカムバック。あの『サンベイザー』のようなメジャー感は微塵も感じさせない、まさしくアンダーグランドな混沌と蠢く雰囲気をまとった、「グワアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」っと地獄の底から血肉が湧き上がるようなBlackgaze然としたサウンドと初期を彷彿とさせるジョージの極悪ボイス、この時点で在りし日のD F H V Nにカムバックした事を各界隈に知らしめる。と同時に、この曲にも今作のキーワードの一つである”キザミ”が取り入れられていて、ここまで【メタリカ→マストドン→トゥール】という黄金リレーでバトンを繋いできたが、この流れで最後のアンカーに任されたのがエクストリーム・メタル界の帝王ゴジラだ。そのゴジラばりのデッヘボン史上最も”ヘヴィ”なキザミを最大の見せ場にしつつ、後半からは一転して初期デフヘヴンを彷彿とさせるアコースティックな音使いをもって、まるで真夜中の淫夢を彷徨うかの如しドリーミーな音世界を繰り広げ、その淫夢から朝目覚めてふと鏡を見たら吉村卓の姿になっていた。他にカムバックした所では、全5曲トータル約46分という潔さも1stアルバムをフラッシュバックさせる。しかし「安心してください、どの曲も10分近くある長尺ですよ」とばかり、無駄な贅肉を削ぎ落とした隙のない展開や構成は過去最高にシンプルながらも、音のスケール感を損なわないダイナミクスと音の説得力に溢れている。

「ファッ◯ンピッチ!」 ・・・その昔、デフヘヴンの中心人物であるケリージョージには親友がいた。その友の名はニック・バセット。元デフヘヴンでもある彼は、WhirrNothingを率いてデフヘヴン包囲網を指揮する先駆者だ。親友だった三人の友情に大きな亀裂が生じる事となったのが、他でもないあの『サンベイザー』だ。ニックはアンダーグランド・シーンで地道に音楽を楽しみたかった。しかしケリーとジョージにはメインストリーム・シーンに自分たちの音楽を認めさせる大きな野望があった。念願叶って、2ndアルバムの『サンベイザー』は大手音楽メディアPitchforkから高い評価を得ることに成功した。【Deafheaven>>>Whirr,Nothing】という現実を突きつけられたニックは「ファッ◯ンピッチ!」と罵った。こうなると三人の関係はもう修復不可能だ。『野望』を叶えた一方で、全方位から「Pitchforkに魂を売ったホモバンド」と蔑まれたデッヘボンは、ただ独り孤独を叫んでいた。そのデブヘブンがカムバックしたのだ。カムバックした彼らが”原点”に立ち返って導き出した答え、それが五曲目の”Gifts For The Earth”だ。この曲では、まだ三人の友情に亀裂が生じる前、ジョージとケリー、そしてニックが夢見た「もう一つの未来」を描き出すような、「もしニックがダボヘブンを脱退していなかったら」という"もしも"すなわちifの世界を実現させている。現在のWhirrNothingを連想させるオルタナティブの感性と初期デッヘのサウンドがクロスオーバーしたような、それこそジョージとケリーが旧友ニックに贈る、紛れもなく"カムバック"した今のデフヘヴンの姿だった。あの『サンベイザー』で、第一次ポストブラックブームの仕掛け人であるAlcestのネージュを引き連れて、「安心してください、ブチ上げますよ」とばかりPost-Black/Blackgazeとかいう"アンダーグラウンド"なジャンルを"メインストリーム"に引き上げるという『野望』、その使命を果たした彼らは、今度はこの『新しいバミューダ海峡』の中で仲違いした旧友ニックの想いを表舞台に引き上げている。最高にエモい、エモすぎる・・・。まるで深い絆で結ばれた三人が長い年月を経て運命の再開を果たしたみたいな...それこそ『栄光と挫折』の物語みたいな...なんだこの漫画みたいな展開...こんなん映画化決定ですやん。なんつーか、まるでメタル界の『デビルマン』、あるいはメタル界のダークヒーローってくらいかっこ良すぎる。・・・で、まるで聖夜を彩るピアノやタンブリンやマラカスを交えた、Alcest顔負けのアコースティックなエンディングでは、遊牧民と化した吉村卓と桃谷エリカが、ニックとネージュが、ケリーとジョージが手を取り合って、一面に広がるお花畑の中で恍惚な表情を浮かべながら仲睦まじくピクニックを楽しむ様子が描かれる。まるで気分は「生きてるって素晴らしい」。

【ピッチ度高>>>>>>>>>>>>>ピッチ度低
【メタリカ>>>マストドン>>>トゥール>>>ゴジラ

媚び ・・・あの『サンベイザー』が、子供の頃にあらゆる煩悩を経て初めて精通に至った時の"ファースト・インパクト"だとするなら、この『新しいバミューダ海峡』は大人になって初めて童貞を卒業した時の"セカンド・インパクト"と言える。あらためて、今作のポイントには”繋ぎ””キザミ”の2つの要素があって、まず前者の"繋ぎ"は静(白)から動(黒)へのコントラスト(対比)と【可変型BPM】による緩急の操り方が格段に向上したことで、より音のギャップやメリハリが鮮明となり、ドラマティックな展開力が体感的に増したように感じる。それと同時に、曲構成が過去最高に様式的というか、メタル耳にも馴染みやすいザックリとしたメリハリのある展開美とでも言うのか、しかしそれによって必然的にシューゲっぽさやオシャンティな感覚は薄れている。一方で後者の"キザミ"は、アンダーグラウンド・シーンで名を馳せたLudicraなどのブラック・メタルをはじめ、スラッシュ・メタル界のレジェンドメタリカ、新世代メタル界の雄マストドン、キザミ界の皇帝トゥール、そしてポスト・スラッシュ界の破壊神ゴジラ、それらのキザミ界の頂点に君臨するモンスターバンドに決して引けを取らない圧倒的なキザミ意識、それすなわちスラッシュ・メタルへの意識、全編に渡って繰り広げられる"キザミ"に対する意識、"キザミ"に対する『愛』が込められている。俄然面白いと思ったのは、一言でキザミと言っても同じキザミは一つもないところで、#1ではオールド・スクール・スラッシュ・メタル流のソリッドな"キザミ"、#2ではポスト・スラッシュ流の"キザミ"、#3では黄金比』で形成された黄金のキザミ』、#4ではエクストリーム・スラッシュ流の"キザミ"まで、その"キザミ"のバリエーションの豊富さは元より、とにかく一つ一つの"キザミ"に感動させられる。この"キザミ"に関する要素から重大な情報を得ることができる。デフヘヴンというバンドは決して普通のいわゆる"メタルバンド"ではない。しかし、今作の"キザミ""メタル"と称する他に例えようがなくて、このアルバム自体過去最高にヘヴィでメタラーにも十分アピールできる要素を持っている。しかし、いわゆる"メタル"に歩み寄るにしてもピッチフォーク贔屓のメタルとでも言うのか、つまりピッチフォークの機嫌を損なわない程度のメタルとはナニか?を、オタクならではの審美眼で見極めている。その答えはピッチ度が最も低いバンドでもメタリカフォロワーのゴジラって時点で察し。その"キザミ"主導の中、時おり顔を覗かせるポップなポスト・ハードコアリフが今作を華やかに彩る絶妙な調味料となっているのも事実。つまり、ピッチフォークへの"媚び"とメタラーへの"媚び"、そしてコアキッズへの"媚び"を絶妙なバランスで均衡させており、あの『サンベイザー』で一気にキッズ・ミュージックに振り切って、つまりメタラーを切ってキッズやピッチ厨を引き寄せてから、このタイミングで一気にメタル路線に手のひら返しする彼らの勇気と度胸、音楽的な柔軟性と器用さは、まるで「大事なのはソングライティング」だけじゃあないとばかり、現代の音楽シーンで生き残るために必要な知恵と地頭の良さ、そして彼らの"したたかさ"を証明している。まるであの『サンベイザー』の次にどこへ行けばいいのか?その落とし所を熟知していたかのよう。いわゆる「分かる人だけに分かればいい」の方向性へと進んだLiturgyとは裏腹に、この『新しいバミューダ海峡』で全方位にあからさまな"媚び"を振りまいたデッヘ、僕は考える間もなくデッへを支持する。あの『サンベイザー』で全方位からディスられて日和った結果、とは僕は微塵も思わない。むしろ「ディスれるもんならディスってみろや」感っつーか、あの『サンベイザー』を批判したピッチ以外の全方位のシーンに真っ向から喧嘩売ってます。

『桃谷エリカと吉村卓』 ・・・楽曲の曲順からして、”From the Kettle Onto the Coil”『サンベイザー』『Roads to Judah』『桃尻女とシューゲイザー』へと、現在から過去へと徐々にカムバックしながら、最後は旧友ニックの想いまで全てを引っ括めた全デフヘヴンのダークヒーロー物語だ。言わばメインストリームからアンダーグラウンドへの橋渡し的な、アンダーグラウンドからメインストリームへ自由に行き来できるくらい、今の彼らはバンドとして成熟した余裕が音から感じ取れる。ブラストを使ったBPMゴリ押しだけに頼らない、グルーヴ感のあるバンド・サウンドも今作の大きなポイントだ。もはや今のデフヘヴンはケリージョージのツーマンバンドではなく、ダニエルシヴ、そしてステファンを含めた五人組のD F H V N、そのバンドとしてのポテンシャルが開花した結果が本作だ。一言で「いいとこ取り」と言ったら矮小化して聞こえるかもしれないが、でもそれ以外他にシックリくる表現が見当たらないからこれはもうしょうがない。初期のアングラ性と『サンベイザー』で確立したメジャー感溢れるメロディセンスとファッショナブルに垢抜けた展開力、アキバ系ギタリストケリー・マッコイのソングライターとしての才能は元より、『本物のオタク』すなわちクリエイターとしてのバランス感覚、そしてバンドのプロデュース能力に感服すること請け合いだ。あらためて、どこまでも型破りなバンドだと思い知らされた次第で、前作であれだけハードルをブチ上げたにも関わらず、こんなディスる隙間のないアルバム聴かされちゃあもう何も言えねぇ。確かに、衝撃度という点では過去作に分があるかもしれないが、バンドの生い立ちから現在までの歴史と濃厚な人間ドラマに溢れた、「もうイケませェん!」と咽び泣きながら上からも下からも涙ちょちょぎれ不可避な名盤だ。これを聴き終えたあと、何故か僕は吉村卓に「ありがとう...桃谷エリカの笑顔をトリ(レ)モロしてくれてありがとう...」と心から感謝していた。これはもはや『桃尻女とシューゲイザー』ならぬ『桃谷エリカと吉村卓』の物語なのかもしれない。そんなわけで、最後はとっておきの謎かけでお別れ→

「AV女優とかけまして、バミューダ海峡と解きます
その心は、どちらも闇が深いです

お後がよろしいようでw
 
New Bermuda
New Bermuda
posted with amazlet at 15.12.26
Deafheaven
Imports (2015-10-09)
売り上げランキング: 60,037

Draconian 『Sovran』

Artist Draconian
draconian-20150726104149

Producer David Castillo
David Castillo
Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Sovran』
_SL1500_

Tracklist

01. Heavy Lies The Crown
02. The Wretched Tide
03. Pale Tortured Blue
04. Stellar Tombs
05. No Lonelier Star
06. Dusk Mariner
07. Dishearten
08. Rivers Between Us
09. The Marriage Of Attaris
10. With Love And Defiance

実質プロデューサー ・・・ゴシック・ドゥーム界を代表するスウェーデンのDraconianも、他に漏れず「イェンスと組んだ一作目は名作になる」という"メタル界の迷信"を、いわゆる"実質プロデューサー"現象を4thアルバムTurning Season Withinという傑作の中で既に証明していて、続く2011年作の5thアルバムA Rose for the Apocalypseでは、念願叶ってイェンス・ボグレンを本当の"プロデューサー"として迎え入れる事に成功していた。しかし、まさかそれが紅一点ボーカルLisa Johanssonの遺作になるなんて想像もしてなかった。正直、このドラコニアンのセールス・ポイントと言ったら、男Voのアンダース・ヤコブソンのデス声とリサ・ヨハンソンの美しすぎる歌声が織りなす、この世の儚くも美しい部分と破滅的な醜い部分の絶妙なコントラスト/コンビネーションで、そのバンドのキモであるリサが脱退したというニュースを聞いた時は、それはもうガチで終わったというか、それこそドラコニアン解散すんじゃねーかくらいの衝撃だった。しかし、新しくドラコニアンの記事を書いているということは、つまりはそういうことで、バンドの希望であったリサを失った彼らは、直ぐさま新しい嬢として南アフリカ出身のSSWで知られるHeike Langhansを迎え入れ、目出度く約4年ぶりとなる6thアルバム『Sovran』をリリースした。

【勝ち確】 ・・・今のメタル界隈には、イェンス・ボグレンという優勝間違いなしの名将だけじゃあ飽きたらず、その相棒であるデイビッド・カスティロも同時に指名して、いわゆる【勝利の方程式】を解き明かそうと必死で、このドラコニアンもこのビッグウェーブを追従するようにプロデューサーとしてデイビッド・カスティロ、録音エンジニアとしてイェンス・ボグレンを起用するという、まさしく【勝ち確】なメンツで制作されている。だけあって、今作は【勝ち確】と評する以外ナニモノでもない模様。それはイントロからEarthらUSドローン/ドゥーム界隈を彷彿とさせる#1”Heavy Lies The Crown”のメロドゥーム然とした慟哭不可避のメロディから、その#1とシームレスで繋がる#2”The Wretched Tide”のストリングスによる耽美的なメロディと紅一点ヘイケによるWithin Temptationのシャロン顔負けの慈悲なる歌声を聴けば分かるように、ウリである泣きのメロディ・センス、バンドの中心人物であるヨハン・エリクソンのライティング能力は4年経っても不変で、もはやリサ脱退の影響を微塵も感じさせない、むしろ冒頭の三曲でリサの存在を忘れさせるくらいの凄みがある。

【KATATONIA feat.】 ・・・そして今作のハイライトを飾る#7”Dishearten”は、リズムやアレンジ、リフから曲調まで、いわゆる【勝利の方程式】の基礎である『The Great Cold Distance』以降のKATATONIA、中でも『死の王』”Hypnone”リスペクトな一曲で、あの頃のKATATONIAを知り尽くしているデイビッドだからこそ『説得力』が生まれる曲でもあるし、もうなんか【KATATONIA feat. シャロン】みたいになっててウケる。ともあれ、一度は誰もが妄想したであろうこのコラボを擬似的ながらもやってのけた彼らの度胸に僕は敬意を表したい。その流れで本当にUKバンドCrippled Black Phoenixのスウェーデン人シンガーDaniel Änghedeとフィーチャリングしてしまう#9”Rivers Between Us”では、ダニエルの色気ムンムンな男性ボーカルとヘイケの美声がアンニュイなハーモニーを聴かせる。新ボーカルのヘイケは、前任者リサのようなオペラティックなソプラノ歌唱ではなくて、その声質やメロディの作り方からも往年のシャロン・デン・アデルを意識したようにクリソツで、それにより俄然ゴシック℃マシマシな印象を受けるし、より大衆的というか、往年のWTに通じる今のWTが失ったいわゆる"female fronted"なメインストリーム系のメタルへとバンドを昇華させている。少なくとも、いわゆるドゥーム・メタルやゴシック・メタルとかいうサブジャンル以前に、バンドのメタルとしての能力を限界まで引き出すイェンス・プロデュースによる特性が(良くも悪くも)顕著に出ていた前作よりは、まるで教科書通りと言わんばかり、これまでの"ゴシック/ドゥーム・メタル"として本来のドラコニアンらしさへ回帰した佳作だと。
 
Sovran
Sovran
posted with amazlet at 15.11.17
Draconian
Napalm (2015-10-30)
売り上げランキング: 2,136

Devin Townsend Project 『Z²』

Artist Devin Townsend Project
Devin Townsend Project

Album 『Z²』
Z²

Tracklist
Disc I [Sky Blue]
01. Rejoice
02. Fallout
03. Midnight Sun
04. A New Reign
05. Universal Flame
06. Warrior
07. Sky Blue
08. Silent Militia
09. Rain City
10. Forever
11. Before We Die
12. The Ones Who Love

Disc II [Dark Matters]
01. Z²
02. From Sleep Awake
03. Ziltoidian Empire
04. War Princess
05. Deathray
06. March Of The Poozers
07. Wandering Eye
08. Earth
09. Ziltoid Goes Home
10. Through The Wormhole
11. Dimension Z

『Z²』 ・・・いわゆる”ロックオペラ”と称されるメタル界屈指のプロジェクト/バンドといえば→オランダはアルイエン・アンソニー・ルカッセン主宰のAyreon、ドイツはEdguyトビアス・サメットが主宰するAVANTASIA、スウェーデンはクリストフェル・ユンソンによるTherionなどが挙げられるが、それらに対抗してカナダから奇才デヴィン・タウンゼンド率いるDevin Townsend Projectが”ロックオペラ”を称するアルバム、その名も『Z²』をリリースしてきた。このアルバムは二枚組で、一枚目の『Sky Blue』Devin Townsend Project名義で、二枚目の『Dark Matters』が”プロジェクト”ではないデヴィンのソロ=Ziltoid(ジルトイド)名義で、2007年にリリースされた『Ziltoid The Omniscient』の続編として位置づけられている。

デヴィン・タウンゼンド・プロジェクトVS.ジルトイド

『デヴィンジャーズ』 ・・・まず一枚目の『Sky Blue』は、とにかくスケールがデカい、無駄にデカすぎる。幕開けを飾る#1”Rejoice”と#2”Fallout”を聴けばわかるように→2009年にリリースされたAddictedでもお馴染みのアネク・ヴァン・ガースヴァーゲン姐さんをヒロインとして迎え入れ、主演男優を務めるデヴィン・タウンゼンド総裁のイケメン・クリーンボイスをはじめ獣性むき出しの咆哮やオペラ歌唱などの多種多様なボーカル・スタイルと至ってシンプルなモダン・ヘヴィネス、そして本作の”ウリ”である約2000人ものプーザーズの声で作成された肉厚の”ファン・クワイア”が一つの大きな地球規模の塊となって、その塊を光の速さを超える勢いで豪速球を耳に投げ込んでくるかのような、それはまるで海馬社長に滅びのバーストストリームをブッ放されたような、それはまるで映画『メランコリア』の壮絶なラストシーンを目の当たりにしているかのような、それはまるでガンダムEz-8の全弾発射を食らったような、それはまるで『マーブルVS.カプコン』のサイクロップスとリュウのコンボ攻撃を食らったような、それはまるでアメコミ界のスーパーヒーローが一挙集結した映画『アベンジャーズ』のアメコミワールドを音楽で表現したような、それはさながらオペラミュージカル『デヴィンジャーズ』の如し空前絶後のスケールで描かれる、今世紀最大のサウンドスケープに只々圧倒され、ツルッツルに禿げ上がるくらい脳が活性化された僕は、ふと気づくとデヴィンと同じ顔になっていたのだ。で、音のイメージとしては→初めてアネクを迎えたkawaii系ポップ・メタル、それこそディズニー・メタルやってた『Addicted』を何十倍もスケールアップさせ、同時に『Ki』Ghostで培ったアンビエント(環境音楽)/オルタナ風のアレンジを加えたような、確かにメロディやソングライティングは『Addicted』と比べて少し劣るかもしれないが、これまでのプロジェクト名義でやってきた実験的な音からポップな音まで全て飲み込んだ、後期のソロ作品を思わせる音の分離感を無視した音圧全開の音の塊、音の波状攻撃を容赦なく僕たちプーザーズにBUKKAKEてくる。中でもクライマックスを飾る#11”Before We Die”の音の核爆発っぷりったらなくて、とにかく、それらのライブ感あふれる楽曲陣、俄然コンセプティヴで俄然スケール感マシマシな作風的にも、スタジオ音源ではなくライブで体験してナンボな作品と言えるのかもしれない。

『大乱闘デヴィンブラザーズ』 ・・・デヴィンソロ=ジルトイド名義の作品となる二枚目の『Dark Matters』は、一転してダークでミステリアスな作風となっていて、DP作品で言うところのDeconstructionを彷彿とさせるアヴァンギャルディなエクストリーム・メタルといった感じで、声劇のようなSEを使って俄然ミュージカルっぽさやコンセプト色を強調したシネマティックな演出を駆使しながら、実にデヴィンらしいコミカルでファンキー、そしてシュールでファニーな奇想天外アメコミワールドを、それこそエイリアンやクリチャーやモンスターやプーザーズがブリュブツチブリリイリブゥゥゥッとかいう汚い擬音とともにクソを垂れ流しながらカオスに入り乱れる、その名も『大乱闘デヴィンブラザーズ』を繰り広げている。さすがにジルトイド名義というだけあって、一枚目の『Sky Blue』よりもメタル感マシマシで、そのサウンド面から演出面もフリーダムになっていて、これはもうデヴィン流の『レ・ミゼラブル』ならぬコメディ映画『レ・ミゼラブブブ』と言っても過言じゃあない、映画さながらのサウンドトラックを展開している。総裁が新たに立ち上げたプロジェクトCasualties of Coolをはじめ、とどまることを知らないデヴィンの創作意欲にあらためて感銘を受けるし、この『Dark Matters』は音楽家/コンポーザーとしてのデヴィン・タウンゼンドというより、もはやコメディアン兼総合演出家としてのデヴィン・タウンゼンドに脱帽するアルバムだ。なんだかんだ、『Sky Blue』にはジルトイドっぽい所があって、この『Dark Matters』には”プロジェクト”っぽい所があるから、なぜ名義別の作品を『Z²』として一つにまとめたのか、その疑問に納得する事ができる。二枚ともそれぞれ違った視点から、まるで映画館の最前列で3D体験しているかのような、濃厚なデヴィンワールドに身震いさせられること請け合いだ。この曲は誰々から影響を受けたとか、例えば”Ziltoid Goes Home”では、Soilworkからinfluenced=影響を受けたと律儀にクレジットする辺りも実にデヴィンらしいというか、この人の面白さだと思った。ちなみに、三枚組仕様のディスク3には『Dark Matters』の声劇SEをオフにした『Dark Matters - Raw』が収録されている。

Z
Z
posted with amazlet at 14.11.14
Devin Townsend Project
Inside Out U.S. (2014-10-27)
売り上げランキング: 71,534

Dirty Loops 『Loopified』

Artist Dirty Loops
Dirty Loops

Album 『Loopified』
Loopified

Tracklist

1. Hit Me
2. Sexy Girls
3. Sayonara Love
4. Wake Me Up
5. Die For You
6. It Hurts
7. Lost In You
8. Take On the World
9. Accidentally In Love
10. The Way She Walks
11. Crash and Burn Delight
12. Roller Coaste
13. Automatic (Utada Hikaru Cover)
14. Got Me Going

漫画『ジョジョの奇妙な冒険』荒木飛呂彦がこれまでに手がけたCDジャケットは幾つかあって、SUGIURUMNSOUL'd OUTなどの邦楽アーティストをはじめ、最近では演歌界の大御所石川さゆりのアルバムカバーを描き下ろした事が記憶に新しい。その様々な仕事の中でも、Base Ball Bearというバンドの『BREEEEZE GIRL』のジャケットには、描き下ろしではないが山岸由花子のイラストが起用されていたり、鉄ヲタで知られるモデルの市川紗椰が山岸由花子役を演じたMVもジョジョ愛に満ち溢れてたりするんだけど、実はこのBase Ball Bear小出祐介という人物は、(赤い公園津野米咲に負けじと)℃-ute矢島舞美が推しメンなことでも知られているらしく、個人的に【℃-ute=ジョジョの女】という謎の解釈を持っている日本一のジョジョヲタを自称する僕としては、なかなか面白い繋がりだなーって今さらながら思ったりするわけで。

特典ポスター

そしてこの度、飛呂彦が新たにジャケを手がける事となったアーティストこそ、2010年にスウェーデンはストックホルムで結成された、ボーカルのジョナ・ニルソンとベースのヘンリック・リンダーとドラムのアーロン・メレガルドからなる三人トリオ、その名もDirty Loopsだ。じゃあ一体ダーティループスとは何ぞや?というわけで→早い話、彼らは名門のスウェーデン王立音楽アカデミー出身の音楽エリートが意気投合して、レディガガの曲をカバーしたパフォーマンスをyoutubeにアップするやいなや、バックストリート・ボーイズで知られる売れっ子プロデューサーに目をつけられ、しまいにはスティーヴィー・ワンダーやデイビッド・フォスターまで彼らに魅了され、そしてデイビッドが会長を務めるジャズの名門Verveレーベルと契約するに至る。まさに現代だからこそ生まれた話題のバンド、というわけ。で、とりあえずスウェーデン映画『ドラゴン・タトゥーの女』の女主人公あるいはショーン・ペン主演の映画『きっと ここが帰る場所』の主人公を彷彿とさせる、ベーシストのヘンリックのゴス/パンクなビジュアルが自分がイメージする典型的なスウェーデン人みたいな感じでほんと好きなんだけど、このキャラクター性ってジョジョそのものというか、そもそもメンバーがジョジョファンであった事から今回のコラボが実現したらしいので、もしかしたらわざと”ジョジョっぽさ”を意識してたりするのかもしれない。そこに『ジョジョ』との親和性を感じて、飛呂彦もジャケを描き下ろそうと快く受諾したのかもしれない。これは意外だったんだが、飛呂彦が洋楽アーティストのジャケを手がけるのは今回が初めてらしい。とにかく、ウチのブログでも贔屓にしてるスウェーデンと荒木飛呂彦のコラボが実現したってのが、個人的に何よりも嬉しい出来事だった。しっかし、最近の飛呂彦の中では”承太郎ポーズ”が流行りなのね。スウェーデンの国旗をモチーフにした衣装をはじめ、ダーティ・ループスだけにメビウスの輪のように”ループ”したパンツの柄や足元の花に飛呂彦の遊び心が感じられる。過去の例からすると、現在連載中のジョジョ8部『ジョジョリオン』にダーティ・ループスという名のスタンドが登場するフラグかも?



そんなDirty Loopsのデビュー・アルバム『Loopified』なんだけど、とりあえず一曲目の”Hit Me”を聴いた時の衝撃ったらなかった。まるでTOTOを彷彿とさせる80年代風のシンセを中心としたダンサンブルなEDMサウンドとジャズ/フュージョン意識の高いドラムとベースのリズム隊、そして”キング・オブ・ポップ”ことマイケル・ジャクソン顔負けのファンキーでソウルフルなボーカルが絶妙なアンサンブルと抜群のケミストリーを起こし、もはやボーカルの歌唱力が高いとかベースがドラムがバカテクだとかそんな次元の話ではなくて、それら全てを飲み込んで最終的に極上のポップ・ミュージックへと昇華していく、それこそ『ディスコの神様』を称するに相応しい名曲だ。確かに、名門アカデミー出身という肩書に裏打ちされた楽器隊の確かな技術と複数の音楽界の重鎮から見出されたクソ上手いボーカルが織りなす、スリリングでエキサイティングなテクニカル・サウンドにどうしても注目が集まるが、そんな肩書きや技術的な面よりも単純に聴いてて楽しい気分にさせる、そんな音楽として本来あるべき姿を”シンプル”に鳴らしている。部分的には複雑に聴こえるが、全体で見るとやってることは至ってシンプル・・・そのバランス感覚が彼らの最も優れた所なんじゃあないか?って、それが”Hit Me”を聴いた率直な感想だった。つうか、菅野よう子とか相対性理論やくしまるえつことかゼッテー好きでしょこの曲。だってこれ、完全に”X次元へようこそ”じゃんw

???「ゴラあああああああ!!誰がパクリじゃボケえええええええええ!!」

確かに、”Hit Me”の一発屋と言われかねないくらいソレのインパクトが強すぎてアレだが、スパイス・ガールズなどの90年代のアイドル・ポップスを彷彿とさせるキャッチーなボーカルをもって、それこそダーティ・ループス流のEDMを展開する#2”Sexy Girls”とエレクトロ・ポップ色の強い#3”サヨナラ・ラブ”をはじめ、ジャズ/フュージョン的なオサレムードを高めつつJ-Popにも通じる綺羅びやでファンキーなアレンジをもって大胆な展開美を披露する#4”Wake Me Up”、再びPerfume顔負けのバッキバキなクラブ系EDMサウンドを展開する#5”Die For You”、シリアスなイントロから一転して音楽エリートである彼らのクラシック音楽に対する素養を伺わせる#6”It Hurts”は、まるで演歌のような哀愁駄々漏れのバラードナンバーで、これには日本人の心が揺さぶられること必須だ。このフロントマンのジョナによる舞台役者のように情感あふれるハイトーンボイス、なんかデジャブを感じるというか誰かに似てると思ったらLeprousエイナルっぽいんだ。とにかく、ジョナの有無を言わせぬ圧倒的な歌唱力その表現力には、音楽界の重鎮から認められるだけの確かな説得力がある。そして中盤以降も、ミニマルなアレンジとオーケストラが融合したマイナー・コード主体の#8”Take On the World”、往年の曲のカバーかな?って勘違いするくらい懐かしさを感じる#9”Accidentally In Love”、ピアノ主体の哀愁バラードの#11”Crash and Burn Delight”、終盤はジャスティン・ビーバーや宇多田ヒカルの名曲をダーティ・ループス流の解釈でカバーして自らのポテンシャルを証明し、最後はオリジナル曲の#14”Got Me Going”で締めくくる。とにかく、ジャス/フュージョン/ファンク/エレクトロの要素を一つの”ポップ・ミュージック”として昇華していく、ある意味J-Pop的なアーティストというか、ジャンルの壁を三人が奏でる黄金の音エネルギーで突き破っていくような、まさしくジャンルレスなハイブリット・ポップを展開している。それこそ”日本人好み”という言葉がよく似合う、そのポップなアレンジやメロディセンスに、スウェーデン人が持つポップ・センスには只々脱帽するばかりで、これはプログレやメタル界隈でもそうなんだが、ヲタククサいニッチなジャンルの中でポップスを表現するセンスというか、様々な音を一つにハイブリット化するスウェーデン人の音楽センスはノーベル音楽賞に値するだろう。

確かに、音的には特に目新しいものではないし、いい意味でチープというかB級感あふれえるアレンジが、逆に懐かしのアイドル・ポップスやMTV全盛のポップ・ミュージックを連想させる。MTV全盛の時代を経験し、自身の作品にもその影響を取り入れている荒木飛呂彦も、このダーティ・ループスが奏でる音を懐かしみながら聴いているに違いない。なんだろう、新しい音楽ネタを全てやり尽くした今の閑散した音楽シーンに一つのキッカケを与えるかのような、往年のポップ・ミュージックに回帰していく波が邦楽洋楽問わず世界的にキテいるのかもしれない。しかし、洋楽を普段聴かない日本人にも馴染みやすいキャッチーなメロディや”Sayonara Love”とかいうタイトルをはじめ、メンバーがジョジョファンだったり宇多田ヒカルのカバーを見ても分かるように、かなり日本贔屓のアーティストであるのは確かで、正直ありがちなビッグ・イン・ジャパン現象・・・そんなイメージがどうしても否めない。なんだろう、第二のt.A.T.u.じゃあないけど、いわゆる”二匹目のどじょう”を狙った、レコード会社の思惑が透けて見える売り方というか。耳の肥えていない日本人相手ならまだしも、耳の肥えた地域の人がこのダーティ・ループスの音を聴いてどう反応するのか?ソコ気になる所ではある。何にせよ、菅野よう子がヒャッハー!!しちゃいそうな、懐かしのポップスにノスタルジーを感じてみてはいかがでしょう?

ダーティ・ループス~コンプリート・エディション~(特典なし)
ダーティ・ループス
ユニバーサルミュージック (2014-10-08)
売り上げランキング: 390

Darkest Hour 『Darkest Hour』

Artist Darkest Hour
Darkest Hour

Album 『Darkest Hour』
Darkest Hour

Tracklist
01. Wasteland
02. Rapture In Exile
04. Infinite Eyes
05. Futurist
06. The Great Oppressor
07. Anti-Axis
08. By the Starlight (feat. Draemings)
09. Lost For Life
10. The Goddess Figure
11. Beneath The Blackening Sky
12. Hypatia Rising
13. Departure

血迷ったスメリアン ・・・デビュー当初はAt the Gates直系のデスラッシュで、中期の4thアルバム『Undoing Ruin』や最高傑作と名高い『Deliver Us』では、Dark Tranquillity直系のイエテボリスタイルに則ったモダンナイズされたメタルコアへと変化を遂げ、今やメタルコア界の重鎮にまで成り上がったDarkest Hourの約三年ぶり通算8作目でセルフタイトルを冠した『Darkest Hour』が、いま最もイケてるレーベルことSumerianに移籍してのリリースと聞いて→「遂に血迷ったかスメリアン・・・」とか思ったけど、このアルバムを聴いてそれが間違いではなかった事を知る。



わあ!ビックリした! ・・・元々このDarkest Hourってのは、北欧が生み出したメロデスあるいはイエテボリ・スタイルを大胆に取り入れたメタルコアで、作品を重ねるに連れて俄然メロディックに俄然エモ寄りに日和ってく他のメタルコアバンドをヨソに、流行りに流されないあくまでも硬派なメタルコアを貫いており、どちらかと言えばメタルコア勢よりもメロデス勢から高く評価されているバンドなんだ。が、そんなDHの新作がキッズからの絶大な人気を誇るスメリアンからリリースされるとなると、そこはかとない不安感がないと言えば嘘になる。まず、幕開けを飾る#1”Wasteland”から、フロントマンのキモロンゲことジョンによる「僕はキモヲタなんかじゃなあああああああああああああああい!!」とばかりの、過去最高にブチギレたスクリームとモダンなヘヴィネスでミドルに聴かせる、持ち前の疾走感を抑えた重厚感のある曲で、明らかにこれまでのDHとは違った雰囲気を持った楽曲だ。で、続く#2”Rapture In Exile”は初っ端からConvergeTrap Themを連想させる、重戦車の如しブラッケンド・ハードコア直系の攻撃性およびド低音ヘヴィネスとdtInsomnium直系の勇壮な単音リフによるエピカルな叙情性がクロスオーバーした、まさしくこれまでのDHを司るような名曲で→「あれ?スメリアンに移籍した影響なし?むしろ攻めまくってんじゃん!」なーんて思ったのもつかの間、次のリードトラックとなる#3”The Misery We Make”を聴いて→「わあ!ビックリした!」。つい「BFMVかな?」って勘違いしそうなピロピロしまくりのメロディアスなツインギターとジョンの”エモ”系のボーカルを耳にして→「わあ!ビックリした!」んだ。と同時に→「汚いなさすがスメリアン汚い」と、なぜ本作がスメリアンからリリースされたのか?を理解した瞬間でもあった。それすなわち、”エモくない硬派なメタルコア”が”エモい今風のメタルコア”に日和った瞬間でもあった。



メタル界の電車男 ・・・そのリードトラックの”The Misery We Make”をはじめ、もはや「だってほら、俺たちって超イケてる超チャラいメタルコアじゃん?」と言わんばかりの#5”Futurist”、モダンな叙情派メタルコアの#6”The Great Oppressor”、ジェント・リーなリズム刻むモダンなリフとATMS系の耽美なキーボードをフューチャーした#7”Anti-Axis”、更には「なんたって俺たちはリア充だから女の子ともデュエットしちゃうぜ!」とばかりの#8”By The Starlight”で、これには僕→「おいおいメタルコア界のジェイムス・ブレイクかい?HAHA」とか半笑いしつつも→僕「ハッ!?この瞬間こそDHこと童貞アワーのナニが一皮むけて本物のダーケスト・アワーへと脱童貞した決定的瞬間ッ!?」なのかと深く頷いた。ここまで”歌モノ系メタルコア”と言っても過言じゃあない中盤のモダンナイズされた流れから、再びコンヴァージばりに猪突猛進する#9”Lost For Life”、往年のDHらしい単音リフで疾走する#10”The Goddess Figure”#11”Beneath The Blackening Sky”、今にも昇天しそうなストリングスとBFMVのマットあるいはリンキン・パークのチェスター顔負けのVoジョンのエモいクリーンボイスをフューチャーした#13”Departure”を最後に、アキバ系のキモヲタがリア充へと成り上がっていく、その童貞小説『メタル界の電車男物語』は遂に完結を迎える...。

リア充願望 ・・・あれだけ硬派を気取っていたハズの、北欧という田舎に染まりきっていたヲタクの兄ちゃんが脱ヲタして最終的にリア充へと成り上がるまでのキョロ充人生を見ているようで、ただただ諸行無常の響きありなんだけど、ただこのアルバムに対して「日和ってんじゃねーよメーン?」と突っ込むのはナンセンスというか、むしろこの柔軟性こそDHのウリであって、なんだかんだ筋が通ってるからこそ生まれる説得力っつーか、その感覚は間違いなくある。現に、メタルコアというジャンルを支えてきた重鎮が死に絶えていく中で、このDHだけは独自のスタイルを貫き通し、今だに進化し続けているってのがとにかくシブすぎるし、なんか普通にリスペクトできるクソカッコイイ生き様をまざまざと見せつけられた気分だ。まさに”継続は力なり”を地で行ってる。こいつら、なんかスゲー楽しそうなバンド人生送ってる感すら、もはやメタル界唯一の勝ち組ってDHなんじゃねーかってくらい。もうなんかDHのバンド人生そのものが真の意味でエモーショナルだし、もはやメタルコアの歴史は全てDHが知っていると言っても過言じゃあない。実際メタルコアというフィールドでここまで色んな事やったバンドって他に存在しないし、そういった意味では唯一無二のバンドだと思う。つまり本作は、メタルコアとかいうジャンルがオワコン化した今だからこそ再評価されるべきバンドだという事、メタルコアとかいうジャンルがアズ・アイ・レイ・ヨメ・ダイングの嫁キラーによって終止符が打たれたからこそ赦される、DHなりの懺悔なんじゃあないかってね。だからこそ、今キッズの間で最もキテるレーベルのスメリアンからセルフタイトルを冠した『Darkest Hour』をリリースする意味、その説得力、そしてヲタクのリア充願望、つまり「俺たち本当はリア充メタルコアが羨ましかったんだよ!」という嫉妬にも近いホンネが込められている。とにかく、結成から20年を迎えようとしているベテランであるにも関わらず、若手有望株の登竜門でも知られるスメリアンにドヤ顔で移籍しちゃう、その柔軟性こそ長生きの秘訣なのかもしれない。あぁ、こいつらメタル界を”生き残る術”を知ってるなって。

ヲタク界の絶対的アイコン ・・・ここで音的な話をすると→ 本作はハードコア・パンク系のカオティクなリフから「スメリアンさんちょっとスイマセン、今時のイケてるモダンヘヴィネス使わせてもらいますよ...」的なさり気ないリフ回しが主体で、当然これまでのメロデスあるいはイエテボリ・スタイル感は至極薄くなってて、代わりにエモーショナルでキャッチーな要素、すなわち大衆性を身につけている。ボーカル面では→#5や#11ではDTのラブリエを思わせる哀愁を帯びた歌メロを披露したり、#3をはじめ中盤の曲からラストの#13などで発揮されている、”ボーカリスト”としての謎のポテンシャルに笑いを禁じ得なかった。今作でメタルコアヲタク界のアイコン的存在であるジョンのカリスマ性は更に高まったように思う。その”怒りのTVタックル出演”待ったなしのジョンのボーカルだけじゃあない、持ち前のジョジョ~的なツインギターも負けじと冴え渡っている。それらバンドメンバーのポテンシャルをはじめ、ソングライティングにも及ぶベテランらしい安定感は、彼らが今なお支持され続けている最大の理由としてその存在を示している。個人的に、ここ最近の作品の中では一番ドラマを感じたし、色々な意味で一番面白かった。

Darkest Hour
Darkest Hour
posted with amazlet at 14.09.04
Darkest Hour
Sumerian Records (2014-09-08)
売り上げランキング: 27,962
記事検索