Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

レビュー (S)

℃-ute解散がショック過ぎるので更新停止します

SikTh 『Opacities』

Artist SikTh
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EP 『Opacities』
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Tracklist
01. Behind The Doors
02. Philistine Philosophies
03. Under The Weeping Moon
04. Tokyo Lights
05. Walking Shadows
06. Days Are Dreamed

復活 ・・・2001年にイギリスはワトフォードで結成された6人組のSikThは、2002年にEPの『How May I Help You?』で鮮烈なデビューを飾り、2003年には1stフルアルバム『The Trees Are Dead & Dried Out Wait for Something Wild』を発表、そして2006年に傑作と名高い『Death of a Dead Day』をリリースし、その破天荒で複雑怪奇な展開とラップ&ハイトーンのツインボーカルを駆使した、言うなればハチャメチャごった煮エクストリームおっぱいサウンドでリスナーのド肝を抜き、一瞬にしてその名をアンダーグラウンド・メタルシーンに轟かせた。しかし2008年に解散。今なお一部のフアンの中ではカルト的な、一種のレジェンド的なバンドとして崇拝されている。そんなドチャクソ変態クソ野郎が解散から約7年の時を経て、かのPeacevilleから奇跡の復活作となるミニアルバム『Opacities』を発表した。



音合せ ・・・幕開けを飾る#1”Behind The Doors”からして、Textures顔負けのグルーヴィなヘヴィネスを乗せてメタルコアっぽく始まり、ドレッドヘアをチャームポイントとするミキー・グッドマンのラップとバンドの中心人物であるジャスティン・ヒルによるエモいハイトーンボイスが奇妙奇天烈に絡み合い、転調を効かせた中盤以降の展開もSikThらしさに溢れている。次の#2”Philistine Philosphies”では、俄然USヌー・メタル的な縦ノリグルーヴを効かせたモダン・ヘヴィネスとミキーのアヴァンギャルドなラップ、そして今世紀最大のエモーションをブチかますジャスティンの超絶ハイトーン・ボイスに胸を打たれ、そして全盛期のSikThがカムバックしたような転調以降のテクデス然とした展開は、これは紛れもなくシクス、変わらないシクスの完全復活を宣言するかのよう。その後も、今作をリリースした直後に来日公演を行うほどの親日家ぶりを垣間見せる#4”Tokyo Lights”を織り込みながら、初期のマスコア的な要素とアトモスフィアを取り入れた#5”Walking Shadows”、バンドの新機軸を予感させるPost-的要素を取り入れた#6”Days Are Dreamed”まで、流石に復活前のメカニカル感やドが付くほどぶっ飛んだ変態度こそ薄いが、全盛期のシクスと比べると比較的素直というかマジメなグルーヴ・メタルやってて、でも中には新しい試みを垣間見せたりして、そう遠くない未来に出るであろうフルアルバムに俄然期待を持たせる、この全6曲トータル27分に凝縮された音から次作を無限大に妄想させるような一枚だ。というより、彼らにとってこのEPはあくまでも顔合わせ、すなわち音合せ(サウンドチェック)程度の実力に過ぎないのかもしれない。

元祖 ・・・解散から7年の間、この手の界隈には様々な変化が起きた。中でも筆頭なのはDjentの台頭で、シーンを代表するUSのペリフェリーやUKのテッセラクトをはじめ、この手のジャンルやテクデス界隈のバンドでシクスの影響を受けていないバンドなんてこの世に存在しないんじゃないかってくらい(その影響は日本のマキシマム・ザ・ホルモンにまで及ぶ)、スウェーデンのメシュガーとともにDjentの元祖であり、Djentの原型を作り出した偉大なバンドである。彼らが冬眠する間、ペリフェリーやテッセラクトがシーンを牽引し、共に3作目でこれまで"アンダーグラウンド"なジャンルだったジェントを"メインストリーム"にブチ上げることに成功した。もはやシクスが産み落とした子(後継者)が親から授かった使命を貫き通し、切磋琢磨し合いシーンの『未来』を切り拓いていく姿に、子が親という偉大な存在を超えていく姿に、僕はマシュー・マコノヒーばりに咽び泣いていた。

新世界の神 ・・・テッセラクトのフロントマンことダニエル君が『惑星ポラリス』の中で「俺がジェント界の夜神月だ」とシーンに宣言したこのタイミングで、夜神月の「新世界の神」となる『野望』を阻止するため、ニアとメロのツインボーカル率いるシクスは復活したんだ、という風に考察すると俄然この手の界隈が面白く見えてくるかもしれない。ともあれ、このEPは「フルいけるやん!」と確信させるような、文句のつけようがない復活作です。
 
Opacities
Opacities
posted with amazlet at 16.02.20
Sikth
Imports (2015-12-11)
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Swallow the Sun 『Songs From The North I, II & III』

Artist Swallow the Sun
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Album 『Songs From The North I, II & III』
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Disc I [Songs From The North I]
Cover

Tracklist 
01. With You Came The Whole Of The World's Tears
02. 10 Silver Bullets
04. Heartstrings Shattering
05. Silhouettes
06. The Memory Of Light
07. Lost & Catatonic
08. From Happiness To Dust

Disc II [Songs From The North II]
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Tracklist
01. The Womb Of Winter
02. The Heart Of A Cold White Land
03. Away
04. Pray For The Winds To Come
05. Songs From The North
06. 66°50´N,28°40´E
07. Autumn Fire
08. Before The Summer Dies

Disc III [Songs From The North III]
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Tracklist
01. The Gathering Of Black Moths
02. 7 Hours Late
03. Empires Of Loneliness
04. Abandoned By The Light
05. The Clouds Prepare For Battle

イェンス・ブーム ・・・スウェーデンのDraconianと並んでメロドゥーム界を牽引するフィンランドのSwallow the Sunも、00年代後半のメタルシーンに突如として巻き起こった【イェンス・ブーム】、そのビッグウェーブに乗ってイェンス・ボグレン【No 実質 Jens!! プロデューサー】に起用した2009年作の4thアルバムNew Moonで、いわゆるメタル界の迷信を説き明かす事に成功したバンドの一つだ。しかし、間もなくイェンスから離れ、再び地元フィンランド人中心の人選でレコーディングされた次作の5thアルバムEmerald Forest And The Blackbirdでは、従来のOpethリスペクトやシンフォブラックなどの他に、アコースティック/フォーク・ミュージックの要素を大胆に取り入れ始めていた。しかし、如何せんイェンス・マジックによって生まれた傑作『New Moon』と比べると、元Nightwishアネット・オルゾンとのフィーチャリング以外これと言って特に見所はなかった気がする。そんな彼らの約三年ぶりとなる6thアルバム『Songs From The North I, II & III』は、何を血迷ったのかCD三枚組トータル約二時間半、軽く映画越えしちゃう超特大ボリュームとなっている。



『Ⅰ』 ・・・まずは一枚目の『Songs From The North I』。幕開けを飾る#1”With You Came The Whole Of The World's Tears”は、まるでX JAPAN”Voiceless Screaming”を彷彿とさせる、寂寥感を煽る80年代のフォーク・ソング顔負けのしみったれたアルペジオから始まり、前作を踏襲したまるでオーロラの如くエメラルドグリーンに、いや瞳のように透き通ったエメラルドブルーに煌めくキーボード、デプレブラック流れのノイズ感というかモダンだが粗暴な轟音ヘヴィネスからはポストブラックとも取れるアプローチを垣間見せ、鬱屈かつ荒涼とした空間が支配する一種のドゥームゲイズが、フィンランドという名の極寒の地に蠢くカオティックな狂気を浮き彫りにする。一枚目のリード・トラックとなる#3”Rooms And Shadows”では、フロントマンであり"ニット帽おにいさん"ことミッコの寂寥感溢れるボーカル・メロディからは、フォーク・ミュージックや北欧民謡の名残を漂わせるし、アウトロのGソロではX JAPAN”THE LAST SONG”に匹敵する泣きメロっぷりを発揮。ex-KATATONIAのノーマン兄弟が加入した事でも知られる、バンドの中心人物であるギタリストJuha RaivioのサイドプロジェクトTrees of Eternityでお馴染みのAleahとフューチャリングした#4”Heartstrings Shattering”、ドイツ出身のSarah Elisabeth Wohlfahrtとフィーチャリングした#6”The Memory Of Light”と#7”Lost & Catatonic”などの女性ボーカルをフューチャーした楽曲は、氷上の女神を司った今作のフェミニンなアートワークを象徴するかのよう。そして、ケルティックな音色とストリングスが優美に氷上を舞い踊るイントロから、雪の結晶の如し繊細なメロディに魅了される”From Happiness To Dust”で、美しくも清らかなエンディングを迎える。

懐メロ ・・・この一枚目は、前作を踏襲したフォーキーなアプローチ、俄然アンビエントな音響空間を意識したより幅広いアレンジが施されたキーボード、LantlôsAlcestをはじめとしたフレンチ産ポスト・ブラック勢からの強い影響下にある轟音ヘヴィネス、そして昭和歌謡を経由したX JAPANばりの歪んだ泣きメロを全面にフューチャーした叙情性と極寒の地の厳しさや孤独感を露わにする暴虐性、その静と動のコントラストを強調した、要するにこれまでのSWSらしいゴシック・ドゥームの王道的な作風となっている。その持ち味とも呼べる静から動への転換がプログレ並にスムーズで、安直に「いつものSWS」とか言いながらも、音の細部には確かな進化を伺わせる。これはフィンランド映画の巨匠アキ・カウリスマキの映画に使われている音楽を聴いて思ったんだが、フィンランド人の音楽的嗜好って日本を含む東アジアの歌謡曲が持つ民謡的で情緒的なメロディに近い、極めて親和性が高いというか、少なくともこの『Ⅰ』の音には、このSWSもそのフィンランド人特有の"懐メロスキー"の継承者である事を証明する、と同時にスオミ人の知性と(気候とは裏腹に)心温かい情念が込められている。

『Ⅱ』 ・・・今時、メタルバンドがアコースティック路線に傾倒する例は決して珍しくない。この手のバンドで代表されるところでは、スウェーデンのKATATONIAやリヴァプールのANATHEMAがそうだ。その時代の流れに取り残されんとばかり、この『Ⅱ』の中でSWSはアコギやピアノ主体のフォーク・ミュージックを展開している。川のせせらぎと共に、真夜中の浜辺でただ独り佇むような悲しみの旋律を奏でるダークなピアノインストの#1”The Womb Of Winter”で幕を開け、アルペジオを駆使した優美でフォーキーなサウンドがフィンランドの雪景色のように純白の心を映し出すような#2”The Heart Of A Cold White Land”KATATONIAのヨナスきゅんや中期ANATHEMAのヴィンセントリスペクトなミッコのボーカル・メロディが俄然フォーキーに聴かせる”Away”、そしてフィンランドのSSWで知られるKaisa Valaとフューチャリングした表題曲の”Songs From The North”では、Kaisa『叙事詩カレワラ』に登場する『大気の処女イルマタル』となってフィン語で優しく歌い上げることで俄然民謡チックに聴かせ、この三部作のハイライトを飾るに相応しい一曲となっている。その後も、Alcestもビックリのリヴァーヴを効かせたデュリーミーな音響空間とトリップ・ホップ的なアレンジを施したオルタナ風のオープニングから、緯度"66°50´N,28°40´E"に位置する北国の幻想的な白夜の静けさを音(インスト)だけで描き出し、An Autumn for Crippled ChildrenHypomanie、そしてCold Body Radiationをはじめとしたダッチ産シューゲイザー・ブラック顔負けの吹雪くような美メロをフューチャーした#7”Autumn Fire”、そしてラストの”Before The Summer Dies”までの後半の流れは、決して「いつものSWS」ではない、言わば新機軸とも呼べるモダンなアプローチや音使いをもって情緒豊かに聴かせる。もはや「こいつらコッチ路線のがいい曲書くんじゃネーか?」ってくらい、モダンな要素と持ち前の懐メロ感を絶妙な具合にクロスオーバーさせている。

『Ⅲ』 ・・・一枚目の『Ⅰ』では「いつものSWS」を、二枚目の『Ⅱ』では「新しいSWS」を、そして三枚組の最終章に当たる三枚目の『Ⅲ』では、メロディを極力排除したフューネラル/デス・ドゥームメタルの王道を展開している。さっきまでの美メロ泣きメロの洪水とは打って変わって、アートワークの下等生物を見下すドSな女神に「もう許して...許してクレメンス・・・」と懺悔不可避な容赦ない破滅音楽っぷりを見せつけ、さっきまでの夢の世界から一転して惨憺たる絶望の淵へと追いやられる。曲の中にも静と動の緩急を織り交ぜるだけでなく、アルバム単位でも音の強弱やギャップを効かせた演出を織り交ぜた謎のスケール感を強調する。

大気の処女イルマタル ・・・やっぱり、この三枚組で最も面白いのは二枚目だ。隣国のスウェーデン人の音楽と比べると、どうしても不器用さが気になってしまうフィンランド人の音楽だが、この二枚目ではフィンランド人なりの器用さを垣間見せている。それこそ、今作のアートワークを冠した女神『大気の処女イルマタル』が身にまとった大気(Atmospheric)を体外に放出するかの如く、とにかく真珠が煌めくような音響空間に対する意識の高さが尋常じゃない。この二枚目で目指した理想像でもある、KATATONIA『Dead End Kings』をアコースティックに再構築したDethroned & Uncrownedとほぼ同じ作風とアレンジだが、Alcestリスペクトな音響/音像をはじめ民謡風のメロディだったり、フィンランド人の根幹にある民族的な土着性とフォーク/アコースティックなサウンドとの相性は抜群で、さすがにヨナスと比較するのはヨナスに失礼かもしれないが、ミッコのボーカル・メロディに関してもイモ臭さは程々によく練られているし、歌い手としてのポテンシャルを過去最高に発揮している。

臨界点 ・・・この手の界隈で比較対象にされるDraconianと同郷のAmorphisイェンス・ボグレンデイビッド・カスティロを起用した、いわゆる【勝利の方程式】を説き明かして今年2015年に勝ちに来た一方で、このSwallow the Sunはこの三枚組の中で、メロドゥームとしての王道路線で対抗すると共に、KATATONIAANATHEMAなどの先人たちにも決して引けを取らない、モダンでアコースティックな路線でも対等に勝負できることを証明した、どの方向性、どのジャンルにも一切の妥協を許さない攻めの姿勢に僕は敬意を表したい。失礼だが、フィンランド人だけでここまでの仕事ができるなんて思ってなかったし、新作が三枚組だと聞いた時は血迷ったなって全く期待してなかったから、いい意味で裏切られた。ある意味、未だ誰も超えたことがなかったスオミ人としての臨界点を超えたと言っていいかもしれない。正直スマンかった。
 
Songs From the North I & II & III
Swallow the Sun
Century Media (2015-11-13)
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Soilwork 『The Ride Majestic』

Artist Soilwork
Soilwork

Producer/Mixing/Mastering Jens Bogren

Jens Bogren
Recording/Engineer David Castillo
David Castillo

Album 『The Ride Majestic』
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Tracklist
01. The Ride Majestic
02. Alight In The Aftermath
03. Death In General
04. Enemies In Fidelity
05. Petrichor By Sulphur
06. The Phantom
07. The Ride Majestic (Aspire Angelic)
08. Whirl Of Pain
09. All Along Echoing Paths
10. Shining Lights
11. Father And Son, Watching The World Go Down

ビョーン「イェンス先生、復活したいです・・・」

イェンス「ならテメーら大人しく俺の言うこと聞いとけや」

ビョーン「は、はい・・・」

イェンス「ソイルよ、モダン(アメリカ)の時代は終わった!北欧魂を取り戻せ!」

ビョーン「うおおおおお!!ピロピロピロピロピロ♪ランランララランランラン♪」

勝利の方程式 ・・・いわゆる「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信には、時として例外も存在する。厳密には、時としてイェンス・ボグレンは迷走したベテランの進路修正役としてその任務を果たしたり、時としてイェンス・ボグレンは落ち目バンドを蘇らせる"復活請負人"としての役割を担う事がある。元嫁が怪談作家の宍戸レイで知られる、フロントマンビョーン・スピード・ストリッド率いるこのSoilworkも例外ではなく、2007年作の7thアルバム『Sworn to a Great Divide』をリリースした時は、00年代以降のモダン・メタルコア/メロデスブームの終焉を告げる近年メタル界三代駄作の一つで、もはや「こいつらこれからどーすんの...」ってくらい、事実解散する可能性すら否定できない謎の絶望感すらあって、しかしその解散危機を回避する為にSoilworkが"復活請負人"として選んだ人物こそが、他でもないイェンス・ボグレンだ。イェンスとのなりそめは、世紀の駄作から約三年ぶりとなる2010年作の8thアルバムThe Panic Broadcastで、この時点ではまだミキシングエンジニアとしての関係だったが、二枚組の大作となった次作の9thアルバムThe Living Infiniteで、本格的にプロデューサーとして初タッグを組んだ結果、かつての栄光を失ったSoilwork『イェンスという名の電車』に乗って、見事メタルシーンに返り咲く事に成功するのである。実質的に、「イェンスと組んで3作目」となるSoilworkの10thアルバム『The Ride Majestic』は、いわゆる「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信を只の迷信で終わらせるような、一時はどん底まで堕ちたバンドには到底思えないほど、「This is Melodeathッ!!」な傑作となっている。それもそのはず、彼らは遂にイェンスだけじゃ飽きたらず、MoonspellLeprousの新譜でもお馴染みのDavid Castilloをエンジニアとして迎えており、つまり今作は【Jens Bogren×David Castillo=勝利の方程式】が実現した、約束された傑作なのだ。

集大成 ・・・オープニングを飾る表題曲#1”The Ride Majestic”のストリングスを交えたメッロメロなイントロから、ビョーンのクリーン・ボイスが炸裂するサビメロや叙情的なGソロまで、俺たちがソイルに求めている要素が凝縮された楽曲で、ダークという名のブラストに乗ってカオティックに展開する#2”Alight In The Aftermath”、ここにきてボーカリストとしてのポテンシャルを限界突破していくビョーンのクリーン・ボイスが冴え渡る#3”Death In General”、そして今作のハイライトを飾る#4”Enemies In Fidelity”までの序盤だけでガッツポーズ不可避だ。しかしそれ以降も走るのなんの。中でもメロブラ然としたブルータリティ溢れる#6、Rolo Tomassiみたいなマスコア風のオシャンティな単音リフを擁した裏表題曲の#7、その勢い最後まで衰えるばかりか、まるで今の脂が乗った彼らのように増すばかりだ。それこそ、"メロデス"とかいうサブジャンルとしての彼ら以前に、"北欧メタル"として"北欧メタル"であるべき真の姿を取り戻すかのよう。なんだろう、イェンスから「とりあえず走れ」「とりあえず弾け」「とりあえず歌え」という3つのシンプルな指令があったんじゃあないかってくらい、いま最もメタル界隈でキテるエンジニアが一同に集結した、そして「イェンスと組んで3作目」の円熟からなる近年ソイルの集大成であり最高傑作だ。
 
ライド・マジェスティック
ソイルワーク
マーキー・インコーポレイティド (2015-08-26)
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Symphony X 『Underworld』

Artist Symphony X
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Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Underworld』
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Tracklist
01. Overture
03. Underworld
06. Charon
07. To Hell And Back
08. In My Darkest Hour
09. Run With The Devil
10. Swan Song
11. Legend

ドタキャン ・・・今や日本で”ドタキャン”という言葉を聞いて真っ先に思い浮かぶのは、Mステドタキャンのt.A.T.u.じゃなくてラウパドタキャンのSymphony Xだが、そんな彼らも2007年作のParadise Lostというアルバムで、かのイェンス・ボグレンの手によって、これまでDream Theaterの影に隠れていたアングラオタクな存在感を表舞台に、それまでのB級メタルバンド的なイメージを覆すように、一流バンドとしてその存在をシーンに示した。個人的に、2011年作の8thアルバム『Iconoclast』はイマイチハマりきれなかったのだけど、その前作から約四年ぶりでイェンスと組んでからは三作目となる9thアルバム『Underworld』は、まさに「イェンスと組んだ一作目は名作になる」という”メタル界の迷信”を真実だと裏付けるような傑作『Paradise Lost』の再来を予感させる力作となっている。

影響 ・・・DTの影に隠れながらも、実力派オタク・パワー・メタルバンドとして高い評価を得ているSymphony Xだが、実はそのスタイルもDTを意識しながら順応し変化していったのも事実で、近年ではDTPeripheryらの若手Djent勢からの影響を受けたセルフタイトル作のDream Theaterをリリースしていたが、その影響を受けてこのSymphony X『Underworld』も、Protest the Heroをはじめとした若手?テクニカル・メタル勢からの影響を随所に垣間見せる作風となっている。その影響が顕著に表れているのが、「アルバムの一曲目がインストじゃないチンポリオはチンポニーじゃない!」という前作の不満を解消する#1”Overture”に継いで始まる#2”Nevermore”で、もはや確信犯的なディグりを感じるメインリフや中盤のインストゥルメンタルを耳にすれば理解できるように、それこそProtest the Heroの3rdアルバム『Scurrilous』”C'est La Vie”を彷彿とさせるトリッキーなリフ、同作の”Hair-Trigger”を思わせるスリリングなインスト・パートからして、若手の影響を直に受けて尚も新たなるチンポニーへと進化し続ける、バンドの中心人物であるマイケル・ロメオの貪欲な姿勢からは、「もうイングヴェイの影武者とは呼ばせない!」・・・そんな魂の鳴き声が聞こえてくるかのようだ。

・・・で、傑作『Paradise Lost』の名曲”Set the World on Fire”の流れを汲んだイントロからガッツポーズ不可避な表題曲の#3”Underworld”、まるで『Paradise Lost』の表題曲に匹敵するバラードナンバーの#4”Without You”、若いもんには負けん!とばかりのグルーヴィなリフやブラストを交えてゴッリゴリに展開する#5”Kiss Of Fire”、ロメオのギターオタクっぷりを垣間見せるキザミリフを多用した#6”Charon”、そして今作のハイライトで約10分におよぶ#7”To Hell And Back”は、往年のHR/HMを彷彿とさせるクラシックな雰囲気と男気あふれるラッセルの熱唱が俄然ドラマティックに曲を演出する。以降はイントロからプログレ全開の#9”Run With The Devil”とイントロからSW”3 Years Older”を彷彿とさせる#11”Legend”まで、確かに傑作『Paradise Lost』ほどのネオクラ要素はないが、その代わりにプログレ要素マシマシの一枚と言える。とにかく、今作のラッセル・アレンは、もはやオールブラックスのセンターフォワードばりにガチムチな”攻め”の姿勢を貫き通し、持ちうるメタルシンガーとしてのポテンシャルをパワー&フルに発揮している。あとイェンスと組んで3作目だけあって、お互いに全てを知り尽くした者同士だからこそのプロダクションの質の高さは、ぐうの音も出ないほど音の説得力に溢れている。少なくとも、ラウパドタキャンの理由として納得できる内容だとは思う。でも、中には「ラウパドタキャンしといてこれかよ」みたいに思う人もいるかもしれないw

Underworld
Underworld
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Symphony X
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Susanne Sundfør 『Ten Love Songs』

Artist Susanne Sundfør
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Album 『Ten Love Songs』
Ten Love Songs

Tracklist
01. Darlings
02. Accelerate
04. Silencer
05. Kamikaze
06. Memorial
07. Delirious
08. Slowly
09. Trust Me
10. Insects

北欧のスティーヴン・ウィルソン ・・・個人的に、海外のシンガー・ソングライターの中で新作がリリースされる度に欠かさず追い続けてるアーティストが、北欧ノルウェーはオスロを拠点に活動するノルウェイの森の不思議ちゃんこと、このSusanne Sundførだ。彼女の名を世に知らしめる大きなキッカケとなった、2010年作の2ndアルバム『The Brothel』を聴いた時の衝撃は今でも記憶の中に強くあって、ジャズ/エレクトロ/シンセ/アート/ドリーム/バロック・ポップやオルタナやエクスペリメンタルやアコースティックやフォークやトリップ・ホップやアンビエントやモダン・クラシカルやアトモスフェリックやインストゥルメンタルなど...ありとあらゆるジャンルと多種多様な楽器を変幻自在に操るマルチな音使いをもって、一種のおとぎ話のようなミュージカルさながらメルヘンチックに演出していく姿は、それこそPost-Progressiveと表現する以外他に例えようがなくて、あわやRiversideマリウス・デューダ君のソロ・プロジェクトをはじめとしたPost-Progressive界隈にも地味に影響を与えてるんじゃあないかってくらい、もはや日本の椎名林檎邦楽界のスティーヴン・ウィルソンだとするなら、このSusanne Sundfør北欧のスティーヴン・ウィルソンあるいは欧州のGrimesと言っても過言じゃあないくらい(グライムスよりも年上だが)、とにかくマジでスンゲーSSWというわけ。で、その傑作『The Brothel』が本国ノルウェーのチャートで一位を飾ると、続く3rdアルバムThe Silicone Veilも本国のチャートで一位を、そして約三年ぶりとなる4thアルバム『Ten Love Songs』も当然のように初登場一位を記録し、このように三作連続でチャートトップを飾っている所からも、母国では既に絶大な人気を博しており、名実ともに北欧いや欧州を代表するアーティストにまで上り詰めている。そんな彼女を人々はこう呼ぶ...北欧のケイト・ブッシュと! 最近では、フランスの英雄M83がトム・クルーズ主演の映画『オブリビオン』に書き下ろしたED曲でフューチャリングしてたりと、その知名度は着実に世界へと拡散中だ。

北欧の西野カナ ・・・この『Ten Love Songs』は、前作から顕著に浮かび上がってっきた"ボーカル重視"の流れを素直に踏襲しつつも、一方でソングライター以前に一人のシンガーとしてのポテンシャルを爆発させている。傑作『The Brothel』で提示したオルタナというかエクスペリメンタルというか、あらゆるジャンルを内包した「なんじゃこいつ!?」感や持ち前のPost-感というのは少し薄まって、あのM83とコラボした事で彼女の中でナニかが感化されたのか、よりメインストリームを意識した80年代リバイバル感溢れる俄然ポップでロリキュートなボーカル、そして北欧の西野カナを襲名するかのようなLOVE♥い歌詞を全面にフューチャーした、俄然レトロフューチャーなシンセ・ポップ色の濃い作風となっていて、それこそ『Ten Love Songs』という至ってシンプルなタイトルが示すように、10曲のラブソングとしてサクッと気軽に聴けちゃう、過去最高にkawaii-スイーツ感と大衆性に満ち溢れた作品となっている。



永遠のØ ・・・まさに今作最大のテーマである"ボーカリストとしてのSusanne Sundfør"を強く打ち出していくような、オープニングを飾る#1”Darlings”から、まるで小さな丘の上に佇む教会の中で、コーラス合唱隊という名の神の使いを引き連れたスザンヌが、USの歌姫Julianna Barwickばりの神聖な歌声を天上へと高らかに響かせる。その神々しい幕開けから一転して、それこそChelsea Wolfe直系の黒魔術を詠唱するかのようなスザンヌのゴシカルな歌声とダーティなエレクトロと妖艶かつ幽玄にユラリ揺らめくシンセ、俄然その密教的というかエスニックなムードを濃厚に演出するパーカッションが妖しくネットリと絡み合うダンス・ロックチューンの#2”Accelerate”、そのダークな雰囲気からギャップレスで繋がる#3”Fade Away”は、それこそABBAをはじめとした往年の北欧ポップ・ミュージックを継承するかのような、どこか懐かしくもあり史上最高にポップでもありフォーキーでもある情緒に満ち溢れたメロディ、その洗練された『王道』のポップスからは、もはや映画『サウンド・オブ・ミュージック』を観ているかのような、老若男女の郷愁心に訴えかける普遍的なキャッチーさすら感じ取れる。この#2#3【裏と表】あるいはと黒】のように対極的な曲調をギャップレスで繋ぐ演出は見事としか言いようがなくて、彼女のシンガー以前にソングライターとしての異常なポテンシャルを伺わせる。プロデューサーにJaga JazzistLars Horntvethを迎えた#4”Silencer”は、序盤はアコギとオートハープが織りなす遊牧的な音とスザンヌのウィスパーボイスが、そのタイトルどおり静かに、そして安らかに聴き手を黄泉の国へと誘い、しかし中盤からはストリングスを使って壮麗かつPost-的な展開力を発揮していく。・・・そして”カミカゼ”とかいう、もはや説明不要のタイトルを冠した”Kamikaze”は本作最大の目玉で、過去最高にエモーショナルな...誤解を恐れずに言うと媚びたような甘酸っぱいスザンヌの胸キュンボーカルッ!それはまるで神風特攻隊である主人公とヒロインの『愛』が込められた『魂』のリリックッ!そして零戦が飛び交うSEを使ったガチな演出とともにッ!特攻隊員の刹那的かつ激情的な想いと「最高にハイ!」ってヤツの狂気的な感情が一気に爆発し、まるで一寸法師の如くカオティックに踊り狂うかのようなシンセの音色が今世紀最大の感動を呼び起こすッ!これはもはやッ、Susanne SundfØrが音楽の世界で描き出す...スザンヌなりの『永遠のØ』だッ!

北欧の荻野目洋子 ・・・名曲”Kamikaze”のチェンバロを使ったアウトロのカタルシスと感動の余韻を残したまま、プロデューサーにM83アンソニー・ゴンザレスを迎えた#6”Memorial”へと繋がる。それこそ”Kamikaze”により儚く散っていった、永久に帰らぬ君を想うリリックを聖者に代わって神々しく歌い上げるスザンヌとM83直系の80年代リバイバルなシンセをフューチャーしながら、中盤からは映画音楽さながらの重厚なストリングスにより俄然ドラマティックに、音のスケール感をマシマシに演出していく、それこそ映画『オブリビオン』で共演した事の延長線上にある約10分を超える長編大作だ。で、まるで同郷のUlverの近作を彷彿とさせる狂気的なイントロから、引き続き壮麗なストリングスをフューチャーしたエレクトロ・ポップ調で展開する曲で、中でもCome into my arms, come into my armsという、まるで気分は『ダンシング・ヒーロー』荻野目洋子とばかりのリリックを繰り返し、愛する人の腕を力強く引き寄せるような#7”Delirious”、初っ端のPlease go slowly...とかいうスローセックス推奨のリリックからしてエロ過ぎる...もといエモ過ぎる曲で、「おいおいテレサ・テンか」ってくらい哀愁ダダ漏れの歌声と日本のムード歌謡を思わせるRøyksopp譲りのシンセ・サウンドに→「懐かしくて涙が出ちゃう、だって女の子だもん!」ってなることウケアイな#8”Slowly”、この#7→#8のいわゆる"歌モノ系"の流れを聴けば、このアルバムがいかに日本人向けと呼ぶに相応しいアルバムなのかが分かる。そしてシンプルな#9”Trust Me”から、まるで椎名林檎”尖った手口”に対するスザンヌからの回答であるかのような#10”Insects”まで、まるで百某の『永遠の0』はマガイモノだと言わんばかりの、僕たち日本人にこれが本物の『永遠のØ』だと説き明かさんとする傑作だ。

日本人好み ・・・このアルバム、まず何よりもボーカリストとしてのSusanne Sundfør、そのポテンシャルが過去最高に発揮されている。最高傑作と名高い2ndアルバム『The Brothel』と比較すると、M83リスペクトな音使いや80年代を意識した音作りは勿論のこと、スザンヌの感情的なボーカルワークやフィンランド映画『アナとオットー』をイメージさせる刹那的なリリックまで、全ての音の嗜好がメインストリーム市場向けに著しく変化しているのが分かる。その変化が最も大きな部分は他でもないスザンヌのボーカルで、2ndアルバムの頃はボーカルが一つの楽器として機能していたが、今作では日本の荻野目洋子をはじめ、80年代の昭和歌謡にも通じる情感溢れるエモーショナルな歌声と持ち前の高域の美しさと低域の妖艶さを自在に操るボーカルワーク、その魅力が余すことなく堪能できる今作は、もはや"歌モノ"として聴くべきアルバムなのかもしれない。そのサウンドも同様、意図的にチープというか80年代を意識したレトロフューチャーなシンセをはじめ、ドラム・アレンジまでも徹底して80年代を再現した音作りになっており、細部まで緻密に計算し尽くされた80sリバイバル・サウンド、そのクリエイターとしての徹底したガチっぷりにリスペクト不可避だ。そのアレンジに関しても、まるでテレサ・テン『愛人』を彷彿とさせる昭和歌謡っぽさあって、とにかくメロディからアレンジまで日本人の心に違和感なく溶け込む音色で埋め尽くされていて、これはもう完全に日本人向けの作風と言い切っちゃっていいレベルだ。元々、これまでの作品にも共通する遊牧的な音の温かさだったり叙情的な曲の雰囲気は"日本人好み"だと思ってて、今作ではそのいわゆる"日本人好み"のステータスがカンストを超えてゲージを振り切っている。だからGrimesよりも日本で人気が出ても全くおかしくないというか、むしろ日本人が聴かなきゃいけないアーティストだと心から思う(なお、日本での知名度...)。同時に、”Fade Away”みたいなABBAリスペクトな楽曲を書いたお陰か、初めてスウェーデンのランキングにチャートインした事実を見ても、今作は意図的にスウェーデン市場を狙った確信的な一枚でもあるのだ。少なくとも"歌モノ"として聴けば2ndに匹敵する完成度だし、"歌モノ"に限って聴くなら間違いなく最高傑作だと思う。それこそ初めて彼女の作品を聴くって人には、これ以上ないほど打って付けの一枚と言える。なんつーか、前作の一皮剥けきれないハンパなイメージや唯一のネックだった作品の尻すぼみ感は一切なくて、最後の最後までノリノリdeアゲアゲなダンス・ミュージック的さながらのテンションで振り切った末の傑作だ。これは余談だけど、今作屈指の名曲”Kamikaze”を初めて聴いた時は→「よし!"カミカゼ"って単語は歌詞に入ってないな!」って安心して聴いてたけど、後で歌詞カードを見たら普通に「カミカゼ」って言葉が歌詞にあって、それが外国人特有の「カミカズィ~」的な発音だったから全然気づかなかったみたいで、でもこれ気づかないほうが名曲に聴こえるヤツなんで「カミカズィ~」は忘れちゃてください。

SSW三姉妹 ・・・結論として言うなら→「もうなんか完全に椎名林檎の『日出処』とリンクしてて面白いってレベルじゃねぇわもう」です。そもそも、ナゼ僕が【椎名林檎が日本におけるPost-Progressiveの先駆け、第一人者】だと考察しているのかと言うと、ハッキリ言っちゃえば椎名林檎という存在にこのSusanne Sundførと同じフィーリングを感じているからで、例えばこの『Ten Love Songs』にもあるような曲間のギャップレスな繋ぎから、ボーカル・メロディの作り方やチェンバロ及び映画音楽顔負けのストリングスを大胆に取り入れたアレンジ面もどことなしか似ている。当然、それは彼女たちが"オルタナティブ"な存在だと理解した上での話なのだけど、アルバムの中盤あたりからストリングスを押し出していく演出も『日出処』と共振するかのよう。そして何よりも、最近では「もう王道のことしかしたくない」と語っている椎名林檎だが、他でもないこの『Ten Love Songs』も紛れもなく『王道』の音楽と呼べるソレで、事実、椎名林檎で言うところの毒素というか不思議ちゃんみたいな取っ付きにくそうなオーラ、これまでの少し奇をてらった"アンダーグラウンド"なイメージを完全に払拭しきっている。音的にも、細部まで緻密に練りこまれたというより驚くほど大胆かつシンプルで、音使いや音数(音色)も過去最高にシンプルかつ最小限に抑えられているし、小難しいことは何一つない大衆性に溢れたアルバム・コンセプト的にも、もはや必然的に『日出処』と同列に語りたくなるのが男の性ってもんだ。つまり、今作で彼女も椎名林檎と同じ"ある境地"に達したと認識していいだろう。同時に、これはもはや『日出処』に対する北欧ノルウェーからの回答である、という事も。しかしもう既にスザンヌは椎名林檎グライムスにも影響を与えているのかもしれない。というより、日本におけるPost-Progressive界の第一人者として、同じ"オルタナティブ"なSSWとして彼女の存在を意識していないわけがない。つうか、椎名林檎が長女(37歳)で、このスザンヌが次女(29歳)で、グライムスが三女(27歳)でSSW三姉妹的な解釈を持ってみると、また違ったナニかが見えてくるかもしれない。アジア文化に関心がある、この三人に共通するオリエンタリズム的な意味でもね。特にスザンヌは本国ノルウェーだとEMIに所属しているってのが何よりも面白い。ともあれ、もし椎名林檎『林檎フェス』なるものを開催しようもんなら、是非とも外タレ枠で呼んで欲しい最もたるアーティストだ。

SW×SSW ・・・しっかし、約三年ぶりのフルアルバムという事で若干心配したが、蓋を開けてみると著しい変化とともに確かなスザンヌ節も要所にあって安心した。あらためて、海外のSSWで一番好きなアーティストだと再確認した次第だ。と同時に、これは最近のANATHEMAにも同じことが言えるのだけど、ノルウェーとUKミュージックとの親和性の高さって一体何なんだろうなって。まぁ、それは割りとどーでもいいのだけど、そんな事よりいつかマジでスティーヴン・ウィルソンとコラボして欲しいっつー話w

Ten Love Songs
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