Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

レビュー (E)

Earthside 『A Dream in Static』

Artist Earthside
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Producer/Mixing David Castillo
David Castillo
Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album A Dream in Static
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Tracklist
01. The Closest I've Come 
03. A Dream In Static
04. Entering The Light
05. Skyline
06. Crater
07. The Ungrounding
08. Contemplation Of The Beautiful

勝利の方程式 ・・・ここ最近のメタル界隈には→「今の時代、イェンス・ボグレン単体じゃありきたりだし物足りない...せや!相棒のデイビッド・カスティロも一緒に指名すれば優勝間違いなしや!」みたいな風潮あって、そのいわゆる【Jens Bogren×David Castillo=勝利の方程式】を、なんとデビュー作で説き伏せる掟破りのクソ野郎が現れた。何を話そう、【US】【ニューヘイブン出身】【四人組】ということ以外全てが謎に包まれた、その名もEarthsideの1stアルバム『A Dream in Static』は、その「勝ちたいんや!」精神に溢れた、まるで全てのプログレッシブ・メタルを過去の物にするかのような、そしてオルタナティブ・ヘヴィ界およびプログレッシブ・ヘヴィ界に真正面から殴りこみをかけるような一枚となっている。

「こいつら一体ナニモノなんだ!?」 ・・・その謎は一向に解決せず、こうなったら音源を聴いてみるしか他ない、というわけで、今作の一曲目である”The Closest I've Come”を聴いたら今世紀最大の衝撃が走った。もはやポストロック的ですらあるドリーミーで幻想的なイントロで幕を開け、まるで全盛期のDaniel Liljekvist顔負けのタイム感を刻むドラミングを筆頭に、Tool直系の理知的なキザミリフと世界で初めて【勝利の方程式】が解かれたKATATONIAの歴史的名盤『The Great Cold Distance』直系のオルタナティブ・ヘヴィネス、OSIを彷彿とさせるモダンでダーク・アンビエントな音色を奏でるATMS系キーボード、そして初期Riverside顔負けの薄暗い叙情性が、それこそEarthsideというバンド名が示すとおり地球規模で展開する圧倒的な音のスケールをもって、シネマティックかつドラマティックな無駄のない展開力を爆発させる。少なくとも、このオープニングの一曲だけでこいつらがどれだけヤバいのか、タダモノじゃないのが理解できる。一見「インストバンド?」と思いきや、イントロからThe Moscow Studio Symphony Orchestraによる映画『レ・ミゼラブル』あるいは『指輪物語』ばりの壮大で喜劇的なオーケストレーションを全面にフューチャーした#2”Mob Mentality”では、ゲストにSevendustラジョン・ウィザースプーンを迎え、彼のエモーショナルなボーカル・メロディや絶妙にハスキーな声質も相まって、イギリスのポストハードコアバンドっぽい雰囲気というか、IntervalsThe HAARP Machineでお馴染みのMichael Semeskyを彷彿とさせる。#2を聴いて、「インストバンドじゃない?!」と意表を突かれ、そしてマス系のオシャンティなイントロで始まる#3”A Dream In Static”を聴いたら自分の耳を疑った。なんかTesseractダニエル・トンプキンズ君にクリソツな美しすぎるハイトーンボイスが聴こえてきて笑ったんだが、それがどうやらマジでダニエル君らしいと分かった時が個人的なハイライトで敗北宣言、というか、ダニエル君の声がデイビッドとイェンスという黄金のスウェーデンコンビ】にミックス/マスターされた事の方が地味に凄くね。要するに→【Jens Bogren×David Castillo×Daniel Tompkins=yes!!yes!!Jens!!。再び北野映画すなわち久石譲的な、ゲスト・ミュージシャンのMax ZTが奏でるダルシマーのオリエンタルな音色をフューチャーした#4”Entering The Light”、そして今作のハイライトを飾る#5”Skyline”では、AlcestGod Is an AstronautもビックリのATMS系ポストメタルを展開し、まるで気分は映画『インターステラー』で娘達のビデオメッセージに号泣するマシュー・マコノヒーの如く、宇宙空間(ワームホール)の中に放り出されたような美メロの洪水に涙不可避だ。
 


・・・で、流石にもうこれ以上驚く要素ないでしょと気を抜いた矢先、「なんかビョーンっぽいな...でもビョーンより上手いな」と思ったらマジでSoilworkのビョーンがゲスト参加してた#6”Crater”、ポーランドのWidekを彷彿とさせるATMS系DjentにKATATONIAのセッション・ミュージシャンでお馴染みのJP AsplundによるパーカッションやHenrik Gennertによる流麗なGソロをフューチャーした#7”The Ungrounding”、そしてUSオルタナFace the KingEric Zirlingerをゲストに迎えた曲で、今やエクストリーム・ミュージック界の頂点に君臨するLeprousばりのシンフォニック狂騒曲の#8”Contemplation Of The Beautiful”まで、Dream TheaterToolをはじめとしたUSプログレッシブ/オルタナティブ・ヘヴィ界隈、ToolフォロワーのSoenや皇帝KATATONIAをはじめ、AtomaEnshineを筆頭としたスウェーデン産ATMSの新興勢力、そしてTesseractTo-MeraなどのUKモダン・ヘヴィ/アンダーグラウンド・メタル界隈からRiversideをはじめとした辺境プログレ界隈まで、ポストロックやジェントなどのモダンな音像から往年のプログレ・メタルならではの泣きのメロディまで全てを飲み込み、まるで一本の大作映画を観ているかのような、いわゆる"プログレ・メタル"と呼ばれるジャンルの醍醐味が一つに凝縮された、一切の隙も妥協もない実にProgressiveなアルバムだ。

メタル界のタブー ・・・ここにきてデビュー作から【勝利の方程式】を解くという、言わば"メタル界のタブー"を犯した彼ら自身相当な批判を受ける『覚悟』があったはずだ。しかし、それらの批判やヒネクレ野郎ばかりのプログレ界隈の住人に有無を言わせず『納得』させてしまうこのアルバムは、Soilworkなど今年イェンスが関わった作品は元より、ダニエル君が復帰したTesseractRiversideの新作に喰ってかかるほど、正体不明の出自も相まって未知数なポテンシャルに溢れている。普通にInside Out辺りからリリースされてもおかしくない傑作だ。 しかし、こう言っちゃあアレだが、無名バンドでも「kawaiiは作れる」ならぬ流行りの【勝利の方程式】は作れる、という真実が暴かれたのはプログレ・メタル界にとって大きな損失、はたまた大きな収穫か・・・?
 
A Dream in Static
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Enslaved 『In Times』

Artist Enslaved
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Mixing Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『In Times』
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Tracklist
02. Building With Fire
03. One Thousand Years Of Rain
04. Nauthir Bleeding
05. In Times
06. Daylight

イェンス童貞 ・・・今や”イェンス童貞”じゃないバンドの方が少ないんじゃあないかってくらい、メタル界屈指の売れっ子エンジニアとなったイェンス・ボグレン。あのOpethでもなんでも、イェンスと組んだバンドは一作目のアルバムが名作になるみたいな風潮があって、この北欧ノルウェイの森に棲むクマおじさんこと、Enslavedもイェンスを迎えた2010年作の11thアルバムAxioma Ethica Odiniで、名実ともにOpethMastodonを代表とする一流プログレ・メタル勢の仲間入りを果たした。2012年作の12thアルバムRIITIIRでは、前作から鮮明化したプログレ路線が著しく進むと同時に、Alcest以降のモダンなポストブラック勢からの影響も垣間見せ始め、ケモナーみたいなムッサいムッサい見た目のイメージとは裏腹に、メチャクチャ器用な音楽センスを見せつけていた。で、次はどうでるか?まさか本当にシューゲイザーやっちゃうか?なんつって。まぁ、それは冗談として→そんなEnslavedは約三年ぶり、イェンスと組んでから早くも三作目となる13thアルバム『In Times』をリリースした。

クルゾ...クルゾ...コネー('A`) ・・・結果的に、先ほどの予想は良くも悪くも真っ向から裏切られる形となった。結論から言ってしまえば、この『In Times』はここ最近の近代プログレ・メタル路線から一転して、10アルバム『Vertebrae』以前の不気味さと混沌さ蠢くノルウェイジャン・ブラック、要するに本来のEnslavedの姿へと回帰している。その”違い”は幕開けを飾る#1”Thurisaz Dreaming”から顕著で、Axioma Ethica Odini流れのヴァイキンガーの血が騒ぎ出す勇壮な勢いはそのままに、鍵盤奏者エルブラン・ラーセンによる気だるく幽玄なクリーン・ボイスを披露する中盤、そして本来この展開なら最後に大サビが来るはずなのに何事もなく曲が終わる。なんつーか→「大サビ来るぞ...大サビ来るぞ...コネー('A`)」みたいな、なんだろう、『男の世界』で例えるならフィニッシュする直前に嬢に「はい時間でーす☆」と言われた時の感覚っつーのかな、ある種の”寸止めプレイ”を食らった感覚に陥る。この時点で分かるのは、ここ二作のウリだった急転直下型の緩急を織り交ぜたド派手な展開力は比較的影を潜め、一転して下手にコネクリ回さないシンプルな構成かつ無骨に展開していくイメージが先行すること。それと同時に、ここ最近のプログレ化によって生じた音の軽さや民族的世界観の希薄さなどの弊害から脱し、従来のブラックメタル然としたドス黒い『漆黒の意志』が音に宿り、雄々しくも深みのあるコンセプティブな世界観を形成している。少なくとも、最近のプログレ路線を期待すると肩透かしを食らうのは確か。

シブみ ・・・近年Enslavedの功労者であり鍵盤奏者エルブラン・ラーセンが主役を務める#2”Building With Fire”では、過去二作でもはや”歌モノ”と呼んでいいくらい叙情的なメロディ重視だった彼のクリーンボイスは、今作では一転して浮遊感重視の幽玄なクリーンボイスを披露している。前作、前々作みたく存在感が浮くぐらいガッツリメロディを歌い上げるというわけじゃなくて、以前と同じような立ち位置/スタイルであくまでもコーラス役に徹している点も、過去二作との大きな”違い”と言える。あくまでも無駄を削ぎ落としたスタイリッシュでオーガニックなノルウェー流のブラックメタルを目指した、そんな彼らの明確な意思が感じ取れる。確かに、一聴した時のインパクトでは最近の二作に劣る。しかしシブい、とにかく”シブみ”は過去最高にあって、どこの誰にも媚びないベテランらしい一枚でもある。全6曲トータル約53分という潔さも、本作の”シブみ”に拍車をかけている。いくら過去二作とは毛色が”違う”とは言っても、#4”Nauthir Bleeding”では初期Alcest顔負けの遊牧民的で民謡チックなムードをアピるし、#6”Daylight”では暗転パート以降のガチでポストロック/シューゲイザーやっちゃう、ノルウェイの森のクマさんという名の五人の天使が織りなす繊細な美メロフレーズと、北欧神話の雷神トールが地上に降り立ったかの如し五人のケモナーが大地を轟かすメタリックなヘヴィネスとのギャップ萌えに男泣き不可避だ。一聴して今作が”スルメ盤”であることが分かるが、随所で過去二作で培ったモダンな要素を本来の姿に統合させる事に成功しており、つまり持ち前のライティング能力、その器用さは一層に磨きがかっている。そして、何と言っても表題曲の”In Times”は、民族楽器を使ったイントロのポロ~ン♪からスケール感溢れる展開力と幽玄の極みとばかりの深淵な世界観、これまで溜めに溜め込んだエモーショナルな感情をここぞとばかりに爆発するさせるエルブランのボーカルまで、ここ最近のEnslavedが築き上げてきた玄人スタイルの一つの終着点と言っても過言じゃあない名曲だ。とにかく、序盤は”寸止めプレイ”みたいな楽曲が続いてなかなかイケない(フィニッシュできない)状態に陥るが、しかし男の色気が出てくる4曲目以降、特に表題曲とラストの存在感を前にすれば全てを許してしまう。それくらいインパクトある。

・・・しかし何度も書くけど、今作は過去二作のプログレ路線が好きな人向けというより、それこそブラックメタル...それ以前に”メタル”が好きな人に強くオススメしたい。一抹の不安だったイェンスと組んで三作目というジンクス/マンネリ感は心配するに至らなくて、もはや彼らの集大成と呼んじゃっていいレベルの力作だと。やっぱその辺の器用なバランス感覚はベテランならではの業だと思うし、改めてなんやかんやスゲーおっさん達だと。
 
In Times
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Enslaved
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Esben and the Witch 『A New Nature』

Artist Esben and the Witch
Esben and the Witch

Album A New Nature
A New Nature

Tracklist
01. Press Heavenwards!
02. Dig Your Fingers In
03. No Dog
04. The Jungle
05. Those Dreadful Hammers
06. Wooden Star
07. Blood Teachings
08. Bathed In Light

UKの相対性理論 ・・・アイスランドのマイルドヤンキーことSólstafirと対バンすると聞いた時は、魔女が"俺の界隈"の一員である事を証明しているようで面白かったんだが、そんな"ナイトメアポップ"を称するUKはブライトン出身の三人組、Esben and the Witchの約一年ぶりとなる3rdアルバム『A New Nature』は、音楽専門クラウドファンディングPledgeMusicにて制作資金を募り、プロデューサーにはNirvanaやPJ Harveyとの仕事で知られる重鎮スティーヴ・アルビ二を迎えてレコーディングされた作品で、自身で新たに立ち上げたレーベルNostromo Recordsからリリースされている。で、前作のWash the Sins Not Only the Faceでは、それこそ"イギリス郊外でパラレルワールド"ならぬ"イギリス郊外でねるねるねるね"やってて、言うなればUKの相対性理論みたいなシティ・ポップ作品だった。

!!! ・・・その前作から一年ぶりの3rdアルバム『A New Nature』は、プロデューサーにスティーヴ・アルビニというだけあって、前作とは確実に一線を画した作風にガラッとその姿を変えている。初っ端から10分を超える#1"Press Heavenwards!""!"の部分からも垣間見える(えっ)、自らの"ルーツ"であるGodspeed You! Black EmperorSwansへのアツいリスペクトが込められた、まるで一本のロードムービーを観ているかのようなポストロック然とした音のスケール感とノイズロック然とした荒々しい轟音ヘヴィネスが一体化した作風となっている。それは前作の幾つかの曲を聴けば分かるように、もともと轟音ポストロックライクな嗜好を持っていた彼らだが、本作ではその"Post-系"に対する"憧れ"みたいなナニカが露骨に表面化している。中でも、Subrosa顔負けのシブいトランペットをフューチャーした14分を超える大作の#4"The Jungle"では、Earth界隈直系のダーティなムードと自然マジリスペクトなスケール感を併せ持つ昂然たるポストロックやってて、続く#5"Those Dreadful Hammers"ではUlver&Sunn O)))顔負けのドローン/ドゥーム系の歪んだ轟音ヘヴィネスにド肝を抜かれる。そして徐々にシブ味が増していくようなミニマルなメロディで聴かせる#6"Wooden Star"までの流れは本作のハイライトで、それはまるで聖地巡礼へと向かう崇高な旅路を、朽ち果てた荒野を一歩一歩力強く踏みしめていくような、人間の尊厳を深裂に描き出していくような重厚かつ荘厳な音に只々圧倒される。まるで気分は映画『ザ・ロード』のヴィゴ・モーテンセンだ。

Post-系 ・・・とにかく、前作のメルヘンチックなメンへラ系サブカル音楽からは到底想像できない、一線を超えちゃったエクスペリメンタルでオーガニックな、アメリカンナイズされた骨太な轟音とのギャップに"ねるねるねるね"のババアも→「エスベンと魔女は、ヘっへっへ。ねればねるほど色が変わって...ギョエエエエエエエエエ!?」ってなるくらい様変わりしている。例えるなら→か弱いサブカル女子が屈強な女ボディビルダーに変貌したような感覚あるし、そして何よりもエスベンと魔女のアーティストとしてのポテンシャルに驚かされる。要するに、いわゆる"俺の界隈"とは少し距離のあるノイズ/ドローン界隈の立ち位置から音を鳴らしている。個人的な嗜好は置いといて、その完成度は前作を遥かに凌駕している。確かに、そもそも魔女がこれをやる必要があるのか?という疑問は残る。が、むしろ魔女がやるからこそ"面白さ"が見出だせるアルバムなんじゃあないかと思う。特に、UKミュージック愛に溢れた2:54The Other Iと聴き比べると俄然面白い事になる。しっかし、これだけヘヴィでアグレッシヴな、それこそIsisにも精通しそうな音響系ヘヴィロック、ある種の"ポストメタル"とも取れる音を出している所を見ると、あのマイルドヤンキーと対バンするのにも自然と納得がいく。
 
A New Nature
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Esben and the Witch
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Esben and the Witch 『Wash the Sins Not Only the Face』 レビュー

Artist Esben And The Witch
Esben and the Witch

Album 『Wash the Sins Not Only the Face』
Wash the Sins Not Only the Face

Tracklist
01. Iceland Spar
02. Slow Wave
04. Shimmering
05. Deathwaltz
06. Yellow Wood
08. Putting Down The Prey
09. The Fall Of Glorieta Mountain
10. Smashed To Pieces In The Still Of

【ナイトメア・ポップ】・・・2008年に結成された、イギリスはイースト・サセックス州ブライトン出身の三人トリオで、通称ナイトメア・ポップと称されるエスベンと魔女ことEsben and the Witchの約二年ぶり通算二作目『Wash the Sins Not Only the Face』が、まさしく2012年にデビューした同郷の2:54に通じる艶美で妖麗なオルタナ・ロックやってる件について。で、2011年にデビューし話題を呼んだ1st『Violet Cries』の曲を聴いた時点では、悪くはないけどそこまでツボにハマるような印象は全くなかったんだけど、しかし今作は自分でも驚くくらいツボにハマった。

【ネルネルネルネ】
・・・基本的なサウンドスタイルとしては→いわゆるドリーム・ポップやポストパンクそしてポストロッキンなアプローチを加えたゴスいオルタナって感じで、あのWarpaintにも通じる幽玄で暗鬱なサイケデリック・ミュージックを展開している。そのWarpaint2:54と比較すると、このエスベンと魔女はゴシック/イーサリアル寄りのヒンヤリと冷たい感触を持っていて、まるで闇夜の森の奥深くで老婆の魔女がネルネルネルネを練り込むように、紅一点のフロントマンRachel Daviesによる黒魔術を唱えるかの如し呪術的なボーカルと、ギタリストのダニエルと兼鍵盤奏者のトーマスによるメランコリックなメロディセンスが織りなす、それこそ”ナイトメア・ポップ”を称するに相応しい耽美な音世界に聴き手を引き込んでいく。とにかく、いわゆるATMS空間形成に対する尋常じゃない意識の高さに驚かされる。



【UKの相対性理論】・・・まず、オープニングを飾る#1”Iceland Spar”のイントロからケタタマシク鳴り響く、まるでIf These Trees Could Talkを彷彿とさせるATMS系シューゲ/ポストロックライクな轟音ギターから、このエスベンと魔女のポストロック系に対する意識の高さを伺わせる。そして、まるで相対性理論が掲げる”シティ・ポップ”に対するイギリスからの回答、もしくはカウンターであるかのような、淡く灰色に輝くイギリス然とした街並みを、まるで魔法の世界に迷い込んだかのような恐ろしくも幻夢的な情景を描き出すギター・リフに惹き寄せられる#2”Slow Wave”は、それこそ東京都心はパラレルワールドならぬ英蘭郊外はネルネルネールネってやつだ。で、ほの暗い耽美エントなイントロからハモリを効かせたボーカルそして凍えるように肌寒く透きとおったサビメロへと繋がる#3、まるで悪夢を見ているかのようなATMS空間の中でパーカションが一種異様な存在感を放つ#4、再びポストロック全開の音使いとボーカルのメランコリックなメロディが、ほのかにプログレスな感度をもってポップなリズムを刻みながら極上のATMSフィールドを展開していく#5”Deathwaltz”は、あのMogwaiからも一目置かれているという、その理由を理解ッさせ納得ッさせるような名曲だ。

2013年BEST・・・ここまでの前半は、同郷のMidas Fall的でもある比較的”ロック”なビートをもった”歌モノ”志向の強い曲調で聴き手(パンピー)を誘惑しておいてから、そして遂に後半から魔女がその本性を現す→まずはエレクトロニカを効果的に使ったChelsea Wolfe直系の#6、ポストパンク的なリズムとブラックゲイズ風のノイジーなギターが織りなす#7を筆頭に、他にもイーサリアルやらフォークやらポストパンク等なんでもござれな、まるで夢遊病患者の夢の如し暗鬱な音世界が延々と続き、その中でもChelsea WolfeKayo Dot界隈にも通じるインディ・フォークの#9は後半のハイライトと言っていい。けど、やっぱり名曲の#2と#5を擁する前半の流れと比べると物足りなさは否めない。だから、トータルで見るとそこまで凄い作品ではないかもしれない。でも、とにかく”UKの相対性理論”かってレベルの#2と同郷の2:54を彷彿とさせる#5の存在が、昨年の年間BESTに挙げざるを得ないほどの大きな決定打となったわけです。

Wash the Sins Not Only the Face
Esben & The Witch
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Extol 『s/t』 レビュー

Artist Extol
Extol
Producer/Mixed/Mastered Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Extol』
Extol

Track List
01. Betrayal
03. Wastelands
05. Faltering Moves
06. Behold The Sun
07. Dawn Of Redemption
08. Ministers
09. Extol
10. Unveiling The Obscure

MantricBenea Reachのメンバー擁する、今年で結成20周年を迎えたノルウェーはオスロ出身の三人トリオ、Extolの約8年ぶりの復活作で通算五作目となるセルフタイトルの『Extol』なんだけど、これがまたプロデューサー/エンジニアに俺たちのイェンス・ボグレン、アートワークにかのトラヴィス・スミス氏、そして今ッ北欧で最もキテるレーベルIndie Recordingsからのリリースということで、なんかもう以下の条件だけで聴く前から良作が確定してるようなもんで、案の定その内容も凄かった。

 その音楽性としては、同郷のLeprousの3rdBilateralを彷彿とさせる”70s-Prog”成分配合のノルウェイゲン・ブラック/アヴァンギャリズムやゴジラ直系のグルーヴ/スラッシュ成分、Fear Factory風のマシナリーな音の質感やオペにゃん直系の大胆な展開力を兼ね備えたエクストリーム系プログ・メタルやってて、同郷のイーサン叔父貴や魔人EnslavedBorknagarそして同レーベルのIn Vainを筆頭としたその手のイェンス産プログレ・ブラックやPT周辺のUKプログレ勢を連想させる、いわゆる”70s”の香り漂う仄かにサイケでユウゲンな【ATMSフィールド】を展開するクリーン・パートだったり、Cynic風のフュージョンちっくな泣きのGソロだったり、要するにイェンス・ボグレンが大得意とするスタイルそのもの...ってな感じの音楽性。で、ヘタしたら同じくイェンスが手がけたIn Vainの新作Ænigma以上の傑作、ヘタしたら年間BEST行きの可能性も大アリの内容で、これには”やっぱイェンスってスゲーわ”...と同時に”やっぱノルウェイ界隈おもすれー”ってなった。当然、今回はイェンスが手がけてると知って初めて聴いたナニがあったんだけど、これが予想外にツボな音楽性で、その内容もセルフタイトルを掲げるに相応しい良作で大変嬉しく思っている。なんつーか、Leprousが新作Coalで失ってしまったあの頃の”ノルウェイゲン魂”を受け継いでる感あるし、そのレ・プラスよりも変拍子を多用したテクニカルかつブルータルなリフで目まぐるしく複雑に展開していく、メンの確かな技量に裏打ちされた存外タイトでグルーヴィな変態技巧派エクストリーム・ミュージックは凄まじく圧倒的。

 とりあえず頭の#1”Betrayal”と#2”Open The Gates”からして、なんかもう問題『イェンス・ボグレン先生が大好き♥な曲を作りましょう』という問の”答え”みたいなもんで、この二曲を聴いた時点で良作を確信するレベル。で、Gojira直系のスラッシーな鬼グルーヴを発揮する#3やメロデスラッシュな#4、笑えるぐらい泣きまくりのGソロが聴きどころの#5”Faltering Moves”、そしてチェロの音色が優美に彩るシブい良質インストの#7”Dawn Of Redemption”から流れ変わったな。再びチェロ×アコギが織りなす優美なイントロから、レロレロレロレロトレモロ・リフやまるでICS Vortexが憑依したかのようなクリーン/コーラスをブラストに搭載して”ノルウェーサイコーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!”とかいう奇声を発しながら疾走するタイトルトラックの#9”Extol”はバンド名を掲げるに相応しい名曲で、その#9と組曲となる本編ラストの#10”Unveiling The Obscure”まで全10曲トータル約45分、AOR風のクリーン/チェロを擁した泣きメロと変態テク/プログレとエクストリーム/スラッシュのバランス感覚が絶妙で、序盤の勢いを保ったまま頭から尻尾まで、むしろ後半(#7)から本気出してくるという濃すぎるぐらいの内容。しかもボートラの”Sting Of Death”も何故ボートラなのか不思議に思うぐらいの良曲。そんな感じで、もはや当ブログWelcome To My ”俺の感性”の読者のためにあるような作品だし、今ッ最もアツいノルウェイ界隈を象徴するかのような一枚。文句なしにオススメ。 

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