Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

レビュー (K)

℃-ute解散がショック過ぎるので更新停止します

KATATONIA 『サンクティテュード』

Artist KATATONIA
KATATONIA

Live 『サンクティテュード』
サンクティテュード

Tracklist
01. In The White
02. Ambitions
03. Teargas
04. Gone
05. A Darkness Coming
06. One Year From Now
07. The Racing Heart
08. Tonight's Music
09. Sleeper
10. Undo You
11. Lethean
12. Day
13. Idle Blood
14. Unfurl
15. Omerta
16. Evidence
17. The One You Are Looking For Is Not Here

電撃加入 ・・・最近のKATATONIA関連のニュースで驚いた事といえば→昨年、「ギャラの取り分少ねーよ(家族との時間を優先したい)」という理由のため、惜しまれつつKATATONIAを脱退したドラマーのDaniel Liljekvistが、以前から僕が贔屓にしている同郷のIn Mourningに電撃加入!?という今世紀最大のビッグニュースで、てっきりもう二度と彼のドラムを聴くことはないと失望してたもんだから、この衝撃ニュースが飛び込んできた時は大喜びしたと同時にクソ笑った。そんな古参メンバーであるダニエルノーマン兄弟が脱退した後のKATATONIAは、Bloodbathで知られるギタリストのペル・エリクソンとベースのニクラス・サンディンを新メンバーとして迎え入れたが、ダニエルが脱退すると間もなくペルも脱退する事となり、現時点のメンバーはアンダースヨナス、そしてニクラスの三人体制となっている。その三人体制で、昨年にロンドンの歴史的な教会として知られるユニオン・チャペルで行われた、アコースティック・ライブの様子を収めた映像作品『サンクティテュード』が発表された。

KATATONIA第二章 ・・・良くも悪くもKATATONIAに大きな変化をもたらした問題作『死の王』こと『Dead End Kings』を発表した事で、KATATONIA第一章は終わりを告げ、その『死の王』を再解釈/再構築し、新たにKATATONIA第二章として産声を上げた『Dethroned & Uncrowned』に伴うツアーを収めたライブ作品で、その『D&U』の楽曲を中心に、歴代アルバムの名曲がアコースティック・アレンジで甦る、それこそKATATONIAファンが待ち望んだ夢のようなライブとなっている。サポート・メンバーには、ヨナスとのコラボ(Wisdom of Crowds)でも知られ、先日初来日を果たしたThe Pineapple Thiefブルース・ソードとアルバム『D&U』でもお馴染みのJPがパーカッションとして参加している。結果論ではあるが、もしギタリストのペルが脱退していなかったら、今回のブルースとカタトニアによる夢のコラボは実現する事はなかったと思うとアレ。

雰囲気ライブ ・・・まるで聖者(死の王)の復活を祝う信者の集いの如く、リーダーのアンダースはバリトン・アコースティック・ギターを、ヨナスはエレキ・ギターを抱えて椅子に腰掛けながら演奏し、そのメンバーと対等に観客も着席スタイルのライブとなっている。それ即ち、ギターを弾くヨナスの姿がまじまじと見ることができる大変貴重なライブとも言える。ヨナスはMCで「緊張している」と連呼する割には、体形的な意味でも歌声的な意味でも共にベスト・コンディションで、そこにアンダースとブルースのコーラスが重なって、あまりにも贅沢過ぎる絵面が生まれている。で、さすがにユニオン・チャペルという伝統的な教会だけあって、そのステージ上には淡色に揺蕩うキャンドルの灯火と暗闇の中を射すひとひらの光の如しライトアップによって、まるで『ブラッドボーン』の世界の如し荘厳かつ耽美的な世界観をシンプルに演出してみせる。その神聖な会場から醸し出される独特の空気感とアコースティックな楽器の音が繊細かつ優美に、そして生々しく会場に響きわたる。とはいえ、やっぱり基本的に映像は暗いです。それこそ『LIFE!』女優の石橋杏奈ちゃんが嬉し泣きしそうな最高の"雰囲気音楽"、すなわち"雰囲気ライブ"の極みで、しかしその雰囲気をブチ壊すような観客のガヤが時たま入るのが、海外ライブらしいというかフリーダムな感じで嫌いじゃないですw

Unplugged ・・・おいら、何度でも言うけど『死の王』は元々"アンプラグド化"する事を前提に制作されたアルバムだと信じてやまなくて、実際このライブ音源を聴いてしまうと、もうアンプラグド版の方が"オリジナル"にしか聴こえない。それくらい、KATATONIAの楽曲と"Unplugged"の相性はバツグンである事を証明している。そもそもKATATONIAといえば、メタリックなヘヴィネスと儚くも美しいメロディが絶妙なバランスで共存した音楽をウリとするバンドだが、このライブではバンドの一番のウリと言っても過言じゃあない天性のメロディセンス、そしてヨナスによる魅惑的なボーカル・メロディがより鮮明かつ表面的に、より繊細かつ濃厚に堪能することができる。ライブ・アレンジが加えられたヨナスのボーカルをはじめ、五感に沁み渡るようなメロディの洪水に、まるで割礼の儀を受けているかの如し『清らか』な音空間が静かに拡がっていく。あらためて、元々フォーキーで情緒的なメロディを持ち味とするKATATONIAが、このようなアコースティック・ライブを敢行するなんて事は、意外でもない想定内の出来事だった。特に”The Racing Heart”から”Tonight's Music”の流れは本公演のハイライトだし、涙なしには見れない初期の名曲”Day””Idle Blood”→本編ラストを飾る”Unfurl”までの終盤は実に感動的。アンコールの”The One You Are Looking For Is Not Here”では、アルバムにも参加したThe Gatheringのシリエが登場してヨナスとのディエットを披露する。いわゆる"Bサイド"と呼ばれる近年の楽曲や過去の名曲のアコギ・アレンジ、プロフェッショナルな他アーティストとのコラボレーション、そしてカタトニアの"音響"に対する"こだわり"を垣間見せるような、文字どおり"スペシャル"なライブとなっている。それこそ過去のKATATONIA今のKATATONIAを繋ぎ合わせるような、カタトニアの"オルタナティブ"な音楽性に何一つのブレもない、揺るぎない信念が貫かれた音楽であることを証明するかのようなライブだった。アコースティック・ライブとしては十分な曲数と演奏時間だと思うし、何よりもヨナスきゅんのパーカッション姿が見られるのはこのライブだけ!平成ヨナス合戦ぽんぽこ!

ANATONIA ・・・ANATHEMA『Universal』というライブ作品をリリースしているが、音楽的にもバンドイメージ的にも陰と陽を象徴する対極であり対等なバンドが、一方のANATHEMAが大仰なオーケストラを擁し、一方でKATATONIAが静かなアコースティックをフューチャーするという、このようにライブでも対極的な景色を描き出しているのはとても興味深いし、本当に面白いと思う。ANATHEMA『Universal』がロックバンドとしてのダイナミクスを全面に押し出した、圧倒的な多幸感と激情的なエモーションに溢れた世界的なショーなら、このKATATONIAは絶望の中に希望を見出すような、地域密着型の庶民的で温かいアトモスフィアを形成していく。ライブでも双方の違いを証明すると同時に、互いに引かれ合う存在=ANATONIAとして確かに"リンク"する場面が見えてくる。流石に映像の質やカメラワークの演出的な部分ではANATHEMAに劣るが、チョイと酒を引っ掛けながら作業用BGMに近い感覚で気軽に観られるのは断然KATATONIAの方だ。しかし、まさか『Damnation』みたいな作品を出している盟友のOpethより先にアコースティック・ライブを映像化するなんて、10年前じゃまず考えられなかった事だろう。

ドキュメンタリー ・・・ライブ本編以外には、ヨナスとアンダースがインタビューに質問形式で答える、約60分に及ぶドキュメンタリーが収録されている。 今回のアコースティック・ライブについての質問が大半を占める中、数多くある質問の中で、僕が特に興味深いと思ったのは→「ライブが音楽業界の主な収入源となっていること」に対する答えと、「フランク・デフォルトがカタトニアに与えた影響と賛否両論」という鋭い質問で、以前から近年KATATONIAに与えたフランクの影響、その大きさに言及してきた僕としては非常に興味深い話だった。今は関係良好のまま互いに別の道を行くことに決めたらしく、今後はフランクとのコラボの可能性はないとも答えている。確かに、このライブにフランクが参加していない時点でナニか違和感あるし、そのことについてもアンダースは残念だと嘆いている。そして古参メンバーの脱退、特にダニエルの脱退を非常に残念がっていて、あらためてフランクとダニエルがバンドに与えた影響、その存在の大きさが見て取れる。そんな中、既に新作のアイデアを集めているという嬉しい情報もあり、そして作曲における"色"の大事さや、「作曲しながらアニメーションを作っている感覚」というアンダースの創作技術を暴露する回答もあったりして、ファンとしてはとても面白い話ばかりだった。あと「余計なものを削ぎ落した」というヨナスとアンダースの言葉で思い出すのは、昨年リリースされたDIR EN GREY(一巡)の9thアルバム『ARCHE』の存在で、お互いに表現方法こそ明確な違いはあるものの、やはりKATATONIADIR EN GREYは血縁関係にある事を再認識させた。ライブ本編はMCらしいMCはなくテンポよく進むので、ライブ本編だけ観られればいいという人は無理に字幕付きの国内盤を買う必要はないです。でもドキュメンタリーまでジックリ見たいって人は、字幕付きの国内盤をオススメします。本作、本当に素晴らしいライブ作品なのだけど、やはりダニエルがこの夢のような絵面の中に存在しないのが唯一の残念だ。なお、ダニエルはIn Mourningで先輩風吹かせながら音楽活動をエンジョイしている模様w

きのこ帝国 『フェイクワールドワンダーランド』

Artist きのこ帝国
きのこ帝国

Album 『フェイクワールドワンダーランド』
フェイクワールドワンダーランド

Tracklist
01.東京
03.ヴァージン・スーサイド
04.You outside my window
05.Unknown Planet
06.あるゆえ
07.24
08.フェイクワールドワンダーランド
09.ラストデイ
10.疾走
11.Telepathy/Overdrive

脱アンダーグラウンド ・・・奇才津野米咲率いる赤い公園は、日本レコード大賞の優秀アルバム賞を受賞した2ndアルバム猛烈リトミックの中で、いわゆる"超えちゃいけないライン"の上で"売れたい、売りたい"の精神を両手に新時代の"J-POP"へと猛烈な勢いで振り切っていたが、その赤い公園のボーカルであり"ガールズ・ロック界の研ナオコ"こと佐藤千明と同姓同名の佐藤千亜紀率いる4人組、きのこ帝国の2ndアルバム『フェイクワールドワンダーランド』も、言うなれば"脱アンダーグラウンド"の方向性へと振り切っている。



東京 ・・・おいら、遠い昔は初期YUIすなわち全盛期YUIのファンで、YUIは1stアルバム以外認めないほどの人間で、そのYUIの1stアルバム『FROM ME TO YOU』にも"TOKYO"という曲がある。最近ではパスピエの2ndアルバム幕の内ISMにも"トーキョーシティー・アンダーグラウンド"とかいう曲があったりするし、他にも"東京"をテーマにした曲は山ほどある。で、先ほどの"脱アンダーグラウンド"というイメージは、『LIFE!』女優の臼田あさ美を起用したMVが話題を呼んだ一曲目の"東京"や二曲目の"クロノスタシス"のような、いわゆる"シティ・ポップ"感あふれる本作のリード・トラックを耳にすれば分かるハズだ。初めて"東京"を聴いた時は→「あり?こいつらってこんなバンドだったっけ?どうでもいいけど、こういう大衆ウケを狙った音だけど私たちノイズ/シューゲにもバリバリ精通してます(テヘペロ)みたいな、ちょっとキドった邦楽ロックもういいから・・・ホントもういいから・・・」というネガティヴな感想を持ってて、しかし心の奥底には(でもスゲーいい曲だな...)という正直な想いも確かに存在していて、そんな妙な"引っかかり"みたいなのがあって、つまり赤い公園と同じように2ndアルバムで"脱アンダーグラウンド"へと振り切ったその理由、その"意思"に僕は大いに興味を惹かれたのである。

ガール「ねぇ、クロノスタシスって知ってる?」

ぼく「いや、知らない。クロノトリガーなら知ってる(どやっ!)」←モテない

ガール「時計の針が止まって見える現象のことだよ」

ぼく「DIOのスタンド攻撃かな?」←モテない



シン・シティ・ポップ ・・・このアルバム、ネクラでヒキコモリの中二病系サブカル豚野郎相手にドヤってたミニアルバムの『渦になる』やEPの『ロンググッドバイ』、そして前作の1stアルバム『eureka』とは一線を画していて、"らしさ"のあるダウナーな狂気性と前向きでポジティブな力強いエモーションがユラユラと不安定に揺れ動く"東京"は、荒波のような時の流れと焦燥感あふれる東京の街を再現するかのような轟音に、東京を舞台に"アナタ"という『光』あるいは『希望』を見出した刹那い系の歌詞を、椎名林檎は元より初期YUIや新星Aimerを連想させる、都会の孤独感や疎外感をウリにしたシンガー・ソングライター的な存在感を発揮するVo佐藤が感情を高ぶらせながら俄然エモーショナルに歌い上げる、まるでバンドを次のステージにブチ上げるかのような、もはやきのこ帝国を代表するアンセムと成りうる名曲だ。ちなみに、赤い公園猛烈リトミックにも"TOKYO HARBOR"というゲストにKREVAを迎えたシティ・ポップナンバーがあるが、二曲目の"クロノスタシス"は夢遊病患者の夢ような幻想的かつノスタルジックな世界の中で、ポエマーみたいなリリックをソウル/ラップ調のボーカルでシットリとリリカルに聴かせる楽曲で、この頭の二曲できのこ帝国なりの"シティ・ポップ"の新たなる形をシーンに掲示してみせる。

椎名林檎×YUI=きのこ帝国 ・・・このアルバム、例えるなら『勝訴ストリップ』あたりの椎名林檎初期YUIのちょうど中間に位置する、メジャーっぽくもありインディっぽくもあるサブカルみたいなスゲー面白い立ち位置にいて、特に初期Whirrを彷彿とさせるダウナー系胸キュンシューゲの#3"ヴァージン・スーサイド"や不協和音のような不快感を煽る狂ったようなノイズを放つ#6"あるゆえ"、そして今の季節にピッタリな素朴な歌詞が染みわたる#9"ラストデイ"で聴けるような初期椎名林檎を彷彿とさせるアンニュイでシニカルなボーカルを耳にすれば、フロントマンの佐藤千亜紀"ボーカリスト"としての自覚が芽生えているのがわかる。???「私は楽器じゃない!」・・・その姿は、まるで相対性理論TOWN AGEやくしまるえつこのようだ。当然、その歌唱力は決して褒められたもんじゃあないが、ほとばしる妙なヘタウマみたいな感覚はまさにYUIそのもので、中でも今は行方不明者となってしまった全盛期のYUIが現代に蘇ったかのよな#10"疾走"のインパクトったらなくて、もはや今後のきのこ帝国の方向性を見定める一曲になるんじゃあないか?ってくらい、ネクラだった奴が生まれて初めて真っ直ぐなキモチを歌った、それこそ"大衆性"に満ち溢れたポップ・チューンだ。で、もしこれが初期椎名林檎だけをイメージさせるアルバムだったなら、その辺にいるサブカルバンドとなんら変わらないし、いわゆる"俺の感性"もここまでの反応を示さなかったと思う。でも初期椎名林檎初期YUIのハイブリット型J-POPってんなら話は違ってくる。僕は赤い公園猛烈リトミックの記事の中で→「"売れたい"という"意思"を感じないきのこ帝国には興味がない(キリッ)」みたいな事を書いたが、ありゃとんだ誤解だった。今のこいつら、、、ドチャクソ面白いです。

超えちゃいけないライン

猛烈リトミック』≠『フェイク~』 ・・・このアルバム、インダストリアルやアコギをフューチャーしたトリップ・ホップ系のインストをはじめ、ハーモニカを使ったカントリー調の楽曲などの新機軸的な発想を絶妙なアクセントとして落とし込んでいる。だから思いのほかゴチャゴチャしているというか、初期椎名林檎がシューゲ化したかと思いきや、一転してYUIあるいはチャットモンキー風のメジャーなJ-POPに聴こえる曲もあったりして、正直かなり"おいしい"立ち位置にいるというか、当然それは各方面からの影響を取り込んだ結果でもあって、とにかく過去最高に"私たち色んなことできますアピール"が凄いアルバムだ。良く言えば幅広い、悪く言えば曲の向いている意識がバラバラだ。でもこれを赤い公園猛烈リトミックと同じように"バラエティ豊か"なんて安直に表現するのは少し間違っているというか、あれだけ多くのジャンルが交錯しているのにも関わらず一つのアルバムとして成立しちゃってるのが『猛烈リトミック』の凄い所でもあって、逆にこの『フェイクワールドワンダーランド』は"中途半端"だから面白いというか、なんだろう"超えちゃいけないライン"を目の前にしてウジウジしてるような、まだどこか過去の自分を引きずってるような戸惑いや迷いみたいなのがあって、でも逆にそれが"らしさ"に繋がっている気がしないでもなくて、要するに"開かれている"を体現したような『猛烈リトミック』と比べたらまだまだ全然"アンダーグラウンド"だし、インディの殻をブチ破れていないってのが正直なところ。いや・・・僕はきのこ帝国を例に出してまで赤い人を持ち上げたいわけではなくて、確かに赤い人『猛烈リトミック』は日本中の音楽好きが反応してやらなきゃいけない、すなわち"売れなきゃいけないアルバム"だった。しかし、この『フェイクワールドワンダーランド』は別に"売れなきゃいけないアルバム"でもないし、日本の音楽リスナーが特別に"反応しなきゃいけないアルバム"でもなくて、一見すると双方似た境遇、似た立ち位置にあるアルバムのように見えて実は全くベクトルの違う作品なのだ。むしろ『猛烈リトミック』に対する"カウンター"みたいな解釈を持って聴くと俄然面白くなるというか、「じぇいぽっぱー?阿呆くせぇ・・・日和ってんじゃねーよブス」とでも言いたげな佐藤千亜紀の凛々しさに惚れる。実際、高揚感を煽るエピカルなオルタネーターっぷりを発揮する”You outside my window”の歌詞にある「阿呆くせぇ」と同じノリで佐藤に「イカ臭ぇ」って罵られたい系男子絶賛急増中じゃん・・・?ともあれ、赤い人は過去の自分を全て引っ括めてNEXTステージにブチ上げたが、きのこ帝国はまだまだヒキコモリのネクラ精神が抜け切れていない。だからこのアルバムは、"ブレイク"を目前にしてモジモジしてるウヴな女の子感に萌えるアルバムなのだ。

裏BESTアルバム ・・・このアルバム、これまでの洋楽志向の強い音から一転して邦楽志向の強い音に振り切ってるのが最も大きな"変化"で、正直"マニア向けのシューゲイザー"の域を抜け出せていなかった過去作よりは色々な意味で面白いです。でも技術的な面からメロディやアレンジ面、そして音作りからソングライティング面も含めて、まだまだ力量が自らの理想像に追いついていない状態で、要するに→本作が今のきのこ帝国が振り切ることのできる限界ラインと設定すると、恐らくは"超えちゃいけないライン"の上に立つであろう次のアルバムが早くも楽しみになってくるし、それはきっと"売れなきゃいけないアルバム"になるに違いない。そこで初めて『猛烈リトミック』と同じ景色が見れるんだろう。だから、もっともっと振り切っていい。例えば赤い公園津野米咲をプロデューサーとして迎えるとか、橋本愛似の端正な顔立ちからイメージされるミステリアスな雰囲気をブチ壊すような、例えば佐藤千亜紀が萌え豚アニメのコスプレしながらライブするくらい振り切っちゃっていい。まぁ、それは冗談として→結論から言えば、今のちんこ帝国もといきのこ帝国ほど面白いバンドって他にいないんじゃあないか、ってお話。つうか、なんか久々にドイヒーなレビューになってしまったので、反省の意味を込めて、ゆらゆら帝国妖精帝國を筆頭としたいわゆる"帝国系バンド"の一角を担うきのこ帝国"サVカル系男子"こと率いるsukekiyoの対バンが発表されるまで更新停止します。

フェイクワールドワンダーランド
きのこ帝国
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Killer Be Killed 『Killer Be Killed』

Artist Killer Be Killed
Killer Be Killed

Album 『Killer Be Killed』
Killer Be Killed

Tracklist
01. Wings Of Feather And Wax
02. Face Down
03. Melting Of My Marrow
04. Snakes Of Jehova
05. Curb Crusher
06. Save The Robots
07. Fire To Your Flag
08. I.E.D.
09. Dust Into Darkness
10. Twelve Labors
11. Forbidden Fire

【DEP×丼×Soulfly×The Mars Volta】・・・先日、Opethミカエル・オーカーフェルトIn Flamesビョーン・イエロッテMastodonビル・ケリハーによる新プロジェクトが発表された。Opethのミカエルはコラボの常連だが、そのミカエルとビョーンのスウェディッシュ勢とUS勢のビルとの組み合わせはちょっと想像つかなかった。しかし、ビルと同じマストドンのベーシストトロイ・サンダースは、一足先にThe Dillinger Escape PlanSoulfly/ex-Sepulturaの主要メンバーらとコラボしてたりする。そのスーパーバンドこそ、このKiller Be Killedだ。

【kojiki-Metal】・・・これまたムッサ苦しいくらい濃ゆいメンツで、この獣臭い髭もじゃ野郎たちで繰り広げるメタルはさぞかしムッサい”kojiki-Metal”なんだろうと想像したとおり→とりあえず、一曲目の”Wings Of Feather And Wax”を聴けば分かるように、アメリカン・モダンヘヴィネス/グルーヴ・メタルとブラジリアン・スラッシュがエクストリーム合体した、なんかもう”計算され尽くしたメタルコア”といった感じの曲で、リードボーカルはトロイでサビメロはDEPのグレッグが担当し、転調してからはマックス・カヴァレラの独壇場だ。普段はバカテクのカオティックなハードコアを本職としている連中には、もはや「メタルコアなんてチョロいっす」みたいなノリというか余裕すらある。実際スゲー良い曲なんだけど、本家でやってる音楽性から見ると「へーすごい(棒)」みたいな感想しか出てこないのは、本家のDEPやマストドンの”凄み”を表しているのか、それともDjentに立ち位置を奪われたメタルコアというジャンルに倦怠感を感じているからなのか?まぁ、それはさて置き、それ以降は「メロディなんかクソ食らえ」と言わんばかりの、ブルータリティ溢れる重心の低い極悪なヘヴィネス一辺倒で全てを捻り潰していく。そして、マストドン譲りのプログレッシヴな展開力を発揮しながら、ザックザクに刻み込むリフに乗せてトロイ&グレッグ&カヴァレラの野性的かつ獰猛な咆哮のかけ合いが、半ば強制的にヘドバンを誘発する。その中でも、グレッグ中心のDeftonesライクなオルタナティブ・ヘヴィの#3”Melting Of My Marrow”や#6”Save The Robots”、スラッシーな#4”Snakes Of Jehovah”、ミドルテンポ主体で凶悪なヘヴィネスを轟かせる#5、カオティック・ハードコアの#7”Fire To Your Flag”、もはや当たり前のようにGojiraライクなハードコアパンク/デスロールの#8”I.E.D.”、オルタナ期のメタリカっぽい#11”Forbidden Fire”など、各メンバーそれぞれの持ち味を活かした男気あふれる硬派なエクストリーム・ハードコアをよりどりみどり取り揃えている。例えるなら→グルーヴ・メタル化したConvergeみたいな雰囲気すらある。

最大手Nuclear Blastからのリリースということで、言わずもがな、その内容は折り紙つきだ。メタルコアというより、メロディを極力排除したガチなハードコアファン向けって感じだけど、どちらかと言えば各メンバーが属するバンドのコアなファン向けの企画モノなのかもしれない。



Killer Be Killed
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KATATONIAからドラムのDaniel Liljekvistが脱退

KATATONIA

     「get a normal job


スウェーデンの皇帝KATATONIAからドラマーのDaniel Liljekvistが脱退した。主な理由は、海外のバンドにありがちな『家族』の事を考えた結果、とのこと。約10年間、KATATONIAのドラマーとして人生を捧げてきた彼の存在は、プロデューサーのイェンス・ボグレンと共にこのKATATONIAがここまで大きくなれた理由、言わば裏の立役者だった。そんな彼がそれなりに有名なバンドマンとしての地位よりも、いわゆる”普通の仕事”の方を優先するなんて・・・ダニエルの深い心の内までは知る由もないけど、いま思えば一昨年にノーマン兄弟が似たような理由で脱退したのを皮切りに、同年にリリースされた9thアルバム『死の王』のまるで打ち込みのように生気のないドラミング、そして昨年のリメイク作『Dethroned & Uncrowned』が大きな決め手となったのか、今年このタイミングで脱退する伏線()はこれまでに沢山あった。



確かに、『Dethroned & Uncrowned』の時に音楽に特化したクラウドファンディングPledgeMusicでカンパを募っていたが、その時は「おっ、KATATONIAも流行りに乗って新しい試みに挑戦するのか!」くらいにしか思ってなくて、まさかその裏にこんな事情があったなんて・・・。正直、KATATONIAほどの大物ですらバンド一本で食っていけない現状に、あらゆる意味でショックを隠せない。しかし、これが今の音楽シーンの現状なんだって、無理やり自分を納得させた。確かに、このKATATONIAは音楽性も安定性のない情緒不安定なバンドではあるが、それでもメタル界隈でここまでの地位を築き上げてきたのにも関わらず、”get a normal job(ゲット・ア・ノーマル・ジョブ)”と言えちゃう人生...ステキやん。この脱退劇を見たら、あらためて僕が世界一リスペクトしているドラマー、その推しメンへの想いがより強固なものとなった。しかしノーマン兄弟、そしてドラマーのダニエルが脱退したとなると、今後のKATATONIAの路線に大きな影響を与えることは不可避で、同郷のOpethがミカエルのワンマンバンドになってしまったように、このKATATONIAもオリジナルメンバーのアンダースとヨナスのツーマンバンドになることは容易に想像できる。現に、それはここ最近の作品のクレジットを見れば顕著だ。しっかし、なぜスウェーデン人はそんなところまでインギーリスペクトなのか・・・。なにはともあれ、これにてKATATONIA黄金は終わりを告げ、物語はKATATONIA第二章へと繋がっていく。



約十数年前、鳴り物入りでKATATONIAに加入したダニエル君だが、僕がKATATONIAの最高傑作だと思っている2001年作の5thアルバム『Last Fair Deal Gone Down』から、持ち前のタイトでグルーヴ感のあるドラミング、そのポテンシャルを遺憾なく発揮していた。その時から既に、まだ少しあどけなさ(絶妙な不安定さ)を残しながらもどこか妖艶な雰囲気を醸し出していた。続く6thアルバム『Viva Emptiness』では、前作の倍ほどの手数の多さと俄然メタリックでアグレッシヴなドラミングを聴かせ、7thの『The Great Cold Distance』では5thの頃のタイト感から更に上品かつ献身的なプレイを身につけていた。そしてダニエルのドラマー人生、KATATONIA人生の集大成を飾る8thアルバム『Night Is the New Day』では、只ならぬ凄艶さと謎の貫禄を身につけ、もはや今作一番の聴きどころと言っていいほどのダーティ&アダルトなドラミングを披露していた。しかし、実質的に彼の遺作となった『Dead End Kings』では、これまでの色気のあるイキイキとしたドラミングは跡形もなく消え、その生気を失ったドラミングと比例するように、作品の完成度も決していい内容とは言えなかった。そもそもKATATONIAの曲って、基本的にダニエル君のドラムが発するタイトなリズム&グルーヴ中心に作られていて、その独特のリズム&ビートに合わせてアンダースのギターとヨナスのボーカルで肉付けしていくスタイル、つまりダニエル君のドラムがダメだと作品そのものがダメになってしまう。それを皮肉にも証明したのが『Dead End Kings』で、この作品だけドラムが後付っぽいというか、それまでの名作陣と比較しても唯一ドラムが主導権を握っていない作品なんだよね。つまり、この作品がダニエルの脱退を予言していた説。



僕は思う、違法ダウンロードを規制したらCDが売れるなどという幻想を追いかけているこのガラパゴス日本じゃあ、クラウドファンディングなんか一生かかっても根付かないし、そもそもその考え自体が根本的に間違ってるんじゃあないか?ってね。この話とは全然関係ないけど、この日本にも上陸間近と噂されるSpotify(スポティファイ)は非常に便利な音楽ツールだが、では作り手側がスポティファイを利用するメリット、利益って果たしてあるんだろうか?って。損得の比率が聴き手側に傾きすぎているんじゃあないか?決して作り手側の利益にはならないんじゃあないか?という疑いが晴れない。これはトム・ヨークの言葉にも繋がってくるんだけど、それはここでは割愛して・・・今回の件を踏まえて考えると、僕は現状のままではスポティファイの存在には反対だ。そのスポティファイやクラウドファンディングを利用した音楽の新しいカタチが徐々に広まっていき、音楽シーンおよび音楽制作の現場の変化が著しい昨今だが、今後の音楽シーン、特に聴き手側は”聴き手という名の支援者”と”聴き手という名の聴き手”の2つに大きく分かれていくだろう。そして今一度、日本の音楽好きに考えてほしい、「誰が音楽を殺すの?」かを。もしかするとそれが自分かもしれない、ということを。・・・という風に、自身に対する自虐や皮肉で話をまとめながらも、結局僕たちリスナー(聴き手側)がアーティストに対してできる主な事といえば→ライブを観に行ったり、音源(CDやBandcamp)やグッズを買って支援するくらいしかなくて、要するに僕が言いたいことはたった一言・・・

             get a normal job

                         もとい... 

ダニエル君の時として激しく、時として堅実(タイト)に、時として官能的(エロス)なドラミングを聴けええええええええええええええええええええええ!!(いともたやすく行われるえげつないアフィ)

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KATATONIA 『Viva Emptiness (Anti-Utopian MMXIII Edition)』 レビュー

Artist KATATONIA
KATATONIA
Mixing David Castillo
David Castillo

Album 『Viva Emptiness (Anti-Utopian MMXIII Edition)』
Viva Emptiness (Anti-Utopian MMXIII Edition)

Tracklist
01. Ghost Of The Sun
02. Sleeper
03. Criminals
04. A Premonition
05. Will I Arrive
06. Burn The Remembrance
07. Wealth
08. One Year From Now
09. Walking By A Wire
10. Complicity
11. Evidence
12. Omerta
14. Inside The City Of Glass

【Viva Emptiness】・・・初めてこの『Viva Emptiness』を聴いた時の印象というのはどうだろう?確か...中期のデプレッシブ・ロック路線を完成させた前作の5th『Last Fair Deal Gone Down』とは一線を画した、KATATONIA史上最もメタリックかつアグレッシヴ、そしてプログレッシブ・ヘヴィ直系の大胆な展開力を身につけたゴッリゴリの”メタル”やってる、そんな印象だったかな。初期のデス/ゴシック/ドゥーム路線から中期のデプレ・ロック路線を経て、約10年ぶりに再びメタルに擦り寄った作品であると同時に、それ以降の作風にも多大な影響を与えた、言わば後期KATATONIAの原型にあたる作品でもあって、僕の推しメンであるダニエル君の手数の多い荒々しいドラミング、その今作一番の特徴と言えるまるでドラム缶を叩いているようなスカンスカンした音を聴けばわかるように→これはもはやKATATONIA流の解釈で同年にリリースされたMetallica『St. Anger』やってみた作品、というのが、この『Viva Emptiness』に対する僕なりの見解。 

   キャリー

【ロリ堕天使】・・・あらためて、この『Viva Emptiness』というのは→まだ”ボーカリスト”として覚醒する前の、ほのかに青臭さの残るヨナスきゅんのボーカル、そのヨナスきゅんのホラーちっくな歌声が醸し出すサイケデリックな灰色の世界、リーダーのアンダースとノーマン兄によるゴッリゴリに刻むモダンなヘヴィネス、ダニエル君の知性を感じさせる官能的なドラミング、そしてイェンス・ボグレンによるギトギトした音が『漆黒の意思』をもってエクストリーム合体した結果→KATA史上最も激しくも幽玄な轟音を生み出していた。そんな原作と今回のリミックス作で物語を作るとするなら→原作で翼を失ったロリ堕天使が地上に舞い降り、10年経ってオトナへと成長したリミックス版で映画『キャリー』という名のメンヘラクソビッチ化もといクロエ・モレッツ化して人間に復讐する物語です(でも、このハツラツとした背中はどう見ても一仕事終えた後だな...)。まぁ、そんな冗談はホドホドにして、この『VE』がなければ、次作の7th『The Great Cold Distance』という傑作は間違いなく生まれなかっただろうし、そこから更にポッチャリした8thNight is the New Dayも存在しなかったかもしれない。なお、KATATONIAという名の堕天使は次作の9th死の王で腐海へと沈むが、しかしスグに復活する模様。

【Viva Emptiness 2013】・・・本作品は、そんな『Viva Emptiness』がリリースされた2003年から10週年を記念したリヴァンプ/リミックス/リマスター作品で、お馴染みのトラヴィス・スミス氏が手がけた新たなアートワークの描き下ろしをはじめ、サウンド面では主にキーボードが新規で追加されている。その結果→原作の凍え死ぬほどのソリッドな空気感は薄れ、全体的に温度のあるマイルドな音のリアレンジが施された、もはや完全に別ものとして聴けなくもない正統なアップデート作品となっている。

【イェンス・ボグレン-スカンスカン=??】・・・まず、幕開けを飾る#1”Ghost Of The Sun””音”を耳にした瞬間に驚いた。原作の『Viva Emptiness』とは”音”そのものがまるで違って、大きな特徴だったスカンスカンしたドラム缶とエッジの効いたソリッドな硬さと冷徹さを伴った”音”が消え失せ、いい意味でも悪い意味でも近年の駄作『死の王』を彷彿とさせる、独特のアンビエンス効果が薄れた耳馴染みのいい音に変わっていたんだ。一言に”リマスター”と言っても、音の臨場感というか分離や音と作風の相性は明らかに原作のが上だし、このリミックス版はより原音に近い、俺が俺がと自己主張の強いドラム&ギター&ボーカルが仲良く一つになった、言うなれば”バンドサウンド”を意識したようなバランス重視のプロダクション、といった印象。でも正直、この『Viva Emptiness』の一番の武器って、いわゆる”俺の界隈”の裏方として知られるイェンス・ボグレンが手がけた、いい意味で気持ち悪い個性的なプロダクションだと思ってたから、今回のリミックス/リマスターによって生じた確かな”音の変化”は、ある程度は予想していたものの、実際に耳にしてみると”違和感”しかなかった。だって、#1のキモなんてダニエル君の激しくもありながら絶妙にタイトなドラミングを中心とした、艶かしいほどにギラついたグルーヴ感だと自分は信じて疑わなくて、しかしリミックス版ではそのリズム&グルーヴ感が全くといって感じられなくて、むしろ逆に俄然タイトな印象を強めている。しかし、これは当然いい意味での違和感であって、本来ならば原作のドラム缶に対して猛烈な”違和感”を感じなきゃいけないハズなのに、逆にリマスターされた今作に猛烈な違和感を覚えてしまうって所が、またこの作品の面白いところだと思うし、存外アッサリとした”いい意味で普通”の音に変わったお陰で、原作ではゴッリゴリなギターの音圧に埋もれていたキーボードやストリングスのメロディが、ハッキリとした明瞭さをもって音の表面上にスッと浮かび上がった結果→「ハッ!?こんな音が鳴っていたのか!」と、まさか10年目にして新たな発見をするなんて・・・。

【ある意味、逆リマスター】・・・あの『死の王』をアンプラグド風に再構築した新作のDethroned & Uncrownedでも痛感させられた、俺たちのイェンス・ボグレンとの決別・・・。言わずもがな、今作のクレジットにも彼の名は存在しておらず、これまでイェンスの相方的な存在だったDavid Castilloがストックホルムにある自身のスタジオGhost Wardでミックスを施し、そして『死の王』『D&U』でお馴染みの誰かどこかで今作のマスタリングを手がけている。そんな、今作の音に対する率直な感想としては→まぁ実にデイビッドらしい、いい具合に洗練された音作りだと感じた。そして、やっぱり新規で追加されたキーボードとストリングスが聴きどころとなっていて、プロダクションとキーボードのアレンジが少し違うだけでこうも印象が変わるのか・・・と、音楽(楽曲)制作の仕上げの段階でミキシングやマスタリングを施すエンジニアの存在が作品に与える影響、その大きさをあらためて実感した。わかりやすい話→原作がゴリゴリのヘヴィネスを聴かせるメタル作品だとしたら、今作は近年のKATATONIAが非常に高い意識で取り組んでいる【ATMSフィールド】の形成、つまり世界観重視の作品と言えるのかも。そんな風に、10年前とは違ったエンジニアおよび音の”変化”を意識しながら、原作とリミックス版を聴き比べてみるとより楽しめるんじゃあないかと。僕自身、あらためてイェンス・ボグレンという人物はつくづく個々の作風に応じた音作りが絶妙に上手く、それと同時に曲の持ち味を最大限、いや、それ以上に発揮させる音の使い手すなわちエンジニア界の神だと確信することができた。

【聴き比べタイム】・・・そんなわけで、さっそく聴き比べてみた。この『Viva Emptiness』は、その作風を象徴するかのような#1から怒涛な勢いで激しく攻め立てる。原作で初めてこの曲を聴いた時は→(なんだこのドラム缶!?)って、それこそメタリカの『St. Anger』を聴いた時と全く同じ衝撃(悪い意味で)を受けたけど、しかし聴き込んでいくうちに病みつきになったというか、この音こそ『VE』のキモだと気がついた。が、このリミックス版では原作のキモだったドラム缶ではなくて、いい意味でも悪い意味でも”普通”というか、妙なコレジャナイ感を感じながらも、なんだかんだこれはこれで新鮮だし、全然アリだと思えた。その#1に引き続きダニエル君のドラミングが冴えわたる#2は、中盤からの幽玄なインストパートに壮麗優美なストリングスが加えられ、より今風のKATAらしいATMSフィールドを形成している。#3は原作の持ち味だったサイケデリックかつユウゲンな冷たい雰囲気が消え失せ、全体的に幕開けからダークに彩る重厚かつ荘厳なキーボードのアレンジが施されている。ヨナスのメロゥで耽美な歌が聴きどころの#4は、それこそリメイク作の『Dethroned & Uncrowned』に収録されても違和感ないアレンジが見どころ。イントロからゴリゴリな#5は、2番目のAメロにミステリアスなキーボードが追加され、リミックス版だと全体的にエッジが削がれて妙に淡々とした印象を受ける。KATA流の”あのキザミ”リフが堪能できる#6は、いわゆる”あのキザミ”の気持ちよさはそのままに、全体を通してストリングアレンジが優雅に彩っている。変拍子を織り交ぜながらゴッリゴリに刻みまくる#7は原作とあまり変わってない感。しかし、ノーマン兄によるスライド・ギターが聴きどころの#8はイントロのピアノのメロディから大胆な改良が施されている。#9は特に大きな変化はなく、ミニマルなピアノがミステリアスなムードを形成する#10、そして『VE』のカギを握る#11はサビのバッキングで様々な新しい音が鳴っている。#12では近年KATA作品でお馴染みのフランク・デフォルトによる少し派手なアレンジを、ボーナストラックとして#13が追加されていて、この曲は前作『LFDGD』の延長線上にある隠れた名曲で、原作ではインストだった#14にはヨナスの陰鬱な歌が導入されている。
 こんな感じで、中盤の#5や#7などのダイナミックに展開して疾走するギター主導の曲はどこが変化しているのか分かりづらいが、逆に#2を筆頭に#5や#8などのメロウなパートがある曲はどこが改良されているのか分かりやすい。特に#2や#4そして#12などのメロウな曲は音の相性も良く、原作以上の持ち味を発揮している。後半の#12,#13,14はその”変化”が顕著に、目に見えてわかる。当然、意識してなくても原作との違いがわかる曲もあれば、意識していても違いがわからない曲もある。一聴するだけでは、ほとんどの曲が変わっていないように聴こえるけど、実はさり気なく変わってたりする。全体的に、極端だが今のKATATONIAが『VE』やってみた的な、原作の青臭さが薄まって程よく洗練されたアレンジが施されている。あと#2を聴いた時に、もう一つ気づいた事があって、イェンスが手がけたDTConstructって、この『Viva Emptiness』を意識(リスペクト)して作られたものなんじゃあないか?って。

【イェンス・ボグレン×メタリカ】・・・これは定かではないが...ベビメタ大好きおじさんことメタリカの新作にイェンス・ボグレンが関わっているという噂が一部にある。今思うと、約10年前にメタリカの問題作『St. Anger』をリスペクトしたようなドラム缶サウンドをいち早くKATATONIA『Viva Emptiness』に取り入れ、その10年後の今現在にイェンスが関わっていない『VE』のリミックス作品がリリースされたと同時に、このような【イェンス・ボグレン×メタリカ】なんていう夢のような噂がまことしやかに流れ始めるとは・・・なんとも皮肉なもんで、いやホント~にメタル界隈って面白いなぁ...って。もはや今のメタル界隈はイェンス・ボグレンを中心に回っていると言っても過言じゃあないね。実際、この【メタリカ×イェンス・ボグレン×カタトニア】の関係性が理解ッできてる奴ってどれくらいいるんだろう?って話で、少なくともその関係性を理解ッしている今の僕はドヤ顔で語っちゃいますw 恐らく、この日本でソレを理解ッしているのは、日本一のカタヲタを自称している僕とDIR EN GREYの薫ぐらいやろなぁ・・・。まぁ、ブルルンの読者がわかる事ではないのは確かですw 要するに、そのDIR EN GREYの薫がメタリカについてを語ったヘドバン2号を読もう(宣伝)

【最高傑作】・・・僕が考えるKATATONIA(ヨナス期)の最高傑作といば→中期の5th『Last Fair Deal Gone Down』か後期の7th『The Great Cold Distance』の二択だと思っていて、もちろん8thの『Night is the New Day』も捨てがたいが・・・迷った挙句、最終的に『LFDGD』に落ち着くんだなこれが。お気づきのとおり、このたびリミックスされた『Viva Emptiness』は、いい意味でも悪い意味でもクセが強すぎて、後期KATAの方向性を決定づける名作である事に変わりはないが、じゃあ最高傑作か?と聞かれたら何か少し違う気がする。そんな位置づけの難しいアルバムだからこそ、10週年を記念してリミックスされた今作を真っ直ぐなキモチで聴くことができたし、あらためて後期KATAの方向性を指し示す重要な作品だと再認識する事ができたと同時に、今はなきノーマン兄弟の偉大さ、そしてイェンス・ボグレンKATATONIAに残した数々の功績を素直に讃えたいキモチになった。彼が居なければ、今のKATATONIAは存在しなかったかもしれない。

【リメイク】・・・本作品は『VE』のリリースから10週年を記念したリミックス作品だが、リミックスと言えば→昨年、腐海に沈んだ『死の王』が見事に復活を遂げた今年のリメイク作『D&U』で味をしめたのか、KATATONIA自身が「やっぱカタトニアクス最高だから一年に一枚ぐらい過去作のリメイクをリリースしていきたいなぁ(チラッ」的な、そんなワガママな声明文を既に発表している。おいおい、今年でさえKscopeからリリースされた『D&U』の他に『VE』のリミックス版でお腹いっぱい、すなわちハイパーヨナス状態だというのに、もしこの声明がジョークではなく本気だとしたら、来年からは一枚づつナニカシラの形でKATA作品が聴ける事になるわけで、これはカタヲタとして素直に喜んでいいものなのか・・・。個人的には、後期の7th『TGCD』と8th『NITND』は一切リマスターする必要はないから(つうか、いい加減にBサイド集を出せってんだ)、でもイェンスがリミックス&リマスターした『LFDGD』ならワンチャン聴いてみたいとは思った。でも今回みたいなリミックスになるのか、もしくは『D&U』みたいなUnplugged風になるのか、まぁ結局はリミックスの仕様によるけど。
 
【最後に】・・・これは当たり前だけど、オリジナル版とリミックス版のどっちが良いか?という問題じゃなくて、そりゃどちらかと言えばオリジナル版のがイイに決まってるし、でも今作はオリジナルとの比較や優劣を目的としたものではなくて、これは『D&U』も同じだけど、あくまでもディープなカタヲタ向けに感謝を込めて楽しんでもらおう、そんなバンド側の強い意図が込められた作品だと僕は思う。
 
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