Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

レビュー (G)

Ghost Brigade 『IV – One With the Storm』

Artist Ghost Brigade
Ghost Brigade

Album 『IV – One With the Storm』
IV – One With the Storm

Tracklist
01. Wretched Blues
02. Departures
03. Aurora
04. Disembodied Voices
05. Electra Complex
06. Stones And Pillars
07. Anchored
08. The Knife
09. Long Way To The Graves
10. Elämä On Tulta

北欧フィンランドの音楽といえば→Sonata ArcticaStratovariusなどのコッテコテなヘヴィメタルバンドを数多く輩出している国というイメージが強いが、この2005年にフィンランドはユヴァスキュラで結成された6人組のGhost Brigadeは、その名をシーンに知らしめた2ndアルバムIsolation Songsでは、全盛期Opethに匹敵するリフ回しを中心とした幽玄かつ荒涼感のある音使いをもって、同郷のCallistoの影響下にある”静と動”のコントラストで聴かせる美しくも儚い”覇道のPost-Metal”を展開していた。続く3rdアルバムUntil Fear No Longer Defines Usでは、Insomnium直系のエピカルな叙情性やAlcestKATATONIA流れのオルタナ感を高めつつ、ポストメタルはポストメタルでも隣国のCult of LunaNeurosisを連想させる、よりモダンでドゥーミーに洗練された”進撃のPost-Metal”を繰り広げていた。つまり、伝統的なフィニッシュ・メタルと現代的なポストメタルがクロスオーバーした、言うなれば”メロデスラッジ”みたいな面白い立ち位置にいる、自分の中では新世代メタルの一つとして認識しているバンドで、個人的にもフィンランドでは一番お気に入りのバンドだ。そんな前フリがあって、前作の『UFNLDU』から約二年ぶりの4thアルバム『IV - One With The Storm』は、傑作だった『Isolation Songs』を彷彿とさせるアートワークで、その内容も2ndの再来を期待させる。

リッピング失敗したかと思った→オリジナルメンバーのベーシストが脱退し、新しくベーシストとキーボーディストを迎えて6人組体勢になったことが、バンドサウンドに大いに影響している。オープニングナンバーの#1”Wretched Blues”を聴けばわかるように、確かに雪国フィンランドの情緒漂うInsomnium譲りのエピカルな叙情性は不変だが、以前までのスラッジーな重さというより硬くてソリッドな低音リフに、そして高音がキツ過ぎる音質の悪さに嫌な予感が頭をよぎる。なんだろう、次の#2”Departures”を聴いたら納得した。Opeth?Insomnium?Cult of Luna?Neurosis?・・・コイツら一体誰の後継者なんだ?って、この曲でわかった気がする。コイツらKATATONIAの後継者だわ。この高音のシャリシャリ感は『Last Fair Deal Gone Down』リスペクトだと半ば強引に考えれば納得できるし、そうかコイツら”オルタナティブ・ヘヴィ”だったんだな・・・って思い知らされた気分だ。確かに、2ndや3rdの時点でフィンランドらしからぬ”オルタナティブ”なセンスを垣間みせていたし、今作ではそれが表面化してきている。あえりえなくもなかったけど、でも少し意外な方向転換をしてきた。新しくキーボーディストを迎えたことで、音響的(ATMS)なアレンジ面での確かな成長は伺えるし、いい意味でも悪い意味でも音を含めて全ての音がモダンに洗練されている。でもボク思うんスよ、この手の音楽やりたいんならさっさとイェンス・ボグレン引っ張ってこいやって、ボク思うんスよ。いや、僕が言いたいのはただ一つで→隣国Dark TranquillityConstruct聴いてから出直してこい、っつーわけです。なんだろう、フィンランド人って深いところで”オルタナティブ・ヘヴィ”をナメてる気がする。なんだろう、田舎もんの大学生が都会に出てきて大学デビューに失敗したみたいな、こっ恥ずかしいノリすらある。ボートラにドヤ顔でリミックス入れちゃうあたりもうホントにスベってる。なんだろう、全体的に無理しちゃってる感じ。

  「GBよ、お前はANATONIAにはなれない...」


とにかく音の悪さ→それと相性の悪さも相まって、第一印象は過去最悪だった。当然、これは意図的にやってるんだろうけど、いかんせん音が致命的過ぎる。少なくとも、僕にとっては何回も聴きたいと思う音ではなかった。是非ともフィンランドのエンジニアには【オルタナティブ・ヘヴィ 音作り】で検索してほしいって思っちゃったんだからしょうがない。しかし、楽曲自体は前作からスラッジーなヘヴィネスを取り払って、中期ANATHEMAあたりのオルタナ方面へと大きく舵を切ってて、それはむしろ個人的に大好きな方向性ではあるし、メロディの充実度や完成度という点では前作を軽く凌駕しているのは確かだ。でも自分は前々作や前作ほど俺の感性に響かなかった。これはただ音の”進化”からなる音の”変化”に僕が順応できなかっただけかもしれない。それともガチでリッピング失敗しただけなのかもしれない。それでもやっぱり、この手の音楽の最上級はKATATONIAの最高傑作『Last Fair Deal Gone Down』ANATHEMA『Judgement』だと信じてやまない自分としては、頼むからこの手の”オルタナティブ”がやりたかったらイェンス連れてきてくれって、本当にただそれだけなんですね。もしイェンスがミックスしてたらまた違った結果になったのかな~とか、考えるだけ無駄だけど。

IV: One With the Storm
IV: One With the Storm
posted with amazlet at 14.11.16
Ghost Brigade
Season of Mist (2014-11-10)
売り上げランキング: 39,499

Gris 『À l'âme enflammée, l'äme constellée...』 レビュー

Artist Gris
Gris

Album 『À l'âme enflammée, l'äme constellée...』
À l'âme enflammée, l'äme constellée...

Track List
Disc I
01. L'Aube
02. Les Forges
03. Samsara
04. Igneus
05. Dil

Disc II
01. Moksha
02. Seizième Prière
03. Sem
04. Une Épitaphe De Suie
05. Nadir

『ポストブラックの分類』・・・そもそも、いわゆるポストブラックとかいうジャンルは、大雑把に3つのタイプに分類する事ができるんだが→まず1つ目は【マイブラ系もも色シューゲ×激情系HC】のDeafheavenタイプ、2つ目は【ポストロック/ドリームポップ×ブラゲ】のAlcestLes Discretsタイプ、そして3つ目は【ネオフォーク/アンビエント/ATMS×デプレ・ブラック】のAgallochさんを筆頭とした初期Ulver初期KATATONIAタイプの三種類あって、このカナダを拠点に活動するIcare氏とNeptune氏による二人ポストブラックことGrisは、その分類の中で言うとAgallochタイプとAlcestタイプの美味しいとこ取りした感じのブラックで、その手の好き者に高く評価された1stフルの『Il Était Une Forêt...』から約六年ぶり通算二作目となる本作の『À l'âme enflammée, l'äme constellée...』、しかも二枚組の幕開けを飾る#1”L'Aube”から只ならぬ情緒感を醸し出すアコギナンバーで、そして約15分ある長尺の#2Les Forgesを聴けば理解できるように、スーサイド願望に満ち溢れたIcareによる悲痛な叫びと、アコギを中心に琴や尺八などの和楽器やチェロやヴァイオリンを擁した壮麗優美なストリングスが、まるで初期Opethを思わせる”美と醜”の対比を強弱を効かせながら表現していく、わかりやすい話→スウェーデンのShining直系のジジジジ...ノイジーなデプレブラックに、本作のジャケを手がけたFursy Teyssier率いるLes DiscretsAlcestを連想させるオリエンタルなフレフレフレンチ感や、USのポストブラックレジェンドAgallochさん直系のタンビ(耽美)エントな要素がしなやかかつエレガントに交錯する、要するにみんな大好きATMS系ポストブラックやってるわけ。ちなみに、アルバムタイトルや曲目を見ればわかるように、全編フランス語の歌詞となっている。

 やはり今作の大きなポイントとして→キュルキュル♪と弦の音が生々しく鳴り響く、ほのかにメランコリックで麗しげなアコギを筆頭に、オーストラリア産のネ・バブリシャス(Ne Obliviscaris)顔負けの、天空を駆け巡るように超絶epicッ!!なヴァイオリンによるネオクラシカルなメロディセンスだろう。もはやこのバンド最大の持ち味と言っていい、それらのアコギやストリングスは、Disc1&2共に約40分トータル80分という作品全編に渡って美しく幻想的に、そして優雅に曲を彩っていて、その中でもDisc1とDisc2最後を締めくくる”Dil”と”Nadir”は涙なくして聴けない。あと#4”Igneus”のアウトロとか聴いたら、マジでネ・バブリシャスと対決させたくなる。で、基本的にDisc1と2も似たような構成で、【オープニング→大作→短いインスト→再び大作→泣きのアコギ】みたいな流れで、どちらも完成度が高く甲乙つけ難い。

 このバンド、単なるAgallochや初期Alcestのコピーバンドというわけではなくて、特に一枚目の名曲#2”Les Forges”の7分以降の展開や、二枚目の#2”Seizième Prière”あたりで垣間見せる、Rosettaなどのポストメタル勢からの影響を巧みに昇華した部分も聴きどころの一つとなっていて、もはやこの手の界隈を代表するその二組に引けをとらない、ヘタしたらそれ以上のポテンシャルを誇っている。間違いなく、今年のポストブラック界隈ではマストな一枚。
 
L'ame Enflammee, L'ame Constellee
Gris

売り上げランキング: 421,738

GOJIRA 『L'enfant sauvage』 レビュー

Artist Gojira
Gojira

Album 『L'enfant sauvage』
L'Enfant Sauvage

Track List
01. Explosia
03. The Axe
04. Liquid Fire
05. The Wild Healer
06. Planned Obsolescence
07. Mouth Of Kala
08. The Gift Of Guilt
09. Pain Is A Master
10. Born In Winter
11. The Fall

ジョー(Vo,Gt)&マリオ(Dr)のデュプランティエ兄弟率いる、フランスはアキテーヌ地方オンドル出身の”シーシェパード・メタル”こと、Gojiraの約四年ぶりとなる通算五作目『L'enfant sauvage』なんだけど、かのロードランナーへ移籍して第一弾となる本作でも前作の4th『The Way Of All Flesh』同様、テクデス/スラッシュ/スラッジ・メタルの影響下にある轟音系のスタイルを基本の世界に、まるでハイエロファントグリーンの触手となって人の脳内へと侵食し精神の自律神経を食い散らかすような、インダストリアルなオルタナ的センスを取り入れたエクストリーム・プログレッシブ・メタルは不変ではあるものの、今回、メジャーのRRへ移籍した影響やメタリカとの共演に一層の刺激を受けたのか、彼らのルーツであるデスメタル成分は更に希薄となり、より俄然スラッシュ嗜好を高めながら、同時に幽玄なパート/メロディを積極的に取り入れた事により聴きやすさが増した、要するに”先の展開がキング・クリムゾンばりに予測できるようになった”プログレ・メタル、といった印象が強く、特に#1” Explosia ”と#2” L'Enfant Sauvage ”の頭二曲に本作の全てが詰まっていると言うても過言じゃなくて、まず#1で垣間見せる”あのキザミ”=”黄金のキザミ”の血脈を感じるタイトでグルーヴ感のあるリフのキザミなんかを見るに、正直かなりIn Mourningの名盤1stや最新作の3rdを彷彿とさせる、モダンなポストスラッシュに至極接近した感覚を一番に与え、そして続く#2を聴けば嫌でも理解ッできるとおり、ゴジラとも交流の深いリアル殺人鬼ことランディ率いる近年のLamb Of Godを筆頭とした、いわゆる”RR製メタルコア”的なキッズ向けの音作りとでも言うんだろうか、ラムがRRへ移籍した時と同じデジャブを感じるような、つまり”メタルコア化したゴジラ”という解釈がなされた一枚、と言い切っていい本作品。

 あのMastodonTesseracTなどの若いバンドにも多大な影響を与えたであろう前作でも思ったけど、やっぱりこの人ら俺が求めるキモティ・・・”あのキザミ”知ってますわ。要するに、おいら、これはこれで嫌いじゃあないです。とか言うても、本作特有の”RR製メタルコア”っぽく聴こえる所は賛否両論あると思うし、彼らの名を一躍有名にした3rd『From Mars to Sirius』で垣間見せたような、捕鯨に対するクジラさんの怒りを体現したようなスゴ味ッや、超スケールの名曲” The Art Of Dying ”を擁する前作4thの高い完成度と比較すると、その質は明らかに劣ってはいるものの、メジャーにステップアップしても素直に”カッコイイ”という感想がまず一番に出てくるあたり、やっぱ彼らが創り出す音楽は”格”そのものが他と違うんだと思う。つうか、”ゴジラってなんでこんなに人気あんの?”という疑問を抱いてる人はコレを聴いて判断すればいいと思うよ。彼らの作品の中では最も取っ付きやすい、つまり”至ってシンプル”な作風となってるんで、今までゴジラに対して妙な偏見があるorあった人こそ聴くべき一枚だと思う。一方、往年のゴジラヲタ目線だと、3rdや4thと比較すると色々な面で若干の物足りなさを感じるかもだが、しかし最低限の”らしさ”は失われてはいないので、少なくともそれなりには楽しるハズです。おいらみたく、”3rdより4th派”なら聴いて損はなさそう。

 前作に収録されたゴジラ史上屈指の名曲” The Art Of Dying ”を超える楽曲は当然というか残念ながら存在しないが、まるでイルカさんの実に知的な鳴き声みたいなキュルゥゥ♡とかいう超絶kawaiiギター音とスラッジーな轟音ヘヴィネスがクジラさんの潮吹きの如くけたたまましい雄叫びを上げる始まりから、VoジョーのGoッ!!という合図とともに超キモティ・・・”あのキザミ”が怒涛に押し寄せる#1” Explosia ”を筆頭に、なんだかんだでジョーの地響きが生まれるほど獣じみた咆哮はクッソカッコイイですわと切実に思わせるタイトルトラックの#2” L'Enfant Sauvage ”、往年のゴジラっぽさを感じる#3、前作的なインダストリアリズムとリフのキザミを効かせた#4” Liquid Fire ”、なんかクセになるインストの5、初っ端からクッソ激しく展開する前半と癒されるほどの安らぎ感がハンパないアウトロとのギャップが聞き所の#6” Planned Obsolescence ”までは”サスガ”に安定した曲で楽しませる。しかし、前半と比べると後半の曲の存在感が薄いと感じてしまうトコはご愛嬌か。その中でも、再びッ!!キザミを擁したプログ・メタルの#9は面白い。で、今回は大作と呼べる曲は一つもなく、あくまでも”コンパクト”さを意識した楽曲が多い印象で、しかもボートラ抜きだと収録時間がヒッジョーに短くなるので、その点からも俄然”至ってシンプル”さを強く印象づける・・・というわけで、本作品はゴジラというバンドを初めて知るには打って付けの作品だし、In Mourningを筆頭とするポストスラッシュ好きなら聴いてみればいいと思うよ。おいら自身、正直#1の為だけに聴いてるようなもんだし。俺の中では、もうゴジラは#1の路線を極めてくれるだけで十分です。

L'enfant Sauvage: Limited
L'enfant Sauvage: Limited
posted with amazlet at 12.08.06
Gojira
Roadrunner (2012-06-26)
売り上げランキング: 25268

Grown Below 『The Long Now』 レビュー

Artist Grown Below
224455_203089256411002_144765662243362_497064_1957913_n

Album 『The Long Now』
285548_193457660707495_144765662243362_464759_7232276_n

Track List
1. Trojan Horses (They Ride)
2. Devoid of Age
3. The Abyss
4. Minaco II – Nebula
5. End of All Time
6. The Long Now
7. Malklara

ベルギーはアントウェルペン出身の四人組で、ロシアのポストメタルレーベルSlow Burn Recordsからリリースされた、Grown Belowのデビュー作『The Long Now』が凄すぎてぐうの音も出ないんだけど、そのスタイルとしては、マイスペのフレンドリストを見ただけで一目瞭然なんだが・・・初期Katatonia直系のドゥームネスやIsisCult of Lunaそして同郷の先人であるAmenra直系の密教系ポストメタルの影響下にある轟音とポストロック/アンビエントライクな儚い静寂に包み込む音響が靭やかな残響と共に交錯するダーク・ミュージックで、地を這うようなボーカルの咆哮や幽玄でありがならもエモーショナルなクリーンVo、そしてヴァイオリンや女性Voなどの繊細な美しさを楽曲に施しながらドラマティックに展開していく儚くも美しい暗黒絵巻の長編大作は、もはやデビュー作とは思えないほどの堂々たる威厳と凄みに満ちている。UKのLight Bearerにも同じ事が言えるけど、これはIn Mourningのデビュー作以来の衝撃と言っても過言じゃあない。もしかしてもしかすると、今年のNo1もあり得る。只々、コイツらヤバいという言葉しか出ねぇ。思った、今はロシアのレーベルだけど、LossAltar Of Plaguesにも通ずるこの手のサウンドは完全にProfound Lore向きだよなぁと。要するにさっさと引かれ合ってちょうだいな、と。

 Grown Belowを代表する一曲であろう#1”Trojan Horses (They Ride)”からして、なんともエモーショナルかつドラマティックな名曲で、正直デビュー作にも関わらずここまで超絶リリカルに曲を描けるもんなのかと、その衝撃と驚きったらパない。ヘヴィなポストメタルリフとボーカルの唸りを上げる低音咆哮が交錯する反復運動がクセになる#2”Devoid of Age”、デスドゥームを基本の世界にSubrosaを彷彿とさせるヴァイオリンや女性Voなどのフェミニンなエロい艶やかさを施した3”The Abyss”、インストの#4からの~まるでRosettaバリに”破滅”と”美”が交錯する#5”End of All Time”、そして約16分ある超大作のタイトルトラック#6”The Long Now”で超スケールで贈る超リリカルなクライマックスを飾り、最後はインストの#7で〆・・・といった感じで、#1,#3,#5,#6などの大作志向の強い長尺が連ねる中、#2みたいなコンパクトな曲も書ける所は彼らの強みだと思うし、#3や#6で聴ける女性Voのアクセントは絶妙としか。

 ・・・というわけで、密教系ポストメタル/ポストドゥームからポストロック/アンビエントなどのあらゆるPost-Styleを昇華した極上の美轟音世界に溺れること必須な本作品は、ほぼ無名バンドにも関わらず文句なしの傑作レベルで、もはや知名度など関係なしに敬意ッを表したい。でもって、今年度の俺の界隈のホープはどうやらコイツらに決まりッ。つまり今年コレ聴かない奴はアレ。

A

The Long Now
The Long Now
posted with amazlet at 11.11.16
Metalhit.com (2011-11-15)

Ghost Brigade 『Until Fear No Longer Defines US』 レビュー

Artist Ghost Brigade
GB_0139

Album 
『Until Fear No Longer Defines US』
ghost-brigade-until-fear-no-longer-defines-us

Track List
01. In The Woods
03. Chamber
04. Traces Of Liberty
05. Divine Act Of Lunacy
06. Grain
07. Breakwater
08. Cult Of Decay
09. Torn
10. Soulcarvers

北欧フィンランドのスオミ州はユヴァスキュラ出身の5人組、Ghost Brigadeの約2年ぶりの通算三作目で、Paradise Lostの最新作を意識したかしてないか、そんなタイトルの『Until Fear No Longer Defines US』なんだけど、当ブログの2009年度BESTにもランクインした前作のIsolation Songsを境に”大化け”した彼らだが、どうやら本作はそれすらを凌駕する、確かなる”NEXTの世界”を切り開いた”NEXT Finland”を象徴するかのような傑作をまたしても創り上げてきた。

  前作の
『Isolation Songs』では、”Atmospheric-Sludge meet 似非ポストロック”なサウンドを基本の世界に、フィンランドらしい扇情的かつメランコリックなメロディをフューチャーしたダーク・メタル界の傑作だった。しかし本作品は、Opethの”Coil”を彷彿とさるフォーキーなアコギをフューチャーした、美しきオープニングを飾る#1”In The Woods”からして前作とは一線を画した”NEXTの風”を感じさせ、
一足先に公開された#2”Clawmaster(MVを手掛けたのはFursy Teyssier)での隣国スウェーデンの暗黒星ことCult of Luna君ライクな”覇道のPost-Metal”リフとスオミらしい泣きの叙情性との”怒と美”の共存や、皇帝Katatoniaの意志を正統に受継いだ#8”Cult Of Decay”など、前作よりも圧倒的な”センス”を感じる一皮むけた音の質感や、持ち味とする儚い美メロにAlcestばりの品性を垣間見せたり、変調子を巧みに効かせたプログレスなさり気ないアプローチ等々、あらゆる場面から着実な”進化”を伺わせる。兎にも角にも、フィンランド生まれらしからぬ・・・(失礼ッ)、”素直にカッコイイ”と言える内容になってる。全体の印象としては、前作の”良さ”というのを忘れずに、かなりSweden/Post-Metalライクな音になった感じ。ちなみに本作、かのTERRORIZERから”北欧のMastodon”的という、過大にも近い最大の評価を得ている。あと本国のフィンランドでは初登場7位だったらしい。

 前者に記した通り、これまでのGBには無かったアコギな風を肌で受ける#1”
In The Woods”の美しき幕開けから、唐突に”覇道の暗黒世界”へとドドドド・・・っと引きずり込む#2”Clawmaster”は、グランジ的な気ダルい雰囲気を漂わせながら、Cult of Luna君Likeな王道Post-Metalリフと同郷のInsomniumばりに扇情的なエピックネスを擁し、その怒涛に侵攻する流れから郷愁に溢れた
”泣き”のラストへと向かう、まさしく本作のジャケを音で表現したかのような”NEXTの世界”を広大に繰り広げる(歌詞もイイ)。で、前作譲りの儚き美しさがより一段と光り輝く#3”Chamber”はクリーンVoをメインに、ポストロック的な美メロからGBらしいメランコリーが爆発するサビへと展開する、これぞ”メランコリック・メタル”の究極系をやってのける。うって変わって”あのキザミ”を効かせたドゥーミーにウネるGリフが再び襲いかかる#4、”Fear is Forbidd~~~enッ!!!!”な#5、甘く儚い系の#6ときてからの約9分ある#7”Breakwater”は再びCult of Lunaライクな邪教系スラッジ・リフで”我が覇道の道”を突き進み、Atmosphericな静寂パートや”らしい”泣きメロを擁しながら荘厳に展開し、ラストは”このド低音がッ”とばかりドゥームネスな重低音で救いようのない底なしの暗黒へと容赦なく叩き落す。で、Amorphis直系のカワレラーな土着性とKata直系のオルタナ精神がNext-Progressiveな化学反応を起こす#8”Cult Of Decay”、前半アグレッシヴ後半ストリングスな#9、ミドルテンポ主体の#10はスローな流れから力強く展開し感動のラストへと向かっていく・・・といった感じで、前作と同じく#1~#3の流れが完璧。キラー曲の多さでは前作とどっこいだが、前作よりも曲調の幅が広がり、一曲一曲に個性というのが出てきた事によって、序盤の勢いのまま最後までテンションを落とさず聴けるようになった所は評価。やっぱ第二の見せ場である#7と#8の存在は大きい。特に#8はkeyの耽美なアレンジにNEXTを感じざるを得ない(次回作への布石とみた)。欲を言うならば、前作の”22:22 - Nihil”みたいな美メロインストがあれば完璧だった。

 結論としては、オペ某直系のProgressiveなスタイル、Cult of Luna直系Post-Metal/Sludge、Katatonia直系のDrak-Alternative精神、そしてフィンランド/スオミ特有の土着性、その北欧の偉大なる先人達からの影響を全て”理解ッ”し自己流に解釈した”NEXT”の暗黒絵図は、まさしく俺たちが求めていたダーク・メタルそのもので、傑作だった
前作を超えるには”NEXTの感性”が必須だと思ってたが、どうやら余計なお世話だったみたいで、その答えをコイツらよく分かってた。
偉大なるAmorphisを超えるのはコイツらしか居ないと前作の時点で確信したが、まさしくそれを本作で証明してみせてくれた。同時にKatatoniaやアルセ界隈の一員であるFursy Teyssier氏らとの、俺の界隈の中で起きた”引かれ合い”の最上級を本作にて見せつけている。やっぱコイツら今のフィンランドのバンドの中で一番の”ホンモノ”と呼べるバンドです。つか、このスタイルを更に深く突き詰めればもっと化けるんじゃね?って思わせてくれるのが、そんじょそこらのバンドにはないGBの”凄み”なんだよなぁ。とか言うて、隣国の頭脳派集団ことCult of Luna君ほどの知的なセンスはないけども、それは兎も角として、フィンランドにこのようなバンドが出てきたってのは素直に喜ばしいです。正直、フィンランドの若手はコイツら以外聞かなくていいってくらい。それほどまでに”NEXT”への挑戦と自国フィンランドへの郷土愛に満ち溢れた傑作なんだ。そして聴き終わった後に”理解ッ”するんだ、”北欧のMastodon”という過剰表現が実に”言い得て妙”な言葉だということを・・・。

 というわけで、オリジナリティという面では前作に劣るが、完成度では圧倒的に本作のが上で、いわゆる”ダーク・メタル”が好きなら、その”ダーク・メタルの究極系”である本作品を聴かずして他に何聴くのって感じです。つーか今年、”霧の季節”からのリリースがヤバ過ぎる。このまま行けばFair to Midlandの新作と並んでワンツーですわ。

        全てのスオミ・メタルを過去のものにする
    ”NEXTの世界”がココにはあるッ・・・!!(ボヨヨ~ン)


A
 
Until Fear No Longer Defines Us
Ghost Brigade
Season of Mist (2011-08-23)
売り上げランキング: 9176
記事検索