Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

レビュー (P)

℃-ute解散がショック過ぎるので更新停止します

Paradise Lost 『The Plague Within』

Artist Paradise Lost
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Producer/Mixing/Mastering Jaime Gomez Arellano
Jaime Gomez Arellano

Album 『The Plague Within』
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Tracklist
01. No Hope In Sight
02. Terminal
03. An Eternity Of Lies
04. Punishment Through Time
06. Sacrifice The Flame
07. Victim Of The Past
08. Flesh From Bone
09. Cry Out
10. Return To The Sun

メタル界の迷信 ・・・一度イェンス童貞を捨ててしまうと、その流れのままズルズルと付き合っていくパターンのバンドが多い中で、このParadise Lostは、イェンス・ボグレンはあくまでも通過点に過ぎない存在として捨て去った、勇気あるバンドの一つだ。かのイェンス・ボグレンを初めてプロデューサーに迎えた2009年作の12thアルバムFaith Divides Us - Death Unites Usは、いわゆる「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信を裏付けるような傑作で、引き続きイェンスと交際した次作の13thアルバムTragic Idolは、それこそゴシック・メタルとかドゥーム・メタルとかいうサブジャンルとして以前に、そのバンドの"メタル"としてのトラディショナルで普遍的な要素を限界まで引き出すイェンスのプロデュース能力が極まった結果で、しかしその内容は、皮肉にも「イェンスと組んだ一作目は名作になる」というメタル界の迷信を裏付ける一枚でもあった。

初期回帰・・・パラロス自身でイェンスとの関係、この"メタル"路線の限界を感じたのかなんて知る由もないけど、イェンスと別れて今作で新たなパートナーとして迎えたのが、スウェーデンのGhostやUKレジェンドのCathedralをはじめ、Altar of PlaguesUlver界隈でも知られるJaime Gomez Arellanoってんだから、あらためて彼らの審美眼、その鋭さに感心するばかりだ。そんなParadise Lostの約三年ぶりとなる14thアルバム『The Plague Within』は、オープニングを飾る#1”No Hope In Sight”を聴けば分かるように、お爺ちゃん顔負けの貫禄ならぬ還暦溢れる"オールド・ニック"=フロントマンニック・ホームズのデス声や、喪に服すような限りなく動き(感情)を抑えたミニマルな暗黒リフ、殺傷能力の高いリフで粗暴な暴虐性を覗かせる#2”Terminal”を挟んで、バロック音楽によるゴシック然としたイントロで始まる#3”An Eternity Of Lies”では、迷走期から脱しゴシック・メタル路線へと回帰した中期の表題作を彷彿とさせるニックの寂寥感溢れる歌声、そして表題作からお馴染みとなったHeather Thompsonによるエモーショナルなコーラスワークまで、つまるところ、ゴシック・メタル特有の荘厳さや粗暴さを併せ持つ初期の王道的なゴシック/デス・メタル路線に回帰している。イェンス期の【メタルとしてのパラダイス・ロスト】に対して漠然としながら「ナニかが足りない」と感じていたが、その"ナニか"の答えが彼女の存在であったり、表情の少ない憂鬱なGリフだったり終末的かつ暗黒的な世界観であり、とにかく今作は音の聴かせ方がゴシック・メタル然としている。

三代目D Soul Brothers ・・・中盤以降は、イェンス期のメタリックなノリを感じる#4”Punishment Through Time”、"遅くて重い"というドゥーム・メタルの基本を押さえた#5”Beneath Broken Earth”、再び荘厳なストリングスを中心に展開する#6”Sacrifice The Flame”、そして今作のハイライトを飾る曲で、中期の名曲”Forever After”ライクなニックの幽玄な歌声が妖しく響き渡る#7”Victim Of The Past”、そして今作のデス・メタル路線回帰の象徴とも言える#8”Flesh From Bone”では、最新作の『Grand Morbid Funeral』Black Breathばりの重戦車型デスロール化したBloodbathの影響を強く感じさせる。このデス・メタル路線回帰への伏線というか予兆は事前にあって、それはBloodbath三代目Death Soul Brothersのフロントマンに任命された時、つまり認知症のお爺ちゃん=”オールド・ニック”Bloodbath聴かせたらデス声に目覚めてしまったのが全ての元凶だ。

真のパラロス ・・・オーケストラみたく決して大仰ではない、二種類の弦楽器による整然としたストリングスも、今作のゴシック・メタル感を著しく強めている。そのストリングスや女性ボーカルなどの余計な音を極力排除して、バンドの自力だけでどこまで表現できるかを探求していくイェンスのプロデュース・スタイルとは違って、今作のプロデューサーであるJaime Gomez Arellanoは、【メタルとしてのパラダイス・ロスト】ではなくドゥーム/ゴシック/デス・メタルなどの【サブジャンルとしてのパラダイス・ロスト】こそ真のパラロスであると証明するかのような、全ての面において往年のパラダイス・ロストを取り戻すことに成功している。一時期の迷走期を経て、イェンスとの作品で自身の中にある"メタル"と向き合ったことで、本来の姿と本来の立ち位置が明確化したのかもしれない。その結果が本作であり、イェンスはそういった迷走したベテランの進路調整役としての能力に長けているのかも。言うなれば、イェンスはエンジニア界のドーピング人間といった所か。そんな本作品は、あらゆる可能性を経て、一周回って本来の姿に立ち返ったような、これぞパラロスとしか他に例えようがない復活作であると同時に集大成でもある、謎のロマンに満ち溢れた文句なしの力作だ。
 
Plague Within
Plague Within
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Paradise Lost
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Periphery 『Juggernaut: Alpha & Omega』

Artist Periphery
Periphery

Album 『Juggernaut: Alpha』
 Juggernaut: Alpha

Tracklist
01. A Black Minute
02. MK Ultra
03. Heavy Heart
04. The Event
05. The Scourge
06. Alpha
07. 22 Faces
08. Rainbow Gravity
09. Four Lights
10. Psychosphere

Album 『Juggernaut: Omega』
Juggernaut: Omega

Tracklist
01. Reprise
02. The Bad Thing
03. Priestess
04. Graveless
05. Hell Below
06. Omega
07. Stranger Things

二作目のジンクス ・・・いわゆるDjent界隈には"二作目のジンクス"なる迷信が存在しており、この手の重鎮であるAnimals as LeadersCyclamenですらその"ジンクス"を破ることができなかったが、何を話そう、その"二作目のジンクス"をジェント界隈に確立させた張本人こそ、"Bulb"ことミーシャ・マンソー率いるUSはベセスダ出身のPeripheryだ。彼らの約三年ぶりとなるフルアルバムは、なんとポケモンリスペクトな『Juggernaut: Alpha』『Juggernaut: Omega』という二枚同時リリース(二枚組とは言ってない)。いわゆる"二作目のジンクス"と言ってみても、その呪縛を破れなかったAALは、三作目のThe Joy of Motionで見事な復活を遂げており、この手のジャンルの最先駆者であるPeripheryとしても、その威信をかけて名誉挽回といきたい所なのだが・・・さてさて。

『Periphery II』 ・・・21世紀、次世代のメタルシーンを担う新星としてセルフタイトルを冠したPeripheryをドロップし、華々しくデビューを飾ったかのように見えた彼らだが、王者Dream Theaterジョン・ペトルーシをゲストに迎えた2ndアルバムPeriphery II: This Time It's Personalは、デビュー作にあった破天荒で初期衝動的な勢いやイケイケなノリが削がれ、一転して大衆性や構築力を高めた至って普通のプログレ・メタルに歩み寄ってて、あのセルフタイトルに衝撃を受けた身としては、悪くはないんだけど→「いや、お前らに求めてるのそんなんちゃうから・・・」みたいな、妙な肩透かしを食らったってのが正直な感想だった。そんな悪い流れもあって、いわゆる"Djent"の未来を賭けて、絶体絶命の状況の中での二枚同時リリース(二枚組とは言ってない)・・・というわけだ。

アルファ ・・・まずは『Juggernaut: Alpha』だ。オープニングを飾る#1”A Black Minute”から、
Devil Sold His Soulをはじめ、*Shelsや惜しくも解散したThe ElijahなどのUKポスト-ハードコア勢を連想させるシンガロングや過去最高に"emo"-ティヴな旋律を奏でるスペンサー・ソーテロのボーカル・パフォーマンスが、
あらゆる
"Post"を飲み込んだリリシズムとキッズ特有の焦燥感をもって壮大なスケールで送り出すドラマティックな
曲調で、俺たちペリフェラーのド肝を抜いてくると同時に、これまでのペリフェリーとの明確な違いを感じ取ることができる。しかし、二曲目の”MK Ultra”を聴けば、「あっ、こいつらDjentlmenだったんだ!ただのポケモンマスターじゃなかったんだ!」って目が醒めるような、それこそDjentの生みの親である(本人はDjentではないが)メシュガニキリスペクトなゴリゴリのヘヴィネスと凶悪なスクリームでカオティックにゴリ押していき、中盤からは一転してファンキー&ファニーなパートへと急転直下に場面が切り替わる展開力は、一種のコント番組を見ているかのようで、そのユニークさは彼らならではの特権だ。で、今度はCoheed and Cambriaリスペクトなメジャー級あるいはアリーナ級のキャッチーなボーカル・メロディが売れ線全開の#3”Heavy Heart”、ベースのバッキバキな低音を効かせたダーティなインストナンバーの#4”The Event”、そのダークな流れを汲み、メロトロンを使ったレトロフューチャーなイントロからUKポスト-ハードコア然とした演劇的かつ激情的な展開力を発揮する#5”The Scourge”、そしてファミコンBGM的な8ビット風のイントロで始まる、それこそ「ポケモンゲットだぜ!」みたいなノリで始まる表題曲の#7”Alpha”は、初期BFMVのマット顔負けのドチャクソemoいメインストリーム級のキャッチーなボーカルを聴かせる・・・これが、これこそ新時代のメインストリーム系アリーナ・ジェントだッ!

Djent界のA7X ・・・遡ること21世紀初頭、Killswitch EngageAs I Lay Dying、あるいはA7XBFMV"Metalcore"なるジャンルをメジャーにブチ上げたように、今やオワコン化したメタルコアと入れ替わるように、これまでは"アンダーグラウンド"な存在だった"Djent"とかいうジャンルを"メインストリーム"にブチ上げたと言っても決して過言じゃあないだろう。この『Juggernaut: Alpha』は、わかりやすく言えば【エモ/ポスト-ハードコア×ジェント】で、音使いから曲調までポストハードコア然とした演劇的なソレをベースにしてて、いわゆる"プログレ・メタル"とは一線を画している。確かに、元からモダンなエレクトロやアンビエントを駆使した近未来型ジェントで、同時に”エモ”的な要素を持ち合わせていたけど、今作では"emo"というジャンルに振り切った、要するに『ポケモン』と同じくらい身近なキング・オブ・キッズ・ミュージックへと変貌を遂げている。いわゆる超えちゃいけないラインを超えてきた"emo"というわけだ。しかし、超えちゃいけないラインを超えなきゃメインストリーム・シーンに立つ資格すら与えられないとすれば、ペリフェリーが今作で示した選択は何一つ間違っちゃあいないし、むしろ"Djent界のA7X"あるいは"Djent界のBFMV"としてやっていくには必要不可欠な『覚悟』だったのかもしれない。なんというか、このタイミングで先日Vampsフェスで来日したNothing Moreと対バンしている事実が全てを物語っていて、彼らの存在と共に"Djent"とかいうジャンルが"アンダーグラウンド"から"メインストリーム"の仲間入りを果たした感あって、そう考えるとペリフェリーってやっぱスゲーと思うし、ダテにこの界隈のトップ張ってないなって。実際、"Djent界のA7X"になれるバンドってペリフェリー以外存在しないし、むしろそうなった方が界隈的に面白くなりそうだから、今後もこの路線を突き進んで欲しいとは思う。

『オメガ』 ・・・一枚目の『Juggernaut: Alpha』がキッズ向けのアルバムだとするなら、この『Juggernaut: Omega』はコア寄りのメタラーおよびDjentlmen向けのアルバムだ。音使いや激情的なスクリームにしてもエモ/ポスト-ハードコア寄りの作風だった『アルファ』とは一転して、Gojiraメシュガニキのエクストリーム界の二強からの影響を巧みに昇華しつつ、これまでの路線を踏襲したいわゆるアンビジェントな楽曲がメインとなっている。とはいえ、幕開けを飾る#1からして『アルファ』"emo"い流れを着実に汲んでいて、Texturesばりにポスト-ジェント・リーなマスいリズムを刻んでいくリフ主体の#2”The Bad Thing”、アルペジオ・ギターを主体とした曲調と暗鬱なアウトロがOpethリスペクトな曲で、初期BFMVのマットのものまね王座決定戦で一位取れるレベルのボーカルを披露する#3”Priestess”、カオティック・ハードコアばりにアグレッシブな#4”Graveless”Gojiraばりにヘヴィなグルーヴを轟かせる前半と一転してオシャンティーな後半に別れた#5”Hell Below”、そして今作のハイライトを飾る約12分の大作で表題曲の#6”Omega”は、まるで宇宙空間にほっぽり出されたような、目まぐるしく緩急を効かせながらほとばしる緊張感を持続させていき、そしてクライマックスを飾る”Alpha”のサビメロを引用したドラマティックな展開には、深く眠りについていたキッズ魂に再び火が点くほどブチアガるし、このパートには彼らの"売れたい"という明確な『意思』と『覚悟』が込められているんじゃあないかってくらい、同時に"Djent"とかいうジャンルをNEXT-ステージにブチ上げている。これは赤い公園猛烈リトミックDIR EN GREY『ARCHE』も同じで、更なる高みへ向かおうとする確固たる意思が音に込められている。大切なのは『真実に向かおうとする意志』だ。

ミーシャ脱退(フラグ) ・・・この『アルファ』『オメガ』、一見差別化されているように見えるが、実はペリフェリーがやりたい事は二枚とも共通していて、それは"emo"やポスト-ハードコアであったり、そして何よりも"アンダーグラウンド"から"メインストリーム"への移行を最大の目的としているわけです。じゃあ二枚に別ける必要なくね?って疑問に思わなくもないが、正直ペリフェリーのアルバムって毎回6曲目くらいでお腹いっぱいになる冗長感あったから、結果的に2枚に別けたことが功を奏しているというか、よりドラマ性が増して良いんじゃあないか(適当) 結局の所、こいつらのナニが凄いって、この手のシーンにおける自らの役割というものを明確に理解している事で、かつソレを現に実行してみせる勇気に僕は敬意を表したい。そもそも、ペリフェリーがジェントやってたのって1stだけじゃん、って言われたらそれまでの話なのだけれど。しかし何事にも役割分担というのがあって、いわゆる"Djent"とかいうジャンルを激ロック系エモ・キッズに広める役割はこのPeripheryNothing Moreに任せて、従来のDjentlmenすなわちガチ勢はダニエル君が復帰したTesseractAALに任せるという形で、仲良く棲み分けすれば良いんじゃあないかって。しかしペリフェリーという大きな犠牲を払って、すっかり停滞気味のメタルシーンにニューウェーブすなわちジェントウェーブを生み出すことができるか・・・?ともあれ見ものであるし、自分自身そろそろDjentにも飽きてきた頃合いだったが、「まだまだDjentは面白くなりそうだ」・・・そんな予感をさせる二発のソーラービームだった。でもこれでミーシャが脱退したら笑う。まぢ笑う。

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Pinkshinyultrablast 『Everything Else Matters』

Artist Pinkshinyultrablast
Pinkshinyultrablast

Album 『Everything Else Matters』
Everything Else Matters

Tracklist
01. Wish We Were
02. Holy Forest
03. Glitter
04. Metamorphosis
05. Umi
06. Land's End
07. Ravestar Supreme
08. Marigold
09. Glitchy Kiss Goodnight
10. Sparkle Outburst
11. Marshmallow Ghost

Pinkshinyultrablast ・・・2009年にEP『Happy Songs for Happy Zombies』でデビューを飾った、紅一点のVoリュボーフィ率いるロシアはサンクトペテルブルク出身の5人組、Pinkshinyultrablast(ピンクシャイニーウルトラブラスト)の1stフルアルバム『Everything Else Matters』が、初期WhirrNothingに真っ向からケンカ売りにキテる件。



・・・まるでJulianna Barwick顔負けの賛美歌の如し聖なる歌声が天から舞い降りてくるかのような、すこぶる神聖な幕開けを飾る#1”Wish We Were”から、シアトリカルなシンセやスタイリッシュなエレクトロを織り込みながら、マイブラに代表される90年代シューゲイザーの流れを汲んだ紅一点ボーカリストリュボーフィによる透明感溢れるゆるふわ系の歌声とロシアとかいう極寒の地に降り注ぐ雪の結晶のように煌めくエピカルなメロディとノイジーな轟音が雪崩のように襲いかかり、そのバンド・サウンド然とした衝動的な勢いにノッて甘酸っぱい疾走感と焦燥感を内包したエモーショナルなビートを刻んでいく。その「LOVE!LOVE!Lovelessズッキュン!」なユラメキ☆トキメキ☆キラメキ☆は、まさしくWhirrの名盤『桃尻女とシューゲイザー』に追従する勢いだ。マスロック的ミニマルなリフ回しで始まる#2”Holy Forest”は、オリエンタルなシンセ・ポップ風のメロディやノイジーなギター、そしてクラップをフューチャーしながらアップテンポに展開していき、クライマックスでは美しすぎる轟音の渦に飲み込まれ、気がつくと「パダーチャ!ミャ~~~チ!」とかいう意味不明な言葉を叫びながら恋のSOS信号を発信している。で、ハードコアなリフの反復によるラウド感とライブ感が気持ちいい#3”Glitter”、まるでスウェーデンのPostiljonenを彷彿とさせるドリーム・ポップ・チューンの#4”Metamorphosis”、リヴァーヴを効かせたドリーミーなイントロから青々とした海のように澄み切ったメロディとリュボーフィのポップなボーカル・メロディが織りなすラブモーションにズキュウウウン!!とハート射抜かれる日本語タイトル曲の#5”Umi”、イタリアのKlimt 1918を彷彿とさせるオルタナティブなメロディやマスロック然としたリフ回し、そして予測不可能かつ劇的な展開を繰り広げる#6”Land's End”、約9分ある本編ラストの#8”Marigold”のクライマックスでは、それこそAlcest”Délivrance”に匹敵する謎の神々しさ解き放ってて笑うし、もうなんかこいつらマジスゲーですとしか。で、Vinyl Junkieからリリースされた国内盤にはボートラが3曲追加で収録されてて、その中でも#9は敬愛する宮﨑駿に愛を込めて日本語に挑戦した曲らしく、『魔女の宅急便』の主題歌”やさしさに包まれたなら”の一節を引用しているが、正直なんとも言えない気分になった。他の二曲は本格的にエレクトロ色の濃い打ち込み曲となっている。これは次作でシューゲイザーやめるフラグか・・・?

シューゲイザー×?? ・・・なんというか、一見ありがちなシューゲイザーかと思いきや、初期WhirrNothingを連想させるUSハードコア精神、スウェーデンの新星Postiljonenを彷彿とさせる80年代シンセ・ポップ/ドリーム・ポップや同郷のPowder! Go Awayを彷彿とさせるスーパー・シネマティック・ポストハードコア系ポストロック、後期WhirrRingo Deathstarrを連想させるノイズ・ポップ然としたkawaiiポップネスがクロスオーバーしたハイブリットなプーチン・サウンド、要するに"美味しいとこ取り"なオルタナやってて、それこそロシアにはない幻の海(Umi)という『夢』を描き出すようなサウンドスケープに胸キュン死不可避だ。時にダイナミック、時にドラマティック、そして時に初期赤い公園ばりのPost-Progressiveな展開力を目の当たりにすれば、このピンクシャイニーウルトラブラストが他のシューゲイザーバンドとは一線を画した存在だという事がわかるし、この手のジャンルにありがちな単調なイメージとは無縁だ。とにかく、そのメロディセンスが非凡で、懐かしのシンセ・ポップ的なメロディとシューゲイザー・サウンドの掛け合いはとてもユニークだし、聴いていて素直に楽しい。この"オルタナティブ"な音使いは、赤い公園津野米咲が好きそうなソレだし、【シューゲイザー×??】のハイブリットという意味では、日本のThe fin.きのこ帝国とやってることは同じかもしれない。



彼らのセルフライナーノーツによると、ステレオ・ラブやコクトー・ツインズ、ポニーテールやアストロブライトをはじめ、90年代のヒップホップやデスメタルからも影響されているとの事で、歌詞の大部分は映画『燃えよドラゴン』や『スネーキーモンキー 蛇拳』に影響を受けているらしく、実際にMVを見れば彼らのユニークな嗜好回路が理解できるハズだ。かなりの日本贔屓という事もあって、とにかくライブ観たさしかない。
 
EVERYTHING ELSE MATTERS
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Pallbearer 『Foundations of Burden』

Artist Pallbearer
Pallbearer

Album 『Foundations of Burden』
悪魔城ドラキュラ

Tracklist
01. Worlds Apart
02. Foundations
03. Watcher In The Dark
04. The Ghost I Used To Be
05. Ashes
06. Vanished

-これは、今年のトレンドはホモだという事を改めて確信させる出来事だった-

今年のトレンドはホモ ・・・今年はCynicポール・マスヴィダルOpethミカエル・オーカーフェルトが共に”ホモ”をカミングアウトしてメタル界隈に衝撃を与えた事が記憶に新しいが、ご存知のとおり、その”ホモセクシャル”の流れは昨年の音楽シーンを最も賑わせたDEAFHEAVENサンベイザーから始まったと言っても過言じゃあない。昨年、2013年のヘヴィ・ミュージックシーンで最もブレイクしたアーティストがDEAFHEAVENなら、今年のネクストブレイクはコイツラだ!と流行に敏感なキッズの間で噂されているのが、2012年にProfound Loreから鮮烈なデビューを飾り、一躍アンダーグラウンド・ミュージック界のホープとなったUSはリトルロック出身の4人組、その名もPallbearerだ。そのポールベアラーの約二年ぶりの2ndアルバム『Foundations of Burden』は、Agalloch,Neurosis,Amenra,Swansを手がけた重鎮ビリー・アンダーソンをプロデューサーに迎えている。

オジェー・オジェボーン ・・・アンダーグラウンドシーンに衝撃を与えたデビュー作のSorrow and Extinctionは、それこそヘヴィ・ミュージック界の重鎮Earth界隈の一員だという事を強烈に印象づける、荒涼感と寂寥感を伴った荒廃した世界から奏でるBlack Sabbath直系の土葬クサい古典的なドゥームだった。で、この2ndアルバム『Foundations of Burden』は、確かに一曲目の”Worlds Apart”を聴く限りでは、大地を揺るがすズッシリ重厚なヘヴィネスの舞台で呪術を唱えるかのようなオジーリスペクトなボーカル、持ち味であるスカンジナビアの風を背に受けた北風小僧の寒太郎が奏でる哀愁のメロディ、その幽玄かつ叙情的なメロディは俄然スカンジナビアン然とした妖艶な色気を身にまとい、そしてエピカルなギター・ソロには「オヤジ、焼酎一杯...」と語り始めたくなる激シブな男の哀愁を背中から醸し出している。一言で言っちゃえば→前作の延長線上にある雄大なトラディショナル・ドゥームって感じなんだけど、まるで天国(メイド・イン・ヘブン)への階段を登るかのような、そのまま天に召されそうな前作流れのフューネラリズムは少し後退し、よりクラシックスタイルのヘヴィロック的というか、初期Mastodon的ですらあるスラッジーなリフ回しを主体に、リフからリフへと積極的に”動き”のあるヘヴィなリフを持ち込んでいる。しかし、僕たちが本当に驚かされるのは次の#2”Foundations”だろう。

-時は20世紀末期-

デスメタラー
デスメタラー「ゴシックメタルが堕ちたか...」

ブラックメタラー
ブラックメタラー「フフフ...奴は我らメタル四天王の中で最弱なメタルよ・・・」

ドゥームメタラー
ドゥームメタラー「メタル界の面汚しめぇ!」

(この数年後、まさかあんな事になるとはこの時は誰も知る由もなかった...)


オシャンティ ・・・そもそも、このアルバムはDEAFHEAVEN『サンベイザー』を抜きに語れないわけです。事の発端となったのは、もはやスラッジの如く重厚なヘヴィネスが雪崩のように押し寄せる#2”Foundations”の中盤以降の展開で、それこそ「デフヘヴンの『サンベイザー』かな?」って「シューゲイザーかな?」ってレベルのラヴリィ♥&エモーショナルな静寂パートを耳にした僕は→「アヒ~ン...」と呟きながら無事にメイド・イン・デフヘヴンに到達し、ほぼイキかけたまま昇天してしまったのである。言うなれば【荒廃した世界に逞しく咲き誇る一輪の花】感...、その”Post”な音使いに...いや、これはもう”ファッキンピッチ!”な音使いと言ったほうが正しいか、その”ポスト・ドゥーム”あるいは”インディ・ドゥーム”と称すべき伝統的なトラディショナリズムと現代的なモダニズムがクロスオーバーした、まさに新時代のドゥーム・メタルを目の当たりにして唖然とした僕は→「My Heart is アヒ~ン...」としか言葉が出なかった。とにかく、空間能力の高さが完全に”Post-系”に匹敵するソレで、この”Post-感”を古典的なドゥームへと難なく取り込む事ができたのは、ひとえに”若さゆえ”の柔軟な発想からなのかもしれない。しかし、これによって懐古主義者から「メタル界最後の砦であるドゥーム界隈に”オシャンティ”な音を持ち込んだ異端者」と蔑まれること不可避だが、その”オシャンティなドゥーム”というメタル界の絶対的なオキテを破り、それこそ”禁断の地”をへと辿り着いてしまった彼らの大いなる勇気とその覚悟に僕は敬意を表したい。

あざと過ぎる熊 ・・・とにかく、前作と比べものにならないくらい”メロディ”の充実っぷりが凄くて、それと同時にドラマティックな展開力、それに伴うソングライティングの向上が顕著に見受けられる。その充実感がよく表れている#3”Watcher In The Dark”のギターが奏でる叙情性、そのメロディセンスに只々驚かされる。そしてキーボードの耽美なメロディを駆使した#4”The Ghost I Used To Be”からも新機軸すなわち”Post-”の匂いを感じさせ、トドメは懐古主義者の老害メタラーをSATSUGAIするかのような、まるで子守唄のように夢心地なチルいアンビエントナンバーの#5”Ashes”で、もはや「あざといポールベアラーあざとい」と男泣きするくらいエモーショナルメロディとKATATONIAのBサイドばりに淡く儚いアレンジ...これには”男のフェミニズム”を感じざるを得なかった。そして、本作のハイライトを飾るような”ポスト”なセンスを際立たせた耽美なメロディとドゥーム然としたヘヴィネスが地鳴りの如く共鳴するラストの#6”Vanished”まで、まるで宗教テイストに溢れた亜空間の中で黒魔術を唱えるかのような、より大作志向を強めた空前のスケールで贈る男泣き不可避の新世代ドゥームメタル、その未来を着実に切り拓いている。

-時は21世紀初頭-

ヴィンセント・カヴァナー
??「遂にゴシックメタルとドゥームメタルとデスメタルが堕ちたか...(epicッ!!)」

ミカエル・オーカーフェルト
??「遂にプログレッシブ・デスメタルが堕ちたか...(アーアーアーアーアー♪)」

ポール・マスヴィダル
??「遂にテクニカル・デスメタルが堕ちたか...(ウッフン♥)」

ジョージ・クラーク
??「遂にブラックメタルが堕ちたか...(ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!)」

キング・ベアラー
??「ククク..遂にトラディショナル・ドゥームが我らの手に堕ちたか(暗黒微笑)」

ドゥームリバイバル ・・・中には「こいつらピッチフォークにナニ吹きこまれたんだ?」って思う人もいるかもしれない。しかし、あの前作すら凌駕する怒涛のリフ地獄をはじめ、著しく洗練された叙情的なメロディ、予測不可能な展開力、そして何といっても”Post-系”に対する意識の高さを前にすれば、伝統至上主義のメタラーが何を言おと戯言でしかない。全てにおいて”洗練”されたという点では、デフヘヴンの1st『ユダ王国への道』から2nd『サンベイザー』への流れを見事に踏襲している。典型的なポストブラックの傑作だったデフヘヴンの1stと典型的なドゥームだったポールベアラーの1st、そしてピッチフォークのプロデュースもとい”Post-系”に大きく歩み寄ることで大化けしたデフヘヴンの2ndと、それと同じように数多くの”Post-勢”を手がけてきたビリー・アンダーセン”Post-”なプロデュース・センスを取り込むことで大化したポールベアラーの2ndは、全く同じベクトルで語られるべき作品だ。その化けっぷり、楽曲のオリジナリティをはじめとした(1st→2ndまでの)完成度の振り幅はデッへより断然上だ。とにかく、前作からの音使いに対する大きな”意識変化”に著しいステップアップを感じさせ、それと同時にクラシックなドゥーム・メタルと”Post-系”の親和性、その高さを見事に証明してみせた。それこそ、DEAFHEAVENがシューゲイザーとブラックメタルをクロスオーバーさせたように、オヤジ臭い伝統的なドゥームメタルと今流行の”ポストミュージック”をクロスオーバーさせる事に成功した、もはやメタル界における歴史的な一枚と言っても決して過言じゃあない。つまり、ブラックメタルとかいう孤高のジャンルに”大衆性”を見い出すことに成功した革命家がDEAFHEAVEN『サンベイザー』だとすると、ドゥームメタルとかいうBlack Sabbathだけのジャンルに再び大衆の目を惹き寄せる一つのキッカケを作り出した、それこそ”ドゥームリバイバル”を予感させるドゥーム界の革命児がこのPallbearerであり、この歴史的名盤『Foundations of Burden』なのである。また、レトロな横スクロールアクションゲームあるいはファミコン版『悪魔城ドラキュラ』のパッケージをオマージュしたかのようなアートワークも俄然名作らしさを印象づける。

40 Watt Sun ・・・もの事とは至ってシンプルな話で→要は今作の音に潜む”Post-”なセンスを見抜けるか、そうでないかの世界で、個人的には40 Watt Sunのデビュー作に匹敵するドゥームアルバムだった。当然、それは40 Watt SunPallbearerに共通する叙情的な部分に確かな親和性を見い出せたからであって、少なくとも今年、ピッチフォークをはじめ世界的に高く評価されるメタルアルバムの一つであることには違いない。勿論、昨年にデフヘヴンの『サンベイザー』を年間BESTに挙げていたファッション・サブカル系男子は、今年はポールベアラーを挙げてドヤ顔すること請け合いだ。

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Phantogram 『Voices』 レビュー

Artist Phantogram
Phantogram

Album 『Voices』
Voices

Tracklist
1. Nothing But Trouble
4. Never Going Home
5. The Day You Died
6. Howling at the Moon
7. Bad Dreams
8. Bill Murray
9. I Don’t Blame You
10. Celebrating Nothing
11. My Only Friend

【三姉妹】・・・The Flaming LipsのカキタレもといChvrchesの姉貴分として知られる、ギタリストのJoshua CarterSarah BarthelによるNYはロス出身の男女デュオ、Phantogramの新作『Voices』がリリースされた。デビュー作の『Eyelid Movies』こそ、ギタリストジョシュアによるメロディアスなギター・リフを中心としたオルタナティブ・ロックをベースに、そこへグリッチやトリップ・ホップ、シンセ・ポップやドリーム・ポップなどの要素をクロスオーバーさせた、まだ少し青臭いダンサンブルなインディトロニカやってた彼らだが、その翌年にリリースされたEP『Nightlife』を聴いた時の衝撃は今でも忘れない。よりShoegazer/Post-Rockライクなギターのメロディ主体のオルタナ・サウンドはそのままに、サラのShoegazer風のエロティックなボーカルを絶対的な存在としながら、彼らの持ち味の一つであるヒップ・ホップ風のアブストラクトな音使いを強める事により、まるで夢精不可避な淫夢を見ているかのような、よりオリエンタルかつアヴァンギャルド、そしてよりセクシャルでハラスメントな世界観を生み出すことに成功していた。それが顕著に表れたのがDon't Move”Make A Fist”だった。そして、表題曲の”Nightlife”がアコギをフューチャーしたガチのトリップ・ホップだった所で全部持ってかれた。それぐらい、このEPがリリースされた2011年のクリスマスシーズンは、同じくShoegazerのWhirrの傑作EP『桃尻女とシューゲイザー』と一緒に繰り返しリピートしまくって一人で泣いていたのを思い出す。要するに→長女のWarpaintが陰の存在ならば、この次女のPhantogramは陽の存在。国内のフェスで例えると→三女のCHVRCHESがサマソニ向きで、姉のウォーペイントやファントグラムがフジロック向き、というわけ。この三姉妹感ホント好き。



【ローレン・メイベリー「お姉ちゃん凄杉内...」】・・・そんな傑作EPを経て、フルアルバムとしては約四年ぶりとなる今作の『Voices』は、一言でいえばそのEPNightlifeのエレクトロ路線を更に突き詰めた作風となっていて、まずはオープニングを飾る#1”Nothing But Trouble”こそ実にファントグラムらしい、体を左右に小刻みに振り乱したくなる90s風のダンサンブルなエレクトロニカとサラのダウナー系ボーカルが妖艶かつ淡然たるムードを高め、そしてガリガリとノイジーに歪ませたジョシュアのGソロで最後を締めくくる感じの、わりと無難なエレクトロ・ロックで幕開けを飾るが、次の「エーエーエーエーエーエーエーエーエーエー」というグリッチ節全開のノッリノリなイントロからサラの自由奔放な歌声をアブストラクトな音色に乗せてグルーヴィに展開していく#2”Black Out Days”、まるでレイトショーを観ているかのようなレトロ感を醸し出すサイケデリックかつファンキーなメロディと、ズッシリと重いビートを刻んでいくダーティなシンセをバックにサラのアダルティなボーカルが90年代のR&B的なムードを形成していく#3”Fall in Love”の流れを聴けば分かるように、EPの延長線上にあるHip-Hop特有の独特のリズム感やアブストラクトな音使いをはじめ、EPのセクシャルなトリップ感は少し影を潜めたが、よりアダルティな力強い重低音を効かせたダーティなシンセをダイナミックにクロスオーバーさせた、(これは長女のウォーペイントでも思ったけど)それこそ昨年の年間BESTの実質一位にランクインしたSadistikFlowers for My Father伏線()であったかのような感覚を憶えた。それと同時に、サラの”ボーカリスト”としてのポテンシャルが過去最高に発揮された作品だという事が理解できる。特に#2はEPの名曲”Don't Move”にオトナのダンディズムを施した感じで素直にカッコイイし、エクスペリメンタル/インディ風のMVも前衛的で見応えある。シングルの#3のMVもエジプトのファラオみたいな、サラのオリエンタルな衣装デザインがジョジョキャラみたいで好き。



【ブリブリ三姉妹】・・・ここまではサラの歌声を中心とした、今作を象徴するかのような正統なEP路線だったが、次の#3”Never Going Home”では一転してサラのパートナーであるジョシュアがメインボーカルを務め、イントロの緩やかな優しいギターのメロディから、M83顔負けのヤケにスケールのデカいシンセの波が押し寄せる。で、その流れで1stを彷彿とさせるジョシュアのGリフを主体に展開していくオルタナ・ロック然とした#5”The Day You Died”、次の#6”Howling at the Moon””Bad Dreams”ではGrimesElsianeもしくはM.I.Aを連想させるkawaii電子音やサラのファンキーでユニークな歌声をフューチャーした、ここにきて露骨にインディ界隈を意識したような、それこそ映画『ブレードランナー』の如し東アジア的なオリエンタリズムを見せつける、言わば新機軸的な楽曲を披露している。当ブログの読者は既にご存知→長女の『ウォーペイント』にもGrimesを思わせる流行りの音を取り入れた曲があったが、まさか次女のファントグラムの新譜でもその”インディ”を強く意識させられるとは...。こうやって作品を重ねる毎に、初期のオルタナっぽさが徐々に薄まっていき、音の方向性が自然とインディ方面へと向かっていく事に対して、音楽シーンの移り変わりと時代の流れを感じてしまう。この序盤の流れや今作のハイライトを飾る#6と#7を聴いても、やはり今作はサラの”ボーカリスト”としての才能(センス)がフルに発揮された作風、それこそ『Voices』というタイトルが示すように、まるで妹のローレン・メイベリーに対して「サラの歌を聴けえええええええええええええええええええええ!」と叫ばんばかりの、絶対的な姉としての威厳を見せつけている。なんつーか、1stの『Eyelid Movies』が三女のチャーチズ寄りだとするなら、今作は長女のウォーペイント寄りの作風、そんな印象。つまり、初期の垢抜けない処女性が失われた結果→Universal Recordsの傘下にあるメジャーのRepublic Recordsにレーベル移籍したのも相まって、単純に音のメジャー感が増し、俄然オトナのエロスを身にまとった骨太なサウンドへと正統進化している。そして、やっぱりこのファントグラムにも、デヴィッド・ボウイに通じるそこはかとないブリティッシュ感あるよなぁと再確認。よし、今度からはこの三姉妹を【ブリブリ三姉妹】と呼ぶことにしよう(妙案) それでは、ここでピッチフォークによるブリブリ三姉妹の新作レビューを振り返ってみましょう。

(長女) Warpaint 『ウォーペイント』→5.7点
(次女) Phantogram 『Voices』→6.0点
(三女) CHVRCHES 『The Bones Of What You Believe』→8.5点


【悲報】 ピッチフォーク、ロリコンだった・・・というのは冗談で、それ以降は落ち着きを取り戻し、ドリーミーなギターのイントロから子守唄のようなサラの歌声がチルいムードを形成していく、俳優ビル・マーレイの謎タイトルを掲げた#8”Bill Murray”、再びジョシュアがメインボーカルを担う#9”I Don’t Blame You”は、それこそ妹のチャーチズで言うところの”Under The Tide”に通じるエモーショナルなビートを刻むナンバー。その流れで、今作の中では最もEPのShoegazer路線ど真ん中の#10”Celebrating Nothing”、そして静寂的な幕開けから徐々に幻想的なキーボードとポストロッキンなギターのアレンジを際立たせながらクライマックスへと盛り上げていく#11”My Only Friend”を最後に、ドス黒い淫夢に取り憑かれた僕は永久に目覚めることのない永遠の眠りにつく・・・。こんな感じで、序盤から中盤のダイナミックな勢いと比べて後半は少し尻すぼみするし、約4年ぶりのフルアルバムだという事を踏まえると、決して「期待以上の内容」と自信を持って言えるわけではないが、それでもファントグラムらしいアブストラクト・ヒップ・ホップ/ドリーム・ポップ/エクスペリメンタル/Shoegazer/トリップ・ホップ/エレクトロニカ/インディ/R&B/グリッチ/ニューウェーブまで、もうなんでもござれなオルタナティブ・ボンバーは不変で、さすがに傑作EPの完成度には及ばないけれど、なんだかんだ言っても僕は1stフルより全然好きですね。少なくとも、1stフルから二枚のEPを経て、キッカリ四年分の経験と成長がありのまま素直に音に反映された結果であるのは確かです。



【采配ミス】
・・・おいら、このシアトルのラジオ局KEXPで収録したライブ・セッション映像のオープニングを飾る”Intro”が、てっきり今作にも収録されるものだと勘違いしてた。どうやらこの曲は、昨年リリースされたセルフタイトルのEP『Phantogram』のvinyl盤のB面にしか収録されてない楽曲らしく、正直コレを今作『Voices』のオープニングに持ってくるのと持ってこないとでは全然印象が違ったと思う。こんな良い曲なのに、なぜvinyl盤限定でフルアルバムに収録されない理由がホント謎。これは大きな采配ミスだと思う。もし今作の国内盤を出すならボートラに収録して欲しいレベル。とにかく、この幻の”Intro”はジョシュアの【ATMS】に対する意識の高さが伺えるギタープレイがドツボなわけで。しかし今作の2ndフルでは、デビュー当初とは違ってジョシュアのギター/リフ主体ではなく、明らかに流行りのエレクトロニカ重視の作風となっているが、パートナーであるサラのボーカルを最大限に活かすべく、シンセやニカなど数ある音の一つとして、絶妙なアクセントとして数多くの楽曲を時にミステリアスに時にロマンティックに彩り、その存在感を遺憾なく発揮している。今作では1stフルの名曲であり、彼らの代表曲であるWhen I'm Smallのようなグルーヴを意識したファンキーなリフが少ない分、言うなれば完全な裏方として【ATMSフィールド】の形成に注力していて、主に#2,#6,#7,#10,#11などでさり気なく垣間見せる儚くも幽玄なメロディには、僕がこのファントグラムにハマった最大の理由が込められている。

【ワンチャン、フジロックで初来日】・・・姉のウォーペイントと同じく、ピッチメディアすなわちインディ界隈で流行りの音を大胆に取り入れてきた本作品。USビルボード初登場9位も納得というか当然でしかない。もう既にウォーペイントと妹のチャーチズが二度(二度)も来日しているのにも関わらず、この本命のファントグラムが新作をリリースした今年来日しない意味がわからないので、是非ともフジロック運営には”俺の界隈”枠としてANATHEMADEAFHEAVENも一緒に呼んで頂いて、僕の長年の『淫夢』を叶えてくださるよう切にお願いしたいです。ん?ワイはサラのピッチピチなレギンスが拝みたいだけなんや!ただそれだけなんや!
 
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