Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

レビュー (P)

predia 『ファビュラス』

Artist predia
4203267-chuu

Album 『ファビュラス』
_SX355_

Tracklist
1. Fabulous
2. SUPER WOMEN
6. クレオパトラ
7. Secret of Light
8. SHADOW PLAY
9. 水曜日の嘘
10. Addicted To Your Secret
12. Wake Up
13. Close to you

2017年は、個人的に「ドルヲタ回帰」した年でもあって、ひょんなことからライブに通うことになったprediaはその象徴たるアイドルで、昨年の11月に日本青年館ホールで行われた結成7周年を記念するツアーファイナル公演では、「平均年齢28歳」の大人アイドルらしいベテランの円熟したパフォーマンスを披露した。そんな、「いま最も面白いアイドルの一つ」と言っても過言じゃあないprediaのメジャー2ndアルバム『ファビュラス』は、2017年に全世界の女性が力を合わせ蜂起した#metoo運動やTime's Up運動を筆頭に、昨今の世界的な女性運動の流れを汲んだ全女界の希望となる、実に”ファビュラス”な良作となっている。

幕開けを飾る表題曲の#1”Fabulous”から、それこそ「私たちがprediaです」と自己紹介するような、それこそ「これまでのpredia」を素直にブラッシュアップしたような、そして「これからのpredia」を宣告するかのようなダンスチューンで、その一段と洗練されたPerfumeライクなダンサブルなテクノ・ビートとpredia最大のウリであるあかね瑠美奈の2人を中心とした力強いボーカル・パフォーマンスが、「大人アイドル」としての「プライド」と「女の底力」を見せつける。

昨今の女性運動の流れは、近頃のハリウッド映画にも見て取れる。ギリシア神話をモチーフとしたダイアナ・プリンスをDCコミックスが初の「女性ヒーロー」として描いた映画『ワンダーウーマン』に対するprediaからの回答としての#2”SUPER WOMEN”は、それはまるで瑠美奈の全身筋肉に覆われた肉体美が奏でるバッチバチのEDMをフィーチャーした、今まさに世の女性にWe Are The Women!!と雄叫び上げろと蜂起を促すような、まさにこれからの「女が強い時代」を象徴するような曲だ。



ダイナミックな艷系EDMの”Ms.Frontier”と往年の歌謡曲というかハロプロっぽい”ヌーベルキュイジーヌ”という昨年のシングルを立て続けに聴かせる。ちょっと驚いたのは、「え、”ヌーベルキュイジーヌ”ってこのアルバムに入るの?」ってことで、ライブだと定番曲みたいになってるからもっと年季のある曲かと勘違いしてた。どうでもいいけど、その”ヌーベルキュイジーヌ”のサビの私 三分前にクラクラ 一分後にはウラハラ♫私 三分経ったカップラーメン 一分後にはノビノビ♫って脳内変換するのやめたい。あとこのサビのフリは好き。



そして今作のリード曲となる”Hotel Sunset”は、これまでのprediaのイメージをガラッと変えるような、というか「これもprediaの側面の一つ」として、大人アイドルの新たな表情を垣間見せる。まるで90年代のMONDO GROSSO感溢れるボサノヴァ風の曲調が、オタクを真夏の南国ムードに誘い休日のバカンス気分にさせる。この曲、アイドルだからって大したことないと思いがちだけど、さすがにリード曲なだけあってトラックに「こわだり」を感じさせるくらい完成度は高いです。

そして最も注目すべきはその歌詞で、実はprediaの歌詞ってドギツイ下ネタじゃないけど、いわゆる「その行為」を比喩的な言葉を使って表現する曲が9割なんだけど(えっ)、この曲のピーチ、マンゴー&バナナという歌詞はその最もたる例で、もはや比喩的ですらない直接的に「その行為」を指していて、こんなパンチのある歌詞は「大人アイドル」のprediaにしか歌えないし、相変わらずトンデモねぇ歌詞をサラッとやってのけるというか、これもう「アイドル版Acid Black Cherry」だろ。ABCが喜びそう。だから、ABCがヘドバンのヤリ過ぎで静養中のTEAM-ABCにはprediaがオヌヌメです。

あとこの曲、言っちゃあなんだけど、過去にクソみたいなMVしか量産してないprediaにしては、かなり見ごたえのあるMVになってて、『Hotel Sunset』の「ホテルウーマン」に扮するメンバーの表情や演出、そしてさっきのピーチ、マンゴー&バナナのフリが面白くて、その中でも瑠美奈は他のメンバーよりビジュアルレベルが高く映っていて、危うく桜子から瑠美奈に推し変しかけた。個人的にオヌヌメのシーンは、メンバーがオタクの部屋にスネークして踊り出すシーンで、このシーン、よく見ると律儀にメンバー全員が裸足で踊ってて、これには足フェチの俺歓喜。俺も怜ちゃんに部屋に引きずり込まれたい。あと林の谷間は本当に誰得なんだ。

そのバカンス気分から一転して、やけに壮大なイントロとともにあかねのゴッドボイスが「眠りから目醒めよ」と古代エジプトのファラオ”クレオパトラ”を蘇らせると、今度は”クレオパトラ”の魂が宿ったまいまいが「跪キナサイ」とドSの女王みたいなセリフを放つと、そして平民となった僕は「一体何が始まるんです!?」と困惑。この曲は、その名の通り絶世の美女とされた古代エジプトのクレオパトラをテーマにした曲で、エジプト風のエスニックなアレンジを効かせたスケール感溢れるトラックと、それこそ『サクラ大戦』のOPみたいな90年代のアニソンっぽい二次元的な世界観の中で、もはや「10人のクレオパトラ」が織りなす、プトレマイオス朝を舞台にした宝塚歌劇団の公演を観ているような錯覚を憶えるほどで、これもう完全にラスボスだわ。完全にネタ曲かと思いきや、むしろ一周回って超絶カッコイイというか、普通にアルバムの中でも1,2を争うレベルのキラーチューンだと思う。だって瑠美奈に「絶世の美しさだと崇めよ」と言われたらこんなん絶対拝めちゃうでしょ。もはや瑠美奈に養われたい。

この”クレオパトラ”、メインボーカルのあかね瑠美奈の超絶的なボーカルに圧倒されるというよりも先に笑ってしまうくらい凄い。この手の「パワー系」の曲であかねの右に出るアイドルは他にいない、いたとしたらそれは瑠美奈だけで、それが同じグループという奇跡、逆に言えば同じグループにいたからこそ可能にした曲とも言える。確かに、推しメンの桜子の歌も安定感があってかなり良くなってるけど、それ以上にメインボーカルの2人が異次元過ぎるというか、それくらいメインボーカルの歌が、とにかく歌が凄い。単純に、それ相応の歌唱力とスキルがないと歌えない曲を難なく歌っちゃうあたり本当にヤバい。なんだろう、『ライオンキング』で例えるならあかねが父親のムファサで瑠美奈が母親のサラビ、その子供のシンバが桜子みたいな、モンハンで例えるとあかねがリオレウスで瑠美奈がリオレイア、その子供レイアが桜子みたいな関係性が面白くて、なんかもう歌で縄張り争いしてるようなぶつかり合いに興奮する。その3人の他にも、サビで聴けるまいまいルナルナのソロパートも凄く効果的で、曲の中でそれぞれメンバーの歌の個性が活かされている。

大所帯アイドルになると、2つのユニットに分かれた曲を披露することも珍しくなくて、7曲目の”Secret of Light”と8曲目の”SHADOW PLAY”はまさにそれに当たる曲で、まず前者の”Secret of Light”瑠美奈帽子女ちゃんあっきールナルナの5人で回す曲で、さっきの壮絶な曲からまた一転してめちゃくちゃ「アイドル」してるキラキラしたポップチューンで、珍しくちゃんの歌声とあっきーの歌声がよく聴こえてくる。そうやって普段は歌割りの少ないメンバーの歌が目立つという意味でも、グループ分けソングはアルバムにメリハリを生み出す効果をもたらしている。この2曲の編曲を担当した阿久津氏による西海岸インスト系のファンキーなギターも実に効果的。後者の”SHADOW PLAY”は、あかね桜子怜ちゃんまいまいの5人で回す曲で、一方の”Secret of Light”と対になる歌詞とストリングスとピアノをフィーチャーしたヘドバン推奨のハードでロックな曲調がカッコイイし、この手のあかねら子は強いし、改めてまいまいの歌が映える曲でもあるし、怜ちゃんはお得意のセリフで曲を盛り上げる。よし、5人全員いるな!

怜ちゃん「終わらせてもいいの?」←可愛い
あっきー「あなたが欲しいの」←可愛い
帽子女「愛してるって言って!」←笑う

アルバムのハイライトを飾る#9”水曜日の嘘”は、これまでのpreadiaが得意としてきた言わば専売特許のエモいパワーバラードで、同時に怜ちゃんあっきー帽子女によるサビ前のセリフが印象的な曲でもある。怜ちゃんあっきーのセリフは似合ってて可愛いんだけど、帽子女の部分だけは聴くたびに「フフッ」って笑う。あと地味にAメロのオルタナ風のギターがいい。正直、”クレオパトラ””水曜日の嘘”は頭一つ抜けてる印象で、この2曲は真っ先にライブで聴きたいと思った。

アルバムの後半は、メインボーカルの2人と桜子の歌で聴かせる王道バラードの#10”Addicted To Your Secret”、シングルの#11”禁断のマスカレード”、アイドルポップスの#12”Wake Up”、そしてシングル”Ms.Frontier”のカップリング曲である#13”Close to you”まで、時には悪い女から強い女、時にはOL女からめんどくせぇ女、時には不倫女から魔性女、そして時にはホテルウーマンから時空を超えてクレオパトラまで、様々なシチュエーションで十人十色の女を演じ分けるのが、このprediaというアイドルだ。

全体的に西海岸的な温かい匂いを感じるアルバムで、その温暖化現象の原因でもあるリード曲の”Hotel Sunset”以降は最後までテンションが持続して飽きさせない。なんだろう、いま思えば前作のメジャー1stアルバム『孤高のダリアにくちづけを』はテーマとして「歌謡曲」を押し出した、良くも悪くも一辺倒でチープなアルバムで(それはそれで良かった)、どうしてもリスナー層が限定されてしまうニッチな作品だったのも事実で、少なくともそれで売れる可能性は微塵も感じなかった。その前作と比べると、目的がシッカリした曲が多くて、メインボーカルの更に成長した圧倒的な歌唱力をはじめ、何よりもトラックやアレンジに「こだわり」を感じさせるようになったのが大きな違いで、それが各楽曲の説得力に繋がっていて、また辛気臭さが消えてより幅広い層に受け入れられそうな、とにかくバラエティに富んだアルバムとなっている。これ聴いた男はもれなくprediaという絶世の美女に跪き、そして「偶像」として崇めるに違いない。それこそアイドルとして売れる要素、その可能性とポテンシャル、そして何よりもメンバーの女子力という名の「ウーマンパワー」に溢れた会心の一作と言える。ホントに音の厚みが違いすぎる。これが「年の功」ってやつなのか!?

特に、”Fabulous””Close to you”という対照的な曲をアルバムの最初と最後に置くこの対比は、この『ファビュラス』の楽曲が持つ「フレキシブルさ」を表していると同時に、このprediaというアイドルが全女界を代表するアイドル、その証明でもある。つまり、普段のように1曲目から聴いても紛れもないprediaだし、ケンドリック・ラマー『DAMN.』みたいに逆から再生しても100㌫prediaであると。これもうpredia=アイドル界のケンドリック・ラマーだろ。

自分の中でprediaって音源の予習とかなしでライブ観ても全然楽しめるアイドルだと思ってたけど、今回のアルバムだけは音源を聴いてから、曲を覚えてからライブに行った方が良いです絶対に。それくらい本気度が凄い。今回どの曲もライブで盛り上がりそうな曲ばかりだし、しかもprediaの曲ってライブで更に化けるから、俄然来週のライブが楽しみになってきた。でもって、タイプA付属のライブDVDを観たんだけど、やっぱこの頃の髪型いいなら子。ついでに、ら子推しとしてちょっとした愚痴を言うと、今回どの曲でも沢口けいこがスゲー優遇されてて、正直ら子推しからしたら沢口けいこは歌割りのパイ的な意味で敵対勢力以外ナニモノでもないんだけど。

ファビュラス(Type-A)
predia
日本クラウン (2018-02-14)
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PassCode 『ZENITH』

Artist PassCode
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Album 『ZENITH』
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Tracklist

1. Maze of mind
3. all or nothing
5. Scarlet night
6. TRACE
8. カタルシス
9. rise in revolt
10. Insanity
12. Voice

「ベビメタとBiSHの時代は終わりじゃあ!」

先日のサマーソニック2017では、OPアクトながらOPアクトに求められる役割以上のキレッキレなパフォーマンスを披露し、ハッカー(ファンの名称)とともにOPアクトらしからぬ煽りの上手さと盛り上がりでステージを賑わせたPassCode。あらためて思うことは、先日のサマソニでもヘッドライナーを務めたBABYMETALBiS(H)の台頭により、この手のパンク/ラウド/メタル系のバンド・サウンドを武器とするアイドルは、今の時代もはや珍しくもなくなってきた。2013年に結成された、ミスiD2016でも注目された黒髪ショートの南菜生、メンバー1ダンスが上手い高嶋楓、スクリーム担当の今田夢菜、端正な顔立ちで黒髪ロングの大上陽奈子からなる、大阪出身の4人組アイドルPassCodeも、昨今賑わいを見せている「エクストリーム系アイドル」の系譜の王道中の王道を行くアイドルの一つで、そんなPassCodeが先日待望のメジャー1stフルアルバムとなる『ZENITH』をリリースした。

「アイドルはどこまで表現していいのか?」

その問に対して、BABYMETAL「メタルとアイドル」の境界線(ボーダーライン)をブチ壊し、一方でBiS(H)は古くから築き上げてきた「アイドル」のイメージや固定概念を次々となぎ倒し、まるであたかも資本主義の崩壊とともに「アイドル」の「価格破壊」を引き起こした。その「価格破壊」の行き着いた先として、遂に「アイドルがスクリームする時代」にまで到達したのだ。そして、その「スクリームするアイドル」こと今田夢菜を擁するPassCodeは、「エクストリーム系アイドル」の最右翼として「アイドル」「ナニ」の境界線をブチ壊すつもりなのだろうか?



改めて、先日のサマソニで初めてPassCodeのライブを観た時は、一曲目に披露したシングルの”MISS UNLIMITED”の初っ端の「ダーイ!」っていうスクリームを耳にした瞬間、「ややや、これヘタしたらバンメ捲くられるんじゃね?」ってなるくらい、メンバーの扇情感溢れる煽りの上手さやキレのあるダンスをはじめ、とにかく「売れる」感がハンパないパフォーマンスに度肝を抜かれた。正直、前々から「スクリームするアイドル」がいると聞いていたけど、実際は大したことない似非スクリームみたいな感じなんだろうとナメてた自分を恥じるくらいガチなスクリームで笑った。あと、箱で推せるくらいメンバー全員が可愛いというのも「アイドル」として重要なポイントで、スクリーム担当の夢菜ちゃんですらあんなボイスパフォーマンスからは想像できない、めちゃ愛嬌ある感じで推せる。個人的にはちゃんと一緒に二推しでいきたい。

「スクリームするアイドル」

PassCodeの主な曲調としては、いわゆるEDMと呼ばれるサウンドとエフェクトを効かせたボーカル(クリーン)はPerfumeっぽくて、英詞メインの歌詞のお陰でメロコアっぽいノリと雰囲気もあって、それは初期BiSの系譜にあると言えるし、そして何と言ってもPassCodeの生命線である今田夢菜のスクリームを見せ場に、スウェーデンのDead by Aprilやナンチャララスベガス系の近未来型ピコリーモをベースとした、アイドルらしからぬゴリゴリのダウンチューニングでヘヴィなラウドロックを繰り広げている。その今田夢菜のスクリームを筆頭に、ももクロでんぱ組などの王道寄り?のアイドルにも精通する急激な転調パートを織り交ぜながら、もはやどんだけ展開すんねんってくらい目まぐるしい複雑な曲構成を特徴としていて、とにかくドルヲタキッズがブヒる要素を意図的に盛り込んだ楽曲には、猛烈に「ギャップ」のある展開が詰め込まれている。

その「ギャップのナニカ」といえば、同じく今年の初めにメジャー1stフルアルバムJust Bring Itを発表したBAND-MAIDもメイドがガチのハードロックを演奏するという「ギャップ」を売りにしているが、それに関して実はPassCode「スクリームするアイドル」の方が「ギャップ」あるんじゃね説あって、どうすんの小鳩って感じなんだけど、それくらい今後売れていくスピードや伸び代はBAND-MAIDよりもPassCodeのが断然上だし、今の「終わりの始まり」が見えたベビメタを喰らうのは、BAND-MAIDじゃなくてこのPassCodeなのかもしれない。


かのユニバーサルからリリースされたメジャー1stフルアルバムとなる『ZENITH』は、幕開けを飾る#1”Maze of mind”からピロピロシンセとヘヴィなリフとともに疾走感溢れるイントロから、ハードコアなスクリームとメタルコア系の単音リフからの強烈なブレイクダウンまで、まさにPassCodeの魅力が凝縮されたような一曲で幕を開け、初っ端から夢菜ちゃんのエグいスクリームとミドルテンポのグルーヴィなモダン・ヘヴィネス主体に展開する#2”bite the bullet”は、アグレッシヴな前半に始まって中盤の転調パート以降は予測不能な展開を複雑に張り巡らせる。続く#3”all or nothing”夢菜ちゃん「いともたやすく行われるえげつないスクリーム」と他三人のクリーンボイスが織りなす「ギャップ」が強烈な曲で、特に夢菜ちゃんLook up, the chandelier sees the whole show The sexy lady in the red dressとスクリームする部分の歌メロを、あそこまで器用にカッコ良く叫びこなせる女は世界でも夢菜ちゃんの他にARCH ENEMYアンジェラ・ゴソウアリッサ・ホワイト=グラズの2人だけだと思う。これマジで夢菜ちゃん次期アチエネのボーカル候補の一人だろ。あとこの曲は「みんな 生まれた時に」の所が「ウーパールーパー」としか聴こえなかった。そして、先日のサマソニでも最後に披露されたシングルの#4”ONE STEP BEYOND”まで、ここまで一気に聴かせる序盤の流れでもう殆どのキッズがノックアウトされること間違いなし。

以降も、PassCodeらしい転調を多用した落差のある展開、より「ギャップ」を強調したような楽曲が続く。サマソニでも披露された曲で、夢菜ちゃんのシャウトと最近のDjentにも通じるモダンなヘヴィネスを複雑な展開に絡め合わせた#6”TRACE”、次の#7”Same to you”も同様に間奏パートではDjentに通じる現代的なヘヴィネスを垣間見せ、このまま次作あたりでDjent方面に舵を切っても全然面白いと思った。しかし、本編唯一の日本語タイトルとなる#8”カタルシス”は、これまでの「アイドル」らしからぬブルータルで複雑無比な曲調から一転して、「アイドル」らしいポップなピアノのメロディをフィーチャーした初期BiSばりにエモい曲調で、このポップなノリの曲でも一切空気を読まずにスクリームする夢菜ちゃんの鬼メンタルは小鳩ミクの鳩メンタルを凌駕している。再び息を吹き返したように、メタルコア然とした単音系の殺傷リフとキャッチーなサビを擁した疾走感溢れる#9”rise in revolt”、再びうモダンなヘヴィネスでブルータルに聴かせる#10”Insanity”、終盤のハイライトを飾るシングルの#11”MISS UNLIMITED”、そしてアルバムのラストを飾るに相応しい#12”Voice”で幕を下ろす。

BABYMETAL「メタルとアイドル」の境界線をブチ壊したなら、このPassCodeはメジャー1stフルアルバムの『ZENITH』で、「アイドルとラウドロック」の垣根を超えて、そして「スクリームするアイドル」という新ジャンルをアイドルシーンに示し出した。2017年、「エクストリーム系アイドル」の世代交代が始まろうとしている。BiSからネクロ魔BiSHからPassCodeBABYMETALからBAND-MAID。そして、今年のサマソニから遂に幕を開けた「ベビメタ降ろし」、その「大炎」を呼び起こす「火」となるのがBAND-MAIDであり、そしてこのPassCodeである。

なんだろう、結局のところフェスじゃなくてワンマン観なきゃ話にならないと思うので、今度のツアーに行って煽りの勉強したいと思う。いや、これは別に推しの楓ちゃんのキレッキレなダンスと夢菜ちゃんのえげつないスクリームをウォッチしに行くわけじゃなくて、これはあくまでもバンドメイド軍直属の精鋭部隊「魔彩族」として行う偵察任務の一環で、先月はの不調でBAND-MAIDPassCodeの対バンはお流れとなったが、いずれ再び起こるであろう「対バン」という名の「同盟」を組む両者の動きは今後要注目だ。

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Persefone 『Aathma』

Artist Persefone
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Mixing/Mastering Jens Bogren
Jens Bogren

Album 『Aathma』
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Tracklist

01. An Infinitesimal Spark
02. One Of Many...
03. Prison Skin
04. Spirals Within Thy Being
05. Cosmic Walkers
06. No Faced Mindless
07. Living Waves
08. Vacuum
09. Stillness Is Timeless
10. Aathma
    1 - Part I. Universal Oneness
    2 - Part II. Spiritual Bliss
    3 - Part III. One With The Light
    4 - Part IV. ...Many Of One

昨年、フランスの貴公子ネージュ率いるAlcest宮﨑駿の映画『もののけ姫』からインスパイアされたKodamaという名の「ビッグ・イン・ジャパン」アルバムをドロップしたことが記憶に新しいが、このフランスとスペインに挟まれた国家アンドラ公国出身のPersefoneも、2009年に発表された『真剣 / Shin-ken』という「ジャパニーズ・サムライ魂」をテーマにしたアルバムが、この日本でもネタ的な意味で話題を呼んだ。一見、辺境の地に生息するB級メタルバンドにありがちな典型的なネタバンドかと思いきや、その音楽性はドチャクソ大真面目なエクストリーム・メロデスやってて、そんな彼らが俺たちのイェンス・ボグレンを迎えて約4年ぶりに放つ通算5作目となる『Aathma』がイェンス節全開で笑う。

とりあえず、『Aathma』というタイトルが『ANATHEMA』に空耳したって話はわりとどうでもいい、それよかモダン・プログレ界のLGBT代表ことCynicポール・マスヴィダルLeprousのギタリストØystein Landsverkをゲストに迎えた今作は、Cynicの2ndアルバム『Traced In Air』を彷彿させるボコーダーを効かせたポール・マスヴィダルによるナレーションから幕を開ける一曲目の”An Infinitesmal Spark”から察するとおり、これまでの典型的な辺境脳筋メロデスから一転して、2015年にイェンス・ボグレンとの邂逅が実現したBTBAMComa Eclipticみたいな音の変化というか、それこそ2ndアルバムのCitadelネ・BTBAM化した、つまり「コア化」したイェンス界隈でお馴染みのNe Obliviscaris(ネ・バブリシャス)的なプログレ・メタルへと鞍替えしている。

その言うなれば音の「インテリ化」は4曲目の”Spirals Within Thy Being”を聴けば明白で、Gojira”Toxic Garbage Island”を彷彿させるテクニカルなパートを皮切りに、他にもMastodonMachine Headを代表するアメリカのプログレ・メタル/グルーヴ・メタルやMeshuggahTexturesライクなDjent/テクニカル・メタルからの強い影響を伺わせる、いわゆる変拍子マシマシな「リズム重視」のインテリ系プログレ・メタル特有の知的アピールを惜しげもなく披露している。それ以降も、イェンス・ボグレンOpethの初邂逅によって生まれた名盤『Ghost Reveries』を彷彿させる、ピアノの美メロをフィーチャーしたジャズのアプローチを覗かせるATMS系インストの5曲目”Cosmic Walkers”、ゲストに迎えたポール・マスヴィダルによるLGBTボイスと持ち前のギターソロをフィーチャーした曲で、間奏部ではAnimals As Leadersばりのキレッキレなインテリジェンスを堪能させる7曲目の”Living Waves”Riversideあるいはマリウス・デューダ君のソロ初期を彷彿させるインストの8曲目”Vacuum”、Djent然としたモダンなイントロから今度は「Persefone」「Periphery」を空耳する9曲目の”Stillness Is Timeless”、ここまではDream Theaterを長とするプログレ・メタル勢をはじめ、シニックを長とするゴジラ&メシュガー=メシュゴジ系のテクニカル・メタル、そしてペリフェリーやAALを代表とするDjent系のモダンなバンド達が一同に会するような、よりモダンでタイトな、よりピアノの美メロをフィーチャーした「メロディ重視」の洗練されたサウンドを展開していく。そして最後は全4部構成となる20分ジャストの大作で表題曲の”Aathma”で、まず幕開けを飾るパート1はボーカルのエイナル歌唱やポリリズムを駆使したPost-Djentなサウンドまで全てがLeprousリスペクトな曲で(もしかしてシークレットゲストとしてマリウス・デューダ君が参加してる?)、パート2はアトモスフェリックかつスピリチュアルな雰囲気で聴かせ、パート3は持ち前のクラシカルなギターワークを垣間見せ、ラストのパート4はノルウェーの女性ボーカリストMerethe Soltvedtによるバラードタッチな美しい歌声とピアノの音色で感動的なラストを迎える。

実は、AlcestKodamaよりもだいぶ先に『もののけ姫』のスピリチュアルな世界観に精通するコンセプチュアルな音楽アルバムって、他ならぬCynic『Traced In Air』だと思うのだけど、その神々しいアートワークや一種の民族的な世界観まで全てがシシ神様をモチーフにしていると言っても過言じゃあなくて、そのスピリチュアルな世界観にも精通する「東洋哲学」をバックグラウンドに持つこのPersefoneが今回、Cynicポール・マスヴィダルを迎えて意図的に『Traced In Air』の世界観を踏襲したのは、とても大きな意味があったと言える。

確かに、これまでのシンフォニックがかったテクデス/メロデスのブルータルな殺傷力はないし、いわゆる速弾き系ギタリストならではのクラシカルなフレーズも影を潜め、その代わりにジャズ/フュージョン的なインテリジェンス方面への意識を高めたスタイルへと変化している。だからメロデサーには受けが悪いかもしれない、しかしメシュゴジラをはじめ今流行のDjent系のモダンなプログレ/テクニカル・メタルが好きな人には、特にイェンサーにはこれ以上ないほどの傑作に聴こえるハズだ。個人的に、この路線変更は全然Welcomeだし、むしろ今のメタルシーンを的確に捉えた結果と解釈すれば、至極正しい方向性のように思う。

Aathma
Aathma
posted with amazlet at 17.05.13
Persefone
Vicisolom Production (2017-02-24)
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Pallbearer 『Heartless』

Artist Pallbearer
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Album 『Heartless』
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Tracklist

01. I Saw The End
02. Thorns
03. Lie Of Survival
04. Dancing In Madness
05. Cruel Road
06. Heartless
07. A Plea For Understanding

いつぞやのFallujahといい、メタル最王手レーベルで知られるNuclear Blastがここ最近積極的にやってる、「今キテる若手バンド」に対する節操のない「青田買い」ってどうにも好きになれなくて、それこそ一時期のCentury Mediaを思い出して余計に好きになれないんだけど、2015年に初来日公演が実現した”クマラー”ことアーカンソー州はリトルロック出身のPallbearerも、そのNuclear Blastによる「青田買い」に巻き込まれたバンドの一つだ。

2012年作の1stアルバムSorrow and Extinctionでは、ブラック・サバス直系の伝統的(トラディショナル)なドゥーム・メタルを現代に蘇らせたような音楽性で、かのピッチフォークをはじめ数多くの音楽メディアから賞賛され話題を呼び、続く2014年作の2ndアルバムFoundations of Burdenでは、その伝統的かつ叙情的なドゥーム・メタルという強固な地盤を維持しながらも、IsisAgallochをはじめとしたポストメタル勢からのモダンな影響とアンニュイなセンスを垣間見せ、よりアトモスフェリックでプログレッシブ、そしてより現代的なドゥーム・メタルへと化けてみせた。

その前作の「現代的」すなわち「Post-系」のアプローチを踏襲し、IsisToolなどの作品を手掛けた名エンジニアのジョー・バレーシがミックスを担当した、約三年ぶりとなる3rdアルバムの『Heartless』は、前作のモダンで現代的な方向性を更に推し進め、よりエピカルに、より叙情的な泣きのメロディやフロントマンBrett Campbellのキャッチーな歌メロを全面にフィーチャーし、そして全編に渡って「お前はどこのギターヒーローだよ」とツッコミ不可避な流麗なソロワークを披露した、過去最高に挑戦的で広大なスケールに溢れた作品となっている。



まず本作を聴く前に妙な違和感というか一つ気づくことがあった。それは、10分超えの大作が全6曲中4曲あった前作に対して、今作には10分超えの大作は全7曲中2曲しかないことだ。さっそく一曲目が6分台、続く二曲目が5分台という、前作の”Ashes”を例外として除けば実質最短を記録する冒頭の二曲の存在が、本作の「異質さ」を物語っていると言っても過言じゃあない。まず6分台の#1”I Saw the End”から、今作が過去最高に「メロディ重視」のアルバムであることを裏付けるような、フロントマンBrett Campbellの感情表現豊かなボーカルとツインリードの叙情味溢れるメロディを中心に、ドラムの手数の多さは言わずもがな、モダンに洗練されたプロダクション、いわゆるプログレ・メタルと言うより、もはや様式美メタルと呼ぶべきベッタベタな構成とダイナミックな展開力を発揮する。続く5分台の#2”Thorns”でも、もはやドゥームと呼んでいいのかすら分からないソリッドなリフ回し主体で、そして中盤にスロウコアパートを織り込んだ、いわゆる「静と動」のコントラストを効かせた非常に分かりやすい楽曲となっている。その冒頭の二曲の次に短い5曲目の”Cruel Road”や表題曲となる6曲目の”Heartless”でも同様の事が言える。前作のようにスロウコアにも精通するミニマルなフレーズやドゥーミーなリフで曲を構成するのではなく、過去最高に感情を込めてエモーショナルに歌いまくりなボーカルに負けじと、それこそ「ドゥーム・メタル」とは一線をがした、キザミ系のリフやスラッジーでメタリックなリフを駆使して曲を上下左右に動かしまくる姿は、初期のMastodonBaronessを連想させなくもない。

それ以外の、いわゆる「大作」と呼べる3曲目の”Lie of Survival”では、イントロから哀愁を帯びたATMS系のシンセとゲイリー・ムーアばりにブルージーな泣きのギターをフィーチャーしている。4曲目の”Dancing in Madness”は、イントロからElsianeを彷彿させるジャジーでアンニュイな雰囲気を漂わせながら、ムード歌謡ばりにクサいムードを醸し出すシンセと超絶怒涛の泣きのギターソロをあざといくらいにこれでもかとブッ込みつつ、その長いイントロが終わると、中盤以降はまるで「山の神」である岩人間デイダラボッチが深い眠りから目覚めて必殺ローリングアタックをブチかますような、暴力的かつ粗暴な、ソリッドかつアグレッシヴなリフを駆使しながら壮大なプログレッシヴ・ドゥーム地獄絵巻を描き出していく。ラストを飾る歴代最長作となる#7”A Plea for Understanding”は、40 Watt Sunの1stアルバムを彷彿させる泣きのスロウコアナンバー。

サザンロックばりに、それこそ映画『ダーティ・ハリー』のクリント・イーストウッドばりに泥臭くて男臭い、すなわち土葬不可避な死臭漂う淀んだ空気感というか初期のフューネラル・ドゥーム感は皆無に近い。従って、本来のウリであるトラディショナルでサイケデリックなドゥームっぽさも希薄で、とにかく本作ではドゥームならではの「遅さ」やスラッジにも精通する「重さ」よりも、アイアン・メイデン顔負けのツインリードによる叙情的な旋律とハーモニーが織りなす「泣きメロ重視」の作風に路線変更している。

「君もピッチフォーカーかい?」

元々というか、どっちかっつーと、ドゥーム・メタルの開祖であるブラック・サバスからの影響は元より、それ以前に初期ANATHEMAType O Negativeなどのゴシック系への強い憧れを持っていたバンドでもあって、それらのベアラーを司る音楽的嗜好、その根幹部にあるインフルエンサーが顕著に現れた結果と言えなくもない。そう考えてみると、この度のNuclear Blastへの移籍は至極納得できるというか、つまり完全にピッチフォーク路線からは外れた方向性である。

「はい、私はピッチフォーカーです。」

本作がピッチフォークで低評価(6点)となった理由はそこにある。ピッチフォークが大好きなヘヴィロック系のドゥーム/ポストメタルではなく、いわゆるヘビメタチックなリフ回しをはじめ、それこそシンセのクサい鳴らし方を筆頭に、本作にはピッチが毛嫌いしている欧州のクサメタル的な「ダサさ」、そう「メタルにダサいは褒め言葉」でお馴染みのその「ダサさ」が作品全体を支配している。それこそIsisがドゥーム化したというよりは、誤解を恐れず端的に言っちゃうとメイデンがドゥーム化したみたいなイメージ。確かに、前作が高評価だったピッチフォーク目線で見ると、本作はただのクソダサいヘビメタにしか聴こえないし、ピッチ目線だとベアラー本来のウリや持ち味の全てを失ってしまったように感じるかもしれない。だから、自身がピッチフォーカーorメタラーかで今作の評価がガラッと変わってくるだろうし、逆にUKゴシック御三家をはじめとした、その手のメロドゥーム系が好きな人には間違いなく最高傑作として聴こえる代物ではある。

ベアラーの良さって、あくまでもトラディショナルなドゥームを下地にさり気ない泣きメロが入ってくる絶妙なバランス感覚で、でも今作みたいに泣きメロが主役になっちゃうと、「いや、そうじゃない」と感じる人が出てくる。その露骨な「あざとさ」が癪にさわるみたいな感覚。初期のインディ/アンダーグラウンドな香りから一転して、鮮明かつクリアに、悪く言えばチープに聴こえるプロダクションも相まって、良くも悪くも聴きやすいキレイでクリーンな普通のメロドゥームだ。もはや別バンドと言われても納得するほど。

確かに、1stアルバムから2ndアルバムまでは正統な「進化」と呼べるが、2ndアルバムからこの3rdアルバムまでは「進化」というより「変化」の部分の割合の方が大きい。これまでの「求心力」や「オリジナリティ」の面では前作に遠く及ばないが、その「進化」と「変化」が上手く調和したドゥーム・メタル界の新たなる傑作の誕生だ。しかし、僕のように前作を年間BESTに選んだピッチフォーカーは、本作を今年の年間BESTに選んじゃアカンやつなのは確か。それくらい、ちょっと、というか、だいぶ変わっちゃってる。
 
HEARTLESS (ハートレス: +bonus disc)
PALLBEARER (ポールベアラー)
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Power Trip 『Nightmare Logic』

Artist Power Trip
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Album 『Nightmare Logic』
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Tracklist

01. Soul Sacrifice
04. Nightmare Logic
05. Waiting Around to Die
06. Ruination
07. If Not Us Then Who
08. Crucifixation

このテキサス州はダラス出身の五人組ことPower Tripは、なんかもう元メガデスのギタリストマーティ・フリードマンSpotifyで毎月やってるメタルジュークボックス企画のプレイリストにブッ込んできそうなくらいの極悪非道なスラッシュ・メタルで、それこそエクソダススレイヤーを筆頭に、スラッシュ全盛だった頃の”パンク”をルーツとする80年代の伝統的なスラッシュ・メタルがそのまま現代に蘇ったかのような、かつConvergeにも精通するハードコア・パンクやメタルコアあるいはメタリックハードコアやら、その手のハードコア/パンク成分がクロスオーバーした、最高に頭悪くて最強最悪のスラッシュ・メタルだ。

まず一曲目の#1”Soul Sacrifice”から、稲川淳二ばりに「ダメだダメだダメだこいつダメだ。こいつ危ない。こいつ怖い。」ってなる。そんな荒廃したスラム街に立ち込む淀んだ空気漂うイントロのSEから、ミョ~ンと唸るギターや「ヴァ゛ッ゛!!」と吠えるボーカルを交えながらリズミックなキザミに乗せてミドルテンポで進み、そしてボーカルの「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ゛ッ゛!!」という叫び声を合図に、それこそクソ頭の悪いスラッシャー親父とクソド低脳なパンクスが今にも殴り合いおっ始めそうな、それこそサークルモッシュヘドバンを誘発するかのような、それこそスプラッター映画ばりに極悪非道かつ鋭利な刃物の如し切れ味抜群のスラッシーなキザミと共に猪突猛進し、その猛烈な勢いのままノンストップでギターソロに突入する姿は、まさに全盛期のスレイヤーさながらの猟奇的なシリアルキラーだ。



今話題のあんな人やこんな人も登場する、このアングラ感全開のMVも最高だ。そのMVからタイトなキザミリフまで全てが80年代仕様で最凶にカッコ良ければ、ボーカルのSwing of the Axe!という雄叫びやむさ苦しい歌い方もクソカッコよくてハゲあがるかと思った。イントロからV系好きのバンギャが拳を上げてプルプルさせそうなハードコア・パンク然とした暴れ曲で、それこそDIR EN GREY(中期)のが好きそうな#3”Firing Squad”、唸るようなギターとグルーヴィなリフで始まるイントロからタイトなキザミ主体の曲で、後半からテンポが変わってフロントマンRiley Galeの暴力的なボイスパフォーマンスが炸裂する表題曲の#4”Nightmare Logic”、現代的なイントロから往年のメタリカを彷彿とさせるリズミックなリフでデレッデレと展開する#5”Waiting Around To Die”、初期のマストドンにも精通する獣性むき出しのソリッドかつヘヴィな#6”Ruination”、中盤以降の怒涛のキザミ祭りがとにかく気持ちよすぎてトリップできる#7”If Not Us Then Who”、ラストの#8”Crucifixation”まで、超絶怒涛のキザミに次ぐキザミ、バリエーション豊かなリフからリフの応酬で、休む暇もなくノンストップで約32分間を一気に駆け抜ける。
 

もちろん、「速い」ところは全盛期のスレイヤーばりにトコトン「速い」のは確かなんだけど、「ただ速い」だけじゃないのがこのバンドの魅力の最もたる所で、そこは80年代スラッシュのリバイバルバンドと呼ばれるだけあって、「速さ」よりも往年のメタリカを彷彿とさせるグルーヴィなリズムおよびテンポやノリを重視したスタイルで、それこそミドルテンポのリフで聴かせられるバンドこそ本物のスラッシャーだと証明するかのような、彼らはミドルテンポの時にその類まれなるスラッシャーとしてのセンスを発揮する。だから、「速い(ファスト)」からミドルへの繋ぎ方と曲展開が凝っていて、最後まで全く飽きさせない。「キザミ」のキレ味と鮮度抜群に調理する凶悪なプロダクションも相まって、その「音」からしてメタクソ気持ちがいい。

元々は、アングラ界隈の名門レーベルで知られるSouthern Lord出身のエリート集団で、既にDEAFHEAVENとの対バンも経験し、その実績も十二分にあって、後はブレイクするだけみたいな状況、このタイミングでこの傑作をブッ込んできた。そろそろ某Nuclear Blastに引き抜かれないか心配になるくらい、とにかく今年のスラッシュ・メタルではマストバイです。とりあえず、デフヘヴンと一緒に来日したら神!デフヘヴンと一緒に来日したら神!
 
NIGHTMARE LOGIC (ナイトメア・ロジック)
POWER TRIP (パワー・トリップ)
Daymare Recordings (2017-02-22)
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