Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

レビュー (V)

VERSA 『Neon EP』

Artist VERSA
VERSA

EP Neon EP
Neon EP

Tracklist
01. Neon
02. Illusion
03. Wanderlust

【Versa Emerge→VersaEmerge→VERSA】・・・その年の俺的BESTでも名前が挙がった、VersaEmerge名義でリリースされた2010年作の1stフルFixed at Zero以降まったく音沙汰がなく、調べてみたらメンバーの一人が脱退して、新たにVersaEmergeから後ろのEmergeを取ってVERSAに改名して、更には音楽性もガラッと変わっててリアルに「!?」って驚いたけど、大して期待せずに音源を聴いてみたら前身バンドより自分好みで再び「!?」ってなった。



【女版†††】・・・なにが驚いたって、デビュー作のFixed at Zeroでは後藤久美子系女子のフロントマンSierra Kusterbeckをフューチャーした”ポストハードコア化したパラモア”もしくは”ミューズ化したパラモア”やってたけど、VERSAに改名後初の音源となるEP『Neon』ではレトロ感あふれる打ち込み系のエレクトロ・ポップ/シンセ・ポップやってて、とりあえず”Wanderlust”のMVで初めて音源を聴いて感じた事は→「この感覚、UKのChvrchesでもないしUSのPhantogramともちょっと違うし...この懐かしいレトロ感はスウェーデンのPostiljonenかな?でも、それよりもどっかで聴いたことあるような謎のデジャブ感・・・」という風に丸一日悩んだ挙句、遂に→「ああああああああああああ!!これってカナダの誕生日に大虐殺(The Birthday Massacre)のソレだ!!」って気づいた時は、なんとも言えないカタルシスを感じた。それと同時に、アイドルのライブでは必須アイテムとなるジャケのサイリウムもとい夜の街を彩るネオンのように妖しく煌めく、ほのかにゴシック/ダークなATMSテイストやフェミニンな空間形成は、まるでFarShaun LopezDeftonesチノ・モレノによるプロジェクト†††の女版みたいな”ナイトメアポップ”感を第一印象として持ったわけなんだけど、その後に今作『Neon』のプロデューサーがFarShaun Lopez本人だと知った時はドヤ顔でニヤリとせざるを得なかった。

【Trip-Hop化したThe Birthday Massacre】・・・とにかく、このVERSAは中心人物であるブレイクによるギターやストリングス、シンセ/キーボードやダブステップなどのインダストリアルな要素を取り入れた妖艶なATMS空間の中で、シエラのアダルティでありながら気だるさを持つ歌声がダンサンブルに繰り広げる、非常に魅惑的なオルタナであるのは確かだ。元々、シンガーとしてのポテンシャルはFixed at Zeroで既に証明していたし(それ故の良作だった)、このEPでもジャンルは違えど、その”emo”をルーツとする質の高いボーカルのメロディは不変で、オープニングを飾る表題曲ではR&Bちっくな歌を披露していたり、#2Illusionではセクシャルな一面を垣間みせたり、#3の名曲”Wanderlust”では『Fixed at Zero』譲りのポップなメロディを少しダウナー寄りにした歌声を聴かせている。正直どれもシングル化できそうなくらいの良曲なんだけど、その中でも”Wanderlust”The Birthday Massacre『Walking With Strangers』を初めて聴いた時と同じデジャブを感じたというか、大袈裟じゃなしにそれくらい久々に”俺の感性”がピクピクと反応した。特に”Like a dream disappears Just a memory I’m already gone You’re a blessing and a curse Just a memory”って部分のトリップ感はホントすき。

見てのとおり、もはや”バンド”としての体をなしておらず、VersaEmerge改めVERSAサウンドの中核を担うブレイクシエラの二人組ユニットだが、Farの中の人がガッツリ関わっている事もあって、今回のEPを聴く限りでは正直前身バンドよりも期待できそうな感じだし、個人的には今更ポップ・パンクやるのもアレだし、このままChvrchesPhantogramをはじめとした、そして何よりも女版†††としてこのオルタナ路線を突き進んで欲しい次第。今ならこのEP、彼らのBandcampNYP!NYP!NYP!なんで是非とも。

Vampillia 『my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness』 レビュー

芸人 Vampillia
Vampillia

Album 『my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness』
my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness

Tracklist
1: my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness
2: ice fist
3: hiuta
4: seijaku
5: storm of the snow
6: anata ni kakaru niji
7: draumur
8: von
9: tui

【Vampillia=お笑い芸人】・・・僕は未だに、このVampilliaという名の得体のしれない集団が一体何者なのか?ただのAlcestのカキタレなのか?その実態をまるで理解していないので、数年前から1stアルバムが出る出る言いながら全然リリースされる気配のなかった、彼らの1stフル『my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness』が遂にリリースされたという事で、さっそく聴いてみた。僕の中で、アルセストの初来日ツアーで初めてその存在を知った時から→”ヴァンピリア=お笑い芸人”というイメージしかなくて、そんな僕に”Vampilliaの楽曲”というのを初めて意識させ、初めて”お笑い芸人”ではなく”アーティスト”として認識させた”endless summer”には驚かされた。が、それですらアナログ限定のリリースで、そんなこんなでまともに音源を聴く機会がないまま今に至る。しかし、その名曲が遂にCDとしてパッケージされた、ex相対性理論真部脩一あらため真部デトックス脩一をフューチャーした日本企画盤the divine moveで、ようやく初めてヴァンピリアの音源をまともに聴いて、それがなかなかどうして素晴らしい内容だった。その言わば序章を経て、満を持してリリースされた本作品は、アイスランドのGREENHOUSE STUDIOでレコーディングされ、プロデューサーにはBen Frostとビョークやシガロ作品のエンジニアで知られるValgeir Sigurðssonを迎えた作品となっている。

【Sunn O)))→Vampillia→Ulver】・・・そんな、自称ブルータル吉本オーケストラのVampilliaがJ-Pop産業に挑戦するコンセプト作品the divine moveの案内人、すなわちストーリーテラーだったツジコノリコを再び迎えた表題曲の#1”my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness”から、この物語『アイスランドサガ』は幕を開ける。あのビョークやシガーロスを生み出したアイスランドの豊かな自然と雄大な大地を抒情的かつ繊細に描き出すような優雅なストリングスとピアノ、もはや神々しさすらあるツジコノリコという名の語り部が、”男は狂った鳩のように、ギョロついてアタシ逃げ出す”や”オウムのように着飾った女たちで溢れてる”とかいう歌詞を初めとした、それこそ『本当は恐ろしいグリム童話』の如しオゾマシイ詞を朗読しながら、二次元力の高い幻想的な空間の中で静寂という名の狂気を形成していく。が、その情緒溢れる序盤から一転して、後半に差し掛かると決して目覚めさせてはいけないナニカのドス黒い影が蠢き始める・・・。僕たちは、この”黒い音”を知っている。そう、最近ではSunn O))) & Ulver、そしてアンダーグラウンドシーンの重鎮Kayo Dotのソレだ。特に3:50秒以降の展開は一種異様で、UlverSunn O)))がコラボした『Terrestrials』を彷彿とさせるドローン/ダークアンビエントな音響と歪んだクラシカルなストリングスが重厚に映し出す、それこそUlver”As Syrians Pour In, Lebanon Grapples With Ghosts Of A Bloody Past”で訴えていた人間の内に潜む”静寂の狂気”を、それこそ人間世界の悲惨の「線」を静かに、しかし深裂に描き出していく。その、まさしく秘密結社Kscopeが提唱する”Post-Progressive”な展開力の高さに、まるで一本の欧州映画を観ているかのようなストーリー性の高さに、そしてSunn O)))Ulverを繋ぎ合わせる存在がこのVampilliaだという事に気づいてしまった僕は、その場で狂った鳩のように発狂した。と同時に、あらためて僕がこのヴァンピリアに求めているモノ、それすなわちこの曲や『the divine move』で繰り広げていた→【Post-Progressive×Post-Black=”Post-感”】なんだと理解ッした。



【Kayo Dot→Vampillia→Steven Wilson】
・・・昨年、アンダーグラウンドシーンを最も賑わせたアルバムといえば、Kayo Dot『Hubardo』だろう。こんなバンド、この日本じゃあ出てこないだろうなぁ...なんて思った自分がバカだった。いた、コツラだ。本来の1stフルが様々理由でオジャンになった鬱憤を晴らすかのような、その鬱憤が衝動へと変わり、その初期衝動を激情的な感情とともに爆発させた轟音と静寂を奏でるピアノが織りなす”ice fist”は、まるでオワコン化した邦楽界の救世主がこの世に降り立ったかのような曲だ。アイスランドの聖歌隊による神聖なクワイヤやインテリ系マスロック的なノリで軽快に進み、しかし突如天パクソ野郎のあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!という獰猛なグロウルと鬼神の如く打ち鳴らすツインドラムが織りなすKayo Dot顔負けの無慈悲な暴走モードに面食らい、その圧倒的かつ破天荒な展開力を見せつけながら、最後は男の娘のVelladonによるオペラティックな歌声で壮絶的な幕切れを飾る。もはや、あの童話のように優しい空想の世界を繰り広げていた『the divine move』は、このヴァンピリアにとっては文字どおり”お遊び”でしかなかったのかもしれない。これが”my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness”の中に蠢いていたドス黒いナニカの正体であり、これがヴァンピリアの本性だと知った時、僕は再び狂った鳩のように発狂した。とにかく、ポストロッキンな繊細さと日本の歌舞伎にも通じるアヴァンギャルド/ブラックメタル然とした音使い、先の展開がまるで予測できない大胆不敵な展開力、音の喜怒哀楽に度肝を抜かれた。

【アイスランドサガ】・・・その#2の流れを引き継いで、北野武映画というか...久石譲ライクなピアノの叙情的な旋律で始まる#3”Hiuta”は、序盤は男女聖歌隊によるクワイヤやジャズ/オルタナ風の音使いを中心に混沌(カオス)の渦に巻き込んでいく。聴きどころとなる中盤からは、ダッチ産ブラゲを彷彿とさせる電子ノイズからのダンサンブルな音を駆使したデジロックな展開、そして最後は前衛的なミュージカル、それこそヴァンピリア流の『暗黒舞踏』であるかの如く怒涛のアヴァンギャリズムを発揮したりと、まさしくこのヴァンピリアのオルタナティブ精神を見せつけるような、これぞヴァンピリアな一曲となっている。で、あらためて、このヴァンピリアが”日本のKayo Dot”だという事を強く印象づける#4”seijaku”、短尺の#5と#6を挟んで、アイスランド語による語り部からピアノとアコギの温かな音色がアイスランドの情緒溢れる壮観な風景を、羊と戯れる遊牧民のように愉快な情景を淡い北風に乗せて連れてくる#7”draumur”、そのあまりにも恍惚たる壮麗な景色が目の前一面に広がっていく#8”von”、その流れから元Swansjarboeの妖艶な歌声をフューチャーした#9”tui”を最後に、この壮絶的かつ壮大な物語『アイスランドサガ』は幕を閉じる。

【ここみんはヌけない】・・・正直、コラボアーティストを含め、個人的な嗜好や音的な意味でも前作の『the divine move』の方が衝撃的だった気がする。事実、自分が求めていた”Post-感”は前作ほどではなくて(だから#1が一番好き)、むしろ本来の”オルタナバンド”としてのヴァンピリア、それを強く印象づけるようなアルバムだ。実際、こんな関西人特有のハッタリかましたバンドに自分が騙されるわけないと思いつつも、こうやってヴァンピリアに対して様々な考察ができてしまうのは、やはりこの”Vampilliaの楽曲”が決してハッタリではなくガチだから、なのかもしれない。しっかし、こうもデビューアルバムの完成度が高いとなると、この1stを超えられないという理由で解散なんて事もあるかもしれないし、この手の大所帯バンドにありがちなメンバーの脱退or加入の繰り返しで自然消滅というパターンだけは回避してもらいたい。とか言うて、個人的には真部ちゃんがこのヴァンピリアという変態集団の中で、どれだけ真部らしさデトックス脩一らしさを発揮するかに一番注目していきたい。それにしても、真部ちゃん抜きで制作され賛否両論を呼んだ相対性理論TOWN AGEでは、”Post-Progressive”なアプローチやシガロライクな音使いをもって新・相対性理論流の”Post-感”を垣間みせていたが、それに対する真部脩一からの回答およびカウンターとして、ヴァンピリアという謎の集団を乗っ取って真部流の”Post-感”を提示してくるなんて・・・正直、今のサブカル界隈ほど面白いものはない。その『TOWN AGE』を聴いて、UKの奇才スティーヴン・ウィルソン氏とコラボして欲しいなぁなんて思ったけど、まさか本家の相対性理論より先にスティーヴン・ウィルソンの存在を意識させるなんて考えてもなかった。その一方で、同じくex相対性理論のドラマー西浦謙助が抜けないAV女優こと”ここみん”とバンドを組んだとなると、”サブカル界のオボちゃん”ことやくしまるえつこが今後どのような反撃にでるのか、俄然楽しみになってくるわけで。頑張れえつこ!負けるなえつこ!

【Sigur Rós→Vampillia→Alcest】・・・スタジオやプロデューサーは違えど、同じく北国アイスランドで制作された盟友アルセストのシェルターも、シガロ界隈のミュージシャンやプロデューサー/エンジニアを迎えた、文字どおり隅から隅までアイスランド産だった。では、それと比較するとどうだろう?さすがにヨンシー親衛隊ではないけれど、アイスランド産の聖歌隊や弦楽器を駆使したシガロリスペクトな音使いを筆頭に、Kayo DotSunn O))) & Ulverなどの前衛集団に決して引けをとらない、和と洋を飲み込んだヴァンピリアの実に変態的なセンスが爆発した作品と言える。前作の『the divine move』を聴いた時に、スティーヴン・ウィルソン氏とKayo Dotを繋ぐ存在と書いたけれど、この1stを聴いたら今度はSunn O)))Ulverを繋ぎ合わせる存在、そしてシガーロスとアルセストを繋ぐ存在...つまり、スラムダンクの「なぜ桜木がそこにいるんだぁ!」ならぬ「なぜヴァンピリアがそこにいるんだぁ!」という”俺の界隈”的に考えて、このヴァンピリアという名の得体のしれない集団が”邦楽界の桜木花道”だという答えにたどり着いてしまった僕は...クルッポー!!クルッポー!!クルッポー!!

【ハイレグ音源】・・・話は大きく変わるけど→おいら、音楽好きの味方ことBandcampがマイスペースの二の舞いを回避し、この先も末永く生き残っていくためには、今流行のハイレゾ音源(24bit/48kHz)に対応できるか否かだと僕は思っていて、当然アンテナの鋭いこのVampilliaも本作品と前作の『the divine move』をハイレゾ音源で配信している。このように、ほんの些細なことからも、やっぱこいつら只者じゃないというか、今の音楽シーンの流れをよく理解しているというか、それこそアンダーグラウンドシーンの異端児、その証明を見せつけているというか。とにかく、今の邦楽界で最も面白いバンドの一つであるのは確かです。

my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness
Vampillia
Virgin Babylon Records (2014-04-23)
売り上げランキング: 3,091

Vampillia 『the divine move』 レビュー

Artist Vampillia
Vampillia

Album 『the divine move』
the divine move

Tracklist
1: lilac (bombs 戸川純)
2: mirror mirror (bombs BiS)
3: endless summer (feat. ツジコノリコ)
4: tasogare (feat. 長谷川裕倫)
5: good religion (feat. Mick Barr)
6: dizziness of the sun (feat. ツジコノリコ)
7: oops i did it again (bombs BiS)
8: endless (massaka) summer (feat. ツジコノリコ and 真部脩一)
9: lilac bombs 戸川純 (perfect ending ver)

「相対性理論から真部脩一が脱退!?」←まぁわかる
「真部脩一改め真部デトックス脩一がVampilliaに加入!?」 ←ファーーwww

・・・本作品の『the divine move』は、自称ブルータル吉本オーケストラことVampilliaに正式加入したex相対性理論の行方不明者真部脩一改め真部デトックス脩一が歌詞と歌メロを担当した「bombs」シリーズをフューチャーした日本企画盤、そしてVampilliaがJ-POP産業に挑戦したコンセプトアルバムとなっている。そのオープニングを飾るのは、ゲストに戸川純を迎えた#1”lilac”で、学研の付録楽天のブログなどの相対性理論節全開のユニークな歌詞を摩訶不思議に歌い上げる戸田純と、日本の季節感を彩る情緒豊かなストリングスや琴のような和音が織りなすミニマルかつノスタルジックな、それこそ久石譲を彷彿とさせる映画音楽ライクな美しくも幻想的なメロディを織り交ぜながら、どこか懐かしい、子供の頃に毎朝ポンキッキーズを見ていたあの夏の思い出が甦るような、それこそ『ちびまる子ちゃん』のEDテーマに起用されてもオカシクないほどの2次元力の高さに、まるで童謡『まんが日本昔ばなし』のセカイに迷い込んだかのような、その奇想天外なポップ・ワールドに度肝を抜かれる。相対性理論では女子中高生の甘酸っぱい乙女心を繊細に描き出していたが、この曲では「夏休みの宿題よりも気持ちのいい事しよう...(ムラムラ)」という、まるで稲中卓球部の前野のような男子中学生の煩悩をセキララに描き出している。



【BiSなりの卒業式】・・・おいら、以前から【BiS×非常階段=BiS階段】がありなら【BiS×Vampillia=BiSpillia】【BiS×DEAFHEAVEN=BiSheaven】もしくは【BiS×DIR EN GREY=BiS EN GREY】が実現する可能性もワンチャンあるんじゃあねーか?って密かに期待してたんだけど、その中で最も実現的だったBiSVampilliaのコラボが、この度アッサリと実現して大変嬉しく思っている。まさか対バンだけでなく、花見合コンや遂には楽曲コラボなんて・・・しかもソレ+真部ってのは、まさかまさかのマッサカサマーだった。そんな、解散を間近に控えたアイドル界の最終兵器ことBiSとブルータル吉本オーケストラことVampilliaのコラボが実現した楽曲こそ、ex相対性理論真部脩一あらため真部デトックス脩一が手がけた「bombs」シリーズの二曲目”mirror mirror”だ。まるで『アイドル戦国時代』の殺し合いの螺旋からの卒業もとい解散を祝うかのような、担任の山本先生によるピアノの伴奏とともに、それこそ”BiSなりの卒業式”を祝うかのようなBiSメンの合唱で幕を開け、ココロが力強く弾む扇情的なストリングスや東京都心はパラレルワールドに迷い込んだかのようなメロディ、そしてDEAFHEAVENばりのスクリーモ/デプレッシブ系ブラゲ直系のギターを掻き鳴らしながらリリカルに展開していく。そして最期はBiS下衆の極み乙女の感情とVampilliaのゲスい吉本魂が激しく共鳴し合い、ゲスやビスやブスやクズやカスなど...あらゆる激情的な感情と刹那的なエモーションを爆発させながら、まるでBiSメンが処女喪失する瞬間の衝動を叫ぶような奇声とBiS階段リスペクトな極悪ノイズが蠢く混沌(カオス)の渦へと聴き手を引きずり込んでいく。正直、この曲の展開力には驚かされた。往年の相対性理論を彷彿とさせるシティ・ポップ感と、いわゆるポストプログレッシブ/ポストロッキンな音使いをもって、デプレッシブ系アイドルという名の偶像、その刹那的な人生を振り向かずに駆け抜けてきた一つの『アイドル激情物語』を繊細に紡ぐリリカルな展開力、そのBiSと吉本芸人Vampilliaが持つゲスの極みが一つになることで、それこそSTAP細胞を超える異常な化学反応を起こし、まるでDIR EN GREYの京の自傷行為に匹敵する”この胸に絡みついた灼熱の純情な感情”を爆発させる。この曲は、僕がBiSに対して漠然としたポストブラック精神を感じていたのはコレだったのかと、あの”DiE”はこの曲の伏線()だったんだ、と。正直、この曲だけでBiSのラストアルバムの存在意義を超えちゃってるというか、本家のラストアルバムWHO KiLLED IDOL?よりもBiSメンの個性が活かされているという皮肉(特にプー・カスとカミヤサキ、そしてのぞ氏がいい味出してる)。ある意味、この曲こそ”BiSなりのラストソング”、つまり卒業ソングだと思うわ。正直、真部ちゃんが相対性理論を抜けてVampilliaに正式加入したって聞いた時は→「ゴラアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!真部ええええええええええええええええ!!相対性理論抜けてこんな所でなにやっとんじゃあああああああああああああああ!!」って激おこプンカスだったけど、この「bombs」シリーズ二連発を聴いちゃったら最後→「これが真部ちゃんが相対性理論を抜けてまでやりたかった音楽か...フッ」って、すまし顔で僕はソッと口を閉じた。しっかし、あの真部ちゃんが”アイドル”をどのように料理するのか?最初は全くイメージ出来なかったんだけど、実際聴いてみたら「やっぱ真部ってスゲーわ」ってなった。



【Vampillia=ネタバンド】・・・このヴァンピリア、実はAlcestの初来日公演のサポートで初めてその存在を知ったというか、その破天荒なライブパフォーマンスを観てからは、自分の中で”Vampillia=ネタバンド”というイメージが根強くあったんだけど、その悪いイメージを払拭してくれたのがこの”endless summer”という、ゲストという名の語り部にツジコノリコを迎えた約4分33秒の曲だったんだ。これは以前にアルセスト来日のサポートを経験した影響なのかは定かではないが、正直ここまでポストブラック然とした楽曲が書けるなんて素直に驚いたし、このヴァンピリアというバンドのポテンシャルの高さに面食らったと同時に、この僕に生まれて初めて”ヴァンピリアの楽曲”を意識させた曲でもあり、生まれて初めて”ネタバンド”ではなく一つの”アーティスト”として認識させたほどの曲だった(なお、先日のライブで改めて”ネタバンド”という認識が強くなった模様)。で、この曲は”mirror mirror”の上位互換とも取れる曲で、ツジコノリコという名の語り部が『世にも恐ろしいグリム童話』のような儚くも陰惨な世界観を朗読しながら、優しくも切ないピアノやシガーロス直系の壮麗優美なストリングスを擁したATMS系ポストロックなアプローチをもって繊細かつリリカルに展開し、そしてボーカルの天パクソ野郎によるあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!という咆哮と共に、まるでNe Obliviscaris(ネ・バブリシャス)の如し抒情的な旋律を奏でながら天空を駆け巡る超絶epicッ!!なストリングスを凶悪なトレモロ・リフに乗せて、それこそKayo Dot『Hubardo』に匹敵する極悪のアヴァンギャリズムの中で、静かなる狂気を解放し、そして死者の霊魂を浄化していく。この曲調、このMVが醸し出すグリム童話感というのは、まさにスティーヴン・ウィルソン氏がソロ活動で描いている世界観に近く、少し大袈裟かもしれないが、UKの奇才スティーヴン・ウィルソンとアンダーグラウンドシーンの暗黒星Kayo Dotを繋ぐ架け橋的な存在こそ、このブルータル吉本オーケストラのヴァンピリアなのかもしれない。 しっかし、こうも大層なオルタナティブ・ミュージックやってるのにも関わらず、こうも人気が爆発しないのは、そのあまりにもニッチな隙間を狙いすぎている音楽性だから...なんだろう。



【マッサカサマーウイカ】・・・あぶらだこの長谷川裕倫をゲストに迎えた”tasogare”は、静寂の中で独り寂しくこだまする雨漏りのような哀しいピアノと長谷川裕倫のキモい語り部に黄昏れる、まるでアニメ『惡の華』のED曲の”花 -a last flower-”の原曲をオマージュしたかのような前半から一転して、後半からはEfなどの北欧ポストロックライクなアプローチやポップなピアノをフューチャーしながら、マスいリズムをもってまるでカーニバルのように明るく楽しく、そしてカオティックに展開していき、そして最後は男の娘ことVelladonの美輪明宏ばりのオペラティックなボーカルを披露し、まるで一つのミュージカルを観ているかのような、空前絶後の壮大なクライマックスを迎える。これこそヴァンピリアのポテンシャルがフルに発揮された、まさにプログレッシブでアヴァンギャルド、まさしくブルータルオーケストラな楽曲と言える。そして、USBM界のトレモロマスターことKralliceMick Barrがゲスト参加している”good religion”は、本家KralliceLiturgy譲りのハイパー・メガ・トレモロ地獄の中で、優雅なピアノと優美なヴァイオリンがエクストリームに交錯するファストナンバー。再びツジコノリコをゲストに迎えた”dizziness of the sun”は、瀬戸内国際芸術祭関連事業のために書き下ろされたという、ツジコノリコのストーリーテラー感および母性に溢れた歌声とピアノを中心に、緩やかに抒情的な旋律をもって静寂のリリシズムを発揮しながら、内向きだった感情が徐々に外側に解放されていくような、あまりにも芸術的過ぎるナンバー。それこそ先ほどの”endless summer”じゃあないが、それよりもスティーヴン・ウィルソン氏の”The Raven That Refused To Sing”的な、まさしく”Post”な展開力と無限のスケール感を持った曲だ。そして実質本編ラストを飾る、再びBiSをゲストに迎えた「bombs」シリーズの”oops i did it again”は、BiSメンによるゲップや喘ぎ声や泣き声や叫び声などの不快な擬音に重厚なストリングスとピアノを加えた曲で、先ほどの”mirror mirror”をイメージして聴くとあまりのゲスっぷりに吐き気をもよおすこと請け合い。その最後にのぞ氏が「ありがとう」と卒業生からの答辞を述べる辺りも、より”BiSなりの卒業式”を感じさせて面白い。オマケにはマッサカサマーウイカ仕様もとい真部ちゃん仕様の”endless (massaka) summer””lilac”(perfect ending ver.)が収録されている。とりあえず、真部ちゃんはBiSだとウイカパイセン推しなのはわかった(えっ)。”lilac”の(perfect ending ver.)は、より映画音楽的なドローン/ノイズ風のアレンジに惹き込まれる。



【Post-感】・・・僕は、あくまでもアルセストスティーヴン・ウィルソン氏を中心とした”Post-Progressive”な立ち位置からしか、このヴァンピリアの楽曲を紐解くことが出来ないけれど、そんなヴァンピリアが普段から居るちょっとスカした立ち位置とは少し違った”俺の界隈”目線で聴いてみても、予想以上にツボにハマった感あるし、むしろ逆に本作のような本筋から少し逸れた日本企画盤だからこそ、ここまで今作を相対評価以上に楽しめてるんじゃあないか?って。やはり、それは賛否両論を生んだ相対性理論TOWN AGEと同じ”Post-感”だったり、一方で往年の相対性理論を思わせるシティ・ポップ感だったり、自分の好きな音が”ポップ・ミュージック”という枠組みの中で、強引ではなくあくまでも自然な形で一体化し、これはパスピエの楽曲作りの”うまさ”にも繋がってくる話なんだけれど、明らかに”ポップ・ミュージック”ではない音を一つのアルバムにパッケージしてしまうセンス、このヴァンピリアという名のお笑い芸人が持つ底知れぬ”Post-Pop”なセンス、もはや僕たちは新たなるポップ・ミュージックの夜明けを目の当たりにしているんじゃあないか?って。

【総括】・・・もちろん、国内外からのゲストを迎えてコラボした楽曲も素晴らしいが、ポストロックやポストプログレッシブに通じる”ポスト-リリカル”な展開力の高さこそ、このヴァンピリアの真骨頂だと僕は思っていて、そのポテンシャルがフルに発揮された「bombs」シリーズ、特にBiSが参加した”mirror mirror”みたいなリリックを大切にした曲を聴くと、どうしても歌詞カードを見ながらその世界観に没頭したくなるんだけど、いざ歌詞を見ながら楽しもうとしたら、アートワークの裏にクレジットが書いてある紙一枚だけの仕様だった...。一応は真部ちゃんが書いた歌詞を一つのウリとしているわけだし、その歌詞が創り出す独創的な世界観が今作の見せ場になっているからこそ、余計に最低限の歌詞カードは欲しかったなーと。まぁ、レーベルの懐事情がカツカツなのが伝わってきて逆にエモかったけど。あとメイドイン台湾という謎流通も実にエモい。欲を言うなら→(ありえないことだけど)その「bombs」シリーズの歌い手に”サブカル界のオボちゃん”ことやくしまるえつこが参加してたらビバナミダだったわ。これ、もはや今年のBESTアルバムと言っても決して過言じゃあない。しかしこうなってくると、長年の”アルバム出るよ出るよ詐欺”が遂に詐欺じゃなくなる1stフルに対して、更に大きな期待がかかるってもんです。

裏ジャケ

【アイドル×アーティスト】・・・”ポップなんだけどポップじゃない”、”ポップじゃないのにポップ”みたいな不条理な感覚と、一枚のアルバムに”アイドル””ブラックメタル”が何の違和感もなく平然と共存している頭のおかしさ、こんな”いともたやすく行われるえゲスない行為”は世界中探してもこのヴァンピリアにしかできないだろうし、ある意味、こいつらベビメタ以上に革命的なブッ飛んだ事やってるんじゃねーか?って。これはBiSを見れば顕著なんだが、ここ最近、いわゆるアイドルと一般的なアーティストとのコラボという名の”アイドルを利用したカネモウケ”が本当に増えてきている。この現象は、もはやアイドルとアーティストとの壁や垣根がなくなってきた、それこそ昨今の日本の音楽シーンを司る大きな流れなのかもしれない。そういった視点から音楽界隈を眺めてみると、ガラパゴス化したと言われている今の邦楽シーンは本当に面白いし、一方で洋楽がオワコンと呼ばれるのにも納得してしまう。当然、このヴァンピリアも抜け目がないというか、その辺のアンテナがシッカリしているバンドだということは、今作で既に証明済みだ。なにはともあれ、解散を目前にしてもなお僕を色々な意味で驚かせてくれるBiSメンには敬意を表したい。 あと裏ジャケには絵本タッチに可愛くデフォルメされたBiSメンが描かれているんで、これだけで研究員はマストバイなんじゃねーかなぁ。もちろん、”BiSなりの卒業式”的な意味でもね。

the divine move

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Vampillia
Virgin Babylon Records (2014-04-09)
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Vattnet Viskar 『Sky Swallower』 レビュー

Artist Vattnet Viskar
Vattnet Viskar

Album 『Sky Swallower』
Sky Swallower

Tracklist
01. New Alchemy
02. Fog Of Apathy
03. Monarch
05. Ascend
06. Mythos
07. As I Stared Into The Sky
08. Apex

【VV】・・・チェコの新星██████、またの名をnicも今年のポストブラック界隈では要注目のバンドだったが、USはニューハンプシャーにも、かの老舗レーベルCentury Mediaから1stフル『Sky Swallower』をリリースした、その名もVattnet Viskarという四人組が存在する。先に言っておくけど、映画のV for Vendettaでもサブカル御用達のVillage Vanguardでも、もちろんVやねん!でもないよ。ちなみに、今作のジャケはWhirrのシングル『June』を手がけた人らしいよ。

【持ち味】・・・その音楽性としては→初期のAltar of Plagues直系のATMS系ポストブラックや、NeurosisUlcerateを連想させる渦々しく蠢くスラッジーな轟音を織り交ぜた激動パートから、今はなきIsisや初~中期Cult of Lunaを連想させるポストロッキンな静寂パートへと、あくまでも自然な流れで緩やかかつ靭やかに交錯していく、いわゆる”ポスト”スタイルで、もはやこのVattnet Viskarの本質や曲作りに対する意識の比重は9割方静寂パートにあると断言できるほど、今はなきIsisなどの王道的ポストメタルがウリとしている”静と動”の対比およびコントラストを持ち味とした、一言でいえば意識の高いポストブラックをやってるんだ。

【意識の高い静寂パート】・・・彼らの”静寂”に対する異常なまでの執着心は、幕開けを飾る#1から顕著だ。再生すると同時に、雄々しい勇壮成分配合のトレモロンDと猛獣じみた凶悪な咆哮を乗せた粗暴なブラストで疾走し、そして全てをなぎ倒すようなスラッジーな轟音から、寂寥感を煽るポストロックライクな静寂パートへと移り変わっていく。この、まるでIsis顔負けの静から動へと美しく流れるようにスムーズな場面の切り替えから、彼らのATMS空間作りに対する意識の高さが伺えると同時に、このVVが決して並みのバンドじゃあないという事が理解できる。次の#2は、イントロからアンビエンス効果を加えたエモーショナルな静寂を生み出し、そして突如トレモロリフと共に凶暴な咆哮から、再び寂寥感を煽る儚いメロディが織りなす静寂パートへと交互に交錯していく。彼らの”持ち味”が冴えわたる#4は、中盤からのニューロシス直系のダーティな静寂パートから、突如破天荒な轟音をブッ放す混沌とした音塊に飲み込まれる。

【インストも聴きどころ】・・・今作では、#3,#5,#7に短いインストを挟んで作品に小気味よいメリハリを与えている。Jesu風の#3をはじめ、#5ではリバーブを効かせた儚くも美しいメロディを聴かせ、次のブラゲ然とした#6へと繋ぐ重要な架け橋となっている。そして、和楽器の琴を使った#7の聞き手の意表をつく和風な演出に、そこはかとないファッションセンスを感じさせながら、メロドゥーム風のメロディをフューチャーしたラストの#8を迎える。この曲はアウトロの荒涼としたアコギをはじめ、終始ドゥーミッシュな音の感触はUSBM界のレジェンドことAgallochさんを彷彿とさせる。

【俺は今、最高の静寂の中にいるんだ...】・・・要するに→Isisやニューロシスがブラックメタル化したのがこのVVで、ポストブラックというよりはATMSブラック寄りのスタイルだが、そのわりに存外シンプルに聴かせる。ヘタに10分を超えるような長尺曲がないのは、かの大手メタルレーベルCentury Media所属だからなのかと邪推。兎にも角にも、けたたましい轟音から限りなく無音に近い静寂の隙間に入り込む、いや溶け込む瞬間の意識の高さが異常なんで、一度だけでも聴いてみる価値はあります。

 
Sky Swallower
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Vattnet Viskar
Century Media (2013-09-03)
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Vaura 『The Missing』 レビュー

Artist Vaura
Vaura

Album 『The Missing』
The Missing

Tracklist
01. The Missing
02. Incomplete Burning
03. The Fire
04. Mare Of The Snake
05. Pleasure Blind
06. Passage To Vice
07. The Things That We All Hide
08. Braced For Collapse
09. Abeyance
10. Putting Flesh To Bone

【Kayo Dot×Gorguts×Blacklist・・・このUSはブルックリン出身の四人組、その名もVauraといえば→新譜が好評のGorgutsと新譜でブラックメタル化したKayo Dot、そしてBlacklistのメンバーからなるプロジェクトで、その音楽性としては→自身のバンドでやってるデススペルお兄さん系ブラックやポストパンク、ポストハードコアやゴシック、そしてエクスペリメンタルやポストロックなどのスタイル、それらの特徴をそれぞれ持ち寄って生まれたのがこのVaura、というわけ。で、デビュー作となった前作のSelenelionを聴いた時は→例えるならCynicのEPもしくはIsisがサイケ/プログロック化した感じのアレで、なんだこの気色悪い”ポスト”ミュージック・・・とか思いつつも、しかしその内容は思いのほか俺好みで、決して悪いものではなかったし、むしろクセになるほどだった。

【Post-Punk×Blackgaze=Post-Black】・・・そんな、イマイチ焦点が定まらない音楽性だった前作から、約一年ぶり通算二作目となる今作の『The Missing』は、かのProfound Loreに移籍して第一弾なんだけど、まずはオープニングのタイトル曲を聴いた瞬間に俺たちポストブラ厨をアヘ顔デフヘヴン状態にさせる。まるで、ファッションサブカル系男子御用達ミュージックことDeafheavenに対抗するかのような、実にブラゲ然としたMy Heart is epicッ!!な胸の高鳴り即ち昂揚感と激情的なエモーションを撒き散らしながらひた走るイントロから、俺たちのポストブラ魂に火をつける。次の#2は、中期KATATONIAもしくはLes Discretsを連想させるデプレ感を醸し出すゴシックロック/ポストパンクの名曲で、特にクライマックスを飾る泣きのギターソロは大きな聴きどころ。そして、もはやお馴染みの密教的なポスト空間を形成するイントロから、突如Krallice顔負けのトレモロリフが容赦なく襲いかかる#3を聴けばわかるように、つまり今作ではボーカル&ギター担当のJoshua Strawnが在籍する、Blacklistライクなゴシックロック/ポストパンクへのアプローチを著しく強めた耽美派ポストブラック、そんな明確かつ焦点の定まったスタイルを確立している。とにかく、ここまで#1~#3の異様な展開力の高さに、確かな”Progressive”を感じざるをえなかった。

【ポストパンクリバイバル】・・・トレモロをフューチャーした圧倒的なポストブラっぷりを見せつける序盤以降は→マイケル・ジャクソンのスリラーっぽいイントロが面白い#4、ナルシズム全開の妖麗なボーカルをはじめリズムからアレンジまで全ての音使いから往年のポストパンクリバイバルを感じる#5、そして前作の”Drachma”の続編にあたる#6あたりから、Kayo Dot直伝のネットリとまとわりつくようなサイケデリック/エクスペリメンタル色を強めていき、気づいたら密教の世界に迷い込んでいた。まさに、Kayo Dotの中心人物でありマルチプレイヤーのToby Driver、すなわちVauraの本領発揮ってやつだ。次の#7では、Cynic『The Portal Tapes』ライクなATMSフィールドを展開し、トビーによる肉厚のベースラインが主導権を握るドリーミーかつポストロッキンな#8では、ボーカルのジョシュアが今作で初めて荒々しい咆哮を披露している。特に轟音と轟音がけたたましくぶつかり合う終盤の展開はハイライトと呼ぶに相応しい。

【ポストブラ界のパラロス】・・・そんな、80sゴシックロックやらサイケロックやらポストパンクリバイバルの中盤の密教空間を抜けると→言うなれば【デススペルお兄さん×インダストリアル】な#9、ラストの#10は今作で最長の7分半ある曲で、Cult of Luna”Passing Through”を彷彿とさせる仄暗いイントロから、優雅なアコギとウネるようなベースがフェミニンなムードを漂わせながら、マッタリとした幻想的な空間を形成していく。終わりが近くなると、ゴシックスタイルにギアチェンジしてからepicッ!!なリフで徐々にキモチを高めていき、そして(おいおいパラロスのオマージュか)とツッコミたくなるボーカルの”ゴシック”なフレーズが飛び出す驚きのラストまで、最後の最後まで聞き手を楽しませる。

【化けた】・・・そんな感じで、イマイチ何がしたいのかよくわからなかった前作とは違って、今回は”ポストパンク”という明確なコンセプトがあって、しかし前作同様に若干のチープさは否めないが、その内容その完成度は前作を優に上回っている。あのProfound Loreに移籍した影響もあるのか、まさかここまで俺たちポストブラ厨をアヘ顔デフヘヴン状態にさせるアルバムを出してくるなんて・・・いやはや全く予想してなかったし、何かわからんが自分の審美眼を褒めてやりたくなった。これはもう”化けた”という表現を使っても問題ないんじゃあないか。なんか次作あたりでピッチフォーク厨が食いついてきそうな予感がプンプンしてる(あっ、既にか・・・)。ちなみに、このピッチ厨が大喜びしそうなジャケのレインボーおっぱいを手がけたのはレーベルメイトのLocrianTerence Hannum氏です。

Post-Black is DEAD・・・近頃のポストブラック界隈といえば→この手の界隈の皇帝ネージュAlcestを代表としたシューゲイザーブラックなるスタイルが流行っている・・・のかはいざ知らず、それを横目にPost-PunkとBlack-Metalの親和性の高さを見出し、実際に調和を試みるバンドもポツポツ出てきている。恐らく、ブラック(ブラゲ)にポストパンクっぽい音を初めて持ち寄ったバンドって、フランスのAmesoeursもしくはLes Discretsあたりだと思うんだけど、これからのポストブラ界隈は、このVaura『The Missing』を先駆けとしたPost-PunkにBlackをブチ込んだ耽美派ポストブラックが流行りそうな気がしないでもない(適当)

【ファッションブラック】・・・新曲のオパーイで、自らが生み出したポストブラックの歴史に自らの手で終止符を打ったAlcest。彼らの後継者は腐るほどいそうだが、Les Discretsの後継者って意外と少ないというか、このVauraしかいねーんじゃねーか?って。さすがに褒め過ぎかもしれないが、地味に今年のポストブラ系ではレーベルメイトのCastevetと並んでマストだと思う。もちろん、惜しくも解散してしまったAoPエクストリームエビ反りは言わずもがな、今やファッションブラック界のNo1,アイドルことデフヘヴンもね☆ でも正直、今年はデフへの新譜よりもコレ推したほうがドヤ顔できるんじゃねぇ~?
 
Missing
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Vaura
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