Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

レビュー (W)

Whirr 『Sway』

Artist Whirr
Whirr

Album 『Sway』
Sway

Tracklist
01. Press
02. Mumble
03. Dry
04. Clear
05. Heavy
06. Sway
07. Lines
08. Feel

Deafheaven VS, ex-Deafheaven ・・・昨年、メタルシーンを最も賑わせたアルバムといえばDEAFHEAVEN『サンベイザー』だ。最近では、その現DEAFHEAVENex-DEAFHEAVENの派閥争いが激化し始めていて、大手音楽メディアピッチフォークをパトロンとする現デフヘヴンに対抗する組織、言うなれば”アンチピッチフォーク界のアイドル”ならぬex-DEAFHEAVEN側の首謀者であるニック・バセットくんが今年新たにNothingDeath Of Loversなる新バンドを立ち上げたが、そんな彼が以前より在籍していたシューゲイザーバンド、Whirrの約二年ぶりとなる2ndフル『Sway』がリリースされた。

原点回帰 ・・・このWhirrといえば→2010年作のEP『桃尻女とシューゲイザー』がマイブラ直系の甘~いシューゲイズ・サウンドに胸キュン不可避な傑作で華々しいデビューを飾り、誰しもが将来を期待するバンドに思えた。がしかし、その後は紅一点の女性VoのByanca Munozたそを皮切りに、遂には後任ボーカルのKristina Esfandiariまでも脱退し、その作風もよく分からない方向に迷走し始め、デビュー当時のバンドの勢いは作品を追う毎に右肩下がりに、巷じゃ「デビューEPで終ったバンド」...そんな悪評が広まっていた。そんな彼らが放つ2ndフル『Sway』は、あの迷走していた時期とは一体なんだったのか?ってくらい、AlcestLantlosあるいはHammockを連想させるドリーム・ポップ系の儚いメロディをフューチャーした轟音ヘヴィロックやってて、このデフヘヴンからシューゲ部分をザックリと抜き出したような、シューゲイザー・リバイバル感あふれる萌え萌え胸キュンサウンドこそWhirrの真骨頂であり、ここ最近のアルバムでは最も桃尻女とシューゲイザーに近い作風、つまり”原点回帰”と呼べる一作となっている。ひとえに”原点回帰”と言っても厳密には違うくて、ニックの影に隠れたWhirrの実質最高権力者ことLoren Riveraがメインボーカルを張っている所やオルタナティブなアプローチを強めている所からも、どちらかと言えばNothingや盟友Anneに引っ張られる形となっている。ドラムをはじめ全体的に音がメタリックで、そういった意味でもNothingの影響というか、近年のニックの嗜好が顕著に出た作風と言える。それはさしずめ女子禁制の『鮫肌男とシューゲイザー』といった所か。

???「ファッ◯ン ピッチ!」 ・・・ローレンというヤンデレ系男子の憂鬱な歌と焦燥感を煽るメロディを乗せてパンキッシュに疾走する#1”Press”は、1stEPの”Meaningless”や1stフルから”Junebouvier”の流れにあるハードコアな曲で、それこそ”原点回帰”を宣言するに相応しいオープニングナンバーと言える。続く#2”Mumble”では、音響意識の高いドリーミーなメロディとノイジーなギター、そして胸キュン不可避なボーカル・ハーモニーを聴けば名盤桃尻女とシューゲイザーの再来を予感させる。そして、その予感は#3”Dry”で確信へと変わる。この曲は、Alcestの2ndを彷彿とさせる幻夢的なメロディとポストメタリックな轟音ヘヴィネスが美しくも激しく交錯していく。深いリヴァーヴを効かせた幻想的なメロディと身が竦むほどノイジーな轟音が雪崩のように押し寄せる#4”Clear”、まるで鮫肌のようなギター・ノイズと甘味なボーカル・ハーモニーが織りなす、エベレストの山頂で恋の遭難信号を発しながら息絶えるような胸キュンボンバーの#5”Heavy”Hammockばりのアンビエンス音響空間を形成しつつローテンポで進む表題曲の#6”Sway”、それ以降も最後までメロディ重視の作風といった印象で、その量は過去最高と言っていい。確かに、Nothingほどのインパクトはないかもしれないが、少なくともちょっとオサレなノイズ・ポップと化した1stフルやポストロック化した2ndEPよりは、彼らの原点である『桃尻女とシューゲイザー』を感じる事のできる、それと対になる王道的なシューゲイズ作品で、個人的にも『桃尻』の次に好きなアルバムとなった。そして、ようやく長い迷走期間から抜け出す事ができたんだってね。

デフヘヴン包囲網 ・・・この”大シューゲイザーの時代”の草分け的な存在であるWhirr”原点回帰”したことにより、俄然デッへ界隈の権力争いが面白くなってきた所で→現Deafheavenのメンバーによる新バンドCreepersがデビュー、からのByanca Munozたそ率いるNight Schoolが電撃参戦!というシナリオ。正直、デッへ界隈だけでここまで楽しめるのは全てニックのお陰というか・・・ハッ!まさかニックはこの未来を描くためにデッへから脱退した可能性が・・・ッ!? な...なんてエモーショナルな人なんだ・・・。
 
Sway
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Whirr
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Wovenwar 『Wovenwar』

Artist Wovenwar
Wovenwar

Album 『Wovenwar』
Wovenwar

Tracklist
01. Foreword
02. All Rise
03. Death To Rights
04. Tempest
05. The Mason
06. Moving Up
07. Sight Of Shore
08. Father/Son
09. Profane
10. Archers
11. Ruined Ends
12. Identity
13. Matter Of Time
14. Prophets
15. Onward

ロリペド VS, 嫁キラー ・・・ここ最近、20世紀後半のロック界が生み出した凶悪犯罪者といえば→Lostprophetsのボーカリストでありロリペドクソ野郎ことイアン・ワトキンス、いわゆるメタルコアとかいうジャンルにガチで終止符を打ちやがったAs I Lay Dyingのボーカリストであり嫁殺人(未遂)野郎ことティム・ランベシスという、現代のロック界およびメタル界を代表する二人のボーカリストの一騎打ちだろう。で、このWovenwarというバンドは→アズ・アイ・レイ・ヨメ・ダイングの取り残された4人のメンバーが、ex-BtBaMのギタリストでありOh, SleeperのボーカリストShane Blayを引き入れて結成された新バンドで、そのWovenwarというバンド名を冠したデビュー作が名門Metal Bladeからリリースされた。

アズアイ-暴虐性+シェーン= ・・・イントロ(#1)を引き継いで幕を開ける#2”Foreword”から、当然ながらアズアイの面影を直に感じさせる、(スラッシュ/ブルータルな暴虐性を排除した)よりメロディックに振り切ったツインギターによるキュルキュルっとした叙情性とボーカリストShane Blayのエモーショナルで力強いキャッチーな歌メロをフューチャーした、それこそこのWovenwarを象徴するかのような楽曲で、元々アズアイ自体メロディセンスはあったし、まさしくそれを再確認させるようなキラーチューンとなっている。その#2をはじめ、基本はシェーンの歌声からなるアメリカン・ハードロック直系の素直なメロディを、面影はあるが確実に一線を画したアズアイ生き残り勢によるメロディックなサウンドがバックを支えるという、あくまでもガッツリ歌えるタイプのVoシェーンの説得力ある歌声を最大限に活かしたシンプルな楽曲を中心に、途中H.I.Mばりの耽美なゴシック感を醸し出す#8”Father/Son”やロリペドプロフェッツに対抗するような#9”Profane”をアクセントとして挟みながら、各楽曲に施されたアレンジにより微妙に表情を変化させていく安定感のあるソングライティングとバンドの確かなテクニックに裏打ちされた、質の高いメロディックなロックアルバムとして楽しませる。そのスタイルは、KeEのセルフタイトルやex-KsEのハワード率いるDevil You Knowを彷彿とさせる。他にも→#5や#11のメッロメロなギターは大きな聴きどころで、まるで「メタルコアはクソだ!」と言わんばかりの、完全に吹っ切れちゃってる叙情的なギターからは色々な事が想像できて面白い。で、アズアイでもその確かな存在感を示していた、ベーシストJosh Gilbertのハイトーンコーラスはバンドが変わっても健在で、しかも#13”Matter Of Time”ではメインボーカルを張っていて、なんか「もうお前が歌えばいいじゃん」って思っちゃったんだからしょうがない。
 
Wovenwar
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Wovenwar
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Widek 『Outside the Universe』

Artist Widek
Widek

Album 『Outside the Universe』
Outside the Universe

Tracklist
01. The Space Between Us
02. Above The Sky
03. Spiral
04. Galaxy
05. Aries (feat. Gru)
06. Stargaze
07. Orion
08. Cosmic Ocean (feat. Tomas Raclavsky)
09. ION
10. Saturn (feat. Sithu Aye)
11. Celestial
12. Falling Universe (feat. Gru)
13. The Last Day on Earth
14. Ursa Major (feat. Gru)
15. Enter Through The Sun (feat. Matthieu Romarin & Gru)
16. The Astronaut

【ジェント界のオールスター】・・・いわゆるDjentっつージャンルって、開祖Meshuggahをルーツとする正統派からプログレ・メタルに歩み寄ったDjentから女ボーカルのkawaii-Djent、メタルコアを乗っ取ったDjentからスパイス・ボーイズ系のikemen-Djentまで、一見アンダーグラウンドでニッチなジャンルのようで実はとっても幅広くて奥深いジャンルなんだけど、このポーランド出身のWidekはアンビエント/アトモスフェリック系の独りDjentで、アトモスフェリック×ポストメタルなDjentといえば真っ先にフランスのUneven Structureを彷彿とさせるが、このWidekの1stフル『Outside the Universe』は、そのUneven StructureのボーカルMatthieu Romarinや同郷のGruやビルマ(ミャンマー)出身のSithu Ayeなどの著名なDjentlmenをゲストに迎えた、ある意味でジェント界のオールスター的な作品となっている。

【Shoegazer×Djent=Shoedjent】・・・オープニングを飾る#1”The Space Between Us”から、スウェーデンのCarbon Based Lifeformsを思わせる超宇宙なアンビエント空間の中で、Hammockを思わせるポストロック流れの情緒感あふれるリリカルなメロディが華やかに美しく、そして力強くエモーショナルに咲き乱れる曲で、この時点でWidekのアトモスフェリック・ミュージックや”ポスト-系”に対する意識の高さが伺える。更に次の#2”Above The Sky”では、このWidekがやっぱりタダモノじゃない事を痛感することになる。AmbientとDjentの組み合わせは”Ambidjent”と呼ばれるくらいには有名だけど、この曲はShoegazerとDjent=Shoedjentという今までにありそうでなかった珍しい組み合わせ...というより、ジェント界隈の人間がシューゲっぽい曲やってる事にまず「シュゲー!!」って驚く。・・・で、再びポストロック流れのミニマルでエピカルなメロディをフューチャーした#3”Spiral”なんかは、それこそOGのsleepmakeswavesがジェント化したような感覚すらあって、続く#4”Galaxy”のジェント然としたガーガーガーガーガーニキガーニキガーニキ的なリフを耳にして初めて→「あっ、これってジェントだったんだ!」ってなるくらい、そのアンビエント/ポストロックの流れを汲んだ淡く繊細なメロディセンスは、少なくともこのジェント界隈では頭ひとつ抜きん出ている。

【スペースノイドマン】・・・その後も→”Stargaze”やや”The Astronaut”などのアンビエント系から、”Orion””Cosmic Ocean”などのGod Is An AstronautもしくはAtomaがジェント化したような曲、TesseracT風のアルペジオを駆使した”ION””Saturn”など、時に夜空に煌めく星のように、時に天体観測からの「あっ!あれオリオン座じゃない?」と独り言いってみたり、時に宇宙の果ての銀河に放り出されて→「あたしサンドラ・ブロック、ガチで宇宙空間を漂流中」を再現したり、かと思えば一転して深海の神秘に惹き込まれたり、時に夢のようにシネマティックな音世界を独り旅してみたり、時に独りで『惑星ソラリスとの交信』をしてみたり、時に映画『地球最後の日』あるいは『メランコリア』の壮絶なラストシーンを疑似体験させたりと、孤独死不可避な喪男だからこそ捻り出せるそれらのキモーショナルなメロディを自在に操る、まるでNHK宇宙チャンネル『コズミックフロント』を観ているかのようなサウンド(ドリーム)スケープを目の当たりにしたら最後、気づくと私はスペースノイドと化していたのだッ!・・・(続く)

【Djent化したCBL】・・・一概にジェントと言っても、基本は短尺(約3分)の曲で構成されたチルいインストアルバムで、しかしインストに感じないくらい豊富なメロディの洪水にはぐうの音も出ない。現にUneven Structureのボーカルをゲストに迎えた”Enter Through The Sun”を聴いて、ようやくこのWidekがインストだという事に気づいた(おそ)。まぁ、それは冗談だけど→ジェントには”必ずしもボーカルは必要でない”という事を証明するかの如く、孤独感に苛まれた喪男の腐敗した心を浄化するような聖なる清らかなメロディに満ち溢れ、それはまるで地球外生命体すなわちエイリアンが繭の中で孵化していく絶望的でありどこか神秘的な姿を映し出すかのよう。もはや、あのSadistik”ヒップ・ホップ化したCarbon Based Lifeforms”だとするなら、このWidek”ジェント化したCarbon Based Lifeforms”だ。メロディ以外の面では、ヘタにジェントジェントしたリフを多用するのではなくて、あくまでもマスいリズムに重きを置いた一種のポストメタルあるいはモダンなヘヴィロックとも取れるリフ回しを得意としている。 今年、ジェント界におけるオモテのBESTアルバムがAnimals As LeadersThe Joy of Motionならば、このWidekの1stアルバム『Outside the Universe』はウラのBESTアルバムと言っていい。それほどまでに、今や星の数ほど存在するDjentlmenの中でも、このWidekはペリフェリーをはじめとしたジェント界の重鎮にも決して引けをとらない、実はもの凄く先鋭的なDjentを体現しているスーパーDjentlmenなんじゃあないかって。
 

Woods of Desolation 『As the Stars』

Artist Woods of Desolation
Woods of Desolation

Album 『As the Stars』
As the Stars

Tracklist
01. Like Falling Leaves
02. Unfold
03. And If All The Stars Faded Away
04. This Autumn Light
05. Anamnesis
06. Withering Field
07. Ad Infinitum

ぼく「えぇ!?ラントロス君がポストブラックをやめるだってぇ!?」
廃材君「えぇ!?ラントロス君がポストブラックをやめるだってぇ!?」

ぼく「よっしゃ!NEXT-ALCESTは廃材君に決まりや!」 
廃材君「よっしゃ!ラントロス君に習って俺たちも初期アルセ化や!」

ぼく「えっ」
廃材君「えっ」 

【ブラゲの極み乙女】・・・ポストブラック界の皇帝アルセスト『シェルター』でポストブラックを超越したとなると、じゃあその空いたポストに誰が入るの?という話で、その”ポスト-アルセスト”に最も近い存在こそ、このオーストラリア出身のD.氏によるWoods of Desolationなんだ。2011年作の2ndTorn Beyond Reasonを初めて聴いた時の衝撃ったらなくて、正直あのDEAFHEAVENよりも先に激情系ブラゲ/ポストブラックやってたのがこの廃材君なんだ。そのポストブラック界に名を残す名盤だった前作から約三年ぶり通算三作目となる『As the Stars』なんだけど、その幕開けを飾る#1”Like Falling Leaves”を再生すると同時に、無骨で粗暴なブラストとともに解き放たれるジジジ...ノイジーなギターの音使いから確信犯で、続く#2と#3などのポストロック流れにある気品漂うポジティヴなメロディを聴けば分かるように、まるでアルセが”ポストブラックをやめる”ことを予見していたかのような、まるで「俺たちがアルセだ」と言わんばかりの、それこそ初期アルセの代表作である『Le Secret』の再来を予感させる、これぞまさしく”ブラゲの極み乙女”なポストブラックを展開している。

【スーサイド系男子】・・・ふと胸を掻きむしりたくなるほどの衝動に襲われる、自傷行為イイネ☆系デプレブラックだった前作、それを何倍にもキレた印象を与えていた張本人である→時として激情的、時としてビャアアアアアアアアアアアアアア!!とかいう金切り声を聴かせていたTim "Sorrow" Yatras氏が惜しくも脱退し、今回は初期のデモ音源でボーカルを担当していたThrydwulf(Old)がバンドに出戻りした形となっている。彼は前任者のティムと違って、どちらかと言えば高音ではなく低音を効かせたイヴェ゛アアアアアアアアアアアアアア!!みたいな金切り声を特徴としていて、言うなればスウェーデンのShiningのスーサイド系男子ことNiklas Kvarforthを彷彿とさせ、それによってバンドのキモであるデプレッシヴな激情感およびepicッ!!な勇壮感が著しく減退している。このボーカル交代は、バンドの致命傷になるのではないかと少し心配していたが、その躁鬱感溢れる焦燥感と終末感が入り乱れた『幸福』な音世界に触れてしまうと、あたらめてD.氏の音作りと作曲能力の高さに脱帽させられる。確かに、ここ最近のポストブラック界隈で著しく流行っているシューゲイザー化の煽りを多少なりとも食らってはいるものの、しかしこれはポストブラ特有の儚くも淡いメランコリックな一面が露骨に表面化した結果であり、その音の根幹にある精神性は不変で、その著しく洗練された音使いと楽曲からは、少なくともダッチ産あたりのポストブラとは一線を画した確かな説得力がある。それこそ霧の季節20世紀メディアあたりと契約してもオカシクないレベルだと。

【ポストブラックの先駆け】・・・おいら、以前にも少し書いたが→KATATONIA『Brave Murder Day』はポストブラックの先駆けだと確信していて、今作の『As the Stars』では初期アルセは元より、そのKATATONIAの名盤『Brave Murder Day』を彷彿とさせる、ドゥーム/デプレッシブ・ロックな音を積極的に取り入れている所も大きなポイントだろう。それは#6”Anamnesis”を耳にすれば、いかにしてKATATONIA『Brave Murder Day』が、USのレジェンドAgallochをはじめとしたポストブラック界隈に与えた影響、その大きさを痛感する事になるだろう。そんな印象もあって、よりShining (Swe)っぽい鬱系ブラック感を与えている。

【Post-Black is Love】・・・本人達はこう呼ばれる事に不満を持つかもしれないが、このWoods of Desolationこそ”NEXT-ALCEST”と呼ぶに相応しい、その最もたる存在であることを皮肉にも証明してみせた一枚なんじゃあないか、って。現にラストを飾る#7”Ad Infinitum”は、それを確信的なモノにするくらい、とてつもなくラヴリィ♥な多幸感をまき散らしている。その超絶epicッ!!な光景は・・・まるでAlcestの名盤『Souvenirs d'un autre monde』の幼女が浜辺で戯れているかのような、それこそ「Post-Black is Love」のセカイだ。
 
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Warpaint 『ウォーペイント』 レビュー

Artist Warpaint
Warpaint

Album 『ウォーペイント』
Warpaint

Tracklist
1. Intro
2. Keep It Healthy
3. Love Is To Die
4. Hi
5. Biggy
6. Teese
7. Disco//Very
8. Go In
9. Feeling Alright
10. CC
11. Drive
12. Son
13. Love Is To Die - Extended Alternate Mix
14. Love Is To Die - The Line Of Best Fit Live Session

【ウォーペイント】・・・このUSはロサンゼルス出身のWarpaintといえば→2009年にリリースされたEP『Exquisite Corpse』でデビューを飾り、その翌年にメジャーレーベルのRough Tradeから1stフルThe Foolをリリースするやいなや、その翌年の2011年に(自分が予想したとおり)フジロックで初来日を果たしたりと、今や世界中で爆発的な人気を博する存在となったウォーペイント。初期の頃こそ、ベーシストのジェニーの姉で女優のシャニン・ソサモンやレッチリのジョシュが在籍するバンドとして大きな注目を浴びていたが、しかしその二人が脱退した今の”真・ウォーペイント”にとっては、もはやそんなんどーでもいい事なのかもしれない。

愚者・・・2010年にリリースされた1stフルザ・フールを聴いた時は結構な衝撃だった。(一応)フロントマンのエミリー・コーカルと元クソDT野郎ことジェイムス・ブレイクのガールフレンドであるギタリストのテレサ・ウェイマンによるサイケデリックかつメランコリックなヤンデレ系の歌声とギターのメロディが、まるでグリム童話のようにメルヘンチックで仄暗く幽玄な【ATOMSフィールド】を形成しながら、ゆるふわオッパイ姉ちゃんことジェニー・リーのタイトなベースラインと当時ドラマーのデイビッドによるリズム隊、そして女子三人によるコーラス/ハーモニーが妖しく交わる心地よい浮遊感と共に、まだ少しあどけない乙女心のような衝動的かつ焦燥的なリズム&グルーヴを刻みながら、デビュー作にして既に自身の”バンド・サウンド”を確立していた。




【プロデューサー=シガーロス&ミキシング=レディオヘッド】・・・それでは、その前作から約四年ぶりとなる待望の新作で、セルフタイトルを掲げた今作の『ウォーペイント』はどうだろう?結論から言っちゃえば→「こいつら一体どこに向かってんだ・・・」というお話。で、まずオープニングを飾るのは→メンバー四人が仲むつまじくセッションする様子が目の前に映しだされるイントロの#1、そのインストのRadioheadや中期ANATHEMAを連想させる、いわゆる【ATOMS】に対する意識の高いゆるふわ系の耽美な空気感を引き継いで、存外アッサリとしたラフなノリで展開する#2”Keep It Healthy”こそ、ウォーペイントらしいアンニュイでありながらも童話のようにポップな世界観と、まるで思春期を迎えた乙女心のように不規則で不安定なリズムを刻んでいく、実に”バンド・サウンド”然とした曲で幕を開けるが、しかし次の#3”Love Is to Die”以降は少し話が違ってくる。それはまるでポストブラックレジェンドことAltar of Plaguesの名曲God Alone顔負けのアンチクライスト感が込められたノイジーなイントロから、ドコかしらナニかしらの狂気をまとった雰囲気とEPの名曲”Elephants”を彷彿とさせる中毒性の高いトリップ感を共存させながら、メインVoを担うテレサの寂寥感を誘う気だるい歌声とエミリー&ジェニーによるフェミニンなコーラス、そしてメランコリックにゆらり揺らめくリリカルでいて繊細なメロディが、シングル曲らしくキャッチーに美麗な旋律を奏でていく。この#3だけは初聴きで名曲だと思ったし、ここまでの流れは今作一番のハイライトと言っていい。で、ここまでの率直な感想としては→「なんかUKバンドっぽくなった?」という事。それもそのはず→なんと今作のプロデューサーにはU2やシガーロスなどの大物を数多く手がけたフラッドことマーク・エリスを迎え、更にミキシング(#3,#9)にはレディへのプロデューサーとして知られるナイジェル・ゴドリッチが担当・・・ってんだから、さっきまでの自分が漠然と感ていた妙な”違和感”というか微妙な音の”変化”に対して自然と納得ッが生まれた。確かに、この”俺の感性”の心臓部に直結する独特の浮遊感はUK特有のソレだ。最近だと、このウォーペイントや俺たちのアイドルローレン・メイベリーたそ率いるチャーチズと共に、来月のHostess Club Weekenderで来日するDaughterのイメージに近いかもしれない。

【ジェイムス・ブレイクのDT奪った結果www】・・・序盤の#1~#3までは極上のアトモスフェリック・ミュージックで申し分ないんだが・・・問題は次からだ。まるで呪術でも唱えるかの如く、シャーマニズム溢れるイーサリアルなボーカルとトリップ・ホップ然としたミニマルなリズムをもって、そこへエレクトロニカの絶妙な味付けを加えながら深い谷底に堕ちていくような展開力を見せつける#4”Hi”、その#4以上に後期The Gatheringを彷彿とさせる欧州風イーサリアルな感度とGrimesElsianeらのカナディアン勢を連想させるファンタジックでオリエンタル、そしてエキゾチックなムードを高めた#5”Biggy”、フォーク系SSW的なアコギの語り弾きで始まると同時に幻想的なボーカルに惹き込まれる#6”Teese”までは、レディへ直系のエレクトロなアレンジを際立たせたイーサリアル/トリップ・ホップ/ダウンテンポ系のチルい楽曲が続いていく。もはや「こいつら一体どこに向かってんだ・・・」としか言いようがなかったし、これには本流のチェルシー狼エスベンと魔女も→「ちょっと...ウチラの縄張り荒らさんといてや...」とドン引き...。確かに、デビュー作の時点で既にポストロッキンなアプローチを効かせた”ミニマル”なメロディを持ち味としたバンドではあったけれど、まさかコッチ向きに”ミニマリズム”を発揮してくるなんて思っても見なかった。その中でも、#4”Hi”の幾つもの音が複雑に重なり合う予測不能な展開力の高さに、彼女らの隠しきれない”Post-Progressive”なセンスを垣間見ることができた。

【Warpaint×Phantogram】・・・ここまでの暗鬱な空気をぶった斬るように、すっ頓狂なノリとリズムをもってダンサンブルに繰り広げる#7”Disco//very”のアヴァンギャルドな存在感にぶったまげ、再びオリエンタルなアナログ臭い匂いを醸し出すダウナー路線の#8”Go In”、そして後半のハイライトを飾る9”Feeling Alright”は、EPの”Beetles”というより...むしろPhantogramWhen I'm Smallを彷彿とさせる、それこそジェニーのゆるふわ系おっぱいがフワッフワッっとリズミカルに揺れ動く官能的な様子が脳裏に描写されるタイトなベースラインがキモとなるオルタナで、特に中盤からのプログレスな展開美とギター&低音ニカのエモい絡みを耳にしたら→「いや、これもうファントグラムそのものじゃん」って思った。まさか、まさかウォーペイントとファントグラムに親和性を感じるなんて思ってなかったから、素直に面白かった。と同時に、彼女らの音楽に対する懐の深さを思い知らされた。だから今年のサマソニかフジロックにPhantogram呼ぶべきだと思うよマジで。で、それ以降も奈落の暗黒へと誘う#10やニカ色全開の#11、そしてラストの#12まで、終盤の展開は著しくエクスペリメンタル化が進んだ曲が続き、完全に聴き手の存在を置いてけぼりにする。ちなみに、国内盤のボートラはシングルの”Love Is To Die”を比較的ストレートなバンド・サウンドで鳴らしたオルタナVerで、それこそ4年前のウォーペイントが今の『ウォーペイント』やってみた感じの曲でスゲー面白い。もう一曲はThe Line of Best Fitで披露された同曲のライブVerを収録。

【ウォーペイントの本性】・・・前作こそ、Shoegazer/Post-Rock/Gothic/Dream-Pop/Psychedelicなどの要素を取り込んだ、わりかしポップな可愛げのあるオルタナ~インディやってたが、しかし今作はトリップ・ホップ/アブストラクト・ヒップホップ/イーサリアル/エレクトロニカ/チルアウトがベースの音に、それこそ「愛とは死...愛とは死の回避...愛とはダンス...」というメンヘラ臭い歌詞の如く、まるでヤリ逃げされたオンナの怨念が込められたような、尋常じゃなく正常じゃない女の本性を垣間見せる作風となっている。もしかして・・・もしかするとコイツラの本性ってコッチなの!?って。それぐらい、まるでジェイムス・ブレイクに生気(精気)でも吸い取られたのかと勘ぐりたくなっちゃうほど、いい意味でヤサグレ過ぎてるというか、この4年の間で一体ナニがあったんだ?と心配になるくらいの変貌を遂げていたんだ。それはまるで垢抜けない田舎の女子大生が上京してあらゆる経験を積んで、いつの間にかイーサン叔父貴という名の精神崩壊系男子譲りの悟りを開き、漆黒色のダーティなエロスを身にまとった妖艶な4年生に成長したみたいな・・・。ま...まさか、これがあのジェイムス・ブレイクのDTを奪ったオンナの『愛のカタチ』だとぉ!?くっそ!何かわからんがジェイムス・絶倫・ブレイク許すまじ!



【UKミュージック】
・・・極端な話→1stの”ロック”なノリというかグルーヴ&リズムにノッてキャッキャウフフと盛り上げるというよりは、むしろ逆にトリップ・ホップやポスト・パンク色の強い”ミニマル”な一定のリズムを意識した、いわゆるアブストラクトなトリップ・サウンドをベースに、そこへ某プロデューサー&某ミキサーの腕による実にUKミュージック然とした洗練された音作りと絶妙なニカアレンジが交わった、あのイーサン叔父貴もついつい(ニッコリ)しちゃうほどのダーク・ミュージックやってるわけ。そもそも、このウォーペイントって元々UKミュージックとの親和性が高い、もしくは相性の良いバンドだったけど、今作で遂に本家本元のレディへ界隈の大物を味方につけた結果→二作目にして早くも驚異的な深化を遂げている。ヘタにポップ化するのではなくて、このウォーペイントの根幹にある独創性を更に深く突き詰めた結果というか。それこそ、スウェーデンのCarbon Based Lifeformsや昨年の俺的年間BESTの実質一位にランクインしたアブストラクト・ヒップホッパーSadistikFlowers for My Fatherが、この『ウォーペイント』への伏線()だったんだと自分勝手に納得してしまった。そして上記に貼った”Biggy”Baardsen Remixを聴いて、遂にナニカを確信した(正直ボートラはこれがよかった)。だから今作がUKチャートでトップ10入りしたと知っても別に驚かなかった。

【真・ウォーペイント】・・・新機軸の#7をはじめ、この一枚でホントーに多種多様な”流行りの音”にトライしているので、当然作品の統一感や俗にいう”キャッチーさ”というのは皆無に近いが、その音が持つポテンシャルは前作と比じゃないレベルの高さを誇っている。それこそメンバー4人が奏でる音の残像、その音のシルエットという名の線が点で重なり合う決定的瞬間を表したような、ジェニーの旦那である変態映像作家ことクリス・カニンガムが手がけた今回のジャケが全てを物語っていると言っても決して過言じゃあなくて、メンバーひとり一人が奏でる木綿のように繊細で緻密な音が表裏一体化した結果が、まぎれもない今の『ウォーペイント』なんだという、それを直に証明するかのような作品だ。そう考えると、あの#7はある意味で最も”今のウォーペイントらしい”曲と言えるのかもしれない。それと国内盤のライナーノーツにも記されているように、二回のレコーディングを延期する合間に、ロスから二百キロ離れたジョシュア・トゥリーに一軒家を借りて一ヶ月間の共同生活を送り、メンバー全員でジャムり合って音を互いに高め合った結果→気のせいか”スタジオ・アルバム”というよりも、ある意味で”ライブ・アルバム”的な、まるで目の前で演奏しているかのような音の臨場感と生々しさがある。それにより、ウォーペイントの持ち味である、体にまとわりつくような粘り気のあるグルーヴ感により厚みが増したようにも。もはや謎の貫禄すらある。少なくとも、いわゆる”ガールズ・バンド”と呼ばれるバンドの中では他の追従を許さないレベルにまでキテるのは確か。

【イントロが全て】・・・デビュー作のイメージで本作を聴くと、あまりの変わりように肩透かしを食らうこと必須だし、その完成度は文句なしに高いが、いかんせんデビュー作と比較すると圧倒的にツカミが弱い気がする。なんか自分たちの世界に、内に内に引きこもってる感じ。でもチャーチズローレン・メイベリーちゃんが好きって言うんなら僕も好き!ボニョ、ローレン好き!・・・というのは冗談で→わりとマジな話、いわゆる【ATMS】【Post-Progressive】にある程度の理解ッがないと厳しいかもしれない。しかし、それらに対する理解ッがあれば1stの『愚者』より好きになること請け合い(ソースは俺)。個人的には→いわゆる【ATOMS】に対するウォーペイントの意識の高さ、そのATMS空間表現力の異常なセンスが垣間見れた事が一番の収穫だったし、それと同時に自分の審美眼は決して間違っていなかったと再確認できた。結局のところは、イントロの#1に対して”ナニを感じ取ることができるか”が鍵のような気がする。またライナーノーツの中でテレサが→「100%現在のラインナップで作り上げたのは今回が初めて。だからこそ、バンド名をタイトルに掲げるのが自然に思えた。このアルバムは一つの大きなリセットだと思うの。」と語るように、実質これが”デビュー・アルバム”すなわち”スタートライン”に立った事を証明するかのような、それこそ一ヶ月間引きこもってジャムった様子を身近で体感させるような、たった1分51秒程度の”イントロ”が今の『ウォーペイント』、その全てを象徴する重要な一曲と言えるのではないか。僕自身、これほど存在意義のある”イントロ”を聴いたのは生まれて初めてかもしれない。

【カロリーOFF】・・・それにしても、このWarpaintといいAlcestといいVampilliaといい(一つだけ明らかに浮いてる...)、ここ最近の”俺の界隈”の一部ではアイスランド式のシュガーロス・ダイエットが流行ってるらしい。おいら、実はシガロとか興味ないし一切聴かないんだが...まぁ何にしても興味深い現象ではある。でも中期ANATHEMAがレディへライクで、近年ANATHEMAがシガロライクだという事を考えると・・・「なるほど納得ッ」といった感じ。あと、これもライナーノーツに書かれていた事に関するんだが→シングルの”Love Is To Die””Teese”を筆頭とした、”LOVE”すなわち”愛”をテーマとした曲からしても、いわゆる”俺の界隈”の皇帝ANATHEMAを頂点とするKscopeが信念として掲げるLovePeaceな、精神的な面も含めてあらゆる意味でPost-Progressive Sound的なアルバムと言えるのかもしれない。少しベクトルは違うが、KATATONIAのBサイドとかね。

【ピッチフォークへの憧れ】・・・そもそも、エミリーではなくテレサがメインボーカルを担当してる時点で、あの1stとはまるで違った作風になることは予想できたし、だから今作は「もうギターいらねーんじゃねーか?」ってくらい、ギターの存在感が薄い。その一方で、ゆるふわ系オッパイ姉ちゃんことジェニーのベースライン特別意識してなくても自然と耳に入ってくるくらい、一際に目立った作風でもある。要するに→Julianna BarwickみたいなSSW系にありがちなインディ・フォークっぽさ、すなわちピッチフォーク臭が著しく強くなった作品。だから今作に高評価を与えられる人ってピッチフォーカー並みの音楽ツウだと思うわ(なお、ピッチのレビューではボロクソの模様)。つうか、これ評価できるのって非DTの奴しかいないと思うわマジで・・・。でも個人的には、相対的な評価以上の”面白さ”を感じ取った作品ではあるし、正直ここまで楽しんで聴いてるのって俺だけじゃねーの?ってくらい。なにはともあれ、今年の上半期はこのWarpaintPhantogramの新作に期待を寄せていたが、その期待に真正面から答えるような、意外なほど自分のツボをピンポイントに突いてくる伏線()回収作品で、これ以上ない幸先の良さです。

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