Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

レビュー (U)

宇宙コンビニ 『月の反射でみてた』

Artist 宇宙コンビニ
宇宙コンビニ

EP 『月の反射でみてた』
月の反射でみてた

Tracklist
1. origin
2. EverythingChanges
3. セピア色の車窓から
4. 光の加減で話した
5. 闇には祝福を
6. 成仏してしまった男
7. 足跡

NEXT-ゲスの極み乙女はコイツラだ!

近頃ではtricot赤い公園を筆頭に、「邦楽界にプログレの波がキテる」・・・そんな事がにわかに囁かれ始めているのは読者もスデにご存知のハズだが、その"波"を象徴する最もたるバンドこそ、2012年に結成され先日解散することを発表した京都出身の三人組、その名も宇宙コンビニだ。しかし・・・まさかリッピング真っ最中に解散宣言されるなんて人生初めての経験だった。



その音楽性としては→このMVを見てもらえればわかるように、ギターのだいじろーとドラムのなずおが織りなす、2ndや4thの頃のScale the Summitを彷彿とさせる変拍子を駆使したテクニカルでマスいリズム&グルーヴを刻みながらドリーミーでファンタジックな世界観を構築していくインストゥルメンタルに、ボーカル&ベースの紅一点フロントマンえみちょによる初期YUI顔負けのシロウト臭いヘタウマな萌声が抒情的に絡み合い、その名の通り壮大な"宇宙"を駆け巡るように、しかし"ビニ本"もとい"コンビニ"のように身近で爽やかなキモヲタ一本釣りのプログレッシブ・ポップは、あのツルピカユーチューバーAnthony Fantanoをも唸らせるほどの、平均年齢21才とは思えない宇宙のように無限大のポテンシャルを感じさせる。

結果的に、宇宙コンビニの遺作となった2ndミニアルバムの『月の反射でみてた』は、同時購入して同じタイミングでリッピングしたデビューの1stアルバム『染まる音を確認したら』と比べると、俄然洗練されたスタイリッシュな音使いで聴かせに来ている。それはリード・トラックの”EverythingChanges”やポストロック的なスケール感を持つ”光の加減で話した”を筆頭に、幕開けを飾る”origin””セピア色の車窓から”、そして”成仏してしまった男”などのインストナンバーにギュッと凝縮されている。一つ一つに彼らの魅力が詰まった小宇宙のようだ。そう遠くない未来に、コンビニに行く感覚で宇宙旅行ができる時代がやってくるかもしれない、それを音で実現させようとした宇宙コンビニの解散は残念でしょうがない。とりあえずギターの人はDjent界に来ればイイんじゃあないか?(適当)

てなわけで、お別れはリッピング最中に解散宣言された時の僕の表情↓↓リッピング真っ最中に解散宣言された時

月の反射でみてた
月の反射でみてた
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宇宙コンビニ
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Sunn O))) & Ulver 『Terrestrials』

Artist Sunn O))) & Ulver
Sunn O))) & Ulver

Album 『Terrestrials』
Terrestrials

Tracklist
01. Let There Be Light
02. Western Horn
03. Eternal Return

【あたしサンドラ・ブロック、ガチで宇宙空間を漂流中】・・・ここ最近、ANATHEMAの10thアルバムDistant Satellitesの影響で映画『ゼロ・グラビティ』を再度観る機会があって(観るのは三回目)、何気なく劇中の音楽にふと耳を傾けてたら→「これって近年のUlverじゃん!」とか閃いて、でも改めて考えてみるとそのUlverSunn O)))がコラボした『Terrestrials』のがソレっぽくね?って感じた今日この頃、皆さんいかがお過ごしですか?

【Sunn O))) & Ulver】・・・いわゆる”俺の界隈 O)))”の立ち位置からだと、このSunn O)))は手に届かない秘境に生息する幻のユニットで、だから興味もないし、正直な話ほとんど聴いたことがないアーティストなんだけれど(なんとなく音楽性は知ってるレベル)、そんなSunn O)))とノルウェイの森のクマさんことKristoffer Rygg率いるUlverの珍妙なコラボレーションが実現したってんだから、これは四の五の言わずに聴くしか!みたいなノリで、しかし実際のところ、いわゆる”俺の界隈”からSunn O)))に接近できるバンドって唯一このUlverしかいないと思ってたから、今回のコラボは本当に僕が待ち望んでいた出来事だった。そしてこの『Terrestrials』を聴いて、いわゆる”俺の界隈”の立ち位置というのを改めて再確認できた事を、ここに報告したい。

【Sunn O))) & Ulver=Terrestrials】・・・最近のコラボで印象的なプロジェクトといえば→DeftonesのVoチノとポストメタルレジェンドIsisFarのメンバーによるPalmsCrossesなどが思い浮かぶ。特にIsisメンバーとコラボしたPalmsは→”ぼくがかんがえたあいしすとでぶぶたががったいしたさいきょうのばんど”を、文字どおり素直にやってみせた。それと全く同じで、そもそも今回のUlverSunn O)))自体が似たようなスタイルを特徴としたアーティスト同士のコラボで、正直それぞれ本家でやってるスタイルと大差ないんじゃねーか?って予想したとおり、それこそ【Sunn O))) & Ulver=Terrestrials】という至極わかりやすい作風となっている。ちなみに、今作はSunn O)))ステファンUlverのクマさんことガルムの共同プロデュース、マスタリングにはAltar Of Plaguesや近年Ulverの作品で知られるJaime Gomez Arellanoを迎えている。そして、ゴースト佐村河内もとい幽霊奏者(Ghost Appearances)としてドラムやトランペット、ヴィオラやヴァイオリンにゲスト・ミュージシャンを迎えている。

【Ulver+Sunn O)))=Let There Be Light】・・・その”わかりやすさ”は、オープニングを飾る#1”Let There Be Light”から顕著だ。それはピピピピピピ...という往年のSF映画的なエレクトロニカが描き映す宇宙ステーションとの交信、すなわち『惑星ソラリス』との遭遇から始まって、その大気圏外で暗黒物質と化したトランペット/チェロ/ヴァイオリンのダーティでシアトリカルなメロディが織りなす、それこそSunn O)))の親戚にあたるKayo Dot直系の前衛的なアヴァンギャリズムを披露する前半部、しかし後半にさしかかると突然ドラムとギターが現れて→「デデーン!Sunn O)))様のお出ましだ!」と言わんばかりのアンビエント・ドローン空間を、それはまるでブラックホールのごとく広域に展開し、漆黒の衣装に身をまとった【黒の神々】が人類を暗黒時空の亜空間へと誘う。この曲は逆に驚くほどわかりやすくて、初めて聴いた時は→ぼく「フムフム...はじまりは近年うるばーみたいだな。おっ、後半はぼくがかんがえたさんおー)))っぽいぞ!うわぁ!これじゃあまるでうるばーとさんおー)))ががったいしたみたいじゃないかぁ!」 ってアホなこと言いたくなった。要するに→前半の超スペース音響パートがUlverのソレで、後半の圧倒的な重力を見せつけるドローンパートはSunn O)))のソレだ。

【ほぼSunn O)))=Western Horn】・・・黒装束の男たちが夜な夜な暗黒舞踏を繰り広げる様子が目に浮かぶような、終始Sunn O)))然とした魔空間を展開していく二曲目の”Western Horn”は、クライマックスへと向かうにつれてブラックホールが徐々にデカくなっていくような、その強大な圧縮力と圧倒的な展開力はスティーヴン・ウィルソン氏のソロ作『Insurgentes』”Abandoner”を思わせるエクスペリメンタリズムだったりする。この曲は”ほぼSunn O)))”と言っていい。

【ほぼUlver=Eternal Return】・・・その”Western Horn”のアウトロの流れを汲んだ三曲目の”Eternal Return”は、中期Ulverを彷彿とさせる喜多郎ばりの”人類の夜明け”感を醸し出す、艶かしいほどのエロスに溢れた艶美な音響空間の中でストリングスが妖艶に舞い踊り、そして静かに美しき狂気を奏でる、これはもう”ほぼUlver”と言っていい名曲だ。#1と#2はインストだったが、この曲は中盤からダンディズムの極みであるガルムの歌声でドラマティックに演出していく。そして僕は、ガルムが「『Messe I.X-VI.X』は『Shadows Of The Sun』の姉妹作」と語っていたのを思い出した。つまり、Ulverからの視点でこの『Terrestrials』を考察してみると→Ulverが地元のTromsø Chamber Orchestraとコラボした『Messe I.X-VI.X』のような、チェンバーなダーク・アンビエント路線を更に深く掘り下げた作風というか、その中~後期Ulverの哲学的ですらある精神世界に、EarthやKayo DotなどのUSアンダーグラウンドバンド的なエクスペリメンタリズムが意外性もなく素直に融合した結果でありながらも、むしろUlverの新作として普通に聴けちゃう、そんな作品。全3曲トータル約37分、濃厚かつ濃密な暗黒の底にある闇の世界を堪能させてくれる。

Terrestrials
Terrestrials
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Sunn O))) Ulver
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Ulver 『Messe I.X-VI.X』 レビュー

Artist Ulver
Ulver

Album 『Messe I.X-VI.X』
Messe I.X-VI.X

Track List
01. As Syrians Pour In, Lebanon Grapples With Ghosts Of A Bloody Past
02. Shri Schneider
03. Glamour Box (Ostinati)
04. Son Of Man
05. Noche Oscura del Alma
06. Mother Of Mercy

ノルウェイに棲む”森のクマさん”こと、奇才Kristoffer Rygg率いる異才音楽集団Ulverというのは、初期の頃こそネオフォークやいわゆるポストブラックとかいうジャンルの原点および先駆け的な存在としてその名を上げていたが、2000年作の傑作『Perdition City』以降はトリップ感のある電子音楽/実験音楽的な音楽性へとシフトし、その流れで映画のサントラを手がけたり、近年では映像作品のThe Norwegian National Operaを、更には60s/70sのサイケロックをカバーしたChildhood's Endをリリースしたりと、そんな異様異質異形な音楽変遷を辿っている彼ら。初期の頃から現在まで、ここまで音楽性の変化その振り幅が大きいバンドって、このUlverの他に居ないんじゃあないか?

 そのUlverと同国のTromsø Chamber Orchestraのコラボが実現した本作の『Messe I.X-VI.X』、気になるその作風としては→かのKscopeとの引かれ合いが実現した前作のWars Of The Rosesとは明らかに毛色が違って、中心人物のKristoffer Ryggガルムが前々作『Shadows Of The Sun』姉妹作だと語るように、確かに『Shadows Of The Sun』、その中でも”Like Music””What Happened?”を連想させるクラシカルかつアンビエーションな雰囲気を踏襲しつつ、近年Ulverが得意とするエレクトロニカとフルオーケストラによる重厚なクラシック音楽がクロスオーヴァーした、実にアヴァンギャルドかつアンニュイなモダンクラシカルを繰り広げている。また、日本人ヴァイオリニストの川見優子さんがオケの一人として参加してるのも一つのポイント。

 今思えば、ピッチフォークのレビューで散々こき下ろされた『Perdition City』って、あのKscopeが掲げるポストプログレッシブサウンドの先駆け的なアルバムだったんだな・・・って、あらためてUlverの先見の明、そのセンスに脱帽するばかり。で、このUlverが所属するKscopeというのは、いわゆるLOVEPEACEを思想/信条としながらも、一方で人間社会の非情さや無情さから目をそらさず、むしろ逆に人間の心に潜む『闇』すなわち負のエネルギーを儚くも美しい旋律に変えて、それこそ人間世界の悲惨の「線」を深裂に描き出していく、そんなKscopeが提唱スル音楽理念およびUlverの音楽に対する真意な姿勢に、あらためて僕は敬意を表したい。

 そんなKscopeの音楽的理念、そして本作のメインテーマである【Ulver×Tromsø Chamber Orchestra】が顕著に感じられる、オープニングを飾る#1As Syrians Pour In, Lebanon Grapples With Ghosts Of A Bloody Pastでは、小動物の鳴き声や小鳥のさえずり、銃撃戦や爆撃機のSEによって紛争地帯という名のダークサイドに引きずり込むような演出から、それはもはやオドロオドロしい暗黒を超えた漆黒...人間同士の争いで犠牲となった死者の霊魂が彷徨い続ける黒い小宇宙を生成しながら、いわゆる【ATMSフィールド】全開の不気味な音響亜空間、その奈落の底へと沈み込むような重厚なオーケストラと哀しい旋律を奏でるピアノの音色によって、まるで映画のサントラのような、それこそ人間の業と悲しみ...復讐が復讐を生む輪廻...絶えることなく繰り返される戦争の悲劇を描いた映画『ビフォア・ザ・レイン』の如し、人間の心に潜む『漆黒の狂気』を美しく静かに、しかし深裂に描き出している。この曲、初めて聴いた時は鳥肌たったというか、あまりにも生々しすぎてゾッとしたというか、おぞましいほどの恐怖を感じた。それぐらい、『人間の狂気』というものを内面から容赦なくエグり出している。なんつーか、Cult of Lunaの名曲”Vicarious Redemption”に匹敵する”凄み”すらあった。

 本作『Messe I.X-VI.X』を象徴するかのような、その素晴らしきオープニングに続いて、スウェーデンのCarbon Based Lifeformsを彷彿とさせるサイケ/トリップ感のあるヒーラー系エレクトロニカとクラシック音楽が現代的な出会いを果たす#2”Shri Schneider”、その流れからの#3”Glamour Box”ではミニマルなニカとピアノのカラミ、そしてスケール感を施すスリリングなオケが、クライマックスに向かうにつれて徐々に静寂のダイナミズムを形成していく。で、ここまで聴くと(本作はTromsø Chamber Orchestraを中心としたインストモノかな?)と思うが、本作のハイライトを飾る#4”Son Of Man”のオープニングで遂に森のクマさん...もといガルムの人類に語りかけるようなダンディなボーカルが導入され、教会の鐘や神々しい賛美歌、そして崇高かつ大仰なオーケストラが悲劇的かつ壮大な物語を演出していく、それこそ黒い旧約聖書を音で描き出すかのような、圧倒的なスケール感および展開力の高さを見せつける。この曲を聴いてしまうと、本作があくまでも”オーケストラ中心”の作風だという事がわかる。それぐらいオケの本領発揮ってやつだ。

 本作の中では一番サントラ風というか、曲の展開にあまり起伏のない#5”Noche Oscura Del Alma”では、Ulverらしいレトロ感を醸し出す老舗のレイトショー的なSEが鳴り響く。そしてラストを飾る”Mother Of Mercy”はと言うと、再びガルムのムーディな歌声とオケの優美な音色が聖地エルサレムで共鳴しながら、しかしふとした瞬間に#1と瓜二つのダークサイドに迷い込んでいる事に気づいてしまったら最後→これにて『輪廻転生』が完了する...。当然、いくら『Shadows Of The Sun』の姉妹作だと言っても、約6年前のUlverと今現在のUlverが別物である事と同じように、コレとソレは全てにおいて別物であるのは確かで、本格的なクラシック音楽と電子音楽がUlverという名の数奇な運命を辿りし巨人(奇行種)の体内で出会った結果→まぁ、一言でいっちゃえばヤケに洗練されたヒーリング音楽です。さすが、本作のマスタリングを担当したのが、惜しくも解散したAltar of Plaguesの新作を手がけたJaime Gomez Arellano氏というだけあって、とにかく”音”がいい。

 そんなわけで、ANATHEMAUniversalでオーケストラとの共演を成功させたように、Ulverもこの『Messe I.X-VI.X』で成功させた。ANATHEMAのダニー・キャバナーが出演したシリアのラジオ番組『Souriali』のインタビューを筆頭に、最近のKscope界隈の流行りはシリア問題すなわち中東問題らしく、もうなんか【オーケストラ×中東問題=Kscope】という認識でエエんちゃうの?ってくらいの中東ブームで、これにはダニー・キャバナー「I LOVE Cyria!! I LOVE Cyria!!」と子供のように大喜びしているハズ。当然、本作も流行りの中東問題に対する痛烈なメッセージや祈りが込められた作品で、つまり彼らが『Shadows Of The Sun』で描き出していた『人類の創始』および『人類の夜明け』を、今現在のUlver流の解釈をもって輪廻(一巡)させた先の世界がこの『Messe I.X-VI.X』、というのが僕の見解。

Messe I.X-VI.X
Messe I.X-VI.X
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Ulver
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Ulver 『Childhood's End』 レビュー

Artist Ulver
new_Ulver

Album(Compilation) 『Childhood's End』
Childhood's End

Track List
1. Bracelets Of Fingers
2. Everybody's Been Burned
3. The Trap
4. In the Past
5. Today
6. Can You Travel in the Dark Alone
7. I Had Too Much to Dream (Last Night)
8. Street Song
9. 66-5-4-3-2-1
10. Dark Is the Bark
11. Magic Hollow
12. Soon There'll Be Thunder
13. Velvet Sunsets
14. Lament of the Astral Cowboy
15. I Can See the Light
16. Where Is Yesterday

北欧ノルウェイに凄む生きる伝説ことUlverの昨年リリースされたWars Of The Rosesから約一年ぶりの最新作で、ベトナム戦争で有名な”あの一枚”をアートワークとして掲げた『Childhood's End』は、主に60年代に活躍したバンドの楽曲を今のUlver流の解釈で再構築したコンピレーション・アルバムで、その内容は実にサイケデリックかつフォーキー、レトロでダンディな温かいムードに満ち溢れたexperimentalな聖域へと聞き手をトリップさせるんだけど、これが想像した以上に心地よい件。今なお流動的な音楽を創造し続けるUlverと、その中心人物であるノルウェイの森のエロぃクマさんことKristoffer Ryggという人物の頭の中に秘められたユニークな感性の一部を覗き見してるかのような一枚。で、恥ずかしながら原曲を一曲も知らないぐらいクラシックな音楽には疎いおいら、今回のような機会がなかったら60sの音楽を聴くチャンスは今後一生なかったかもしれない。少し大袈裟だが、それほどまでに、かなり貴重な音楽体験だと思う。この場を借りて、このような機会を与えてくれたUlverには素直に感謝したい。で、個人的に気に入ったのは、奇想天外でポップな場面と東欧風味の暗鬱感を醸し出すメロディとのギャップがイカす#1”Bracelets Of Fingers”、トリップホップ/ポストロック的な穏やかな音使いでシブくてジャジーなエロいムードを形成する#2”Everybody's Been Burned”、エレクトリカルな#3、ポップ&フォークな#4、そして特に#5” Today ”なんかを耳にすると、Opethのミカエル・オーカーフェルトが如何にクラシック・ロック・ヲタクなのかを理解ッできる気がする。それほどまでに、この曲からは名盤『Still Life』のような”オトコの哀愁”を感じざるを得なかった。で、プログレ~サイケな音階を交互に行き来する#6、オトコのフォーク・ロック的なシブい#7、アコギ主体の#10” Dark Is the Bark ”の中盤からの展開とかマジで壮麗優美ニキ。他にもアコギ/サイケ/フォーク/トラッド調の楽曲が最後までムーディな雰囲気を演出している。しかしながら60年代の曲が原曲なのにも関わらず、あまり60sという古臭い印象を受けないのは、やはりクリストファーのセクシャル&ダンディズムに満ち溢れた深みのある歌唱法のお陰だったり、いわゆる”俺の界隈”に属するバンドを連想させる音が自然な形で耳に馴染んでくれたお陰か、全体的にポップでキャッチーなテイストがあって思いの外聴きやすかった。少なくとも聴きづらさは一切なかった。そんな感じで、ミカエル・オーカーフェルトがアヘ顔しそうな楽曲ばかりなんで、特にOpethの最新作Heritageとか、その手の界隈のリスナーは聴いてみるといいかもしれない。なかなかに面白い発見があるかも!?

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Ulver 『Live in Concert: The Norwegian National Opera』 レビュー

Artist Ulver
61775219

Blu-ray&DVD 『Live in Concert: The Norwegian National Opera』
Live in Concert: The Norwegian National Opera

Track List
1. Moon Piece 
2. Eos 
3. Let The Children Go 
4. Little Blue Bird 
5. Rock Massif Part 2 
6. For The Love Of God 
7. Operator 
8. In The Red 
9. Funebre
10. Excerpts of Silence
11. A Memorable Fancy
12. Hallways of Always
13. England
14. A Cold Kiss
15. Like Music 
16. Not Saved 
17. Legs Piece 

北欧ノルウェーの森のエロぃクマさんこと、Kristoffer Rygg(別名GarmもしくはTrickster G)率いるダーク・ミュージック界の異端児、Ulverが2010年にノルウェーのオペラハウスでのパフォーマンスを収めたライブDVD『Live in Concert: The Norwegian National Opera』なんだけど、本作に収録されているのは、2000年作の『Perdition City』から2007年作の『Shadows Of The Sun』までの、映画のサントラを含む作品からの楽曲で構成されている。

 まず、本作を再生すると同時に、#1”Moon Piece”でのDaniel O'Sullivanが暗夜の中で奏でるエレガントなピアノの音色をバックに、血反吐を吐きながら首を吊ったTrollのキチガイじみた演出からして、何かしらヤバい狂気と不安と孤独が反響する”禁断の地”へと足を踏み入れ・・・っつーか完全に出落ちなんだが、この何とも異様な幕開けから本作品がR18指定の作品だということを早速に理解ッするわけで、その不穏な幕が閉じると同時に名曲”Eos”のイントロへと展開し、夕暮れと共にその存在を露わにする満月が淡く光り輝く、美しきダークサイドへと俺たちの心は堕ちていく・・・それからは多種多様な環境映像をメンバーの後ろにある大きなスクリーンに映しながら、この大地、この地球、この生命、この人類の存在意義を問いただす、その狂気と現実の狭間を孤高のリリシズムと共に喜怒哀楽の感情を剥き出しにしながら、その森厳であり神妙な精神世界を聴覚から視覚から脳内へと伝達していき、まるで映画を観ているかのような迫力と臨場感に、俺たちの心は只々圧倒され、ふと気づいた時には既にUlverの”精神の器”に溶け込み、深淵の最下層に存在する”無”世界の一部分となっている。

 一匹狼の”トリックスター”=グラムという”ぽっちゃり系男子”の特異な才能を、時に荒々しく時に奇麗な狂気が共鳴する闇の舞踏会、夜宴のシンフォニーを約2時間ほど堪能させるんだが、特にオープニングから#6”For The Love Of God”までの流れは圧巻の一言で、その中でも、人間の心の奥底に潜む漆黒の闇を投影し、静寂の狂気を描く#5”Little Blue Bird”からの~ナチスドイツとホロコーストの生々しい現実を組み込んだ#5”Rock Massif Part 2”では、映画(フィクション)なんかじゃあなく、リアルな記録映像が映し出すショッキングな事実に、おぞましいほどの地獄と震え上がるほどの凄みを感じる事ができるし、その狂おしい狂気の渦と化したホロコーストですら華麗なる旋律へと昇華してしまう彼らの独創的な音世界は、まさに唯一無二、孤高の存在だという事を強く実感させる。そして、このファニーなレイトショーのクライマックスを飾る#17”Legs Piece”での、まるで生まれたての赤ん坊のよう裸体の姿で、”Next-生命”の生い立ち(誕生)を奇跡的に表現するパフォーマーを目撃したら最後、ヒトラー総統の予言どおり、俺たちは新世界の超人となる・・・。

 ・・・というわけなんだけど、最近は寝る前にこればっか観てます。そして観る度に、一度は生で体験してみたいと切に思う、それほど崇高な”Nextの世界”が詰まったライブ作品です。観て損はないはず。オススメ。

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